映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

2014年4月アーカイブ

DSC00191_r1_c1.jpg『イタリア映画祭2014』開幕しました!!!

場所:朝日ホール(東京有楽町)
期間:4/26(土)~29(火・祝)、5/3(土・祝)~5(月・祝)

  「日本におけるイタリア年」をきっかけに、2001年春に始まった『イタリア映画祭』は、今年で14回目を迎えました。多くの映画ファンやイタリアファンに指示され、毎年1万人を超える観客が訪れるゴールデンウィーク恒例の映画祭となりました。今年のイタリア映画祭では、昨年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』と、今年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『グレート・ビューティ/追憶のローマ』が特別上映されます。さらに、『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』ジャンフランコ・ロージ監督をはじめとする多くの監督や俳優が来日して、アフタートークが開催されます。

大阪での開催は、
場所:ABCホール
期間:5/10(土)・11(日)

公式サイト⇒ http://www.asahi.com/italia/2014/



★来日ゲスト★(写真左から)
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①『無用のエルネスト』出演:アレッサンドロ・アベル Alessandro Haber
出演作品が100本を超えるベテラン俳優で、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞やゴールデングローブ賞などでの受賞歴がある。『無用のエルネスト』では、くせがあるが憎めない芸術家を好演。直近の日本で公開された出演作は、『楽園からの旅人』。

 「役者は確実なことは何もありません。来日するよう言われたのは、私にとって奇跡のようなことです。」
 

 



DSC00186_r1_c1.jpg②『初雪』主演:ジャン=クリストフ・フォリー Jean-Christophe Folly
トーゴにルーツを持つフランス人。クレール・ドゥニの作品や青山真治の短編に出演。イザベル・ユペールなどを輩出した、パリにある難関の国立高等演劇学校出身の確かな演技力で、心に傷を負いさまよう難民の姿を体現している。

 「北アフリカのリディアから来た難民の役をやっています。来日できて、本当にうれしく思っています。」

 

③『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』監督:ジャンフランコ・ロージ Gianfranco Rosi
インドを旅した後、最初に監督した「Boatman」(93)が高い評価を受け、「Below Sea Level」(08)「El Sicario, Room 164」(10)で多くの賞に輝く。『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』は、リサーチ期間も含め、映画製作に3年を要したという。



DSC00184_r1_c1.jpg④『南部のささやかな商売』監督・主演:ロッコ・パパレオ Rocco Papaleo

映画や演劇で多数の作品に出演してきたが、「Basilicata coast to coast」(10)で監督デビューを果たし、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞などを受賞した。歌手としての活動もあり、『南部のささやかな商売』では音楽が大きな役割を担っている。

「私は日本食が大好きで、週に1回は食べています。今回はその日本食を食べにきました。映画はそのついでです(笑)。」

 

  

DSC00180_r1_c1.jpg⑤『存在しない南』監督:ファビオ・モッロ Fabio Mollo
本映画祭で上映された『頭を上げて』『シャッラ/いいから!』などで助監督を務めつつ、短編で経験を積んできた。監督が地元のオーディションで主役に抜擢したミリアム・カールクヴィストは、ヨーロピアン・シューティングスターに選ばれた。


 

 


 

DSC00179_r1_c1.jpg⑥『サルヴォ』監督:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ Fabio Grassadonia, Antonio Piazza
「Rita」という盲目の少女にフォーカスした短編を撮ることが、『サルヴォ』のリタ役の演出に活かされたと話す。両監督の出身であるシチリアを舞台にした作品だが、乾いたフィルムノワールの体裁は、従来のマフィアものと一線を画す。



DSC00174_r1_c1.jpg⑦『いつか行くべき時が来る』監督:ジョルジョ・ディリッティ Giorgio Diritti
前作がダヴィッド・ディ・ドナッテロ賞の最優秀作品賞など多数の賞に輝き、一躍知れ渡ることになった。『いつか行くべき時が来る』の映画化のきっかけは10数年前、アマゾンにテレビのドキュメンタリーの撮影で訪れたことだったと監督は話す。

 


 

 
DSC00174-1.jpg⑧『自由に乾杯』監督:ロベルト・アンドー Roberto Andò
演劇やオペラの演出も手がけるなど幅広い分野で活躍し、自身による小説を原作とする『自由に乾杯』は、実に7年ぶりの映画作品になる。演劇やオペラの志向は、本作で用いているヴェルディのオペラやブレヒトの詩などに見て取れる。

 

 

 


 *4/29(火・祝)15:30~のトーク  セッションではドキュメンタリー映画で国際的に活躍するジャンフランコ・ロージ監督と想田和弘監督が、『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』やドキュメンタリー映画について話し合います。

 DSC00185_r1_c1.jpg【ジャンフランコ・ロージ監督】
エリトリアのアスマラ出身。ニューヨーク大学映画学科卒業後、自ら製作と監督を務めた「Boatman(原題)」でサンダンス映画祭、そしてトロント国際映画祭などで多くの賞を受賞。2008年には初長編「Below Sea Level(原題)」、そして2010年には「El sicario – Room 164(原題)」がヴェネチア国際映画祭などで受賞多数。またニューヨーク大学映画学科などでは客演講師も務めている。

【想田和弘監督】
映画作家。東大文学部、SVA映画学科卒。93年からニューヨーク在住。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。その第一弾『選挙』は米国でピーボディ賞を受賞。その他の作品は『精神』『Peace』『演劇1・2』『選挙2』。著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)など。

『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』Sacro GRA (Gianfranco Rosi) /監督:ジャンフランコ・ロージ/2013/93分

ヴェネチア国際映画祭にて、ベルナルド・ベルトルッチや坂本龍一など審査員から満場一致の絶賛を浴び金獅子賞を受賞。ローマを囲む高速道路GRA。その環状線に沿って暮らす愛すべき人々の物語を、叙情的に描いたドキュメンタリー。欲望と混沌、輝かしい未来と取り残された者たちの心模様を鋭く切り取る。イタロ・カルヴィーノの名著『見えない都市』にインスパイアされた野心作。
2014年8月16日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。