映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

2021年10月アーカイブ

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 日本最大級の国際映画祭、第34回東京国際映画祭(TIFF)が、従来の六本木から有楽町・日比谷・銀座に会場を移し、10月30日に開幕した。
東京フィルメックスに携わってきた市山尚三が新しいプログラミング・ディレクターとして就任。コンペティション部門も復活し、ブリランテ・メンドーサ、バフマン・ゴバディら世界的名監督のワールドプレミア作品を同部門に揃えた他、『ハッピーアワー』『スパイの妻』で濱口竜介監督と共同脚本を務めた野原位監督の劇場デビュー作『三度目の、正直』、松居大悟監督のオリジナルラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』も選出されている。
 
 
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 コロナ禍の昨年行われ、今年も引き続き開催された東京国際フォーラムホールCのロビーにてレッドカーペットアライバルでは、『三度目の、正直』野原位監督と主演の川村りら、小林勝行、『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督と主演の池松壮亮、伊藤沙莉ら総勢42名のキャストやスタッフ、審査委員、そしてフェスティバルアンバサダーの橋本愛らが登場。
 
 
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 続いて行われたオープニングセレモニーでは、チェアマンの安藤裕康らの挨拶の後、フェスティバル・アンバサダーを務める橋本愛も登壇し、「コロナ以前はレッドカーペットの周りにお客様がいらして、年に一度、稀にある皆さんと交流できる楽しいイベントだったので、今年は熱気を感じるような空気ではないにしても、こういう状況で映画祭が開かれたんだということの有難みを感じています」と2年連続コロナ禍での開催となった今年の映画祭への思いを語った。
 
 
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“越境”という映画祭テーマに関しては「性別の違いや、世界各国、文化の違いといった様々な違いを認め合いながら、歩み寄るにはどうしたらいいかというのを、お互いに誠実に考え合うのが人との繋がりの中で大事だなと思っている」と語り、「そういった意識や、心、感性を育むことが映画の持つ大きな役割だと思う」と“映画祭の顔”らしく堂々と“越境”というテーマ、そして映画の持つ役割をアピール。最後に、「東京の名画座やミニシアターに足を運ぶとよく思うのが、映画館ごとのカラーや雰囲気が全然違う。座席やどんな映画を上映するのかというセレクトなど、その映画館にしかない魅力があり、その場所のその映画館にしかないという特別感が私は大好きです」と日本のミニシアター文化を世界に発信した。
 
 
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 さらに、コンペティション部門の審査委員長としてイザベル・ユペールが挨拶し、「このようなコロナ禍において映画作りをするのはチャレンジです。そしてこうした映画祭を開催されたということは勝利だと思います。私たちは一緒に映画を観たい。それが、コロナ禍において私が一番やりたかったことです。今回、コンペディションのセレクションは素晴らしいと思います。私たちには映画は必要です。そして映画は私たちを必要としています」と力強く映画祭へエールを送った。
 
さらに、セレモニー後に上映されるオープニング作品『クライ・マッチョ』より、監督・主演を務めたクリント・イーストウッドから手紙が届き、「日本の皆さんへ。最新作『クライ・マッチョ』が、第34回東京国際映画祭オープニング作品に選ばれたことをとても光栄に思います。この映画を通して、私が信じる"本当の強さ"を感じてもらえると嬉しいです。『クライ・マッチョ』はコロナ禍に撮影されたものです。私は本作が映画業界に、勇気と強さをもたらす作品の一つになればと思っています。どうぞ楽しんでご覧ください」と力強いメッセージが読み上げられた。
 

第34回東京国際映画祭は、11月8日(日)まで日比谷・有楽町・銀座地区ほかで開催中
公式サイト:www.tiffcom.jp
©2021TIFF