「AI」と一致するもの


おいしくて泣くとき-bu-4.1-550.jpg

長尾謙杜(なにわ男子)が劇場映画初主演を務める映画『おいしくて泣くとき』が、4月4日(金)より全国公開となります。

 
おいしくて泣くとき-pos.jpg映画『ふしぎな岬の物語』(14)の原作「虹の岬の喫茶店」などメディアミックスが相次ぐ人気作家・森沢明夫による、“人を純粋に想う優しさ”をまっすぐに描き多くの読者の心を震わせた同名小説を、森沢の著書『大事なことほど小声でささやく』(22)でも監督を務めた横尾初喜がメガホンをとり映画化。「なにわ男子」のメンバーである長尾謙杜が主人公の心也役を演じ、劇場映画初主演を果たす。そしてヒロインには活躍目覚ましい若手俳優・當真あみ、心也の父・耕平役には安田顕、30年後の心也役にはディーン・フジオカと豪華キャストが名を連ね、一生に一度の切ないラブストーリーを紡いでいく。

本日3月25日(火)、主演の長尾にとっては地元凱旋となる大阪で、公開直前イベント・舞台挨拶を実施。主演の長尾謙杜、ヒロインの當真あみ、横尾初喜監督がサプライズ登壇し、作品への想いや撮影現場でのエピソードなどお話いただきました。
 


【日時・会場】 3月25日(火)

  • 昼帯       公開直前イベント @RIBIAオープンステージ
  • 15:00~15:20 舞台挨拶      @なんばパークスシネマ

 【登壇者】 長尾謙杜、當真あみ、横尾初喜監督 ※敬称略


 

おいしくて泣くとき公開直前イベント@RIBIAオープンステージ.jpg

開始30分前に登壇告知という平日のゲリライベントにも関わらず、大阪・アメリカ村のランドマークである三角公園には約1000人が集まり、RIBIAオープンステージに3人が姿を見せると会場からは大歓声が巻き起こった。長尾は「すごく嬉しいです」と話し、當真は「こんなに来て下さると思ってなかった」と大感激、「いや~ちょっと圧巻です。びっくりしてます」という監督と共に、MCにうながされ3人全員で“たこ焼きポーズ”を披露。地元・大阪の思い出を問われた長尾は「ほぼ毎日この辺で遊んだりしていたので、ここでこうやってイベントができるのが、すごくエモい」と学生時代を懐かしみ、「おかえり~」というファンの声に「ただいまです!ありがとう~」と応じた。

世界のどこかで 君が笑っていますように―


oishikutenaku-500-1.jpg本作で主人公の高校生・心也を演じた長尾は「自分の学生生活を思い出しながら演じました。心也はとてもピュアで正義感が強い子なので、逆に(心也に)教わったところもありました」と撮影を振り返る。長尾と當真が醸し出す自然な空気感について問われた監督が「順撮りの撮影だったので、最初は初めましてで本当にぎこちない2人から始まりました」と明かすと、長尾は「(2人の距離が縮まっていく様が)いい感じで作品にも出ているんじゃないかなと思います」とコメント。當真は「長尾さんはもちろん年齢も芸歴も先輩なので、少し緊張はあったんですけど、撮影の雰囲気を和ませるためにも話しかけてくださったりしたので、本当に助けられました」と長尾への感謝を語った。


号泣必至の本作について、長尾は「皆さんが経験したことがあるような、初恋であったり、大切な人を想う気持ちであったりが繊細に描かれている作品。初恋の“愛”、家族からの“愛”、友情の中の“愛”…。30年間にわたるストーリーを描いていて、いろんな愛の形が見られる素敵な作品だと思います」と語り、當真は「長尾さん演じる心也と私が演じる夕花、それぞれ抱えているものがあってあと1歩前に踏み出せない。心につっかえたものがあるんですけど、それを乗り越えていく部分がやっぱり感動ポイントかなと思います」とアピール。最後は集まったお客さんと一緒に「大阪~!」「おいし泣き~!」のコール&レスポンスで盛り上がった。


おいしくて泣くとき-bu-4.1-長尾謙杜.jpg場所をなんばパークスシネマに移して行われた舞台挨拶の会場には、さっきまでアメ村のイベントに参加していたという観客もおり「ここまで走って来られたんですね!おつかれさまです」とねぎらいの言葉をかける長尾。劇場長編映画初主演作を引っ提げての大阪凱旋舞台挨拶を迎えた気持ちを問われ「公開が近づいてきて、ちょっと緊張しますね。こうやって皆さんも楽しみにしてくださってたのが今実感できて、すごく嬉しいです」と一言。5年前から企画を進めていたという監督は「まさにコロナの時期でなかなか動けなかった頃に、この原作を見つけた。やっと皆様に観ていただけるということですごく感慨深いです。やっぱり中心となるのは心也と夕花の高校制時代の物語なので、とにかく本読みのときから長尾さんと當真さんと会話をたくさんしながら、お二人と一緒に旅をするような気持ちで作り上げていきました」と本作への思いを語った。


おいしくて泣くとき-bu-4.1-當真あみ.jpgそして劇中のキーアイテムである“幸せを運ぶ”四つ葉のクローバーにちなみ、「幸せだなと感じる時」を各々発表することに。「家族といるとき」と話す監督は、5歳の息子から「『おいしくて泣くとき』のポスターを見つけた」と先程ボイスメッセージが届いていたことを明かし「すごくほっこりした気持ちで今ここに立っています」と幸せいっぱいの表情。當真は「誰かと他愛もない会話をしている時間。友達だったり、家族だったり、お仕事の現場の方だったり…後から何を話していたんだろうって思い出せないぐらい、本当に他愛もない会話。そういう時間があるのが幸せだなと思います」と話した。長尾は「やっぱりメンバーといる時間はすごく幸せ」だそうで、「個人でお仕事をさせていただいて、メンバーに会うとすごいほっこりします。映画館で僕らがこの作品で着た衣装をいま飾ってるみたいで、メンバーの藤原丈一郎、丈くんが、その写真を撮って送ってきてくれたりとか、今日も朝の情報番組出させてもらってたんですけど、それも見てぱっと写真送ってきてくれて。すごく幸せだなと思います」と、メンバー愛を熱く語った。


舞台挨拶の終わりに、ヒロイン・夕花の弟役を演じた矢崎滉くんが、自分が出た作品を見に会場に来ていることを監督が明かすと「こっち来たら?」という長尾の一声で壇上へ。撮影の思い出を聞かれ「みんなと話せたのがやっぱり楽しかった」と初々しく答える姿に、長尾、當真、監督全員の笑みがこぼれる中フォトセッションが行われ、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

 


【ストーリー】

世界のどこかで、君が笑っていますように-―

oishikutenaku-550.jpg

サッカー部のエースだった心也(長尾謙杜)は、ケガで大事な大会にも出られず鬱々とした日々を過ごしていた。ある日“学級新聞コンクール”の係りに、夕花(當真あみ)と半ば強引に指名される。心也の父が営む大衆食堂”かざま食堂”はこども食堂も兼ねており、そこに度々やってくる夕花とは幼馴染。二人はひょんなことから「ひま部」を結成。幼いころに母親を亡くした心也と、家に居場所がない夕花は、互いに距離を縮めていく。しかし、ある事件をきっかけに夕花は姿を消してしまう。行き場のない思いを抱えたまま、交わした約束を胸に彼女を待つ心也。突然の別れから30年、明かされる彼女の秘密とはー。

会えなくても、姿が見えなくても、誰かが誰かを想う気持ちは決してなくならない

この春、一途な想いが起こす奇跡に、あなたもきっと涙する


■出演:長尾謙杜 當真あみ 
水沢林太郎 芋生悠 池田良 田村健太郎 篠原ゆき子 安藤玉恵
美村里江 安田顕 ディーン・フジオカ
■原作:森沢明夫「おいしくて泣くとき」(角川春樹事務所刊)
■監督:横尾初喜脚本:いとう菜のは音楽:上田壮一
■主題歌:Uru「フィラメント」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
■配給:松竹
■©2025映画「おいしくて泣くとき」製作委員会
◆『おいしくて泣くとき』公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/oishikute-nakutoki/
◆『おいしくて泣くとき』公式SNS
X:https://x.com/oishikutenaku 
Instagram:https://www.instagram.com/oishikutenaku
TikTok:https://www.tiktok.com/@oishikutenaku 
#おいし泣き

2025年4月4日(金)~大阪ステーションシティシネマ 他にて全国公開!

 


(オフィシャル・レポートより)
IMG_2873.jpg
 
 安倍晋三元首相銃撃犯を描いた『REVOLUTION+1』の足立正生監督が、半世紀に及ぶ逃亡の末、病室で自身の名前を明かし、4日後に末期がんで亡くなった東アジア反日武装戦線「さそり」の元メンバー・桐島聡の半生を映画化。古舘寛治主演の『逃走』が、2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開される。
 本作の足立正生監督に、お話を伺った。
 
 
main1.JPG

 

■「なぜ桐島聡はわざわざ本名を名乗ったのか」を考え続けて

――――足立監督は、桐島聡が指名手配された70年代当時、どのような印象を持っていたのですか?
足立:75年〜78年にかけて、自分たちが大きく敗北した問題を総括しなければ先に進めないので、先に進めるために東アジアの同志たちに来てもらったりしていたのです。ですから桐島君という名前は聞いたこともなかった。しかも海外にいたものだから、彼に対して何の知識もない状態でした。東アジア反日武装戦線の人たちは、その世代だけでなく、一世代上の僕らの運動の仕方を毛嫌いしていました。そこには組織官僚主義への反発や、新左翼のイデオロギー風言論への反発があったのでしょう。でも、この映画を作り終わり、新宿に飲みに行ったら、そこで「足立さん、やっぱりこの映画作ったね。だって、昔、何度も一緒にここで酒飲んでいたじゃない」と言われ、こちらがえっ!と驚いた(笑)それぐらい、桐島君と認識すらしていなかったし、何のイメージもなかったです。
 
――――2024年1月に入院患者が、自分が桐島聡だと名乗り出たというニュースを聞いた時はどうでしたか?
足立:(2000年に)強制送還されて日本に戻ってきたら、警察は何か知っているだろうと推測して「桐島、向こうに行ってるんだろ?」と。逆に「桐島って誰だ?」と聞き返しましたが、それが桐島聡という名前を聞いた最初でした。それから長く時が過ぎ、病床で死にかかっている男が「桐島聡」という本名を名乗ったと知り、まさにガン!ときた。ショックでしたね。名乗らないまま死ぬことで逃走貫徹になるわけですから、なぜ今、わざわざ本名を名乗るのか。とても考えさせられました。
 
 
tousousub5.jpg

 

■逃げる闘いを続ける人へのメッセージではないか

――――桐島さんが名乗り出てから、何度もその理由を考え続けておられたんですね。
足立:色んな思いを整理して結論づけてみたのは、桐島が本名を名乗るのは、いわゆる自己顕示欲では全くない。わざわざ名乗ることで逃走のレベルをもう一つ上の段階に引き上げる“闘い”にしようとした。自分の逃げる闘いの表現を、自分の死をメディアにしてメッセージにしたのではないか。すでに死んだ仲間や逮捕された仲間、さらに言えば、全共闘以降、1万人ぐらいが逃走していると言われています。大半は既に時効が成立していますが、そのような逃げる闘いを自分と同じように続ける人たちへのメッセージなんです。桐島自身が「俺、頑張ったよ」というだけではなく、おそらく仲間や逃げている人たちに頑張ってほしいというメッセージだし、桐島が最後の自分の死をメディアにして、表現を実現したのなら、映画というメディアを持っている我々がそれに応えないでどうする!と思った。それがこの映画を作った根拠です。
 
――――名乗り出るまでは、本当に孤独な闘いでした。
足立:桐島は逃げているというより、地下活動を継続していたのでしょう。桐島みたいに徹底して友人、知人や支援する団体とコンタクトを取ることなく逃げ切るという、この研ぎ澄ました感じは相当苦労が要るわけです。その辛さの中で磨いていたからこそ、最後に本名を名乗るところを推測しながら(脚本を)書けたのです。
 
加えて言えば、東アジア反日武装戦線“狼”部隊の大道寺将司は死刑判決を受け(のち獄中で病死)、たくさんの死傷者を出した敗北的なミスについての贖罪を延々と俳句で詠んできましたが、その中には自分たちが闘おうとした意思がぬぐいきれずに溜まっていた気持ちを詠んだものもありました。その句集を桐島が読み、自分ならどうするのかと考えた末の本名を名乗るという決断ではないかと考え、大道寺の俳句に影響を受けたであろうということも、桐島の真意を推測判断する根拠にしました。
 
――――半世紀にわたる桐島の人生を描くため、色々調べる中で新たに発見したことは?
足立:大枠の人物像はありましたが、それよりも非常に純粋で、モラリスティックで、一直線にバンドをやったと思えば、連続企業爆破のキャンペーン闘争に入っていき、そのまま逃げるという闘争をやっていた。考えていた以上に、人のいい青年が歳を重ねて老けていく中でも人々に愛されるような大人になっていったということが、リサーチした中でさらに明確になったことでしたね。
 
 
tousousub9.jpg

 

■若い頃の桐島役に入れ込んでいた杉田雷麟

――――笑顔の指名手配写真が非常に印象的でしたが、若い頃の桐島を演じた杉田雷麟さんは風貌も非常に似ていました。
足立:杉田君自身がこの役に入れ込んでいて、桐島本人になっているような気分だったのではないかな。若さがほとばしる一直線でイキイキした感じがないと成立しない映画なので、杉田君は良くやってくれたという感じがありますね。
 
――――チラシでは「最期の4日」と書かれていましたが、実際は逃走前から逃走直後の数年間の若き日を杉田さんが、まさに若さほとばしる感じで演じていましたね。
足立:宇賀神寿一と二人で彼のアパートへ逃げた後、指名手配写真が出回っていたことから、実際には宇賀神が桐島の逃走前に彼の髪を切っているんですよ。それではあまりにも出来過ぎだったので、映画では桐島が自分で切るシーンになりましたが、結局二人は神社で待ち合わせを決めたものの会うことができず「僕がしてあげられたのは髪を切ったことだけだった」と。映画パンフレット用に宇賀神寿一と、大地の牙の浴田由紀子と鼎談をしたとき、本人が語っていましたね。
 
 

tousoumain2.jpg

 

■中年以降の桐島を演じた古舘寛治

――――本作の主役である中年以降の桐島を演じた古舘寛治さんのキャスティングについて教えてください。
足立:たくさんの候補の中から絞り込み、最後の2〜3人になったときに古舘さんの写真を見たら「もう桐島がいるじゃないか!」と。それですぐにオファーしました。古舘さんは最初、僕を警戒していたみたいですが。
 
――――古舘さんは深田監督作品でも知られる演技派俳優ですが、目立たないように生きてきた桐島の雰囲気がよく出ていましたね。
足立:出しゃばらない感じや、突き飛ばされてもひっくり返らないようなしぶとさがちゃんと混在して、桐島という人物が実在した感じが出ている。古舘さんはちゃんと人物像を整理してくれたと思うし、できるだけ芝居をしないようにという共通認識を持って演じてもらいました。自分のやりたいようにト書きやセリフを変えていいと言ったら、最初から最後まで真っ赤に書き込みをしてくるから「全部書き直してるじゃないか」というと、「赤く書いている部分を全部足立さんに聞いてから、判断しようと思います」と言われて。結局セッションをして全部解決したり、なかなか楽しかったですよ。
 
――――死の間際まで演じておられ、俳優冥利に尽きる役だったのでは?
足立:長セリフもあるし、自分の分身である坊主との禅問答など大変だったと思いますが、古舘さんも楽しくやっていたと思いますよ。「こんなに詰めた撮影をされるのは初めてだ」と言っていましたが。彼のスケジュールに合わせ、10日間の撮影だったので「余裕じゃないか」と言ったら、(古舘さんは)怒ってましたね(笑)。
 
――――映画の中で特にしっかり見せようと思ったシーンは?
足立:最期の4日間という時間のくくりの中でまとめなければ、3時間ぐらいの映画になってしまう。だからそのくくりの中で、現実の桐島は死ぬ間際に病室のベットにいるだけの姿なのですが、その全ての過去を回想し、妄想して思いを馳せながら本名を名乗るところに帰結していく。妄想の側から回想シーンや病室の現実シーンを見るという編集にしたいというのが僕の要求で、ある人が「妄想、回想、現実がポップに編集されているから、しんどくなかった」と感想をくれたけれど、そういう編集にしているから当然なんです。
 
 
tousousub11.jpg

 

■ラッキーを呼び込んでいた桐島の人となり

――――70年代、履歴書や自分を証明するものを提示しなくても、住み込みで雇ってもらう様子や、桐島の人生を通じて日本社会の変遷も映し出していますね。
足立:高度成長期でしたから、履歴書は全く関係なかったし、特に日雇い仕事には底辺労働者が群れをなしていた。よくて山谷や釜ヶ崎、もっと悲惨な寄せ場もたくさんありました。桐島たちも大学を追い出されてから山谷に入りますが、そこで仕事をすると目立つので他の手配所から仕事を得ていたんです。その後藤沢に流れ着いて38年間過ごします。大規模工事をするような土建会社ではないとか、桐島が原則的にやればやるほど、ラッキーを呼び込むようなところがありましたね。
 
――――変な欲を出さない限り、平穏な暮らしを続けられる人物だったと?
足立:自分より随分若い女性に惚れられることがあっても、自分が逃亡者でいずれ迷惑をかけるので「結婚できない」と自制する部分も桐島にはありました。何よりも最期に今まで貯めてきた250万の現金を病院に持っていき、自分の入院費を支払っているんです。一事が万事。そのエピソードに彼の性格が象徴されていますよ。
 
――――阪神淡路大震災など、逃走の間日本で起きた歴史的な事象も挿入していますね。
足立:桐島は逃げているだけですが、同時にキャンペーン闘争をまだ続けたいと思っているので、時代の動きが彼には生々しく伝わってくるんですよ。それなのに何もできない、何もやれないという気持ちが積み重なった49年間なのです。ただ、のっぺらぼうに過ぎたわけではない。日々逃げるしんどさはあるけれど、逆にこれはどうするのという感じは、僕も多少わかるんです。その切なさの中で、宇賀神の亡霊が「切ない、苦しい闘いでも幸せはある。お前やってみてくれないか」と言います。あんな無責任なセリフは誰にも書けないですよ。でも僕は、ぜひ宇賀神にそれを言わせたかった。
 
 

tousoumain3.jpg

 

■現代の閉塞感との共通性を捉え、桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されれば

――――桐島に対する映画でのアンサーだとおっしゃっていましたが、実際に映画が完成してのお気持ちは?
足立:所詮、自分でイメージした桐島しか描けないので、できるだけリサーチしたものを反映して俳優に演じてもらうことで突き放していくというプロセスを取って作りました。試写を終わって、身につまされて泣いて出てくる同時代の方もいらっしゃるし、若い方には現代の閉塞感との共通性を捉えてもらえるところまで、見ていただければもう言うことはないですね。
 
――――高橋伴明監督も「桐島です」を作られていますが、足立監督と同時期にお二人が桐島聡の映画を作って公開するということにも、大きな意味を感じますね。
足立:最初はもう一人、桐島聡の映画を撮ろうと考えていた人がいたんですよ。それぐらい彼が本名を名乗ったことで高い関心が寄せられていたし、高橋伴明さんは桐島と同世代だから余計にそうでしょう。映画が公開された後で、桐島像や桐島世代の人々の生き様がもう一度広く論議されたり、捉え直されたりすればいいのではないかと思います。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『逃走』
2025年 日本 114分 
脚本・監督:足立正生 
出演:古舘寛治
杉田雷麟  タモト清嵐 吉岡睦雄 松浦祐也 川瀬陽太 足立智充  中村映里子
2025年4月4日(金)より京都シネマ、4月5日(土)よりシネ・ヌーヴォ、第七藝術劇場、元町映画館にて公開
4月5日(土)にシネ・ヌーヴォ、京都シネマ、4月6日(日)に第七藝術劇場、元町映画館にて足立正生監督、中村映里子さんの舞台挨拶あり(予定)
公式サイト:kirishima-tousou.com
(C) 「逃走」制作プロジェクト2025
 

OAFF2025_Awards_01.jpg

 

 2025年3月23日(日)に第20回大阪アジアン映画祭が閉幕し、『カンフーハッスル』脚本家フオ・シンの初監督作品となる壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)がグランプリ(最優秀作品賞)に輝いた。また、注目の観客賞は、平松恵美子監督の『蔵のある街』(日本)が選ばれた。グランプリ以下各賞を受賞結果とともにご紹介したい。

グランプリ(最優秀作品賞) 

『バウンド・イン・ヘブン』(Bound in Heaven/捆綁上天堂)/中国
監督:フオ・シン(HUO Xin/霍昕)
 
≪授賞理由≫
映画が描く(映す)テーマが多様化する中で、特に「映画祭」では選ばれにくい、最も古典的な”恋愛映画”の本作に迸る熱度と強度に衝撃をうけました。主演二人がたどる「運命」は映画を目にする私たちを疑いもなくその物語に没入させ、映画的歓びを共有させてくれるその世界に魅了されました。
 
 
来るべき才能賞
 
パク・イウン監督(PARK Ri-woong/박이웅)
『朝の海、カモメは』(The Land of Morning Calm/아침바다 갈매기는)/韓国
 
≪授賞理由≫
パク・イウン監督の人間の善良さを見抜く能力と、社会が抱える問題を詳らかにする鋭い注意力は来るべき才能賞に値する。
 
授賞者コメント/パク・イウン監督「47歳にして新人賞を頂きました。皆さま、本当にありがとうございます。海外の上映されるたびに、韓国とはちがった場面で、観客の方が笑って泣いている姿を見て、私の気持ちも豊かになっていきます。そして映画が豊かになっていくのを感じます。観客の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さまに感謝いたします」
 
スペシャル・メンション
 
『私たちの話し方』(The Way We Talk/看我今天怎麼說)/香港 
監督:アダム・ウォン(Adam WONG Sau-ping/黄修平)
 
≪授賞理由≫
『私たちの話し方』のアダム・ウォン監督と彼のクルーの深い優しさと、先入観のない公平な視点が本作を珠玉の作品にした。聴覚障害者の内なる世界に観客を心深く没入させる作品である。
舞台挨拶記事はこちら
 
最優秀俳優賞 
 
トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン(Tuvshinbayar AMARTUVSHIN)   
『サイレント・シティ・ドライバー』(Silent City Driver/Чимээгүй хотын жолооч)/モンゴル
 
≪授賞理由≫
アマルトゥブシンは静謐で、決して不快でない男らしさを体現し、それは映画の領域に深く共鳴した。彼の内なる感情を伝える卓越した演技力は、静穏だが暗晦な世界に生きる主人公の複雑な孤独を的確に捉えた。
 
代理コメント/ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督「本当にありがとうございます。観客の皆さま、映画祭の皆さまに感謝いたします。映画はみんなで作り上げた作品です。映画のチームの皆さんにも感謝申し上げます。そして賞状をトゥブシンバヤル・アマルトゥブシンさんに渡します」
 
JAIHO賞
 
『君と僕の5分』(404 Still Remain/너와 나의 5분)/韓国
監督:オム・ハヌル(UHM Ha-neul/엄하늘)
 
≪授賞理由≫
テンポよく展開するストーリー、主人公2人の瑞々しい演技。彼らがバスの車窓から眺める四季折々の風景が、音楽と絡み合い美しい余韻を残す。そして少年は大人になる。“ボーイ・ミーツ・ボーイ”映画の傑作。
 
 
薬師真珠賞
 
ラン・ウェイホア(LAN Wei-Hua/藍葦華)
カオ・イーリン(Alexia KAO/高伊玲)
ツェン・ジンホア(TSENG Jing-Hua/曾敬驊)
ホアン・ペイチー(Queena HUANG/黃珮琪)
『我が家の事』(Family Matters/我家的事)/台湾
 
≪授賞理由≫
『我が家の事』の主人公家族を演じた4人の俳優たち、ラン・ウェイホア、カオ・イーリン、ツェン・ジンホア、ホアン・ペイチーに授与する。家族それぞれがかかえる複雑な心情を見事なアンサンブルで演じ、新人監督による偉大な傑作の誕生に貢献した。
 
授賞者コメント/カオ・イーリン「映画で母親を演じました。『我が家の事』は40人くらいのクルーで製作された作品です。気に入ってくださったらうれしいです。まわりの方にも是非すすめてください」
 
授賞者コメント/ツェン・ジンホア「この場を借りて、撮影クルー、大阪アジアン映画祭の観客の皆さまに感謝申し上げます。審査員の皆さま、映画の中で相手役を務めてくださった皆さまにも感謝いたします。皆さまのおかげで、私は受賞できたと思っています。そして最後に監督に、心から感謝申し上げます。監督はかわいくて、実はひょうきんな人なんですよ。母親が大好きなんです(笑)!ありがとうございました」
 
JAPAN CUTS Award
 
『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』(So Beautiful, Wonderful and Lovely)/日本
監督:大河原恵(OKAWARA Megumi)
 
≪授賞理由≫
多彩な編集と撮影手法、不条理なユーモアとハートフルなストーリーテリングが矢継ぎ早に繰り広げられる、大河原恵監督の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』にJAPAN CUTS AWARDに授与する。脚本・監督・編集・主演を務めた大河原は、真の若いエネルギーに溢れ、短い上映時間の中に創造的なアイデアと野心を詰め込み、かつ筋の通った作品を完成させた。
 
授賞者コメント/大河原恵監督「インディー・フォーラム部門には素晴らしい作品ばかりだったので、大変驚いています。観客の皆さま、関係者の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さま、ありがとうございます」
 
芳泉短編賞
 
『洗浄』(WAShhh/洗浄)/マレーシア
監督:ミッキー・ライ(Mickey LAI/黎樂怡)
 
≪授賞理由≫
まるでリアルタイムで起きている出来事のように、限られた空間と時間の中で観客を巧みに没入させ、少女たちの状況の追体験を可能にする。モノクロームの画がセンセーショナリズムに陥らない緊迫感を作品にもたらす。リアリズムとシンボリズムの両方を兼ね備え、制度の不条理を痛烈に批判し、タブーに挑んでいる。
 
芳泉短編賞 スペシャル・メンション
 
『金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱』(The Melancholy of a Brass Player for Brass Quintet)/日本
監督:古谷大地(FURUYA Daichi)
 
≪授賞理由≫
元気が湧いてくる作品(アダム・ウォン)
編集、音響デザイン、テンポ ー すべてにおいて類のない作品。何が何だか分からないのに、完全に筋が通っている。(ジョン・スー)
まるでサイレント映画のようなアナーキーさを湛えている(木下千花)
 
観客賞
 
『蔵のある街』(The Tales of Kurashiki)/日本
監督:平松恵美子(HIRAMATSU Emiko)
 
授賞者コメント/有吉司(配給:マジックアワー代表)「私は配給の仕事をして40年になります。この40年で、観客賞を頂けたことは個人的に本当にうれしく、きっと誰よりも喜んでいると思います。そして大阪にいられなかった、平松恵美子監督もよろこんでいると思います。
舞台挨拶記事はこちら
 
写真≪後列≫上倉庸敬(大阪映像文化振興事業実行委員会)/三宅正子(株式会社薬師真珠)/アンジェラ・ユン(コンペティション部門 審査委員)/ファルハット・シャリポフ(コンペティション部門 審査委員) /中村由紀子(コンペティション部門 審査委員)/難波弘之(公益財団法人芳泉文化財団 事務局長)
≪前列≫大河原恵監督(JAPAN CUTS Award『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』)/ツェン・ジンホア(薬師真珠賞『我が家の事』)/カオ・イーリン(薬師真珠賞『我が家の事』)/パク・イウン監督(来るべき才能賞『朝の海、カモメは』)/ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督(最優秀俳優賞『サイレント・シティ・ドライバー』監督※代理)/有吉司(観客賞『蔵のある街』配給マジックアワー代表)
 
 
万博イヤーの2025年度・第21回大阪アジアン映画祭は、2025年8月29日(金)~9月7日(日)に開催予定だ。
公式サイト https://oaff.jp 
 
JAPAN CUTS Award
 

 

THAI05_The Paradise of Thorns_main.jpg
 
 多分野でマルチな才能を発揮するジェフ・サターの映画初出演・主演作となるタイ映画『いばらの楽園』が、第20回大阪アジアン映画祭特集企画<タイ・シネマ・カレイドスコープ2025>作品として3月19日「テアトル梅田」(大阪市北区)で日本初上映された。
 
 タイ映画のメジャースタジオ、GDHが手がけた本作では、同性の恋人と念願のドリアン農園を手に入れ結婚するはずだった主人公が、突然の事故で恋人を亡くしてからの苦難を描いている。本作が初監督となるボス・グーノーが、愛憎入り混じる人間関係や農園をめぐる攻防を「ドリアンホラー」と言わんばかりの見事なエンターテインメント作品に仕立て上げた。
日本初上映後にプロデューサーのワンルディー・ポンシッティサックさんが登壇して行ったQ&Aの模様をご紹介したい。
 

IMG_2972.JPG
 
ーーー今のお気持ちは?
日本初上映が終わり、とても嬉しいです。『いばらの楽園』は昨年8月にタイで劇場公開され、そこからいくつかの国を旅して日本にたどり着きました。日本での劇場公開もできればいいなと思っています。
 
ーーー製作の経緯について
現在タイでは同性婚法案が成立していますが、この映画の企画が始まったときは、まだその法律はありませんでした。ある日、ボス監督がわたしにLGBTQの人たちは婚姻の権利が等しくないことを語ってくれ、一緒にこの映画を作ることになりました。映画はエンターテイメントの側面もありますが、社会にとって意義のあるもの、監督の考え方の後押しをしたいと思いました。この映画をご覧いただければ、なぜ同性婚法案を成立させなければいけないのかが、深く理解していただけたと思います。
 
ーーーボス監督の作風について
ボス監督はドラマ(「僕の愛を君の心で訳して」他)を監督しており、登場人物に太い感情を持たせ、登場人物の混乱や葛藤を描くのが特徴で、そういった要素を『いばらの楽園』にも活かしています。この映画は同性婚法案を後押しするだけでなく、それぞれのキャラクターの葛藤を描き、彼らが思い描いていたものが崩れていく様子を描いています。
 
ーーー資金集めやキャスティングでの難しさはなかったか?
製作費はGDHが全て出していますし、ジェフ・サターは元々からボス監督や私と一緒に仕事をすることを希望していたのです。この映画に参加する人は全員、同性婚法案に賛成する必要がありましたが、誰も反対する人はおらず、むしろ喜ばしいと言ってくれました。
 
ーーー舞台をタイ北部(メイホンソーン)のドリアン農園にした理由は?
なぜドリアン農園なのかについてですが、主人公のパートナーが亡くなったとき、法案成立前なので財産を相続できない設定にしたのです。ただ家財道具を売るとなると簡単すぎるので、難しい状況を作り出したいと思いました。土に生えて移動できない果物の木を財産にしようと考えました。次に、どんな果物がいいかを考えたとき、その答えがドリアンだったのです。ドリアンはとても栽培が難しい果物で、タイでは果物の王様と呼ばれています。舞台となった地域はタイで最も貧しい地域なのですが、高価な果物を最も貧しい地域に植えるという点がおもしろい着眼点だと思いました。
 
またドリアン自体の性質については、すごくいい香りがして甘さがあると同時に臭みがあり、痛々しいトゲがあります。皮を剥いて中身を見るととても美しい。ですからドリアンが愛の痛みや美しさ、そして傷つけあうというテーマに合うと思いました。
 
 
THAI05_The Paradise of Thorns_poster.jpg
第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで開催中。『いばらの楽園』は3月23日(日)13:00よりABCホールで2回目が上映予定。
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
 
(C)2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
 
(江口由美)
 
IMG_3027.jpg
 
 現在開催中の第20回大阪アジアン映画祭で、メイン会場のABCホールにて3月21日(金)で、台湾映画5作品のゲストが集うTAIWAN NIGHTが開催され、写真右から『晩風』のチャン・ゾンジェ監督、『ブラインド・ラブ 失明』のジュリアン・チョウ監督、『イェンとアイリー』のトム・リン監督、『我が家の事』出演のツェン・ジンホアさんとパン・カーイン監督、『寂しい猫とカップケーキ』ヤン・リン監督が登壇した。
 
「同性婚がテーマの作品。2019年に台湾でアジアで初めて同性婚を認める法律が成立しましたが、結婚する前後で家族がどうなるのかを描きたかったのです」(チャン・ゾンジェ監督)
 
「大阪にやってきて嬉しいです。私の手がけた『ブラインド・ラブ 失明』も同性婚について触れるだけでなく、親子の関係も描いています。主人公の役柄を借りて、日々の暮らしの忙しい中で、親子や家族の関係とは何かを映画の中で表現してみました」(ジュリアン・チョウ監督)
 
「我々全員を招き、台湾ナイトに登壇でき、大阪アジアン映画祭に感謝したいです。そして、わざわざ映画を見にきてくださり、観客のみなさんに感謝します」(トム・リン監督)
 
「初めて大阪に来てとても嬉しく思います。我々の新作を携えて映画祭に来ることができました。明日(22日)の上映をぜひご覧ください。そして、気に入ってくださるともっと嬉しいです」(ツェン・ジンホアさん)
 
「初の長編『我が家の事』で大阪アジアン映画祭に参加でき、とても嬉しいですし、隣にはジンホアさんもいます。私の作品は今まで短編を2回上映していただきましたが、長編を携えて実家に帰って来たような気分です」(パン・カーイン監督)
 
「短編ですが、大阪でワールドプレミアを行うことができました。『寂しい猫とカップケーキ』は台湾の公共テレビの製作で、出演者の中にはルー・イーチンやチェン・ヨウジエと有名俳優が出演しています」(ヤン・リン監督)
 
と一言ずつご挨拶し、大きな拍手が送られた。
 

TAIWAN NIGHTに続き、『イェンとアイリー』日本初上映後に行われたトム・リン監督のQ&Aでは、まず監督より映画のラストシーンについて、本作の主題となっている母と娘の複雑な関係が決して和解したわけではないが、“ふたつの魂が近づいた”という評をもらったことについて言及。「我々にとって『魂が近づいた』というのは、もう充分なのではないか」とその関係性の行方を示唆した。
 
 
CO12_Yen And Ai-Lee_main (3).jpg
 

■モノクロにすることで、役者の演技を集中して観てもらえる

本作はトム・リン監督のフィルモグラフィで初のモノクロ映画だが、まずは自身が映画ファンから映像作家に入ったこともあり、モノクロ映画の力を実感しており、一度は撮りたいと思っていたことや、脚本段階でモノクロ映像にぴったりと感じていたことを理由に挙げた。
さらに演出という観点では、観客に集中して映像を見てもらうことが狙いだったとし、「色がない分、観客が役者の演技に注目するだろうという計算がありました。映画をご覧になるとき、母と娘の演技や感情の表現、葛藤にすべて観客がひきこまれていくように作りました」
ただ、資金集めでは過去の作品の中で一番苦労したことも明かし、「今回はすごく時間をかけて資金を集めたので、次に撮るなら、モノクロ映像にあったテーマがあれば撮りたいと思います」
 
 
IMG_3032.jpg
 

■コロナ禍でようやく実現した妻、キミ・シアとの映画づくり

主人公イェンを演じたキミ・シアを「実生活の妻」と紹介したトム・リン監督。以前から一緒に仕事をしようと思っていたものの、互いに多忙で実現できず、そのチャンスが巡ってきたのがコロナ禍だったと振り返り、妻にやりたい役を聞いたところ「母と娘の物語」が出てきたことや、キミ・シア自身の母との関係が非常に難しいものであったことを明かした。
さらに、脚本段階で実在の大事件からインスピレーションを得たそうで、
「物語を構想しはじめたときに、息子が母を助けるために父を殺すという大きな事件が台湾で起き、そのニュースを見てから、刑務所から出た時に、残った母と子どもはどうやって過ごしていくのかと、ずっと考えていたのです。息子を娘に置き換えて、刑務所から釈放され、親孝行だった娘が母とどうやって過ごしていくのかと考えて、そこから物語を構想し始めました」
 
脚本執筆時には、常にキミ・シアに見せては色々な意見やダメ出しをもらっていたというトム・リン監督。「例えば、母と娘の喧嘩の場面を描くと、『あなたは(書くのが)下手ね』と、携帯で彼女が実際に母との喧嘩をしている場面を見せてくれ、そういうことなのかとわかりました。字幕では脚本に私の名前が出ていますが、本当の脚本は妻と妻の母だと思います」
 
最後に脚本の中で主役の彼女をアイドル的(みんなに注目される)存在にしたことについて問われたトム・リン監督は「脚本段階で演じるのは自分の妻とわかっていますし、実際に彼女は美しいので、その美しさを無視するわけにはいきません。スクリーンの美しさを考え、このようなストーリーになりました」と主演俳優(妻)の美しさにも触れながら、俳優のポテンシャルを活かす役作りを笑顔で語った。
 
 
CO12_Yen And Ai-Lee_poster.png
 
第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで開催中。
『我が家の事』は3月22日(土)12:50よりABCホールで2回目が上映予定。
『ブラインド・ラブ 失明』3月22日(土)12:20よりテアトル梅田で2回目が上映予定。
 
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
 
(c)Bering Pictures
 
(江口由美)
 

Memoir-bu-550.JPG

■日時:2025年3月18日(火)18:30~

■場所:シネマート新宿

■登壇者:アダム・エリオット(監督) MC:東紗友美



★アダム・エリオット監督が“主演”のグレースとともに上映後Q&Aに登壇!

★「AIの時代においても、人間の手によって作られるアニメーションの価値を大切にしてほしい」

 

第97回アカデミー賞(R)長編アニメーション賞ノミネート、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞をはじめ各国の映画祭を席巻している珠玉のストップモーション・アニメーション映画『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開となります。


Memoir-pos.jpg幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレース。カタツムリを集めることだけが心の拠り所だった彼女が、個性豊かな人々との出会いと絆を通して少しずつ生きる希望を見出していく…。本作は、波乱万丈な半生をユーモアとサプライズ満載で優しく描いた温かな人生賛歌。オスカー受賞歴を持つアダム・エリオット監督が8年間もの製作期間をかけ、<セット数200、小道具700個、総カット数13万5千>という膨大な手作業によって生み出された、愛と情熱にあふれたクレイアニメーションだ。時にブラックユーモアやビターな現実も織り交ぜながら、人生の喜びと悲しみにそっと寄り添う視点は、批評家・観客双方から絶賛を集め世界中で数々の映画賞を獲得。アヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞(最高賞)に輝き、アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされた。


この度、3月18日(火)にアダム・エリオット監督が登壇しての先行上映が行われましたので、その模様を下記にて紹介itいたします。



Memoir-bu-500-1.JPGその『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)の公開を前に、来日したアダム・エリオット監督が上映後Q&Aに登壇するスペシャル先行上映が3月18日(火)シネマート新宿にて行われた。アダム・エリオット監督は21年前となる2004年の『ハーヴィー・クランペット』でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集めたのち、日本でも2011年に公開された初長編作品『メアリー&マックス』(2009)でアヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。『かたつむりのメモワール』は実に15年ぶりの待望の長編新作となるアダム・エリオット監督。登壇時には、本作の「主演」でもあるカタツムリの帽子を被ったグレースの人形も一緒だった。

 

■日本文化が大好き!来日は6回目!

Memoir-bu-240-1.JPG

日本文化が好きというエリオット監督。今回に来日については、「明日、新潟国際アニメーション映画祭に行くんですけれども、今回は5日間と割と短い滞在です。実は今回で6回目の来日で、日本に来るのは大好きです。日本の文化も、その文化をリスペクトして守っている日本の方々も大好きです。そして何よりも僕の映画に出てくるジョークを理解してくれて、笑ってほしいポイントでしっかり笑っていただけるっていうのが、すごく嬉しいです」と手放しで喜びを語った。「前作の『メアリー&マックス』(2009年 ※日本公開は2011年)から15年ぶりとなる新作ですね」とMCから振られると、「かなり時間が経っていますから、この作品を発表した時、結構驚かれた方も多かったんですよね。あまりにもしばらく見ていなかったから(監督は)死んじゃったのかな?と思っていた方もいるぐらいなんです。次の長編はこんなにお待たせしないように3~4年くらいで届けしたいなと思っています」と早くも次回作の構想も持っていることを明かした。


今作はアヌシー国際映画祭での最高賞であるクリスタル賞受賞を始め、世界中の映画祭を巡り、先日はついにアカデミー賞長編アニメーション部門のノミネーションを果たした。授賞式に参加された時の気持ちを聞かれたエリオット監督は、「25年前に『ハーヴィー・クランペット』で(短編アニメーション映画賞を)受賞をしてはいますが、アカデミー賞にまさか2回もノミネーションされるなんて、まるで稲妻に2回打たれるような、そんなことだというふうに思いました」と、『ハーヴィー・クランペット』の主人公が雷に打たれる場面と絡めてユーモアを持って答えた。そして「授賞式は、正直ストレスを感じました。たくさんの人に(自分を)見られますし、取材やメディアの数もとても多くてちょっと疲れてしまいました(笑)。私はむしろ、こういった上映の場のQ&Aを通して観客のみなさんとお話しできる方が楽しいです」と素直な気持ちを語った。

 

■このユニークな作風はどうやって生まれたのか?

「どんな人生にも光と闇がある。だから自分はそれを映画で描いている」

「世界のどの国で見られても、共感されるキャラクターを心がけている」

 

Q&Aに移ると、早速、今日の上映に駆けつけたファンから次々と手が挙がった。

Memoir-bu-240-2.JPG

最初の質問は、監督の作風についての質問で、「時に世の中の残酷な一面も描く作風や表現方法は、どのようにして生まれたのか?」という質問。エリオット監督は、「私たちの人生には笑えることも悲しいこともあります。光と闇があるんです。ですので、私の映画はみんなの人生を反映させているだけなんです。その上で、映画を観ていただいた時に、何か皆さんの“(心の)栄養”になるような作品を作りたいんです。単に楽しいとか悲しいという以外に、何かが心に残るような作品です。2回、3回と繰り返し観たくなり、映画を観たそれぞれの方々にとって特別な意味を持つような作品を作りたいです」と真摯に返答した。

さらに「例えば『自分はこの世界であまり価値がないんじゃないか?』と思ってらっしゃる方や、『自分は他の人には見えずに、透明人間みたいになってるんじゃないか?』と思ってるような方に、『いや、自分は価値があるんだ、一人じゃないんだ』と感じられる助けにもなれるようなキャラクターを作るように心がけています。今作の主人公であるグレースは、映画の中で孤独な時間を経験します。でも、おそらくみなさんも人生のどこかでそういう経験をなさっているのではないかと思いますし、社会に居場所がないと感じる人もいらっしゃるかもしれない。実は私自身も、この変わった作風のせいで、映画業界ではなかなか話せる人がいないんですよね。そういう時、自分には居場所がないんじゃないか?と思ってしまったりすることもあります。だからこそ、今回のようなQ&Aがとても好きなんです。それは自分の友人をここで見つけることができるから。ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、グレースは私自身なんですよね他のキャラクターにも同じく私自身が投影されています。自分が作るキャラクターはとにかく国を問わず、みなさんが共感できるということを大事にしているんです」と語ると、会場からも拍手が起こった。

 

■今回はハッピーエンディングにしたかった!

Memoir-500-1.jpg

『メアリー&マックス』に続き、エリオット監督作品のエンディングは、忘れられないようなカタルシスをもたらす。本作も例外ではなく、上映後もXには「こんなの見せられたら泣くよ!」といった感動のコメントが続々と投稿されている。(ネタバレになるので書けないものの)映画を観た観客からはエンディングについての質問も挙がった。エリオット監督は、「私が書き始めた時、8年前ですが16本の脚本のドラフトを作ったんです。実は、最初の案は少し悲しすぎるものでした。今までの作品はあまりハッピーエンディングとは言えないものでしたので、今回はハッピーエンディングにしたかったんです。ただ、安易な形ではなく、主人公のグレースが、自分の価値を見つけて、自立した強い女性になるところまではきちんと描きたかったんです。エンディングはある意味、彼女が報われるようなものにしたかったから、今の形になりました」と丁寧に意図を語った。

 

■火葬と土葬について 死にまつわるものへの興味

観客からは少し角度を変えた質問もあった。「オーストラリアでは土葬が主流なはずだが、映画では火葬が登場する。これには何か意図がありますか?」という質問が挙がると、エリオット監督は「実はオーストラリアでは、以前は土葬が主流でしたが、現在は火葬も増えているんです。今回、火葬を選んだのは、『身体が灰になる』ということでコメディ要素に使い易かったからです。また、オーストラリアでも日本と同じように遺灰を壺に入れて家に置いていらっしゃる方が多いんですね。土葬だとお墓になって墓地に置かれるけれども、火葬だとなぜ皆さん家に持って帰るんだろうってことがとても不思議だったんです」と“死”にまつわるものへの興味が前々からあったことを明かした。

 

■本作の見どころは?

「すべてが手作りでCGは一切使用していないということ」

「良質なアートというものは人間の手によって作られるものなんです」


Memoir-bu-240-3.JPG最後に本作の見どころをたずねられたエリオット監督。すると即座にこう答えた。「全部が手作りでリアルだということです。CGは一切使用していません。火事は黄色のセロファンを使っていますし、タバコの煙はコットン(綿)です。人形たちの“涙”については、(『これは言ってもいいのかな(笑)?』とスタッフを見遣りながら)性交時などに使われるローションを使っています」と明かすと、会場からも驚きの歓声が上がった。監督は続けて「CGで作られるアニメーションも多いけれど、おそらくこの先、CGI(※Computer Generated Imageryの略で、コンピューターグラフィックスで生成した画像やアニメーション)によってアニメーションが作られていくということが、残念ながら増えていくのではないかと憂えています。そこで皆さんにも思い出していただきたいのが、『良質なアート』というものはやはり人間の手によって作られるものだということで、AIというものは、『人間の経験』というものを取って変わることができない、絶対にできないんだということ。AIが今後どういうふうに活用されるかということは、しっかりと見ていきつつ、やはり日本を含め、世界中のアーティストを祝福するような、そういう映画の見方であったり、作品の見方をしていきたいと思います。ありがとうございました!」と力強く締め括ると、会場からは盛大な拍手が沸き起こった。
 



【アダム・エリオット監督  プロフィール】

Memoir-240-監督.png

メルボルンを拠点にインディペンデントで活動するオーストラリア人のアニメーター、ビジュアル・アーティスト。家族や親族を題材にした短編『アンクル』(1996)、『カズン』(1998)、『ブラザー』(1999)で国内外のアニメーション賞を数多く受賞し、ジェフリー・ラッシュがナレーションを担当した『ハーヴィー・クランペット』(2004)でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集める。初長編作品『メアリー&マックス』(2009)はサンダンス映画祭でプレミア上映され、アヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。劇場上映後も配信で人気を博し、現在ブロードウェイ・ミュージカルとヨーロッパで6つの舞台化が進行している。これまでのキャリアで1000以上の映画祭に招待され100以上の賞を受賞。パリ、日本、カナダ、メキシコ、スペイン、シンガポールで彼の“クレヨグラフィー(クレイアニメーションのバイオグラフィー)”の展覧会や回顧展が多数開催されている。
 


<作品概要>

製作期間8年!セット数200、小道具7000個、カット数13万5000…
ストップモーション・アニメへの途方もない愛と情熱が生んだ、温かな人生賛歌!

ギレルモ・デル・トロ監督も絶賛!

「大好きな映画。人生を肯定する美しさとユーモアにあふれている」
時にブラックユーモアも織り交ぜながら、誰もが共感できる人生の喜びと悲しみ、ほろ苦さにそっと寄り添う温かな視点は、批評家・観客双方から賞賛を集めている。ロンドン映画祭では実写映画も含むすべての作品のなかで最優秀作品賞に輝き、全米批評サイトRotten Tomatoesでは95%フレッシュの圧倒的な高評価を獲得している(1/21時点)。


昨年10月に開催された第37回東京国際映画祭で『メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)』として出品された本作は、エリオット監督の15年ぶりの待望の最新作ともあり大きな話題を集め、チケットは即完売。満席の大盛況となり、SNS上で「アヌシー最高賞も納得の傑作」「すべてが愛しい」「クレイアニメのチャーミングさに泣き笑う」と感動と愛に満ちた絶賛の口コミが多数投稿され、いち早く本作を鑑賞した日本の映画ファンたちに大好評で迎えられた。
 



<STORY>
Memoir-550.jpg1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく…。


監督・脚本:アダム・エリオット『メアリー&マックス』『ハーヴィー・クランペット』 
出演(声):サラ・スヌーク『スティーブ・ジョブス』『プリデスティネーション』、ジャッキー・ウィーバー『世界にひとつのプレイブック』、コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、ドミニク・ピノン『アメリ』、エリック・バナ『ハルク』、ニック・ケイヴ 
2024年/オーストラリア/英語/94分/カラー/5.1ch/G
原題:Memoir of a Snail/日本語字幕:額賀深雪
配給:トランスフォーマー
©2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

公式サイト:
https://transformer.co.jp/m/katatsumuri/

2025年6月27日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿、ほか全国順次公開


(オフィシャル・レポートより)

 

 
 
OAFF2025_SOP_main.jpg
 
 現在開催中の第20回大阪アジアン映画祭で、メイン会場のABCホールの上映初日となる3月19日(水)に、ゲストを迎えてのスペシャル・オープニングセレモニーが開催された。スペシャル・オープニング作品、カザフスタンのミュージカル映画『愛の兵士』の日本初上映に先立ち行われたセレモニーでは、上映作品67作品中、フランス、ポルトガル、ドイツ、香港、日本、カザフスタン、韓国、フィリピン、台湾、タイの18作品から、監督、出演者など30名を超えるゲストが登壇した。
 
  大阪映像文化振興事業実行委員会の上倉庸敬委員長からは「映画は画面に映っていないものを映し出し、そこに響いていない言葉に耳を傾けさせるものです。映画の作り手と観客の皆様と共に過ごしてきた20年は、私たち映画祭にとって至福の時間でした」と20回を迎えることができたことへの感謝が述べられた。また、ゲストを代表して、スペシャル・オープニング作品『愛の兵士』のファルハット・シャリポフ監督が「コンニチワ!オオサカです!」と日本語で挨拶。映画祭が20回を迎えることへのお祝いの言葉に続いて、「一緒に心から映画祭を楽しみましょう」と会場に語りかけると、会場は大きな拍手に包まれました。
 
 
IMG_2990.JPG
 
 『愛の兵士』上映後にファルハット・シャリポフ監督が登壇して行われたQ&Aでは、
「90年代にカザフスタンのアルマティが結成した、いわばビートルズ級の人気バンド、Astudioより、自分たちの楽曲を使った映画を作ってほしいと依頼があり製作に至ったという経緯や、彼らの音楽や詞を使い、ダンスを入れた作品と考えた時、当初からミュージカルを想定していたことが語られた。また、ミュージカルとはいえ、あまり派手な演出はせず、自然なものを心がけたそうで、「前半部分の主人公は特に熱情的なものがあるわけではなく淡々と生活を送るシーンだったと思います。後半部分は主人公が昇進(メジャー会社と契約)し、より派手で熱情的な世界に移っていくのに応じて音楽のモードもより明るく熱情的なものになっていった」と解説。
作中で主人公、アルマティが度々手にし、吹いていた土笛はサッシドナイと呼ばれるカザフスタンの民族楽器で、「両親が主人公に込めた魂のようなもの」とシャリポフ監督。「親から子どもに吹き込まれた魂が、作品の最後に音色を奏ではじめるというのが重要だった」とミュージカルの中に込めた夫婦だけではなく親子の描写についても、その狙いを語った。
また最後の曲で繰り返し登場する「ディギタイ」という言葉は、現代では使われていない古いカザフスタンの言葉で、「翻訳をしながら意味がわからず悩んだ言葉。観客のみなさんがその意味を自由に想像してほしい」と呼びかけた。
 
SOP_Soldier of Love_poster (1).jpg
 
第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで開催中。『愛の兵士』は3月23日(日)15:20よりテアトル梅田で2回目が上映予定。
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
 

激しく、美しく、破滅的 心揺さぶるラブ・サスペンス

femme-logo.jpg

「現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった」


ネイサン・スチュワート=ジャレットとジョージ・マッケイW主演で贈る、心揺さぶるラブ・サスペンス『FEMME フェム』が、3月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開となります。


FEMME_poster.jpgナイトクラブのステージで観客を魅了するドラァグクイーン、ジュールズ。ある夜、ステージを終えた彼は、タトゥーだらけの男プレストンと出会う。だが、その出会いは突然、憎悪に満ちた暴力へと変わり、ジュールズの心と体には深い傷が刻まれる。舞台を降り孤独な日々を送りながら、彼は痛みと向き合い続けていた。数ヶ月後、偶然立ち寄ったゲイサウナでジュールズはプレストンと再会。ドラァグ姿ではない彼を、プレストンは気づかぬまま誘う。かつて憎悪に駆られジュールズを襲った男が、実は自身のセクシュアリティを隠していたことを知ったジュールズ。彼はその矛盾を暴き、復讐を果たすため、密会の様子を記録しようと計画する。ところが、密会を重ねるたび、プレストンの暴力的な仮面の奥にある脆さと葛藤が浮かび上がる。プレストンの本質に触れるたび、ジュールズの心にもまた説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。

 

ベルリン国際映画祭で初披露され、英国インディペンデント映画賞で11部門ノミネートされるなど、賞レースを賑わせた。主演には『キャンディマン』のネイサン・スチュワート=ジャレット、最新作『けものがいる』が日本公開を控えるジョージ・マッケイ。差別的な動機による暴力で心身に深い傷を負ったドラァグパフォーマーが、自らを襲撃した男と危うい駆け引きの渦に引き込まれていく。支配と服従が交錯する先に待つのは、復讐か、それとも赦しか──。


本作のメガホンをとったサム・H・フリーマンとン・チュンピンからコメントが到着しました。
 

Femme_sub06.jpg

『FEMME フェム』の発端となったのは、ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したいという思いから始まった。私たちはこのジャンルを愛しているが、そこにクィアな視点が欠落していることを以前から感じていた。そこで、リベンジ・スリラーの中心にクィアの主人公を据えることで、新たな価値観を提示できると考えた。


しかし、制作が進むにつれ、本作は単なる復讐劇にとどまらず、セクシュアリティ、マスキュリニティ(男らしさ)、家父長制、アイデンティティといったテーマを深く掘り下げる物語へと発展していった。私たち自身の経験や恐怖、怒りを見つめ直すことで、よりリアルで観客に共鳴する物語が形作られたのだ。


Femme_sub01.jpg最終的に、この映画は「ドラァグ」そのものについての物語だと確信した。ジュールズが纏うフェミニンな「ドラァグ」はもちろん、本作に登場するすべてのキャラクターが何らかの「ドラァグ」を纏い、それを通じて自らの力や社会的地位を築いていることに気づいたからだ。本作は、その仮面が剥がれたときに生じる変化を描いている。


また、映画の道徳的な枠組みに縛られることなく、善人が正しい道を歩み、悪人が報いを受ける──そんな単純な構造ではない、現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった。この映画を作ることは、私たち自身にとってもエキサイティングで、カタルシスをもたらす経験となった。観客の皆さんにも、ぜひこの旅に加わってもらいたい。
 

観る者の心をかき乱すラブ・サスペンスの傑作『FEMME フェム』は、3/28(金)より新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。


STORY誘惑こそ復讐

Femme_main-550.jpgのサムネイル画像

ヘイトクライムの標的にされたドラァグクイーンのジュールズは、自分を襲ったグループの一人プレストンとゲイサウナで顔を合わせる。性的指向をひた隠しにしているプレストンに復讐するチャンスを得たジュールズは、巧みに彼に接近していくが、徐々に説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。


監督・脚本:サム・H・フリーマン、ン・チュンピン 
製作:ヘイリー・ウィリアムズ&ディミトリス・ビルビリス 
撮影:ジェームズ・ローズ 編集:セリーナ・マッカーサー
出演:ネイサン・スチュワート=ジャレット、ジョージ・マッケイ、アーロン・ヘファーナン、ジョン・マクリー、アシャ・リード
2023年/イギリス/英語/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
原題:FEMME/字幕翻訳:平井かおり/映倫R18+
配給:クロックワークス
© British Broadcasting Corporation and Agile Femme Limited 2022   
公式サイト:https://klockworx.com/movies/femme/

2025年3月28日(金)~新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。


(オフィシャル・レポートより)

IMG_2890 (1).jpg
 
『ひまわりと子犬の7日間』『あの日のオルガン』の平松恵美子監督最新作『蔵のある街』が、第20回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門作品として3月14日「テアトル梅田」(大阪市北区)で世界初上映された。
 
  倉敷出身の平松恵美子監督が倉敷の美顔地区をはじめ、オール倉敷ロケで挑んだオリジナルストーリーの青春群像劇。高校生の蒼(山時聡真)が、幼なじみの紅子(中島瑠菜)の兄で自閉症の恭介(堀家一希)が木に登り、花火を見ようと探して騒ぎ担っている場に出くわしたことから、二人を助けるために「この街に本物の花火を上げる」と約束してしまう。高校生の壮大な約束が、昔ながらの街のコミュニティーにもさざ波を立て、さらには行動をはじめることで、何事も中途半端だった蒼や、母が去った後、兄や呑んだくれの父のケアをし続け、絵を学ぶ夢を諦めてきた紅子に起きる変化を瑞々しく捉えた感動作だ。
 
 
IMG_2888.jpg
 
   上映後に平松恵美子監督と同じく倉敷出身で恭介ことキョン君役を演じた堀家一希(OAFF2022『世界は僕らに気づかない』主演)と、蒼のアルバイト先のジャズ喫茶のマスターを演じた前野朋哉が登壇した。同級生から映画を作ってと言われても断り続けてきたという平松監督は「コロナ禍で花火を上げたという倉敷の同級生のエピソードがとてもよく、当時唯一いい気持ちになれる話だった。今は会えなくてもいつかは会いたい人のことをお互いに思い合いながら花火をあげる。そこから無謀な試みだとは思ったが、(映画の中の)倉敷で花火を上げることになりました」と製作の経緯を説明。エンドロールの花火映像は、新型コロナウィルスが第5類に分類される前までのコロナ禍で開催された花火大会の映像を大きな大会から、小さい地域のものまで集めて映し出しており、映画の中の花火の映像も集められた映像の中から使わせていただいたと花火の映像に込められた多くの協力者へ感謝の気持ちを表した。
 
    今回、平松監督作品に初出演となった堀家さんと前野さんはオファー時のことを振り返り、
「素直に嬉しかった。全編を通して平松さんの私的な話が入っており、セリフの一言一言に温かみを感じます。ここ(倉敷)に帰れるのかと嬉しかった」(堀家)
「倉敷の美観地区は本当に地元で、青春時代を暮らした場所。脚本を読みながら、すごくイメージが湧きました。倉敷で100%ロケの作品を見たことがなかったのでワクワクしましたし、ストーリーも最高でした」と故郷で撮影される平松監督オリジナル脚本の作品への出演に感無量の様子。
 
 

ID13_The Tales of Kurashiki_main (1).jpg

 
 今回、堀家一希が演じたキョン君は、レオナルド・デ・カプリオが一躍脚光を浴びた『ギルバート・グレイプ』で、高いところに登るのが好きな知的障害を持つ弟の役を彷彿とさせたが、平松監督も「堀家君は難しい役で心配していましたが、現場で話し合いをし、いつもニコニコした彼自身のキャラクターが、キョン君のキャラクターに合っていました」と賞賛。堀家も木の上の撮影が初日で「高いところにいるとみんなが心配してくれました」。
一方、平松監督が「安心感しかなかった」と讃えた前野朋哉は、ジャズ喫茶アベニューでのロケに、「高校時代通った思い出の場所でテンションが上がった」。今回は初めてのドラムプレイにもチャレンジしたという。
 
 
ID13_The Tales of Kurashiki_poster.jpg
 
 観客からは倉敷出身フィギュアスケーターで、映画初出演の本作で美術館の学芸員役を演じた高橋大輔に関する質問が寄せられ、学校は違うが成人式は一緒だったという同級生の前野が「倉敷のチボリ公園での成人式では高橋選手を同級生たちが取り囲み羨ましく思っていたが、まさか映画で共演できるとは思っておらず、嬉しかったです。ジャズ喫茶のシーンが高橋さんのクランクインでしたが、最初は緊張していたようで、撮影は『オリンピックより緊張した』そうです」とエピソードを紹介。堀池も「めちゃくちゃいい人です」と絶賛しつつ、一緒に散歩へと去っていくシーンで、後ろ姿のときに思わぬ質問が飛んできたことを回想。平松監督も「物腰よく、とても素敵な方」とその人柄や、現場で演技に慣れる速さに驚いた様子だった。
『蔵のある街』は7月25日倉敷先行公開、8月22日より新宿ピカデリー他全国ロードショー
 
 
第20回大阪アジアン映画祭は3月23日まで開催中。
詳しくはhttps://oaff.jp まで。
 
(C)2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会
 

Vaathi-550.jpg

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96