映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

近畿圏(大阪以外)の最近の記事

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2018年10月26日(金)から11月4日(日)まで京都文化博物館(3Fフィルムシアター/別館)で開催される世界で唯一の「歴史」をテーマにした映画祭、京都ヒストリカ国際映画祭の30本29プログラムに及ぶ全ラインナップが発表された。
 
第10回を迎える今年は、「日本に時代劇を新しい視点で世界に問う」(高橋剣プログラムディレクター)ことを念頭に、10周年ならではの特別企画も多数用意されたラインナップとなっている。
 
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オープニングを飾るヒストリカスペシャルには、今回初となる前夜祭は、『バーフバリ<完全版>連続上映』を絶叫応援チームが来場しての京都初となる絶叫上映を開催。バーフバリを日本で初めて紹介したヒストリカの10周年を華々しく飾る。
 
 
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そして、オープニング作品は、今年のヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映され、絶賛された内田吐夢監督の人間浄瑠璃を題材にした人気作『恋よ恋なすな恋』4Kデジタル修復版を日本初上映する。ゲストには、歌舞伎俳優の中村扇雀氏を迎えてのトークが開催される予定だ。ヒストリカ・ナビゲーターの飯星景子さんも「主演大川橋蔵さんは歌舞伎役者なので、踊りの美しさは本当に見とれてしまうほど。黄色いすすきの穂や、平安時代ならではの色鮮やかさも見事」と絶賛の平安絵巻だ。
 
世界の最新歴史映画を紹介するヒストリカワールドは、ヨーロッパ映画5本がラインナップされている。飯星さんのコメントと共に紹介したい。
 
『欲望にさそわれて』(18フランス)※来日ゲストあり
フランス革命時、プロヴァンスの修道院にいた若き修道士が革命軍と出会うことで、やがて新しい思想に目覚め、革命軍に参加するまでを描いた作品。
飯星:パティ・スミスの曲を使い、クラッシックな香りの中にエッジが利いたフランスらしい作品です。
 
『乙女たちの秘めごと』(17フランス=ベルギー)※来日ゲストあり
1850年代のフランスの田舎。ナポレオン政権下、レジスタンス活動を疑われて男たちは逮捕され、女ばかりになった村に一人の男が現れる・・・。
飯星:一人の男を女性たちが共有する様を描いた作品。女性監督ならではの眼差しが生きています。
 
『旅芸人』(17ハンガリー)
小さな旅芸人一座に、ある事情で軍に戻れない兵士が加わり旅が続くロードムービー。
飯星:今年のヒストリカワールドではベテラン監督の作品、気持ち良いカメラワークで、四季折々の映像も楽しめます。登場人物それぞれの個性がきめ細かく描かれているのはさすが。
 
『アイスマン』(17ドイツ=イタリア=オーストリア)
ヒストリカワールドの中で一番古い時代を舞台に描いた作品。1990年代にイタリアとオーストリアの国境の氷河で男性のミーラが発見されたことに発想を得た作品は、劇中に古代語が登場する。普遍的な人間の感情、愛情を体感できる野心作。
飯星:過酷なロケがうかがえる、新石器時代のロマン溢れる一作。
 
『ノベンバー』(17エストニア=オランダ=ポーランド)
19世紀のエストニアを舞台にしたベストセラー作品の映画化。モノクロ映像がスタイリッシュで幻想的なファンタジー。
飯星:出てくる俳優さん皆、味わい深い顔つき。主演のレア・レストの瞳が印象に残る作品です。
 
他にも、<ヒストリカ・フォーカス>では、東映時代劇の両極端「軽さの沢島忠、重さの内田吐夢」を並べるという試みで、ヒストリカでは初となる沢島忠監督の作品を英語字幕付きで上映する。昭和の歌姫、美空ひばり出演のミュージカルコメディー、『ひばり・チエミの弥次喜多道中』『白馬城の花嫁』『殿さま弥次喜多』の3本と、内田吐夢監督からは、戦後復帰作『血槍富士』、歌舞伎を題材とした『妖刀物語 花の吉原百人斬り』の2本をラインナップ。ゲストに『孤狼の血』の白石和彌監督、『引っ越し大名!』が公開予定の犬童一心監督、西尾孔志監督、ミルクマン斉藤さんを迎え、それぞれの作品の魅力を、現代の目線から再検証するトークも予定されている。それぞれの上映&トークには、同時開催されるフィルムメーカーズラボ(京都の撮影所で、ベテランスタッフと共に時代劇を撮るワークショップ)に参加する世界の40人の若手たちも観客席に加わり、国際色豊かなトークセッションになること間違いなし!
 
10周年記念プログラムでは、【京都映画巨匠生誕120年記念上映~内田吐夢・溝口健二・伊藤大輔~】と銘打ち、京都映画の土台を作った3巨匠の20〜30代に作られたサイレント作品から、現存する貴重なものを選りすぐって全7本上映する。ピアノ伴奏によるカツベン上映が行われるのは重要文化財となっている別館。日本映画の最高峰と言われる伊藤大輔の『忠次旅日記』、現存する溝口健二最古の作品『ふるさとの歌』、内田吐夢の昭和初期ホームコメディ代表作『汗』など、貴重な作品をお見逃しなく。また、18歳の山田五十鈴が主演し、女性を描く溝口健二のスタート地点の一作と呼ばれる『折鶴お千』も、連携企画<明治150年事業・京都府デジタルリマスター人材育成事業>で上映される。
 
<ヒストリカ・ディケイド>(過去10年で紹介した作品から選りすぐりの作品を紹介)、今年からスタートしたヴェネチア国際映画祭連携企画(『Beautiful things』、無料上映のVR短編『Chromatica』)、京都フィルムメーカーズラボスクリーニング(『十年 Ten Years Japan』)などさらにパワーアップしたラインナップとなっている。
 
10月6日(土)から<チケットぴあ>にてチケット発売開始。
詳細は公式サイトまで http://www.historica-kyoto.com/
 
 
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『ゴールデン SHIKA 賞』、『ゴールデン KOJIKA 賞』、『観客賞』発表! 『ユース審査員部門クリスタル SHIKA 賞』長編・短編各最優秀作品賞も!

 
9 月 20 日(木)、あいにくの雨の中、ワールドプレミア上映の映画『二階堂家物語』のキャスト、その他大勢の豪華ゲストを招いてのレッドカーペット&オ-プニングセレモニーで開幕し、5日間に渡ってならまちセンター他で開催された『第5回なら国際映画祭』が本日閉幕し、クロージングセレモニーでは各賞の発表が行われた。
 
インターナショナルコンペティション部門の最高賞となる『ゴールデン SHIKA 賞』は、アグスティン・トスカーノ監督(アルゼンチン)の『ザ スナッチ シィーフ』が見事受賞。ペンフェイ監督(中国)の『ザ テイスト オブ ライス フラワー』が観客賞に輝いた。また、学生部門 Nara-waveの最高賞、『ゴールデン KOJIKA 賞』は、工藤梨穂 監督(京都造形芸術大学)の『オーファンズ・ブルース』が同部門観客賞とのW受賞となった。
 
他の受賞結果は以下の通り。
 

■インターナショナルコンペティション
最高賞 ゴールデンSHIKA賞
『ザ スナッチ シィーフ』(THE SNATCH THIEF)
アグスティン・トスカーノ 監督
 
観客賞 
『ザ テイスト オブ ライス フラワー』(THE TASTE OF RICE FLOWER)
ペンフェイ 監督
 
■学生部門 Nara-wave
最高賞 ゴールデンKOJIKA賞
『オーファンズ・ブルース』(ORPHANS BLUES)
工藤 梨穂 監督(京都造形芸術大学)
 
審査員特別賞
『DE MADRUGADA』(デ マドゥルガーダ)
イネス・デ・リマトレス 監督(Escola Superior de Teatro e Cinema)
 
観客賞 
『オーファンズ・ブルース』(ORPHANS BLUES)
工藤 梨穂 監督(京都造形芸術大学)
 
■NIFFユース審査員プログラム
長編部門:ベルリナーレ・スポットライト-ジェネレーション  クリスタルSHIKA賞
『マイ スキニー シスター』
サンナ・レンケン 監督
 
短編部門:SSFF & ASIA セレクション  
クリスタルSHIKA賞
『ヘリウム』
アンダース・ヴェルター 監督
 
■功労賞
クリストファー・ドイル
(撮影監督としての映画への貢献に対して) 
 
■特別功労賞
故・樹木希林
(俳優活動による映画への貢献に対して) 
 

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開催期間中は、急遽開催が決定した樹木希林さん追悼写真展『愛・樹木希林』をはじめとして多くのイベントや上映(69 作品)が行われた。
 
 
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特に24日朝に急遽決定した樹木希林さん初主演作の『あん』の緊急特別追悼上映では、永瀬正敏さんと河瀨直美監督の舞台挨拶も行われ、満席の観客と共に在りし日の樹木さんを偲んだ。 
 
 
<奈良国立博物館前広場で連日開催された ならアートナイト「銀幕の庭」by ならアートナイトチーム>
 
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<オープニングナイトを彩った灯籠>
 
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なら国際映画祭2018
 

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今年で第5回となる「なら国際映画祭」が、9月20日に開幕し、奈良県文化会館でオープニングセレモニーが行われた。オープニングセレモニーに先立ち行われたレッドカーペットでは、朝から秋雨が時折強く降りしきる悪天候だったが、レッドカーペットが始まるとともに奇跡的に雨が上がり、『二階堂家物語』のアイダ・パナハンデ監督、出演者の加藤雅也、石橋静河、町田啓太、田中要次、 白川和子や、審査員のクリティアン・ムンジウ、永瀬正敏、功労賞受賞のクリストファー・ドイル、映画祭サポーターの片寄涼太、映画祭エグゼクティブ・ディレクターの河瀨直美らが、レッドカーペット会員の皆さんと共に映画祭のオープニングを華々しく飾った。
この日映画祭のスペシャルアンバサダーに就任し、東京から急遽駆けつけた斎藤工もレッドカーペットに登場。見事なファンサービスぶりで、雨の中待っていたファンを喜ばせた。
 
 

 
全ゲストを観客席迎えてのオープニングセレモニーでは、河瀬エグゼクティブ・ディレクターが、
「世界はここにあり、命は永遠です。この広い宇宙感を讃える称名とともに、俳優樹木希林さんの功労を讃え、ここに特別功労賞を授与いたします。永瀬正敏さんの隣にある樹木希林さんのお席に向かって、盛大な拍手をお願いします」
とアナウンスすると、永瀬が樹木希林の長年の労をねぎらうかのように何度も椅子を撫で、会場からすすり泣きの声も。『あん』の劇中写真や名シーンと共に、「希林さん、ありがとう」とテロップが流れた後、河瀬エグゼクティブ・ディレクターより、力強く映画祭の開会宣言が行われた。
 
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引き続き、スペシャルアンバサダーの斎藤工が登壇。
「(樹木さんが亡くなり)涙雨かと思っていたら、レッドカーペットでは雨が止み、とても映画的で樹木さんの存在を感じます」
と皆の気持ちを代弁。「アジア映画の素晴らしさ、日本のかっこよさを切り取ってくれた伝説のスーパー撮影監督、映画監督」と功労賞受賞者のクリストファー・ドイルを紹介し、観客席にいたドイルが登壇。
「30年間撮影していますが、まだあと30年ぐらいは撮れそうです。今年は日本の映画を3本取りました。また戻ってきます。次の映画祭では若い日本人の女性監督に功労賞をあげてほしい。ガンバッテ!」
と、“功労賞”をもらうにはまだ早いと言わんばかりのパワフルさをアピールし、若い映画人にエールを送った。
 
 
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オープニング作品『二階堂家物語』(2019年1月25日公開)の上映前には、監督、キャストによる舞台挨拶を行われ、ワールドプレミアを前にしての心境を語った。
 
アイダ・パナハンデ監督「河瀬直美さんに感謝を捧げたい。河瀬さんのサポートなしでは作れなかった。楽しいし、可能性を感じました。キャスト、スタッフ、撮影クルーにも感謝したい。(言葉などの)厚い壁があるので苦労したが、これはみんなの映画です」
 
アーサラン・アミリ(脚本)「天理市や奈良の皆さんに感謝したい。映画は世界共通言語、いろいろな国と国との架け橋となる、これからもそういう映画を作りたい」
 
白川「この年齢になると、(新しく)出会う方がそんなにいらっしゃいませんが、このキャストの皆さんは私の財産です」
 
田中「2年前は短編映画の監督として、尾花座の投げ銭上映に参加させていただいき、クロージングをこの会場の隅で見ていました。こんなに盛大な映画祭っていいな。レッドカーペットを歩いてみたい、この舞台に立ってみたいと思っていましたが、グランプリの監督の作品に参加でき、地道に役者をやってきてよかったです」
 
町田「群馬の田舎育ちだったので、天理で田舎の匂いを感じながら撮影できたのがすごく嬉しいし、心に残っています。絶対にいい匂いを感じていただけると思います」
 
石橋「アミリ監督が日本の天理という場所で、個人的な家族の話を作っていただき、参加できてよかったです。監督の強い意志があったから、この作品ができたと思います。そのかっこいい姿に応えようと頑張りました」
 
加藤「バリバリの奈良生まれ、奈良育ちで、めっちゃ地元。映画祭を10年もやっているのに、1回も声もかからなければ、(映画祭のことを)知らなかった。2年前 河瀬さんに会いに行って、僕が奈良の人間であることも伝えたら、「知っている」と。河瀬さんのオーディションに呼んでもらって、イランの監督が僕を使ってくれました。僕は今年でデビュー30周年。映画祭もこの先何十年も続けられるように、協力したい」
 
2時間に及ぶ『二階堂家物語』の上映後にはスタンディングオベーションが送られ、再び全キャストがおよび、会場の全ゲストが登壇し、ワールドプレミア上映を締めくくった。21日(金)10時からは『二階堂家物語』のメイキング・ドキュメンタリー、『ペルシャからの風』上映と、キャストおよび河瀬エグゼクティブ・ディレクターによるトークを開催予定だ。
 

なら国際映画祭2018は、9月24日(月)まで、奈良県文化会館、ならまちセンター、奈良国立博物館、ホテルサンルート奈良、 春日大社、東大寺 金鐘ホール他で開催。
 

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チェン・ユーシュン監督、ダークコメディー『健忘村』に込めた思いを語る。@第9回京都ヒストリカ国際映画祭
登壇者:チェン・ユーシュン氏(監督) 
    飯星恵子氏(作家・タレント+ヒストリカ・ナビゲーター)
 

~権力を手にすると人はどうなるのか。

支配する側とされる側が記憶操作で入れ替わる、示唆深いダークコメディー~

 
10月28日から開催中の第9回京都ヒストリカ国際映画祭。7日目となる11月4日は、ヒストリカワールド作品として、『健忘村』(17台湾・中国)が上映された。中華民国設立直後の山村を舞台に、スー・チー、ワン・チエンユエン、 ジョセフ・チャン、リン・メイシュウ、トニー・ヤン、エリック・ツァンと豪華出演陣が繰り広げるブラックコメディー。とりわけ、記憶を消すことができるマシン「憂い忘れ」の造形や仕組みのユニークさは、衝撃的だ。記憶を消去するたびに変わる村人たちの態度や、支配者の入れ替わる姿が非常に示唆深い作品だ。上映後は、ヒストリカ・ナビゲーターの飯星恵子氏が聞き手となり、『ラブゴーゴー』(97)以来の来京を果たしたチェン・ユーシュン監督のトークショーが行われた。
 
 
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『祝宴!シェフ』(13)の前に、既に脳の記憶に関する短編を撮っていたというユーシェン監督。元々それを長編にしたいという思いがある中、台湾の社会的問題がネットで話題になっても1週間で忘れられてしまう状況に、人の記憶の忘れやすさを痛感し『健忘村』を撮影したと制作の経緯を明かした。辛い記憶を忘れさせるツールとしてマシン(「憂い忘れ」)を使うことで、別の意図が発生すると指摘したユーチェン氏。飯星氏から「忘れることができていいなと思う一方で、恐怖を覚えるホラーのように感じた人もいるようです」と話を振られると、「元来コメディーが得意ですが、ここ数年、推理モノやホラーも加えることを考えました。記憶を喪失するのは嬉しいことなのか、怖いことなのかは場合によると思います」と色々な意味が内在していることを示した。
 
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飯星氏からマシンのデザインのこだわりについて話が及ぶと、「マシンのデザインは長期間練りに練り、何度も修正しながらデザインを考えました。昔の時代のものやドイツのナチスが処刑に使ったもの、第二次世界大戦中実際に使っていたものなど、色々参考にしました」。さらに、頭に載せることができる固定式であまり動かないバージョンと、3層になり頭に載せられないバージョンの2種類を用意。とても精巧なものなので、現場で俳優陣も丁寧に扱ってもらっても壊れることが多く、美術部は大変だったとの裏話もユーチェン監督は披露した。
 
個性豊かなキャラクターが多いのもユーチェン監督作品ならでは。『祝宴!シェフ』よりキャストが多く、「それぞれの役割で個性を変えているのに加え、「憂い忘れ」の兜をかぶると個性が変わるので、多い人は3種類も個性を演じなければならない。ジョセフ・チャンも2種類の個性を演じましたし、本当に大変。毎日ホテルで自分が、「憂い忘れ」をかぶり、忘れてしまいたいと思いました」と演出面の苦労は相当のものだったようだ。
 

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秋蓉演じるスーチーが足に鎖をつながれた姿で登場したことに、監督作品らしくないと驚いた飯星氏。ユーチェン監督は、「100年前、特に女性は不自由な時代。夫婦でも男性が女性を牛耳り、役人は手下を牛耳る。スーチーが演じる、虐げられていた女性が最後は権利を奪い取る展開になっています。支配する側とされる側。愛情のある夫婦の間にも上下関係があります。寓意的な意味での政治的なことが、あらゆる場面に隠れているのです。政治的なことは本来恐ろしいことですが、それをラブコメディーでオブラートに包んでいます」と今までにない深い意味が込めた作品であることを示唆した。
 
スーチー演じるヒロインが村長になり「ここが桃源郷なのね」と呟くラストシーンがスカッとしたという飯星氏の意見に、「元々は虐げられていた女性が村長にのしあがり、権力を手にする。そうなると、どんなに善意がある人でもまた悪行をしでかしてしまう。当初はスーチーを独裁者のようなふるまいをするヒロインにしようとしたのですが、お正月映画だったのでブラックユーモアではなく明るい結末にしました」と試行錯誤をしたことも明かした。そのスーチーは、キャスティング時に村の女性役だったリン・メイシュウを「同じような役ばかり」と監督にアドバイス。その結果、盗賊団の長である郵便局員という重要な役どころになり、作品中でも初めての配達用自転車に上手く乗れないシーンで、見事な転倒ぷりを披露。ユーチェン監督も「男性の長を女性の長に変えました。スーチーさんの一言のおかげ」と感謝した。
 

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ユーチェン監督作品は、音楽のユニークさが作品のゆるく楽しい雰囲気に反映されているのも特徴の一つ。『健忘村』でも常にアカペラ(ボイスパーカッション)の盗賊団が笑いを誘う。その発想については、「7人いればバンドを組むことができる。楽器を持ちながらだと(アクションに)不便なので口で楽器替わりをし、殺人をするときに音楽を流したら面白いと考えました。俳優が7人もいると上手な人もいれば、リズム感ゼロ、音感ゼロ、歌詞が覚えられないと大変でしたが、殺人の場面を撮るため、音楽の授業、体育の授業に何カ月もかけてやっと撮れたのです」。また時代物ならではの苦労もあったようで、「何十年も台湾では時代物を撮っていないので、香港や大陸から美術の方を招き、お金もかけました。貧しい村なので馬だと高貴すぎると、ロバを用意しましたが、台湾にはほとんどいないのでアメリカから輸入しました。ロバはなかなか演じてくれず、叱りたいけれど、英語しか分からないのでそれは大変でした」。
 
最後にこれからの映画制作について飯星氏に聞かれたユーチェン監督。体力的にあと数本ぐらいとしながら、「撮りたいストーリーを持ってはいるが、映画を撮るのは大変。私の映画制作が(十何年も)時間がかかったのもそのせいです。観客がそれを望んだり、肯定してくれたり、賞を受賞することで自信が持てると思いますが、自分の個性を活かせる映画を撮り続けていけたらと思います」と、培ってきた個性を大事に、映画を撮り続けることを表明しトークショーは終了した。終了後もサインや写真撮影の依頼に快く応え、大パネルの前で、大勢のファンと交流したチェン・ユーシュン監督。台湾映画らしいふわりとした緩さと、記憶を操作された人間の滑稽さが怖さにも映るダークぶりが癖になる。そこに秘められた狙いに思いを馳せると、また別の味わいが出てくるだろう。ユーシュン監督の新境地ともいえる作品だ。
(江口由美)
 
第9回京都ヒストリカ国際映画祭はコチラ 
 
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原作者アレッサンドロ・バリッコ氏が語る「絹」と映画『シルク』@第9回京都ヒストリカ国際映画祭
登壇者:アレッサンドロ・バリッコ氏(作家) 
    中井美訪子氏(聞き手、通訳)
 

~原作で一番感じるのは淋しさよりも、人生色々なことがあるという「驚き」~

 
10月28日から開催中の第9回京都ヒストリカ国際映画祭。4日目となる11月1日は、特別招待作品として、仏と幕末日本で織りなされる愛の物語『シルク』(07日本・カナダ・イタリア)がフィルム上映された。マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、アルフレッド・モリーナという豪華出演陣に加え、日本パートでは主人公エルヴェが心を寄せる謎めいた少女を芦名星が演じた他、役所広司、國村隼、本郷奏多らが出演。中谷美紀も最後に得るヴェへ重大な秘密を明かすパリ在住の夫人役で見事な存在感を見せる。シルク・ドゥ・ソレイユの演出でも知られるフランソワ・ジラール監督が、見事な映像美で神秘的な日本での情景を描き出し、坂本龍一の音楽が情感を静かに掻き立てる。まさにシルクのように滑らかで美しく、そして切ない物語だ。
 
『シルク』上映後、原作者であり、イタリアを代表する作家として多方面で活躍しているアレッサンドロ・バリッコ氏が登壇し、原作本となった「絹」の執筆秘話や、映画化の裏話をざっくばらんに語って下さった。聞き手、通訳として登壇した中井美訪子氏とのトークショーの模様をご紹介したい。
 

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■チェスをしているように、一つ一つの章を丁寧に書いた、小さな本「絹」(seta)

映画化されましたが、原作は本当に薄い、小さな本です。章が小さく、中には4行で終わる章もありますが、一つ一つの章を丁寧に書きました。まるでチェスをしているような気分で、とてもコントロールされた感じで書けた印象があります。イタリアではこの本が出版されたとき、日本の俳句を集めているようだとまで言われたものです。実はこの物語は自分のために書きたかった。ですから、出版社にこの物語ができた時、「あまりにも短いのでゴメン」と言ったのです。「今回の本はとても短いけれど、次の本はかなり分厚い本になるから、そちらは成功すると思うよ」と伝えました。実際には、この小さな本「絹」(seta)は僕の人生で一番ヒットした作品になったのです。
 

■友人の祖先の実話と、祖先が残した日記帳から、19世紀にヨーロッパ人が想像していた日本を描く。

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これを書いた当時、まだ僕は日本に行ったこともなければ、特別行きたくもなかった。この物語は、イタリア人の友達がその友達の祖先の話を聞いたこと、祖先の日記帳を見つけたことが発端でした。その祖先は蚕の卵を買い付ける仕事をしていたのです。イタリアから毎年日本まで買いに行ったという話を聞いた時、僕の頭の中で物語がグルグル周り出しました。卵が孵化するまでに急いでイタリアへ帰らねばならず、温度を低くするために車両を貸し切って氷詰めにしていた。それがクレイジーだけれど、とても魅力的だったのです。当時日本は、ヨーロッパでも未知の世界でしたが、そうして届いた蚕の卵から、美しい女性が身にまとうシルクの服飾品に変わっていった。冒険だけでなく、美やミステリーなど魅力的な要素がたくさんありました。そして、ヨーロッパから日本に行く話を語りたいと思いました。僕がシルクで書いた日本は19世紀にヨーロッパ人が想像していた日本、つまり伝説のようなものです。19世紀に日本に来たヨーロッパ人はほんのわずかでしたから、当時の人たちは日本のことは噂で聞いたことぐらいでしか知り得なかったのです。
 

■エルヴェが日本で出会う謎めいた女性を日本人にしたのは、ジラール監督の強いこだわりだった。

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自分の本が映画化される時、全然違うものになることは受け入れています。フランソワ・ジラール監督は、『グレン・グールドをめぐる32章』(93)をとても気に入っているし、イギリスで僕が書いた『ノヴェチェント』も舞台監督として舞台化してくれ、尊敬している監督です。他にも「絹」映画化のオファーはたくさんありましたが、それらは断り、イタリア人プロデューサーと相談してジラール監督に決めました。全体的には原作とかなり近い仕上がりですが、一番大きく違うのは、主人公エルヴェが日本で出会う女性が原作では西洋人だったことです。監督とこの点については結構話し合いました。監督は日本のエロチシズムについてアイデアを持っていたので、「女性は日本人」であることは譲らなかった。東洋人女性が出ているのは原作とは違う点でした。

 

■映画は原作より淋しげ。原作で一番感じるのは「驚き」だった。

あとは作品の雰囲気が違います。映画の方が原作よりも寂しい気がします。原作の中では悲劇的なことがたくさん起こるのですが、何よりも一番感じるのは驚きでした。人生はこれだけ色々なことがあるという驚きがポイント。主人公のエルヴェは原作では淋しいキャラクターではなく、イキイキして色々なことをたくさん味わいたい人物ですが、映画では少し暗いキャラクターになっていますね。ラストシーンの語り方も、映画では心の中が壊れているようです。原作では明かりや光で満ちています。エルヴェが、風が湖の平面を色々動かしていくのを眺めている。とても小さく軽い動き、湖の表面が風で色々な方向にいくのを眺め、「僕の人生はこういう感じなのだ」と思う。風の中で動く、晴れ晴れして落ち着いた湖という感じに描いています。映画が淋し気なのは、ジラール監督が僕より切ない性格だからかもしれません。
 

■主人公の妻エレーヌ役に、キーラ・ナイトレイは美しすぎた!?

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僕の原作がそのまま映画になっていると感じた箇所もあります。例えばパルダビュー(フランスの蚕商人)を演じるアルフレッド・モリーナは物語で描いた通りの商人像ですし、主人公の妻、エレーヌ役のキーラ・ナイトレイは『パイレーツ・オブ・カリビアン』でいい女優さんだと思ったら、僕の映画に違う感じの役で出演してくれたので、うれしかった。僕の原作ではエレーヌについて書いた箇所は少なく、あまり印象に残りません。もう一人の東洋で出会う女性の方が、存在感があります。原作では、エレーヌのキャラクターを丁寧で、少ない言葉でありながら、存在感があるように書きました。途中で登場する手紙を、実際は妻のエレーヌが書いたと分かった時、サプライズをもたらすようにしたかったのです。これを映画で表すのはとても難しいことでした。映画の4分の3の間キーラ・ナイトレイを隠すのは無理な話です。キーラ・ナイトレイが現れた時から、観客は「彼女は凄いことをするに違いない」と思うはずです。ジラール監督にはもう少し美しくなく、目立たない女優さんにした方がいいのではないかと助言しましたが、監督は「こんなに高い映画を作るのに、きれいな女優さんがいなければどうするんだ」と。私の小説が原作の『海の上のピアニスト』でジュゼッペ・トルナトーレ監督にも同じことを言われました。(原作とニュアンスや話が変わっても、美しい女優を登場させることが)映画を作るルールになっているようです。
 

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原作と映画の違いにも着目したアレッサンドロ・バリッコ氏によるトークショー。最後には、「絹」の一節をバリッコ氏が朗読し、流れるような美しいイタリア語に観客の皆さんも聞き惚れる、とても貴重な時間となった。最後に人生を噛みしめ、希望を抱くエルヴェを描いた原作「絹」も読んでみたいと思わせるトークショーだった。
(江口由美)
 
第9回京都ヒストリカ国際映画祭はコチラ 
 

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《京都国際映画祭2017》

~映画もアートもその他もぜんぶ~

NON STYLE登壇!井上がノーベル賞詩人の逃亡劇に共感⁉
 

 『NO』『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』を手掛けたチリ出身のパブロ・ラライン監督が祖国の英雄、パブロ・ネルーダの半生を描いた『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』が、11月11日(土)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国ロードショーとなります。

この度、10月12日より開催中の京都国際映画祭2017にて特別招待作品として上映、NON STYLEのお二人が登壇するトークイベントが開催されました。


<イベント概要>

日時:10月13日(金) 10:00~場所:TOHOシネマズ二条
登壇者:NON STYLE 石田明、井上裕介  
司会:ロバータ


只今開催中の「京都国際映画祭2107」、2日目となる13日(金)に特別招待作品『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』が上映、上映前にNONSTYLE 石田明、井上裕介登壇のトークイベントが行われた。

MCロバータの呼び込みで盛大な拍手とともにNONSTYLEの石田明、井上裕介の二人が元気に登場!本作を見てお二人は詩が素敵、見ていて勉強になるので授業的な感じでも見られる、と映画を絶賛。

そして本イベントの登壇に抜擢された理由に関して、石田は、「司会のロバータさんはネルーダと名前が似てるからだよね。私、石田は大いなる愛、そして井上さんは逃亡者キャスティングですね。」と井上の昨年の井上の自動車事故に関して触れ、場を沸かせた。

また、本作の主人公ネルーダが政治家であり、ノーベル賞をも受賞した詩人であったことから、「日本でいうなら小泉純一郎や浜田幸一」とネルーダの多才さを讃えた。

SNSなどで愛の詩を投稿していた井上は、詩を学生時代から女性に送っていたそうだが、石田が「君は僕の単三電池です。だっけ?」と聞いたところ、井上は「バッテリーあんまり持たへんやんけ!」とNON STYLEお得意の井上イジリが炸裂。

喜劇もこなす主演のルイス・ニェッコをチリのビートたけしと多才さを例え、一方、執筆業もこなす石田に対して、自分の作品に主演してほしい人が誰か聞くと、真っ先に出た名前が、画になる男であるという理由で井上だった。それを聞いて井上は「ありがとうございます。吉本興業のキムタクです」とおどける。

サブタイトルの「大いなる愛の逃亡者」であることから、逃亡されたことはあるか、と井上に聞くと、電光石火の如く「なんやその質問!?」と昨年の事故のイジリに対して突っ込みを入れ、石田はネルーダにかけて「ニゲータ(逃げた)さん」と井上に対して愛称で呼び、会場は爆笑の渦に包まれた。井上は最後に事故のことを「気付かなかっただけなんです」と付け足して、イベントが終了となった。


neruda-main-550.jpg『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』

<STORY>
1948年、冷戦の影響はチリにも及び、上院議員で共産党員のパブロ・ネルーダ(ルイス・ニェッコ)の元にも共産党が非合法の扱いを受けるとの報告がきた。ネルーダは上院議会で政府を非難し、ビデラ大統領から弾劾されてしまう。大統領は警察官ペルショノー(ガエル・ガルシア・ベルナル)にネルーダの逮捕を命じ、ネルーダの危険な逃亡劇が始まる―。


監督:パブロ・ラライン『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』  
脚本:ギレルモ・カルデロン 
出演:ルイス・ニェッコ、メルセデス・モラーン、ガエル・ガルシア・ベルナル 他
原題:NERUDA
2016/チリ・アルゼンチン・フランス・スペイン/スペイン語/108分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
日本語字幕:石井美智子/字幕監修:野谷文昭 
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
 ⒸFabula, FunnyBalloons, AZ Films, Setembro Cine, WilliesMovies, A.I.E. Santiago de Chile, 2016  

公式サイト⇒ http://neruda-movie.jp/


2017年11月11日(土)~新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA 、
12月9日(土)~シネ・リーブル梅田、以降京都シネマにて順次ロードショー!


(オフィシャル・レポートより)

historica-pos.jpghistrica-9.27.jpg今年も魅せます!『第9回 京都ヒストリカ国際映画祭』


時代劇ファン待望の、世界で唯一の“歴史映画の祭典!”

 

今年も時代劇ファンのための《京都ヒストリカ国際映画祭》(京都文化博物館にて)の季節がやってきました。関西で開催される国際映画祭の中でも最も充実したラインナップを誇り、日本の名作を発信するとともに、世界中から集められた日本初上映の新作も紹介されます。

また、連携企画の人材育成プログラム〈京都フィルムメーカーズラボ〉も今年で9年目となり、世界各国から選抜された若手が京都の松竹や東映の撮影所で学んだ成果をこの映画祭で発表する〈カムバックサーモン・プロジェクト〉もあります。映画創成期から多くの時代劇が作られてきた映画の聖地・京都から羽ばたいた若手映画人の成長を目にすることができます。

 
historica-近松物語.jpg今年の目玉は、巨匠・溝口健二監督代表作『近松物語』の4Kデジタル復元版の日本初上映と、19世末にリュミエール社が世界中で撮影したフィルムの4Kデジタル復元版をドキュメンタリーとしてまとめた『リュミエール!』の関西初上映でしょう。

『近松物語』では、女優・香川京子氏をゲストに迎えてのトークショーが開催されます。また、『リュミエール!』では、その復元を行ったカンヌ国際映画祭総代表ティエリー・フレモー氏のスペシャルトークショーも予定されています。

 
個人的に嬉しいのは、今年も西部劇『レフティ・ブラウンのバラード』や、ハンガリー映画『キンチェム 奇跡の競走馬』ブルガリア映画『エネミーズ』などの日本初上映作品が観られることです。現段階では一般公開が未定の作品を観られる貴重な機会です。お見逃しなきように!!!

 


★公式サイト⇒ http://historica-kyoto.com/

★上映作品紹介⇒ http://historica-kyoto.com/films/

★スケジュール⇒ http://historica-kyoto.com/schedule/

★チケット⇒ http://historica-kyoto.com/ticket/



【ヒストリカ・スペシャル】

historica-リュミエール!.jpg鮮烈な再デビュー、世界のミゾグチと映画のはじまり!

日本映画=京都映画120年記念プログラム。
4Kデジタル技術で蘇った映像美に圧倒されながら、近松物語の革命的再構築の手腕に驚き、そして、仏・リュミエール兄弟の120年前の作品に、その後の映像表現がすでに内包していることに驚く、貴重なプログラム。


【ヒストリカ・ワールド】

歴史を舞台に作られた新作を世界から厳選!

世界の新作歴史映画から国境や文化を超えた物語パワーを持った映画を厳選。
民族・文化を謳うもの、現在では語れないメッセージを歴史に託したもの、モダンに語り直された伝統の物語。いずれも極上の歴史エンタメです。


【ヒストリカ・フォーカス】

ディスカバー加藤泰。世界映画史に憤怒と慈愛を刻む巨眼の人・加藤泰を再発見!

際立ったスタイルと原初の映画のような歓びに満ちたカッティング。
世界が再発見すべき加藤泰だけが持つ引力を様々な視点を持つゲストと提示します。
封建・任侠の中での愛を描いた傑作を全作英字幕付きで。


【ヒストリカ・ネクスト】

2017年の話題作!気鋭の監督たちの"新しい時代劇"への挑戦!

海外の映画祭で高い評価を受け、逆輸入で日本公開された異色の時代劇と、
時代劇専門チャンネル・日本映画専門チャンネルが三宅監督とタッグを組んで製作した意欲作を上映。
気鋭の監督たちが今までの時代劇にとらわれない制作スタイルで生み出した"新しい時代劇"を感じてください。


【特別招待作品】

historica-silk-500.jpg上海の映画シーンを代表するベテラン監督と、名作映画の原作を手がけるイタリア現代文学の重鎮をお招きします。
歴史映画の現在を感じていただける豪華なプログラムをお楽しみください。

『シルク』 SILK
『海の上のピアニスト』原作者小説を映画化仏と幕末日本で織りなされる愛の物語
http://historica-kyoto.com/films/s_screening/silk/

『上海キング』 Lord of Shanghai
上海王よ、永遠に 魔都・上海が憎しみの炎で燃え上がる。
http://historica-kyoto.com/films/s_screening/lord-of-shanghai/



★【『シルク』の原作者アレッサンドロ・バリッコ氏のスペシャルトーク開催】
 
 (
開催日:11月1日(水)14:30~映画『シルク』上映後、京都文化博物館にて)


『海の上のピアニスト』の原作者でもあるバリッコ氏は、音楽学者でもあり、小説家、脚本家、監督というマルチな才能を発揮するイタリアの著名な芸術家です。映画化へのプロセスや映画『シルク』についてお話を伺える大変貴重な機会となることでしょう。多くの方のご来場をお待ちしております。


〈アレッサンドロ・バリッコ〉
historica-baricco-240.jpg1958年トリノ生まれ。トリノ大学哲学科およびトリノ音楽院ピアノ科を卒業。音楽評論研究に従事し、1988年に2つの評論エッセイを発表。1991年、処女小説『怒りの城』を発表、カンピエッロ・セレツィオーネ賞(伊)とメディシス賞(仏)を受賞。1993年出版の『洋・海』はベストセラーとなり、27ヶ国語に翻訳された。

1994年、トリノにストーリーテリングとパフォーマンスアートの学校「スクオラ・ホールデン」を共同設立。同年、独演脚本『ノヴェチェント』を出版。同作品はG.ヴァチスにより舞台化、G.トルナトーレにより『海の上のピアニスト』として映画化された。また、1996年発表の小説『絹』は、F. ジラールにより『シルク』として映画化された。2008年、映画『レクチャー21』では脚本および監督を務めた。


(河田 真喜子)

 

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「おおさかシネマフェスティバル2017」が3月5日(日)、大阪北区のホテル エルセラーン大阪、エルセラーンホールで行われ、今年も総合司会浜村淳さんの司会で、表彰式は大爆笑の渦が巻き起こった。欠席ゲストが多い中、なにわのアカデミー賞もショーアップ。表彰式オープニングには、過去のハイライト映像が流され、豪華な顔ぶれの受賞者の晴れやかな姿がフラッシュバック。表彰式にあたって、総合プロデューサーの大森一樹監督も「映画ファンが映画について語り合う映画まつりが、こういう形で続くのはうれしい。先日亡くなった、僕らの時代の象徴である鈴木清順監督が映画祭に何度かお越しいただき、温かい言葉を残していただいたことを覚えています」と、その思い出を語った。表彰式では日本映画作品賞・片淵須直監督、助演男優賞・東出昌大さん、助演女優賞・杉咲花さんら豪華ゲストの顔ぶれが、浜村淳さんとのトークを展開。スペシャルサポーターに花束を手渡され、喜びの表情を見せた。表彰式ゲストのコメントを、写真と共にご紹介したい。
 
 
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【日本映画作品賞】『この世界の片隅に』(片淵須直監督)
 
「(浜村淳に、枚方出身の話題から「ひらパーおじさん」といじられながら)完成するまで6年あまりかかり、3374名の方から支援をいただきました。この数字だけは忘れられません。自分たちの知らない時代、知らない場所で起きたことを描いているので、きちんと描こうと自分たちでできることは全てやりました。この作品を撮ろうとしたのも、のんを起用したのも、今から思えば映画の神様が囁いたとしか思えません」
 
 
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【助演男優賞】東出昌大『聖の青春』

「俳優とモデルの仕事は、農家と漁師ぐらい大きな違いがあります。向井さんの脚本、森監督の演出が素晴らしくてやりやすかったです。福島会館前でクランクインしましたが、監督の一言目が「芝居をするな」。松山さんの村山聖が盤を挟んだ向かいにいて、命を削りながら芝居をしていた。松山さんがいたから僕も芝居ができました」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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【助演女優賞】杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』
 
「役柄や作品を自分から望むことは少ないですが、私は映画が好きで、憧れの監督がたくさんいるので、その監督のもとでがんばりたいです。初めてのあて書きでビックリしました。台本を受け取った時にマネージャーが『本当にいい作品だから早く読んで』と言われ、そんなことを言われるのは初めてだったので車の中で読んだら、マネージャーの言う通りだと思い、改めて家で読みました」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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【新人男優賞】毎熊克哉『ケンとカズ』
 
「どちらかというと、僕はへなちょこなタイプ。(小路監督は)普段の僕を知っているのになぜこの役をと思ったが、何かやって欲しいのだろうと思って演じました。3歳ぐらいから映画が好きで、物心がついたときから映画監督になりたかったので、18歳で東京の映画学校に行き、小路監督と出逢ったのです」

 

 

 

 

 
 
 
 
 
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【監督賞】瀬々敬久『64-ロクヨン―』
 
「大分にいたときは、電車で乗り継いで2時間かけて映画を観に行っていたので、浪人時代に大阪に来た時はうれしくて、大毎地下劇場でよく映画を観ていました。警察広報官役の佐藤浩市さんは誰が来ても闘わなければいけない設定。浩市さんもそこが肝だと思い、撮影に入る時の飲み会で、記者クラブの俳優たちに『お前ら死ぬ気でかかってこい』と挑戦状を突きつけていました」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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【脚本賞】向井康介『聖の青春』
 
「29歳で亡くなった壮絶な生き方ですが、2時間にまとめなくてはいけない。どうすればいいかを考え、聖さん晩年の4年間に他の部分も織り込みつつ、フォーカスを当てるところから始めました。7~8年かけて、監督やプロデューサーとで合宿したり、思い出しては直したりしながらかき上げました。松山ケンイチさんは『神童』『マイ・バック・ページ』に続き3作目ですが、今回一番熱がこもっており、ライターとして頼もしかったです。脚本より村山聖さんの生き方が凄かったのだと思います。」
 
 
 
 
 
 
 
 
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【撮影賞】山田康介『シン・ゴジラ』
 
「助手で15年カメラに携わり、35歳でデビュー。助手時代にゴジラ作品を6作品担当していたので、ぜひチャレンジしたいと思いました。僕は木村大作さんの助手をしていたことがありますが、木村さんは『誰かが行かねば道はない』という方。それは無理なので、僕は違う道を行きたい。怖いけどチャーミングな方です」
 
 
 
 
 
 

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【音楽賞】コトリンゴ『この世界の片隅に』
 
「ザ・フォーク・クルセーダーズの60年代の曲を、エレキギターがない戦中時代が舞台なのでバイオリンなどの方がいいと思い編曲しました。浜村先生は、コトリンゴはバンドと思っていらしたようですが、一人でやっています」
 
 
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【新人監督賞】中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』
 
「杉咲花さんの起用は、テレビ越しに見てなんと感度がいいのだろうと思い、彼女と映画を撮りたくて今回唯一あて書きしました。僕の作品には家族の絆、愛が表現の根底にあり、今回それを吐き出しました」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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【ワイルドバンチ賞】『ケンとカズ』(小路紘史監督)
 
「通常映画を制作するには億単位でお金がかかりますが、本作は300万ぐらいで撮りました。将来的に、毎熊さんが出演してくれるなら、一緒に映画を撮りたい。(資金集めは)浜村さんに協力してもらって(笑)」
 
 

 

 
【主演男優賞】松山ケンイチ『聖の青春』<メッセージ代読>
「村山さんの生き物としての美しさは時代を問わず観客の心に響いた結果だと思います。
将棋界は美しいです。その美しさを堪能出来てその美しさを持った方々との出会いがあるこの時代に生まれて僕は幸せ者です」
 
【主演女優賞】蒼井優『オーバー・フェンス』<メッセージ代読>
「中学生になるまで、学校の長期休業期間のほとんどは祖父母のいる大阪で過ごしていました。鶴橋の銭湯でミックスジュースを飲んでいた私が、女優賞をいただくなんて。人生何が起こるかわかりません。私たちは、これからも皆さんと同じ一娯楽ファンとして、また、一制作人として、真摯に、時に大胆に作品を作り続けていきます。おおさかシネマフェスティバルに、ありったけの愛と祝福を」
 
【新人女優賞】中条あやの『セトウツミ』<メッセージ代読>
「朝起きて実家で朝食を食べて 行ってきます!と言ってか ら撮る映画は今までで初めてで、いい意味で肩の力を抜いて撮影することができました。そんな愛着のある セトウツミで新人女優賞を頂けて本当に嬉しいです! こんな素敵な機会作ってくださった皆さんへの感謝の気持ちを忘れず 前に進んでいきたいと思います。」
 
【新人男優賞】真剣佑『ちはやふる』<ビデオメッセージ>
「日本ではじめて出演した作品。小泉監督の下で役者として成長できました」
 
【外国映画作品賞】『ハドソン川の奇跡』(クリント・イーストウッド監督)
監督のメッセージ:おおさかシネマフェスティバル外国語映画部門で『セッション』が作品賞に選ばれたと聞き、非常にうれしく思います。最高のキャストとスタッフに代わりまして、皆さまに感謝いたします。ありがとうございます。
 
写真:河田真喜子、文:江口由美

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★【京都ヒストリカ国際映画祭】の原点“忍者への映画旅”

 

秋恒例の京都ヒストリカ国際映画祭(第8回)は先ごろ“歴史と映画の都”京都市内の文化博物館で行われた(11月2~13日)。注目の「ヒストリカ・フォーカス」は今、外国人に人気を集める忍者映画を特集、1921(大正10)年のマキノ省三監督、尾上松之助主演の『豪傑児雷也』を活弁付きで上映したほか、リアル忍者映画の元祖、山本薩夫監督、市川雷蔵主演『忍びの者』(62年大映)など、さまざまな忍者映画が上映され、幅広い映画の歴史から「感動と驚きを運んだ」(高橋剣映画祭ディレクター)。

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“フジヤマ・ゲイシャ”の次に外国人に人気が高い日本アイテムは「ニンジャ」ではないか。今年「ヒストリカ・フォーカス」の目玉企画は日本で“最初の映画スター”として1000本以上の作品に出演したと言われる尾上松之助の“当たり役”のひとつ『豪傑児雷也』。歴史遺産と言うべき95年前の映画を、現役の活動写真弁士・坂本頼光氏の解説付きで上映するところが「京都ヒストリカ映画祭」の強みだ。


  『豪傑地雷也』 (1921年/日本/21分)
  監 督:牧野省三
  出 演:尾上松之助、市川寿美之丞、片岡長正
  弁士:坂本頼光

 

マキノ省三監督は日本で最初の監督でありプロデューサーとしても名高い。そのマキノ御大が旅芝居の役者から見出だした“目玉の松ちゃん”こと尾上松之助の『豪傑児雷也』は“重要文化財”級の骨董品。事実、先ごろ見つかった同じマキノ省三監督、尾上松之助主演の『忠臣蔵』は「見つかったことがニュース」になって報じられた。いわば貴重な文化財を、今では見られない「活弁付き」で見られるのがヒストリカの存在理由、映画ファンの“プチぜいたく”に違いない。


約21分のフィルムは、旧劇(時代劇)の主役だった忍者映画の成り立ちを証明する内容。悪者の前で大見得を切った児雷也(松之助)が、次の瞬間に消え、遠く離れた場所から現れるなど、講談で言う「ここと思えばまたあちら」の大あばれ。逆回転や二重露光など「主に偶然による」トリック撮影の効果をふんだんに駆使して、ファンタジックな“英雄豪傑談”に仕上げている。CG全盛の今見れば“子どもだまし”かもしれないが「初めて活動写真を見た」子どもたちには大変なインパクトだったはずだ。実際、当時映画を真似て木から飛び降りる子どもが続出したという。


マキノ省三監督&尾上松之助コンビは「日本映画史」の第1ページ。岩波書店版「講座日本映画」第1巻内「マキノ映画と少年」(足立巻一著)によると「(横田)商会が合併して日活(日本活動写真株式会社)となると(省三は)京都撮影所長として敏腕をふるい、松之助を当代随一の人気スターに育て上げ、大正期の忍術ブームを巻き起こした」とある。『豪傑児雷也』の歴史的価値が分かる。
 


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★忍者映画の原点・山本薩夫『忍びの者』

 

  『忍びの者』 (1961年/日本/104分)
  監 督:山本薩夫
  出 演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助

 

「ヒストリカ・フォーカス」ではこのほか、現代版忍者の『劇場版  忍者部隊月光』(64年)、お色気忍者映画『くノ一忍法』(64年、中島貞夫監督)、SFXを駆使したダイナミックな『伊賀忍法帖』(82年)、米独合作『ニンジャ・アサシン』(09年)、ハリウッドから『ミュータント・タートルズ』(14年)にアニメ・ニンジャ『ナルト』など“忍者映画のあれこれ”が幅広く特集された。


中で忍者映画の基礎で中興の祖にもなった『忍びの者』(62年大映京都、山本薩夫監督)が光る。忍者ファンタジー映画『豪傑児雷也』から40年、忍者の忍術とは何だったのかを考察したリアル忍者映画だ。


戦国末期、延暦寺や石山本願寺を攻撃した織田信長は伊賀忍者たちの怒りを買う。忍者勢力を二分する百地砦の三太夫と富士林の長門守はそれぞれの配下に信長暗殺の密命を下す。三太夫は妻・イノネを五右衛門(雷蔵)と密通させて妻を殺害、代償として、五右衛門に信長暗殺を命じる…。


“日陰の存在”だった忍者の宿命と悲哀をリアリズムで描きあげた佳作で、以後、第8作まで続く人気シリーズになった。“ドロン”も煙幕もない、忍者のイメージを築いた元祖で、党派のお頭に忠誠を尽くす助っ人技能集団は、現代のサラリーマンにも共感を呼ぶものだろう。


his2016-11-11-B-500-1.jpgヒストリカ映画祭の『忍びの者』上映後には“ラスト忍者”川上仁一さんがトークショーに参加する特別サービスもあった。川上さんは「伊賀と甲賀は仲が良かった。縁戚関係のような共同の寄り合いだった。忍者は室町時代から1600年初頭までいた。全部入れて数千人ぐらいでしょうか。資料はなく、詳しいことは不明だが、傭兵集団だったのではないか。忍者の修業は“体を作る”“知識を得る”“呼吸法を学ぶ”など、やることは多い。修業期間は10年はかかりますね」と語っていた。


(安永 五郎) (2016-11-11)

 

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あの“宇宙人ジョーンズ”!? いえいえハリウッドの大スター、
トミー・リー・ジョーンズが《京都ヒストリカ国際映画祭》にやって来た!

 

【第8回京都ヒストリカ国際映画祭】

 11月6日(日)14:00~『ホームズマン』 の上映後、監督・主演のトミー・リー・ジョーンズ(70歳)のトークセッションが行われた。上映前にも予定外の挨拶を行い観客を驚かせたが、「本日の上映が本来の上映方式のデジタルDLPではなくブルーレイ上映となってしまって申し訳ない」とお詫びの挨拶となった。


『ホームズマン』について
his-2016-500-E.jpg19世紀半ばのネブラスカ準州(現在のネブラスカ州とダコタやワイオミング、モンタナを含む広域)、中西部開拓盛んな時代、荒涼とした土地で過酷な環境にさらされた女性たちに焦点を当てた、異色西部劇。神経を病んだ3人の主婦を開拓民の起点であったアイオワ州へ、信心深く几帳面で善良なメアリー(ヒラリー・スワンク)と流れ者の男“ジョージ・ブリックス”(トミー・リー・ジョーンズ)の二人で送り届けるロードムービー。3人の主婦を受け入れるアイオワの女性を演じたメリル・ストリープや牧師役のジョン・リスゴー、無慈悲なホテル経営者役のジェイムズ・スペイダーなどが脇を固め、厳しいながらも美しさの際立つ映像も印象的な作品。


【トークの概要】
homesman-bu-240-2.jpgテーマについて、「西部とか東部とか、女性とか男性とかは関係なく、今まであまり描かれる事がなかった19世紀半ばのアメリカ人がどのようにして生きていたか、そのためにどのような代償が払われてきたかを描きたかった。本作は女性の視点だが、広い意味で人間そのものを捉えている。」知られざる西部開拓史の一面を見たようでとても興味深い物語で、ペリー艦隊が浦賀に現れた頃のアメリカ中世部の歴史を改めて調べたい衝動にかられた。


ヒラリー・スワンクが演じたメアリーについて、「女性は家庭的な良妻賢母であるべきと考えられていた時代、独りで荒野を耕す女性は珍しい。そんな強い彼女を追い詰める程の厳しい状況を表現。」メアリーは信心深く、家も土地も家畜も貯金もあり、料理上手で音楽を好むしっかり者の女性。だが、特別に美人で魅力がある訳ではないので、この上なく不細工な男に「退屈でうるさそう」と言われて結婚を断られたり、流れ者のジョージからも邪険にされたりする。女性として尊重されなくて歯がゆさをつのらせるヒラリー・スワンクの表情がいい。


homesman-bu-240-3.jpg陰影の効いた美しい映像については、「ニューメキシコでのロケはとにかく天候が一番重要だった。大きく変わりやすい天候に振り回されながら、照度計とにらめっこの撮影は本当に大変だった。そのため苦楽を共にしたクルーとはより親しくなったよ」と。また、トミー・リー・ジョーンズが演じた流れ者の男のラストシーンについて、「メアリーもお金も失い、再び自由に生きられる西部へ行くしかなかったんだ。筏の上で踊っていた音楽は、当時のフォークソングです」と、当時の音楽を再現し、筏の上でバンジョーを弾いていたのは自分の息子だと紹介した。また、冒頭メアリーに教会への道を教えるシーンには娘が出演していたことも明かした。

 



映画祭は、月曜日は京都文化博物館の休館日のためお休み。11/8(火)~11(金)までは“ニンジャ”をテーマにした新旧作品を上映。11/11(金)には、無声映画『豪傑児雷也』が弁士付きで上映され、その後市川雷蔵主演の『忍びの者』の上映。11/12(土)・13(日)には再び新作映画を上映。『ホームズマン』も12(土)にも上映されます。お楽しみはこれからです♪
 

★京都ヒストリカ国際映画祭の公式サイト⇒ http://www.historica-kyoto.com/ 
★映画祭のおすすめ新作について⇒ 
こちら

 (河田 真喜子)