「AI」と一致するもの

danchi-kai-550.jpg「阪本」と「藤山」で“SF映画”です!?『団地』爆笑記者会見

ゲスト:阪本順治監督、藤山直美(2016年5月19日(木) ホテル日航大阪にて)



『団地』
■(2016年 日本 1時間43分)
■脚本・監督:阪本順治
danchi-550.jpg■出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 ほか
■公開情報:2016年6月4日(土)~有楽町スバル座、シネ・リーブル梅田、TOHOシネマズなんば、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
■作品紹介⇒ こちら
■公式サイト⇒ http://danchi-movie.com/
■コピーライト: (C)2016「団地」製作委員会

ベストワンに輝いた傑作『顔』以来、16年ぶりに阪本順治監督と日本を代表する舞台女優・藤山直美がタッグを組んだ下町喜劇。直美のために阪本監督が書き下ろした絶妙の会話劇。さまざまな人間模様が織り成す団地で、平凡な夫婦が“普通じゃない”日常を描く。共演は岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工ほか。
 



公開(6月4日)を前に阪本順治監督と藤山直美が大阪・市内でPR会見を行い、映画顔負けの面白話を披露した。
 

――― まずお二人からご挨拶。
danchi-kai-240-s-1.jpg阪本順治監督:表現は悪いですが、長年たまりたまったものを排泄してスッキリした気分です。16年ぶりですが、16年経ったから出来たと思う。『顔』の直後では出来なかった。『顔』は直美さんとは最初で最後のつもりだった。年月が経ってもう一度出来るようになった。

藤山直美: 『顔』の時は40歳でした。17年経ってあと3年で還暦を迎える。人生後半になり、阪本監督にまた撮って頂くことが出来た。月日の流れは大事やなあと思います。

阪本監督: 『顔』の後、(直美の)舞台見たり、楽屋に行ったり、食事に行くなど普通にお付き合いさせてもらいましたが、もう一度映画を撮ることは予定してなかった。去年、スケジュールが空いている、と聞いて急いで脚本書きました。

藤山: (映画の予定は)まったくなかった。監督はお芝居を見に来てくれたけど、声かけてもらえなかったら、ズーっと映画に出ないままだった。

――― SFを撮りたかったということだが?
阪本監督:阪本と藤山でSFですよ。SMではありません(笑)。まあ、子供のころから、空想や妄想で宇宙のこと考えたり、そこに人の死も入ってくる。実家が仏具屋で人の死と向き合うことが自分なりの宿題と思っていて、答えを出してみたかった。人は死んだらどこへ行くのか、宇宙空間に行く。人の死の疑念をどこまでシリアスにやるのか?あるいはユーモラスに描くのか? 直美さんが主演だからやれた。藤山直美の「団地」だからやれたと思う。

danchi-kai-240-f-2.jpg藤山:仕事断るのに、「日程的に無理」というのと「作品が合わん」というのがあるけど、阪本監督やから“あんなんイヤヤからよすわ”とは言えん。頭おかしいのがマックスに来たんかなとおもた(笑)。監督に任さな仕方ないなあ、と…。

――― 厳しい反応だが…?
阪本監督:いやいや、これでもすごく手加減してくれている(笑)。『顔』は直美さんに“何これ?”と言われたくて書いた。今度は直美さんを出来るだけ遠くへ連れて行きたいと思った。キテレツな部分をどこまで見せるか。どこで寸止めにするかが大事でした。撮った直後は分からない。あとは映画館のお客さんにお任せします。久々のオリジナル(脚本)でハダカになれたんで(公開を)楽しみにしています。

藤山:先ほど、ラジオにも行って来ましたけど、宣伝は苦手です。撮影が無事済んでよかった、と思ってます。あとはお客さんがジャッジしてくれるでしょう。野田阪神あたりのおばちゃんが見て、どうか、チケット買うて来てもらってどうかです。その辺は舞台と変わりませんね。

――― やはり舞台と映画は違い、苦労が多かった?
藤山:舞台は午前11時から午後8時過ぎまでやけど、映画は終わって帰って2時間ぐらい寝て“次の日”というのが普通らしいですね。今回の撮影は真夏だったので、45度ぐらいになったことがありました。

阪本監督:暑い日がありました。監督や俳優さんは日陰に入ることも出来るけど、スタッフには水分補給のタイミングがなく、『闇の子どもたち』のタイでの撮影ではスタッフが倒れたこともありました。直美さんはスタッフをとても気遣っていました。

danchi-kai-240-s-2.jpg――― 直美さんの他は“阪本組”の常連さんですが、ひとり若手の斎藤工さんはいかがでした?
阪本監督:直美さんに台本渡した時、「この“サイトウ・エ”って誰?」 と聞かれました(笑)。でも斎藤君は同年の俳優に比べて気配りも出来、ひとりの人間としてやっていける人。演技力よりも考え方が出来る人。過去の先達俳優をリスペクトしている。直美さんにも可愛がられていた。

藤山:最初は印刷ミスかと思った(笑)。詳しく注目してなかったので知らなかった。いろいろナンバーワンになった人でしょう。“あんた凄いねえ”と言いました。映画が好きなので私は感心しました。

阪本監督:藤山さんが決まった時に常連の3人(岸部、大楠、石橋)を想定して脚本書いた。『大鹿村騒動記』みたいな熱を帯びた現場。こうあってほしいという思い通りの現場になった。岸部さんは「明日、脚本届くから」と電話したら「俺明日からパリ行くわ」だし、石橋さんは「阪本が何か企んでる」と知ってて、ちゃんと来てくれた。ただ石橋さんは入る前に「最後は逃げにならないよう気をつけろよ」と言ってくれて、それが生きましたね。

danchi-kai-240-f-1.jpg藤山:岸部さんには私が19歳の時から恋愛相談とかいろいろ相談に乗ってもらってますし、大楠さんとは子供時代、7つか8つの時に大映で勝さんの『座頭市』で共演しています。「その時は安田道代さんでしたが、それ以来です」とあいさつしました。最後に、石橋蓮司さんと一緒にやりたいと希望しました。

――― 監督が最初に言った、たまったものとは何か?
阪本監督:最近は日本映画が元気だと言うが、ちょっといびつになっているように思う。私の『どついたるねん』も『顔』もインディーズで、みんな自分でお金集めて作ったり、(作るのを)断念したりしている。今、すそ野は広がっているかも知れないが、こういう状況が続くと「もうこんな業界に自分はいなくていいか」というところまで来ている。万人に愛されなくてもいいが、一石投じることが出来るとすれば、こんなおっさんが奇妙奇天烈なことやった、とアピールすることかな。この後は居酒屋で言います(笑)。

藤山:おばちゃんに“見に来いや”とはよう言いませんが、長いことやってきて、かなり世間が五体で分かってくる。この映画は大人がまじめに作ってるんで、おっちゃんおばちゃんが喜んで来てくれるか、パンフレット投げつけるか、ですね。

――― 大阪で初日を迎える感想は?
阪本監督:怖いですよ。大阪は娯楽に対して厳しいところですからね。『顔』の時は、「梅田で立ち見出てる」と聞いて見に行ったら、受付で何かもめてるんですよ。聞いたら、「立ち見やったら300円まけて!」とお客さんがクレームをつけてる。黙って帰りましたよ(笑)。

藤山:お客さんが怖いから役者は育つんですよ。舞台で初日なんかは団体の招待客がいっぱいいます。その人たちは最初は座席にもたれて座ってはる。だけど、最後には身を乗り出させる。そうしないとアカンのや、とうちの父親(藤山寛美さん)が言ってました。大阪のお客さんは一番親切です。
 


 


danchi-kai-240-s-3.jpg◆阪本順治監督
1958年、大阪府生まれ。井筒和幸、川島透ら各監督の現場にスタッフとして参加。89年、赤井英和主演『どついたるねん』で監督デビュー。日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞など多数受賞。以後『王手』『ビリケン』の“新世界三部作”で名を上げる。藤山直美を主演に迎えた『顔』(00年)は日本アカデミー賞最優秀監督賞など賞を総なめした。ほかに『KT』(02年)『魂萌え』(07年)『闇の子供たち』(08年)『座頭市THELAST』(10年)『大鹿村騒動記』(11年)『北のカナリアたち』(12年)など。

 

 



danchi-kai-240-f-3.jpg◆藤山直美
1958年京都府生まれ。初舞台は64年、坂本九主演「見上げてごらん夜の星を」。以後、舞台、テレビに多数出演。00年、初主演した阪本順治監督作品『顔』でキネマ旬報主演女優賞など多数受賞。

 



(安永 五郎)

『神様メール』 公開記念 特製トートバッグ プレゼント!

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■  提供:アスミック・エース

■  募集人員: 3 名様

■ 締切:2016年5月29日(日)


2016年5月27日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS) 他全国ロードショー

★公式サイト⇒  http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
 

 



世界で熱狂的に支持された痛快コメディ『神様メール』が、27日(金)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて全国ロードショーとなります!!


kamisamamail-500-5.jpg『トト・ザ・ヒーロー』のジャコ・ヴァン・ドルマル監督最新作に、とびきりキュートな神様の娘エア役のピリ・グロワーヌ、ゴリラと恋に落ちた主婦役のカトリーヌ・ドヌーヴほか、豪華キャストが集結!


【STORY】
神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。ある日、神様の娘10歳のエアが人間に運命に縛られずに生きてほしいと考えて神様のパソコンから人間たちに余命を知らせるメールを送ったので、さあ大変!エアは大パニックの世界を救う旅にでるが、できることは男女に小さくてヘンテコな奇跡を 起こすだけ。主婦にゴリラの恋人を作ったり、セックス狂に本当の恋を思い出させたり、殺人鬼に不死身の美女を紹介したり……。

予想できない展開と、このうえなく愛おしい壮大で観たことのない奇跡が起こる圧巻のラストシーンは必見!


『神様メール』kamisamamail-550.jpg
原題:LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT/THE BRAND NEW TESTAMENT
(2015年 フランス、ベルギー、ルクセンブルク 1時間55分 PG12)
監督: ジャコ・ヴァン・ドルマル「トト・ザ・ヒーロー」「ミスター・ノーバディ」「八日目」   
脚本: ジャコ・ヴァン・ドルマル、トーマス・グンズィグ
主演: ブノワ・ポールヴールド「チャップリンからの贈りもの」、ヨランド・モロー「ミックマック」 、ピリ・グロワーヌ「サンドラの週末」、 カトリーヌ・ドヌーヴ「8人の女たち」 

2016年5月27日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS) 他全国ロードショー

公式サイト⇒ http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
© 2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Après le déluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage

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 × 

 



  <殿、利息でござる!>×<殿、決め手はこってりスープでござる!>

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    阿部サダヲ主演、更に、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、松田龍平ら、超豪華キャストに加え、フィギュアスケーター羽生結弦さんの映画初出演でも話題の『殿、利息でござる!』。5月14日の全国公開を前に、こってりスープでお馴染みの中華そば専門店『天下一品』との【殿、こってりでござる!キャンペーン】がはじまりました。
 



全国の「天下一品」店舗に掲出されているタイアップポスター内のQRコードを読み取るか、または『殿、利息でござる!』公式HP内、〈殿、こってりでござる!〉キャンペーンページから応募フォームへアクセスいただき、ご応募ください。

URLhttp://www.shochiku.co.jp/movie/fm/tono_tenkaippin/

抽選で100名様に”タイアップ特製れんげ”が当たります!

キャンぺーン期間:2016年4月15日(金)~6月15日(水)

当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
れんげは7月末までに郵送予定となります。


◆ストーリー
tonorisoku-500-1.jpg今から250年前の江戸時代、藩の重い年貢により夜逃げが相次ぐ宿場町・吉岡宿に住む十三郎(じゅうざぶろう)は、知恵者の篤平治(とくへいじ)から町を救う計画を聞く。それは藩に大金を貸付け、利息を巻き上げる逆転の発想だった!3億円の大金を水面下で集める前代未聞の頭脳戦勃発!ビンボー庶民が、殿を相手に一世一代の大勝負に挑む!阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子ら超豪華キャスト集結!破産寸前、絶体絶命の大ピンチを救えるのか!?実は“ 実話”な痛快歴史エンターテインメント超大作がついに誕生!

◆作品概要
原作:磯田道史『無私の日本人』所収「穀田屋十三郎」(文春文庫刊)
出演:阿部サダヲ 瑛太 妻夫木聡 竹内結子 松田龍平 他 監督:中村義洋
製作:「殿、利息でござる!」製作委員会
配給:松竹 ©2016「殿、利息でござる!」製作委員会
公式HP:www.tono-gozaru.jp

 



 

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『背徳の王宮』映画公開記念
オリジナル・コンパクトミラー プレゼント!


■  提供:ツイン

■ 募集人員: 3 名様

■ 締切:2016年4月3日(日)


2016年3月26日(土)~シネマート心斎橋、4月2日(土)~京都みなみ会館、4月9日(土)~元町映画館、 ほか全国順次公開 

★公式サイト⇒ http://haitoku-movie.com/
 


 

チュ・ジフン×キム・ガンウ、強烈な変身を遂げた二人の演技対決!

快楽をむさぼる暴君と、王を利用し天下を取ろうとする家臣――
朝鮮史上最もスキャンダラスな時代を描く、刺激に満ちた史劇エンタテインメント!!


【STORY】
haitoku-550.jpg朝鮮一の暴君として知られる朝鮮王朝第10代国王・
燕山君(ヨンサングン)(キム・ガンウ)は、その異常な色欲を満たすため、国中の美女を王宮に集めるよう命じる。王の信頼を利用して実権を握ろうとする家臣イム・スンジェ(チュ・ジフン)は、1万人もの美女を強引に召集。女たちは生きるため“王の女”の座を目指し、官能の秘技を肉体に刻み込んでいく。なかでも謎の色香を秘めた娘ダニ(イム・ジヨン)に心惹かれたスンジェは、彼女に王の寵愛を独占させようと特別な教育を施す。王の寵妃チャン・ノクスもまた、野心に満ちた芸妓ソル・チュンメを使い、スンジェの野望を牽制する。狂瀾怒濤の王宮で、明日をも知れぬ権力争いは激しさを増し炎上していく──。
 



監督:ミン・ギュドン『僕の妻のすべて』『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』
出演:チュ・ジフン『コンフェッション 友の告白』『私は王である!』、キム・ガンウ『結婚前夜マリッジブルー』『サイコメトリー~残留思念~』、イム・ジヨン『情愛中毒』、チャ・ジヨン、イ・ユヨン
原題:간신 英題:The Treacherous 2015年/韓国/131分/韓国語/字幕翻訳:小寺由香
配給:ツイン © 2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved. 
※本作品は18歳未満の方はご覧いただけません。

2016年3月26日(土)~シネマート心斎橋、4月2日(土)~京都みなみ会館、4月9日(土)~元町映画館、 ほか全国順次公開 

VIPO2016main-550.jpg『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2015』で選ばれた4人の監督インタビュー

★4作品の公開は、3月19日(土)~25日(金) 大阪・シネリーブル梅田にて 
★公式サイト⇒ http://www.vipo-ndjc.jp/


次世代を担う長編映画監督の発掘と育成を目的とした『ndjc:若手映画作家育成プロジェクト』は、文化庁からNPO法人 映像産業振興機構(略称:VIPO)が委託を受けて2006年からスタートした。例年何度かのチャレンジでようやく採用されるケースが多い中、2015年は4人全員が初めてのチャレンジで合格。最終課題である35ミリフィルムによる短編映画(約30分)を完成させ、3月に東京と大阪で一般公開されることになった。現代社会の家族の在り様や人と人との繋がり方など情緒豊かな作品が出揃い、その貴重なチャンスに恵まれた若き4人の監督たちに、熱い想いを語ってもらった。


VIPO2016-di-500.jpg上の写真左から、
★作品:『罪とバス』 監督:藤井 悠輔(ふじい ゆうすけ)
★作品:『父の結婚』   監督:ふくだ ももこ
作品:『はなくじらちち』  監督:堀江 貴大(ほりえ たかひろ)
★作品:『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』    監督:佐藤 快磨(さとう たくま)



Q:35ミリフィルムでの撮影は初めて?
佐藤:初めて。もっと制限があるかと思ったら意外と多めに用意してもらえて、撮影中はデジタルと変わらずに何も気にせずに撮らせてもらった。ハイスピードのシーンでは回転がとても速くなって、壊れるのでは?とちょっと焦った(笑)。

堀江:初めて。ある部分をハイスピードにしようとしたら、「必要ないよね」と言われた。撮影中はフィルムという感覚はなく、ラッシュの段階でようやくその実感が持てた。緊張することもなかった。

ふくだ:初めて。学生の時に16ミリで撮ったことがあった。35ミリには憧れていたのでこのプロジェクトはいいなと思い、幸せに思った。

藤井:初めて。普段、フィルムの区別がつかなかったが、今回DCPとフィルムの試写を見て全然違うなと感動した。編集はデジタルでした。

 

Q:脚本について?
VIPO2016-fujii-240-1.jpg藤井:ずっと男の話を撮ってきて、兄弟を主人公にしたバディものの物語にしようと思った。テーマとしては、赤塚不二夫の「これでいいのだ!」という言葉が好きで、全ての出来事の存在を肯定するような意味ですが、それを映画を通して感じてもらえればと思った。

ふくだ:明るい映画を撮ろうと思った。ちょっと変な家族の、結婚をテーマにすれば明るくなれるかなと。父親の結婚式のために帰省して、父親の女装を知り動揺するけど、家族がひとつにまとまるという話を思いついた。

堀江:大阪市西成区のコインロッカーを利用する人々を捉えたドキュメンタリーを見て、それがとても面白くて、そこに登場する父親を主人公にして描きたいと思った。ある男が娘と久しぶりに再会するけど、ワケアリで全く感動的ではない。それに女子プロレスに興味があったので、女子プロレスラーの娘と父親が再会したらどうなるだろうと思ったのがキッカケ。

佐藤:人を好きになって世界が変わる瞬間、一緒にいて楽しい時間、それが壊れても繋がろうとする男を描きたかった。
 

Q:キャスティングについては?
藤井:まず希望を出して、俳優さんたちのスケジュールとギャラが合えばOKという感じだった。

VIPO2016-fukuda-240-1.jpgふくだ:希望していたのは板尾さんだけ。主人公の女性は何人か候補を挙げていたが、プロデューサーの意向でソニンさんに決まり、さらに山中崇さんを連れて来られ、結果的にはいい作用になったと思う。ソニンさんに決まってから主人公の年齢も少し上げた。メイクの楽しさを忘れてしまったので、メイクに目覚めた時の楽しさを思い出す
 

Q:この文科省のプロジェクトの魅力は?
藤井:フィルムで撮れることと、資金援助を受けられること。文科省の援助ですが、あまり気負うこともなければ、ハートフルな作品にしようと特には思わなかった。「絡みのシーン」についても、事前に相談したらOKと言われた。

ふくだ:35ミリフィルムで撮れることと、自分が書いたオリジナル脚本で撮れることが大きな魅力だった。自主制作で撮ったことがなく、制約されるのを心配していたが、資金援助された上に自由に撮らせてもらえるなんてとてもありがたいと思った。今回15人の候補者の中には助監督経験のある先輩も含まれていたが、年齢も経験も関係なく、みな同じ土台に立って選んでもらえることも大きな魅力だった。

VIPO2016-horie-240-1.jpg堀江:プロデューサーと知り合えることが魅力。大学院で映画を撮っていたので、プロダクションやプロデューサーと連携しながら映画製作することに憧れていた。どのような仕事をするのかとても興味があった。ハートフルなストーリーは文化庁向きかなと勝手な思い込みをしていた(笑)。

佐藤:PFFのスカラシップを期待していたらダメだったので、どうしよと思っていた時に、松永大司監督(2010年VIPOで『おとこのこ』を制作)の『トイレのピエタ』を観て、こんなデビューができたらいいなと思って応募した。
 

Q:配属されたプロダクションとの相性について?
藤井:男二人の映画だし、決闘シーンもあるので東映さんだろうなと思っていた。'60年代、'70年代の『仁義なき戦い』や『トラック野郎』シリーズが好きで、あのようなバディものを撮りたいなと思っていた。

chichi-240-2.jpgふくだ:今後の繋がりを考えればアスミックがいいな、と思っていた(笑)。ブースターと言われて最初戸惑ったが、とてもいい作品を製作しているプロダクションだとわかって安心した。プロデューサーはフリーの福島氏。『るろうに剣心』や『予告犯』など大作を手掛けている敏腕プロデューサーだったことに驚いた。クマみたいないかつい感じだが、破格のキャストやスタッフを揃えて下さったり、激励して下さったり、本当に感謝している。

堀江:僕は東宝と聞いて父が喜ぶと思った。父の風あたりが良くなるかなと。岐阜出身なので、岐阜のTOHOシネマズでも上映されるような映画を作りたいと思った。プロデューサーと考えや趣味が一致したので、その出会いに感謝した。奨学金の借金が沢山あるので、東宝作品のような商業映画を手掛けてみたいと思う(笑)。

ふくだ:漫画原作の映画を撮りたい。少女漫画の女の子の心理は女性の方がよくわかると思うので、是非やってみたい!

VIPO2016-satou-240-1.jpg佐藤:名作と言われる映画は見ていないが、『ピンポン』や『ジョゼと虎と魚たち』が大好きだったので、アスミックエースの名は知っていた。そうなればいいなと思ってたらアスミックエースに決まったので嬉しかった。撮影中同じ服ばかり着ていたら、プロデューサーが服を買って下さった。


Q:演出の仕方について?
藤井:人それぞれ違ったアプローチをした。阿部進之介さんには細かい気持ちを説明し、渡辺大さんは思いの他やんちゃで自由な人だったのでほったらかしでも大丈夫。中川可菜さんは演技経験がそんなになかったので、動きから表情までかなり細かい演出が必要だった。河井青菜さんと深水元基さんは関西人ではないので、関西弁を気にしていた。深水さんは落ち込むとそれが表情に出てしまうので、その都度フォローが必要だった。

ふくだ:あまり現場で役者と話したくない。カメラの前に座って「スタート」の掛け声で役者が出してくる演技を選択する立場でいたいと思って臨んだ。ソニンさんだけ演技経験が少なかったのがそれが難しかったけど、一緒に悩んで進めて行った。レストランで目むいて「おめでとう!」と言っているシーンがラストカットだった。

hanakujira-240-1.jpg堀江:現場ではなるべく俳優の横に居続けたい。俳優と一緒に演技するように、どんな気持ちでいるのか、どう変化するのかと常に感じていたい。今回3人の物語と決まっていたので、3人のそれぞれの演出プランは最初からできていた。哲治は喜劇的に見られる、はなは立ち居振る舞いで存在感を出す、鯨は二人を繋げる存在なのでとにかく行ったり来たりする動きのあるテンションの高い役という風に、つかみとして明確なキャラクター像を意識していた。

heyhey-240-1.jpg佐藤:撮影前に、太賀さんには夜遅くまで話す機会を作ってもらったり、岸井ゆきのさんには3回位来てもらったりして人物像について話し合った。岸井さんとは2回目の時、マコト像が180度違うことが分かって僕が狼狽したこともあった。その分確固たる木吉とマコト像を持って撮影に臨んだが、悩んだり揺れたりする内に二人を多面的に見られるようになり、より魅力的なふり幅のある人物像になった。それは、太賀さんと岸井さんにそういう機会を作って頂いたお陰だと思う。演出というより、現場では太賀さんとは木吉のことについて、岸井さんとはマコトについてだけ話し合った。


Q:30分という凝縮した時間については?(25~30分)
堀江:はなとちちは過去の家族の物語を、はなとくじらは未来の家族を感じ取ってもらえたら嬉しい。丁度それを30分にまとめられたと思う。

ふくだ:私にとっては30分という短編は名刺代わりになっている。本当は人物をもっと掘り下げて描きたいので長尺を撮りたい。

tsumibus-240-1.jpg藤井:30分という尺にするためには登場人物を少なくする方がいいだろうが、やりたいことを映像化するためにはあの人数で撮るしかなかった。自分としては満足している。

佐藤:僕は、二人が出逢ってから別れるまで構造的にシンプルに描きたかった。この二人の家族構成とか背景を撮るべきだったかもしれないが、シンプルにした方が返ってそれまでの二人の生き様を想像できるかなと考えた。

 



★『罪とバス』
tsumibus-pos.jpg出演:阿部進之介、渡辺大、中川可菜、笛木優子、河井青菜、深水元基

妻に離婚を言い渡された弟のヨシオが実家の中古車業を継いでいる兄ゴローの元に戻ってくる。未練たらたらのヨシオは酔っては泣き崩れる始末。ゴローは幼なじみの尚美に消えた恋人の捜索を頼まれる。尚美の娘は高校でイジメに遭っているがそれを誰にも言えずにいる。尚美の恋人が見つかったのも束の間、尚美は娘をゴローに預けたまま恋人とトンヅラ!!  しかもゴローを目の仇にする男の会社の大金を持ち逃げしてしまい…何も悪くないゴローはすべての責任を背負わされる。かつてゴローとヨシオが子供の頃、家族でドライブに出掛けた幸せな思い出がいっぱい詰まったミニバスに、不幸を背負った者たちと一緒に乗ってドライブへと出発する。面白いタイトルにしては、理不尽な暴力シーンが重く、不幸な人々の顛末となっているのが気になった。


監督:藤井 悠輔(ふじい ゆうすけ)プロフィール
VIPO2016-fujii-240-2.jpg1980年京都府生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業後、商業映画の制作に携わり、現在はCM制作会社に勤務する。その傍ら自主映画を制作し、「COIN LAUNDRY」(2013)、「はちきれそうだ」(2014)が、ショートショートフィルムフェスティバル&アジアや福岡インディペンデント映画祭、したまちコメディ映画祭、アシアナ国際短編映画祭、ジャパンフィルムフェスティバルなど国内外の多数の映画祭で上映される。

 



★『父の結婚』
chichi-pos.jpg出演:ソニン、板尾創路、山中 崇、襄ジョンミョン、山田キヌヲ

メイクアーティストの青子は、客からも恋人からも「心がない」と言われ自信を失いかけていた。メイクの楽しさを忘れてしまった青子は、その人に合ったメイクを考えることもできずいつもワンパターン。東京で傷付き、帰省してみたら今度は父親が女装して、さらに再婚相手は男だと知りショックを受ける。そんな中、亡き母親との思い出や、メイクをしてあげて喜ぶ再婚相手の幼い娘の笑顔を見て、メイクの楽しさが甦る。そうして彼女自身も周りの人を思いやる気持ちを取り戻し、反感を抱いていた父親にも理解を示していく。父親に花嫁のメイクする青子の柔らかな表情から彼女の成長を感じ取れるが、父親が女装するキッカケはわかるが、それがなぜ男との結婚に繋がるのかの疑問は残る。女装趣味とゲイとは違うから。面白い題材だが、笑うに笑えない無理があるようだ。


監督:ふくだ ももこ プロフィール
VIPO2016-fukuda-240-2.jpg1991年大阪府生まれ。日本映画学校で映画を学ぶ。監督、脚本を務めた卒業制作「グッバイ・マーザー」(2013)がゆうばり国際映画祭2014、第六回下北沢映画祭、湖畔の映画祭に入選。CM制作会社を退社後、フリーランスに。2015年、内田英治監督のオムニバス映画「家族ごっこ」(2015)の一篇「貧乳クラブ」の脚本を執筆し、劇場公開される。目標は、カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲ること!

 



★作品:『はなくじらちち』
hanakujira-pos.jpg出演:森下能幸、黒川芽以、夙川アトム、水澤紳吾、中村ゆうじ

コインロッカーで荷物を出し入れしているホームレスの哲治の元に、娘のはなと名乗る女子プロレスラーとマネージャーの鯨が訪ねてくる。「哲治ではない、自分には娘などいない」と突っぱねるが、14年前に父親が家族を捨てて蒸発した原因は自分にあるのでは?とずっと重荷に感じていたはなのために、鯨は哲治に執拗に食い下がる。あくまで否定する哲治に悪態をつくはな、その二人の仲を取り持とうとする鯨。父と娘の関係性が絶望的になった時、哲治の頑なな胸の内が明かされる。血の繋がりは打ち消せるものではない。長い間音信不通の父親がみじめな生活をしていれば尚更のこと、娘は複雑な感情がこみ上げてくるだろう。父親も、娘を大事に思ってくれる男がいるとわかれば、それは嬉しいに違いない。幸せな二人を見届けた後では、父親にもそれまでとは違った幸せな生き方ができるだろう。「家族ってめんどくさいけど、愛おしい!」と思える作品。


監督:堀江 貴大(ほりえ たかひろ)プロフィール
VIPO2016-horie-240-2.jpg1988年岐阜県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。大学院在学中に監督した短編映画「まんまのまんま」(2013)が水戸短編映像祭コンペティション部門にノミネート。オムニバス映画「リスナー」(2015)では「電波に生きる」を監督し、2015年春、渋谷ユーロスペースにてレイトショー公開される。修了制作として監督した長編映画「いたくても いたくても」 (2015)TAMA NEW WAVE コンペティションにてグランプリ、男優賞、女優賞を受賞。現在、劇場公開準備中。

 



★作品:『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』
heyhey-pos.jpg出演:太賀、岸井ゆきの、牧田哲也、中田みのり、ぼくもとさきこ、伊達暁

木吉は、コンビニの店員マコトに絡んでいたクレーマーにいきなりとび蹴りする。それ以来マコトは、木吉がいろんな所でクレーマーたちにとび蹴りするのを見るのが何よりの喜びとなっていった。どこまでいくのだろうという危うさを感じさせつつ、木吉はマコトのためにいつまでも蹴ろうと思っていたが、「また蹴る?」という彼女の言葉に一瞬マを置いてしまった。そんな木吉のためらいを彼女は見逃さず、去って行く。それは、彼の生真面目さを大事にしようとする彼女の優しさからの別れだった。このラストシーンにはホロリとさせられる。太賀(『ほとりの朔子』『マンガ肉と僕』)と岸井ゆきの(『友だちのパパが好き』『ピンクとグレー』)という若手俳優の中でもキラリと存在感を示すフレッシュコンビによる、疾走ラブストーリー。


監督:佐藤 快磨(さとう たくま)プロフィール
VIPO2016-satou-240-2.jpg1989年秋田県生まれ。2012年よりニューシネマワークショップ 映画クリエイターコースを受講、「舞い散る夜」(2012)、「ぶらざぁ」(2013)を監督。その後ニューシネマワークショップ制作部に所属し、初の長編監督作品「ガンバレとかうるせぇ」(2014)が、ぴあフィルムフェスティバル PFFアワード2014で映画ファン賞と観客賞を受賞、第19回釜山国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされるなど、国内外の様々な映画祭で高く評価される。

 


(河田 真喜子)
 

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