「AI」と一致するもの


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【日 程】 3月9日(土)上映後舞台挨拶

【会 場】 渋谷ホワイトシネクイント(東京都渋谷区宇田川町15−1 渋谷パルコ8階)

【登壇者】 富田健太郎、森山未來、さとうほなみ、小泉今日子、マヒトゥ・ザ・ピーポー監督



3月9日(土)渋谷ホワイトシネクイントにて、映画『i ai』(読み:アイアイ)の公開記念舞台挨拶が行われ、主演の富田健太郎、共演の森山未來、さとうほなみ、小泉今日子、そしてマヒトゥ・ザ・ピーポーが登壇した。


aiai-main-500.jpgGEZANのフロントマンで、音楽以外でも小説執筆や映画出演、フリーフェスや反戦デモの主催など多岐にわたる活動で、唯一無二の世界を作り上げるマヒトゥ・ザ・ピーポーが初監督を務め、第35回東京国際映画祭<アジアの未来部門>に正式出品され話題を呼んだ映画『i ai』は、マヒト監督の実体験をもとに、主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間たちが音楽と共に過ごした日々を綴った青春映画。


2021年夏に撮影し、ようやく迎えた劇場公開の感想を訊かれたマヒト監督は、「3年間、自分たちの中で大事にしてきたものは、羽ばたいていく。親鳥のような、いってらっしゃいっていう気持ちで、本当に嬉しいです」と笑顔。3,500人の大規模オーディションから抜擢され、映画初主演を務めた富田は、満員の客席を見て、「この景色を忘れないと思います。『i ai』に出逢えたことは宝物です」と喜びを噛み締めた。


iai-bu-500-3.jpg本作はクラウドファンディングで製作を開始し、当初より「共犯者になってください」と呼びかけていたマヒト監督。「自分ひとりの書いた脚本から始まったものなんですけど、いろんな人の力やエネルギーが重なって、立体的に組み上がっていく過程を撮影中の現場でも見ていました。映画は完結しているんですけど、それがお客さんの前に手渡されて、その人の中の血に溶けてこれから始まっていくんだなとも同時に思っています」と今後に期待を込めた。


aiai-making-240-1.jpgマヒト監督の「共犯者」としてこの映画に参加した役者陣。出演理由について森山は、「台本という名前もまだつけてあげられない状態というか、私小説的な、純文学的な状態のものをマヒトから受け取ったときに、こんなにピュアに届けたい言葉がある、伝えたいことがあるということに特化した物の書き方に久しぶりに出会った感覚があって」と振り返ると、「まだ脚本にはなっていないけど、これをどうやったら(映画に)できるだろう?というところから始まったんですけど、そのうちに、直筆の赤い手紙をいただいて。でも、そこに何が書いてあったか内容は思い出せないんですよね」と笑いながら明かした。続けて、「地元が神戸なんですけど、この作品が神戸であり明石の作品であるということは、海と空の話でもある。それは血として違う海で撮るというのは僕の中ではなかった」と断言。「やっぱり瀬戸内海特有の色味や霞みというのは、太平洋にも日本海にもない。それを撮れないなら、参加できないと言いました」と撮影地へのこだわりを見せた。


aiai-koizumi-240.jpg小泉は、「私はカメラマンの佐内(正史)さんとも昔から何度もお仕事していて、佐内さんもマヒトくんも独特の自分の言葉を持っていて、写真を撮ったり、音楽を作ったりして表現しているんだけど、そんな2人が組んだときにどんなことが起こるんだろうって。2人のセンスは元々好きなので、これはプラスしかないんじゃないか、すごい良い化学反応が起こるんじゃないだろうかと思い参加しました」と説明。

 

主人公コウや仲間たちが集うライブハウスの店長を演じた小泉。その役どころについて「ライブハウスに夢や憧れをもって集う若者たちは今でもたくさんいると思うんですけど、その中で音楽を生業にして生きていけるひとって本当にすごく少ないと思うんですよね。でもそういう人たちが置いていった夢の“墓守”のようなそんな気持ちで演じさせていただいた」と明かした。


aiai-satou-240.jpg一方ヒー兄の恋人るり姉役で、ほないこか名義でミュージシャンとしても活動するさとうは、「私も10年以上バンドをやっていて、売れない時期とかライブハウスでやっていた時もあるし、色々な人が諦めて会社員になったりだとか、もうバンドをやっていなかったりとか、そういう人たちの魂も込めて、ライブハウスにはあるもんだろうな」と吐露。


マヒト監督が紡ぐ詩的な“ことば”と映像美が魅力の本作。小泉は「本当に、30年ぐらいの時間の中で一番好きな日本映画でした」と話すと、森山は「この体験、色彩、音。映画館で体験するために作られたもの。この空間設計だからこそ、届く言葉。劇場に足を運んでもらうことに、こんなに意味のある映画はないと思います」と呼びかけた。


aiai-tomita-240.jpg最後に観客に向けて、富田が「僕はコウとして生きることができて幸せでしたし、この『i ai』という大きな赤い風船がどこまでも飛んでほしいと思っていますし、僕は心から信じています。この映画を皆さんとどこまでも飛ばしていきたいなと思っています」と語り、マヒト監督は「『i ai』は“別れ”が真ん中にあるお話だと思うんですけど、“生きる”についての話だと思うんですよね。みんなが当事者の話で、必ず訪れる自分の大切な人だったりとか、自分自身もまたこの世界からいなくなるときがくる。誰ひとり部外者がいないストーリーで、映画が終わったあともずっと続いていくものだと思うんで、これからもよろしくお願いします。これからもというか、これからがよろしくお願いします」とメッセージを送り、締め括った。
 


【STORY­­】
兵庫の明石。期待も未来もなく、単調な日々を過ごしていた若者・コウ(富田健太郎)の前に、地元で有名なバンドマン・ヒー兄(森山未來)が現れる。強引なヒー兄のペースに巻き込まれ、ヒー兄の弟・キラ(堀家一希)とバンドを組むことになったコウは、初めてできた仲間、バンドという居場所で人生の輝きを取り戻していった。ヤクザに目をつけられても怯まず、メジャーデビュー目前、彼女のるり姉(さとうほなみ)とも幸せそうだったヒー兄。その矢先、コウにとって憧れで圧倒的存在だったヒー兄との突然の別れが訪れる。それから数年後、バンドも放棄してサラリーマンになっていたコウの前に、ヒー兄の幻影が現れて……。


出演:富田健太郎 / さとうほなみ 堀家一希
    イワナミユウキ KIEN K-BOMB コムアイ 知久寿焼 大宮イチ
         吹越 満 /永山瑛太 / 小泉今日子 / 森山未來
監督・脚本・音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー
撮影: 佐内正史  劇中画: 新井英樹
主題歌: GEZAN with Million Wish Collective「Third Summer of Love」(十三月)
プロデューサー: 平体雄二 宮田幸太郎 瀬島 翔
製作プロダクション:スタジオブルー  配給::パルコ
©STUDIO BLUE(2022年/日本/118分/カラー/DCP/5.1ch)
■公式サイト:https://i-ai.jp 
■公式X:https://x.com/iai_2024
■公式Instagram:https://www.instagram.com/i_ai_movie_2024/

2024年3月8日(金)~渋谷ホワイトシネクイント、シネ・リーブル神戸、3月22日(金)~大阪ステーションシティシネマ、アップリンク京都 ほか全国公開!


オフィシャル・レポートより

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 第19回大阪アジアン映画祭のスペシャル・オープニング/特集企画 Special Focus on Hong Kong 2024作品として、3月5日ABCホール(大阪市北区)にて香港映画『盗月者』が日本初上映された。
 
スペシャル・オープニングセレモニー、HONG KONG GALA SCREENING後に上映された『盗月者』は、2010年の香港の窃盗団による東京の時計店襲撃事件を題材に、史実を織り交ぜたストーリーが展開するスタイリッシュな犯罪ドラマ。上映後、ユエン・キムワイ監督、加藤社長役の田邊和也さんが登壇し、
「大阪の皆さん、こんばんは。実は一番後ろで一緒に鑑賞し、みなさんが映画に没入しているところを見守っていました。我々香港人で笑いのツボだと思ったところを笑ってくださり、国境や文化を超えて伝わっいると感じ、映画は素晴らしいと思いました」(ユエン監督)
「僕も初見だったので、みなさんと同じ気持ちで見させていただきました」(田邊)
とご挨拶された。非常に複雑で、リアルな時計泥棒の舞台裏を垣間見ることができる本作のトークの模様をご紹介したい。
 
 
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―――泥棒映画として面白い仕組みだが、実在の事件からどのようにアイデアを得たのか?
ユエン:2010年1月6日、香港で大きな窃盗事件がありました。4人グループの泥棒が2人の郵便配達員を襲い、当時わたしは、2人の郵便配達員を襲うのに4人も必要なのかと思ったのです。4日後に警察がこの事件を解決したのですが、実は4人グループの泥棒は、銀座の時計店、天賞堂で200本以上の有名な時計を盗み、香港に持ち帰ったのです。飛行機の手荷物として持ち込むのは不可能なので、日本の郵便システムを利用し、この時計を香港に送ったわけですが、香港に届いた時、大きな問題が起きました。映画内では香港の郵便局員トントンが内通者役になっていましたが、実際の事件はその泥棒グループを裏切ってしまったのです。その結果、全然関係のない郵便局員を襲ったというのが事件の真相でした。他にもロンドン、ベイカーストーリーの窃盗も参考にしましたし、また幸運にも50音のボタンがある日本の金庫を手に入れることができました。さらに物語では(宇宙飛行に使われてきた)ムーンウォッチという本当の部分も取り入れました。つまり、4つから5つの歴史的犯罪要素を取り入れたのです。
 
―――脚本を読んでの感想は?
田邊:初めて読んだときから、率直に面白いと思いました。アメリカや海外の作品には出演していましたが、香港映画からオファーが来たのが初めてなので最初は戸惑いましたが、スピード感やアクションがあり、すぐにオファーを受けました。最近悪役続きですが(笑)
 
 
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―――日本で撮影されたシーンの中で、一番楽しかったシーン、苦労したシーンは?
田邊:東京出身なので、特段変わらない日々でしたが、現場初日に初めてお会いした時、セットにいる監督は巨匠の雰囲気で正直怖かったです。でも撮影が始まるととても優しい方で、すぐに信用しました。
 
ユエン:香港人の映画撮影に関して、究極的に表現すれば「早い、そしてめちゃくちゃ」。一方、日本人の映画製作は非常にシステマティックです。一番異なる点は、日本人は仕事をするとき他人の迷惑にならないようにしようとしますが、香港人はその話を聞くと爆発するでしょう。私たちの考え方では、「他人に迷惑をかけないなんてそんな話はない」。撮影だから、どうやって他人に迷惑をかけないの?と。ある意味、今回は盗月者を香港から日本に連れて来て、1ヶ月間日本のみなさんに大変迷惑をかけました。この場でお詫びするとともに、それは仕方ないことだったのです(笑)。
 
―――寂れた場所が多かったが、日本のロケ地をどうやって見つけたのか?
ユエン:物語に関しては、2つの設定があります。一つは非常にハイクラスで超高級な場所、もう一つは泥棒たちが暗躍するローカルであまり知られていない場所が必要でした。ハイクラスといえば、間違いなく銀座です。我々の撮影が終わった1ヶ月後に、銀座の高級時計店が実際に強盗に遭ったというニュースにも驚いていました。ローカルな場所については、日本のプロデューサーが探すのに尽力してくれ、感謝しています。川崎では夜のシーンを撮影しましたが、この場では話せないような様々なハプニングも起きましたね。
 
 
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―――アンソン・ロー(盧瀚霆)が演じた鍵開け名人の青年は、お母さんも金庫破りのプロという設定がユニークだが。
ユエン:ロックを解除するとき、手の触感がとても重要になります。母は毛糸店を経営しているので、手が毛糸の微妙な触感を使うということで、当時のボスに見込まれたわけです。映画の設定では泥棒全員が他の本職を持っているという設定にしています。
ちなみに、アンソン・ローが演じた息子は次男で大学を卒業したばかりの設定で、彼は母の元に戻ろうとしているが、母は拒みます。母からすれば兄が(犯罪に巻き込まれて)亡くなったため、弟はどうしても犯罪グループと関わりをもたせたくない。だから家に帰ってほしくなくて追い出してしまったのです。

 
第19回大阪アジアン映画祭は3月10日まで開催中。『盗月者』は3月8日にも上映される(チケットは完売)。詳しくはhttps://oaff.jp まで。
(江口由美) Photo by OAFF
 
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 台湾の名匠、ウェイ・ダーション監督(『セデック・バレ』『52Hz, I love you』の6年ぶりとなる最新作『BIG』が、第19回大阪アジアン映画祭特集企画<台湾:電影ルネッサンス2024>入選作品として3月4日「シネ・リーブル梅田」(大阪市北区)で海外初上映され、ウェイ監督と出演のフェイフェイ・チェンが舞台あいさつに登壇した。
ドキュメンタリー撮影で出会った少女の明るさに衝撃を受けたウェイ監督が製作を決意したという本作は、小児がん病棟を舞台に、共に暮らす、異なる背景を持つ6組の家族の悲喜こもごもや、新しく赴任してきた脳外科医をはじめとする病院スタッフとの交流を描いた感動のヒューマンドラマとなっている。病と闘う子どもたちがキャラクターとなって登場するアニメーションパートでは、新海誠作品で美術監督を務めてきた丹治匠が監督を務めているのも見どころだ。
 
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 久しぶりの映画祭来場となったウェイ監督は、
「本当にお久しぶりです。これまでいろいろな困難に直面し、大変な時期がありました。大きなプロジェクトがコロナや資金集めの影響でストップせざるをえなくなった流れの中でこの映画を撮りました。ある種のハプニングでしたが、実際に脚本を書くときには笑ったり、泣いたり、非常に落ち込んだりを繰り返していくうちにだんだん気持ちが高まっていきましたので、みなさんもご覧になって笑ったり泣いたりと、とにかく映画を観終わって前向きになっていただければ嬉しいですし、人生は常に希望があり、前向きに再生できれば嬉しく思います」とご挨拶。
 
 同作で白血病を患うユエンユエンを演じたフェイフェイさんは、”兄弟”のような間柄として登場するオランウータン(劇中では動物園にいる本物)のぬいぐるみを抱えて登壇し、
「映画を観に来ていただきありがとうございました。日本でみなさんにお会いでき、上映することができ嬉しかったです。もしこの映画を好きなら、ぜひご友人に進めて、また観に来てください。(日本語で)みなさんこんにちは、わたしはフェイフェイです。よろしくお願いします」
と覚えたての日本語を披露し、観客より大きな拍手が送られた。
 
 
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  本作は小児病棟の子どもたちがメインキャスト。演出がしにくいと一般的に言われている子どもや動物(オランウータンなど)を起用することは、新しいチャレンジで、よりやる気がでたというウェイ監督。だが実際のキャスティングは難航を極めたという。特に、ユエンユエン役は一番重要で、髪の毛を剃るシーンがあるため、子どもたちにも嫌がられたそうで、スクリプターから勧められた子役たちの写真よりフェイフェイさんを見つけ出したときは、「彼女の目に芝居がある」と直感したと当時を回想。
「電話をしても両親からOKがもらえなかったので、直接フェイフェイさんと会って話をさせてもらうよう説得しました。フェイフェイさんには『非常に大事な映画で、あなたの役柄は社会に大きな貢献をすることになりますよ。髪はまた生えてくるし、人生でこんなチャンスはない』とお話したけれど納得してもらえず、別れ際のエレベーターで最後にこちらから『やりますか?』と聞いたら、ようやく『やります』と言ってくれたんです」と大変だったキャスティング秘話を一気に語った。
 
 

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 一方、撮影当時は9歳だったフェイフェイさんは「実は300個ぐらい断り文句を考えていたんです。私が剃るなら、監督も髪を剃ってくださいとか。それまで一度も髪を切ったことがなく、私にとってはとても大事なものだったので切るのは嫌でした。でもウェイ監督が一生懸命に物語のことを語ってくれたのはクールだと思ったし、やる気が少しでてきました。最後に監督から『やりますか?』と聞かれ、OKを出しました」と監督の熱意が決断の決め手になったことを明かした。
 
 実際の撮影では当初の心配をよそに子役を扱う自信がついたというウェイ監督。
「キャスティングをしっかりやり、芝居をきちんと把握することができれば、子どもたちとの撮影は意外と楽でした。彼らにしっかり睡眠をとらせ、お腹いっぱいになってもらうと大体はうまくいきます。物語はこうだから大きい声を出してとか、振り返ってなどストレートに話をすると、子ども達は指示を受けて動作や振る舞いをこなしてやってくれます。現場で徹したのは、みなさんがやっていることが大事で、大人たちはあなたたちがいないと何もできないと伝えることでした」と現場での子役の演出を振り返った。
 
 最後に、父と同じ動物園で働きながらユエンユエンを育てるシングルマザー役に歌手の曾沛慈さんを起用した理由について、ウェイ監督は
「歌手でもダンサーでも司会者でも観客の前でパフォーマンスをしている人は演技も間違いなくできると信じています。映画の中の役柄と役者のルックが合うかを決めておけば、オファー時に説得する自信があります。映画でも、ユエンユエンと母、そして祖父の3人が本当の家族みたいだったでしょう?俳優でなければ演技ができないのではありません。今回、子役の母を演じた人は全員未婚で出産経験もありませんが、見事に演じきってくれました」と多分野からのキャスティングが狙い通りの結果を上げていることに自信の表情を見せた。
第19回大阪アジアン映画祭は3月10日まで開催中。『BIG』は3月10日にも上映される。詳しくはhttps://oaff.jp まで。
(江口由美) Photo by OAFF
 

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2024年3月3日、ホテルエルセラーン大阪のエルセラーンホールにて《おおさかシネマフェスティバル2024》が開催された。午後の表彰式では、90歳を迎えた映画伝道師の浜村淳が総合司会を務め司会の簫秀華や受賞者と絶妙な掛け合いをみせ、今年も笑いの絶えない式となった。俳優部門を中心に受賞者の主なコメントをご紹介したい。


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★主演女優賞:松岡茉優『愛にイナズマ』

(浜村から『ちはやふる』の演技を褒められ)『ちはやふる』と『愛にイナズマ』はプロデューサーが同じ。折村花子のキレ具合や泥臭さに共感しながら演じていた。映画を観て、悔しい想いや理不尽な目に遭った思い出を話してくださる方がたくさんいるとわかった。映画を観て、花子に熱いエールをもらってほしい。

 

 

★主演男優賞:鈴木亮平『エゴイスト』
      
(ビデオメッセージにて)

『エゴイスト』は、愛とエゴの話で、私にとっては人間ってなんと素晴らしいのかと思える人間賛歌の映画。大阪で映画を撮ることがあれば、ぜひ協力していただきたい。

 

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★助演男優賞:磯村勇斗『月』 

17歳で役者をやりたくて友達同士で映画を作り、それがきっかけでこの業界を目指し、小劇場活動時代に今の事務所に声をかけられた。『月』という作品は非常に難解で、社会的テーマが強いので、どういう風に届くのかと思っていたが、みなさんの心や脳内に届いていることを実感している。

 

 

★助演女優賞:中村久美『高野豆腐店の春』

いい人しか出て来ない映画。相手が藤竜也さんなので、素晴らしいなと思ってそのままの気持ちで、やらせていただいた。俳優歴45年で初めて賞をいただいた。三原監督と藤竜也さんのタッグ3本目で、最小限の日程、人数で大急ぎで撮り、和気藹々とした信頼のもとで作り上げた映画です。

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★新人男優賞:黒川想矢『怪物』

大阪でも映画『怪物』を好きな人がたくさんいるとは知っていたが、このような賞をいただけて、嬉しい。『怪物』に出る前まではこのような奇跡を起こすことはできなかったので、是枝組や映画『怪物』に感謝している。

 

 

 

 

 

cinefes2024-hiiragi-240-1.jpg★新人男優賞:柊木陽太『怪物』

出身が京都で、関西で受賞できるのはすごく嬉しい。本当にありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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★新人女優賞:サリngROCK『BAD LANDS バッド・ランズ』

演劇も映画も、すべての要素が掛け算になっていて、この賞を私に撮らせてくださった作品への賞だと思っている。

(サリngROCKさんは自身で立ち上げられた劇団《突撃金魚》で脚本・演出を手掛けておられ、俳優としての映画出演は初めて。)

 

 

 

 

 

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★新人女優賞:中野有紗『PERFECT DAYS』

何もかもが初めて、外国の監督で不安でしたが、言葉の壁を超えて心が通じ合うものがあった。(ヴィム・ヴェンダース監督は)ありのままの私を受け入れ、私そのままでいさせてくれた。初めての映画でこのような素晴らしい賞をいただくことができたのは『PERFECT DAYS』チームのみなさんのおかげ。観てくださった方の心や記憶に残る演技ができればと思っている。

 

 

 

 

 

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★監督賞:石井裕也『月』

いつも見ることのない、見ようとしない世界を描いているので、どう広く、深く見せるかに一番苦労した。いろんな大変なこともありましたが、作ることができて今は本当に良かった。


 

 

 

 

 



cinefes2024-hamamura-500-1.jpg武部好伸(作家・エッセイスト)のコメント

御大・浜村淳さんのアドリブ感と(状況を鑑みない)マイペース感にますます拍車がかかり、それを巧みに(必死に?)フォローする簫秀華(しょうしゅうか)さん。2人の息の合った絶妙なる司会ぶりに会場は常に笑いの渦。こんな飾りっ気のない映画祭は他にはありません。受賞者にもこの雰囲気が伝染し、皆さん、リラックスムードに。主演女優賞の松岡茉優さんと浜村さんの掛け合いは漫才そのものでした。これが「おおさかシネマフェスティバル」の醍醐味! いやぁ、ええ塩梅でした。


河田真喜子(シネルフレ編集長)のコメント
浜村淳さんの暴走を止められるのは簫秀華さんしかいない! 今年も浜村さんのハチャメチャぶりに振り回される授賞式となったが、簫さんが冷や汗かきながら浜村さんを止める度に会場からは爆笑が沸き起こる。大阪のお客さんは優しい!浜村さんの予測不能な行動に大いに笑って喜んで下さるのだから…大阪ならではの授賞式だろう。(簫さん、今年もお疲れ様でした!)
今年は実行委員長の高橋聰氏が体調不良で登壇されなかった。長年、関西独自の映画祭を要として率いて来られ、映画関係者や業界人、さらには映画祭のファンからも慕われているお方だ。今後も多くの方々に映画への情熱の火を灯し続けて頂きたいと願わずにおられない。
 

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毎月シネマ歌舞伎を映画館で上映する《月イチ歌舞伎》、2024年も上映決定!

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今回、新作としてラインナップに入るのは、大人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」の初の歌舞伎化作品として昨年 新橋演舞場で上演され話題をさらった『刀剣乱舞 月刀剣縁桐(とうけんらんぶ つきのつるぎえにしのきりのは)』。 審神者(さにわ)と呼ばれるプレイヤーが刀剣の付喪神(つくもがみ)である刀剣男士を成長させ、歴史改変を企む時間遡行軍(じかんそこうぐん)との戦いに挑むというゲームの世界観をそのままに、二役の演じ分けや 義太夫を用いた場面など、古典的な演出も加わり歌舞伎ならではの作品に。今期月イチ歌舞伎の 1 作目として、スタートを華々しく盛り上げます。


2024月イチ-ぢいさんばあさん.jpg2 本目の新作は、片岡仁左衛門、坂東玉三郎が共演した『ぢいさんばあさん』(2010 年 2 月歌舞伎座公演を撮影)。 歌舞伎界のゴールデンコンビによる、悲劇によって引き 裂かれても変わることのない夫婦愛を描いた名作を 2025 年 1 月に上映致します。


2024月イチ-三人吉三 ポスター.jpgその他、勘九郎、七之助、松也によるコクーン歌舞伎の舞台を撮影した NEW シネマ歌舞伎『三人吉三』や、 仁左衛門と玉三郎の配役で 36 年ぶりに上演され評判をとった『桜姫東文章』など、バラエティに富んだラ インナップで計 11 作品を上映


また、シネマ歌舞伎の次はぜひ劇場で生の舞台を体験していただきたいという思いを込めて、歌舞伎座 のチケットほか、歌舞伎関連グッズが当たるキャンペーンを開催。

 

 

 

★シネマ歌舞伎公式 HP:https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/


 


【上映映画館】大阪ステーションシティシネマ(新作のみ上映)、なんばパークスシネマ、MOVIX 京都ほか

【鑑賞料金】 各作品 一般 2,200 円 / 学生・小児 1,500 円 ※『京鹿子娘二人道成寺』のみ 1,200 円均一
      ◎お得な特別鑑賞券【ムビチケカード】3 枚セット 5,700 円 上映映画館ほか、
歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座、南座ほかにてにて2/9(金)より発売 


(オフィシャル・リリースより)

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ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシーら豪華キャストが集結したロマンティック&ヒューマン・コメディ『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』3月8日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開いたします。


本作は不器用な大人たちの“幸せ探し”を描いた感動作。6人の主人公による、最高の人生の見つけ方をユーモアと感動を交え綴るのは、『クイズ・ショウ』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞作品賞にノミネートされ、ニューヨーク映画批評家協会賞を受賞したマイケル・ジェイコブス監督。ニューヨークタイムズから「観た後に愛する人たちと語り合いたくなる、楽しくて完璧な脚本」と評された。その脚本に惚れ込んだオスカー俳優のダイアン・キートンスーザン・サランドンウィリアム・H・メイシーリチャード・ギア、ジュリア・ロバーツの姪エマ・ロバーツルーク・ブレイシーら豪華俳優陣が奇跡の共演。ニューヨークを舞台に最高にお洒落でチャーミングな6人が、愛と人生のアンサンブルを奏でます。観る者を心地良い世界へといざなってくれる、極上の音楽にも大注目!!


ミシェル(ロバーツ)は交際中のアレン(ブレイシー)との結婚を望む一方、煮え切らないアレン。2人は親たちの経験から結婚生活について学ぼうと、両家顔合わせのディナーの席を設ける。だが驚いたことに、互いの両親はすでに顔なじみだった。なんとお互いの配偶者同士で不倫をしていたのだ!厳しい状況に追い込まれた親たちは、子供たちに自分たちの不倫を隠しながら、配偶者の愛人と正面対決を図る。だがある事をきっかけに6人の運命は予測不可能の展開に…。
 



「映画を見たあと観客が愛する人たちと語り合えるような作品になることを願っています」

マイケル・ジェイコブス監督オフィシャルインタビュー

 

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この映画は私が20歳の頃に書いた脚本がもとになっています。まだ人生経験が乏しい時に書いたんですが、それを60代になった自分の視点で書き直しました。脚本を書き上げるうえで分かったのは、“愛してる”という言葉は簡単に言えるのに、その言葉に責任を負うのはなんて難しいんだろうということです。


700話以上のテレビドラマ、ブロードウェイでの2人芝居、オフブロードウェイでの1人芝居、そして作品賞にノミネートされた映画の脚本を書いたあと、僕が人生で重きを置いていることを題材に脚本を書きたいと思いました。僕は38年間結婚生活を続けています。妻と共に人生を歩んでいく中で、どんな苦難を経験しても、別れようと思ったことは一度もありません。同時に、夫婦の絆が固く見えた友人夫婦が離婚していく様子もたくさん見てきました。夫が妻に失望し、妻が夫に「人生を台なしにされた」と愚痴をこぼす。間違った決断や破滅した人生の物語を聞いているうちに、「これはコメディ作品のテーマになる」と常々思っていました。そして、やっと脚本にできるほど十分な人生経験を積んだのです。


脚本はキャスティングする前に書き上げました。特定の俳優を想定して書いたつもりはなくて、このような幸運に恵まれるとは思ってもみませんでした。


aboutlife-500-1.jpg本作品の脚本の執筆中、登場人物たちや彼らが感じるフラストレーションについて理解が深まると、笑いが込み上げてくるようになりました。彼らが感じるフラストレーションは、人生の終わりが見え始めた年齢に近づいたことで、これからをどう生きるかという疑問から生じたものであるからです。結婚の価値や、なぜ我々がこんな失態をおかしてしまうのかを探るうえで、リアルなだけでなく普遍的に共感を覚えるようなシーンが次々と浮かんできました。登場人物たちが陥った状況に大笑いし、時に涙を流し、そして物語に入り込んだ瞬間が最も印象深いです。『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』には現実と創作のバランスをうまく取ったコメディになってほしい。恋愛と結婚を題材に、恋愛と結婚のどちらが勝つか期待しながら、映画を見たあと観客が愛する人たちと語り合えるような作品になることを願っています。


【作品情報】

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監督・脚本:マイケル・ジェイコブス
製作:ジョナサン・モンテパレ『ボーンズ アンド オール』
音楽:レスリー・バーバー『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
撮影:ティム・サーステッド『リトル・ミス・サンシャイン』
編集:エリカ・フリード「セヴェランス」
出演:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー
2023/英語/95分/原題:Maybe I Do/字幕翻訳:長夏実
配給:AMGエンタテインメント
© 2023. FIFTH SEASON, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://aboutlife-movie.jp

 

2024年3月8日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA 、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinéma神戸国際 ほか全国順次ロードショー


(オフィシャル・レポートより)


『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』

クイーン・コンシェルジュで本作字幕監修者の吉田聡志氏と

音楽ライターで「クイーンは何を歌っているのか?」著者の朝日順子氏

アフタートークレポート
 

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伝説のバンド《クイーン》ボーカル フレディ・マーキュリー、

語り継がれる本当の姿


2018年に公開された『ボヘミアン・ラプソディ』以降若い世代を巻き込み人気が再燃したクイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーについて語られたイギリス発の最新ドキュメンタリー『フレディ・マーキュリー The Show Must Go On』が2月16日(金)より世界に先駆け日本初公開されました


本作は、名曲「ボヘミアン・ラプソディ」誕生秘話とフレディをはじめブライアン・メイらクイーンのメンバーのインタビューを収録、その後音楽界に与えた影響などを考察したドキュメンタリー映画です。その公開記念トークショーが、2月17日(土)14時30分の回上映終了後に行われました。登壇者にはクイーン・コンシェルジュで本作字幕監修を務めた吉田聡志氏と音楽ライターで「クイーンは何を歌っているのか?」著者の朝日順子氏を迎え、2月のクイーン来日公演に纏わる話やロンドンのサザビーズオークションで見たフレディ・マーキュリーが愛した日本の品々や衣装のことなど、本作同様リアルな視点でフレディ・マーキュリーそしてクイーンというバンドについてお2人に語っていただきました!!
 


日時:2月17日(土) 14時30分の回上映後 

登壇者:吉田聡志(クイーン・コンシェルジュ)、朝日順子(音楽ライター・翻訳者)(敬称略)

場所:新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3丁目15番15号)



――クイーンの来日公演はいかがでしたか?

朝日順子:まだ興奮冷めやらない感じですが、私は前回よりずっと良かったなと思いました。アダム・ランバートの魅力が最大限に引き出されていて、ソウルフルな感じとか。前回はメドレー形式もあったんですが、今回はじっくり聞かせる感じでアダムありがとうと思いました。

吉田聡志:本当に素晴らしいショーで、お金もかけているし、パフォーマンスも素晴らしい。クイーンのファンを50年やっていて良かったなって。その中でも今回はナンバーワンかもしれない。本当に感動しました。


freddie-pos.jpg――吉田さんは今回本作の字幕監修として関わっていただいて、1975年の初来日からずっとクイーンを追いかけていらっしゃるということですが映画の感想をお聞かせください。

吉田:クイーンの特にフレディってあまり簡単な人じゃなくて、取材するのも難しいし、インタビューも嫌いと言われていますが、それなのにフレディが信頼している4人の方が主に出てきて大げさでもなく、そのままフレディのことを素直に語ってくれている、その真実性が今回の映画で関わらせていただいて強く感じた点ですね。


――朝日さんは今回パンフレットに寄稿していただいていますが、映画の感想や気になる言い回しなどありましたか?

朝日:最後のフレディの来日公演にギリギリ間に合って中3の時に見ましたが、80年代からファンになったので、今回映画『ボヘミアンラプソディ』の映画のブームから割と悲劇のヒーローみたいに祀り上げられる傾向があって、特に海外メディアだとスキャンダラスに書く感じがしたのですが、この映画は悲劇のヒーローに祀り上げるのではなく、クイーンデビュー直後から知っている人たちがコメントし、丁寧に虚像じゃない部分、それと本人の部分とフレディが演じた部分をそれぞれどうやって彼が演じる部分を作り上げていったのかっていうことと、実際のフレディはこういう人なんだという証言をすごく丁寧に説明していて好感が持てました。


――クイーンが長い間ヒット曲を出し続けていたという秘訣は何だったのでしょうか?

吉田:曲がいいのはもちろんですが、初期のプロデューサーのロイトマス・ウェイカーが言った有名な話で、クイーンのサウンドは一つだけれど作曲家が4人いる。とてもバンドとしては強力な武器があるわけですよね。4人4様それぞれ個性が強くて、かつ得意なサウンドとかもあって、だから特徴的にはヒット曲はいっぱいあるけれど、同じようなヒット曲というものがあまりない。これは本当にクイーンならではというか最大の強みだと思いますね。


――クイーンといったらフレディ・マーキュリーという印象がすごく強かったのですが、全米でナンバーワンを取った2曲のうちの1曲はフレディの曲ではないですよね?

吉田:ライブでも大盛り上がりの「地獄への道連れ」はジョンの曲ですからね。フレディはもちろん「愛という名の欲望」を出しましたけど、そういった意味でもロジャーの代表曲も「レディオ・ガガ」もあるし、ブライアンは言わずもがなたくさん代表曲があるしということで、本当に4人それぞれがヒット曲を持っているっていうのがすごいなと思いますね。


freddie-550.jpg――その中でフレディ・マーキュリーといえば、音楽的にもしくは歌詞の面でどういった特徴を持っている方だったのでしょうか?

朝日:フレディに限らず4人ともすごくインテリで、割と俯瞰してというか自分たちをスーパースターとしてそこに入りすぎず、エンターテイナーに徹することができました。その中でもフレディは特にプロとしてエンターテイナーに徹することができたというのが歌詞にもすごく表れていて、だけどそれを誰も分からないような歌詞にはせず、万人が分かるように提供する。そこは自分たちがエンターテイナーだという自覚のもとに立っているから今でも世界ナンバーワンバンドであるのは、歌詞の分かり易さというのがすごく大きいとは思います。


――4人ともインテリだったという話ですが、音楽にもそういった面は表れていたのですか?

吉田:有名な話だとフレディ・マーキュリーが最初にミュージックライフのアンケートに答えてくれた時、4人とも共通して好きな人は2人いて、ジミ・ヘンドリックスとジョン・レノンは4人ともすごく好きなんですが、フレディはジミ・ヘンと同列のところにパガニーニって書いてあるんですよ。この人はきっと幼少からクラシックをやっていたし、クラシックとかジャズとかロックとかジャンルとか関係なくて、自分に刺激のあるものは全部取り入れて音楽を作って演奏していたから結果的に「ボヘミアンラプソディ」のような誰にも作れないすごい完成度の曲ができちゃったのかなと思ったことはあるけど、逆に歌詞の世界もあのバンドは4人4様ですよね。


freddie-500-2.jpg――今回のタイトル「The Show Must Go Onという曲のタイトルですが、こちらの「The Show Must Go Onの歌詞について何かフレディの思いなど感じるものはございますか?

朝日:これはブライアンとフレディがテーマを考え、フレディの病が進み、すごく大変な時にブライアンがフレディの思いを代弁して書いた歌詞ですが、「The Show Must Go On」という表現はエンターテインメント業界の用語で、何があっても出し物を続けなきゃいけないという言葉で、古くからサーカスの団長が叫ぶような、何があっても例えば猛獣が逃げ出してもショーを続けなきゃいけない、エンターテインメント業界の用語なんです。


この曲の歌詞の内容が大変なことが起こっているけれど動乱も剥がれ落ちそうになるけれども、微笑みは絶対絶やさず何があってもショーを続ける。どんなことがあってもショーを続けるぞみたいな。それがこの映画のストーリーにものすごくリンクしていて、いろんなことがあったけれども、最後の最後まで他のメンバー3人に支えられながら、創作活動を続けたフレディ・マーキュリーの生き様というのがこのタイトルに現れているんですよね。
 

――これはフレディ自身ではなくてブライアンがフレディの気持ちを考えて作ったということなんですね?
朝日:そうなんです。何度も確認してあまりにリンクしているので。歌も難しいですよね、ボーカルが。これ大丈夫って聞いて、スタジオでフレディは大丈夫最善を尽くすと言って、ウォッカを飲んで煽って歌い切ったという壮絶な曲なので、ぜひ家に帰られたらみなさまに聴いていただきたいなと思います。


――この頃には、もうフレディの具合が悪いということはファンの間では噂になっていたと思のですが、この曲を初めて聴かれた時のお気持ちは?

吉田:それはよく覚えていますね。ライブエイドでもう一回一致団結するじゃないですか、その後「カインドオブマジック」が出て、とてつもなくでかいマジックツアーっていうのをヨーロッパでやって、なんで日本には来てくれないんだろうって思って、悶々としていて、その次にメンバーがソロに入ってクイーンのアルバムはいつ出るんだろうと思っていたら、「ミラクル」というアルバムがようやく出て、PVはどんどん出ていくのにライブが発表されなかったんですよね。


ミラクルのツアーをやったら絶対盛り上がるし、日本ではマジックツアーが見られなかったから今か今かと待っていてもツアーが発表されない。これはなんかおかしいぞと言っているうちに、PVに出てくるフレディがなぜかモノクロだったり、なぜか頬がこけていたり、髭が生えていたりと容姿が変わっていった時に、僕らファンが見ても最近おかしくないみたいな話が出始めて、そうこうしているうちに「イニュエンド」が届いて、随分早いな「ミラクル」からの間がと思ったら、「ミラクル」の後すぐレコーディングに入っているんですよね。とにかくフレディは1曲でも多く曲を残したかったんだ。

1曲でもクイーンで歌いたかったんだというのが少しして分かって、いい意味ですごく重たい作品だと感じましたね。特に「The Show Must Go On」は。フレディがフレディ・マーキュリーであるための理由として、この曲なのかなというふうに感じたので、ある意味重く受け止めた思い出があります。

 

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――映画の中でもライブエイドを取り上げていると思いますが、その前にクイーンが解散するのではないかという噂が立っていたそうですが?

朝日:85年の時は解散する最後のライブだよと噂されていて、最後だと思って見に行きました。80年代は割と日本ではメディアの露出も少なく、ファンにとっては日陰の身というか、だから今のクイーンのブームが死ぬほど嬉しくて、80年代のファンとしては見たことのないブームで、70年代のブームを体験してないので、ここ数年間すごく嬉しいんです。


――その頃ちょうど、ライブエイドでフレディはクイーンで歌いたいと決意したのではないかとありましたが、再び結束したということがその頃の曲の歌詞か何かに現れるものはありましたか?

朝日:ミラクルというアルバムは、パーティーっていう最初の曲も含め、久しぶりにみんなでスタジオに集まって、わいわいガヤガヤ、最高だねみたいな、またやるぞっていう。アルバムジャケットも団結力を現しているんです。

吉田:来日公演を見に行った方は思ったと思うんですが、メニューの中に「I Want It All」があるじゃないですか。ミラクルから唯一選ばれている曲で、これはあくまでも僕の想像ですが、フレディがあの時ツアーをやれていれば、あの曲は1曲目じゃなかったと思うんだよね。

すごくハードでリフもかっこいい曲だけど、ただ残念ながらミラクルのツアーがなかったことで、ミラクルの楽曲はクイーンでは生演奏ができなかったんですよね。


――映画の中で初期にフレディがクイーンのビジュアルを白黒にこだわっていたという話がありましたが、これには何か意味があったのですか?

吉田:当時、75年日本に来た時、白鷺っていう衣装を着ていた。皆さんよくご存知ですよね。これはザンドラ・ローズっていう女性デザイナーで、イギリスのコシノジュンコさんみたいな人がいるのですが、彼女がデザインしたものでフレディが直接頼んだんですが、元々のデザインはブライダルかなんかの衣装なんだよね。
白と黒にこだわったというのは、これは初期のインタビューですが照明です。当時からステージングにすごくこだわっていたクイーンが、最初から照明のオペレーターとかも専門の人を雇っていく中で照明に一番映える衣装だというと、結果として黒と白なんですって。だから照明って消えてつくところが一番大事で、消えた時に真っ黒に暗転するには黒だし、いろんな照明が当たるのに綺麗なのは白だしということで、白と黒にこだわるという話がありました。


――フレディ・マーキュリーといえばもう一つとても印象的なレオタードのような衣装がありますが、あのような衣装を初めてご覧になった時、ファンとしてはどういうお気持ちでしたか?

朝日:強烈だなと思いましたが、8月にロンドンでサザビーズのオークションに合わせて一般公開されたフレディの遺品の展示を見たら、大量にあのもじもじ君みたいなボディースがあって、それを間近で見ると、すごく素敵でオートクチュールみたいな。手仕事で作られた繊細な感じがして、あ、こんな素敵だったんだ、ごめんなさい、と思いました。実物を見ると、全然印象が違いました。

吉田:慣れって怖いなと思ったんですよ。最初見たとき、あれだけ格好悪いと思った衣装が、フレディが1ミリも恥ずかしがらずにどうだっていい感じで、ステージで着ているのに慣れてくると、こんなにこの衣装が似合う人は世界にフレディしかいないとだんだん思えてきて、最後にはなんて格好がいいんだみたいな。


――朝日さんのお話にもあった、サザビーズのオークションについて。フレディ・マーキュリーはお買い物がとても好きだったっていうことですが、日本でもかなり買い物をされていたのですか?

朝日:割と新しい大正時代の日本の版画で、朱色と暗っぽい色の2色使いの地味な版画があって、ロックスターのオタクって、割と成金趣味の金ピカなんですが、フレディの品々は、こんな趣味が良かったんだという、渋いのもたくさんあるし、すごくセンスが良くてびっくりしました。

吉田:僕はね1匹だけ、あれ、1匹じゃない、狙っていたのが猫なんですよ。猫の小物をいっぱい持っているっていう話をずっと聞いていたけど、本当かなと思っていて、ガードマンの伊丹さんに色々話を聞いた時、骨董品の猫とか探して、買っていたよと言っていたから、本当かなって言ったら、いましたね、猫ね。招き猫の古いのが、20匹ぐらいいたかな。


――その他吉田さんから見たクイーンの日本の聖地とは?

吉田:今回の来日では、ブライアンが妙に張り切っていて、インスタ上がりまくっていたじゃないですか。東京は浅草とスカイツリーとか。本当にブライアンが楽しんでいていいなと思ったんですけど、聖地巡りをして、東京はもちろん東京タワーとか、あとフレディがお忍びで86年に行った有名な栗田美術館ですね。恐らくフレディのガーデンロッジの庭は、ここからインスパイアされたんじゃないかと思われる、小松川植物園だったかな。ゆかりの地をいろいろ巡って、あの、リポートをしているので、お休みの日に、一日クイーンのゆかりの地を巡りたいという方は、ぜひガイドブックとしてこの本をご利用ください。

 

――朝日さんはクイーンの聖地巡りをしたことは日本ではありますか?
朝日:「日本ではないんですけど、イギリスに行ってきて、ロンドンだけじゃなくてリバプールもクイーンの聖地があるのでおすすめです。」


――最後にメッセージ

朝日:映画の中に2人おすすめのコメンテーターの方がいて、ロージーさんという人は、クイーンはデビューした直後からずっとイギリスのマスコミに酷評されていたのですが、ロージーさんだけは最初から寄り添った人で重要人物なんです。ポール・ガンバチーニさんは長年イギリスのラジオ業界で活躍しているんですが、70年代の初期はローリングストーン紙のイギリスの派遣員としてすごい大物を大量にインタビューしていて、だから70年代の音楽にはすごく精通された方でその2人がコメントしているってのすごくいいなと思いました。

吉田:来日の感動がまた違った角度から深くなったんじゃないかなと思っております。この映画をはじめ、これからクイーン関連の色々なイベントの予定もありますので、クイーンコンシェルジュとしては皆さんにどうやったら楽しんでいただけるかと考えております。

 


CREDIT

監督・脚本・編集:フィンレイ・ボールド 
製作:ブライアン・アベック 
編集:ジョーダン・ヒル、ダニエル・ウィンター 
音響:クリスチャン・タント 
出演:カシミラ・クック、ポール・ガンバッチーニ、ロージー・ホライド、ミック・ロック、ポール・ワッツ
2023年/イギリス/49分/カラー/1.85:1/5.1ch/
英語/原題「FREDDIE」/字幕監修:吉田聡志(MUSIC LIFE CLUB)
協力: MUSIC LIFE CLUB 
配給:NEGA/配給・宣伝協力:アップリンク
©Entertain Me Productions Ltd 2023.


(オフィシャル・レポートより)


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フィリピンパブの裏側で未だ行われている偽装結婚を背景に、多文化共生のあり方をリアルに描いた、実話を基にした異色のアジアン・ラブストーリー『フィリピンパブ嬢の社会学』の東京初日舞台挨拶が2/17(土)に東京K’s cinemaで行われ、兄弟漫才コンビ「まえだまえだ」としても活躍していた主演の前田航基、共演の一宮レイゼルステファニーアリアン白羽弥仁監督原作の中島弘象が登壇した。


本作は重版を重ねる中島弘象氏による同名のベストセラー新書「フィリピンパブ嬢の社会学」の映画化作品。主人公の大学院生がフィリピンパブで働く女性と恋に落ち、ともに困難を乗り越えてくラブストーリーだ。作品の舞台である愛知県内で先行公開され大ヒットを記録し、ついに東京での公開を迎えた。
 



登壇者は満員の劇場に、観客からの大きな拍手を受けながら登場。

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主人公の大学院生・中島役を演じた前田は、「ラブストーリーの主演をさせて頂くことは多分これからの俳優人生で数えられるぐらいしかないと思うので、貴重な経験をさせて頂けたと感謝しています」と感慨深げに語った。


白羽弥仁監督が「主人公がいろんな人に出会って、いろんなアクシデントにぶつかって弾き返されるというジェットコースターのような原作の映画化なので、そのアクションに耐えられる肉体を持っている、アクション俳優として前田くんにお願いしました」と映画に前田の存在が不可欠だったことを明かすと、「本当に動けるんだぞってところを見てほしいです」と前田が続け、会場からは笑い声が上がった。


ヒロイン・ミカを演じた一宮レイゼルは本作が映画初出演。「日本に出稼ぎに来ているフィリピン人の背景や、家族愛、友人愛など大事なメッセージがたくさん詰まった話だったので、ぜひこの作品に参加したいという強い思いで参加しました」とオーディション時を振り返る。レイゼルと共演するシーンが多かった前田は、「実際の年齢も僕より1つ上のお姉さんなんで、出店でクレープをご馳走になってしまいました」と撮影エピソードを明かした。


ミカの同僚・アキを演じたステファニー・アリアンは、「現場ではアドリブをたくさん出すくらい、レイゼルさんと本当の友達になりました。」と笑顔をみせた。


最後に前田が「フィリピンはおおらかで、ポジティブで、心の余裕や許してあげる優しさのある本当に素敵な国。日常の中で、苦しいことも辛いこともあると思いますが、この映画を観て『大丈夫。なんとかなる。』そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです」と伝え、イベントを締め括った。



さらに、大ヒットを受け拡大公開が決定。

3/1より封切となる大阪なんばパークスや池袋シネマ・ロサをはじめ、横浜ジャック&ベティ、MOVIX京都、キノシネマ天神、など全国各地での上映が決定。先行公開分も含めると単館スタートから20館へ異例の拡大公開となった。

 

併せてコメントも到着。

女優のルビー・モレノほか、フィリピンにルーツや関わりを持つ方々の他、サレンダー橋本(漫画家)、高木瑞穂(ノンフィクションライター)、飯塚花笑(映画監督)等多彩な面々から絶賛コメントが届いた。劇場情報と併せて、下記に掲載する。

フィリピンパ嬢の社会学コメン


東京  新宿ケイズシネマ公開中
    池袋シネマロサ  3/1~
         MOVIX昭島  5/10~

神奈川 横浜ジャックアンドベティ 3/16~

埼玉   MOVIX三郷 5/10~

大阪  なんばパークス 3/1~ 
    シアターセブン 3/9~

京都  MOVIX京都 4/5~

兵庫  kinocinema神戸国際 3/29~

岐阜  岐阜CINEX  3/16~

愛知  MOVIX三好  3/29~

静岡  MOVIX清水 4/5~ 
    浜松シネマイーラ 4月下旬

長野    アイシティシネマ 4/5~

別府    ブルーバード 3/29~

福岡    キノシネマ天神4/26~

熊本    熊本ピカデリー 5/10~


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パブで出会って、騙され?恋をした!

実話に基づく21世紀のアジアン・ラブストーリー


フィリピンパブを研究対象にしている大学院生・中島翔太(前田航基)はパブで偶然出会ったフィリピン人女性のミカ(一宮レイゼル)と付き合い始めることに。

しかし、彼女は偽装結婚をしていることが判明する。月給6万円、ゴキブリ部屋に監視付、休みは月に2回だけといった過酷な生活環境を目のあたりにする翔太。

一方、ミカは現状にめげることなく働き続け、故郷・フィリピンの両親の元に翔太を連れていく。彼女を大切に想う気持ちが次第に強まる翔太は、ミカに懇願され元締めのヤクザの元に乗り込むことになるが―


 

大学院生の実体験に基づいた話題の新書を映画化!

日本で働く外国人女性労働者の実態をリアルに描く


中島弘象氏による実体験を綴った話題の新書「フィリピンパブ嬢の社会学」を映画化!

フィリピンパブの裏側で未だ行われている偽装結婚のリアルを背景に、多文化共生のあり方を描いた異色のラブストーリーが誕生した。

 

前田航基が11年ぶりの単独主演

国内外で活躍する俳優陣がアンタッチャブルな世界に集結


主人公の中島翔太役には、2011年に映画「奇跡(監督:是枝裕和)」で、弟の前田旺志郎とW主演で鮮烈なデビューを飾った前田航基。今作は11年ぶりの主演(単独としては初主演)となる。ヒロインのフィリピンパブ嬢・ミカ役には、映画初出演となる一宮レイゼルが東京、愛知で開催された全国オーディションにて大抜擢。共演には、近藤芳正、勝野洋、田中美里、仁科貴をはじめ、カンヌ国際映画祭で高く評価された映画『PLAN75』のステファニー・アリアンや『ONODA一万夜を越えて』で主演の津田寛治、『東京不穏詩』で大阪アジアン映画祭の最優秀女優賞に輝いた飯島珠奈など、国内外で活躍する俳優陣が脇を固める。


多文化共生のあり方を『能登の花ヨメ」『ママ、ごはんまだ?』の白羽弥仁監督がPOPに描き出す。


出演:前田航基 一宮レイゼル ステファニー・アリアン 田中美里(友情出演) 津田寛治 飯島珠奈 仁科 貴 浦浜アリサ 近藤芳正 勝野 洋
原作:中島弘象『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書刊)
監督:白羽弥仁  脚本:大河内 聡 音楽:奈良部匠平
制作・配給:キョウタス 
©2023「フィリピンパブ嬢の社会学」製作委員会


(オフィシャル・レポートより)

FIREBIRD-bu-2.9-500-2.【4S】オレグ→レバネ監督→小原→トム.jpg

【日時】 2月9日(金) イベント:18:30 ※上映前イベント

【場所】 新宿ピカデリー シアター6 (東京都新宿区新宿3-15-15)  

【登壇者 ※敬称略】 トム・プライヤー、オレグ・ザゴロドニー、ペーテル・レバネ監督、小原ブラス

【MC】 東 紗友美  【通訳】 今井美穂子



2月9日(金)、エストニア・イギリス合作映画『Firebirdファイアバード』の初日舞台挨拶を新宿ピカデリーにて開催いたしました。

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本作はロシアの無名の俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録『ロマンについての物語』を、『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られている、エストニア出身のペーテル・レバネが映画化し、2024年1月1日にエストニアで同性婚を認めさせる原動力にもなった許されない秘めた愛を描いた感動作です。


『博士と彼女のセオリー』 『キングスマン』に出演するトム・プライヤーと、ウクライナ・キーウ出身のオレグ・ザゴロドニーのW主演キャストと、「ペット・ショップ・ボーイズ」の「Together」やModyの「Wait for Me」、BBCワールド制作のライブドキュメンタリー『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られている、エストニア出身のペーテル・レバネ監督が緊急来日登壇!さらに、本作に深い感銘を受けたロシア出身関西育ちのタレント・小原ブラスが花束ゲストとして登場し、登壇キャスト・監督へ花束を贈呈。日本での公開の喜びや本作に込めた想い、小原ブラスさんには登壇キャストのうち、誰と恋におちたいかも発表してもらいました!



FIREBIRD-bu-2.9-500-1.【3S】レバネ監督→トム→オレグ.jpg本作は、ロシアの無名俳優セルゲイ・フェティソフが書き遺した回想録「ロマンについての物語」を基にし、冷戦時代のソ連占領下のエストニアを舞台に、2人の青年の秘められた愛を描いた物語。


FIREBIRD-bu-2.9-240-1.【ソロ】オレグ・ザゴロドニー(ロマン役).jpg「ペット・ショップ・ボーイズ」の「Together」や Mody の「Wait for Me」、BBC ワールド制作のライブドキュメンタリー『Robbie Williams:Fans Journey to Tallinn』の監督・プロデューサーとして知られる、エストニア出身のペーテル・レバネが映画化。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵・セルゲイをトム・プライヤー、パイロット将校・ロマンをウクライナ・キーウ出身のオレグ・ザゴロドニーがW主演で演じる。今回、熱烈なオファーを受けてトムとオレグ、レバネ監督がついに来日!特にオレグは、今も戦火の中にあるウクライナ・キーウ在住で、国外渡航が困難な状況の中での、奇跡の来日となった


FIREBIRD-bu-2.9-240-3.【ソロ】ペーテル・レバネ監督.jpg満席の会場に笑顔で立ったレバネ監督は、映画制作のきっかけについて、「ベルリン映画祭に参加したときに、知り合いからセルゲイの自伝を薦められて読んだのですが、涙が流れて止まらなかった。これは映画化しなければならない!と突き動かされる気持ちになったんです」。撮影の経緯については、「脚本を書き始めたころに、ハリウッドの友達のプロデューサーから主役に合う人がいると、トムを紹介されたんです。トムが一緒に脚本に参加してくれて二人三脚で2年がかりで書き上げ、その後オレグと会うことができました」と明かす。


映画化の話を聞いたトムは「僕の好きな要素がたくさん入っている話だと感じました。元々、軍部を背景にしたものが好きだったこと、冷戦時代にも興味があったので面白そうだなと。そして、愛の本質とは、性質とは何なのかを描いていたので、ぜひ参加したいと思いました」と当初を振り返り、「色んな困難、壁を乗り越えて愛に突き進む人物を描いているところも魅力でした」と作品への想いを吐露。一方で、オレグは監督が素晴らしい人物を脚本で描いてくれて、僕もとても演じがいがありました。真の愛の物語を描いているこの作品に参加できたことをとても嬉しく思っています」と笑顔を見せた。


Firebird_Director Peeter Rebane 500-1.jpg本作は、2021 年、エストニアでLGBTQ 映画として初めて一般劇場公開され、大ヒットを記録。本作のメッセージが大きな反響を呼び、公開から 2 年後の 2023 年 3 月には国会で同性婚法案が議決され、2024年1月に施行された。本作がその原動力となったことに、レバネ監督は「そもそも映画は、他者の視点を通して物事を見るというもの。社会を少しでも変えることができる力強いメディアなのではないかと思っています。共感を呼び起こす装置だと私は信じていて、この映画がエストニアで社会に影響を与えた。LGBTQに関しては、マジョリティーの皆さんにとっては大した話ではないかもしれませんが、少数派のマイノリティーの人たちにとっては人生の幸福度が大きく変わる出来事になったと思います。こうした法整備がなされたことで、私も社会の一員として認められ、私も他者と平等なのだと感じました。社会が総合的にハッピーになることはいいことですね」と真摯に語った。


FIREBIRD-bu-2.9-240-2.【ソロ】トム・プライヤー(セルゲイ役).jpgまた、トムは撮影前にモデルとなったセルゲイ本人に会ったそうだが、「本作の脚本にも参加できたことは僕にとって素晴らしい体験でした。そして主人公のセルゲイ本人に会えたことも大きな体験でした」とし、「セルゲイは、それまで抱いていた印象と違い、とても陽気で人生を謳歌しているようなポジティブ思考の方でした。ストーリーのバッググラウンドはダークで脅威がはびこる世界なのですが、そんな中でも自分の信念を曲げることなく、愛は全てを乗り越えるということを見せてくれる人でした。書面で読んだだけではわからないんですね。本人に会って伝わってくるものがある。彼と会って役へのアプローチも変わっていきました」と述懐し、本人との出会いにより、より深く役を理解していった様子。


ここで、ロシア出身のタレント・小原ブラスが登場し、3人に花束を贈った。自身もゲイであることを公言しており、独特な視点を活かしたコメントで幅広い層から支持を集める小原だが、一足先に本作を鑑賞した感想を「僕は最初にこのポスターを見て、めっちゃカッコいい人が出てるわ~と思って、良からぬ考えで観た気がするんです」と話し、会場の笑いを誘いつつ、「でもね、最初はソ連時代の迫害があったりしてちょっと重たいなと思っていたんだけど、後半になるとガラッと変わって、現代でも通じるような話になっていって、急に近くに感じたんです。良からぬ気持ちで観ようと思っている方も、最後は感動するから、そのつもりで!」と声をかけた。


FIREBIRD-bu-2.9-550-1.【花束4S】レバネ監督→トム→オレグ→小原.jpg小原の言葉に大ウケする3人。レバネ監督は「良からぬ気持ちになるのもわかります(笑)」と同意しながらも、「それに加えて、非常に美しさと苦悩がせめぎ合っているような映画になっているのかも」と分析。小原は「ゲイとかLGBRQを扱った映画は、どうしてもロマンチックに描く方向もあったり、迫害されたり、その辛い気持ちの部分を描くことがあるけれど、僕が観ると必ずしも主演の2人に全部は同意できない部分もあるんです。自分とは違うなとか・・・筋が通ってへんとちゃう?とか。でも、それが人間。ゲイの当事者が観たらちょっと肩の荷が下りるような映画にもなっていると思います」と、正直な気持ちを口にした。


さらに、MCから「登壇者の3人のうち、誰と一番恋に落ちたい?」と聞かれると、「監督やな」と即答。「僕ね、イケメンも凄く好きなんですけど、監督もイケメンですが、やっぱり権力が好きなんです。作品とは真逆なコメントになるんやけど(笑)」と言い、会場を沸かせ、トムとオレグも大爆笑し、満員の会場一体が和やかな雰囲気で舞台挨拶は終了した。
 


【 Introduction 】

2011年ベルリン国際映画祭、監督のペーテル・レバネは見知らぬ男に声をかけられた。「この本を読んで貰えないか」本の表紙には、『ロマンについての物語』と書かれている。その週末、ペーテルは一気にこの本を読み終えた。そして、すぐに映画化を決めた。それほどに、無名の俳優セルゲイ・フェティソフが綴ったこの回想録は、ペーテルの心を深く衝き動かしたのだった。


ペーテルは2014年に、俳優のトム・プライヤー(『博士と彼女のセオリー』『キングスマン:シークレットサービス』)と知り合うと意気投合、彼らはセルゲイに多くの時間をかけてインタヴューを重ね、脚本の準備を始めた。セルゲイのことを知れば知るほど、二人はこの企画にのめり込んでいった。―― 彼の生き方は愛の力そのものであり、勇気と歓びと人生への驚きを喚び起こす―― こうして三人の共作による脚本は完成した。

ところがそんな矢先、ペーテルとトムの元に想像もしなかった報せが届く。
2017年、セルゲイ急逝。65歳の若さだった。
ペーテルとトムはもう後戻りできないことを理解していた。

4年後、『ファイアバード』は、ペーテル、トム、そしてセルゲイの想いを乗せて、漸く完成に漕ぎつけた。


【 Story 】

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1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。


【ファイアバード】
※火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さゆえ、触れると火傷をすることもある。


【作品情報】

ペーテル・レバネ監督・脚色作品 共同脚色:トム・プライヤー / セルゲイ・フェティソフ
原作:セルゲイ・フェティソフ
出演:トム・プライヤー / オレグ・ザゴロドニー / ダイアナ・ポザルスカヤ
配給・宣伝:リアリーライクフィルムズ
宣伝デザイン:HYPHEN 予告編監督:株式会社ココロドル
日本語字幕翻訳:大沢晴美 関西地区営業・宣伝:キノ・キネマ 北海道地区営業・宣伝協力:palmyra moon
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2024年2月9日(金)~新宿ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、MOVIX京都、kino cinema 神戸国際、MOVIXあまがさき

他にて絶賛公開中!


(オフィシャル・レポートより)

 
 
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