原題 | Mysteries Of Lisbon |
---|---|
制作年・国 | 2010年 フランス |
上映時間 | 4時間27分 |
原作 | カミロ・カステロ・ブランコ(ポルトガル) |
監督 | 監督:ラウル・ルイス 脚本:カルルシュ・サブガ |
出演 | アドリアヌ・ルージュ、メルヴィル・プポー、レア・セイドゥ、マリア・ジョアン・バシュトゥシュ、リカルドゥ・ペレイラ、クロチルド・エム |
公開日、上映劇場 | 2012年10月13日(土)~シネスイッチ銀座、11月10日(土)~テアトル梅田、11月24日(土)~シネ・リーブル神戸、12月22日(土)~京都シネマ 他全国順次公開 |
~豪華絢爛、詩的映像美で迷宮に誘われる至福のとき~
生きていく上で、出会う人々が自分と意外な接点を持っていることに気付いたことはないだろうか? 実は遠い親戚だったり、あるいは自分の人生に深く関わっていた人だったりと……本作は、19世紀前半のポルトガルの貴族社会を舞台に、一人の少年に関わる人々のそれぞれのプロフィールを、相関図を描くように物語った大河ドラマである。ポルトガル、フランス、イタリアなどの本物の貴族の館や庭園、修道院などで撮影され、その重厚感あふれる詩的な映像と、運命が導く人生のミステリーは、4時間半という長さを感じさせない勢いで魅了する。
ヨーロッパ中をナポレオン旋風が吹き荒れた後のポルトガル王国。ディニス神父の修道院にある伯爵夫人の私生児・少年ジョアンがいた。母親との同居を望むが伯爵がそれを許さず、母親への思慕をつのらせていた。少年の出生の秘密や、両親、伯爵、祖父との関係、さらに、ディニス神父の出生の秘密と若き日の恋愛、さらにさらに、怪しげな過去を持つ成金アルベルトとジョアンとの関係、彼を付け狙うエリーズなど、次々と明かされていく登場人物の秘密。そして、物語はひとつの舞台劇へと収れんされていく。
監督は、2011年に70歳で亡くなったラウル・ルイス監督。チリからフランスに亡命し、作品数は100本を超えるほど多いが、日本ではあまり知られていない。『クリムト』(06)しか見ていないが、彼が江戸川乱歩の大ファンだったことを思えば、彼のミステリアスな作風も何となく理解できるというもの。少年時にラウル・ルイスに見出されて俳優となったメルヴィル・プポーによると、監督の演出方法は、心理的アプローチはせず図を書いて説明し、役者が情感を出そうとすると敢えてそれを外し、役者が不安定になって迷宮に陥る様子を撮影したという。しかも、1シーン1カットで長回しで撮ることも多く、余計にスリリングだったとか。
そのメルヴィルさえチョイ役なので、「この長編でメルヴィルを探せ!」ではないが、目を凝らして見てほしい。『マリー・アントワネットに別れをつげて』(‘12/12/15公開)に主演のレア・セイドゥも、ディニス神父のエピソードで出演している。
夢かうつつか、すべては病に侵された少年が朦朧とした中で夢見たことだったのか!? そのミステリーを解き明かすのはあなた自身。ラウル・ルイス監督の最高傑作と言われ遺作となってしまった『ミステリーズ 運命のリスボン』は、滅多に出合えない豪華絢爛な貴重な作品であることだけは確かだ。(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://www.alcine-terran.com/mysteries/
テアトル梅田での上映の詳細はこちら⇒ http://www.ttcg.jp/theatre_umeda/topics/detail/16820
© CLAP FILMES (PT) 2010