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第37回東京国際映画祭 ついに開幕!

総勢228人の豪華ゲストが登場

レッドカーペット&オープニングセレモニー

 

本日10月28日(月)日比谷にて第37回東京国際映画祭が開幕となりました。

今年は、国内でも多くの映画人が登場し、海外からも多くのゲストを招き、世界的な国際交流の場として華やかな幕開けとなりました。


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TIFF2024-op-240-ayase.jpg東京ミッドタウン日比谷のステップ広場から日比谷仲通りにかけて敷かれた162mのレッドカーペットには、トップバッターとしてオープニング作品の『十一人の賊軍』から白石和彌監督山田孝之、仲野太賀ら10名が登場。その後、フェスティバル・ナビゲーターの菊地凛子が登場すると会場からは歓声が上がった。そのほか『外道の歌』の亀梨和也、『雪の花 -ともに在りて-』の松坂桃李、『劇場版ドクターX』の米倉涼子、『ルート29』の綾瀬はるか、『オラン・イカン』のディーン・フジオカ、『サンセット・サンライズ』の菅田将暉、『Spirit World』の堺正章、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』の河合優実、エシカル・フィルム賞審査委員長の齊藤工、海外から『チャオ・イェンの思い』のチャオ・リーイン、『娘の娘』のシルヴィア・チャンら豪華ゲストが煌びやかな衣装で観客を魅了し、終盤には今年度のコンペティション部門審査委員長であるトニー・レオンが登場し、会場のボルテージも最高潮に達した。国内外からは228名の豪華ゲストがカーペットを彩り、国内外のマスコミと多くの観客による熱気に包まれ、大いに盛り上がりを見せるレッドカーペットとなった。


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レッドカーペットイベント終了後、東京宝塚劇場にて行われたオープニングセレモニーでは、オープニングアクトとしてVirtual Singerの花譜-KAF-が登場し、スペシャルパフォーマンスでドラマーの大井一彌、琴アーティイストのLEO、ダンサーの池田美佳鈴木陽平、歌手・ヴァイオリニストのサラ・オレインと一緒に演奏、部門紹介のMCも務めた。武藤容治経済産業省経済産業大臣の祝辞と石破茂首相のビデオコメントが届けられ、その後今年のナビゲーターの菊地凛子が登場し映画と映画祭の素晴らしさについて熱く語った。さらに、今年の審査委員が紹介され、コンペティション部門の審査委員長であるトニー・レオンの挨拶では、審査委員チームの一員になることができ光栄です、ベストを尽くします、と審査に対しての思いを語った。オープニング作品の『十一人の賊軍』からは、監督の白石和彌、山田孝之ら総勢8人が登場し、映画の見どころについて明かした。最後はチェアマンの安藤裕康による開催宣言で締めくくり、会場には大きな拍手が鳴り響き、イベントは終了。


開催日:2024年10月28日(月)
①レッドカーペット 会場:東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場・日比谷仲通り

開始時間:15:00〜

②オープニングセレモニー 会場:東京宝塚劇場 開始時間:17:00〜

【オープニングセレモニー】登壇者
第37回東京国際映画祭フェスティバル・ナビゲーター:菊地凛子
オープニングアクト:花譜-KAF-、サラ・オレイン、LEO、大井一彌、池田美佳、鈴木陽平
経済産業省経済産業大臣:武藤容治
コンペティション部門国際審査委員 審査委員長:トニー・レオン
コンペティション部門国際審査委員 審査委員:エニェディ・イルディコー、橋本愛、
キアラ・マストロヤンニ、ジョニー・トー
オープニング作品:『十一人の賊軍』
 監督:白石和彌
 出演者:山田孝之、鞘師里保、千原せいじ、一ノ瀬颯、野村周平、小柳亮太、本山力
※敬称略

レッドカーペット参加ゲスト:国内外 228名

レッドカーペット&セレモニーのご取材マスコミ数:国内外 173名

レッドカーペットの長さ:計162m

セレモニーの参加客数:742名

本年度の上映本数:計208本

男女共同監督を含めた女性監督作品は43本(女性のみ37本、男女共同6本)で全体の中での比率は21.9%(昨年は22.4%、同じ監督による作品は作品数に関わらず1人としてカウント)



★石破茂 内閣総理大臣ビデオメッセージ

皆様こんにちは。内閣総理大臣の石破茂です。
東京国際映画祭はアジアを代表する国際的にも注目を集める映画祭です。
映画の発展に貢献されてきた皆様の創意工夫とご尽力により、本日第37回の東京国際映画祭が開催されますことを心よりお慶び申し上げます。

日本のコンテンツ産業は鉄鋼や半導体産業に匹敵する輸出規模があり、その競争力の源泉は会社と共に映画監督や製作現場の方といったクリエイター個人の皆様にあります。日本のコンテンツ産業のさらなる発展のために政府としても次世代を担うクリエイターの育成支援や取引の適正化といった環境の整備を図ってまいります。

本年の8月には日伊、日本イタリア映画共同製作協定が発効し、いよいよ共同製作作品の募集も開始となりました。今年生誕100年となるイタリアの有名俳優マルチェロ・マストロヤンニ氏や、有名監督の作品に関する特集が上映されると聞いております。改めて過去の名作の魅力が再認識され、新たな作品の製作に向けた皆様方の出会いや交流の場となりますことを心より期待いたしております。

最後になりますが、この映画祭の成功と我が国の映画産業の益々の発展を祈念いたしまして、わたくしのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 

★第37回東京国際映画祭フェスティバル・ナビゲーター:菊地凛子 コメント

東京国際映画祭に初めての参加で、このような身に余るお仕事をいただき、この場所に立つことができました。映画を通じて多くの方々と繋がっていきたいと思っております。

Q.東京の並木道を活かしたレッドカーペットを歩いてみていかがでしたか?

東京という凄くユニークな都市の真ん中でこのようなレッドカーペットがあるんだと、歩かせていただいて実感したとともに、本当に沢山の方々がいらっしゃって、映画を観て楽しんでいるんだろうなというのを肌で感じることができました。
 

Q. 菊地さんにとって映画祭の楽しさはどんなところでしょうか?

映画は一つの共通言語として色んな国の方々と繋がることができる方法だと思っています。映画をもって、会話ができるというのは凄く素敵なことだと思います。


Q. 海外の作品でも活躍されている菊地さんですが、邦画洋画に関わらず、菊地さんの思う映画の良さはどんなところですか?

映画で自分の人生が変わるような、衝撃を受ける作品に出会ってきました。映画の中の登場人物が傷ついたり泣いたり希望を持って生きようとしたりと、その中で一緒になって傷ついたり喜んだりすることで、映画館を出るころにはすっかり元気になって、明日も頑張ろうという風に思えます。子どもの頃から見てきた映画と共に、自分も映画の世界に入って、映画を通じて沢山の人々に色んなことを伝えていけたらいいなという希望を持って日々頑張ろうと思います。

 

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★コンペティション部門 審査委員長:トニー・レオン

今年、この審査委員チームの一員になることができ光栄です。私たちの審査が皆さんに満足していただけるものになることを願っています。簡単なことではありませんが、ベストを尽くしたいと思います。皆さんすてきな夜をお過ごしください。

 

『十一人の賊軍』:白石和彌監督 コメント

『十一人の賊軍』をオープニング作品に選んでいただきありがとうございます。撮影は去年8月から11月までみんな必死に泥まみれになりながら撮影したのですが、ここにいるキャストの皆さんの姿を見て誇らしい気持ちでいっぱいです。映画ではかっこよく汚れているのですけど、この場では綺麗な姿を見れて感無量です。映画を楽しみにしてください。

 

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『十一人の賊軍』:山田孝之 コメント

昔の設定ではありますが、昔の人たちの行動や考えは現代においても同じだと思います。見る視点によって悪だなと思うこともあるかもしれませんが、結局自分だったり周りの人たちを少しでもいい状況にしようと動いている人たち。そこを自分や自分の周りに落とし込んで重ねて観ていただければ響くのではないかと思います。

 

安藤裕康チェアマンによる開会宣言

朝方から雨が降っており、レッドカーペットを特に心配していましたが、天が味方をして午後には雨が上がり、レッドカーペットも大変華やかに行うことができました。今年はレットカーペットにお越しいただいた方が20%くらい増えましたし、楽しんでいだたいたお客様も昨年の倍以上いらっしゃいました。そしてオープニングセレモニーにも昨年を上回る方々に来ていただきました。大変喜んでおります。今年の映画祭も多様な作品を多数集めて皆様方にお見せしようという風に思っておりますし、イベントの数も増えてより楽しんでいただけるのではないかと思っております。どうぞ東京国際映画祭を支えていただいて、盛大な映画祭となりますよう皆様方のご支援を申し上げます。それでは第37回東京国際映画祭開会を宣言いたします。


名称:第37回東京国際映画祭

開催期間:2024 年 10 月 28 日(月)~11 月 6 日(水)

会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区  公式サイト:www.tiff-jp.net

コピーライト:©2024 TIFF


(オフィシャル・レポートより)

『正体』  - 映画レビュー

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『本心』 - 映画レビュー

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株式会社松竹マルチプレックスシアターズ(東京都中央区、代表取締役社長:樫村暢彦)が大阪府八尾市にて運営しておりますシネコン「MOVIX八尾」は、昨年の台風7号により甚大な被害を受けた影響にて2023年8月より休館しておりましたが、このほど全館改装が完了し2024年11月15日(金)より営業を再開致します。

関西初導入!

音楽ライブ、演劇、スポーツが最高の臨場感で楽しめる

「3面ライブスクリーン」


営業再開にあたり、新たに、音楽ライブ、演劇、スポーツ等が最高の臨場感で楽しめる次世代型上映システム「3面ライブスクリーン」をスクリーン1に導入致します。

1面350インチのスクリーンを3面配置することで大迫力かつ多彩な表現が可能となり、また通常のシネマとは違った重低音や高音域の再現に優れたスピーカーとカスタマイズされたデジタル音響システムで、音楽ライブやミュージカルなどの舞台演劇、サッカーをはじめとするスポーツなどが、まるでそこにいるかのような最高の臨場感で体感頂けます。


施設名/MOVIX八尾

所在地/大阪府八尾市光町2-3 アリオ八尾4階


(オフィシャル・リリースより)



会期 2024 年 11 ⽉ 1 ⽇(⾦)〜7 ⽇(⽊) <1 週間>
会場 宝塚シネ・ピピア(阪急宝塚線「売布神社」駅前/ピピアめふ 5F)
主催 宝塚映画祭実⾏委員会
共催 宝塚市、公益財団法⼈宝塚市⽂化財団
後援 株式会社エフエム宝塚
特別協⼒ 宝塚市⽴⼿塚治⾍記念館
協賛 国際ライフパートナー株式会社
協⼒ シネ・ピピア、すみれ座

宝塚映画祭実行委員会は、「令和元年度 宝塚市 市民文化賞」を受賞しました!
 


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◎表紙デザイン:切畑 水葉
宝塚在住の漫画家・イラストレーター (作品に『阪急タイムマシン」ほか』 


【上映作品】

●宝塚市制 70 周年記念、特別上映

2024 年は、1954 年 4 月 1 日に誕生した宝塚市の市制施行 70 周年。70 年前の 1954 年は最も映画人口が多かった日本映画の黄金期。数々の名作が作られていました。「宝塚市制70 周年記念」として 1954 年に製作された日本映画史に残る名作 4 本を特集します。


◆『二十四の瞳』 <高峰秀子 生誕 100 年> (C) 松⽵1954 年/松⽵⼤船/35mm/156 分/⽩⿊
監督・脚本:⽊下惠介/原作:壺井栄/撮影:楠⽥浩之/照明:豊島良三/⾳楽:⽊下忠司/録⾳:⼤野久男/美術:中村公彦
出演:⾼峰秀⼦、⽉丘夢路、⽥村⾼廣、⼩林トシ⼦、笠智衆、井川邦⼦、夏川静江、浪花千栄⼦、天本英世

〈STORY〉瀬⼾内海に浮かぶ⼩⾖島を舞台に、⼥性教師と 12 ⼈の⼦供たちの交流を抒情的に綴り記録的な⼤ヒットとなった国⺠的傑作。⾼峰秀⼦の⼤⽯先⽣は教師像の理想となるほどの名演だった。戦前戦後の時代を背景に、戦争に対する怒りを庶⺠の視点で清く描いた⽇本映画史上に残る不朽の名作。キネマ旬報ベストテン第 1 位等、あらゆる賞を総なめにした。


◆『山椒大夫』 <森鷗外 没後 102 年> (C) KADOKAWA1954 1954 年/⼤映京都/DCP(デジタル修復版)/124 分/⽩⿊
監督:溝⼝健⼆/原作:森鷗外/脚本:⼋尋不⼆、依⽥義賢/撮影:宮川⼀夫/美術:伊藤熹朔/⾳楽:早坂⽂雄/録⾳:⼤⾕巌/照明:岡本健⼀
出演:⽥中絹代、花柳喜章、⾹川京⼦、清⽔将夫、進藤英太郎、河野秋武、⾹川良介、三津⽥健、南部彰三、浪花千栄⼦、⾒明凡太朗

〈STORY〉森鷗外の原作を溝⼝健⼆が重厚な演出で描き、ヴェネチア国際映画祭で⾒事銀獅⼦賞を受賞した傑作。平安時代、⼈買いにだまされ⺟親と引き離されてしまった安寿と厨⼦王が、10 年間の過酷な労働に耐え忍んだ後、⺟親を捜し求め荘園を抜け出すが…。ゴダールや世界の映画⼈が絶賛。涙なしでは観られないラストシーンの素晴らしさ!


◆『晩菊』 <林芙美子 生誕 121 年> (C) TOHO CO., LTD.1954 年/東宝/35mm/101 分/⽩⿊
監督:成瀬⺒喜男/原作:林芙美⼦/脚本:⽥中澄江、井⼿俊郎/撮影:⽟井正夫/⾳楽:斎藤⼀郎/美術:中古智/録⾳:下永尚/照明:⽯井⻑四郎
出演:杉村春⼦、沢村貞⼦、細川ちか⼦、望⽉優⼦、有⾺稲⼦、上原謙、加東⼤介、⼩泉博、⾒明凡太朗、沢村宗之助

〈STORY〉⾦貸しで⽣計を⽴てる元芸者の⼥(杉村)と芸者時代の仲間はそれぞれの暮らしを続けていたが…。林芙美⼦原作で数々の傑作を⼿掛けた名匠・成瀬⺒喜男が、林の短編『晩菊』『⽔仙』『⽩鷺』を原作に、華やかなりし頃を過ぎ、⽼いを意識する年齢になった⼥性たちの悲哀を綴った名篇。杉村をはじめ円熟期の名⼥優たちの名演が光る!


◆『大阪の宿』 <乙羽信子 生誕 100 年> (C) 国際放映1954 年/新東宝/デジタル/122 分/⽩⿊
監督:五所平之助/原作:⽔上瀧太郎/脚本:⼋住利雄、五所平之助/撮影:⼩原讓治/美術:松⼭崇/⾳楽:芥川也⼨志/録⾳:道源勇⼆/照明:⽮⼝明
出演:佐野周⼆、⼄⽻信⼦、⽊⼾光⼦、川崎弘⼦、左幸⼦、安⻄郷⼦、三好栄⼦、⽥中春男、細川俊夫、⼩川⻁之助、多々良純、藤原釜⾜

〈STORY〉⼤阪を舞台に数々の名作を⼿掛けた作家・⽔上瀧太郎の同名⼩説を映画化。⼤阪に左遷された三⽥(佐野)と、彼が住まいとする安旅館の⼥将(三好)や⼥中たち、さらに旧知の芸者(⼄⽻)など、⼤阪の市井に⽣きる庶⺠たちの⼈間模様を情緒豊かに描いた名作。70 年前の⼤阪の街並みも必⾒。名匠・五所平之助の代表作。⼄⽻も名演!


<宝塚市制 70 周年×手塚治虫記念館 30 周年記念 特別企画>

◆「手塚治虫と映画」 (C) ⼿塚プロダクション

開館 30 周年になる⼿塚治⾍記念館で⻑年親しまれてきた短編アニメと、関連する作品を特別上映。⼿塚治⾍の⽣涯をモデルに、⼦息の⼿塚眞監督が⼿掛けた 3 部作と、遺作となった『森の伝説』の第⼆楽章を上映します。⼿塚眞監督によるトーク付き。

◆『オサムとムサシ』1994 年/18 分/監督:りんたろう/⾳楽:冨⽥勲

⼿塚治⾍の少年時代をモデルに、オサム少年が昆⾍から命の尊さを教えられる。冨⽥勲の⾳楽が『ジャングル⼤帝』を思わせ涙を誘う。

◆『都会のブッチー』1995 年/13 分/監督:⼭本暎⼀/⾳楽:⾕川賢作

・⼿塚治⾍の⻘年時代をユニークにアレンジしたストーリー。『千夜⼀夜物語』『哀しみのベラドンナ』の⼭本暎⼀監督がユーモア溢れる楽しいアニメを制作。

◆『クミとチューリップ』2015 年/24 分/監督:吉村⽂宏/総監督:⼿塚眞/⾳楽:服部隆之

⼿塚治⾍をモデルにした三部作の最終話。若⼿アニメーターを育てる「アニメミライ」の企画として制作された。脚本・総監督は⼿塚眞⾃⾝。

◆『森の伝説 第二楽章』2014 年/12 分/原案:⼿塚治⾍/監督:⼿塚眞

⼿塚治⾍の短編実験アニメ『森の伝説』の未完成だった「第⼆楽章」を、⼿塚眞監督によって映像化。チャイコフスキーの交響曲第四番に合わせた美しい映像詩。


◎11 ⽉ 3 ⽇(⽇)14:35 「⼿塚治⾍と映画」上映後、⼿塚眞監督トークショー


【宝塚映画名作選】

1951 年、阪急の総帥・小林一三により設立された「宝塚映画製作所」。かつて東洋一と謳われたモダンな撮影所を擁し、東宝系の製作会社として、日本映画黄金時代の一翼を担い、関西の風土・文化を活かした時代劇や人情喜劇、ミュージカル映画、文芸大作まで多彩で良質な娯楽映画 176 本を創り続けた。70 年前の『仇討珍剣法』『岩見重太郎 決戦天の橋立』など、宝塚映画 6 作品を一挙上映!!
★6 作品、すべて 35mm フィルム上映 (C)TOHO CO:LTD.


◎トークショー 11月1日 (⾦) 14:55『岩⾒重太郎 決戦天の橋⽴』上映後「宝塚と映画」

トークゲスト:⼩⼭敏夫さん(『宝塚と仁川の物語』著者、関⻄学院⼤学名誉教授)河内厚郎(映画祭実⾏委員⻑) 司会:景⼭理(シネ・ピピア⽀配⼈)


◆『仇討珍剣法』 <アチャコ&伴淳主演の時代劇コメディ>
1954 年/宝塚映画/35mm/86 分/⽩⿊
監督:斎藤寅次郎/脚本:松浦健郎/撮影:友成達雄/美術:⻄七郎/⾳楽:河村篤⼆/録⾳:⼋島宇⼀郎/照明:中野豊
出演:花菱アチャコ、益⽥喜頓、伴淳三郎、⽊⼾新太郎、南悠⼦、浦島歌⼥、⽔代⽟藻、梅屋かほる、星⼗郎、毬るい⼦、初⾳礼⼦

・喜劇映画の名⼿・斎藤寅次郎が、⼈気絶頂の花菱アチャコ主演で描く時代喜劇。武術⼤会で圧倒的な強さを⾒せる⽼剣⼠・碇⾦平太(アチャコ)を、特製の精⼒剤を飲んだ臆病者の医者(伴淳)が負かす…? ⼀⼈⼆役のアチャコ、仇役の伴淳、とぼけた悪⼈の益⽥喜頓と、ギャグ連発の道中劇に、ちょっぴりお⾊気も交え盛りだくさんの時代劇コメディ。


◆『岩見重太郎 決戦天の橋立』 <時代劇の大スターが揃い踏みの超豪華版>
1954 年/宝塚映画/35mm/86 分/⽩⿊
監督:渡辺邦男/脚本:柳川真⼀/撮影:渡辺孝/⾳楽:⼭⽥栄⼀/美術:⻄七郎/録⾳:⼋島宇⼀郎/照明:⽥辺憲⼀
出演/嵐寛寿郎、⼤河内傳次郎、⽉形⿓之介、中川晴彦、神代錦、扇千景、雅章⼦、阿部九洲男、⼩園千春

・講談や歌舞伎で知られる岩⾒重太郎物語を、アラカン主演で描いた娯楽活劇。⼆⼑流の剣豪・岩⾒をアラカン、後藤⼜兵衛に⼤河内傳次郎、塙団右衛⾨に⽉形⿓之介と、時代劇の⼤スターが揃い踏みの超豪華版。さらに扇千景や宝塚歌劇の⼥優たちも出演。仇討ちの決戦の場・天の橋⽴でのクライマックスの⽴ち回りは最⾼潮! 宝塚映画の⼒量にも興奮!!


◆『野良猫』 <生誕百年を迎える乙羽信子が森繁久彌と共演した傑作風俗喜劇>
1958 年/宝塚映画/35mm/92 分/⽩⿊
監督:⽊村恵吾/原作:茂⽊草介/脚本:⽊村恵吾、藤本義⼀、倉⽥順介/撮影:岡崎宏三/⾳楽:真鍋理⼀郎/美術:近藤司/録⾳:鴛海晄次/照明:下村⼀夫
出演:森繁久彌、⼄⽻信⼦、⽥崎潤、⼭茶花究、横⼭エンタツ、環三千世、ミヤコ蝶々、南都雄⼆、ダイマル・ラケット

・お⼈好しの兵太郎(森繁)は、元は⾶⽥で妓楼を営む主⼈だったが、今は落ちぶれたその⽇暮らし。ある⽇、昔馴染みの⼥(⼄⽻)と再会し…。⼈⽣の負け組男⼥の邂逅から起死回⽣までの⼆⼗四時間を、⼤阪・釜ヶ崎のドヤ街を舞台に描いた⾵俗喜劇。宝塚映画の美術スタッフの活躍も⾒事な⽊村恵吾監督の傑作。


◆『花のれん』 <生誕百年山崎豊子&淡島千景>
1959 年/宝塚映画/35mm/129 分/⽩⿊
監督:豊⽥四郎/原作:⼭崎豊⼦/脚本:⼋住利雄/撮影:安本淳/⾳楽:芥川也⼨志/美術:伊藤喜朔/録⾳:鴛海晄次/照明:下村⼀夫
出演:淡島千景、森繁久彌、司葉⼦、花菱アチャコ、⽯濱朗、⼄⽻信⼦、佐分利信、浪花千栄⼦、飯⽥蝶⼦、⼭茶花究、環三千世

・吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにした⼭崎豊⼦の直⽊賞受賞作の映画化。寄席経営に辣腕を振るうきっぷのいい浪花⼥を淡島が熱演した商魂⼀代記。『夫婦善哉』に続き、森繁は酒と⼥にだらしない夫を演じて、淡島との阿吽の呼吸を⾒せる。原作の⼭崎、そして淡島は今年、⽣誕百年を迎えた。吉本のルーツ「天満花⽉」も登場。


◆『暴れん坊森の石松』 <ご存じ森の石松のニセ者が東海道に氾濫!?>
1959 年/宝塚映画/35mm/99 分/⽩⿊
監督:佐伯幸三/脚本:芝野⽂雄/撮影:岡崎宏三/美術:⿃居塚誠⼀/⾳楽:広瀬健次郎/録⾳:鴛海晄次/照明:下村⼀夫
出演:フランキー堺、鶴⽥浩⼆、加東⼤介、中⽥康⼦、安⻄郷⼦、環三千世、峯京⼦、⼭茶花究、夏⽬俊⼆、柳家⾦語楼、丹波哲郎、ミヤコ蝶々、南都雄⼆

・⼀⼈旅を続ける森の⽯松(フランキー)は傷ついた渡世⼈を助けるが、仇の名は「森の⽯松」と⾔って息絶える。なんと東海道は宿場、宿場にニセ者が氾濫。ニセ者の出現に激怒した本物の⽯松が、渡世⼈の仇を討つ時代劇コメディ。鶴⽥浩⼆の追分三五郎、加東⼤介の清⽔次郎⻑、放れ駒の藤蔵に丹波哲郎など、にぎやかな顔ぶれの娯楽時代劇。


◆『丼池』 <「大阪もの」の代表作を豪華俳優人たちが演じる群像劇>
1963 年/宝塚映画/35mm/104 分/⽩⿊
監督:久松静児/原作:菊⽥⼀夫/脚本:藤本義⼀/撮影:⿊⽥徳三/美術:加藤雅
俊/⾳楽:広瀬健次郎/録⾳:中川浩⼀/照明:下村⼀夫
出演:司葉⼦、三益愛⼦、新珠三千代、森光⼦、中村鴈治郎、佐⽥啓⼆、浪花千栄⼦、園佳也⼦、佐原健⼆、⼭茶花究

・⼤阪ものを書かせたら天下⼀品、菊⽥⼀夫原作を藤本義⼀が脚本化、昭和の庶⺠派・久松静児が監督した「⼤阪もの」の代表作。⼤阪のど真ん中、繊維街・丼池で、⼤学出の才媛(司)vs.がめつさ NO.1 の⾦貸し婆さん(三益)の対決を軸に、私利私欲に⽬がくらんだ⼥たちが繰り広げるコテコテの群像劇。⼤阪各地でロケを敢⾏。60年代の⼤阪が懐かしい!


◎11 ⽉ 4 ⽇(⽉・休)14:20『丼池』上映後、辻則彦さん(評論家)トークショー


【関⻄映画傑作選】

来年は阪神・淡路大震災から 30 年。震災前の神戸で製作された『シーズ・レイン』の特別上映、2022 年に亡くなった大森一樹監督の三回忌を記念して、宝塚でも撮影された『女優時代』上映と、兵庫県丹波市に設立された映画館の誕生秘話を描く『銀幕の詩』の関西が舞台の 3 作品を上映!


◆『シーズ・レイン She's Rain』 <来年は震災から 30 年>
1993 年/「シーズ・レイン」製作委員会/デジタルリマスター版/95 分/カラー
監督:⽩⽻弥仁/原作:平中悠⼀/脚本:⽩⽻弥仁、岡⽥恵和/撮影:阪本善尚/⾳楽:奈良部匠平/歌:⼤江千⾥/録⾳:本⽥孜/照明:中村裕樹
出演:⼩松千春、染⾕俊、成⽥路実、菊池⿇⾐⼦、野村祐⼈、橘洋⼤、⼭下規介、松岡英明、野⽥幹⼦、有森也実、范⽂雀

・『劇場版 神⼾在住』『みとりし』などの⽩⽻弥仁監督の劇場デビュー作。震災前の神⼾の街を舞台に、若者の⽇常や恋愛を描いた鮮烈な⻘春映画。1995 年の⼤震災ですっかり変わってしまった神⼾と阪神間の街並み。美しい神⼾と阪神間のかつての⾵景、震災で閉店となった名店や名所が満載の、貴重な街の記録。デジタルリマスター版完成記念上映。


◎11 ⽉ 2 ⽇(⼟)12:20『シーズ・レイン』上映後、⽩⽻弥仁監督舞台あいさつ


◆『女優時代』 <大森一樹監督 三回忌記念>
1988 年/近代映画協会/デジタル/93 分/カラー
監督:⼤森⼀樹/原作・出演:⼄⽻信⼦/脚本:新藤兼⼈/撮影:⽔野尾信正/美術:⼤⾕和正/⾳楽:かしぶち哲郎
出演:⻫藤由貴、根津甚⼋、森本レオ、相楽晴⼦、川⾕拓三、峰岸徹、上⽥耕⼀、浜⽥光夫、真実⼀路、室井滋、⼭本陽⼦、⼤地康雄、⼩林桂樹

・今年⽣誕百年・没後 30 年を迎える⼄⽻信⼦の⾃伝『どろんこ半⽣記』を原作に、宝塚⾳楽学校〜⼤映⼊社〜新藤兼⼈との愛という⼥優・⼄⽻の半⽣を 21 歳の⻫藤が演じきる異⾊作。⼩林⼀三、永⽥雅⼀、川⼝松太郎、宇野重吉らに扮した俳優達の熱演も⾒どころ。宝塚でも撮影敢⾏。撮影を⾒守る⼄⽻、演出する⼤森登場のサプライズに涙!!


◎11 ⽉ 2 ⽇(⼟)14:35 『⼥優時代』上映後、⽩⽻弥仁監督トークショー


◆『銀幕の詩』 <丹波市の映画館「エビスシネマ」誕生秘話>
2023 年/アルミード・dacapo/DCP/87 分/カラー
監督・脚本:近兼拓史/撮影:畠岡英隆、近兼拓史/美術:細⾒典⾏/主題歌:ワタナベフラワー/テーマ曲:KAZZ & 柿原千春/アート監修:河野政⾏、とだ勝之、渡辺顕
出演:柴⽥由美⼦、松岡智⼦、⼀明⼀⼈、とみずみほ、芳野友美、澤⽥敏⾏、サニー・フランシス、くっすんガレージ、KAZZ、原⽥年晴 ナレーション:島本須美

・瀬⼾内海と⽇本海を結ぶ⽔分かれ「氷上(ひかみ)回廊」がある兵庫県丹波市。その丹波で突如巻き起こった暴⼒団事務所設⽴問題。その⽴ち退き運動と、その場所に⽣まれた映画館「エビスシネマ」誕⽣秘話を描く⼈情コメディ。過疎の町が抱える負の問題をプラスにする逆転の発想に驚嘆! 監督は「エビスシネマ」⽀配⼈の近兼拓史さん。


◎11 ⽉ 3 ⽇(⽇)12:30 『銀幕の詩』上映後、近兼拓史監督舞台あいさつ


★「懐かしの宝塚映画ポスター展」開催!

映画祭期間中、「シネ・ピピア」ロビーにて展⽰しています。


<料⾦>

1 回券/⼀般:1,300 円 シニア・学⽣:1,200 円 ハンディキャップ割引:1,000 円
3 回券/3,000 円(本⼈のみ使⽤可、映画祭期間中も販売)
※前売券の販売はありません。3 回券のみ 10/12(⼟)よりシネ・ピピア窓⼝のみで販売

<会場>シネ・ピピア(阪急宝塚線「売布神社」駅前)
震災復興ビル「ピピアめふ」5F 宝塚市売布 2-5-1-5F tel.0797-87-3565

映画祭公式ホームページ www.takarazukaeigasai.com

シネ・ピピア www.cinepipia.com

〈ご注意〉

★ご鑑賞の 1 週間前からインターネット、劇場窓⼝で座席指定券をお求めいただけます。インターネットからのご購⼊は、右の QR コードからお求めいただけます。

★ご購⼊の 3 回券は、予めご鑑賞の回の座席指定券とお引き換えください。劇場窓⼝でのみ 1 週間前から座席指定券とお引き換えできます。インターネットからはお引き換えできませんので、ご注意ください。

★招待券も、予めご鑑賞の回の座席指定券と必ずお引き換えください。

★満席の際はご⼊場できません。予め座席指定券をお求めください。3 回券をお持ちでも満席の際はご⼊場できませんので、ご注意ください(払い戻しもありません)。


〈お客様へのお願い〉

◎⼊場時は⼿指消毒と検温のご協⼒をお願いします。
◎マスク着⽤は、出来るだけご協⼒をお願いします。
◎場内でのお飲み物以外のお⾷事は、禁⽌とさせていただきます。
◎⼿洗いや咳エチケットをお願いします。
◎ゴミは座席に残さずロビーのゴミ箱にお捨て下さい。
◎⼊退場時は周りの⽅と出来るだけ間隔をお空け下さい。
◎発熱、咳などの症状がある⽅は、ご⼊場をお断りします。

以上


(オフィシャル・リリースより)
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 限られた上層階級の人間が延命治療として自分と同じ見た目の「それ」を保有できる近未来を描いた甲斐さやか監督(『赤い雪 Red Snow』)の最新作『徒花 -ADABANA-』が、2024年10月18日(金)よりテアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショーされる。
病で死期の迫る男、新次を井浦新が演じる他、彼のカウンセラーまほろを水原希子、新次が忘れられない「海の女」を三浦透子が演じている。格差社会の行き着く果てとも言える命が選別される時代に、持つものと持たざるものの運命や、周りから思われることと、自分が感じていることの違い、そして「それ」という自分のいい記憶だけを学習させたクローンの存在の不気味さなど、ひたひたと迫り来る近未来での命の終わり方について、問いを投げられているような意欲作だ。本作の甲斐さやか監督にお話を伺った。
 
 
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■90年代半ばから構想していた「男がクローンと向き合って対話する」物語

―――本作のアイデアは前作の『赤い雪 Red Snow』(19)以前から持っていらしたそうですね。
甲斐:『赤い雪』も劇場公開まで5年ぐらいかかったのですが、同作のプロデューサーから、さらにその5年前に企画があれば出してほしいと言われたとき、既に『徒花』を出していたんです。プロデューサーの意見として、『徒花』も好きだけど、先に『赤い雪』をやりたいということで、一旦はお蔵入りになりました。それでも、『徒花』というタイトルを最初からつけ、ずっと色々な人に企画を見ていただいていたのです。
 
―――『徒花』というタイトル自身に強い思い入れがあったと?
甲斐:90年代半ば、都市伝説が好きな友人から「中国にはクローン人間がいる」という話を聞いたことに影響を受け、クローンや生命倫理を調べているうちに、日本のソメイヨシノという桜の品種がクローン桜であることがわかりました。そこから、カウンセラーが、ガラス貼りの部屋で男がクローンと向き合って対話をするという大体の骨格が生まれ、コロナ禍を経て改稿を重ねましたが、そのイメージがブレることはありませんでした。
 

■コロナ禍を経験し、「今やるべき作品」になった

―――20年前はSF的だったことも、AIが日常生活にも影響を与える今となっては、むしろ身近にあり得ることのように感じますね。
甲斐:10年前は、「パンデミックが起きて国連がクローン技術を推奨した」というこの物語の前提を話しても、「想像がつかない」と言われましたし、ガラス越しというのはクローンが無菌状態で育つ必要があるからだと説明しなければいけなかった。相手を納得させ、リアリティーのある自分ごとの話とご理解いただくには、時間が必要だったともいえます。当時は話としては面白いけれど、ハードルが高いという反応でしたが、コロナが発生し、わたしたちの現実をさらに追い越していってしまいました。戦争もしかりですが、何か想定もしていなかったことが起きてしまうと、急に現実が脆くも崩れ落ちてしまうし、自分の命が守られているようで、脆いものだと気づかされてしまう。この設定がそのようなリアルなものになったと思うし、同じように感じてくださった音楽プロデューサーのakikoさんをはじめ、多くの関係者の方が「あの脚本は?」と連絡をくださったんです。コロナで上級国民だけ治療ができるという噂もあり、わたしたちの生命倫理感も揺らぎましたが、警鐘やどう思うかという投げかけの意味もあり、今やるべき作品ではないかと思いました。
 
―――上級国民と呼んでもいい、なんでも手に入れている立場だからといって、果たして幸せなのかとか、クローンの「それ」を使ってでも延命したいのかとか、様々な問いが浮かんできます。主人公新次の設定や、前作でも出演されていた井浦さんの起用について教えてください。
甲斐:20年前の構想初期はインディペンデント作品が念頭にあったので、とくにどなたも考えていなかったのですが、あるとき井浦さんのことを認識したときに「「それ」っぽい!」と思ったことがありました。わたしの活動と並行し、実現しないまま引き出しにしまわれた『徒花』がずっと心にありながら、『赤い雪』のときに、ある役にイメージがピッタリだったため、まずは同作で井浦さんとご一緒することになったんです。
 
 
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■『赤い雪』撮影中から『徒花』に興味を示してくれた井浦新

―――少しずつ井浦さんが「それ」になる運命が近づいて来た気がしますね。
甲斐:『赤い雪』公開の2年前(2017年)に撮影を行ったとき、井浦さんは『赤い雪』をすごく気に入ってくださり、「少しずつこういう作品に出たいので、また一緒にやりましょう」と声をかけてくださったんです。そこで『徒花』のことをハッと思い出し、井浦さんに撮影現場でその構想を口頭でお伝えすると、すごく乗り気になってくださった。さらに『赤い雪』初号の後でまた一緒にやりたいと伝えてくださった際、『徒花』のプロットが読みたいと言ってくださいました。だから『赤い雪』の舞台挨拶でロケ地の山形を巡っているころは、すでに『徒花』の新次や「それ」の演技プランの話をしていたんです(笑)
 
―――井浦さんの並々ならぬ意気込みが伝わってきますね。新次のカウンセラー、まほろを演じた水原希子さんのオファーについて教えてください。
甲斐:コロナを経て『徒花』をようやく撮れることになり、改めて脚本を書き直していたので、わたしが20代のころに撮っていたら、後半、まほろに現れる戸惑いや、そこまでのカタルシスを覚えるシーンはなかったでしょう。この話は新次の成長物語と思って見ているけれど、途中からまほろの物語になる。要は一度の生の物語ではなく、新次の命が終わっても、まほろがその命を引き継いでいくかもしれないとか、途中から彼女が成長する話になっていくと考えたとき、彼女が自分の存在を疑うということがこの映画の大切なシーンになるとはっきりしてきました。
 
 
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■清らかなまほろ、自然と溶け込む海の女、弾けなくなったピアニストが示すことは?

―――なるほど、今撮ることでまほろの人物像がくっきり浮かび上がってきたんですね。
甲斐:そのときに、水原さんは多国籍な関係でお育ちになり、そのせいで辛い思いをされることがあっても、それを乗り越えて今があるという記事を新聞か何かで読んだことがあり、彼女は自分の存在を疑うまほろを自然に演じられるかもしれないと思いました。昔、CM撮影で1日だけお会いしたときの佇まいがすごく清らかでまじめな感じだったので、まほろのキャラクターを彼女に演じていただけたらと思い、お手紙を添えて脚本をお送りしました。
 
―――わたしはアニエス・ヴァルダが好きなのですが、三浦透子さんが演じる海の女の登場シーンは、思わず『冬の旅』の主人公モナのようと思って見ていました。
甲斐:アニエス・ヴァルダは好きですし、『冬の旅』は改めて見返したぐらいなので、どこかで影響を受けている部分はきっとあると思います。『赤い雪』でマラケシュ映画祭に参加したときに、ゲストで来場していたヴァルダにも会えたんですよ。
海の女は、新次にとって憧れの人であり、自分がそうなりたかった分身のような存在で、主人公たちの中で一人だけ生に執着のない人物なんです。新次がいろいろなものを手放せたら、彼女のようになれたかもしれないという、野生や自然をまとった存在として、三浦透子さんに演じていただきました。
 
―――治療を受けている患者の一人として登場する女性ピアニスト(甲田益也子)の存在は死と向き合い鬱々としている新次とはまた違う雰囲気を放っていましたね。
甲斐:ピアニストは小さいころから色々なものを詰め込んで来られた方で、彼女のように一流になるほどの特訓を受けていなくても、わたしたちは知らず知らずのうちに、受験が加熱していたり、新次の母(斉藤由貴)のように子育てが失敗できないというプレッシャーを抱えていたり、いろんなことで無理やり詰め込むことを強要されているし、自分にも強いている部分があると思うのです。甲田益也子さんが演じたピアニストはある意味その犠牲者でもあり、何かを突き詰めた人でもある。その彼女のクローンが、無邪気に音楽を楽しんでいるわけで、あれはあれで、彼女の記憶のいいところだけを切り取り、洗脳しているわけです。
 
―――良い面しか見せない洗脳というのは、怖いですね。
甲斐:はい、それは現代社会でコントロールされている情報を受け続けているのと同じであり、現実の違和感にうっすらと気づきながらも、立ち止まって選択する力が弱っている気がするんです。だから甲田さんの役を通して、病んだ現代人を描けるのではないかと思い登場させています。
 

■本作に込められた問いとは?

―――新次は最後に「それ」という自分に向き合うというのは説得力がありますね。
甲斐:失くしてしまったものを一つ一つ拾い集めるようで、残酷ではあるけれど、どこかで希望を託せるようでもある。ただクローンを使って延命することが幸せなのかという命題はありますよね。
 
―――『徒花』というタイトルにも関連しますが、失敗だらけの人生でもやり直すというより、そういう人生を受け入れて生を全うすることが自然ではないかと思ってしまいます。
甲斐:無駄ってあるのかなとか、失敗とは?と考えてしまいます。無駄にこそ美があるし、頑張りすぎなくてもいいんじゃないかというメッセージも込めさせていただきました。
 
 
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■変わらずある自然とそれに調和する音を取り入れて

―――近未来ですが、SFっぽすぎない美術と、寺院にいるかのような神聖な気持ちになる音楽がこの作品の深遠な雰囲気を見事に作り上げていました。美術や音楽設計について教えてください。
甲斐:20年前、そう遠くない未来を想定していましたが、出生率も本当に減っているし、労働力が足りないならクローン人間を使おうという発想は平気で起きるし、あとは倫理の問題だろうと思っていました。そういう中でも自然は変わらずにずっとあり、その強さや恐ろしさがあり、常に人間に跳ね返ってくることがあるだろうと思ったんです。ロケ地でとにかくこだわったのは、近未来SFのようにピカピカな場所ではなく、昔かもしれないが未来かもしれないという、どこか懐かしさのある場所で、窓の外の借景はとにかく緑がパワーを持っているところにしたいということ。探すのは大変だったと思います(笑)でも、廃墟が見つかり、剪定されていない分、野生の魔術的なパワーが出ていたので、そこに決めました。
 
―――なるほど、自然と人間との対比もテーマであることがわかりますね。
甲斐:はい。音楽はジャズシンガーのakikoさんと20代のころから仲が良く、コロナ前に『徒花』を読んでもらっていました。コロナ禍になって一番強く、今だから撮るべき作品だと背中を押してくれたのです。彼女は世界中の音楽に詳しいので、音楽プロデューサーになってもらい、その上で脚本の音楽のトーンをふたりで話し合い、作曲家の長屋和哉さんにたどり着きました。長屋さんもチベット僧と一緒に演奏をされたり、サウンドスケープを手がけられているので、今回の音楽に合うと思いました。それだけではなく、モーリス・ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」のようなクラッシック音楽をakikoさんから推薦していただいたり、静かだけれど音楽がかかってるというこの映画のトーンを決めていきました。シンギングボウルの倍音も取り入れ、いわゆる劇伴ではなく、自然と調和をしている音楽で、飽きないような…と考えていきました。
 
―――ありがとうございました。最後に、非常に美しく、写真の中央に染みのように広がっている形状が脳のようにも桜のようにも見える本作のポスタービジュアルについて、教えていただけますか?
甲斐:写真は永瀬正敏さんに撮っていただきました。新次の「それ」は、実は手先が非常に器用で、現実の絵描きのゴーストライターをやっているという設定なんです。彼は全くエゴがないので、他の人の名前で自分の作品が世に出ることに全く抵抗がない。その彼の部屋にどんな絵があるだろうと思ったときに、このロールシャッハ的なアートを飾っていたのです。失った自分と出会い直すような映画なのですが、このデカルコマニー模様は脳にも見えるし、生命にも、桜にも見えると思うし、みなさんにも色々なものを想像していただけるのではないでしょうか。
(江口由美)
 

<作品情報>
『徒花 -ADABANA-』
(2024年 日本 94分)
監督・脚本:甲斐さやか
出演:井浦新、水原希子、三浦透子、甲田益也子、板谷由夏、原日出子、斉藤由貴、永瀬正敏
2024年10月18日(金)よりテアトル梅田/アップリンク京都/シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ https://adabana-movie.jp/
Ⓒ2024「徒花-ADABANA-」製作委員会 / DISSIDENZ
 
 
 
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 ありえるかもしれない未来を舞台に、高校生の友情の危うさと管理社会への反抗を描いた唯一無二の青春映画、『HAPPYEND』がテアトル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都、MOVIXあまがさき他全国で絶賛上映中だ。
 
 撮影地・神戸にあるシネ・リーブル神戸で上映後に行われた空音央監督の舞台挨拶では、撮影に協力した二つの高校の関係者や生徒も劇場に駆けつけ、撮影時の熱気そのままの感動が押し寄せた。その模様をご紹介したい。
 
―――撮影場所が神戸になった経緯は?
監督:学校がすべてです。神戸工科高等学校、神戸市立科学技術高等学校の二つの高校がなければ撮れなかった作品です。拍手を送りたいです。本当に深いふところで受け入れてくださいました。神戸という街自体も、電車を降りた時から、道で座っていたおじいちゃん、おばあちゃんから手を振られたり、街自体に受け入れられた感覚があります。神戸フィルムオフィスのみなさんも、映画愛や神戸愛がアツく、いろいろな場所を紹介してもらいました。ロケハン中は、神戸の家賃を検索していたぐらい神戸が好きになったので、戻ってこれて本当に嬉しいです。
 
 
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―――昨年夏の撮影していますが、印象的なことは?
監督:本当に暑く、台風が2つぐらい直撃する感じだったのですが、高校の冷房設備を全部取り換えしている時期だったんです。学生のエキストラが多かったので、熱中症だけは気をつけましたが、みなさんのおかげで無事に撮影できました。学校の先生たちもいろいろと動いていただき、ありがとうございました。
 
―――(以降、観客より)表情をクローズアップしている印象をうけたが、心情の変化を撮る上で監督が大事にしていることは?
監督:今回の俳優陣でメインの5人のうち4人が今回初出演で演技未経験でした。キャラクターの似ている人たちが奇跡的にみつかったので、一番気にしていたのは、空想上の設定の中でいかに自分らしくいられるかをワークショップでずっと練習しました。もし映画の設定に自分が置かれたら、どのような反応をするのかをしつこく聞きましたし、一緒に演じている相手にどれだけ集中して自然な反応をえられるかを繰り返しやりました。演技の技術は経験はありませんが、自然体にできていたと思うし、いい表情のときは、本人たちにとっても感情が少し動かされているような状況だったと思います。
 
 
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―――音楽面について、どのようなものにインスピレーションを得て、劇伴を作ったのか?
監督:音楽は本当にこだわりがあり、撮影や音楽を通して重要な核と言えるコンセプトがありました。近未来の設定ですが、ショットの構成の仕方や照明の作り方、音楽の感情を作る際に、彼らが今の僕と同じ33歳ぐらいになったときに、自分の高校時代を思い返すような感覚で撮ろうと決めました。さらに近未来から、近未来を撮りたいと思い、それを踏まえて音楽を作りました。だから楽しいシーンでも必ずしも楽しいものではなく、ちょっと悲しかったり、喧嘩のシーンでも初めて言い合える仲になってよかったねという感じにしたり。物語で実際に彼らが感じているのとちょっと違う視点で考えたので、お客さまから「懐かしい」と言われるのもそこから来ていると思います。僕自身が高校生のころを思い返しながら、脚本を書いているのでそうなっているのかもしれませんが。
 
 
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―――どうして近未来を舞台にしたのか?
監督:発案したきっかけはいくつかあります。大学自体に311(東日本大震災)がきっかけで企業や政府の行動を注意深く追い、様々な本を読んで調べるようになったのです。政治性が芽生えた時期で、当時アメリカでは政治運動がより盛んだったのですが、オキュパイ・ウォールストリート(経済格差の是正などを訴えるウォール街デモ)やブラック・ライヴズ・マター(人種差別抗議運動)があり、その後、トランプが大統領になった激動期にこの作品を発案しました。それと同じ時期に、日本の地震の歴史を調べた結果、衝撃的だったのが1923年に起きた関東大震災と、その際に起きた朝鮮人虐殺という大事件です。その事件を調べていた2014年から15年当時、ヘイトスピーチが大久保で多かったのです。その事象と歴史を見ると、そのときに起きてしまった虐殺の原因となる差別が現代に残っていたのではないかと感じました。東京に戻ったとき、よく言われるのは「30年以内に大地震があるだろう」という話で、差別や植民地主義の歴史に起因する構造的な暴力が反省されないまま、大地震が起きてしまったらどうなるのだろう。そういうことは起こり得るという危機感から未来のことを考え始めたのがこの映画を作りたいと思う衝動の一つです。
 だだ、そのことが書きたいわけではなく、大学時代に体験した友情の決裂の感情や、友人たちと政治性の違いで自分から距離を置いたり、切り離されたりしたのがすごく悲しい出来事として残っており、その感情を描きたかった。歴史的事実を知った危機感と、大学時代の感情が合わさって、この作品ができました。
 
―――タイトルがどんどん変わったそうですが、『HAPPYEND』に落ち着いた理由は?
監督:最初は、この映画を発案するきっかけの自然現象である『地震』と仮につけていたのですが、『地震』はメタファーなので、それが起こすトラウマと本当に向き合っている映画ではないし、本当に地震を体験した人たちに変な印象を与えるのではないかと思っていました。次に『トレモロ』というタイトルにしていた時期もありましたが、映画を観終わったあとにタイトルが出ると、違和感があったのです。50個ぐらいの候補の中でずっと頭の中に『HAPPYEND』ハッピーエンドが残っていました。よく考えてみると、シンプルなフレイズだけど、“HAPPY”が持っている溌剌とした語感と、”END“が持っている終末的な世界観が合わさったとき、映画の一番最後に感じる感情、友情関係は終わってしまうけれど、若者のエネルギーが現れているのではないかと思いました。
 
 
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最後に神戸市立科学技術高等学校の河野彰信校長が、2校を代表して空音央監督に花束を贈呈。河野校長は「物作りをやっている学校なので子どもたちにも刺激になると思い、二つ返事でお受けしました。映画を拝見すると、背景の中でたくさん使っていただき、映画は背景のロケ地が重要な役割を果たしていると感じました」と、今後も撮影協力することを明言。空音央監督も、作品を作る際に参照した資料や、パレスチナ支援窓口が掲載されているスペシャルペーパーを来場者にプレゼントし、「神戸素晴らしかったです」と最後に改めて感謝の言葉で締めくくった。
(江口由美)
 
『HAPPYEND』映画レビューはコチラ
 

 
<作品情報>
『HAPPYEND』
(2024年 日本・アメリカ 114分)
監督・脚本:空音央 
出演:栗原颯人、日高由起刀、林裕太、シナ・ペン、ARAZI、祷キララ、中島歩、矢作マサル、PUSHIM、渡辺真起子、佐野史郎 
テアトル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都、MOVIXあまがさき他全国で絶賛上映中
(C) Music Research Club LLC
 

hajimari-bu-550.jpgモントリオール映画祭で最優秀ドキュメンタリーを受賞した「健さん」、故・樹木希林さんが企画・出演した「エリカ38」などで注目を集める日比遊一監督の最新作『はじまりの日』が10月11日に全国公開されました


hajimari-pos.jpg本作は従来のミュージカル映画とは一線を画す、フィルム撮影にこだわった抒情的な映像と魂の歌声で紡ぐ大人のための音楽ファンタジーです。主演を務めるのは、ex JAYWALKのボーカリストとしてミリオンヒットを飛ばし、「何も言えなくて・・・夏」にて日本レコード大賞を受賞したロックスター・中村耕一。中村とともにW主演を演じるのは、2020年5月シングル「Pride」でソニー・ミュージックレーベルズ/アリオラジャパンからメジャーデビューし、その歌唱力、表現力にミュージカルでも注目されている実力派シンガーの遥海


かつて一世を風靡したロックスターと、未来の歌姫という世代を超えたコントラストの中で描かれるのは、再び光を放つことへの優しい視線と自信を小さな一歩へ変える勇気。そして脇を固める実力派の俳優陣が物語をさらに味わい深いものに導いています。


この度、本作の公開を祝して、10月11日にTOHOシネマズ日比谷にて初日舞台挨拶を開催いたしました!

アーティストにして初演技に挑み、W主演を飾った中村耕一さんと遥海さん、そして共演の竹中直人さん、日比遊一監督の4名が登壇し、ついに全国公開となった喜びやお互いの印象、そして中村より満席の観客を前に、赤裸々な衝撃告白が飛び出すなど、イベントは大盛況で終了いたしました。


■日時:10月11日(金) 14:30~15:00 ※上映前舞台挨拶
■場所:TOHOシネマズ日比谷 スクリーン7 (千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷4F)
■登壇者:
 中村(なかむら)耕一(こういち) ( ex JAYWALK/73歳/男役)、(はる)()(28歳/女役)、
     竹中たけなか直人なおと(68歳/矢吹役)、日比ひび遊一ゆういち監督(60歳)
  司会:伊藤さとり  



hajimari-bu-中村耕一(ex JAYWALK).jpg公開を迎え、中村は「映画は何回か観ましたが、まだ正視できないというか、ちょっと照れ臭いですね・・・」と照れ笑い。遥海も「プライベートでも何度か来ている映画館で、まさか自分が舞台挨拶の立つ側になるなんて思ってもみなかったです。自分の歌っていない姿を見られるのって、なんだか内臓を見られている気分で・・・」と照れながら、「赤裸々に演じたので、皆さんにその気持ちが届いたらいいなと思います」と胸を張った。


“男”の同僚で、音楽プロデューサー・矢吹を演じた竹中は、中村・遥海と共演し、「役者の次元ではないところに存在してくださった。お二人とも少年・少女のようで、とても柔らかい空気を出していたんです。なので、とても居心地が良かった。こうやって“恥ずかしい”と仰っていますが、とてもピュアで可愛い!僕も映画に出るなんて、未だに恥ずかしいですから」と笑顔で二人を称えていた。
 

hajimari-bu-竹中直人.jpgそんな竹中との共演に中村は「現場では、普段の竹中さんとカチンコが鳴った時の竹中さんとが、あまりにも違ってギャップが大きすぎて・・・」と、俳優・竹中直人になった時を目の前にして驚いたことを告白した。そして、「昔からファンだった竹中さんと共演させていただいて光栄でした。目の前で“笑いながら怒る人”をやってもらってどうやるのか教えてもらって最高でした」と、楽しそうに裏話も披露した。


その言葉に竹中は「とにかく耕一さんがチャーミング。何も知らないで存在している感じがいい。その空気を感じることができて楽しかったです」とニッコリ。「あと、劇中で耕一さんがギターを弾きながら階段を下りていくシーンがあるのですが、そこは“階段気をつけて”とちょっとドキドキしちゃいました」とおどけて見せ、「遥海さんの歌声も凄い歌唱力で、本当に圧倒されました。お二人を前に、目もくらむような時間を過ごさせてもらいました」と充実感を覗かせた。


hajimari-bu-遥海.jpg一方で遥海は「カメラが回っていないときの竹中さんは、もの凄く楽しい方で、現場の雰囲気が和むんです。今日も隣の控室から口笛が聞こえてきて、(現場を思い出して)懐かしい気持ちになりました」と、竹中の存在感に感謝した。


また、本作にある「まだ、諦めていない」というテーマにちなみ、「まだ諦めていないことは?」という質問が。13年前の不祥事を引き合いに出しつつも、中村が「歌をずっと歌っていくことを諦めないで、頑張っていきたい」と答えると、会場からは温かい拍手が送られた。遥海は「諦めていないというか、まだ目指しているものですが」と前置きをしつつ、「たくさんの人に自分の歌声を聞いてもらいたい。そして、徐々に会場を大きくして、いつか東京ドームの舞台にも・・・なんて夢を見てもいいかな。と思っています!」と目を輝かす。思わず「東京ドームなんて言っちゃった・・・」と恥ずかしがると、中村が「いいんじゃない?」と背中を押し、「コンサートもそうですが、映画の中で歌う遥海さんの歌は、本当に圧倒的なんです。それを残してもらいたいという想いが僕にもあります」と言って、遥海に寄り添って見せた。


hajimari-bu-日比遊一監督.jpg日比監督は「映画を映画館で観てもらいたい。その文化を残していきたと強く思っています。映画の画面力、歌の力を(映画館で)体感してほしいですね」と力強く語った。


さらに、満席の観客を前に、登壇者が“今だから言える”本当のことを告白することに!最初は口ごもっていた3人だが、遥海は「実は今月のライブで映画の中の歌を歌います!」と発表。中村は「ライブの時や、ここぞというときには赤い下着をつけています」と衝撃の告白をし、会場を沸かす。「以前、俳優の方にはそういう方が多いと聞いて。僕もライブで履いてみたら、凄く上手くいったんです。巣鴨のパンツも持っていますよ」と明かすと、竹中も「僕も今舞台をやっているんですが、赤いパンツを履きますよ」と同調し、中村と顔を見合わせて笑った。


竹中は「耕一さんや、舞台でご一緒している野田秀樹さんのように、同年代の男の人が頑張っている姿を見ていると思わず後ろから抱きしめたくなるんです」としみじみ。


hajimari-bu-中村、遥海.jpg最後に遥海が「それぞれの役の方々の心情の変化、男の再生、女の誕生のお話ですが、あの頃の自分にちょっと似ているな。分かるな。と、ご自分と重なる部分を思い浮かべながら、この映画を観てもらえたら嬉しいです」とコメント。中村は「“諦めない”ということが1つのテーマになっていますが、人生の中で諦めなきゃいけないことはあると思うんです。でも、諦めたくないものは諦めないでほしい。僕もこの過去13年くらいの生活でもそうでしたが、諦めないということが大切だと思います。それをこの映画で感じてもらえたら。音楽と同じで、皆さんが感じるままに映画を楽しんでもらえたら嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
 


【出演】中村耕一 遥海              高岡早紀 山口智充 岡崎紗絵 羽場裕一
              尚玄 鈴木美羽 穴倉秀磨 秋野暢子 麿赤兒/竹中直人
【監督・脚本・プロデュース】日比遊一
【配給】ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【コピーライト】©︎ジジックス・スタジオ
・公式HP:hajimarinohi.jp
・公式X:@hajimarinohi_jp

2024年10月11日(金)~TOHOシネマズ 日比谷、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、OSシネマズミント神戸 ほか全国ロードショー!(10月5日(土)ミッドランドスクエア シネマ名古屋 先行)


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 
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 岡山県牛窓にある猫神社こと五香宮に集まる猫たちと、猫を世話する町の人たちから地域コミュニティーの今を映し出す想田和弘監督観察映画第10弾『五香宮の猫』が、2024年10月18日(金)より京都シネマ、19日(土)より第七藝術劇場、26日(土)より元町映画館他、全国順次公開される。
 
 前作の『精神0』(20)から4年ぶりとなった本作では、牛窓の神羅万象に目を向けながら、町を駆け抜け、たくましく生きる猫たちに肉薄。五香宮で地域の人が参加してのTNR活動、自治会会合での話し合いなど、猫たちを巡る問題は、半野生の動物と人間がどう共生していくのかを探る手掛かりにもなる。地域活動に参加する元気な高齢者たちの姿にも勇気づけられることだろう。本作の想田和弘監督に、お話を伺った。
 

 

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■避けてきた地域コミュニティー(自治会)で体感したことは?

―――ニューヨーク在住だった想田さんは前作『精神0』のキャンペーンで2020年、日本が海外からの水際対策をしていた時期に東京滞在をし、そこから岡山県牛窓に転居されたことで、この作品の誕生につながる訳ですが、その経緯を教えていただけますか。
想田:柏木の母が牛窓出身なので、97年に(柏木)規与子さんと結婚してから時々遊びに行っていたのですが、本格的に牛窓が好きになったのは2012年に『演劇1』『演劇2』のプロモーションのため帰国したときです。キャンペーンの合間に空いてしまった1ヶ月間、自然豊かな場所でゆっくりしたいなあと思ったときに、柏木の母の同級生が家の離れを貸してくださり、すごく牛窓が好きになってしまった。近隣の漁師さんと仲良くなり、彼らやこの街を撮りたいと思った結果、2013年に『牡蠣工場』『港町』を撮影しました。以降も休暇のたびに牛窓に滞在していたのですが、『精神0』のキャンペーンでコロナ禍に東京で足止めになったときは、相当キツかったですね。民泊に閉じ込められた状態で、映画館はおろか、どこにも行けなかったので、どこかに逃げたいと思ったとき、行く先は当然牛窓でした。ある日牛窓の海が見える2階の部屋で昼寝をしていると、このままここに居たいなと思ってしまった(笑)
 
―――1ヶ月間滞在するのと住むのとでは、随分違ってくると思いますが。
想田:僕は栃木県足利市出身ですが、そこから東京、そしてニューヨークに行ったわけで、地縁や血縁から逃れ、個人として自由気ままに生きることを志向してきたんですね。でも牛窓に住むとなると自治会に入り、自治会費を払い、近所の草刈りや神社の掃除をするわけで、最初は自分が自分じゃないような感じがしました。でもやってみると案外楽しくて、人間は長い歴史を通じておそらくこうしてずっと生きてきたわけで、それを鬱陶しいものとして排除したことで生まれた弊害はものすごく大きいことに気がつきました。
 
 
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■牛窓暮らしで、人生のプライオリティーが変わった

―――この作品は五香宮にいる野良猫を入り口にしながらも、町のコミュニティーやそこにある自然、生き物など森羅万象が描かれ、主役的な人が存在していたこれまでの作品からさらに高みに到達したような、素晴らしい作品だと思います。前作が2020年だったので、観察映画第10作となる本作ができるまで、結構時間がかかったんですね?
想田:これまでは1〜2年に1本公開するペースで作品を作ってきましたが、今回は4年ぶりとなります。というのも、僕のプライオリティーが変わったのです。ニューヨークで暮らしていたときは仕事が最優先で、それ以外は全て邪魔なものだと蹴散らしてきましたが、今やそれが逆転し、蹴散らしてきたものを大事にし、暇ができたときに映画を作ったり、仕事をしていますね。
 
―――それぐらいがちょうどいいと思います。今は多くの人が世の中の早すぎるスピードに飲み込まれ、気持ちが病んでしまいがちですが、スピードを落としてゆっくり目の前を見ると、豊かなものが見えてくるのではと思いますよね。
想田:はい。目標を設定してそのために何かをやるということばかりしていると、やっていることが全て何かの手段になってしまい、早く済めば済むほど良いことになってしまう。僕の場合は、映画を作ることが最大の使命になっていたので、それ以外のこと、例えばご飯を食べるのも単なる「給油」みたいな感覚でしたが、今はひとつひとつのこと、それ自体に意味があると思って楽しんでいます。食事を作ったり、散歩をしたり、瞑想をしたり、猫と遊んだり、友達と時間を過ごすことを一番大事なことと思い、何かのためではなく、それ自体に意味があることとして暮らしています。なぜだかわからないけれど、そのように切り替わっていったんですよ。
 
―――牛窓暮らしでご自身にも大きな変化があったんですね。
想田:そうですね。例えば猫なんて、明日のために努力しないし、昼寝するときは全力でするし。そこに「いる」ということができるわけです。僕も8年ぐらい前から本格的に瞑想をするようになったのですが、いかに人間にとってここに「いる」ことが難しいか。いくら瞑想で自分の呼吸に意識を集中しようとしても、必ず、今日の晩御飯はどうしようとか、昨日のインタビューはもっとこんなことが言えたのにとか、そんなことばかり頭に浮かんで、ただそこにいるということができない。牛窓の家の庭に樹齢100年以上になる木があるのですが、100年間微動だにせず、そこにいるわけです。そういうものをしげしげと見つめていると、凄いなあって心底尊敬するし、自分のお手本に見えてくるんですよ。
 
 
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■人間がどのように半自然と付き合うのかをテーマに、身構えずに撮る

―――今回は、どういう気持ちでカメラを回しておられたのですか?
想田:最初は規与子さんが地域猫活動のTNR(避妊去勢手術)を手伝うことになり、明日五香宮で一斉捕獲があると聞き、どんな感じなのだろうと興味を抱いてカメラを回し始めたんです。そこから2〜3日五香宮に張り付いていると、いろんな人がやってくるんです。それを気の向くままに撮らせてもらううちに、場として面白いと感じ始め、定点観察するといい映画になる予感がしたんです。そこから結局2年近くカメラを回しました。といっても、最初は毎日のように撮影していましたが、それが一段落した後は、祭りや行事、掃除のある日など、何かあるときに撮影をしていました。
 
―――地域の情報は大事ですね。ちなみに猫はカメラで撮ろうとすると逃げられそうな気がしますが、想田さんのカメラは相当肉薄していましたね。
想田:こちらが何かを撮ろうとすると、猫に伝わり、身構えられてしまうんです。ですから撮るという意識を持たずに撮るという…。
 
―――難易度が高いですね(笑)猫に試されているような。
想田:試されますよ。なるべくそこにいるだけという感じに自分の意識を持っていくようにしています。まあ、それは相手が人間でも同じなんですけどね。観察映画の考えは、何かを撮ろうとするのではなく、よく見て、よく聞いて、そこで発見したことを素直に映画にするわけですから、猫の撮影はその訓練になりますね、
 
―――タイトルにもなるぐらい猫をたくさん撮影して、気づいたことはありますか?
想田:猫は完全に野生ではなく、半自然の存在です。人間の関与がなければ生きていけない動物なんです。野良猫であっても、ずっと撮っていると背後に必ず人間の影が見えてくるので、人間がどのように半自然と付き合っているのかが、一つのテーマになったと思います。
 
 
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■タブーの猫問題に切り込み、猫のいない社会の違和感を想像

―――地域猫についての意見を町の人に聞いておられますが、みなさん、非常に慎重な返答をされていたのが印象的でした。
想田:実は猫の問題は地元ではタブーです。だからこの作品を作ること自体、タブーに触れるような行為でもありました。というのも猫が好きな人と糞尿被害で困っている人がくっきりと分かれていて、あなたはどちらなのと探り合っているところがあります。そういう中で映画を撮るのは緊張しましたし、僕の質問に答えてくれる人もとても言葉を選んでおられましたね。
 
―――映画が進むにつれ、野良猫たちが地域の問題になっていることがわかってきますね。
想田:野良猫の避妊去勢手術は、ある意味妥協策です。猫を世話する側からすると、今後新たな猫が生まれることはないので、今いる猫たちに餌をやることを認めていただきやすいんですね。でも、本当にそのやり方がいいのか。避妊去勢手術を進めていくと、ひょっとすると、近い将来一匹も野良猫がいなくなってしまうかもしれない。そういう社会でいいのかと、避妊去勢手術を自分でも実践しながら、違和感も覚えるんですよ。猫がその辺をウロウロしているぐらいの包容力というかおおらかさが社会から失われている証拠なのではとも思いますよね。ホームレスを排除するベンチと似たようなものを感じます。街が管理され、コントロールが可能になればなるほど、野良猫のように制御不能な存在は生きていく余地が狭まり、排除されていく。これは先進国共通の流れではないでしょうか。
 
―――小学生たちが野良猫たちとじゃれ合うシーンもありましたが、地域の動物と触れ合うことは、生き物との共生を体感する上でも大事なのではと思いますが。
想田:みんなで野良猫の面倒を見たり、ケアをすることができれば、地域にとっても一つのプロジェクトになり得るし、そういうことができれば一番いいのにと、僕のように猫の好きな人間は思うわけです。ただ、彼らの糞尿で悩まれている方もいるので、本当に難しい問題です。
 
 
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■老後のロールモデルに囲まれて、歳をとるのが怖くなくなった

―――本作は牛窓を通して昔の日本のコミュニティーのあり方を描いています。町の風情も素敵だし、典型的な地方の高齢化も映し出していますが、みなさんお元気で、その点でもお手本のようですね。
想田:老後のロールモデルがたくさんいらっしゃるので、以前ほど歳をとるのが怖くなくなりましたよ。この映画に登場する「てんころ庵」という女性が運営しているサロンでは、80代から90代が中心です。女性の方が長生きで、夫亡き後ほとんどがひとりで暮らしていらっしゃる。でも全然寂しそうではなくて、毎週集まっては一緒にご飯を作って食べたり、体操をしたり、生協(共同購入)したりしている。そうやって繋がって入れば家族である必要はなく、ご近所さんでも大丈夫なんですね。僕はニューヨークに住んでいるときは、あまり自分の明るい老後を想像できなかったですが、今は年をとったら猫と遊んで、散歩でもしていればいいんだと思えるようになりました。
 
―――都会から離れ、自然に囲まれた場所で、ご近所さんとのんびり暮らす。いいと思います。
想田:本当は生きることって、シンプルなんじゃないかな。お日さまがあり、きれいな空気と水があり、土があり、そして仲間がいればなんとかやっていける。それだけの話なんですよ。
 
―――五香宮でのご神事も映していらっしゃり、日本の各地で行われている伝統行事を記録することの重要さも感じました。
想田:今はかろうじて五香宮を支えるコミュニティーが維持されていますが、超高齢化しているので、近い将来、五香宮の神事もなくなる可能性があります。そして猫もいなくなってしまうかもしれない。だから、僕が今見ている愛おしい光景を、今回タイムカプセルに詰めるような気持ちで映画を撮ったとも言えます。
 

■アフターコロナのミニシアターでの取り組みと、配信が作り手に与える深刻な状況

―――想田さんは地元岡山のシネマ・クレールさんで、シネマ放談の会を定期的に開催され、好評を博しておられますね。
想田:全国のミニシアターでやってほしいぐらいです!映画をみんなで観て、その後そのまま映画館に残って1時間以上、たっぷりと言いたい放題をするという会で、映画の悪口もOKなんです(笑)。規与子さんも毎回参加していますが、歯に衣着せぬとはこういうことかというぐらい毒舌のときもあって。僕はファシリテーターなので焚きつけるだけ。最初に五つ星を満点として、どの星をつけたかみなさんに挙手してもらうんです。するとだいたい五つ星と一つ星の方がいるので、一つ星の人の方から話を聞いていき、次は五つ星の人が反論するのを聞いていると、みなさん自分の意見を言いたくなってくる。それが本当に楽しいし、常連さんも増えて、お客さん同士のつながりも出てくるので、場としての映画館も盛り上がっていくのではないかと期待しています。
 
―――ちなみにアフターコロナのミニシアターの状況は、どのような状況と認識されていますか?
想田:劇場にもよりますが、コロナで減ったお客さんが戻ってきていないというのはよく聞きます。あと今年はDCPの入れ替え時期なので、そこをどう乗り越えるかですね。もう一つ、DVDが本当に売れなくなったのが結構問題になっています。一般の方は、代わりに配信で稼げばいいじゃないかと思われるでしょうが、配信はほとんど儲けがない。配信されていることでDVDも売れなくなり、映画館でも観客が減るというマイナス効果はあっても、プラス効果になることは見出しにくいですね。一部の人気作品を除き、ほとんどの映画は本当に収入にならない状況です。僕も最近は、配信に出さない方がいいんじゃないかと思っています。ソフトへの揺り戻しがあればいいのですが、なければ製作者も配給会社も両方とも厳しくなりますね。
 
 
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■目指してきた観察映画のコンセプトにすごく近くなれた

―――牛窓の自然をさまざまな天候のもとで撮影したものが、随所に挿入されていますが、日頃から意識的に撮影しているのですか?
想田:さまざまな天候の牛窓を撮りたいとは思ってました。毎朝起きるとランニングするのが日課なのですが、本当に毎日海の色や光が違うし、いつも見とれてしまうんですよ。そういう景色を撮っておきたいという気持ちはずっと持っていたので、それをする良い機会になりました。
 
―――その自然な肩の力の抜けた感じや、想田さんの心持ちが映っていた気がします。
想田:もともと僕が目指してきた観察映画のコンセプトには、すごく近くなれたのではないかという気がしています。ドキュメンタリーといえば、すごい大事件だとか、貧困とか、とても惨めな顛末などを観客が欲望し、それにつられて作り手もそういうものを欲望してしまう。ある意味ディザスターツーリズムのような、人の不幸を飯の種にするところが、どうしてもあると思うのです。一方観察映画は、わたしたちの日常にカメラを向け、観る側がよく観て、よく聞いて、センサーの感度を上げながら、日常生活に起きるさざ波のような変化を捉えれば、それが映画になるという考えなのです。今までもそれを心がけていましたが、そこまで徹底できず、事件やすごい展開を期待してしまう気持ちがずっとありました。でも今回、それは本当になかったです。それどころか、たびたびカメラを回すのを忘れてしまって。例えば、野良猫は寿命が短く、本当によく死んでしまうのですが、誰々が死んだと聞いたら思わずカメラを持たずに駆けつけてしまう。お葬式の後に、「今のを撮っておけばよかった」と思う一方で、世話をしてきた人のことを考えると、撮るのは気がひけるという気持ちもありました。ただ、一度はそういう現実をちゃんと描かなければ嘘がある気がして、一度だけ心を鬼にして撮らせてもらいました。結果的には命のサイクルを描く映画にもなったと思います。
 
―――海外生活の長かった想田さんですが、日本の良さに気づく部分もあったのでは?
想田:すごく日本の良さを見直す機会になりました。猫のことで揉めそうになっても、踏み込む一歩手前で止めるみたいな、衝突を避けるための知恵がありますね。僕自身はいつも踏み込んで、白黒ハッキリさせてきた人間なので、問題自体は解決しなくても、そこで顔を合わせて話すだけで、解決に近い平和が訪れる。そういう発想がなかったので、これはすごいと思いました。
(江口由美)
 

<作品情報>
『五香宮の猫』(2024年 日本 119分)
 監督:想田和弘 製作:柏木規与子
2024年10月18日(金)より京都シネマ、19日(土)より第七藝術劇場、26日(土)より元町映画館他、全国順次公開
※10月20日(日)京都シネマ、第七藝術劇場、11月4日(月・祝)元町映画館にて想田和弘監督の舞台挨拶あり
 公式サイト⇒https://gokogu-cats.jp/
(C) 2024 Laboratory X, Inc
 
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