「AI」と一致するもの
~20代スタッフ、キャストの”情熱”がほとばしる!鮮烈で優しい”家族の再生”~


福くん登場して、天才子役対決!?『天才スピヴェット』舞台挨拶レポート 《東京国際映画祭2014》
◆実施日:10月27日(月)
◆実施場所:TOHOシネマズ六本木ヒルズ2F SCREEN5 (港区六本木3-8-15)
◆登壇者:鈴木福くん(10歳) 主演 カイル・キャトレット(12歳)、監督 ジャン=ピエール・ジュネ(61歳)
フランス本国と日本で驚異の大ヒットを記録、観る者すべてを幸せにした『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督待望の最新作で、11月15日(土)よりシネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開となる、映画『天才スピヴェット』。
10月23日(木)~31日(金)まで開催される第27回東京国際映画祭の“特別招待作品”への選出が決定し、 本映画祭にあわせて、ジャン=ピエール・ジュネ監督と共に本作で主演を務める天才子役カイル・キャトレット君が来日、 公式上映の前に、ジュネ監督とカイル君の舞台挨拶を実施。
また、特別ゲストとして日本の天才子役・鈴木福くんが二人の来日を祝し、会場に駆けつけました!
ジャン=ピエール・ジュネ監督と、自身が演じたスピヴェットの格好である燕尾服を着用し髪はオールバックでキメたカイル・キャトレット君が登場すると、会場は歓声に包まれ、カイル君の可愛らしい姿には「かわいいい~!」という声が挙がりました。主人公の10歳の天才少年を演じるカイル君は、6ヵ国語を操り、3年連続「総合格闘技の世界チャンピオン」の顔も持つ、正真正銘の天才少年! この日は、その6ヵ国語を使い分けた、華麗なる自己紹介を披露!
また、スピヴェットと同い歳の10歳の日本の天才子役代表として、二人の来日祝いに駆け付けた鈴木福君は、 カイル君と同じ、燕尾服姿&オールバックヘアーで登場!カイル君は、自身が得意とするカンフーも披露し、更なる天才ぶりをアピール、一方の福君もカイル君に特技のけん玉を披露!可愛らしい”天才子役対決”に会場からは歓声と拍手が送られました。
ジュネ監督は、二人の天才子役を前にイマジネーションが駆り立てられたようで、次回作は二人がけん玉とヌンチャクで闘う映画をつくると約束!福君の世界デビューを予感させると共に、天才子役二人の可愛らしさ、そしてジュネ監督の映画さながらの小粋でエスプリの聞いたトークに会場は大いに盛り上がりました。
MC:本日は第27回東京国際映画祭 特別招待作品「天才スピヴェット」上映にようこそお越し下さいました。
それでは、本日のゲストに登場していただきましょう!
<ジャン=ピエール・ジュネ監督、カイル・キャトレットくんが登場>
ジュネ監督:日本でこうやって上映できるのがとても嬉しいです。日本に私のファンが何名かいることは知ってるよ(笑)。僕はモンマルトルのカフェの近くに住んでいるんだ。なぜならば、日本人がこのカフェにあるものを食べにくるから!『アメリ』のポスターが貼ってあるんだけど、僕が座っていると邪魔って言われることもあるんだ(笑)。彼は(カイル君)は、見ての通りちょっと小さい。映画内ではアクションシーンがいくつかあるんだけど、スタントは全部自分でこなしたんだ。しかし、タフで疲れたとは決して言わないし、真の意味で俳優なんだよ!
カイル君:<【私はカイル・キャトレットです】を、英語・ロシア語・北京語・スペイン語・フランス語・日本語で披露。会場から歓声が!>
MC:6ヶ国語ですが?!すごいですね!ありがとうございました!それでは、ジュネ監督に質問です。本作は原作を気に入られて、映画化を決めたそうですが、ご自身初の3D作品となります。なぜ、本作を3Dで撮ろうと思ったのですか?
ジュネ監督:子供の頃、ビューマスターという3D映像がみれるおもちゃが好きだったんだ。
実はこの作品の脚本は元々3Dで撮るという前提だったし、実際とても合っていると思う。
今日はハジの方の席にもたくさんお客さんが座っているけど、3Dの効果というのは本来真ん中で得られるものだから、本当の効果が得られないかも・・・だから是非もう一度真ん中でみてほしいな!
MC:カイル君は今回ジュネ監督の作品に出演されてみていかがでしたか?
カイル君:楽しかったです!素晴らしい監督です!
MC:さて、ここで本日は更にスペシャルゲストが駆けつけてくれました。日本を代表する天才子役といえばこの方、鈴木福君です!
<燕尾服にオールバックスタイルで鈴木福君登場!花束をジュネ監督とカイル君に手渡す>
MC:福君、ようこそいらっしゃいました!福君は現在10歳ということで、スピヴェット君とまさに同い年、まさに天才子役同士でありますね。一言ご挨拶をお願いします
福君:こんにちは、鈴木福です。本日はこんな素敵な場所に呼んでいただき、 とても嬉しく思っています。映画の天才スピヴェット君をイメージした格好できました。よろしくお願いします!
ジュネ監督:映画は気に入った?!
福君:はい、とても面白かったです!カイル君はアクションシーンもかっこよかったし、映画初出演とは思えないくらい演技が上手でした。
カイル君:(日本語で)ありがとうございます!
MC:カイル君は、7歳以下の武道選手権で3年連続チャンピオンになったそうですね。 是非、武術をここで披露いただけますか?
<カイル君、見事なカンフー(剣、ヌンチャクなど)を披露!会場からは歓声と拍手が!>
MC:福君、カイル君のカンフーはいかがでしたか?
福君:すごいですね。さすが世界チャンピオンだと思いました!かっこよかったです!
MC:では、今度はお返しに今、福君がはまっている、学校で流行っているというこちらを披露いただきます!
<福君けん玉披露!いつくかの技を見事に成功させるも、大技である“野球”という技がなかなか決められず・・・失敗に終わります。>
福君:かっこいい姿をみせることができなくて・・・負けちゃいました・・・
すごく緊張しまくってヤバイです・・・
カイル君:よかったよ!
MC:ジュネ監督は二人の特技はいかがでしたか?
ジュネ監督:今度ケン玉少年の役を書くよ!ヌンチャクとケン玉で闘う映画をね!
MC:それでは最後に映画の見所をこれから観る観客の方にメッセージをお願します。
ジュネ監督:アメリカの専門誌が、”最高の3D映画”と書いてくれました!私も賛成です(笑)
3D映画なので是非真ん中の席で観てください!
カイル君:今日はありがとうござます!是非楽しんでください!
福君:驚きと発見のつまったおもちゃ箱のような映画です。若い人からお年寄りまで楽しめると思いますので是非みてください
【STORY】
モンタナの牧場で暮らす10歳のスピヴェットは、生まれついての天才だ。だが、身も心も100年前のカウボーイの父と昆虫博士の母、アイドルを夢見る姉には、スピヴェットの言動が今ひとつ分からない。さらに、弟の突然の死で、家族の心はバラバラになっていた。そんな中、スピヴェットにスミソニアン学術協会から、最も優れた発明に贈られるベアード賞受賞の知らせが届く。初めて認められる喜びを知ったスピヴェットは、ワシントンDCで開かれる授賞式に出席するべく、家出を決意する。数々の危険を乗り越え、様々な人々と出会うスピヴェット。
何とか間に合った受賞スピーチで、彼は<重大な真実>を明かそうとしていた──。
監督:ジャン=ピエール・ジュネ『アメリ』『デリカデッセン』『エイリアン4』
原作:「T・S・スピヴェット君傑作集」ライフ・ラーセン著(早川書房刊)
出演:カイル・キャトレット(新人)、ヘレナ・ボナム=カーター『チャーリーとチョコレート工場』『英国王のスピーチ』、
ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー、ニーアム・ウィルソン、ドミニク・ピノン
原題:『The Young and Prodigious T.S. Spivet』/105分/フランス・カナダ合作/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:松浦美奈
(c) EPITHETE FILMS - TAPIOCA FILMS - FILMARTO - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA
★作品紹介⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://spivet.gaga.ne.jp/
髭剃りが大変だった!?『マルセイユ・コネクション』ジル・ルルーシュ&セドリック・ジメネス監督舞台挨拶《東京国際映画祭2014》
◎日時:2014年10月26日(日)
◎ゲスト:ジル・ルルーシュ(42歳)、セドリック・ジメネス(?)
『マルセイユ・コネクション』
・原題:The Connection [ La French ]
・(135分 フランス語 Color 2014年フランス=ベルギー)
・監督/脚本 : セドリック・ジメネス
・プロデューサー : アラン・ゴールドマン・ 脚本 : オードレイ・ディヴァン
・撮影監督 : ローラン・タンギー ・美術 : ジャン=フィリップ・モロー
・編集 : ソフィー・レーヌ ・音楽 : ギヨーム・ルセル
・出演:ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ、セリーヌ・サレット、メラニー・ドゥーティ、ブノワ・マジメル
© LEGENDE FILMS, GAUMONT, FRANCE 2 CINEMA, SCOPE PICTURES
~現代の視点で描いたフランス版“フレンチ・コネクション”の醍醐味~
1970年代のマルセイユに実在した麻薬犯罪組織のボスと新任判事との攻防戦を描いた『マルセイユ・コレクション』。当時巨大な市場であったアメリカへの麻薬密売ルートを確立したのは、マルセイユを拠点とした“フレンチ・コネクション”と呼ばれた犯罪組織だった。ウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』(71)とジョン・フランケンハイマー監督の『フレンチ・コネクション2』(75)では、まさにフランスからの麻薬ルートの取り締まりに命を懸けたニューヨーク麻薬取締官の活躍を躍動感あふれる映像で描いていた。当時、コルシカ島出身のフレンチ・マフィアと、シチリア島出身のイタリアン・マフィアの双方からアメリカへ麻薬が密売され、アメリカの若者が急激に麻薬に蝕まれていった。その後のアメリカ映画では大きな社会問題として数多くの作品で扱われるようになった。そんなマフィアが暗躍する世界を“ファミリー”の内側から描いたフフランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』シリーズはあまりにも有名。
そしていま、マルセイユ出身の若き監督が、判事とマフィアのボスを両極において、それぞれの家族への想いや仕事に対する非情さを、現代の視点で細やかに物語る。特に、犯罪組織に果敢に戦いを挑み続けた判事の執念を、「勝負にこだわるギャンブラーのようだ」と語らせているところは人間臭くて興味深い。『アーティスト』(11)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジャン・デュジャルダンがミシェル判事役を、『この愛のために撃て』(10)のジル・ルルーシュが犯罪組織のボス・ザンパ役を演じて、なんとも豪華なW主演となった。また、数々の主演映画で日本でも大人気のブノア・マジメルがボスと敵対するマフィアの一員を、さらに今年のフランス映画祭で上映されたトニー・ガトリフ監督の『ジョロニモ 愛と灼熱のリズム』で主演したセリーヌ・サレットなど実力派が脇を固めている。
本作を監督したセドリック・ジメネス監督と、犯罪組織のボス役を演じたジル・ルルーシュが東京国際映画祭のために初来日し、舞台挨拶を行った。
――― 歴史的事件を扱っている本作の製作にあたりプレッシャーはなかったのか?
監督:プレッシャーはなかったが、責任は感じていた。私はマルセイユで生まれ育ち、父はザンパ関係者が経営していた店の隣でナイトクラブを経営していたので、子供の頃から彼等のことはよく知っていた。いつかはこの事実を物語りたいと思っていた。実在の人々に対し敬意を払いながら、マルセイユの人々に対しても裏切らないような作品を撮りたいと思っていた。
――― ハンディカメラの使用について?
監督:映画の中に観客が入り込んで、より登場人物たちを身近に感じてもらえるようにハンディカメラを使用した。人物と観客との距離感をなくして、キャストの動きに付いて行けるよう、活き活きとした映像を撮りたかった。
――― ジルは『プレイヤー』(12)でもジャンと共演して究極の遊び人をコミカルに演じていたが、今回はシリアスにガチ勝負?
ジル:ジャンとの共演作は3作品あるが、直接顔を合わせる共演は今回で2作目。長年の友人でもあるので、対決シーンでは苦労した。知らない者同士なら上手くいくところを、とにかく8時間は敵として顔を合せない、話もしない、といった具合に緊張関係を作った。そのせいで、その後心理カウンセラーを必要としたほどだった(笑)。
――― フレッド・カヴァイエ監督がジル・ルルーシュの印象について、「愛する妻のために東京の街を駆け巡るようだ」と言っていたが、東京の印象について?
ジル:小さい頃から東京に憧れていた。私にとって東京は『ブレーランナー』の世界のようだった。とてもユーフォニックで快楽的でワクワクするような、違うコードの街。フランスが中世に見えるくらい日本は近未来的。興味を掻き立てられる街なので、多くの監督が東京で撮りたいと思う気持ちがよくわかる。
ジルもジャンも体格が似ていて濃い無精ひげの印象が強かったが、本作ではスッキリ綺麗なお顔で、特にこんなハンサムなジル・ルルーシュを見るのは初めてではないかと思う。実在の人物がモデルなので、家族や関係者にリサーチして役作りをしたという。また、当時の男性は服や髪などスタイルにこだわり、いつもきちっとした格好をしていたので、ジャンとジルにもまめに髭剃りをするよう監督の指示があったようだ。「髭剃りが大変だったんだ!」とこぼすジル(笑)。
≪ジル・ルルーシュ≫
1972年、フランス生まれ。
演劇学校を卒業後、俳優業を開始し、『Ma vie en l'air』(未/05)でセザール賞の若手有望株賞にノミネートされる。その後、ジェロール・サム監督の『アントニー・ジマー』(未/05)、セドリック・クラピシュ監督『PARIS(パリ)』(08)、リュック・ベッソン監督の『アデル/ファラオと復活の秘薬』(10)等のヒット作に出演。また『ナルコ』(04)では出演と共に監督・脚本デビューを果たした。その他の主な出演作は、『世界で一番不幸せな私』(03)、『ジャック・メスリーヌ/フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男』(08)、『プレイヤー』(12)、フレッド・カヴァイエ監督の『この愛のために撃て』(10)と『友よ、さらばと言おう』(13)など。
≪セドリック・ジメネス監督≫
マルセイユ生まれ、監督兼脚本家。ニューヨークとロンドンで数年を過ごしたのち、独立系プロデューサーとしてパリで映画製作のキャリアをスタート。2011年にサスペンス『ハッキング・アイ』をプロデュース・監督し、批評家から高い評価を受け、ナポリ国際映画祭最優秀作品賞を受賞。ジャン・デュジャルダンとジル・ルルーシュが出演する本作は監督としての長編第2作である。
(河田 真喜子)
第1回“SAMURAI(サムライ)”賞受賞記念 北野武監督スペシャルトークイベント《東京国際映画祭2014》
第27回東京国際映画祭で新設された“SAMURAI(サムライ)”賞の初年度の受賞者である北野武監督を招き、「日本映画の未来と今」について語り合うトークイベントが開催されました。
◎ 日時・場所:10月25日(土)~@六本木ヒルズ49階アカデミーヒルズ内タワーホール
◎登壇者:北野武監督、トニー・レインズ(映画製作者/映画評論家/キュレーター)、クリスチャン・ジュンヌ(カンヌ映画祭代表補佐)、「PFF」各賞受賞監督、「日本学生映画祭」受賞監督
トークショーの前半では、若手の映画監督からの質問に対し、「自分が描きたいものを自分なりに描けばいい。でも、嫌いなものも認めるという余裕も必要で、自分の好きなことを他の意見もあると思いながらつくっていけばいいんじゃないか。みんなマジメすぎるよね。余裕をもって、常に自分を客観的に見た方が追い詰められなくていいと思う」と、独自の映画論について時に冗談を交えながら、北野監督はお話しくださいました。
トークショー後半では、日本映画に造詣が深いトニー・レインズ氏とクリスチャン・ジュンヌ氏も登壇し、北野監督の作品や日本映画について語っていただきました。日本映画に興味を持つきっかけとして、黒澤明や溝口健二、小津安二郎などの監督を挙げたレインズ氏とジュンヌ氏。最近の日本映画について、「映画の未来は今、この舞台の上にいる若い監督たちによってつくられます。かのオーソン・ウエルズ監督の有名な言葉で、“彼らは、未来を使い果たしてしまった”、というものがありますが、大会社による映画製作は終焉を迎えています。これからは若者が映画づくりの未来を担い、シネマというものをつくり上げていくと思います。映画づくりは学校でも学べますが、自分でつくることが最もよい学び方です」と、述べたレインズ氏にジュンヌ氏は同意し、「映画の未来は若手監督にあり、これは日本映画に限らず、全世界的な映画製作について言えることです。世の中の変化と共に監督も変わり、映画のメッセージもその伝え方も変わるでしょう。若手監督の皆さんが伝えたいメッセージを発信できることを願っています」と、語りました。北野監督は、「日本で作品の悪口ばかり言われていた時に初めて評価してくれたのがトニーさんで、いまだに恩義を感じている。だから若手監督のみなさんも、誰がどこで見ているか分からないので、好きな映画を撮った方がいい」と、述べました。
北野監督に興味を持つきっかけとなった作品についてジュンヌ氏は、「始めて北野監督の作品を見たのは、役者として出演した大島渚監督の1983年の作品、『戦場のメリークリスマス』でした。その後、監督作品を見たのは、『ソナチネ』でしたが、非常に印象的で、今でも北野監督の映画の中で一番好きな作品です。映画を見終わった後に残るノスタルジア、寂しさのような感情が、北野監督の作品に惹きつけられるところです」。レインズ氏は、「80年代の終わりに、『その男、凶暴につき』を見て素晴らしいと思い、バンクーバー国際映画祭で上映しました。その後の活躍は、皆さんご存知のとおりです」と、述べました。
日本の若い監督の作品が海外で評価されるために必要なものについて、レインズ氏が、「商業映画の未来は、ごく少数の大手企業が握っています。ほとんどの若い監督は、そこに入り込みブレイクのきっかけとすることはできないでしょう。少なくとも近い将来においては、メジャーな商業映画にかかわるチャンスはさらに限られたものになっていきます。ですが別の媒体、つまりインターネットにおける配信方法を開拓するという方法があります。大きな劇場で上映されていない作品を見つけるということが、今後多くなっていくと思うのです。若手監督の皆さんは、新しい発信方法を追求すべきです。そして何よりも、良い作品をつくること。良い映画をつくれば、世界は注目します。世の中には優れた映画はそれほど多くありません。意外に思われるかもしれませんが、競争相手はそれほど多くないですよ」と、述べると、北野監督は、「何が必要かなんて、どうすれば宝くじが当たるかというような話だから、それは自分で探すしかない。参考意見としては受け止めていいけども、つくるのは自分だから。自分の世界を構築することがベストであって、自分で新しいものを見つけるかもしれない。私はがんばれとは言いません。若い芽は早く摘んでおいた方がいいですから」と、北野監督らしいコメントで、舞台上の若手監督にエールを送りました。
~生きる理由を探す青年がみつけた光とは?~
★2014年9月28日(日)なんばパークシネマにて
★ゲスト:楳図(うめず)かずお監督(78)、片岡愛之助(42)、舞羽美海(まいはねみみ)(27)
『マザー』
(2014年 日本 1時間23分)
監督・脚本:楳図かずお、共同脚本:継田淳
出演:片岡愛之助、舞羽美海、中川翔子(友情出演)/真行寺君枝
2014年9月27日(土)~全国ロードショー
公式サイト⇒ http://mother-movie.jp/
(C)2014「マザー」製作委員会
~ 関西出身3人衆による、ホラー映画爆笑PR作戦!? ~
楳図かずお先生のせいで、子供の頃“ヘビ女”や“クモ女”のように美しい顔が急に豹変する化け物が恐くて堪らなかった。(今でもホラーは苦手だ)「おろち」「洗礼」「漂流教室」などの恐怖マンガの巨匠かと思えば、シュールなギャグで大ブレイクした「まことちゃん」の生みの親でもあり、“グワシ!”は社会現象ともなった楳図かずお。満を持して77歳にして初監督作品となったのは、母親と息子の歪んだ愛情関係が恐怖を生むという、彼自信にしか書けない自伝的要素を多く含むオリジナル本の「マザー」の映画化である。
深い愛情故に母親イチエの亡霊に襲われる楳図かずおとさくらを演じた片岡愛之助さんと舞羽美海さん、そして監督初挑戦の楳図かずお監督の3人が、公開2日目の〈なんばパークスシネマ〉に登場して舞台挨拶が行われた。3人とも関西出身とあって和やかな雰囲気で悲しくて恐い映画をPRしようとするが、どうしても笑いのノリになってしまう。
――― 最初のご挨拶を。
楳図監督:ご一緒に、“グワ~ッシ!”(いきなりのアクションに会場騒然!)満を持して監督しましたが、ようやく公開に辿り着くことができました。恐かったでしょう?(拍手)ありがとうございます。恐くないホラーというのはどうかな?と思いますので、恐いシーンをしっかり入れました。どうぞお楽しみ下さい。
愛之助:その「楳図かずお」を演じました片岡愛之助です。本日はどうもありがとうございます。「まことちゃん」で育ってきましたので、楳図先生の作品に出られて本当に嬉しいです。現場でもこの調子で和やかな雰囲気だったのですが、これでホラーになっているのか心配だったのですが、最後には「うわっ!」と叫ぶほど恐い映画になっていて安心しました。
舞羽:楳図先生と謎の怪奇現象に立ち向かう編集者の役を演じております舞羽美海です。エンドロール最後まで「ウメズ・ワールド」全開の映画に出演できて本当に楽しかったです。ありがとうございました。
――― 「14歳《FOURTEEN》」(‘90)以来のオリジナル作品ということですが?
楳図監督:そうなんです。やっと「マザー」に辿り着くことができました。辿り着いたら大阪なんばの劇場だったと…(愛之助:ここ笑うとこですよ!)(笑)
――― 監督デビュー作ですが、公開したという実感は?
楳図監督:ここで公開したという後悔はしてませんで…(笑)公開したという喜びに満ち満ちておりますので、ここで失敗して堪るか~!という感じです。
――― とてもホラー映画の舞台挨拶とは思えない雰囲気ですが…?
愛之助:ホントですね。こんなに和気あいあいとして笑って「どうでしたか?」なんて訊くことはあまりないと思うんですが、これも監督の人柄でしょう。撮影中もいつも監督はムードメーカーでした。監督と私の共通点は、「楽しんで仕事をする」。つまりいい意味の遊びの延長で仕事ができたので、本当に楽しかったです。
この作品のマンガ本に、お風呂に入っている楳図先生の所にさくらが素っ裸で入って来るページがあって、「このマンガ、結構キワドイね。本番で出てきたらびっくりするよね?」なんて話していたら、映画の終盤でマンガを書いている僕の後ろから舞羽さんが寄って来て「あっ、私と同じ名前!」というシーンがあるのですが、その時たまたまめくったページがそのお風呂のページだったんです!二人ともびっくりしました(笑)。
舞羽:とても生々しい表情になりましたが…。
楳図監督:微妙なテンションの上がり方が面白いね!(笑)
舞羽:その時の愛之助さんの表情も見てほしいです。
――― 1回見ただけでは分からないシーンがこの映画にはいっぱいあります。他にも思いつかれることは?
舞羽:さくらが初めて楳図先生のお宅に伺うシーンで、部屋の中に「まことちゃん」グッズがあちこちに飾ってあることです。人形やマグカップや隠れまことちゃんがいっぱいで、きっとマニアックな方には堪らないのでは?
――― 舞羽さんは宝塚歌劇の娘役トップでいらっしゃいましたが、ホラーは初めて?
舞羽:初めてです。意外とアクションシーンが多くて、真行寺さんをいろんな物で殴ったり、崖から落ちたりと、走り回ったり、転んだりと。
楳図監督:結構体力要る役でしたね。
――― 愛之助さんは、気付かれた所はありますか?
楳図監督:愛之助さんが気付いたとこ?
愛之助:いえいえ、僕のコーナーです(笑)。僕のボーダーの幅が変わったのを気付かれましたか?赤と白のボーダーは楳図かずおのトレードマークですが、「いざ、やるぞ!」という強気の時には幅が太く、弱気になると幅が小さくなるんです。
楳図監督: (愛之助さんのストールを持って)今日は弱気という訳ではありませんが(笑)。
愛之助:今日は若干控え目という感じですね(笑)。
――― 今日お越し頂いた皆さん関西ご出身の方ですよね?
楳図監督:そうなんです!それでどうしても関西のノリになってしまうんです。
――― 関西のノリで明るかったんですか?
楳図監督:そうですね、多分そんな気がします(笑)。舞羽さんは暗いシーンなのに明るい感じに喋ってしまい、音声さんに注意されてました。関西ということがバレてましたね。
――― 楳図監督が奈良県で、愛之助さんが大阪府、舞羽さんが兵庫県ご出身ということですが…?
楳図監督:今回関西パワーも影響したのですが、血液型も影響していたんです。僕がO型、愛之助さんがB型、舞羽さんがA型、真行寺さんがAB型と、4人ともバラバラなところが面白い。特に真行寺さんは、今まで綺麗な役が多かったのですが、AB型なので綺麗な反面崩れた役もできるのでは?と考えました。あの綺麗で優しそうな表情が恐かったでしょう?
(会場シーン)
楳図監督:はい!
愛之助:監督、自問自答してるじゃないですか?(笑)
楳図監督:人間の実態を見てしまったようで、余計に恐くなると思います。
――― 撮影場所は監督の実際のお家なんですって?
愛之助:そうなんです。よく知られている赤白のボーダーの家ではでなく、監督は沢山のお家をお持ちなんで…
楳図監督:家を建てるのが趣味なんです。家も僕の作品だと思っています。赤と緑のお皿も置いてますよ。
愛之助:緑が多い素晴らしい環境の、とても素敵なお家です。
――― 楳図かずおのプライベートも垣間見れる映画にもなっているんですね?
楳図監督:そこをベースにして物語を作っていくんです。フィクションだけでなく、真実の部分も多いんですよ。例えば、愛之助さんが掌にペンを突き刺すシーンがあるのですが、本当に掌に傷があるんです。経歴や育った場所もすべて本当なんですが、全部足すとウソになってしまうんです(笑)。
――― 是非次回作も撮って下さいね。
楳図監督:ありがとうございます。そのためには皆様の後押しが必要だと思いますので、是非応援して下さい。
――― 最後のご挨拶を。
舞羽:何度見ても楽しい映画だと思います。真行寺さん演じるマザーの深い部分にある愛情のゆがみ方とか、見れば見る程味が出てくる楽しいホラー映画だと思いますので、是非何度でもご覧頂きたいと思います。
愛之助:ホラー映画を見終えた後の舞台挨拶とは思えないほど和気合いあいとしていますが、監督、次は喜劇を作ったらどうですか?
楳図監督:あ~それはいいね!その時は愛之助さんはお笑いの役になっちゃうよ。
愛之助:勿論!喜んで頑張らせて頂きます(笑)。先程からお話に出てきておりますような見落とされた部分を何度でもご覧頂きたいと思います。
楳図監督:恐いだけじゃなくて、人間の心理、普段隠れている奥深い部分とか、人生の中の本能による苦悶などがしっかり裏に張り付いています。是非、ご近所、お友達などともう一度ご覧頂きたいと思います。そして、最後に「うわ~っ!」と脅かしてあげて下さい。
【STORY】
楳図かずお(片岡愛之助)の生い立ちを本にしようと担当編集者のさくら(舞羽美海)は初めて楳図家を訪れ、独特な「ウメズ・ワールド」グッズで囲まれた自宅の中で、母親イチエ(真行寺君枝)の不思議なパワーを感じる。調査のため楳図かずおの生まれ故郷を訪れ、イチエに関する忌まわしい過去が明らかになると同時に、楳図かずおの近親者やさくらの身辺で次々と恐ろしいことが起こっていく……。
大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹など、全国絶賛公開中!
(河田 真喜子)
(2014年 日本 51分)
~認知症介護先進国のイギリスに学べ!介護の日々も驚くべき変化が・・・~
■本音で生きる母から出た言葉「ギャラをよこせ!」「天職がみつかってよかったね」
■「やりたいことしかやらない」ことの価値
■「介護しやすい」状態に生じる、虐待の力関係を自覚する
■認知症にとって大切なのは、認知症の人の気持ちをどう理解するか
―――認知症のケアですが、内科、脳外科ではなく精神科の先生が登場しますね。