「AI」と一致するもの

『METライブビューイングアンコール2016』
なんばパークスシネマ限定 ご鑑賞券プレゼント!!

傑作オペラを一挙上映!

 
MET-anpos-A.jpg恋とオペラの夏が来た!
毎年恒例の夏のアンコール上映の開催が決定いたしました。

オペラの殿堂、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)の最新のオペラ公演を世界中の映画館で上映する「METライブビューイング」。大スクリーンと迫力の音響で、トップ歌手の夢の競演をお楽しみいただけます。

今年のラインナップは、最新の2015-16シーズンと、過去10シーズンの中から選りすぐった人気作26演目を一挙上映!



そこで、なんばパークスシネマ限定のペア特別鑑賞券を3組6名様にプレゼント!

締切:2016年8月10日(水)
 


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プレゼント用ペア特別鑑賞券は、下記の〈なんばパークスシネマ〉での上映期間中の全ての作品の中から、1作品をお好きな日時で1回ご覧いただけます。

映期間 : 2016年8月27日(土)~2016年9月23日(金)

MET-anpos-B.jpg<上映作品一覧>

           作曲家                作品名             上映日程 ※全日10:30~の上映となります。

プッチーニ       《トゥーランドット》 ・・・・・・・9/3(土)~9/5(月)

           《マノン・レスコー》・・・・・・・9/8(木)・9/9(金)

                          《蝶々夫人》 ・・・・・・・・・・・9/15(木)・9/16(金)

ドニゼッティ   《アンナ・ボレーナ》 ・・・・・8/30(日)・8/31(水)

         《マリア・ストゥアルダ》・・・・9/6(日)・9/7(水)

           《ロベルト・デヴェリュー》・・9/13(日)・9/14(水)

モーツァルト   《魔笛》・・・・・・・・・・9/17(土)~9/19(月・祝)

ロッシーニ       《セヴィリャの理髪師》・・・9/10(土)~9/12(月)

ドニゼッティ   《連隊の娘》 ・・・・・・・・・・9/20(日)・9/21(水)

レハール       《メリー・ウィドウ》・・・・・・9/22(木・祝)・9/23(金)

ヴェルディ       《イル・トロヴァトーレ》・・8/27(土)~8/29(月)

ビゼー      《真珠採り》 ・・・・・・・・・9/1(木)・9/2(金)

●各作品のキャスト、作品内容は詳細は公式サイトをご覧ください。

 

■【会場】 なんばパークスシネマ 

(大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークス8F 南海電鉄なんば駅中央口・南口直結)

 

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~様々な“人生”が彩るフランス映画の神髄~

 

新作12本の内『愛と死の谷』以外の11本は既に配給が付いており、今夏から来春にかけて公開が決定している。すべてフランスらしい独特な映像表現や人生そのものを描いた深いテーマの作品が多く、新人のオーディションに6か月も掛けたり緻密な脚本に拘ったりと、強い創作意図が感じられる作品ばかり。テレビ局や俳優プロダクション主導のコミックベースの映画ばかり撮っている日本の映画陣は、もっと大人になってほしいものだ。


french2016-finai-550.jpgさて、順位は付けがたいが何度でも観たいと思った作品は、『The Final Lesson(仮題)』(秋)、『奇跡の教室』(8/13)、『太陽のめざめ』(8月)、『アスファルト』(9月)。尊厳ある最期を迎える自由をテーマに、理解し寄り添う愛のカタチを示した感動作『The Final Lesson(仮題)』。重くなりがちなテーマを、笑いの絶えない軽やかな会話を中心に、柔らかな光に包まれた映像で描いた秀作。


french2016-6-27-kisekino-550.jpg子供の可能性を信じ、忍耐強く見守り指導していくことの尊さを教えてくれた『奇跡の教室』と『太陽のめざめ』。実話を基にした『奇跡の教室』は、移民の多い混沌とした教室の生徒たちに、ナチスのユダヤ人虐殺という歴史に向き合わせることで、真実を知ることの重要性と生きていることの幸せを実感させる感動作。

 


french2016-taiyouno-550.jpg一方、『太陽のめざめ』は、不良少年の更生を通して、だらしない母親や長年忍耐強く指導してきた判事や指導員などの周囲の大人たちの在り様を描いている。カトリーヌ・ドヌーヴやブノワ・マジメルというベテラン演技派に拮抗していたのが、少年役に大抜擢されたロッド・パラドだ。建具師の訓練を受けていた時にスカウトされた17歳の新人(今年20歳)が放つ鋭い眼光の変化は、少年の更生を繊細に物語る。『モン・ロワ』で主演し、昨年のカンヌ国際映画祭でルーニー・マーラーと共に主演女優賞に輝いたエマニュエル・ベルコによる、緻密な脚本と演出が光る感動作。


french2016-6-25-asfalt-550.jpg孤独な心の隙間を埋める真心がもたらす奇跡のような愛情物語を3つのエピソードで綴った『アスファルト』。パリ近郊の古い団地に住む孤独な3人に、イザベル・ユペールやヴァレリア・ブルーニ・テデスキにマイケル・ピットという豪華俳優が、それぞれ“落ちる”をキーワードに絡んでいく。飄々とした単調な流れの中に熱い感情がこみ上げてくる、人間讃歌の物語。個人的には一番好きな作品。


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巨匠クロード・ルルーシュとフランシス・レイによる現代版“男と女”の『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』(9月)。サンクチュアリーな風情のインドを舞台に、大使夫人と自己愛の強い音楽家とのラブストーリー。悠久のガンジスの流れや雑踏のシーンでもルルーシュ監督らしい流麗さが際立つ。エンディングがまたシャレてていい。


同じく、男と女のままならぬ人生を描いた『モン・ロワ』(来春)は、『太陽のめざめ』を監督したエマニュエル・ベルコがヴァンサン・カッセル相手に熱演。時には、過ぎ去った日々を振り返るリハビリの期間が、人生には必要なのかもと思わせる映画。


french2016-aitosino-550.jpg家族の秘密と再生を描いた①『めぐりあう日』(8月)と②『ミモザの島に消えた母』(7/23)、『愛と死の谷』。①と②は母親の不在に心を開放できず他者を愛せないアダルトチルドレンが主人公。大人の都合で封印された過去により子供は深く傷つき、さらに成長後にも影響を及ぼす悲しみが滲む。イザベル・ユペールとジェラール・ドパルデューが14年ぶりの共演となった『愛と悲しみの谷』は、気温50℃という酷暑のデスバレーで撮影された逸品。自殺した息子が引き合わせた元夫婦の再生を描いている。


サーカスの見世物から芸術家として生きようとした初の黒人道化師の人生を描いた実話『ショコラ(仮題)』(来春)。実際に起きたボンベイ同時多発テロ事件に遭遇した少女の恐怖の生還と、その後の心境を静かに描いた『パレス・ダウン』(7月)。そして、無表情な女性たちと少年たちしかいない島での驚愕の秘密を描いたスリラー『エヴォリューション(仮題)』(11月)。フランス映画らしい映像で物語る多彩なラインナップは今年も健在だった。


(河田 真喜子)

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『めぐりあう日』ウニー・ルコント監督トーク@フランス映画祭2016
 
長編デビュー作『冬の小鳥』で孤児となった9歳の少女の“旅立ち”を繊細なタッチで描いたウニー・ルコント監督。その最新作『めぐりあう日』では、フランスの港街ダンケルクを舞台に、生みの親を知らずに育った主人公エリザと実母アネットが運命の糸に手繰り寄せられる物語を、詩情豊かに描いている。二人の接点となるエリザの息子、ノエの存在や、理学療法士として働くエリザのもと患者として訪れたアネットに施術を施す際の親子のスキンシップを思わせるゆったりとした描写など、手掛かりや象徴的なことがらを忍ばせながら、豊かな映像が観る者を包み込む。親を知ること、親になること、そして親と触れ合うことの意味を静かに語りかける秀作だ。
 
本作の上映後、ウニー・ルコント監督が登壇し、作品の設定や音楽について語ってくれた。その模様をご紹介したい。
 
 
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―――どのようなところからストーリーが生まれたのでしょうか。
ルコント監督:元々この映画を作ろうと思ったのは、実母と捨てられた娘が再会したときどうするかという発想から生まれました。前作『冬の小鳥』の30年後を想定し、(子どもを)捨てた側と捨てられた側がどうなるのかを描きたかったのです。再会とはいっても、お互い母と娘と知らずに再会させることで、ドラマチックな部分が加えられます。お互い認知しあう映画にしたいと思い、実の母には巡り合ったものの、彼女は子どもを産んだことを否定しているところから始めました。脚本はアニエス・ドゥ・サシ―さんと一緒に仕上げましたが、どういう枠組みで再会させるのかを話し合いました。最初アネットがエルザを施術するとき、腕の中に抱くシーンは、私自身が接骨院の患者として施術されて体験したことです。実際に、体も心も穏やかになれたので、この設定を使いたいと思いました。
 
―――ヒロインを理学療法士という職業に設定した理由は?
ルコント監督:実際に私が施術してもらったのは接骨院ですが、(フランスでは)あまりポピュラーではないので、アネットのような人物はむしろ理学療法士にかかるのではと思い、設定を変えました。このように職業を設定し、後になって様々な意味が生まれてくることが分かりました。主人公のエリザは乳児で捨てられてしまったので言語を話す前に捨てられたショックを味わっており、実母以外の様々な人を介して今がある。大人になってからトラウマのようになっていますが、職業で人と肌を触れ合っているのです。患者を施術しながらも、自分自身のトラウマを癒している意味合いが含まれると思いました。
また、個室で施術するという特殊な職業なので、親密な場で母が娘の前に体をさらけだし、母が本来なら子どもを抱えたように、この職業のおかげで娘が母を抱いて施術をするのが面白いと思いました。もう一つ理学療法士という設定にして含ませることができたのは、母の裸体を施術するときに、子どもが母のお腹の中にいた記憶で何かが分かるのではないかというサスペンス的な意味合いも持たせました。それぞれの体の記憶が呼び覚まされるようなハラハラする部分を感じられるかと思います。
 
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―――主演のセリーヌ・サレットさんが素晴らしいですが、彼女を起用した経緯は?
ルコント監督:セリーヌ・サレットさんはフランスでは有名で、今、非常に力を発揮されています。起用の理由としては、ビジュアル的なインパクトが一番大きいです。いくつかの作品を拝見し、スクリーンでの存在感を考えてエリザは最初から彼女と決め、脚本を送りました。カメラテストもなく私からオファーしたのです。今まであまり演じたことのないような抑え気味で控えめだが存在感が光る、アジア的な演技をしてくれたと思います。
 
―――何度も繰り返されるピアノの音色が印象的でした。どういう意図で音楽を作ったのでしょうか?
ルコント監督:シナリオを書いている時から、音楽は絶対必要である一方、BGMではなく重要な役割を持たせたいと考えていました。イブラヒム・マーロフさんの「ベイルート」という音楽が素晴らしく、彼は映画的に映える音楽を作る人だと思いました。作品の登場する人物は、それぞれ人に言えないことを抱え、沈黙の中生きている人が多いので、その内面を表現し、登場人物に寄り添う音楽を使いました。イブラヒムさんとこの映画の音楽を作るにあたり、オーガニックミュージックを念頭に置きました。ダンケルクが舞台なので、海や赤レンガなどのイメージや、エレクトロニックの要素も加えましたし、設定や映像のことを話しながらディスカッションを重ねました。音楽はキーとなる役割で、血液のように不可欠なものです。1度目の編集が終わった時点でスタジオに持っていき、映像を見ながらピアノで作曲をしてくれました。ある程度構想はしていたようですが、しっかりと掘り下げて作ってくれたのです。
 
 
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―――ダンケルクは第二次世界大戦後半の戦場となった場所ですが、この場所を舞台にした理由は?
ルコント監督:この映画を撮影するまで、私自身はダンケルクを知りませんでした。第二次世界大戦で破壊された後、再建された街です。以降も衰退と再建を続けてきたところが気に入りました。また海があるのも景色的に必要で、人のいない浜辺や広い空が心象風景として効果的だと思い選びました。映画でナレーションはしていませんが、80年代に産業が栄えた後オイルショックで衰退し、移民労働者が増えたりという部分も社会的背景として感じてもらうのに効果的な街です。
 
―――原題は“Je vous souhaite d'être follement aimée”と長いですが、このタイトルが意図したことは何ですか?
ルコント監督:原題のタイトルは「狂おしいほどあなたが愛されることを私は祈っている」という長いものですが、これはアンドレ・ブルトンの『狂気の愛』に出てくる父が娘にあてた手紙に出てくる最後の文章を抜粋し、ポエトリーリーディングとして登場させています。このタイトルや劇中のポエトリーリーディングはメッセージという意図はありません。エリザの父がエリザに語っているという訳でもありません。これは映画自体が発する言葉と捉えています。最後にエリザの人生に寄り添い、新しく問いかける特殊な存在なのです。
(写真:河田真喜子 文:江口由美)
 

<作品情報>
『めぐりあう日』“Je vous souhaite d'être follement aimée”
(2015 フランス 1時間44分)
<監督>ウニー・ルコント
<出演>セリーヌ・サレット、アンヌ・ブノワ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン、フランソワーズ・ルブラン、エリエス・アギス
2016年7月30日(土)~岩波ホールほか全国順次公開
©2015 – GLORIA FILMS – PICTANOVO
 
フランス映画祭2016は、6月24日(金)~27日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)にて開催!
 

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『The Final Lesson(仮題)』パスカル・プザドゥー監督、主演マルト・ヴィラロンガトーク@フランス映画祭2016
 
家族に92歳の誕生日を祝われた主人公が、その場で宣言したのは2か月後に「死ぬ」ことだった…。助産婦として、人生の様々な局面で自由を求めて闘ってきたマデリーンが自分らしく死ぬ「尊厳死」を求めて人生最後の闘いに挑む様子を、娘や息子、孫たちの葛藤と共に描いたヒューマンドラマ『The Final Lesson(仮題)』。マデリーン役を演じたマルト・ヴィラロンガの老いることに抗えない自分を受け入れながらも、自分らしさがあるうちに死にたいと強く願う姿や、娘のディアーヌを演じたサンドリーヌ・ボネールの母の最期の願いを叶えるかどうかで葛藤する姿など、どちらの立場からも観る者が感情を重ねることができる。肉親たち以外にも、マデリーンの身の回りの世話をしているアフリカ系黒人のヴィクトリアが、マデリーンの意思を尊重し、アフリカの風習を引き合いにだしながら死について語る場面も興味深い。「自分の死に方は自分で決める」を貫くマデリーンの姿は、老婆が主演の物語とは思えないぐらい力強く、そして人生の終わり方がいかに大事なものかを教えてくれるのだ。
 
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本作の上映後、パスカル・プザドゥー監督、主演マルト・ヴィラロンガさんが登壇し、原作(実話)部分に加えた映画ならではの設定や、「尊厳死」というテーマを映画として見せる工夫について語ってくれた。その模様をご紹介したい。
 

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―――フランスでは有名な実話を元にしていますが、映画化した理由は?
プザドゥー監督:原作を読み、大変美しい物語だと思いました。人生についてのベーシックなことが書かれています。愛する人を失うと後悔しますが、愛する人の選択を受け入れることで、後悔をしない人生を送ってほしいという思いで作りました。
マルト・ヴィラロンガ:この役のオファーが私に来た時はとてもうれしく、絶対他の人に取られたくないと思いました。第一印象はみなぎる力強さを感じました。全ての人に起こる話ですし、身内の人が受け入れるのは難しいけれど、このようなケースもあることをこの映画に参加することで伝えることができ、うれしいです。
 
―――主人公と同年代の祖母がいるので、非常に興味深く拝見しました。重いテーマながら笑える要素を挟み込んだ演出について、お聞かせください。
プザドゥー監督死という重大なテーマですが、それをみなさんに紹介できる形で伝えたいという私の強い意思がありました。そこには軽い要素が必要です。深刻さにも軽さがあり、それがあるからこそ深みも出ます。笑いを誘うことを取り入れることで、あまり深刻にならないようにし、編集時にも非常に気を遣いました。
マルト・ヴィラロンガあまり深刻に考えないように心がけました。できるだけ役柄に溶け込み、脚本を読み込んで、あまり深刻ぶらないようにしました。人生は笑う時もあれば、涙するときもある。そのようなことを忘れないように、考え込み過ぎず、自然に演じることを心がけました。
 

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―――映画ではあえて語られなかったが、マドレーヌとジョルジョ(初恋相手で以来現在まで文通を続けている)の関係はどのように想定したのですか?恋多き女性と描かれていますが。
プザドゥー監督実話を元にしており、それから脚本を書いたのですが、ジョルジュは創作しました。冒頭に死を宣言しているので、途中で観客もダレてしまいます。サスペンスのようなこと、つまりマドレーヌがジョルジュに会いに行くことで、心が動き、もしかしたら自殺できないのではないかと観客に思わせたかったのです。この世を去る前に、友達に会いに行くとよく聞くので、初恋の人に会いに行くという設定にし、象徴的に扱いました(原作では尊厳死決行前に、フランスを一周して友達に会いに行っている)。 
 
 
―――音楽の使い方が印象的でした。病室で使われる『そして今は』や、ラストシーンからエンディングロールにかけてアフリカの歌などを採用した理由は?

 

プザドゥー監督音楽は私にとって一種の魔法です。映画は映像で訴えかけますが、会話や音楽を取り入れることで魔法が生まれます。『そして今は』は素晴らしい詩でびっくりするような内容です。病気のフランス人高齢者がとても素朴に会話をしているところにその曲はぴったりだと思ったのです。ただ使用権を巡って、とても闘いました。というのも、『そして今は』を歌ったジルベール・ベコーの奥様が、作品の内容が悲しすぎると使用許可をなかなか出してくれなかったのです。ただ、出来上がった映画を観た後、「あなたが頑張って一生懸命この曲を使いたいという意味が分かった」と納得してくれました。
 
 
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―――扱いにくいテーマをなめらかに、ついジュースと一緒に飲んでしまったような、素晴らしい作品でした。この映画では老衰を避けたいという西洋的な考え方が背景にあり、東洋の老いて、枯れて、自然に消えていく死についての考え方との違いを感じましたが。
プザドゥー監督ヨーロッパでは死について語ることを避けますが、日本では『楢山節考』のような作品もあり、死を受け入れる文化だと思いました。マルト・ヴィロンガが演じたマドレーヌは闘いの人でした。助産婦として闘い、人生で強く自分の意思を持って生きていました。原作者は、本作のマドレーヌとは違い、身体が痛くて麻痺が始まっていました。寒くて眠れぬ夜が何度も過ごし、自分でできることが少なくなり、死を目前に見ていた訳です。朽ちていく姿を後に残したくない。そんな自分の意思を持って生きていた人でした。
 

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―――親しい人を亡くす際、受け入れる方の立ち位置も難しいですが、娘ディアーヌとは別の意味でマドレーヌを見守る人物として、アフリカ系女性のヴィクトリアを登場させていますが、その意図は?
プザドゥー監督実話では二人の姉がおり、家事の手伝いをほとんどしていたとお聞きしました。映画では、母と娘という関係を描くためにディアーヌを登場させたので、二人目は家事を担当する人物で、より間接的な関係としてヴィクトリアを登場させました。これが面白いというだけでケラケラ笑ったり、アフリカ的価値観を持つ間接的な距離感の登場人物です。彼女の存在は重苦しい中にフレッシュ感を取り入れてくれます。
 
 
―――孫のマックスも祖母のマドレーヌに気遣いを見せますが、彼の感情はどのように演出したのですか?
プザドゥー監督すべての世代を映画に登場させたいと思いました。祖父母、両親、青年、子ども。青春期にいるのがマックスで、フランスでは小さい時によく子どもを祖父母に預けるので、なついているのです。ずっといるものと思っていたのに(死によって)消えてしまうことが感覚的に分からないのです。最初マックスはマドレーヌが死ぬことを反対しますが、次に受け入れ「どうしてわかってあげないの」「自由が大切」と両親に言い放ちます。ところが他の人たちが受け入れ始めた時に拒否に回り、最後にまた受け入れます。大人たちの言うことに反対する思春期の行動をマックスに込めました。若い人にも観てもらいたいですから。
マルト・ヴィラロンガフランスでの上映を観た小さい子が映画館からでるとき「来週おばあちゃんの家に、ご飯食べにいこう」と言ったのを聞き、嬉しく思いました。
 
 

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―――最後に、メッセージをお願いします。
プザドゥー監督今回日本に来ることができ、みなさんに私の映画を観ていただくことができたことに心から感謝を申し上げます。この作品で、死についてポジティブに考えてもらえたらうれしいです。
マルト・ヴィラロンガ皆さまが良かったと思ってくれることが私たちにとって大きな喜びです。難しいテーマですが、私たちが映画を作ったメッセージを皆さんに理解していただき、この作品をきっかけに(死について)話ができればいいと思います。映画では様々な立場で意見を言う人がいます。観ていらっしゃる方も、それぞれの意見で共感しながら観ていただいたのではないでしょうか。そういう形で映画の中に入ってくださること、この映画を作り、日本まで持ってきてみなさんに観ていただいたことを大変うれしく思います。
(写真:河田真喜子 文:江口由美)
 

<作品情報>
『The Final Lesson(仮題)』“La Dernière leçon”
(2015 フランス 1時間46分)
監督:パスカル・プザドゥー
出演:サンドリーヌ・ボネール、マルト・ヴィロンガ
2016年~シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
©Jean-Marie Leroy
©2015 FIDÉLITÉ FILMS - WILD BUNCH - FRANCE 2 CINÉMA - FANTAISIE FILMS
 
フランス映画祭2016は、6月24日(金)~27日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)にて開催!
 

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『太陽のめざめ』主演ロッド・パラドさんトーク@フランス映画祭2016
 
フランス映画祭2016でオープニング上映された、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『太陽のめざめ』は、カンヌ国際映画祭でオープニング上映され、同映画祭で女優賞(『モン・ロワ(原題)』)を獲得したエマニュエル・ベルコ監督最新作だ。カトリーヌ・ドヌーヴ演じる判事が10年に渡って辛抱強く更生に力を尽くした少年役に選ばれたのは、本作が初映画出演となる新星ロッド・パラド。度重なるオーディションで手にした主人公の少年マロニーの危うさ、寂しさ、暴力的感情、愛を求める姿を感受性豊かに演じ、本国フランスでも「アラン・ドロンの再来」と大注目を浴びている。
 
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同じような境遇を経て、今は少年たちに寄り添う保護士、ヤン役のブノワ・マジメルと疑似親子のような信頼関係を築いては、ぶち壊し、指導する方もされる方も揺れ動く姿も心動かされる。愛を知らずに育ったマロニーと同年代の少女テスの不器用で乱暴すぎる愛や、自分の事を優先してしまう母に対して、それでも母に会いたいと願う切ない心情など、生々しい感情をスクリーンに焼き付けた作品だ。
 
マロニー役のロッド・パラドさんがゲストとして初来日を果たし、上映後のトークで観客からの質問に応えてくれた。俳優業に身を捧げる覚悟をし、今後の活躍が非常に楽しみな新星の初々しい姿をご紹介したい。
 

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―――東京は初めてだそうですが、感想はいかがですか?
ロッド:初めてヨーロッパの外にやってきました。東京だけでなく日本は素敵な国。パリと比べると温かく、人々も落ち着いていて神経質ではありません。心が温かいです。
 
 
―――強烈なキャラクターを演じていますが、キャリアの一本目でどうやってこの役に出会ったのですか?
ロッド:映画の中でも木を削るシーンがありますが、僕自身当時は職業訓練課程の高校生でした。ある女性から「あなた映画に出る気はない?」と誘われたのです。高校の教室で演技テストをし、その後オーディションが30回近く重ねられました。エマニュエル・ベルコ監督は主演の男の子を選ぶのはとても重要な選択なので、かなり長い時間をかけました。僕が選ばれ、ようやくブノワさんとテストをすることができたときには、すぐに家族のように演じることができました。仕事は一生懸命やりましたし、疲労困憊するまでやってのけました。この結果にはとても満足していますし、そこまでやらなければこのような結果にはならなかったと思います。ブノワの後に、テス役のサラさんとテストをし、それもうまくいって、ようやくあなたに決めるということで、カトリーヌ・ドヌーヴさんとのテストになったのです。彼女と初めて会ったときは、「どう、初めてなんだってね」と声をかけられ、緊張していましたが、年齢を聞かれた後に「あなたは?」と聞くと、ドヌーヴさんも素直に話してくださり、女優というより彼女自身の内面の愛情を感じました。そこは映画の判事と主人公の関係に現れているのではないでしょうか。
 
 
―――感動的な映画を観ることができ、うれしく思います。ロッドさん自身は学校時代どんな生徒でしたか?
ロッド:マロニー役はちょっと複雑な内面ですが、僕自身もルールはあまり得意ではなく、自由が好きですね。学校はどちらかといえば苦手で、活発すぎるぐらいでした。ただ、他人に対するリスペクトがありました。マロニーには欠如感があると思います。生まれつき暴力的ではないと思いますから。
 
 

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―――マロニー役を演じるにあたり、今までの不良少女や不良少年が重要な役割の映画(『大人は判ってくれない』等)を参考にしたのか、もしくは21世紀の新たな不良少年像を演じようと思ったのでしょうか?
ロッド:とりわけ今までの映画や役割を参考にしたということではなく、本当に努力をし、準備をしました。脚本をコーチにつきながら2か月間、徹底的に読み解きました。現場で台詞が入っていないと、自由に演技ができませんから。そうして本当に自分の感情が出るようにしました。あと現場では、エマニュエル・ベルコ監督の言うことを聞けばいい。その演技指導に従えばよかったのです。暴力もどんどん高めていき、最初に一番高めてから、どんどん下げていくことで演技をコントロールしていきました。
 
 
 
 

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―――ブノワ・マジメル演じるヤンが奥さんと別れたという話をしていたとき、「ジュテーム(愛してる)」という言葉をマロニーが初めて口にしますが、演じたロッドさんはどう感じましたか?
ロッド:あのシーンで、保護士役のヤンとマロニーは全幅の信頼で結びついています。難しいタイプの子どもが保護士に全幅の信任を寄せることは世界中でも難しい中、このような状況はとても珍しいことです。マロニーも、最後「いい人間になりたい」と告げますが、世の中にはそう思っていても失墜していく人もいます。映画のマロニーのように僕自身は世界中の問題のある子どもたちが良い方向に向かっていくことを願っています。
 
 

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―――ロッドさん演じるマロニーの眼差しや仕草などは、悪いことをするとより美しく魅力があるアラン・ドロンを彷彿とさせますが、ご自身はアラン・ドロンのようになれると思いますか?
ロッド:そんな風に褒めていただいて、ありがとうございます。僕はアラン・ドロンに会ったことがあります。僕自身は映画が好きなので、今後彼の出演作を見ていきたいと思います。ただ、映画を観るだけでなく、本人に会うことで、そのパーソナリティーが分かりますし、とてもいい人だと思いました。僕自身も彼のようにキャリアを積み重ねていければと思います。
 
 
 

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―――マロニーを演じるにあたって、一番難しかったことは何でしたか?
ロッド:最初一番危惧していたのは、ラブシーンでした。結局ラブシーンそのものが大変なのではなく、暴力的にセックスをすることに抵抗がありました。プライベートでは自分は社交的で優しい男性だと思っていましたから、そのシーンを演じながらレイプをしているのではないかという思いを感じてしまったのです。映画のすべてのシーンの中で一番打ちのめされ立ち直れなかったのは、お腹の大きな職員にけりを入れ、母親役に怒られるシーンでした。
 
付け加えるなら、映画界にデビューして一年半、これからたくさんのことを学ばなければいけないし、俳優という職業に全身全霊を捧げたいと思っています。役柄の後ろに自分が隠れることができる職業であることが気に入っていますし、普通の次元を超越した、感動を与えるものです。みなさん、温かいおもてなしをありがとうございました。新作でまた来年もフランス映画祭に訪れることができれば、今回度忘れして言えなかったアラン・ドロンの出演作についてもお話したいと思います。
 
写真:河田真喜子 文:江口由美

<作品情報>
『太陽のめざめ』(2015 フランス 1時間51分)
<監督>エマニュエル・ベルコ
<出演>カトリーヌ・ドヌーヴ、ロッド・パラド、ブノワ・マジメル、サラ・フォレスティエ
2016年8月~シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
© 2015 LES FILMS DU KIOSQUE - FRANCE 2 CINÉMA - WILD BUNCH - RHÔNE ALPES CINÉMA – PICTANOVO
 
フランス映画祭2016は、6月24日(金)~27日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)にて開催!
 
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豪華ゲストが勢ぞろいするフランス映画祭2016が、東京会場は6月24日(金)から27日(月)までの4日間、有楽町朝日ホールおよびTOHOシネマズ 日劇で開催される。
今年の団長は、10年ぶりの来日となるイザベル・ユペール。ジェラール・ドパルデューと久々の共演で元夫婦役を演じる『愛と死の谷』、郊外の団地を舞台にした出会いと奇跡の物語『アスファルト』の2本に出演、上映後のトークや、舞台挨拶が予定されている。
 
クラッシック1本を含む13本が上映されるフランス映画祭2016のオープニングセレモニーでは、上映作品の監督、俳優ゲストに加え、スペシャルゲストとして、今年5月のカンヌ国際映画祭<ある視点>部門に最新作『海よりもまだ深く』が正式出品された是枝裕和監督、さらに最新作『淵に立つ』が、見事今年のカンヌ国際映画祭<ある視点部門>の審査員賞に輝いた深田晃司監督、主演の浅野忠信も登壇予定だ。
 
 
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オープニングセレモニー後上映されるのは、カトリーヌ・ドヌーヴが厳しい状況に置かれる少年を導く判事役で見事な存在感をみせる主演最新作『太陽のめざめ』。注目新人のロッド・パラドをはじめ、ブノワ・マジメルらが体当たりの演技をみせるヒューマンドラマだ。また、同作監督のエマニュエル・ベルコがカンヌ国際映画祭女優賞を獲得した男女のあまりにも激しい10年間の恋愛、夫婦生活を描いた『モン・ロワ』。『ニンフォマニアック』の色情狂ヒロイン役が話題となったステイシー・マーティン主演、ムンバイ同時多発テロの実話を基にした『パレス・ダウン』、『エコール』のルシール・アザリロヴィック監督最新作『エヴォリューション(仮)』など、話題作が目白押しだ。
 
福岡、京都、大阪会場でも、必見作がラインナップ。夏目前、フランス映画をぜひ堪能して!
 
フランス映画祭2016公式サイト → http://unifrance.jp/festival/2016/
 

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