「AI」と一致するもの



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この度、終戦80年になる現代の広島を舞台にアメリカ人観光客と広島の若者たちが出会い、過去と現在が交錯する不思議な物語。映画『惑星ラブソング』が6月13日(金)に全国公開(5月23日(金)より広島先行公開)となります。


wakuseiLS-pos.jpg主人公のモッチを演じるのは、本作で初めて映画主演を務める、若手実力派俳優として数々のドラマで存在感を発揮している曽田陵介。ヒロインのアヤカ役には映画、ドラマ、舞台と順調な活躍をみせる秋田汐梨。モッチとアヤカに広島で出会う謎めいたアメリカ人観光客のジョン役は、ロサンゼルスを拠点に俳優、作家、音楽プロデューサーとして活躍するチェイス・ジーグラー。UFO博士役には、映画「容疑者 室井慎次」、ドラマ「不適切にもほどがある!」などで高い人気と幅広い演技に定評のある八嶋智人、ミュージカルなど明るいイメージが強いが本作で個性的な悪役を演じる川平慈英が脇を固める。その他、谷村美月、さいねい龍二、バイキング西村瑞樹ら豪華キャストも参加している。


監督・脚本は、国際映画祭で数々の賞を受賞し、『彼女は夢で踊る』『鯉のはなシアター』『シネマの天使』『ラジオの恋』などの実績のある時川英之。広島に活動拠点を置く彼が終戦80年にあわせて手掛けた、若者たちと謎めいたアメリカ人旅行者との出会いをきっかけに繰り広げられる不思議で壮大なオリジナルストーリーとなっています。プロデューサーは、広島でアナウンサーでありながら多才な活躍を続ける横山雄二が務めます。


本イベントには、ユニークなUFO博士役を演じた八嶋智人、広島県出身で小学校教諭:山本先生役のさいねい龍二に加え、アナウンサーでありながら本作のプロデューサーを務めた横山雄二、そして監督、脚本、企画の時川英之が登壇し、映画の舞台である広島での撮影や作品にかける想いを満員の観客を前にたっぷりと語っていただきました。


■日時:4月22(火)18:30~19:00 ※上映前舞台挨拶

■会場:MOVIX広島駅 スクリーン2 (広島県広島市南区松原町2番37号ミナモア7階)

■登壇者(敬称略)八嶋智人(54歳/UFO博士役)さいねい龍二(43歳/山本先生役)

         横山雄二(58歳/プロデューサー)時川英之監督(52歳)

■司会:横山雄二


冒頭、横山さんが完成したばかりの劇場で新作を届けられる喜びを述べ、観客に向けて心からの感謝を伝え、他の登壇者を迎えて。登壇したのは、出演者の八嶋智人さん、さいねい龍二さん、そして時川英之監督。
八嶋さんは「この新しい劇場に来るのは今日が初めて。皆さんもそうですよね? そんな記念すべき日にこの映画を選んでもらえて、本当にうれしい」と話し、広島に14年通ってきた身として、交通の便がいい広島駅に新しく立派な映画館ができたことに感動している様子を見せた。


wakuseiLS-yashima-240-.jpg司会の横山さんが「本作はどんな映画か」と尋ねると、八嶋さんは「これから皆さんが見るからあまり詳しく話せないけど、これは“ファンタジー映画”なんです」と説明。「広島から“平和”を発信するメッセージが込められていて、それがとても自然に伝わる作品だと思います」と語った。


さらに、「広島で実際に撮影された現在の風景が映画のリアリティを高めていて、昔の広島と融合して映画の中で生き生きと描かれている」と述べた。また「海外からのキャストやスタッフが多く、英語が飛び交う国際的な現場でした」と振り返り、「現場はちょっとおしゃれでしたね。監督もカメラマンもイケメンだし」と冗談も交えた。


wakuseiLS-sainei-240.jpgさいねい龍二さんは「脚本をもらって読んだときに“これは新しい平和映画だな”と感じた」と語り、広島出身として強い共感を抱いた様子だった。「戦後80年を迎える中で、この作品が新しい“平和学習教材”になれば」と期待を述べた。


時川監督は「この作品は、“戦争や被爆を直接描かない平和映画”を目指しました。平和を祈る気持ちは込めつつも、堅苦しさは排して、誰にでも届く物語にしたかった」と制作の意図を明かした。


さらに、本作に協力していただいた「みどりグループ」から「マリーナホップ」や「マリホ水族館」の映像を残してほしいと依頼があったことを紹介。すでに閉館してしまったその場所を、映画に記録として残す意義についても語り、「過去の風景を未来に繋ぐという、映画の大事な役割を果たせたと思う」と述べた。


wakuseiLS-akita-240.jpg八嶋さんは撮影中の思い出として、街の人々の協力や、撮影の合間で共演者との食事の席で演技について語り合ったことを振り返り、役者同士の交流が作品に深みを与えたと語った。特にヒロインの秋田汐梨さんとは以前に舞台で共演したことがあり、「舞台では緊張していた彼女が、今回は堂々と演じていた」と感慨深げに話し、温かい現場の空気が伝わった。


最後に時川監督から「平和を祈る気持ちを込めて、だれもが楽しく見られる作品を目指した」と改めて語り、広島で撮影し、広島で上映される意味の重さを伝え、舞台挨拶を締めくくった。


【STORY】

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ある日、広島の若者モッチとアヤカは、謎めいたアメリカ人旅行者、ジョンに出会い、広島の街を案内することになる。ジョンには奇妙な力があり、街の至る所で何かを見つけていく。一方、小学校で広島の歴史を学び怖くなった少年ユウヤはその夜夢を見る。夢の中の少女はユウヤを戦時中の広島へと誘う。彼らに起こる不思議な物語は混ざり合い、一つの大きな渦となる。広島の過去と現代が交錯し、幻と現実が融合し始める。やがて忘れられていた歌が街に響き、人々はひとつの奇跡を見つめる。広島から放つ愛と平和のファンタジー。

 

■『惑星ラブソング』 (英語表記:Love Song from Hiroshima)
■キャスト:曽田陵介/秋田汐梨  Chase Ziegler  八嶋智人
       西川諄  Raimu  谷村美月 佐藤大樹(友情出演)/川平慈英
      さいねい龍二  塚本恋乃葉  西村瑞樹  キコ・ウィルソン 
      松本裕見子  田口智也  HIPPY

監督・脚本・編集:時川英之
プロデューサー:時川英之 横山雄二
特別協賛:みどりグループ
協賛:オタフクソース  モースト 津谷静子  にしき堂  やまだ屋 
   プローバホールディングス  ウメソー 広島電鉄
   生活協同組合ひろしま  Y-HOTEL薬研堀  ボートレース宮島 
   ひろぎんホールディングス フューレック
後援:広島県  広島市 広島市教育委員会 広島ユネスコ協会 
   国連ユニタール協会 鶴学園 広島大学
配給:ラビットハウス 宣伝:ブラウニー 協力:広島フィルムコミッション
企画・制作:TimeRiver Pictures
製作:「惑星ラブソング」製作委員会
コピーライト:©映画「惑星ラブソング」製作委員会

◇公式サイト:https://wakuseilovesong.com
◇X(旧Twitter):https://twitter.com/wakuseilovesong (@wakuseilovesong)
◇instagram: https://www.instagram.com/wakuseilovesongfilm (@wakuseilovesongfilm)

2025年5月23日(金)よりMOVIX広島駅ほか広島県先行公開

2025年6月13日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、イオンシネマ(シアタス心斎橋、京都桂川、和歌山)ほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)


EUに加盟する全27カ国のアニメーション作品が集結!

最先端3Dアニメーションから現存する最古の⻑編影絵アニメー ション

まで、⻑編13、短編31の全44作品を⼀挙上映!!

 

EUフィルムデーズは、欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が選んだ自国の注目作品を一挙上映するユニークな映画祭です。本年の映画祭は大阪・関西万博に合わせて、5月9日(金)より大阪・テアトル梅田にて開幕し、6月28日(土)より東京・シアター・イメージフォーラム、その後、名古屋―福岡―京都と順次開催いたします。また本年は「ヨーロッパの珠玉のアート・アニメーション集結!」をキャッチフレーズに、「アニメーション」にフォーカスし、各国が厳選した短編および長編アニメーション作品を上映いたします。映画を通じて、ヨーロッパ各国の魅力を再発見できる映画祭です!
 

eufd25_pos.jpgEUフィルムデーズは、欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が選んだ自国の注目作品を一挙上映するユニークな映画祭。EUに加盟する全27カ国が勢ぞろいする本年は、本映画祭では初となる「アニメーション」にフォーカスし、各国が厳選した短編および長編アニメーション作品を上映。ヨーロッパでは歴史的に、芸術性が高く、洗練されたアニメーションが数多く作られ、世界的な評価を得てきた。その手法はドローイングからストップモーション、または最先端の3Dアニメーションまで多岐にわたり、個人の内面世界から社会的な問題まで様々なテーマが扱われている。


この度解禁したポスタービジュアルは、日本画を彷彿とさせるタッチのイラストレーションで心温まる親子の絆を描き、カンヌ国際映画祭2022批評家週間審査員賞を受賞したポルトガルの監督ジョアン・ゴンザレス作『氷商人』の一幕を採用。本作は、断崖に建てられた極寒の家で暮らし、パラシュートで遠く離れた村に氷を売りに行く親子が主人公のイマジネーション溢れる物語だ。
 


EU2025_1.png長編の注目作としては、英国のバンド、ザ ・プロディジーのミュージッククリップや異色のパペットアニメ『愛しのクノール』を手がけたオランダのマッシャ・ハルバースタット監督による長編第2作『キツネのフォスとウサギのハース~森を救え~』、
 

 

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ヒッチコック、ピカソ、ウォーホルなどへのオマージュに彩られたハンガリーのミロラド・クルスティッチ監督によるサイコスリラーで、ロカルノ国際映画祭でプレミア上映された『名画泥棒 ルーベン・ブラント』などが挙げられ全て本邦初公開となる。
 

EU2025_3.jpgまた、『マロナの幻想的な物語』で知られるルーマニアのアンカ・ダミアン監督の最新作で、時事問題を不条理なユーモアで詩的に表現したアニメーションミュージカル『アイランド』も本邦初公開。一方、「千夜一夜物語」を基にドイツのロッテ・ライニガー監督が創作した大作『アクメッド王子の冒険』は1962年に製作の現存する最古の長編影絵アニメーションで、貴重な上映となる。


2003年から続くEUフィルムデーズで初の試みとなる「アニメーション」にフォーカスしたEUフィルムデーズ2025。これまでとは違う角度でヨーロッパを再発見していただきたい。
 


【長編上映作品】※「★」印の作品は日本初公開

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●『アクメッド王子の冒険』 The Adventures of Prince Achmed
 監督:ロッテ・ライニガー/1926/ドイツ/66分(右)

★『イカロスとミノタウロス』 Icarus and the Minotaur
 監督:カルロ・ヴォーゲレ/2022/ルクセンブルク/76分

●『イヌとイタリア人、お断り!』 NO DOGS OR ITALIANS ALLOWED
 監督:アラン・ウゲット/2022/フランス/70分

●『スルタナの夢』 Sultana's Dream
 監督:イサベル・エルゲラ/2023/スペイン/86分

★『アイランド』 The island
 監督:アンカ・ダミアン/2021/ルーマニア/85分

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★『ドンとDJの大冒険 ~セントラルパークの仲間たち~』 The Inseparables
 監督:ジェレミー・デグルソン/2023/ベルギー/85分(右)

★『名画泥棒』 ルーベン・ブラント Ruben Brandt, Collector
 監督:ミロラド・クルスティッチ/2018/ハンガリー/93分

●『農民』 The Peasants
 監督:DKウェルチマン、ヒュー・ウェルチマン/2023/ポーランド/113分

★『キツネのフォスとうさぎのハース~森を救え~』Fox and Hare Save the Forest
 監督:マッシャ・ハルバースタット/2024/オランダ/71分

★『ビッグ・マン』 Big Man
 監督:ラデク・ベラン/2024/チェコ/73分

●『フリー』 Flee
 監督:ヨナス・ポーヘア・ラスムセン/2021/デンマーク/88分

★『ニコ 〜サンタのそりを救え!〜』 Niko: Beyond the Northern 
 監督:カリ・ユーソネン、ヨルゲン・レルダム/2024/フィンランド/85分

★『心の法』 Law of the Heart
 監督:ロゼ・スティエブラ/2024/ラトビア/65分

(*『アクメッド王子の冒険』©Primrose Productions)
(*『ドンとDJの大冒険 ~セントラルパークの仲間たち~』© nWave – Octopolis-ACF 2023)


【開催会場】

大阪 (テアトル梅田):5/9(金)~5/29(木)
東京 (シアター・イメージフォーラム) : 6/28(土)~7/11(金)
名古屋 (キネマノイ):7月下旬
福岡 (福岡市総合図書館映像ホール・シネラ):8/20(水)~8/24(日)、8/27(水)~8/30(土)(9日間・予定)
京都 (京都文化博物館):9月(予定)


【EUフィルムデーズ2025】

主催:駐⽇欧州連合代表部、在⽇EU加盟国⼤使館・⽂化機関
共催:イメージフォーラム
公式サイト:https://eufilmdays.jp/


(オフィシャル・リリースより)


 


renoir-pos.jpg長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミ ー賞日本代表として選出、更に第 16 回アジア・フィルムアワード、中国最高賞と言われる第 35 回金鶏奨、第 58 回シカゴ国際映画祭他、世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督長編2作品目となる新作『ルノワール』も、第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品 が決定!日本では6月20日(金)より全国公開となります。
 


早川千絵 監督コメント ◢

『ルノワール』を共に作り上げたキャスト、スタッフ、全ての関係者の皆さんにまずは感謝を伝えたいです。

そして、映画を作り始めたばかりの私に最初にチャンスを与えてくれたカンヌ映画祭が、この映画を温かく迎え入れてくれたことに気が引き締まる思いです。

 

鈴木唯 コメント ◢

『ルノワール』がカンヌ映画祭コンペティション部門に出品されると聞いたとき、びっくりしたしとても嬉しかったです!嬉しくて飛び跳ねてしまいました。これからどうなっていくかワクワクしています!!

早川監督、『ルノワール』を一緒に作った皆さんおめでとうございます!

 

石田ひかり コメント ◢

早川監督、スタッフキャストの皆さんと創り上げた映画『ルノワール』が、カンヌ映画祭の審査を通過し、「コンペティション」部門に出品されるとの報せを受け、言葉に出来ないほどの幸せと感謝と感動と興奮を覚えております。

この作品に参加できただけで充分に満足し、幸せでしたのに、一俳優としてカンヌの地を踏む日が来るなんて考えたこともなかったので、ただただ驚きと興奮の中にあります。 『ルノワール』が、カンヌを始め、世界に羽ばたく瞬間を、全ての瞬間を、心に刻みつけてきます。 早川監督、スタッフの皆さん、おめでとうございます!!(まだまだ心の整理が付きませんが、少しでもフランス語でスピーチ出来るよう特訓を始めます!)

 

リリー・フランキー コメント ◢

多様な人、様々な国、すべての方々の心の片隅に触れる事のできる映画だと思っています。そして、その機会に恵まれたことを誇りに思います。

 


[STORY]

1980 年代後半のある夏。11 歳のフキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。

[CREDIT]

出演:鈴木唯  石田ひかり  中島歩  河合優実  坂東龍汰 /
リリー・フランキー  Hana Hope  高梨琴乃  西原亜希  谷川昭一朗  宮下今日子  中村恩恵
プロデューサー:水野詠子 Jason Gray 小西啓介 Christophe Bruncher Fran Borgia
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛俱楽部 KINOFACTION テンカラット Ici et Là Productions/Akanga Film Asia/Nathan Studios/Daluyong Studios/ARTE France Cinema/KawanKawan Media/Panoranime
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
制作協力プロダクション:キリシマ1945
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)
© 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners
公式HP:https://happinet-phantom.com/renoir/
公式X:https://x.com/renoir_JP
公式Instagram: https://www.instagram.com/renoir_JP/ #映画ルノワール

2025年6月20日(金)~大阪ステーションシティシネマ他全国ロードショー


(オフィシャル・リリースより)


 


renoir-pos.jpg長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミ ー賞日本代表として選出、更に第 16 回アジア・フィルムアワード、中国最高賞と言われる第 35 回金鶏奨、第 58 回シカゴ国際映画祭他、世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督長編2作品目となる新作『ルノワール』も、第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品 が決定!日本では6月20日(金)より全国公開となります。


高齢化社会が深刻化した近い将来の日本を舞台に、75 歳以上の国民に生死の選択を迫る衝撃的な物語を描い た『PLAN 75』から3年――。待望の最新作『ルノワール』で綴られるのは、80年代後半の夏、闘病中の父と、 仕事に追われる母と暮らす 11 歳の少女・フキの物語。主人公・フキを演じるのは多数の候補者の中からオーデ ィションで抜擢された、驚異の新人・鈴木唯。役柄と同様 11 歳だった彼女の、真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スクリーン一杯に広がる瑞々しい演技に誰もが心奪われる。フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキーと、数々の映画賞を受賞してきた名優に加え、フキが出会う大人たちには、中島歩、『PLAN 75』に続き河合優実、そして坂東龍汰ら大ブレイク中の若手実力派俳優陣が出演する。 名優たちとの共演を経て、12 歳でカンヌ主演デビューを果たす鈴木が主演女優賞に輝いた場合、かつて主演男優賞を獲得した『誰も知らない』(是枝裕和監督作)の柳楽優弥(当時 14 歳)より若い《最年少受賞》となり、併せて《日本人初の主演女優賞》への期待も高まる。  
 

不完全な大人たちの孤独や痛みに触れる、11歳のひと夏。

うれしい、楽しい、寂しい、怖い…そして“哀しい”を知り、

少女は大人になる。

子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女のひと夏を描いた映画『ルノワール』。 マイペースで想像力豊かな主人公・フキは、事情を抱えた大人たちと触れあう中 で、11歳の小さな体に宿る“うれしい・楽しい”という感情をむくむくと膨らませていくが、時折見せる子供特有の残酷な一面や鋭い視線にどきりとさせられることも。早川監督は、少女が積み重ねていく感情のひだを細やかに描写すると共 に、大人たちの人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユー モアを持って描き出した。観客は自分にも覚えのある子どもならではのひりひりとした感情と、今の自分に似た大人たちの孤独や痛みに共感し、激しく心を揺さぶられるだろう。


今回解禁された予告編は、11 歳のフキが「みなしごになってみたい」というタイトルの作文を提出し、母親(石田ひかり)が担任教師に呼び出されるシーンから始まる。自由な発想で時たま大人を驚かせるフキだが、闘病中の父親(リリ ー・フランキー)をいつも気にかけ、放課後は父親の病室へ通う。そんな日々の中で、フキがそれぞれに事情を抱えた大人たちと対峙する姿が紡がれていく――。同じマンションに住む久理子(河合優実)が、哀しみに暮れた表情で、ベランダから下を見下ろしている事に気付くフキ。久理子は誰にも話せずにいた秘密をフキに 打ち明け始める。またある時は、母が知り合った男性・御前崎(中島歩)や、大学生・薫(坂東龍汰)と出会 い、フキの日常が変化していく。「人が死ぬと泣く、どうして悲しいんですか?」と大人に問いかけるフキの声。子どもと大人の間で揺れる、ひと夏が繊細に描かれる。 
 


[STORY]

1980 年代後半のある夏。11 歳のフキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。

[CREDIT]

出演:鈴木唯  石田ひかり  中島歩  河合優実  坂東龍汰 /
リリー・フランキー  Hana Hope  高梨琴乃  西原亜希  谷川昭一朗  宮下今日子  中村恩恵
プロデューサー:水野詠子 Jason Gray 小西啓介 Christophe Bruncher Fran Borgia
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛俱楽部 KINOFACTION テンカラット Ici et Là Productions/Akanga Film Asia/Nathan Studios/Daluyong Studios/ARTE France Cinema/KawanKawan Media/Panoranime
企画・制作:ローデッド・フィルムズ
制作協力プロダクション:キリシマ1945
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)
© 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners
公式HP:https://happinet-phantom.com/renoir/
公式X:https://x.com/renoir_JP
公式Instagram: https://www.instagram.com/renoir_JP/ #映画ルノワール

2025年6月20日(金)~大阪ステーションシティシネマ他全国ロードショー


(オフィシャル・リリースより)


uoshu-bu4.1-550.JPG(左から、株式会社浅田飴 代表取締役社長 玉木卓、岡﨑育之介監督、研ナオコ、梅沢富美男)


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映画界に新たな風を吹き込む注目株俳優・中尾有伽×認知症の祖母・紀江役に芸能生活55周年・研ナオコがW主演を果たす映画『うぉっしゅ』が、2025年5月2日(金)新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座 他 全国公開いたします。本作の企画・脚本・監督を務めたのは、永六輔の孫・岡﨑育之介


この度、公開に先駆けて「浅田飴presents映画『うぉっしゅ』×研ナオコデビュー55周年記念トークイベント付き試写会」が4月1日(火)にて開催。55周年のお祝いで親友・梅沢富美男さんも駆けつけ、花束を贈呈し、さらに劇中での研さんの演技について「認知症の役、ピッタリ!」と親友ならではの息の合った冗談で会場を沸かせました。

 


◆日時:4月1日(火)18:30~19:00 約30分)

◆会場:新宿ピカデリー・シアター6(新宿区新宿3-15-15)

◆登壇者  :研ナオコ(71歳)、岡﨑育之介監督(31歳)

◆特別ゲスト:梅沢富美男(74歳)、株式会社浅田飴 代表取締役社長 玉木卓



uoshu-bu4.1-ken-240-1.JPG芸能生活55周年の研ナオコが9年ぶりに主演した映画『うぉっしゅ』(5月2日全国公開)。4月1日には都内映画館で完成披露上映&研ナオコ デビュー55周年記念イベントが実施され、主演の研ナオコ、監督の岡﨑育之介、さらに研の友人・梅沢富美男が参加した。

 

満員御礼で迎えたこの日、認知症の祖母・紀江を演じた研はデビュー55周年の節目でもあることから、客席から祝福の声を受けながら「今日はお足元の悪い中、沢山の方に来ていただきありがとうございます。本当ならば天気の良い日に普通に来ていただくのが良かったけれど、岡﨑監督が雨男だから…」と笑わせながら感謝を述べた。

 

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一方、祖父・永六輔さんの私物であるジャケット着用で登壇した岡﨑監督は「今日の雨模様は僕のせい!?すみませんでした」と冗談めかして観客に頭を下げながら「悪天候を僕のせいにされてプレッシャーですが…今日はお越し下さりありがとうございます!」と笑顔を見せた。

 

改めて研は、オファー快諾の理由について「監督は無名だけれど、内容は面白いし、これから伸びていくのではないかとの期待も込めて出演させていただきました」と岡﨑監督のセンスに着目したといい「ただそれには条件があって『私の演技に妥協するなら出ない』と。監督にはご自身が納得いくまで撮って欲しかったから」と明かした。

 

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これに岡﨑監督も「恐れ多いお話しではありましたが、私としても望むところですと。仰せの通りに徹底してこだわりぬいて、最高級の一番いい形を目指して撮影しました」と気合十分。撮影を通して研とはすっかり意気投合したようで「撮影の合間に研さんから『よかったらうちの娘と結婚しない?』と言われて。もしかしたら映画公開初日を迎える時には僕の苗字も変わって本当の意味でケンズファミリーになっているかも!?そんな冗談も交わさせていただきました」と研の個人事務所の社名にかけてジョーク。研も「うちの娘と性格的に合うかなと思って言ってみたら『ぜひ!』と答えてきたので『…マジか!?』と思った」とかぶせるように笑いを取っていた。


 

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また岡﨑監督は「私は女優じゃないので役作りが出来ない。だから普段のままでやりました」という研の演技について「達者なお芝居をしていただいて、歴史に残る名演をされています」と太鼓判を押すと、研は「お?狙っちゃう?日本アカデミー賞主演女優賞!?」とノリノリ。さらに研は、永六輔さんが浅田飴のCMキャラクターを30年以上務めていた縁から株式会社浅田の玉木卓社長より芸能生活55周年を祝した花束&賞状を贈呈されると「『うぉっしゅ』を世界に羽ばたかせて、岡﨑監督を世界に連れて行きます!」と意気込んでいた。


さらに研と20年以上の付き合いという梅沢富美男も駆け付けて花束贈呈。梅沢は「今日4月1日が研ナオコさんのデビュー記念日だとは知らずビックリ」と驚きながら「今から遡ること48年前の1977年、研さん主演の『美女放浪記』という映画があります。…それが見事にスベりました!だから今回の映画はスベるわけにはいかない、芸能生活55周年に泥を塗るような映画は作らせません!」と宣言した。
 

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そんな梅沢は本作を先んじて鑑賞しており「認知症の役、ピッタリ!見事なもので、この人こんなに凄い演技が出来るのかと。私の舞台でいつも女優として使っているけれど、ここまで感動したのは初めて。何故あれを舞台でやらないのか!?」とまくし立てて研を爆笑させつつ「この映画で日本アカデミー賞主演女優賞を狙っております。愛しくて切ない映画であり、観終わったらきっと家族や友人と出会いたくなる作品です」と大絶賛した。ただ岡﨑監督には一つだけ文句があるそうで、梅沢は「どうして私をソープ嬢の客として使ってくれなかったのか?『うぉっしゅ』パート2があるのならば、是非ともお客さん役でお願いします」と自らを売り込んでいた。


漫才のようなやり取りで場内大爆笑の中、舞台挨拶もあっと言う間に終了の時刻に。最後に主演の研は「肩の力をふっと抜いてご覧ください。観終わった後に誰かに会いたいとか連絡したいなと言う気持ちになってもらえたらとても嬉しいです」とアピール。岡﨑監督も「本作を観終わった帰り道に家族や友達の事を思い出して、連絡を取ってみたり会いに行ってみたり、そんな行動のきっかけに繋がったら『うぉっしゅ』を作った意味があると思っています」としみじみ語りかけていた。

 


<あらすじ>

uoshu-550.jpgソープ店で働く主人公・加那(中尾有伽)。ある日、母から電話が。「一週間だけ、おばあちゃん の介護してくれない?」 仕事のことを隠していた加那は、ソープ嬢ということを秘密に、翌日から祖母宅⇔ソープ店を行き来して、“人 の身体”を洗い続ける二重生活〈ダブルワーク〉をすることに。認知症が進み、名前すら覚えていない祖母・紀江(研ナオコ)の介護に奮闘する加那。

会うたびに“初対面”を繰り返してゆく毎日。「どうせ忘れる」相手に対し加那は、祖母との暮らしの中で、本当の事を素直に打ち明けられている自分に気付く。そして祖母の知らなかった、これまでの人生と孤独が垣間見えてきて…。

 

出演:中尾有伽 研ナオコ 
   中川ゆかり 西堀文 嶋佐和也(ニューヨーク)
   髙木直子 赤間麻里子 磯西真喜 
監督・脚本・編集  岡﨑育之介                             
企画:岡﨑育之介 音楽:永太一郎                       
撮影:江成隼 照明:西野正浩                             
制作プロダクション:役式 宣伝協力:浅田飴 
©役式 
配給:NAKACHIKA PICTURES 
2023年|115分|カラー|DCP

2025年5月2日(金)~大阪ステーションシティシネマ/なんばパークスシネマ/MOVIX京都/kino cinema 神戸国際/OSシネマズミント神戸 ほか全国公開!


(オフィシャル・レポートより)

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韓国観客動員数5週連続第1位、韓国観客動員数750万のメガヒット(2024.12.26/KOFIC調べ)映画『베테랑2』(英題:I,THE EXECUTIONER)が、邦題を『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』とし日本公開が決定、4月11日(金)より公開いたします。
 

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本作は、2015年に公開され韓国で1340万人を動員し大ヒットした痛快アクション『ベテラン』の第二弾となる。韓国を代表するヒットメーカーで『密輸 1970』『モガディシュ 脱出までの14日間』などを手掛けてきたリュ・スンワン監督、 『密輸 1970』に続く、2作品連続の来日!『ソウルの春』『工作 黒金星と呼ばれた男』「ナルコの神」など話題作に次々と出演し、韓国映画を代表する俳優と名高いファン・ジョンミンが満を持し9年の時を経てベテラン刑事ソ・ドチョル役で再び主演、前作以上にキレのある激しいアクションを披露する。さらに新たに凶悪犯罪捜査班に加わる新人刑事パク・ソヌ役に、『ソウルの春』「D.P.-脱走兵追跡官-」「となりのMr.パーフェクト」で人気の注目俳優チョン・ヘインがW主演し最強タッグを組み、前作以上にパワーアップして帰ってきた。さらに凶悪犯罪捜査班のメンバーとしておなじみの「イカゲーム2」のオ・ダルス、「涙の女王」のチャン・ユンジュ、『デビルズ・ゲーム』のオ・デファン、「ラブレイン」のキム・シフ、さらに「財閥×刑事」「ユミの細胞たち」アン・ボヒョンと豪華メンバーが集結した!

 

この度、リュ・スンワン監督、W主演を務めるファン・ジョンミンとチョン・ヘインの来日!日本公開決定の喜びを、本作の見どころと共に、熱く、たっぷり語っていただきました!

本日のイベントは二部構成。第一部は、マスコミの皆様を対象とした【記者会見(質疑応答あり)】、第二部は、一般のお客様も入れた【ジャパンプレミア/上映前舞台挨拶】を実施いたしました。


■日時:4月3日(木) 

■場所:新宿ピカデリー スクリーン1(新宿区新宿3丁目15−15)

■登壇者(予定):リュ・スンワン監督(51歳)、ファン・ジョンミン(54歳)、チョン・ヘイン(37歳)

■MC: 古家正享  ■通訳:根本理恵 ヨン・ジミ

第一部:緊急来日記者会見 16:10~16:35 来日記者会見

第二部:ジャパンプレミア(上映前 舞台挨拶)17:00~17:25  ジャパンプレミア(有観客舞台挨拶)


【第一部:緊急来日記者会見】

veteran-kaiken-500-1.jpgこの日は二部構成で行われた本イベントだが、第一部では報道陣を対象とした来日記者会見を実施

会場にやってきたリュ・スンワン監督が「皆さんこんにちは。今日は貴重な時間を割いて来てくださってありがとうございます」とあいさつ。続いてファン・ジョンミンが「このように日本に来て、映画を紹介できること、そしてこの場を設けてくださったことに感謝しております」と語ると、チョン・ヘインも日本語で「皆さんにお会いできてうれしいです。韓国俳優のチョン・ヘインです。少し緊張しますね。今日は頑張りますので、よろしくお願いします」と会場に呼びかけた。


veteran-kaiken-240-3【リュ・スンワン監督_会見】.jpg本作は、2015年に韓国で動員1340万人という記録的大ヒットを記録した映画『ベテラン』の9年ぶりの続編となる。そのことを踏まえてリュ・スンワン監督が「前作は国内外で成功をおさめることができました。それは予想以上のことでしたが、当然ながらファン・ジョンミンさんを迎えて続編をつくろうと思いました。でも前作よりもいい作品をつくらなければというプレッシャーがあったので、着手するまでに時間がかかってしまいました。ただ9年もかかったとは思っていなくて。撮影をした時も9年ぶりというよりは、9日ぶりに撮っているような感覚でいました」と振り返る。


ファン・ジョンミンも「前作が終わった後に2を撮りたいねという話はしていたけど、1を超えるような、もっといい作品をつくろうということで監督は悩まれていて。それで時間がかかったんです。ただ監督とは、その間にほかの作品でもご一緒していたので、顔を合わせた時もやりづらさはなかった。やはり『ベテラン』という作品に込められたストーリーが観客の皆さんに支持を集めたわけで。まわりにも映画を観たという方も多かったんです。韓国ではお正月やお盆などに地上波で放送されていたので、あれからもう9年もたったのかという方も多かったと思います。自分たちとしても前作のすぐ後に撮ったんじゃないかという気がしています」としみじみと語った。


さらにチョン・ヘインも「やはり前作が多くの方に愛された作品なので、作品に入る前から緊張していましたが、ファン・ジョンミン先輩のおかげで早く現場に溶け込むことができましたし、作品に対するプレッシャーを感じることなく、演技のことだけに集中できるよう助けていただけました。心より感謝しています」と語ると、「とにかく1日1日、シーンを撮り進める中で、プレッシャーはなくなっていきました。とにかくベストを尽くして、与えられた仕事に集中しようと思い、撮影に挑みました」と振り返った。


veteran-kaiken-240-1【ファン・ジョンミン_会見】.jpgそんな後輩の姿を温かなまなざしで見守っていたファン・ジョンミンは、「監督からも、ヘインさんが参加されると聞いて、私は両手を大きく掲げて拍手をしたことを思い出します。やはり前作は韓国でも大成功した作品ということで、作品自体に大きなエネルギーがあるわけです。我々は前作から参加しているため、それまでの継続性や、築き上げたものがあるけど、ここから新たに参加するのはやりづらさやプレッシャーもあったと思う。彼は(ドラマ「となりのMr.パーフェクト」の原題である)“お母さんの友達の息子”というイメージが強い人なので、そういう人が難しい役どころを演じるということのプレッシャーもあったと思う。ただ映画を観ていただければ分かると思うんですけど、そんなプレッシャーを乗り越えて、非常に見事な演技をされているので。われわれは心からの拍手を送りたいと思います」と語った。
 


veteran-kaiken-240-2【チョン・ヘイン_会見B】.jpgさらに「アクションシーンで印象に残っているところは?」という質問を受けたチョン・ヘインは、「とにかく今回はアクションシーンが多くて。記憶に残っているのは、私が演じたパク・ソヌの大事なところを、ソ・ドチョル刑事に加撃されたところですね。それはとても苦しかったですし、撮影の時も困った記憶があります」と語って会場を沸かせると、ファン・ジョンミンも「この作品はとにかく冬の寒い時期に撮影をしていたんですが、屋上に水をまいてのアクションシーンがあって。とにかくあまりにも寒すぎて、うまく撮れるかどうかという意識はなくなってしまい。とにかく早く帰ってシャワーを浴びたいと。そのことばかり考えていました。あのシーンだけで5日間、夜通し撮っていたんです」と明かし、会場の記者を驚かせた。


そして本作のタイトルにかけて「あなたが思う理想のベテランは?」という質問も。それに対してリュ・スンワン監督が「こういった質問にうまく答えられるのがベテランだけど、私はまだうまく答えられないですね」と笑うと、チョン・ヘインが「僕が考えるベテランというのは、二つあるような気がします。まずはアクションや犯罪アクションができる人。まさにこの作品がシリーズとして多くの人に愛されてほしいと思います。そしてもうひとつの意味でのベテランというのは、それぞれの居場所で自分の仕事を一生懸命頑張って。そして他人にとって規範になる人。ほかの人を助けられる人がベテランだと思います」とコメント。


その言葉を聞いたファン・ジョンミンが「その話、僕が言おうと思っていたのに先に言われてしまいましたね」とおどけながらコメントし、会場を沸かせると、「こういう人がベテランなんですよ」と笑ったリュ・スンワン監督。そしてあらためて「理想的なベテラン像……難しい質問ですね。でもヘインさんが言った通り、自分の居場所の中で仕事をしている人たち、さらにはここにいらっしゃる方もそうだと思うんですが、仕事を離れた場所であっても、自分の人生の中で、主婦の方なら主婦として、父親ならば父親として、学生ならば学生としてと、自分のやるべきことをしっかりとやりながら、自分の人生をしっかりと生きる。まさにここにいる皆さんすべてがベテランなんじゃないかと思います」と呼びかけた。



【第二部:ジャパンプレミア】

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続いて第二部では、観客を入れてのジャパンプレミア・イベントが行われ、映画上映前に舞台あいさつを実施。あらためて3人がステージに登壇すると、会場からは大きな歓声がわき起こった。


veteran-bu-240-3【リュ・スンワン監督_ジャパンプレミア】.jpgそしてあらためて9年ぶりの新作ということにリュ・スンワン監督も「9年という時間は非常に長い時間ですが、私たちはいつも続編をつくろうと話し合っていました。ただお互いに家で育てている子どもたちが大きくなっていく姿を見て、時間がたったなとは思うけど、私たちの時間はまったく別でした。9年という時間は、この作品がさらに発展して、主人公のすてきな成長を見せたいと思って悩んだ時間なんです。今日、皆さんに映画を観ていただいて、その9年という時間を十分に感じていただき、それに見合った楽しさを皆さんに届けられるんじゃないかと思います」とあいさつ。

 

 


veteran-bu-240-1【ファン・ジョンミン_ジャパンプレミア】.jpgファン・ジョンミンも「『ベテラン』という作品は我々にとってもそうですが、韓国映画に従事する人たちにとっても非常に重要な作品なのです。それはコロナ禍によって、韓国の映画産業が打撃を受け、劇場で映画を観られない状況に陥っていたからです。だからこそこの映画で映画館、および韓国映画界に活力を取り戻したい。元気になってほしい。映画館に観客が戻ってきてほしいと思い、つくった作品です。幸いなことに本当に多くのお客さまに映画館に足を運んでいただき、応援していただき、韓国映画界もまた少し良くなって。活況を取り戻してきたわけで、そのおかげでこうして我々も日本に来ることができたのではないかと思っています」と力強くコメント。さらに「私が皆さんにお伝えしたいことは、まずはこの場にお招きいただきありがとうございますということと、皆さんに楽しんでご覧いただきたいということ。見終わった後は私まで連絡をいただけたらと思います。電話番号は010-000-0000です」と冗談めかして付け加え、会場を笑いに包んだ。


veteran-bu-240-2【チョン・ヘイン_ジャパンプレミア】.jpgまたチョン・ヘイン「学生の頃に前作を観ていたので、この作品のオファーを受けた時は夢のようでした。ただプレッシャーもありましたが、ファン・ジョンミン先輩が自ら私に声をかけてくれて、普段お酒はお飲みにならないのに『一杯やろう』と誘ってくれた。ですからとても気が楽になって、楽しく撮影ができました」と感謝すると、ファン・ジョンミンも「彼もプレッシャーは大きかったと思いますが、それにもかかわらずスポンジのように吸収して受け止める、本当にすばらしいエネルギーを持つ俳優さんだと思いました。とにかく彼が人に接する時の姿や、作品への取り組み方などは、逆に自分の方が学ばせていただいた」とコメント。さらにチョン・ヘインの手をとって「私はチョン・ヘインさんが大好きです!」と宣言すると、会場も大喝采となった。


韓国では350回ほどの舞台あいさつを行ってきたというファン・ジョンミン。「やはりお客さまに直接触れあえる機会は大きなものですよね」という司会者の言葉に「もちろんです!」と力強くうなづくと、「今日もここにいる皆さまと、映画を通じてコミュニケーションをとりたいという願いを持ってやってきました。皆さまと目を合わせてごあいさつをしながら、『こんな映画を撮りました』『これからこんな映画をご紹介します』といった具合にお披露目するこの時間が、俳優の私たちにとって、本当に大きな時間であり、思い出に残るもの。それはとても光栄なものなんです。ですから、舞台あいさつの最中というのはとても楽しい時間を過ごしてたので。350回という回数を聞くと、かなりの数だなと思いますが、その最中は楽しんでやっていました」とコメント。


チョン・ヘインも「日本には何回も来ていますが、本業である俳優として、出演した作品をもってごあいさつできることが一番胸が熱くなる瞬間です。韓国では舞台あいさつをたくさんしたわけですが、実はその舞台あいさつを通じて健康になったんです。なぜかというと、舞台あいさつでは階段をのぼったり下りたりということを何度もするので。自然と下半身が強くなりました」と笑いつつも、「でもここに立っていると舞台あいさつをした時の瞬間や思い出がよみがえってきます。それは僕にとって本当に大きなプレゼントとなりました。本当にありがとうございます」と語ると会場からは大きな拍手がわき起こった。


そしてその後、写真撮影の時間となったが、その間もファンからの歓声は鳴りやまずに大盛り上がり。その様子を見たファン・ジョンミンが、隣のチョン・ヘインに「客席を一周してきたらどうですか?」と提案すると会場は大喝采。その言葉を受けたチョン・ヘインが客席の間を練り歩くと会場内も興奮のるつぼに。この日のイベントは終始、大盛り上がりとなった。


監督:リュ・スンワン
脚本:リュ・スンワン、イ・ウォンジェ
出演:ファン・ジョンミン、チョン・へイン、アン・ボヒョン、オ・ダルス、チャン・ユンジュ、オ・デファン、キム・シフ、シン・スンファン
2024年/韓国/韓国語/118分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/
字幕翻訳 根本理恵
提供:KADOKAWA Kプラス MOVIE WALKER PRESS KOREA 
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス 
ⓒ 2024 CJ ENM Co., Ltd., Filmmakers R&K ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:https://veteran-movie.com/index.html
公式X: https://x.com/veteran_movie

2025年4月11日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、Kino Cinema神戸国際 ほか全国ロードショー


『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』公開記念 
4/4(金)~『ベテラン』期間限定カムバック上映!!

詳細は公式HPへ
公式サイト veteran-movie.com
公式X  https://x.com/veteran_movie


 


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長尾謙杜(なにわ男子)が劇場映画初主演を務める映画『おいしくて泣くとき』が、4月4日(金)より全国公開となります。

 
おいしくて泣くとき-pos.jpg映画『ふしぎな岬の物語』(14)の原作「虹の岬の喫茶店」などメディアミックスが相次ぐ人気作家・森沢明夫による、“人を純粋に想う優しさ”をまっすぐに描き多くの読者の心を震わせた同名小説を、森沢の著書『大事なことほど小声でささやく』(22)でも監督を務めた横尾初喜がメガホンをとり映画化。「なにわ男子」のメンバーである長尾謙杜が主人公の心也役を演じ、劇場映画初主演を果たす。そしてヒロインには活躍目覚ましい若手俳優・當真あみ、心也の父・耕平役には安田顕、30年後の心也役にはディーン・フジオカと豪華キャストが名を連ね、一生に一度の切ないラブストーリーを紡いでいく。

本日3月25日(火)、主演の長尾にとっては地元凱旋となる大阪で、公開直前イベント・舞台挨拶を実施。主演の長尾謙杜、ヒロインの當真あみ、横尾初喜監督がサプライズ登壇し、作品への想いや撮影現場でのエピソードなどお話いただきました。
 


【日時・会場】 3月25日(火)

  • 昼帯       公開直前イベント @RIBIAオープンステージ
  • 15:00~15:20 舞台挨拶      @なんばパークスシネマ

 【登壇者】 長尾謙杜、當真あみ、横尾初喜監督 ※敬称略


 

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開始30分前に登壇告知という平日のゲリライベントにも関わらず、大阪・アメリカ村のランドマークである三角公園には約1000人が集まり、RIBIAオープンステージに3人が姿を見せると会場からは大歓声が巻き起こった。長尾は「すごく嬉しいです」と話し、當真は「こんなに来て下さると思ってなかった」と大感激、「いや~ちょっと圧巻です。びっくりしてます」という監督と共に、MCにうながされ3人全員で“たこ焼きポーズ”を披露。地元・大阪の思い出を問われた長尾は「ほぼ毎日この辺で遊んだりしていたので、ここでこうやってイベントができるのが、すごくエモい」と学生時代を懐かしみ、「おかえり~」というファンの声に「ただいまです!ありがとう~」と応じた。

世界のどこかで 君が笑っていますように―


oishikutenaku-500-1.jpg本作で主人公の高校生・心也を演じた長尾は「自分の学生生活を思い出しながら演じました。心也はとてもピュアで正義感が強い子なので、逆に(心也に)教わったところもありました」と撮影を振り返る。長尾と當真が醸し出す自然な空気感について問われた監督が「順撮りの撮影だったので、最初は初めましてで本当にぎこちない2人から始まりました」と明かすと、長尾は「(2人の距離が縮まっていく様が)いい感じで作品にも出ているんじゃないかなと思います」とコメント。當真は「長尾さんはもちろん年齢も芸歴も先輩なので、少し緊張はあったんですけど、撮影の雰囲気を和ませるためにも話しかけてくださったりしたので、本当に助けられました」と長尾への感謝を語った。


号泣必至の本作について、長尾は「皆さんが経験したことがあるような、初恋であったり、大切な人を想う気持ちであったりが繊細に描かれている作品。初恋の“愛”、家族からの“愛”、友情の中の“愛”…。30年間にわたるストーリーを描いていて、いろんな愛の形が見られる素敵な作品だと思います」と語り、當真は「長尾さん演じる心也と私が演じる夕花、それぞれ抱えているものがあってあと1歩前に踏み出せない。心につっかえたものがあるんですけど、それを乗り越えていく部分がやっぱり感動ポイントかなと思います」とアピール。最後は集まったお客さんと一緒に「大阪~!」「おいし泣き~!」のコール&レスポンスで盛り上がった。


おいしくて泣くとき-bu-4.1-長尾謙杜.jpg場所をなんばパークスシネマに移して行われた舞台挨拶の会場には、さっきまでアメ村のイベントに参加していたという観客もおり「ここまで走って来られたんですね!おつかれさまです」とねぎらいの言葉をかける長尾。劇場長編映画初主演作を引っ提げての大阪凱旋舞台挨拶を迎えた気持ちを問われ「公開が近づいてきて、ちょっと緊張しますね。こうやって皆さんも楽しみにしてくださってたのが今実感できて、すごく嬉しいです」と一言。5年前から企画を進めていたという監督は「まさにコロナの時期でなかなか動けなかった頃に、この原作を見つけた。やっと皆様に観ていただけるということですごく感慨深いです。やっぱり中心となるのは心也と夕花の高校制時代の物語なので、とにかく本読みのときから長尾さんと當真さんと会話をたくさんしながら、お二人と一緒に旅をするような気持ちで作り上げていきました」と本作への思いを語った。


おいしくて泣くとき-bu-4.1-當真あみ.jpgそして劇中のキーアイテムである“幸せを運ぶ”四つ葉のクローバーにちなみ、「幸せだなと感じる時」を各々発表することに。「家族といるとき」と話す監督は、5歳の息子から「『おいしくて泣くとき』のポスターを見つけた」と先程ボイスメッセージが届いていたことを明かし「すごくほっこりした気持ちで今ここに立っています」と幸せいっぱいの表情。當真は「誰かと他愛もない会話をしている時間。友達だったり、家族だったり、お仕事の現場の方だったり…後から何を話していたんだろうって思い出せないぐらい、本当に他愛もない会話。そういう時間があるのが幸せだなと思います」と話した。長尾は「やっぱりメンバーといる時間はすごく幸せ」だそうで、「個人でお仕事をさせていただいて、メンバーに会うとすごいほっこりします。映画館で僕らがこの作品で着た衣装をいま飾ってるみたいで、メンバーの藤原丈一郎、丈くんが、その写真を撮って送ってきてくれたりとか、今日も朝の情報番組出させてもらってたんですけど、それも見てぱっと写真送ってきてくれて。すごく幸せだなと思います」と、メンバー愛を熱く語った。


舞台挨拶の終わりに、ヒロイン・夕花の弟役を演じた矢崎滉くんが、自分が出た作品を見に会場に来ていることを監督が明かすと「こっち来たら?」という長尾の一声で壇上へ。撮影の思い出を聞かれ「みんなと話せたのがやっぱり楽しかった」と初々しく答える姿に、長尾、當真、監督全員の笑みがこぼれる中フォトセッションが行われ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

 


【ストーリー】

世界のどこかで、君が笑っていますように-―

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サッカー部のエースだった心也(長尾謙杜)は、ケガで大事な大会にも出られず鬱々とした日々を過ごしていた。ある日“学級新聞コンクール”の係りに、夕花(當真あみ)と半ば強引に指名される。心也の父が営む大衆食堂”かざま食堂”はこども食堂も兼ねており、そこに度々やってくる夕花とは幼馴染。二人はひょんなことから「ひま部」を結成。幼いころに母親を亡くした心也と、家に居場所がない夕花は、互いに距離を縮めていく。しかし、ある事件をきっかけに夕花は姿を消してしまう。行き場のない思いを抱えたまま、交わした約束を胸に彼女を待つ心也。突然の別れから30年、明かされる彼女の秘密とはー。

会えなくても、姿が見えなくても、誰かが誰かを想う気持ちは決してなくならない

この春、一途な想いが起こす奇跡に、あなたもきっと涙する


■出演:長尾謙杜 當真あみ 
水沢林太郎 芋生悠 池田良 田村健太郎 篠原ゆき子 安藤玉恵
美村里江 安田顕 ディーン・フジオカ
■原作:森沢明夫「おいしくて泣くとき」(角川春樹事務所刊)
■監督:横尾初喜脚本:いとう菜のは音楽:上田壮一
■主題歌:Uru「フィラメント」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
■配給:松竹
■©2025映画「おいしくて泣くとき」製作委員会
◆『おいしくて泣くとき』公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/oishikute-nakutoki/
◆『おいしくて泣くとき』公式SNS
X:https://x.com/oishikutenaku 
Instagram:https://www.instagram.com/oishikutenaku
TikTok:https://www.tiktok.com/@oishikutenaku 
#おいし泣き

2025年4月4日(金)~大阪ステーションシティシネマ 他にて全国公開!

 


(オフィシャル・レポートより)
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 安倍晋三元首相銃撃犯を描いた『REVOLUTION+1』の足立正生監督が、半世紀に及ぶ逃亡の末、病室で自身の名前を明かし、4日後に末期がんで亡くなった東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の半生を映画化。古舘寛治主演の『逃走』が、2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開される。
 本作の足立正生監督に、お話を伺った。
 
 
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■「なぜ桐島聡はわざわざ本名を名乗ったのか」を考え続けて

――――足立監督は、桐島聡が指名手配された70年代当時、どのような印象を持っていたのですか?
足立:75年〜78年にかけて、自分たちが大きく敗北した問題を総括しなければ先に進めないので、先に進めるために東アジアの同志たちに来てもらったりしていたのです。ですから桐島君という名前は聞いたこともなかった。しかも海外にいたものだから、彼に対して何の知識もない状態でした。東アジア反日武装戦線の人たちは、その世代だけでなく、一世代上の僕らの運動の仕方を毛嫌いしていました。そこには組織官僚主義への反発や、新左翼のイデオロギー風言論への反発があったのでしょう。でも、この映画を作り終わり、新宿に飲みに行ったら、そこで「足立さん、やっぱりこの映画作ったね。だって、昔、何度も一緒にここで酒飲んでいたじゃない」と言われ、こちらがえっ!と驚いた(笑)それぐらい、桐島君と認識すらしていなかったし、何のイメージもなかったです。
 
――――2024年1月に入院患者が、自分が桐島聡だと名乗り出たというニュースを聞いた時はどうでしたか?
足立:(2000年に)強制送還されて日本に戻ってきたら、警察は何か知っているだろうと推測して「桐島、向こうに行ってるんだろ?」と。逆に「桐島って誰だ?」と聞き返しましたが、それが桐島聡という名前を聞いた最初でした。それから長く時が過ぎ、病床で死にかかっている男が「桐島聡」という本名を名乗ったと知り、まさにガン!ときた。ショックでしたね。名乗らないまま死ぬことで逃走貫徹になるわけですから、なぜ今、わざわざ本名を名乗るのか。とても考えさせられました。
 
 
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■逃げる闘いを続ける人へのメッセージではないか

――――桐島さんが名乗り出てから、何度もその理由を考え続けておられたんですね。
足立:色んな思いを整理して結論づけてみたのは、桐島が本名を名乗るのは、いわゆる自己顕示欲では全くない。わざわざ名乗ることで逃走のレベルをもう一つ上の段階に引き上げる“闘い”にしようとした。自分の逃げる闘いの表現を、自分の死をメディアにしてメッセージにしたのではないか。すでに死んだ仲間や逮捕された仲間、さらに言えば、全共闘以降、1万人ぐらいが逃走していると言われています。大半は既に時効が成立していますが、そのような逃げる闘いを自分と同じように続ける人たちへのメッセージなんです。桐島自身が「俺、頑張ったよ」というだけではなく、おそらく仲間や逃げている人たちに頑張ってほしいというメッセージだし、桐島が最後の自分の死をメディアにして、表現を実現したのなら、映画というメディアを持っている我々がそれに応えないでどうする!と思った。それがこの映画を作った根拠です。
 
――――名乗り出るまでは、本当に孤独な闘いでした。
足立:桐島は逃げているというより、地下活動を継続していたのでしょう。桐島みたいに徹底して友人、知人や支援する団体とコンタクトを取ることなく逃げ切るという、この研ぎ澄ました感じは相当苦労が要るわけです。その辛さの中で磨いていたからこそ、最後に本名を名乗るところを推測しながら(脚本を)書けたのです。
 
加えて言えば、東アジア反日武装戦線“狼”部隊の大道寺将司は死刑判決を受け(のち獄中で病死)、たくさんの死傷者を出した敗北的なミスについての贖罪を延々と俳句で詠んできましたが、その中には自分たちが闘おうとした意思がぬぐいきれずに溜まっていた気持ちを詠んだものもありました。その句集を桐島が読み、自分ならどうするのかと考えた末の本名を名乗るという決断ではないかと考え、大道寺の俳句に影響を受けたであろうということも、桐島の真意を推測判断する根拠にしました。
 
――――半世紀にわたる桐島の人生を描くため、色々調べる中で新たに発見したことは?
足立:大枠の人物像はありましたが、それよりも非常に純粋で、モラリスティックで、一直線にバンドをやったと思えば、連続企業爆破のキャンペーン闘争に入っていき、そのまま逃げるという闘争をやっていた。考えていた以上に、人のいい青年が歳を重ねて老けていく中でも人々に愛されるような大人になっていったということが、リサーチした中でさらに明確になったことでしたね。
 
 
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■若い頃の桐島役に入れ込んでいた杉田雷麟

――――笑顔の指名手配写真が非常に印象的でしたが、若い頃の桐島を演じた杉田雷麟さんは風貌も非常に似ていました。
足立:杉田君自身がこの役に入れ込んでいて、桐島本人になっているような気分だったのではないかな。若さがほとばしる一直線でイキイキした感じがないと成立しない映画なので、杉田君は良くやってくれたという感じがありますね。
 
――――チラシでは「最期の4日」と書かれていましたが、実際は逃走前から逃走直後の数年間の若き日を杉田さんが、まさに若さほとばしる感じで演じていましたね。
足立:宇賀神寿一と二人で彼のアパートへ逃げた後、指名手配写真が出回っていたことから、実際には宇賀神が桐島の逃走前に彼の髪を切っているんですよ。それではあまりにも出来過ぎだったので、映画では桐島が自分で切るシーンになりましたが、結局二人は神社で待ち合わせを決めたものの会うことができず「僕がしてあげられたのは髪を切ったことだけだった」と。映画パンフレット用に宇賀神寿一と、大地の牙の浴田由紀子と鼎談をしたとき、本人が語っていましたね。
 
 

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■中年以降の桐島を演じた古舘寛治

――――本作の主役である中年以降の桐島を演じた古舘寛治さんのキャスティングについて教えてください。
足立:たくさんの候補の中から絞り込み、最後の2〜3人になったときに古舘さんの写真を見たら「もう桐島がいるじゃないか!」と。それですぐにオファーしました。古舘さんは最初、僕を警戒していたみたいですが。
 
――――古舘さんは深田監督作品でも知られる演技派俳優ですが、目立たないように生きてきた桐島の雰囲気がよく出ていましたね。
足立:出しゃばらない感じや、突き飛ばされてもひっくり返らないようなしぶとさがちゃんと混在して、桐島という人物が実在した感じが出ている。古舘さんはちゃんと人物像を整理してくれたと思うし、できるだけ芝居をしないようにという共通認識を持って演じてもらいました。自分のやりたいようにト書きやセリフを変えていいと言ったら、最初から最後まで真っ赤に書き込みをしてくるから「全部書き直してるじゃないか」というと、「赤く書いている部分を全部足立さんに聞いてから、判断しようと思います」と言われて。結局セッションをして全部解決したり、なかなか楽しかったですよ。
 
――――死の間際まで演じておられ、俳優冥利に尽きる役だったのでは?
足立:長セリフもあるし、自分の分身である坊主との禅問答など大変だったと思いますが、古舘さんも楽しくやっていたと思いますよ。「こんなに詰めた撮影をされるのは初めてだ」と言っていましたが。彼のスケジュールに合わせ、10日間の撮影だったので「余裕じゃないか」と言ったら、(古舘さんは)怒ってましたね(笑)。
 
――――映画の中で特にしっかり見せようと思ったシーンは?
足立:最期の4日間という時間のくくりの中でまとめなければ、3時間ぐらいの映画になってしまう。だからそのくくりの中で、現実の桐島は死ぬ間際に病室のベットにいるだけの姿なのですが、その全ての過去を回想し、妄想して思いを馳せながら本名を名乗るところに帰結していく。妄想の側から回想シーンや病室の現実シーンを見るという編集にしたいというのが僕の要求で、ある人が「妄想、回想、現実がポップに編集されているから、しんどくなかった」と感想をくれたけれど、そういう編集にしているから当然なんです。
 
 
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■ラッキーを呼び込んでいた桐島の人となり

――――70年代、履歴書や自分を証明するものを提示しなくても、住み込みで雇ってもらう様子や、桐島の人生を通じて日本社会の変遷も映し出していますね。
足立:高度成長期でしたから、履歴書は全く関係なかったし、特に日雇い仕事には底辺労働者が群れをなしていた。よくて山谷や釜ヶ崎、もっと悲惨な寄せ場もたくさんありました。桐島たちも大学を追い出されてから山谷に入りますが、そこで仕事をすると目立つので他の手配所から仕事を得ていたんです。その後藤沢に流れ着いて38年間過ごします。大規模工事をするような土建会社ではないとか、桐島が原則的にやればやるほど、ラッキーを呼び込むようなところがありましたね。
 
――――変な欲を出さない限り、平穏な暮らしを続けられる人物だったと?
足立:自分より随分若い女性に惚れられることがあっても、自分が逃亡者でいずれ迷惑をかけるので「結婚できない」と自制する部分も桐島にはありました。何よりも最期に今まで貯めてきた250万の現金を病院に持っていき、自分の入院費を支払っているんです。一事が万事。そのエピソードに彼の性格が象徴されていますよ。
 
――――阪神淡路大震災など、逃走の間日本で起きた歴史的な事象も挿入していますね。
足立:桐島は逃げているだけですが、同時にキャンペーン闘争をまだ続けたいと思っているので、時代の動きが彼には生々しく伝わってくるんですよ。それなのに何もできない、何もやれないという気持ちが積み重なった49年間なのです。ただ、のっぺらぼうに過ぎたわけではない。日々逃げるしんどさはあるけれど、逆にこれはどうするのという感じは、僕も多少わかるんです。その切なさの中で、宇賀神の亡霊が「切ない、苦しい闘いでも幸せはある。お前やってみてくれないか」と言います。あんな無責任なセリフは誰にも書けないですよ。でも僕は、ぜひ宇賀神にそれを言わせたかった。
 
 

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■現代の閉塞感との共通性を捉え、桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されれば

――――桐島に対する映画でのアンサーだとおっしゃっていましたが、実際に映画が完成してのお気持ちは?
足立:所詮、自分でイメージした桐島しか描けないので、できるだけリサーチしたものを反映して俳優に演じてもらうことで突き放していくというプロセスを取って作りました。試写を終わって、身につまされて泣いて出てくる同時代の方もいらっしゃるし、若い方には現代の閉塞感との共通性を捉えてもらえるところまで、見ていただければもう言うことはないですね。
 
――――高橋伴明監督も「桐島です」を作られていますが、足立監督と同時期にお二人が桐島聡の映画を作って公開するということにも、大きな意味を感じますね。
足立:最初はもう一人、桐島聡の映画を撮ろうと考えていた人がいたんですよ。それぐらい彼が本名を名乗ったことで高い関心が寄せられていたし、高橋伴明さんは桐島と同世代だから余計にそうでしょう。映画が公開された後で、桐島像や桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されたり、捉え直されたりすればいいのではないかと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『逃走』
2025年 日本 114分 
脚本・監督:足立正生 
出演:古舘寛治
杉田雷麟  タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充  中村映里子
2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開
4月5日(土)にシネ・ヌーヴォ、京都シネマ、4月6日(日)に第七藝術劇場、元町映画館にて足立正生監督、中村映里子さんの舞台挨拶あり(予定)
公式サイト:kirishima-tousou.com
(C) 「逃走」制作プロジェクト2025
 

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 2025年3月23日(日)に第20回大阪アジアン映画祭が閉幕し、『カンフーハッスル』脚本家フオ・シンの初監督作品となる壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)がグランプリ(最優秀作品賞)に輝いた。また、注目の観客賞は、平松恵美子監督の『蔵のある街』(日本)が選ばれた。グランプリ以下各賞を受賞結果とともにご紹介したい。

グランプリ(最優秀作品賞) 

『バウンド・イン・ヘブン』(Bound in Heaven/捆綁上天堂)/中国
監督:フオ・シン(HUO Xin/霍昕)
 
≪授賞理由≫
映画が描く(映す)テーマが多様化する中で、特に「映画祭」では選ばれにくい、最も古典的な”恋愛映画”の本作に迸る熱度と強度に衝撃をうけました。主演二人がたどる「運命」は映画を目にする私たちを疑いもなくその物語に没入させ、映画的歓びを共有させてくれるその世界に魅了されました。
 
 
来るべき才能賞
 
パク・イウン監督(PARK Ri-woong/박이웅)
『朝の海、カモメは』(The Land of Morning Calm/아침바다 갈매기는)/韓国
 
≪授賞理由≫
パク・イウン監督の人間の善良さを見抜く能力と、社会が抱える問題を詳らかにする鋭い注意力は来るべき才能賞に値する。
 
授賞者コメント/パク・イウン監督「47歳にして新人賞を頂きました。皆さま、本当にありがとうございます。海外の上映されるたびに、韓国とはちがった場面で、観客の方が笑って泣いている姿を見て、私の気持ちも豊かになっていきます。そして映画が豊かになっていくのを感じます。観客の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さまに感謝いたします」
 
スペシャル・メンション
 
『私たちの話し方』(The Way We Talk/看我今天怎麼說)/香港 
監督:アダム・ウォン(Adam WONG Sau-ping/黄修平)
 
≪授賞理由≫
『私たちの話し方』のアダム・ウォン監督と彼のクルーの深い優しさと、先入観のない公平な視点が本作を珠玉の作品にした。聴覚障害者の内なる世界に観客を心深く没入させる作品である。
舞台挨拶記事はこちら
 
最優秀俳優賞 
 
トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン(Tuvshinbayar AMARTUVSHIN)   
『サイレント・シティ・ドライバー』(Silent City Driver/Чимээгүй хотын жолооч)/モンゴル
 
≪授賞理由≫
アマルトゥブシンは静謐で、決して不快でない男らしさを体現し、それは映画の領域に深く共鳴した。彼の内なる感情を伝える卓越した演技力は、静穏だが暗晦な世界に生きる主人公の複雑な孤独を的確に捉えた。
 
代理コメント/ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督「本当にありがとうございます。観客の皆さま、映画祭の皆さまに感謝いたします。映画はみんなで作り上げた作品です。映画のチームの皆さんにも感謝申し上げます。そして賞状をトゥブシンバヤル・アマルトゥブシンさんに渡します」
 
JAIHO賞
 
『君と僕の5分』(404 Still Remain/너와 나의 5분)/韓国
監督:オム・ハヌル(UHM Ha-neul/엄하늘)
 
≪授賞理由≫
テンポよく展開するストーリー、主人公2人の瑞々しい演技。彼らがバスの車窓から眺める四季折々の風景が、音楽と絡み合い美しい余韻を残す。そして少年は大人になる。“ボーイ・ミーツ・ボーイ”映画の傑作。
 
 
薬師真珠賞
 
ラン・ウェイホア(LAN Wei-Hua/藍葦華)
カオ・イーリン(Alexia KAO/高伊玲)
ツェン・ジンホア(TSENG Jing-Hua/曾敬驊)
ホアン・ペイチー(Queena HUANG/黃珮琪)
『我が家の事』(Family Matters/我家的事)/台湾
 
≪授賞理由≫
『我が家の事』の主人公家族を演じた4人の俳優たち、ラン・ウェイホア、カオ・イーリン、ツェン・ジンホア、ホアン・ペイチーに授与する。家族それぞれがかかえる複雑な心情を見事なアンサンブルで演じ、新人監督による偉大な傑作の誕生に貢献した。
 
授賞者コメント/カオ・イーリン「映画で母親を演じました。『我が家の事』は40人くらいのクルーで製作された作品です。気に入ってくださったらうれしいです。まわりの方にも是非すすめてください」
 
授賞者コメント/ツェン・ジンホア「この場を借りて、撮影クルー、大阪アジアン映画祭の観客の皆さまに感謝申し上げます。審査員の皆さま、映画の中で相手役を務めてくださった皆さまにも感謝いたします。皆さまのおかげで、私は受賞できたと思っています。そして最後に監督に、心から感謝申し上げます。監督はかわいくて、実はひょうきんな人なんですよ。母親が大好きなんです(笑)!ありがとうございました」
 
JAPAN CUTS Award
 
『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』(So Beautiful, Wonderful and Lovely)/日本
監督:大河原恵(OKAWARA Megumi)
 
≪授賞理由≫
多彩な編集と撮影手法、不条理なユーモアとハートフルなストーリーテリングが矢継ぎ早に繰り広げられる、大河原恵監督の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』にJAPAN CUTS AWARDに授与する。脚本・監督・編集・主演を務めた大河原は、真の若いエネルギーに溢れ、短い上映時間の中に創造的なアイデアと野心を詰め込み、かつ筋の通った作品を完成させた。
 
授賞者コメント/大河原恵監督「インディー・フォーラム部門には素晴らしい作品ばかりだったので、大変驚いています。観客の皆さま、関係者の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さま、ありがとうございます」
 
芳泉短編賞
 
『洗浄』(WAShhh/洗浄)/マレーシア
監督:ミッキー・ライ(Mickey LAI/黎樂怡)
 
≪授賞理由≫
まるでリアルタイムで起きている出来事のように、限られた空間と時間の中で観客を巧みに没入させ、少女たちの状況の追体験を可能にする。モノクロームの画がセンセーショナリズムに陥らない緊迫感を作品にもたらす。リアリズムとシンボリズムの両方を兼ね備え、制度の不条理を痛烈に批判し、タブーに挑んでいる。
 
芳泉短編賞 スペシャル・メンション
 
『金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱』(The Melancholy of a Brass Player for Brass Quintet)/日本
監督:古谷大地(FURUYA Daichi)
 
≪授賞理由≫
元気が湧いてくる作品(アダム・ウォン)
編集、音響デザイン、テンポ ー すべてにおいて類のない作品。何が何だか分からないのに、完全に筋が通っている。(ジョン・スー)
まるでサイレント映画のようなアナーキーさを湛えている(木下千花)
 
観客賞
 
『蔵のある街』(The Tales of Kurashiki)/日本
監督:平松恵美子(HIRAMATSU Emiko)
 
授賞者コメント/有吉司(配給:マジックアワー代表)「私は配給の仕事をして40年になります。この40年で、観客賞を頂けたことは個人的に本当にうれしく、きっと誰よりも喜んでいると思います。そして大阪にいられなかった、平松恵美子監督もよろこんでいると思います。
舞台挨拶記事はこちら
 
写真≪後列≫上倉庸敬(大阪映像文化振興事業実行委員会)/三宅正子(株式会社薬師真珠)/アンジェラ・ユン(コンペティション部門 審査委員)/ファルハット・シャリポフ(コンペティション部門 審査委員) /中村由紀子(コンペティション部門 審査委員)/難波弘之(公益財団法人芳泉文化財団 事務局長)
≪前列≫大河原恵監督(JAPAN CUTS Award『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』)/ツェン・ジンホア(薬師真珠賞『我が家の事』)/カオ・イーリン(薬師真珠賞『我が家の事』)/パク・イウン監督(来るべき才能賞『朝の海、カモメは』)/ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督(最優秀俳優賞『サイレント・シティ・ドライバー』監督※代理)/有吉司(観客賞『蔵のある街』配給マジックアワー代表)
 
 
万博イヤーの2025年度・第21回大阪アジアン映画祭は、2025年8月29日(金)~9月7日(日)に開催予定だ。
公式サイト https://oaff.jp 
 
JAPAN CUTS Award
 

 

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 多分野でマルチな才能を発揮するジェフ・サターの映画初出演・主演作となるタイ映画『いばらの楽園』が、第20回大阪アジアン映画祭特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>作品として3月19日「テアトル梅田」(大阪市北区)で日本初上映された。
 
 タイ映画のメジャースタジオ、GDHが手がけた本作では、同性の恋人と念願のドリアン農園を手に入れ結婚するはずだった主人公が、突然の事故で恋人を亡くしてからの苦難を描いている。本作が初監督となるボス・グーノーが、愛憎入り混じる人間関係や農園をめぐる攻防を「ドリアンホラー」と言わんばかりの見事なエンターテインメント作品に仕立て上げた。
日本初上映後にプロデューサーのワンルディー・ポンシッティサックさんが登壇して行ったQ&Aの模様をご紹介したい。
 

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ーーー今のお気持ちは?
日本初上映が終わり、とても嬉しいです。『いばらの楽園』は昨年8月にタイで劇場公開され、そこからいくつかの国を旅して日本にたどり着きました。日本での劇場公開もできればいいなと思っています。
 
ーーー製作の経緯について
現在タイでは同性婚法案が成立していますが、この映画の企画が始まったときは、まだその法律はありませんでした。ある日、ボス監督がわたしにLGBTQの人たちは婚姻の権利が等しくないことを語ってくれ、一緒にこの映画を作ることになりました。映画はエンターテイメントの側面もありますが、社会にとって意義のあるもの、監督の考え方の後押しをしたいと思いました。この映画をご覧いただければ、なぜ同性婚法案を成立させなければいけないのかが、深く理解していただけたと思います。
 
ーーーボス監督の作風について
ボス監督はドラマ(「僕の愛を君の心で訳して」他)を監督しており、登場人物に太い感情を持たせ、登場人物の混乱や葛藤を描くのが特徴で、そういった要素を『いばらの楽園』にも活かしています。この映画は同性婚法案を後押しするだけでなく、それぞれのキャラクターの葛藤を描き、彼らが思い描いていたものが崩れていく様子を描いています。
 
ーーー資金集めやキャスティングでの難しさはなかったか?
製作費はGDHが全て出していますし、ジェフ・サターは元々からボス監督や私と一緒に仕事をすることを希望していたのです。この映画に参加する人は全員、同性婚法案に賛成する必要がありましたが、誰も反対する人はおらず、むしろ喜ばしいと言ってくれました。
 
ーーー舞台をタイ北部(メイホンソーン)のドリアン農園にした理由は?
なぜドリアン農園なのかについてですが、主人公のパートナーが亡くなったとき、法案成立前なので財産を相続できない設定にしたのです。ただ家財道具を売るとなると簡単すぎるので、難しい状況を作り出したいと思いました。土に生えて移動できない果物の木を財産にしようと考えました。次に、どんな果物がいいかを考えたとき、その答えがドリアンだったのです。ドリアンはとても栽培が難しい果物で、タイでは果物の王様と呼ばれています。舞台となった地域はタイで最も貧しい地域なのですが、高価な果物を最も貧しい地域に植えるという点がおもしろい着眼点だと思いました。
 
またドリアン自体の性質については、すごくいい香りがして甘さがあると同時に臭みがあり、痛々しいトゲがあります。皮を剥いて中身を見るととても美しい。ですからドリアンが愛の痛みや美しさ、そして傷つけあうというテーマに合うと思いました。
 
 
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第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで開催中。『いばらの楽園』は3月23日(日)13:00よりABCホールで2回目が上映予定。
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
 
(C)2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
 
(江口由美)
 
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