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『バルバラ セーヌの黒いバラ』

 
       

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作品データ
原題 BARBARA
制作年・国 2017年 フランス 
上映時間 98分
監督 マチュー・アマルリック
出演 ジャンヌ・バリバール、マチュー・アマルリック他
公開日、上映劇場 2018年11月16日(金)~Bunkamura ル・シネマ、12月1日(土)〜テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ他全国順次公開
 

~フランス伝説の歌姫、バルバラの歌とピアノに酔いしれる〜

 
フランスのシャンソン界に燦然と輝くスターと言えば、マリオン・コティヤールが伝記的映画で熱演、日本でも大竹しのぶが舞台で演じているエディット・ピアフが思い浮かぶが、本作で描かれるバルバラのことを、私は恥ずかしながら知らなかった。ピアフが日本でも「愛の讃歌」でヒットを飛ばしたように、バルバラも「黒いワシ」などが日本で紹介され、来日コンサートを行っている。ピアフら歴代のシャンソン歌手と違い、自分で作詞作曲を行うシンガーソングライターだったバルバラは、自らの人生を色濃く反映させた曲を数々生み出した。いつまでも聞き続けていられる優しい響きの声と、フォークソングのような口ずさみやすいメロディー。ピアノ、ウッドベース、そして劇中ではアコーディオンのシンプルな編成で、ジャズを聴いているような心地よさもある。
 
そんなバルバラを取り上げたのは、俳優だけでなく、映画監督としての手腕も評価の高いマチュー・アマルリック。本作では、元パートナーで歌手としての顔も持つジャンヌ・バリバールを主演に迎え、バルバラの映画を撮るという設定で、劇中劇が展開する。魔法にかけられたように、バルバラワールドを気持ちよく泳いでいるような、型にはまらない映画は、バルバラのファンならそのこだわりに感銘を受けること間違いない。そして、初めて知る人もバルバラと彼女の音楽の魅力に包まれる。これぞ、大人の音楽映画と言えよう。
 
 
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フランスの人気歌手バルバラを演じるブリジット(ジャンヌ・バリバール)は、映画の撮影を前に彼女のピアノを弾くそぶりから歌声などを自分のものにしようと、用意されたアパートで準備を重ねていた。一方、幼い頃、バルバラの存在に大きな影響を受けた監督のイヴ(マチュー・アマルリック)は、ブリジットが演じるバルバラに、かつてのバルバラを重ね、のめり込んでいく。練習でブリジットがピアノを弾く仕草、彼女が語る詩のような言葉、それらが歌になって溢れ出す時、本物のバルバラの歌声が重なり、なんとも言えない感覚に陥る。バルバラ本人の映像の使い方も非常に工夫され、ブリジットと、彼女が演じるバルバラ、ハルバラ本人が重なるかのよう。一方、イヴはバルバラの足跡を辿り、彼女が初めて舞台に立ったキャバレー「レクリューズ」や、彼女の住んでいた村を訪れる。彼女が主演した映画『我が友フランツ/海辺のふたり』のスナップ写真を手に脚本を加筆したり、彼女の人生を様々な痕跡から紡いでいくのだ。
 
 
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ジャンヌ・バリバールが演じるブリジット/バルバラが本当に魅力的で、歌っている時はもちろん、小道具を積み込んだトラックに若い道具係の男と乗り込んでいる時の茶目っ気ぶりや、毛皮の下には超ショートパンツに黒タイツと50代でも可愛さのあるセクシーな姿を披露している。ユダヤ系のため、ナチス・ドイツのフランス占領時代は国内外を転々とし、その後も一つの場所に止まることなくツアーを続けたバルバラ。エイズと闘いながら、ピアノを持ち込んで刑務所での慰問演奏にも精力的に取り組んだバルバラ。舞台以外のエピソードも盛り込みながら、有名人の自伝的映画とは一線を画したマチュー・アマルリックの渾身作。この映画を入り口として、バルバラの歌にもぜひ触れて欲しい。しなやかな歌声と、少し憂いを帯びた曲調は、秋の夜長によく似合う。
(江口由美)
 
公式サイト⇒:barbara-movie.com
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