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香港人の映画撮影は「速くて、めちゃくちゃ!」新世代が躍動する『盗月者』、ユエン・キムワイ監督が日本ロケの思い出を語る@第19回大阪アジアン映画祭

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 第19回大阪アジアン映画祭のスペシャル・オープニング/特集企画 Special Focus on Hong Kong 2024作品として、3月5日ABCホール(大阪市北区)にて香港映画『盗月者』が日本初上映された。
 
スペシャル・オープニングセレモニー、HONG KONG GALA SCREENING後に上映された『盗月者』は、2010年の香港の窃盗団による東京の時計店襲撃事件を題材に、史実を織り交ぜたストーリーが展開するスタイリッシュな犯罪ドラマ。上映後、ユエン・キムワイ監督、加藤社長役の田邊和也さんが登壇し、
「大阪の皆さん、こんばんは。実は一番後ろで一緒に鑑賞し、みなさんが映画に没入しているところを見守っていました。我々香港人で笑いのツボだと思ったところを笑ってくださり、国境や文化を超えて伝わっいると感じ、映画は素晴らしいと思いました」(ユエン監督)
「僕も初見だったので、みなさんと同じ気持ちで見させていただきました」(田邊)
とご挨拶された。非常に複雑で、リアルな時計泥棒の舞台裏を垣間見ることができる本作のトークの模様をご紹介したい。
 
 
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―――泥棒映画として面白い仕組みだが、実在の事件からどのようにアイデアを得たのか?
ユエン:2010年1月6日、香港で大きな窃盗事件がありました。4人グループの泥棒が2人の郵便配達員を襲い、当時わたしは、2人の郵便配達員を襲うのに4人も必要なのかと思ったのです。4日後に警察がこの事件を解決したのですが、実は4人グループの泥棒は、銀座の時計店、天賞堂で200本以上の有名な時計を盗み、香港に持ち帰ったのです。飛行機の手荷物として持ち込むのは不可能なので、日本の郵便システムを利用し、この時計を香港に送ったわけですが、香港に届いた時、大きな問題が起きました。映画内では香港の郵便局員トントンが内通者役になっていましたが、実際の事件はその泥棒グループを裏切ってしまったのです。その結果、全然関係のない郵便局員を襲ったというのが事件の真相でした。他にもロンドン、ベイカーストーリーの窃盗も参考にしましたし、また幸運にも50音のボタンがある日本の金庫を手に入れることができました。さらに物語では(宇宙飛行に使われてきた)ムーンウォッチという本当の部分も取り入れました。つまり、4つから5つの歴史的犯罪要素を取り入れたのです。
 
―――脚本を読んでの感想は?
田邊:初めて読んだときから、率直に面白いと思いました。アメリカや海外の作品には出演していましたが、香港映画からオファーが来たのが初めてなので最初は戸惑いましたが、スピード感やアクションがあり、すぐにオファーを受けました。最近悪役続きですが(笑)
 
 
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―――日本で撮影されたシーンの中で、一番楽しかったシーン、苦労したシーンは?
田邊:東京出身なので、特段変わらない日々でしたが、現場初日に初めてお会いした時、セットにいる監督は巨匠の雰囲気で正直怖かったです。でも撮影が始まるととても優しい方で、すぐに信用しました。
 
ユエン:香港人の映画撮影に関して、究極的に表現すれば「早い、そしてめちゃくちゃ」。一方、日本人の映画製作は非常にシステマティックです。一番異なる点は、日本人は仕事をするとき他人の迷惑にならないようにしようとしますが、香港人はその話を聞くと爆発するでしょう。私たちの考え方では、「他人に迷惑をかけないなんてそんな話はない」。撮影だから、どうやって他人に迷惑をかけないの?と。ある意味、今回は盗月者を香港から日本に連れて来て、1ヶ月間日本のみなさんに大変迷惑をかけました。この場でお詫びするとともに、それは仕方ないことだったのです(笑)。
 
―――寂れた場所が多かったが、日本のロケ地をどうやって見つけたのか?
ユエン:物語に関しては、2つの設定があります。一つは非常にハイクラスで超高級な場所、もう一つは泥棒たちが暗躍するローカルであまり知られていない場所が必要でした。ハイクラスといえば、間違いなく銀座です。我々の撮影が終わった1ヶ月後に、銀座の高級時計店が実際に強盗に遭ったというニュースにも驚いていました。ローカルな場所については、日本のプロデューサーが探すのに尽力してくれ、感謝しています。川崎では夜のシーンを撮影しましたが、この場では話せないような様々なハプニングも起きましたね。
 
 
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―――アンソン・ロー(盧瀚霆)が演じた鍵開け名人の青年は、お母さんも金庫破りのプロという設定がユニークだが。
ユエン:ロックを解除するとき、手の触感がとても重要になります。母は毛糸店を経営しているので、手が毛糸の微妙な触感を使うということで、当時のボスに見込まれたわけです。映画の設定では泥棒全員が他の本職を持っているという設定にしています。
ちなみに、アンソン・ローが演じた息子は次男で大学を卒業したばかりの設定で、彼は母の元に戻ろうとしているが、母は拒みます。母からすれば兄が(犯罪に巻き込まれて)亡くなったため、弟はどうしても犯罪グループと関わりをもたせたくない。だから家に帰ってほしくなくて追い出してしまったのです。

 
第19回大阪アジアン映画祭は3月10日まで開催中。『盗月者』は3月8日にも上映される(チケットは完売)。詳しくはhttps://oaff.jp まで。
(江口由美) Photo by OAFF
 
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