「AI」と一致するもの

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パン・ホーチョンの愛弟子、ジョディ・ロック監督が描く、妊娠期夫婦あるあるコメディー『ある妊婦の秘密の日記』が世界初上映@第32回東京国際映画祭
 
 現在TOHOシネマズ六本木他で開催中の第32回東京国際映画祭で、アジアの未来部門作品の香港映画『ある妊婦の秘密の日記』が世界初上映され、ジョディ・ロック監督と主演のダダ・チャンさん、ケヴィン・チューさんが上映後のQ&Aに登壇した。
 
 
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 広告代理店に勤める仕事人間のカーメン(ダダ・チャン)と、バスケットボール選手として国内トップクラスの夫、オスカー(ケヴィン・チュー)。カーメンはベトナム赴任のチャンスを手にするが、オスカーや初孫を期待する義母には言えない悩みがあった…。妊娠をすることで全てが思うようにならなくなる不安や焦りを夫にぶつけてしまうカーメン。そんなカーメンの不安を受け止めながら、定職につき、生まれてくる娘のために頑張ろうとするものの、うまくいかないオスカー。夫婦のすれ違いや、義母が送り込んだスーパー保育アドバイザー(ルイス・チョン)によるコミカルかつリアルな出産準備、カーメンの同級生友達の育児の悩みやママ女子会を折り込み、香港らしい妊娠期あるあるコメディーに仕上がっている。
 
 監督は、パン・ホーチョンに師事し、ミリアム・ヨン、ショーン・ユー主演の大ヒットラブコメ『恋の紫煙2』(12)の脚本、ダダ・チャン主演『低俗喜劇』(12)の共同脚本を経て、初長編監督作『レイジー・ヘイジー・クレイジー』(15)が東京国際映画祭で紹介されたジョディ・ロック。4年のブランクを経て、ダダ・チャンと監督としては初タッグとなる本作では、キャリアと出産、子育ての狭間で悩む同世代女子の本音を赤裸々かつコミカルに綴るだけでなく、初めて親になる夫側の苦悩や奮闘、迷走ぶりもたっぷりと描写。一見怪しげなパパの会の個性的なメンバーや、思いっきりストレス発散をするオスカーの姿も見逃せない。さらに、名女優で歌手としても人気を博したキャンディス・ユーが、ちょっと押しが強いけれど憎めないカーメンの義母役を好演している。
 
 上映後の舞台挨拶では、ジョディ・ロック監督と主演のダダ・チャンさん、ケヴィン・チューさんが登壇。ダダさんとケヴィンさんは、日本語で自己紹介と感謝の言葉を伝え、観客から大きな拍手が送られた。質問をした人には、劇中で登場するパパクラブのマスコット人形ビニール版が、俳優陣から直接手渡されるという粋な趣向もあり、大いに盛り上がった。
 
 
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 前作の『レイジー・ヘイジー・クレイジー』は、学生時代から就職するまでの若い時代を描いたというジョディ・ロック監督。「私の映画では女性の成長期を描いています。今回は前作の次として、結婚して子どもを産むまでの次の成長期を取り上げました」と本作の狙いを明かした。今回も自身が脚本を担当しているが、「私も年齢を重ね、様々な経験をしてきました。実際に脚本を書く時も自分の経験を重ねているので、作品ごとにスタイルが違うのは当然です、今回は生活のリズムが速い、大都市の中での夫婦を描いています」。さらに「妊婦が仕事に影響があるのはよくあることで、海外に行くにしても簡単に行けませんし、工事現場で働くなら妊婦で働くことはできません。それは仕方がないことですが、香港の女性は非常に生命力が強いので、産む2週間前まで仕事をし、産んで2ヶ月後から働き始めます」と、子育てとキャリアを両立させる香港女性について語った。
 
 

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 妊婦役を熱演したダダ・チャンさんは「非常に大変な役でしたが、カーマンには自分を愛してくれるいい夫がいたことが大事でした」と、夫の愛情を役としてしっかりと受け止めることが演じる上での助けになったことを明かした。また妊娠経験がないダダさんは、妊婦の役作りとしてネットや本で妊婦の状態を調べたり、自分の周りで妊娠したことがある人に話を聞いて研究したそうだが、「人によって違うことが分かったので、カーマンに入り込んで自分なりの妊婦を演じたつもりです」とその演技に自信を滲ませた。

 
 
 

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 夫婦役を演じた夫、オスカー役のケヴィン・チューさんは「ダダさんとは、気心の知れた仲で、撮影中も常にどう芝居しようかという話を現場で積み重ねました。演技というより、お互いに相手を信頼することが大事だったと思います」とダダさんへの信頼感の厚さを語った。今回はバスケットボールのスター選手という役柄にチャレンジしているが、「撮影チームがプロの選手を呼んでくれたので、撮影に入るまでにプロと一緒に練習しました」。
 
 
 
 
 幼い頃母親の愛情を受けることが少なかったカーメンは、妊娠中何度もお腹の赤ちゃんに毒づくが、本作の原題も『Baby復仇記』とドキリとするようなタイトルになっている。その意味について問われたジョディ・ロック監督は「仏教でいう輪廻で、女性が妊娠し、子どもを産むと、女性は全てを子どもに注ぐことになります。子どもが生まれるというのは、前世の時に母親に色々あったからで、それを、その人の子どもとして生まれた時に復讐するというアイデアから来ています」と真意を明かした。
 
 
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プロデューサーをはじめとするジョディ・ロック組が集結!
 
 助産師をしている観客から「夫婦共に心の変化があるのはとても共感しました。多くの新米の夫婦に見てもらいたい」と絶賛コメントを受けた本作。妊娠期の夫婦に焦点を当てた本音満載コメディーは実に新鮮で、香港映画らしいユーモアも家族愛もたっぷりだ。
『ある妊婦の秘密の日記』は、11/3(日)12:00より上映。
 
第32回東京国際映画祭は11月5日(火)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、EXシアター六本木他で開催中。
第32回東京国際映画祭公式サイトはコチラ
(江口由美)
 

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カルト的人気の原作に惚れ込んで。スペイン新鋭監督が5年がかりで作ったぶっ飛び映画『列車旅行のすすめ』@第32回東京国際映画祭

 

 現在TOHOシネマズ六本木他で開催中の第32回東京国際映画祭で、コンペティション部門作品のスペイン・フランス合作映画『列車旅行のすすめ』の記者会見が行われ、アリツ・モレノ監督(写真左)と原作者のアントニオ・オレフドさん(写真右)が登壇した。

 編集者のエルガ(ピラール・カストロ)が電車で出会った人格障害専門の精神科医から、今までで一番重症の患者の話を聞くところから始まる物語は、エルガの不幸すぎる結婚や、精神科医の正体など虚実がないまぜになりながら、時にはコミカルさを誘い、時にはゾッとさせるような展開が待ち受ける。

 

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 テレビ局でキャリアを積み、短編で国際的な評価を得ていたアリツ・モレノ監督の初長編作となる『列車旅行のすすめ』は、モレノ監督自身がカルト的な人気を博している原作の大ファンだったことから、映画化を狙っていたという。制作に5年かかったのも「あまりにもストーリーがぶっ飛んでいるから」と前置きしながら、「スペインで映画を作ること自体非常に難しいのです。人間の暗い部分をテーマにしていますし、国営のテレビ局に支援を申し込んでも相手にしてくれず、モチベーションを保つのが大事でした。長編一作目ですが素晴らしいキャストが決まったことから、ようやく映画化が本格的に進行していきました」とその実情を明かした。さらに、「完成した映画を皆さんは観ていただいたので、どういう映画か理解していただけたと思いますが、台本だけでは説明するのが難しく、共同制作で資金を集めようとしても3分では説明できないのです。視覚に訴えるようなビジュアルブックが出来上がって、ようやく資金も集まるようになってきました」と、ビジュアルで説得したエピソードを披露。ストーリーや脚本の良さに確信を持っていたので、制作に長い時間がかかっても100%信じて作ることができたと力説した。制作中はモレノ監督と連絡を取り合っていたという原作者のアントニオ・オレフドさんは、「セットの写真を送ってくれていましたので、早く映画を見たいと思っていました。自分が書く時に気にしないようなそれぞれの状況におけるキャラクターの動きを感じることができました」と映画の感想を語った。

 

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「日本人はぶっ飛んでいるので、こういう映画を理解してくれるのではないか」と言うモレノ監督は、年に1、2度は来日する日本通で、パートナーも日本人だという。本作のエンディングも日本語の曲が採用されているが、「作詞担当はカナダでこの映画のために40パターン用意してくれていたのですが、サンセバスチャンで映像と合わせるとき、それらではないと直感し、日本の楽器やアルバムから彼が改めてセレクトしてくれました」。脳内が刺激される、ジャンル分け不可能なハイブリッド映画。ブラックユーモアも潜んでいるので、ぜひ楽しんでほしい。

『列車旅行のすすめ』は11/4 (月)10:05〜、11/5 (火)16:40- 上映


第32回東京国際映画祭は11月5日(火)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、EXシアター六本木他で開催中。

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(江口由美)

 

 

 

 

 

 

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「ノルウェーの今のキリスト教文化を広範囲に描きたかった」ノルウェー映画『ディスコ』ヨールン・ミクレブスト・シーヴェシェン監督、主演女優が語る@第32回東京国際映画祭
 
 現在TOHOシネマズ六本木他で開催中の第32回東京国際映画祭で、コンペティション部門作品のノルウェー映画『ディスコ』の記者会見が行われ、ヨールン・ミクレブスト・シーヴェシェン監督と主演のヨセフィン・フリーダ・ペターセンさん登壇した。
 
<ストーリー>
フリースタイルディスコダンスで世界チャンピオンのミリアムは、義父がカリスマ指導者の新興宗教「フリーダム」で信徒グループリーダーを務めている。教会を誇りに思っているミリアムだったが、ダンスコンクールで演技中に倒れてしまい、家庭内不和も重なって、精神的に追い詰められていく。次第にフリーダムと距離を置いたミリアムは、心の平安をどこに求めるのか…。
 
 
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 本作を通じてノルウェーの今のキリスト教文化を広範囲に描きたかったというヨールン・ミクレブスト・シーヴェシェン監督は、「以前から健全でない環境にいる人たち、宗教やカルト教団があることは知っていたので、かなりリサーチを重ね、なるべくリアルを意識した作りにしています。最初に登場する『フリーダム』は、脱退した元信者の方の証言を取材したり、実際に集会に参加して作りました。アメリカの教会に影響を受けたヒールソンという教団が基になっています。二つ目はテレビ番組『ビジョナリー・オブ・ノルウェイ』を基にして作っています。最後の団体は完全にフィクションですが、実際に起きたことから着想を得ていますし、私がモラルの問題を感じたところでもあります」と劇中で描かれた新興宗教について説明した。
 
 

■「キリストが伝えようとしているメッセージが何も描かれていない」ことこそが、本作で描きたかったこと(シーヴェシェン監督)

 実際に、本作が公開されることによる社会的な反響も大きく、キリスト教系の新聞にも取り上げられたという。シーヴェシェン監督は「中には同じ経験をしてきたので映画にしてくれてうれしいという声もありましたが、あなたが映画で描いている問題は少数派で、構造的な問題ではないと矮小化する意見も多々ありました」と語り、様々な宗教団体とパネルディスカッションをしても核心を突くディスカッションはできず、極端な宗教団体からはネットでヘイトを掻き立てられるだけだったという。さらに「モダンな宗教団体は、口ではディベートは大歓迎と言いながら、心外だという心情は伝わってきました。キリストが伝えようとしているメッセージが何も描かれていないと指摘されましたが、それこそ私が描きたいことで、この団体たちの中にこそ、そのメッセージがないと私は思っています」と映画の狙いに触れ、密閉された社会に入った信者には多大な抑圧があり、そこでありのままの自分として生きる余白もなく、“信者として足らない”という心境に至ることを力説した。
 

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■監督が要求する芝居、映画で伝えたいメッセージに魅力を感じた(ペターセンさん)

 ミリアム役を演じたヨセフィン・フリーダ・ペターセンさんは、シーヴェシェン監督と組めることが非常に素晴らしかったと全幅の信頼を寄せながら、「体力的にも肉体的にも色々な困難が立ちはだかるだろうと思いましたが、監督が要求する芝居、映画で伝えたいメッセージに魅力を感じました」。撮影前には、シーヴェシェン監督と宗教団体の集会に行き、元信者とも話をすることで、自国で宗教団体を巡る様々な問題があることを意識するようになったという。劇中後半には、恐怖心を煽り、ミリアムを支配するセンセーショナルなシーンが含まれるが、元信者の男性の体験記をリアルに再現すべく、安全面に配慮しながら綿密な計算のもと撮影に臨んだという裏話も明かされた。
 
 取材に基づくリアルなシーンだけではなく、フィクションであることを示すため、様々な象徴的なものを挿入しながら、アートワークを使ってストーリーを推し進める工夫をしたというシーヴェシェン監督。「陳腐な日常であっても面白くするポテンシャルは各シーンにあると思っています。宗教団体の人たちは、同性愛やバイセクシュアルは許せないと言いますが、リベラルだといいながら他人を排除するおかしさを、「最後の晩餐」を模した絵作りや、様々なアートワークを使って表現しました」
 
 

■『ディスコ』は、いつも上から目線の信者たちから見た、世俗的な世界(シーヴェシェン監督)

 『ディスコ』という一見内容を全く想起させないタイトルにも、それこそが狙いだったという。シーヴェシェン監督は「表面的な入り込みやすさを示しながら、実はとてつもなくダークなところにいくことを体験させるため、このタイトルにしました。キリスト教信者から見た彼らの世界観をディスコで体現しています。つまり、あのディスコはいつも上から目線の彼らから見た、世俗的な世界なのです」
『ディスコ』は、11/5(火)17:25より上映。
 

第32回東京国際映画祭は11月5日(火)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、EXシアター六本木他で開催中。
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(江口由美)
 
 
 
 

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「戦争や死を克服するものがあるとすれば、それは愛」戦争体験者が主演を務めるウクライナの近未来映画『アトランティス』に滲む終わりなき闘い@第32回東京国際映画祭
 
 現在TOHOシネマズ六本木他で開催中の第32回東京国際映画祭で、コンペティション部門作品のウクライナ映画『アトランティス』が上映され、大ヒット作『ザ・ドライブ』ではプロデューサー兼撮影監督として関わったヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督と、主演のアンドリー・リマルークが記者会見や上映後のQ&Aに登壇した。
 
<物語>
 終戦後地元に戻りながらも、PTSDに苦しむ元兵士のセルヒーは、元兵士仲間の自殺や、勤めていた鉄工所の閉鎖と、次々と不幸な出来事が襲いかかる。給水の仕事を始めたセルヒーは偶然エンストした大型トラックをみつける。ボランティアで戦死者の死骸を掘り出す団体に参加していたカーチャと共に死骸を目的地に届けたセルヒーは、空き時間にカーチャの活動に参加したいと申し出るのだったが…。
 
 
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■近未来に設定することで、戦争によってどのような変化がもたらされるかを描くことができた(ヴァシャノヴィチ監督)

 「ウクライナではまだ戦争が続いていることを思い起こすためにこの映画を作りました」と言うヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督。これまで撮られた多くの戦争映画は戦争終結後10年以上経って撮った映画が多いが、2017年に戦争終結したウクライナで戦争をテーマにするにあたり、あえて近未来にするのは、より普遍的な問題として捉える狙いがあったという。「敵は悪いものという考えや、政治的なものが排除され、戦争によってどのような変化がもたらされるかを描くことができました。戦争や死を克服するものがあるとすれば、やはり愛ではないかと考えています」
 

 

■私自身がこの戦争経験者なので、映画の出来は100%真実に近い(リマルークさん)

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 ドキュメンタリー出身のヴァシャノヴィチ監督は、主演の元兵士、セルヒー役にプロの俳優は使わず、戦争の実体験がある人を使うことを決めていたという。さらに「戦争によって精神的なトラウマを受けたPTSDを抱えた人を採用しました。その深い部分の表現はプロの俳優でもできません」
一方、アンドリー・リマルークさんは、「私自身がこの戦争経験者なので、映画の出来は100%真実に近いと確信しています。私は1年半に渡って戦争に参加し、そこで目にしてきたものは血、死、爆発とさまざまなものでした。ウクライナの戦争経験者はだいたいPTSDを抱えています。映画の中では、現在のウクライナ人が抱える問題を如実に示しています。戦争経験者の10%がアルコール依存症に陥り、7〜8%が自殺してしまうという統計データもあるのです」と自身の体験や、ウクライナ戦争経験者が抱える問題について語った。
 
 
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 ダイナミックな自然をバックに、ほぼ固定カメラでワンシーンワンカットでつないでいく手法が非常に効果的だが、ヴァシャノヴィチ監督は「大きな画面のフレームワークで、長回しの撮影をすることで、よりドラマチックなシーンを再現し、主人公たちの感情的なところを伝えることができます。より現実に近い感情を伝えることに重きを置きました。映画の中で人物だけでなく、人物を取り巻く環境も撮りたかったのです」とその狙いを語った。
 
 
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■戦争に参加していたことを思い出し、イメージを膨らませながら撮影に臨んだ(リマルークさん)

 一人芝居のシーンが多いリマルークさんは、「私にとっては価値のつけられないぐらい貴重な経験をさせていただきました。2015年戦争に参加していたことを思い出し、イメージを膨らませながら撮影に臨みました」と謙虚に撮影を振り返った。過酷な撮影の中でも、ある意味ユーモアが込められ、非常に印象に残るのは、岩で囲まれた場所でパワーショベルのバケットに給水車から水を入れ、下にはガソリンで火を焚いて、お風呂にように浸かるシーン。実際には「水が温まるまで待ってはいたのですが、とても寒く、冷たくて、大変でした」(リマルークさん)というこのシーン。最初は「鉄工所の鉄が入っているプールを想定していた」(ヴァシャノヴィチ監督)というが、それとは別にプールから真っ赤な鉄が斜面を流れるダイナミックなシーンがあるのも、本作の見どころなのだ。
 

 

■死せる土地で、何が人間をそこに止めるのかというテーマを普遍化して伝える(ヴァシャノヴィチ監督)

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 本作では「大地が汚されてしまったのを元に戻すには何十年もかかる」と懸念しながら、それでも生きていくという力強いメッセージを感じさせるが、ヴァシャノヴィチ監督は「日本の原発事故の影響も存じていますし、ウクライナの東部は数年前に起きた戦争で、人が住めない地区になりつつあります。ウクライナ東部の環境破壊は悲劇的で、鉱山が荒廃したまま放置されており、そこに溜まっている水が上限を超えると、飲料水を汚染することになり、つまり人間が住めなくなる土地になってしまうのです。死せる土地で、何が人間をそこに止めるのかというテーマを普遍化して伝えようと思いました」とその狙いを語った。汚染水の処理も、地雷の除去も何十年の長きに渡って対処しなければならない、まさに戦争後の闘いが続くウクライナの地で、それでもそこで生きていくことを誓った男の未来をぜひ、確かめてほしい。『アトランティス』は、11/05(火)14:35より上映、ゲストも登壇予定だ。
(江口由美)
 

 
第32回東京国際映画祭は11月5日(火)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、EXシアター六本木他で開催中。
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『殺さない彼と死なない彼女試写会プレゼント!

 
■提供:KADOKAWA/ポニーキャニオン

■日時:11月7日(木)19:00開映(上映時間2時間3分)

■会場:
梅田ブルク7  (大阪府大阪市北区梅田1-12-6 E-MA(イーマ)ビル7F)

■当選数: 5組 10名様

■当落: 当選者様のみメールにてご案内致します。

■締切日: 2019年 11月4日(月・祝)

公式サイト: http://korokare-shikano.jp


2019年11月15日(金)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国ロードショー!


 

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Twitter に投稿された四コマ漫画が多くの読者の胸を打ち、熱狂的な支持を集める漫画家・世紀末の処女作にして代表 作“殺カレ死カノ”。

<心の処方箋>として世代を超えて圧倒的な共感を呼ぶ本作の映像化を果たしたのは、『ももいろそらを』 『ぼんとリンちゃん』『逆光の頃』など日常と非日常を行き来するようなストーリーテリングと映像美、卓越した人間描写で 10 代の光と影を描いてきた注目の粋彩・小林啓一。

何気ない日常の<孤独>と<希望>を描く、予測不能の感動作!不器 用で純粋な少年少女たちを巡る三つの物語は、やがて思いがけない結末へ——。衝撃のラスト、タイトルの本当の意味に涙す る。

【STORY】
何にも興味が持てず、退屈な高校生活を送っていた少年・小坂(間宮祥太朗)は、リストカット常習者 で”死にたがり”の少女・鹿野(桜井日奈子)に出会う。それまで周囲から孤立していた二人は、《ハチの埋葬》をき っかけに同じ時間をともに過ごすようになる。不器用なやりとりを繰り返しながらも、自分を受け入れ、そばに 寄り添ってくれるあたたかな存在――そんな相手との出会いは、互いの心の傷を癒し、二人は前を向いて歩みだ していくのだが……。 
 


出演:間宮祥太朗 桜井日奈子 恒松祐里 堀田真由 箭内夢菜 ゆうたろう 金子大地 中尾暢樹/佐藤玲 佐津川愛美/森口瑤子 
監督・脚本:小林啓一
原作:世紀末「殺さない彼と死なない彼女」(KADOKAWA刊)
音楽:奥 華子/主題歌:「はなびら」奥 華子(PONY CANYON)
配給:KADOKAWA/ポニーキャニオン
©2019映画『殺さない彼と死なない彼女』製作委員会 
公式サイト: http://korokare-shikano.jp

2019年11月15日(金)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国ロードショー!


(プレス・リリースより)

 

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(2019年10月19日(土)@なんばパークスシネマ)

ゲスト:新津ちせ、坂井真紀、滝藤賢一、橋本直樹監督(敬称略)



9歳になった新津ちせ、座長の貫禄十分!

「亡くした大切な人やペットを静かに思い出す映画です」と

アピールする姿がいじらしい。

 

マイク片手に手を大きく振りながら作品を語る姿はミュージカル女優のようだ。2歳からドラマやCM、映画に舞台と大活躍の新津ちせ。10月18日から全国公開された映画『駅までの道をおしえて』で初主演を果たし、両親役の坂井真紀と滝藤賢一に橋本直樹監督らと共に、東京に続いて大阪でも舞台挨拶を行った。質問者の方へ顔を向けて大きくうなずき、体全体で語る姿は座長の貫禄十分!1回でセリフを覚えたり、シーンの心情を的確に捉えたりと、天才子役の名をほしいままに、この日も観客の心も掴んでいた。

eki-550.jpg伊集院静原作の「駅までの道をおしえて」を橋本直樹監督が脚色・監督。可愛がっていた白柴のルーを亡くした少女サヤカが、思い出いっぱいの原っぱで不思議な犬ルースを連れたおじいさん(笈田ヨシ)と出会う。少女が悲しみを乗り越えて成長する姿を、長期に渡る撮影で丁寧に綴った感動作。白柴の仔犬を探す間にサヤカ役のオーディションを行い、第4次審査を勝ち抜いたのが新津ちせ。仔犬だったルーとは1年半も一緒に暮らして役作りしただけあって、愛犬との相性もぴったり。


「大切な人や大切なペットを静かに思い出す映画です。皆さんの大切な記憶に残る映画になったら嬉しい」と舞台挨拶の最後を締めくくった新津ちせ。可愛らしい顔立ちや立ち居振る舞いとは対照的な大人顔負けのしっかりとした受け答えに、共演者も観客もすっかり魅了されてしまった。

以下は、上映後の劇場にて舞台挨拶の詳細について紹介しています。



ekimadeno-chise-240-1.jpg新津:皆様に観て頂いてとても嬉しいです。今日はよろしくお願い致します。

坂井:大阪に来られてとても嬉しいです。

滝藤:マキタスポーツです!(笑)東京でもしっかり滑ってきました。今日はお忙しい中観に来て下さいましてありがとうございます。

橋本監督:本日は遅い時間まで、どうもありがとうございます。


――サヤカを演じてみて楽しかったですか?

新津:この映画の撮影はとても楽しかったです。


――大阪へはよく来られますか?

新津:舞台のお仕事でよく来ています。たこ焼きもお好み焼きも大好きです。

坂井:たこ焼きが大好きで、今回は食べて帰れるかどうかドキドキしています(笑)。

滝藤:僕はあまり大阪には来ないんですけど、串カツは大好きです。それと551の肉まんとかも。通天閣や梅田へも行ってみたいですね。


――おススメのシーンは?

新津:どのシーンも楽しかったのですが、ルーと一緒に駆け回った冬の雪の原っぱのシーンが特に印象に残っています。ルーとは1年半一緒に暮らしていました。


ekimadeno-takitou-240-2.jpg――「犬を飼いたい」とサヤカが言った時の両親の反応がとても印象的でしたが?

滝藤:親子3人の最初のシーンでは、午前中3人だけにして頂いて、3人でいろいろ話したり遊んだりしました。お陰で割と自然に家族として入っていけました。その時はまだちせちゃんはまだ“ザ・コドモ”だったのですが、9か月後に会ったらまるで別人のように成長していました。その間、監督とは密に語り合っていたようで、いいものを身に付けて豊かな表情になっていました。お父さんのような立場で見守る感じでしたね。

 


――オーディションで4次選考の末選ばれたちせちゃんですが、その魅力は?

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橋本監督:う~ん、あまり褒めたくないんだよね~(笑)。

坂井:褒めてあげて下さいよ。

橋本監督:オーディションには最初200人位しか集まらず、「一般オーディションもしなきゃいけないのかな」と思いました。僕は書類選考で落とすということはしないので一人一人と会っていたのですが、ちせに会って、「やはり“出会い”ってあるんだな」と思いました。

――何かお褒めの言葉が欲しいですよね?

橋本監督:観て頂いたお客様が彼女の演技で何かを感じて頂けたら、それが答えだと思っています。僕は身内なので自分の娘が「可愛い」とか言うのは気が引けますが、皆さんに褒めて頂く分については凄く嬉しいです。勿論そのことは分かっていますが、それを言うと調子に乗っちゃうんで…(笑)。


――犬のルーとルースはどうやって決まったのですか?

橋本監督:ルーはちせより先に決まっていました。白い柴犬はとても珍しくて仔犬を探してもらって、その間にオーディションをして、2か月後にちせとルーと会わせてみました。名前もまだなかったので「ルー」と名付けられたのです。ルースの方は、野犬だったのを保護されていた犬で大阪出身です。最初に預けられていた所を2回も脱走したようで、今いる所に落ち着いてからトレーニングを受けた犬なんですが、何となく雰囲気のある犬だなと思って決めました。

新津:ルーとルースは(どちらもメス)撮影の時にとても仲良くなって、このまま別れさせるのは可哀そうだということで、今は一緒に飼われています。


ekimadeno-sakai-240-1.jpg――両親役の滝藤さんと坂井さんから見たちせちゃんは?

坂井:可愛さが詰まっていますよね。見た目も性格も本当に可愛らしくて、ちせちゃんがママと思ってくれたから、私もお母さんになれたような気がします。ありがとうございました。

滝藤:凄くしっかりしている。挨拶もしっかりしているし、キャンペーンでも「こんな事言うとネタバレしちゃうから言わないでおこう」とか、ウチの次男坊と同じ小学3年生ですけど、全く違う!ウチの次男坊は、今朝なんか「ババ抜き」トランプで負けて泣いてましたからね(笑)全く別の生き物のようですよ。さすが女優さんだなと思います。


――自分がサヤカと似ている点は?

新津:サヤカが原っぱで走り回るシーンがよく登場するのですが、私も走るのが大好きなので似ているかなと。それと、ルーもよく走り回るので、よく「飼い主によく似る」と言われますが、私に似たのかなと思います。


――もう一度観て欲しいシーンは?

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新津:マキタスポーツさんと滝藤さんと3人で犬小屋を作るシーンはホントに面白かったです。ペンキを塗るシーンは全部アドリブで、イラストも描きました。ルーの絵は勿論、叔父さんの家はお豆腐屋さんだったので、おからや冷奴やねぎを描きました。


――脇役の俳優さんたちも豪華ですが?

橋本監督:大手の大作でなくても脚本が良ければ出演して下さる俳優さんは大勢いらっしゃいます。今回もそんな俳優さんたちに恵まれたと思っています。


――最後のご挨拶。

新津:この映画は大切な人や大切なペットのことをゆっくり思い出す映画だと思います。観て下さった方の大切な記憶になれたらとても嬉しいです。本日は観に来て下さって本当にありがとうございました。

 


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【出演者と監督について】

◆新津ちせ(主人公のサヤカ役):映画『3月のライオン』のモモ役や、米津玄師がプロデュースした「パプリカ」を歌うユニット Foorin の最年少メンバーとしてブレイク中。オーディションで受かった直後から愛犬ルーとの特別な絆を表現するため、自宅でルーとの共同生活を開始。その後、一年にわたる丹念な撮影を通してサヤカの心身の成長をカメラに刻み付けた。


◆笈田ヨシ(サヤカの友人となるフセ老人役):約半世紀にわたってヨーロッパの演劇界で俳優・演出家として活躍し、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙—サイレンス—』など映画でも強烈な印象を残してきた。


その他、サヤカの両親に坂井真紀と滝藤賢一、伯父夫婦にマキタスポーツと羽田美智子、祖父母に塩見三省と市毛良枝、医療関係者に柄本明と余貴美子が扮し、あたたかくヒロインを見守る。また 10 年後のサヤカを有村架純がモノローグ(声)で表現。


◆橋本直樹(監督と脚色):『トニー滝谷』『そこのみにて光輝く』をはじめ数多くの秀作を送り出してきた制作プロダクションウィルコ代表。『臍帯』に続く長編監督第2作となる本作は、15年前に原作を読んで以来、映画人としてのキャリアを全てつぎ込んだ渾身作。


【出演】 新津ちせ 有村架純/坂井真紀 滝藤賢一 羽田美智子 マキタスポーツ /余 貴美子 柄本明/市毛良枝 塩見三省/笈田ヨシ
【原作】:伊集院静「駅までの道をおしえて」(講談社文庫)
【脚色・監督】:橋本直樹 
【主題歌】:「ここ」コトリンゴ
【企画・製作】:GUM、ウィルコ
【配給・宣伝】:キュー・テック  シネマスコープ/ 5.1ch/DCP/125 分
©2019 映画「駅までの道をおしえて」production committee
【公式サイト】:https://ekimadenomichi.com/

2019年10月18(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー!


(河田 真喜子)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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◆ 締め切り:2019年11月3日(日)

◆公式サイト: https://saenai-movie.com/

 

2019年10月26日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS他)、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー

 

 


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新生 blessing software 始動!
ある春の日、少年が抱いた想いはどこまでも駆け上っていく。 


『冴えない彼女の育てかた』は丸戸史明が執筆し、深崎暮人がイラストを担当する人気ライトノベルシリーズ。富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)より2012 年から本編全13 巻+短編集・ファンブック 6 巻で刊行された。2015 年にアニメ第一期『冴えない彼女の育てかた』が放送され、2017 年にはアニメ第二期『冴えない彼女の育てかた♭』をオンエア。制作を A-1 Pictures 高円寺スタジオ(現 CloverWorks)が担当。ドキドキするほどかわいらしいヒロインたちの描写とキャスト陣の弾けた演技、そして原作者・丸戸史明自らが書き下ろしたシナリオにより、作品は話題となり、劇場版の制作が決定した。 

劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』は TV シリーズのスタッフ、キャストが集結し、新たに送りだす完全新作。安芸倫也は、理想のメインヒロインを描いた同人ゲームを作ることができるのか。恋のフラグのラプソディー最終楽章が始まる。 
 

【ストーリー】
ある春の日、安芸倫也は桜舞う坂道で運命的に出会った少女・加藤恵をメインヒロインにした同人ゲームを制作することを思いつく。美術部に所属していながら、同人イラストレーターとして活動する澤村・スペンサー・英梨々と、学年一位の優等生でありながら、ライトノベル作家として活躍している霞ヶ丘詩羽を誘い、blessing softwareを結成。 やっとのことで一作目を発表した──。 
 
英梨々と詩羽は大作ゲーム『フィールズ・クロニクル』を開発するために、人気クリエイターの紅坂朱音のもとへ。blessing software 代表の倫也はサークル活動を継続し、副代表の恵とともに新作の開発を開始した。イラストレーターに後輩・波島出海を起用、プロデューサーを出海の兄・伊織へ依頼し、 氷堂美智留と彼女のバンド icy tailとともに新作の開発を進めるが……。  
 
英梨々と詩羽の大作はどうなるのか? 倫也と恵の関係に異変が?  はたして blessing software の新作の行方は? 冴えないヒロインをめぐる青春グラフィティ、グランドフィナーレ
 

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■原作:丸戸史明(ファンタジア文庫/株式会社 KADOKAWA) 
■キャラクター原案:深崎暮人
■総監督:亀井幹太
■脚本:丸戸史明
■キャラクターデザイン:高瀬智章
■制作:CloverWorks
■配給:アニプレックス
■コピーライト:Ⓒ2019 丸戸史明・深崎暮人・KADOKAWA ファンタジア文庫刊/映画も冴えない製作委員会
◆公式サイト: https://saenai-movie.com/


2019年10月26日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズ(梅田、なんば、西宮OS他)、T・ジョイ京都、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー
 


(オフィシャル・リリースより)

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「こういう映画の作り方があるのね」吉永小百合、観客の反応に興味津々。『最高の人生の見つけ方』吉永小百合、天海祐希、前川清が語る
合同記者会見ゲスト:吉永小百合、天海祐希、前川清
 
 人生のすべてを“家庭”に捧げてきた<大真面目な主婦>幸枝と、人生のすべてを“仕事”に捧げてきた<大金持ちの女社長>マ子。正反対の生き方をしてきた二人の女性が、余命宣告をされ入院している病院で出会い、12歳の少女の【死ぬまでにやりたいことリスト】を手にしたことから、最高の人生探しの旅がはじまる。吉永小百合主演、天海祐希共演のロードムービーであり、バディムービーでもある『最高の人生の見つけ方』が、10月11日(金)より全国ロードショーされる。
 
 
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 原案はジャック・ニコルソン&モーガン・フリーマンの二大アカデミー俳優を主演に、《棺おけリスト》を携えて、生涯最後の冒険旅行に出る大ヒット映画『最高の人生の見つけ方』。幸枝を演じる吉永小百合が01年の『千年の恋 ひかる源氏物語』で共演した天海祐希をマ子役に指名、さらに幸枝の夫役に歌手の前川きよしを指名し、抜群のコンビネーションとオフビート感溢れる、ハートフルな作品に仕上がっている。
 
 9月30日(月)大阪で行われた合同記者会見では、吉永小百合、天海祐希、前川清が登壇し、作品についての思いを語った。『千年の恋 ひかる源氏物語』で天海と共演したもののあまり言葉を交わすことがなかったという吉永は「いつかは二人でロードムービーをしたいねと話していたんです」とオファーの経緯を語ると、天海は「断ろうという選択肢なんてない。是非やらせてくださいと言いました」。
 
 
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■前川清、吉永小百合の出演オファーを断る!?

 一方、偶然同じジムに通っている前川のえもいわれぬ 風情に魅了されてオファーしたという吉永に対し、前川は「お断りしました」ときっぱり。本業が歌手で、自身もサユリストでもあるが故に、嬉しいという気持ち以上に迷惑をかけるのではないか不安だったというが、「50年間歌を歌ってきて、(映画に)声をかけてもらった。一生に一度しかないこと」と意を決したという。そんな前川は「(役作りより)セリフを間違わないかどうかに必死。71歳の人生の中からでてくるおしゃべりをしっかりやっていきました。でも完成した映画はとても観れません」。そんな前川が苦戦したのはセリフだけではなかった。「犬童監督は食事を作るシーンを撮るのがお好きらしく、なんでこんなに長回しと思うぐらい、野菜をカットするシーンを撮られました」
 

■「私にとって宝物のような映画」余命宣告を受けた女性を演じた天海祐希の死生観は?

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 余命宣告を受けたこと、一代でホテルチェーンを築き上げた女性であるという軸を忘れず、現場で楽しめるものを大事にしてマ子役を組み立てていったという天海。改めて自身の死生観を問われ「死は誰でも迎えるもの。できればたくさんの人たちにありがとうと言って、すっといなくなりたい」。死ぬまでにやりたいことについても「今が夢のようなので、いただいたお仕事をしっかりやっていくだけです」と謙虚に語った。最後に映画の見どころについて「12歳のしたいことリストをすることで、素直な自分の思いを爆発させる私にとって宝物のような映画です。女性同士で観にきていただければと思っていましたが、東京の試写会では奥様に連れられた男性も多くて、微笑ましかった。みなさん、ご主人を連れて観に来てください」と作品への思いを語った。
 
 

■「こういう映画の作り方があるのね」吉永小百合、観客の反応に興味津々。

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 専業主婦を演じるのは久しぶりという吉永は、前半部分とマ子に会ってからの部分とで演技に大きな変化を付け「マ子に会ってからはできるだけはじけたいと思って演じました」と撮影を振り返った。劇中ではももクロのライブ会場で舞台に上がったり、日本一の大きなパフェを食べたり、10代女子の憧れに次々挑戦していくが「ちょっとポップな映画で、こういう映画の作り方があるのねと思いました。同世代や、特に若い方がどう観てくださるのか、興味津々です」と公開が待ちきれない様子。久しぶりに共演した天海については「前よりもまっすぐでグラグラしない印象。現場でもリーダーシップをとってくださり、みんなでマ子さんについていきました」と絶賛。アウトドア派の吉永と、インドア派の天海。作品とはまた違う二人の意外な一面も垣間見える、作品同様ハートウォーミングな会見となった。
 
 
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思いもしなかったことを二人で実行することで、終わりが見えたはずの人生が新たな輝きを放つ物語。大人の女性が輝く、この秋一番の感動作だ。
(江口由美)
 

『最高の人生の見つけ方』(2019年 日本 115分)
監督:犬童一心
原案:「最高の人生の見つけ方」ジャスティン・ザッカム著
出演:吉永小百合 天海祐希 ムロツヨシ 満島ひかり 賀来賢人 鈴木梨央 駒木根隆介/ももいろクローバーZ/前川清
10月11日(金)全国ロードショー
公式サイト:http://saikonojinsei.com  
 (c)2019「最高の人生の見つけ方」製作委員会
 

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(2019年9月15日(日) @大阪ステーションシティシネマ )

ゲスト:小栗旬、蜷川実花監督


ningensikkaku-550.jpg“蜷川実花”マジックで蘇る、才気あふれる太宰治の色男ぶり!

小栗旬だから成立する、女たちを魅了し、そして小説の糧にした作家の生き様

 

生涯で4度の自殺未遂、5度目に愛人と心中して果てた太宰治。映画は21歳の時に起こした2度目の心中事件から始まる。相手の女性だけが亡くなって、自殺ほう助罪に問われている。後に心中未遂事件の顛末を酒席で面白おかしく語っては喝采を浴びる太宰。彼の周辺には常に出版業界人がたむろし、当代きっての売れっ子作家の新作が期待されていた。だが、苦心の小説は売れても当時の文豪たちには認められず、流行作家に甘んじていたのだ。妻の美知子(宮沢りえ)は夫の女性関係は小説を書くためのものと耐え、時に叱咤激励。太宰に憧れて近寄る女たちは、太宰が発する言葉に酔いしれ、究極の恋愛対象として、優柔不断でダメな男に溺れていく。

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ハリウッド進出で大注目の小栗旬は、大幅な減量で陰のあるセクシーさを、持ち前のチャーミングさで才気あふれるモテ男・太宰治を熱演。「“あれほどセクシーでカッコ良かったら、仕方ないよね”と誰しもが納得できる存在でなければ、この映画は成立しない。それが重要なキーだった」と語る蜷川実花監督の期待に、見事に応えている。太宰が発するセリフも、太田静子(沢尻エリカ)の書簡や最後に太宰と心中する山﨑富栄(二階堂ふみ)の日記から抜粋したものだという。「口にするのも勇気が要るようなセリフばかりで、自分が発する言葉によって身動きが取れなくなるようだった」という小栗の感想に対し、「言葉が秀逸だから心に刺さることが多い」と蜷川監督。

 

 


dazai-bu-N-240-2.jpgさらに、太宰に恋する女性たちの恋愛観について蜷川監督は、「昔の人の話だが今の私達にも共通するところがある。実際に人を好きになってしまうとのめり込むあまり盲目的になって、富栄と同じように、結婚もしていないのに夫婦気取りで男の総てを把握し管理しないと気が済まなくなってしまう」と分析。さらに、「富栄の日記を読んで、“自分の気持ちと地続き”と感じて、これは絶対イケる!と思った」。構想7年、本作を撮りあげた監督の思い入れの強さを感じた。


ラブシーンについて蜷川監督は、「小栗君は初めはぎこちなかった。冒頭の海辺のシーンは最後の撮影だったが、もう慣れてきて初対面の女優さんとでもすんなりキスシーンを演じていた」。小栗も、「相手の女優さんが全開で来てくれたので助かった」と振り返り、「回を重ねるごとに普通になっていく小栗君を見るのは面白かった。モニターの前で最初に観る観客としてニコニコ・ウフフしていた」と告白した監督。

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大阪について――今回の来阪はキャンペーンのためゆっくりできないようで、大阪の後名古屋へ移動。大阪には仕事でよく来ているという小栗旬は、「先日も『罪の声』の撮影で2週間ほど滞在し、好きな串カツ屋さんへ行った」という。蜷川監督は「子供連れでユニバーサルスタジオへよく行っている。この秋にも行く予定」。前日の東京での舞台挨拶後、沢尻エリカと二階堂ふみと小栗旬と蜷川監督の4人で食事した際、「このまま大阪行っちゃう?」の監督の誘いに、二人の女優も大いに乗り気だったとか。「でも衣装がない!」の返事に監督は、「ドンキで買ってあげるよ。ナースとか婦人警官の衣装をね(笑)」。小栗も「本当に来たそうだった。もう一押しでしたね」と、大阪の人気が高いことを披露。

 

 


dazai-bu-O-240-5.jpg他に観客からの質問で、結核が悪化する太宰が咳き込むシーンについて、「大変でした。吐血シーンもあり咳しすぎて吐きそうになった」と。また、どうしたら色気が出せるようになるかについては、「まず痩せることが重要かも。シャープな方が色っぽく見られるのでは?」という小栗の返答に、「あと、人生経験も重要だよね」と蜷川監督がフォロー。


発表する作品毎に進化を遂げる蜷川実花監督。今までの日本映画にはない異次元の世界観で圧倒する。本作で真骨頂を発揮した小栗旬の今後のワールドワイドな活躍に期待したい。

 



■監督:蜷川実花
■出演:小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也他
■配給:松竹 アスミック・エース (2019年 日本 2時間 <R-15>)
■コピーライト: © 2019 「人間失格」製作委員会  
公式サイト: http://ningenshikkaku-movie.com/

 

2019年9月13日(金)~丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、OSシネマ神戸ハーバーランドほか全国ロードショー


(河田 真喜子)

 

 
 
 
 
 
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