「AI」と一致するもの

大武生-pos.jpg 「歴史」をテーマにした世界でただひとつの“ジャンル映画祭”「第4回ヒストリカル映画祭」が12月1日から9日まで、京都文化博物館、京都シネマ、東映、松竹の両撮影所の4ヵ所で開かれる。男女逆転時代劇『大奥 ~ 永遠』、フランス、スペイン映画『マリー・アントワネットに別れを告げて』など話題の新作のほか、ロシア『1612』、韓国『神弓-KAMIYUMI-』など世界各国の最新“歴史映画”が楽しめる。

  1日には『マリー・アントワネット ~ 』のブノワ・ジャコー監督がゲストとして来日、トークショーを行う。

 

 

 

 


 ◆オープニング=京都文化博物館

【1日】
11時 ~『大奥 ~ 永遠「右衛門佐・綱吉篇」』(12年日本)。
終了後セレモニー『大奥』出演の永江祐貴。
15時 ~ 『マリー・アントワネットに別れを告げて』16時40分 ~ ブノワ・ジャコー監督トークショー
 

◆京都文化博物館

【2日】
12時~『雪之丞変化』(35年松竹)衣笠貞之助監督。 15時 ~ 『大武生』(11年中国・香港)※ミニトーク18時 ~ 『デラシネマ』(ヒストリカコラボ企画) 星野泰視(漫画家)トークショー

【4日】
15時~『隠し砦の三悪人』(58年東宝)黒澤明監督。
18時 ~ 『神弓―KAMIYUMI―』(11年韓国)※ミニトーク

【5日】
13時半~『七人の侍』(58年東宝)黒澤明監督。
18時 ~ 『アイアンクラッド』(11年英・米・独)
※ミニトーク

【6日】
15時~『柳生一族の陰謀』(78年東映)深作欣二監督。18時 ~ 『1612』(07年ロシア)※ミニトーク

羅生門-1.jpg【7日】
15時~『羅生門』(51日年大映)黒澤明監督。
18時 ~ 『ウモーン・パー・ムアン-羅生門』(11年タイ)
19時45分 ~ 『ウモーン ~ 』パンテワノップ・テークワン監督トークショー

 

◆京都シネマ

【1日】
15時 ~ 『ビッケと神々の秘宝』(11年独)
【2日】
15時 ~ 『トム・ソーヤー』(11年独)
【3日】
18時20分 ~ 『肉体の森』(10年仏・独)
20時05分~『肉体の森』作品解説(大寺眞輔)
【4日】
18時20分 ~ 『トスカ』(01年仏・独・伊・英)
※ミニトークあり
【5日】
18時20分 ~ 『イザベル・アジャーニの惑い』(02年仏)※ミニトークあり
【6日】
18時20分 ~ 『発禁本-SADE』(00年仏)※ミニトークあり
【7日】
18時20分 ~ 『肉体の森』(10年仏・独)
 

 

mainmain.jpg◆東映京都撮影所

【8日】
13時半 ~『るろうに剣心』(12年日本)
16時~大友啓史監督、谷垣健治アクション監督トークショー
【9日】
11時~『大武生』(11年中国・香港)
14時 ~『アイアンクラッド』(11年英・米・独) 16時 ~『アイアンクラッド』ジョナサン・イングリッシュ監督、樋口真嗣監督トークショー

 

 ◆松竹撮影所

1612-1.jpg【8日】
11時~『トム・ソーヤー』(11年独)
14時~『ビッケと神々の秘宝』(11年独)
【9日】
10時半~『1612』(07年ロシア)
14時 ~『ウモーン・パー・ムアン―羅生門―』(11年タイ)
16時半~『神弓―KAMIYUMI―』
 

 

※問い合わせは同映画祭実行委員会事務局(075 862 5014)まで  (安永 五郎)


京都ヒストリカ映画祭公式サイトはコチラ

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日本で公開予定のないヨーロッパの最新映画を紹介する大阪ヨーロッパ映画祭が今年で19回目を迎える。11月3日よりウィリー・ロハス アジア初写真展「美味しい冒険」(イーマにて開催中)で幕を開けた映画祭は、メインとなるヨーロッパ最新映画日本初上映が11月23日から26日までの4日間ホテルエルセラーン大阪で開催される他、イタリア・トリノのキッズアニメーション(キッズプラザ大阪)など世代を問わず楽しめる映画の祭典だ。

ヨーロッパ最新映画日本初上映では、異色のヒューマンロードムービー『HASTA・LA・VISTA - オトコになりたい -』や、サルマ・ハエック出演の人生大逆転ムービー『いのちの火花』、有名な450作品のカットを編集して制作、映画史を旅するような喜びと映画への愛にあふれた『ファイナル・カット』などヨーロッパならではのユーモアに溢れた作品や、社会問題を見据えた作品が一挙上映される。

さらに今年の名誉委員長、ブルーノ・ガンツの特集上映を開催。「天使からヒトラーまでの軌跡」と題して、代表作『ベルリン・天使の詩』、『ヒトラー~最期の12日間~』をはじめ、エリック・ロメール監督の『O伯爵夫人』など主要8作品を上映する。

また、ロンドン特集 「LONDON FAIRWAY ~外国人監督が撮る英国の首都~」と題して、ロンドンが映画の魅力的な舞台として愛されてきたことがわかる6作品を上映。“環境”と“食”の面から、スローフードをテーマにした作品『Terra Madre』上映後、フランス人シェフ ドミニク・コルビー氏を招聘したシンポジウム「第6感で目醒めるスローフード」も開催される。晩秋の大阪で、ヨーロッパ映画に触れるひとときを存分に楽しんでほしい。
 

<第19回大阪ヨーロッパ映画祭概要>
 開催期間 :2012年11月3日(土)~ 26日(月)、2013年1月5日(土)~6日(日)
●ヨーロッパ最新映画日本初上映/ロンドン特集「ロンドン・フェアウェイ」/ 名優ブルーノ・ガンツ特集上映「天使からヒトラーまでの軌跡」/ 特別招待作品上映 11月23日(金・祝)〜26日(月)
●イタリア・トリノのキッズアニメーション 11月17日(土)、18日(日)
●創って学ぼう!イタリア流シネマ教室~映画祭のキンダーガーデン~ 11月23日(金・祝)~25日(日)
●ヤングシネマフォーラム 11月23日(金・祝)
●ウィリー・ロハス アジア初写真展「美味しい冒険」 11月3日(土)~21日(水)
●ブックフェア「本で楽しむヨーロッパ」 11月3日(土)~ 24日(土)
●環境映画上映×シンポジウム「第六感で目醒めるスローフード」 11月24日(土)
●関連イベント/世界のCMフェスティバル2012  2013年1月5日(土)~6日(日)
会 場 :エルセラーンホール(ホテルエルセラーン大阪5階)、イーマ、キッズプラザ大阪
梅田芸術劇場 (世界のCMフェスティバル)


大阪ヨーロッパ映画祭公式サイトはコチラ


 

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2010年4月に行われた特別上映、この7~9月にかけての木下惠介監督全作品上映に引き続き、再度高峰秀子の作品をスクリーンで堪能できる追悼特集『女優・高峰秀子アンコール』が11月10日よりシネヌーヴォで開催される。

今回の特集では、高峰秀子が敬愛する名匠成瀬巳喜男監督作品を中心に、『浮雲』、『乱れる』やマキノ正博監督の大スペクタクル『阿片戦争』、小津安二郎監督の異色作『宗方姉妹』など代表作17本を一挙上映。今一度、昭和の名女優の姿を目に焼き付けたい。


追悼特集『女優・高峰秀子アンコール』詳細はコチラ

【オペラをみんなのものに!シネマとコンサート】招待券プレゼント

puchini-1.jpg・日時:2012年12月2日(日)12時30分開場、13時開演
★第一部=13:00~14:28 映画『プッチーニに挑む』上映
★第二部=15:00~16:00 オペラ歌手:岡村喬生氏によるミニコンサート

・会場:大阪中央公会堂
◎電車をご利用の場合
o 地下鉄御堂筋線/京阪電鉄 「淀屋橋」駅下車
<1>番出口から徒歩約5分
o 地下鉄堺筋線/京阪電鉄 「北浜」駅下車
<puchini-3.jpg22>号出口から徒歩約6分
o 京阪電鉄中之島線 「なにわ橋」駅下車
<1>番出口から徒歩約1分
◎バスをご利用の場合
市バス「淀屋橋(市役所前)」下車徒歩約3分
[大阪駅88系]
◎アクセス詳細はこちら⇒ http://osaka-chuokokaido.jp/access/index.html

・募集人数:3組6名様
・締切:2012年11月25日(日)

★公式サイト⇒ http://www.takao-okamura.com/schedule-concert.htm

 

 

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tokutouseki-pre.jpg人生の特等席』オリジナルロングTシャツ(Mサイズ)プレゼント!

ワーナー提供

・募集人員:オリジナルロングTシャツ
      Mサイズ 3名様
・締切:2012年12月10日(日)

★作品紹介⇒http://cineref.com/review/2012/10/post-39.html
2012年11月23(金・祝)~全国ロードショー

 

 

 


 

 

tokutouseki-1.jpgイーストウッド、82歳。このベテランだけが伝えられる人生の景色がある。
しわがれ声で語られる、幸せのかたちがある

 『許されざる者』と『ミリオンダラー・ベイビー』で、2度にわたってアカデミー賞作品賞と監督賞のダブル受賞を果たし、2008年『グラン・トリノ』では主人公の壮絶なラストで世界を驚かせた。

そして2012年『人生の特等席』――。この作品で、イーストウッドが見せるのは、誰にでもある、山あり谷ありの人生だ。しかしそれは、82年を生きぬいてきた、今この時の彼だからこそ伝えられる、かけがえのない人生の風景でもある。

監督は、イーストウッドが生涯ただひとりの弟子と認めたロバート・ロレンツ。愛弟子の初メガホンに、人生を投影した演技で見せる一人の男の人生、そして “特等席”から見える胸にしみわたる風景――そのすべてに目を凝らしたい。

イーストウッドの隣で、人生を眺める。
そんな気持ちにさせてくれる映画――『人生の特等席』。


 <ストーリー>
時代に取り残された伝説の名スカウトマン。
視力の衰えた彼は、疎遠だった娘とふたり、キャリア最後の旅に出る――。

tokutouseki-4.jpgクリント・イーストウッド演じるガス・ロベルは、メジャーリーグのスカウトマン。今の時代に、コンピュータも使わなければ、メールもしない、昔ながらのスタイルを貫く男だ。素直に感情を表現することが苦手で、話し方はぶっきらぼう、いつも気難しげな表情を浮かべている。そんな、時代に取り残されたような男を、球団はお払い箱にしようとしていた。視力が衰え、目がかすみ始めたとはいえ、まだまだスカウトマンとしての自信と誇りは失っていない。ガスは、キャリア最後のスカウトの旅に出る。手を貸したのは、父との間にわだかまりを感じつづけてきた一人娘のミッキー。妻を早くに亡くし、男手ひとつで育てようとして、育てられなかった娘と、思いがけず旅をすることになった不器用な父。初めて向かい合った父娘が、旅の終わりに見つけたものとは――? 

 

共演は、娘ミッキー役に『ザ・ファイター』『魔法にかけられて』のエイミー・アダムス、父と娘をつなぐ若きスカウトマンに『ソーシャル・ネットワーク』『TIME/タイム』のジャスティン・ティンバーレイク。
大ベテランと若手実力派のシンボリックな競演。味わいつくして余りある人生の妙味をご堪能あれ!

公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/troublewiththecurve/
© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 

 

 

『シャドー・チェイサー』特製クリップ型デジタル クロック プレゼント!

shadow-pre.jpg板挟みにあいながら、時間に追われる現代人には必需品!?
メモなどが挟めるクリップに時計が付いた“特製クリップ型デジタルクロック”プレゼント!

・募集人数: 5名様 
・締切 :2012年11月11日(日)
・公式サイト⇒ http://www.shadowchaser.jp/

2012年10月27日(土)~有楽町スバル座、新宿ミラノ、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸 他全国ロードショー


豪華スター競演で贈る、息も付かせぬサスペンス・アクション!
ヘンリー・カヴィル×シーガニー・ウィーヴァー×ブルース・ウィリス

監督:マブルク・エル・メクリ(『その男、ヴァン・ダム』)
出演:ヘンリー・カヴィル(『インモータルズ‐神々の誓い‐』)シーガ二―・ウィーヴァー、ブルース・ウィリス、ロジェ・ゼム

2012/アメリカ/原題:The Cold Light of Day/93分
(C)Fria Luz del Dia, A.I.E. 2011, Artwork (C)2012 Summit Entertainment, LLC, All Rights Reserved.

幸せは一瞬にして崩れ落ち、父親の秘密が絡んだ国家を揺るがす陰謀に巻き込まれていく―。豪華スター競演で贈る、ノンストップ・アクション巨編!

shadow-2.jpgスペインで家族と久々の再会を果たしたウィル(ヘンリー・カヴィル)。しかし、家族が突然誘拐されてしまう。愕然とするウィルの前に父親のマーティン(B・ウィリス)が現れて、「自分は実はCIA工作員である」と驚くべき事実を告げる。そして政府間の事件に巻き込まれたことが原因で家族が拉致されたことを知り、ウィルは衝撃を受ける。マーティンは同じくCIA工作員のキャラック(S・ウィーヴァー)に現状を打破すべく連絡するが、待ち合わせ場所でマーティンは狙撃され、魔の手はウィルへと及ぶ。スペイン国家警察、CIA、そして謎の組織にも追われ、家族を救う猶予は24時間もない。ウィルは己の本能だけを頼りに国家間の陰謀の渦中へと身を投じていく―。

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第25回東京国際映画祭 コンペティション部門『イエロー』脚本兼主演ヘザー・ウォールクィストさん単独インタビュー

~観終わって“Happy”と感じるなら、作品を理解しているわ~

 年々応募数が増加し、今年は1500本あまりもの作品から選ばれた第25回東京国際映画祭コンペティション部門の15作品。アメリカ、ヨーロッパをはじめ、アジアから南アフリカ、チリまで多様な地域の今や革命の歴史を映し出す作品の中から、本年度の審査委員長であるロジャー・コーマン監督をはじめとした国際審査員により、東京さくらグランプリをはじめとする各賞が決定する。
 

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 今年のコンペティション部門作品の中でもひときわ注目を集めたのが、アメリカインディペンデント映画の生みの親、ジョン・カサヴェテスを父に持つニック・カサヴェテス監督最新作『イエロー』(12)だ。久々にインディペンデント映画に回帰し、パートナーで本作の主演を務めるヘザー・ウォールクィストと共同で書き上げたオリジナル脚本をもとに、目が覚めるような驚きに満ちたヒューマンドラマを生み出した。母親の女優ジーナ・ローランズをはじめ、シエナ・ミラー、メラニー・グリフィスなど油ののった女優たちの競演も見どころの本作を、単独インタビューを交えながら紹介したい。

『イエロー』(2012年 アメリカ 1時間45分)
監督:ニック・カサヴェテス
脚本:ニック・カサヴェテス、ヘザー・ウォールクィスト
出演:ヘザー・ウォールクィスト、シエナ・ミラー、メラニー・グリフィス、ジーナ・ローランズ
 

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 重い過去や職場での居心地の悪さを抱え、安定剤に依存する主人公メアリー。彼女の精神的な不安定さや、幻想、心象風景を、時にはポップに、時にはシルク・ドゥ・ソレイユ・サーカス奇人たちの晩餐会風に、時にはファンタジー色をちりばめ、そしてミュージカルのようなシーンも交えて描写。重いテーマを扱いながらも、観終わって爽快な気分になるエッジの効いた快作だ。
 
 メアリーの苦悩を全身で表現した脚本兼主演のヘザー・ウォールクィストさんに、脚本を書くにあたってのエピソードやメアリーの役作りについてお話を伺った。
 

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━━━主人公メアリーをはじめ、姉妹や母、祖母など様々な葛藤を持つ女性が登場しますが、脚本を書くに当たってどのようにキャラクターを作り上げていったのですか?
ヘザー・ウォールクィストさん(以下ウォールクィスト):私の好きな言葉に「簡単な読み物は非常に書くのが難しい」というのがあります。ニック(ニック・カサヴェテス監督)と私は色々な女性に囲まれています。娘に姉、母それに叔母が何人もいるのです。だから私の知っている女性たちを描きました。女性が多く描かれていることは指摘されるまであまり考えたことはなかったのですが、色々な問題を抱えている女性やその女性のエネルギーを吸収しているんですね。ニックは私のことを理解しているし、私もニックのことを理解しているので、一緒に脚本を書く作業はとてもやりやすかったです。
 
━━━登場人物たちには、皆過酷な現実が降りかかってきますが、その意図は?
ウォールクィスト:ニックはあまり弱さや脆さを見せない、強い女性が好きなのです。色んな問題があって、でもそれを乗り越えていかなければならない。乗り越えられない問題はないし、(観終わって)本当に幸せを感じてほしかったのです。人生は浮き沈みがあるので、できるだけHappyな瞬間を見つけていくものです。問題は解決していなくてもHappyになれますし、本作を観てHappyと思ったなら、作品のことを理解して下さっていると思います。一つのものだけではなく、色々なことを感じていただきたいです。
 
━━━ミュージカルやファンタジーのようなシーンがメアリーの心象風景として度々挿入され、強烈な印象を残しますが、脚本段階からこのアイデアはあったのですか?
ウォールクィスト:脚本の段階でニックと二人で決めたのですが、私はミュージカルは大嫌いなの(笑)。芝居で急に歌い出すのも嫌いで、あれはミュージカルを揶揄するために書いたんです。突然「お母さん、嫌い~」なんて子どもが歌い始めたら、ぞっとしません?(笑)
 

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━━━メアリーは非常に魅力的なキャラクターで、そのファッションも目を惹きますが、演じるにあたって心がけたことは?
ウォールクィスト:なんとか自分を保とうとしているキャラクターなので、外見は全然内面とマッチしていません。外見で心の痛みを隠しているのです。女性が朝起きて化粧をしたり、着飾ったりするのも、内面の弱さを隠す一面があると思います。
 
また、アメリカは何でも薬を処方します。頭が痛いとか、目が痛いというたびに、次々薬を処方するので、色んな薬を飲む人はご飯が食べられないのです。トロント映画祭で「ワークアウトをして見栄を張っているのではないか」と質問されたのですが、全くワークアウトはしていません。食べないと、ああいうガリガリの体型になってしまうのです。だから、かなりリアルな状態で演じています。むしろ男っぽいぐらいですね。
 
━━━パートナーのニック・カサヴェテス監督と共同脚本を担当し、主演もされましたが、気持ちの切り替えなどで難しい点はありましたか?
ウォールクィスト:一緒に脚本を書いているときはパートナーですが、撮影現場に着いたときは女優に徹しました。全部監督に委ねるので非常にシンプルで、やりやすかったです。ニックはすごくこだわり屋なので、議論になることもありましたが、最終的には私が折れました。二人とも完璧主義なので、99%は意見が一致していても、残りの1%で喧嘩になったり。(笑)
 

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━━━誰しも現実と向き合うのは難しく、メアリーをはじめとする女性たちは自分と闘うことを多様に表現していましたが、本作で伝えたいメッセージをお聞かせください。
ウォールクィスト:いつも自分の行動に言い訳をしたり、自分の弱さや若いとき起きたことを口実にする大人は嫌いで、許せないのです。これが一つのメッセージで、もう一つは、皆痛みを抱えていますが、それにどう立ち向かい、どう対処するかが大事だと思います。それは食べることだったり、遊ぶことだったり人それぞれで、他人が善悪を判断してはいけません。周りの雑音はシャットアウトしていいのです。ウブかもしれませんが、私は人は基本的に善だと信じたいのです。(江口由美)
 

『イエロー』作品紹介(第25回東京国際映画祭)はコチラ

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第25回東京国際映画祭 アジアの風 インドネシア・エクスプレス『目隠し』ガリン・ヌグロフ監督、ヤヤン・C・ヌールさん(女優)単独インタビュー


~「宗教の名を語った暴力」ラディカリズムに陥らない教育を~

今年の第25回東京国際映画祭アジアの風部門では、新作のパノラマ上映に加え『インドネシア・エクスプレス~3人のシネアスト』と題して現在のインドネシア映画界を牽引する3人の監督の特集上映やシンポジウムが開催されている。中でも、スハルト独裁政権下の90年代から精力的な映画制作を行い、東京国際映画祭(以下TIFF)で長編デビュー作『一切れのパンの愛』(91)、『天使からの手紙』(94)が上映されるほか、07年にはTIFFの国際審査員を務めるなど日本や世界に早くからその作品を紹介されてきたガリン・ヌグロフ監督の功績は大きい。今回TIFFで上映されたガリン・ヌグロフ監督最新作2本はいずれもラディカリズムを取り扱っており、『スギヤ』(12)ではカトリックを、『目隠し』(11)ではイスラム原理主義を題材としている。ここではインドネシアが今直面している問題に鋭く切り込んだ『目隠し』を、独占インタビューを交えながらご紹介したい。


『目隠し』(2011年 インドネシア 1時間39分)
監督:ガリン・ヌグロホ 
出演:エカ・ヌサ・プルティウィ、ヤヤン・C・ヌール、M・ディヌ・イマンシャ

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 イスラム原理主義団体による青少年の拉致が後を絶たないという現実に触発されたガリン・ヌグロフ監督が、イスラム原理主義団体に所属していた若者にインタビューした実話をもとにラジカリズムや社会不安、貧困をテーマに描いた社会派作品。

 資金集めのため大学生を拉致するイスラム原理主義団体(NII)と、自爆テロを強要する過激派団体(JI)の2つを取り上げ、アイニとジャビルがそれぞれの団体にのめりこんでいく過程や家族の反応がリアルに描かれる。女性が活躍することを望み団体で実績を上げたアイニに突きつけられた女性蔑視の現実や、貧しいがゆえに母にできることは命を捧げるしかないと思い込まされたジャビルの悲劇。夢多き若者を陥れる罠は、あまりにも卑劣だがその背景にある社会への不信感も端々に滲む。

 「宗教の名を語った暴力」の実情と、その影にある家族の苦悩を静かにリアリティーある映像で綴り、多様な見方ができる寛容な作品ともいえよう。

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 上映後のQ&Aでは、インドネシアで初めてこのテーマを扱ったことで、SNSによる脅しを受けた反面、学校からは上映依頼があり、すでに100校で上映、内10校では実際にイスラム原理主義団体に属していた青少年たちディスカッションを行っているとのエピソードを明かしたガリン・ヌグロフ監督。同じく登壇したアイニの母役のヤヤン・C・ヌールさんも、「イスラム過激派に憎しみを抱いているので、(娘を奪われた母親役を)自然に演じることができました」とその撮影を振り返った。

 翌日に行われた単独インタビューでは、作品を通じて浮かび上がるインドネシア特有の問題や、社会的背景を中心にお話を伺った。

━━━二つの全く異なる経済状況の家族を描いた意図や反映させたかったことは何ですか?
ガリン・ヌグロフ監督(以下ヌグロホ監督):イスラムの過激派団体は、活動者に対して教育や経済レベルを問わず、広く色々なところから人を集めています。経済的に恵まれているように見えようが、教育レベルが低かろうが、色々なレベルの人を集めるという戦略をとっているので、この2家族を取り入れました。

━━━アイニが理想を胸に、イスラム原理教主義団体で頑張り、認められていきますが、結局女性の立場が尊重されないことに気づき、怒りを爆発させるシーンが本作の一つの見せ場となっています。インドネシアにおける女性の立場は、今どんな状況にあるのでしょうか?
ヌグロフ監督:アイニは聡明な少女で、色々な議論の場でもその能力を発揮しますが、社会的にも政治的にもなかなか女性は受け入れられません。しかしイスラム過激派はそこを狙っています。社会的な場で自分の立場を築いていきたいという彼女の希望をうまく利用し、彼らの活動に参加させていくわけです。イスラム原理教組織の中でも女性が指導者になるのは、実は難しいのですが。
インドネシアには女性が代表に立てない宗教もあれば、男性と同じ権利を持つ宗教もあります。法律で男女平等は認められていますが、実際には女性が社会的地位を確立することは難しく、民主的な考えを持っている人たちの中で矛盾が生じているのです。

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ヤヤン・C・ヌールさん(以下ヌール):インドネシアでは女子は「男性と平等だ」と教えられていますが、男子は「男性も女性も平等だ」という教育をあまり受けません。「女の子なのにそんなにがんばって、すごいね」という感覚が男性にはあり、そこで女性に対する差別が実際には生まれています。芸術や映画の分野では、世界レベルの視野になるので、男女の差別は全くありません。経済活動や政治的活動については、まだ視野が狭く、女性への差別は続いています。ただ、女性といっても母親に対しては皆、尊敬の念を持っています。

━━━学校や周りが冷静な反応を示す中、アイニの母が娘探しに奔走するシーンは、子どもの失踪が日常化しているインドネシアの現状を克明に映し出していました。
ヌール:インドネシアでは個人主義が蔓延し、周りの人が他人に関心を持たないので、それほど親身になってもらえない部分があります。また学校の先生方は、NIIが非常に浸透しているので、「子どもたちはそこに自由を求めて行ったのだろう」という考えを持っているのです。

━━━ヌグロホ監督がインドネシアで今、一番問題と感じている事柄や、次の映画で取り上げたいテーマを教えてください。
ヌグロホ監督:テーマについては、常に社会の状況と対話しながら考えていきますが、今はパプアの独立問題やアチェの政治紛争が重要な問題だと思っています。ただ次の映画については芸術的なものを考えており、ジャワ島の踊りや絵画についての作品を予定しています。

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インドネシアは今非常に消費主義や合理的主義が広まりすぎてしまい、そうした部分についていけない人たちが過激派になり、ラディカリズムが蔓延していく状況になっています。ラディカリズムに何も手を打たないままだと、それが一つのライフスタイル、つまり「自爆テロをするのはかっこいい」という風潮が広がるので、ラディカリズムに傾倒しないようにする教育が非常に重要になってきます。その教育も「一生懸命働く」というよりは、「どうやって将来生きていくのか」という教育をしていかなければ、ラディカリズムを抑えることはできません。ラディカリズムに敵対するものも、やはりラディカリズムになってしまうので、なるべく皆で考えていく必要があるでしょう。そして今の政治指導者は、まず人間性に主眼を置いた政治的な指導をすることが大事だと思っています。

(江口由美)


『目隠し』作品紹介(第25回東京国際映画祭)はコチラ
 

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