
原作は、福島第一原発事故の関係者90人以上への取材をもとにした門田隆将渾身のノンフィクション作品「死の淵を見た男吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。官邸や東京の東電本社からの指示に対峙しながら、刻一刻と状況が変化する現場の指揮を執る吉田昌郎所長を渡辺謙が、福島第一原発1機、2機の当直長、伊崎利夫を佐藤浩市が演じる他、日本の実力派俳優が集結、海外のメディアからFukushima50(フィフティ)と呼ばれ、その勇気と行動力を賞賛された、作業員たちの決死の奮闘ぶりを、目の当たりにすることだろう。
■71歳の火野正平、控え役に気付かず、酸素ボンベを担いで吹き替えなしの熱演。
■人が一人もいない町に対する複雑な思いは、映画に映ってくれていると思う。
■一回り上の先輩でも、撮っているときは仲間。作業員たちの雰囲気を映画でも映し出せた。
Fukushima 50には「50人」と「50歳以上」というダブルミーニングがあり、映画の中でも未来のある若い世代は作業に行かせず、年配の作業員が率先して危険な作業に向かった事実も明かされる。真実を知るのに遅すぎることはない。まだ記憶に新しい福島第一原発事故に改めて向き合い、日本の進むべき道を考えるきっかけにしてほしい。
(江口 由美)