
■「なぜ桐島聡はわざわざ本名を名乗ったのか」を考え続けて

■逃げる闘いを続ける人へのメッセージではないか

■若い頃の桐島役に入れ込んでいた杉田雷麟

■中年以降の桐島を演じた古舘寛治

■ラッキーを呼び込んでいた桐島の人となり








2025年3月23日(日)に第20回大阪アジアン映画祭が閉幕し、『カンフーハッスル』脚本家フオ・シンの初監督作品となる壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)がグランプリ(最優秀作品賞)に輝いた。また、注目の観客賞は、平松恵美子監督の『蔵のある街』(日本)が選ばれた。グランプリ以下各賞を受賞結果とともにご紹介したい。
■ グランプリ(最優秀作品賞)






■日時:2025年3月18日(火)18:30~
■場所:シネマート新宿
■登壇者:アダム・エリオット(監督) MC:東紗友美
第97回アカデミー賞(R)長編アニメーション賞ノミネート、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)受賞をはじめ各国の映画祭を席巻している珠玉のストップモーション・アニメーション映画『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほかにて全国公開となります。
幼い頃から周囲に馴染めず、孤独を抱えて生きてきた女性グレース。カタツムリを集めることだけが心の拠り所だった彼女が、個性豊かな人々との出会いと絆を通して少しずつ生きる希望を見出していく…。本作は、波乱万丈な半生をユーモアとサプライズ満載で優しく描いた温かな人生賛歌。オスカー受賞歴を持つアダム・エリオット監督が8年間もの製作期間をかけ、<セット数200、小道具700個、総カット数13万5千>という膨大な手作業によって生み出された、愛と情熱にあふれたクレイアニメーションだ。時にブラックユーモアやビターな現実も織り交ぜながら、人生の喜びと悲しみにそっと寄り添う視点は、批評家・観客双方から絶賛を集め世界中で数々の映画賞を獲得。アヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞(最高賞)に輝き、アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされた。
この度、3月18日(火)にアダム・エリオット監督が登壇しての先行上映が行われましたので、その模様を下記にて紹介itいたします。
その『かたつむりのメモワール』が、6月27日(金)の公開を前に、来日したアダム・エリオット監督が上映後Q&Aに登壇するスペシャル先行上映が3月18日(火)シネマート新宿にて行われた。アダム・エリオット監督は21年前となる2004年の『ハーヴィー・クランペット』でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集めたのち、日本でも2011年に公開された初長編作品『メアリー&マックス』(2009)でアヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。『かたつむりのメモワール』は実に15年ぶりの待望の長編新作となるアダム・エリオット監督。登壇時には、本作の「主演」でもあるカタツムリの帽子を被ったグレースの人形も一緒だった。
日本文化が好きというエリオット監督。今回に来日については、「明日、新潟国際アニメーション映画祭に行くんですけれども、今回は5日間と割と短い滞在です。実は今回で6回目の来日で、日本に来るのは大好きです。日本の文化も、その文化をリスペクトして守っている日本の方々も大好きです。そして何よりも僕の映画に出てくるジョークを理解してくれて、笑ってほしいポイントでしっかり笑っていただけるっていうのが、すごく嬉しいです」と手放しで喜びを語った。「前作の『メアリー&マックス』(2009年 ※日本公開は2011年)から15年ぶりとなる新作ですね」とMCから振られると、「かなり時間が経っていますから、この作品を発表した時、結構驚かれた方も多かったんですよね。あまりにもしばらく見ていなかったから(監督は)死んじゃったのかな?と思っていた方もいるぐらいなんです。次の長編はこんなにお待たせしないように3~4年くらいで届けしたいなと思っています」と早くも次回作の構想も持っていることを明かした。
今作はアヌシー国際映画祭での最高賞であるクリスタル賞受賞を始め、世界中の映画祭を巡り、先日はついにアカデミー賞長編アニメーション部門のノミネーションを果たした。授賞式に参加された時の気持ちを聞かれたエリオット監督は、「25年前に『ハーヴィー・クランペット』で(短編アニメーション映画賞を)受賞をしてはいますが、アカデミー賞にまさか2回もノミネーションされるなんて、まるで稲妻に2回打たれるような、そんなことだというふうに思いました」と、『ハーヴィー・クランペット』の主人公が雷に打たれる場面と絡めてユーモアを持って答えた。そして「授賞式は、正直ストレスを感じました。たくさんの人に(自分を)見られますし、取材やメディアの数もとても多くてちょっと疲れてしまいました(笑)。私はむしろ、こういった上映の場のQ&Aを通して観客のみなさんとお話しできる方が楽しいです」と素直な気持ちを語った。
「どんな人生にも光と闇がある。だから自分はそれを映画で描いている」
「世界のどの国で見られても、共感されるキャラクターを心がけている」
Q&Aに移ると、早速、今日の上映に駆けつけたファンから次々と手が挙がった。
最初の質問は、監督の作風についての質問で、「時に世の中の残酷な一面も描く作風や表現方法は、どのようにして生まれたのか?」という質問。エリオット監督は、「私たちの人生には笑えることも悲しいこともあります。光と闇があるんです。ですので、私の映画はみんなの人生を反映させているだけなんです。その上で、映画を観ていただいた時に、何か皆さんの“(心の)栄養”になるような作品を作りたいんです。単に楽しいとか悲しいという以外に、何かが心に残るような作品です。2回、3回と繰り返し観たくなり、映画を観たそれぞれの方々にとって特別な意味を持つような作品を作りたいです」と真摯に返答した。
さらに「例えば『自分はこの世界であまり価値がないんじゃないか?』と思ってらっしゃる方や、『自分は他の人には見えずに、透明人間みたいになってるんじゃないか?』と思ってるような方に、『いや、自分は価値があるんだ、一人じゃないんだ』と感じられる助けにもなれるようなキャラクターを作るように心がけています。今作の主人公であるグレースは、映画の中で孤独な時間を経験します。でも、おそらくみなさんも人生のどこかでそういう経験をなさっているのではないかと思いますし、社会に居場所がないと感じる人もいらっしゃるかもしれない。実は私自身も、この変わった作風のせいで、映画業界ではなかなか話せる人がいないんですよね。そういう時、自分には居場所がないんじゃないか?と思ってしまったりすることもあります。だからこそ、今回のようなQ&Aがとても好きなんです。それは自分の友人をここで見つけることができるから。ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、グレースは私自身なんですよね。他のキャラクターにも同じく私自身が投影されています。自分が作るキャラクターはとにかく国を問わず、みなさんが共感できるということを大事にしているんです」と語ると、会場からも拍手が起こった。
『メアリー&マックス』に続き、エリオット監督作品のエンディングは、忘れられないようなカタルシスをもたらす。本作も例外ではなく、上映後もXには「こんなの見せられたら泣くよ!」といった感動のコメントが続々と投稿されている。(ネタバレになるので書けないものの)映画を観た観客からはエンディングについての質問も挙がった。エリオット監督は、「私が書き始めた時、8年前ですが16本の脚本のドラフトを作ったんです。実は、最初の案は少し悲しすぎるものでした。今までの作品はあまりハッピーエンディングとは言えないものでしたので、今回はハッピーエンディングにしたかったんです。ただ、安易な形ではなく、主人公のグレースが、自分の価値を見つけて、自立した強い女性になるところまではきちんと描きたかったんです。エンディングはある意味、彼女が報われるようなものにしたかったから、今の形になりました」と丁寧に意図を語った。
観客からは少し角度を変えた質問もあった。「オーストラリアでは土葬が主流なはずだが、映画では火葬が登場する。これには何か意図がありますか?」という質問が挙がると、エリオット監督は「実はオーストラリアでは、以前は土葬が主流でしたが、現在は火葬も増えているんです。今回、火葬を選んだのは、『身体が灰になる』ということでコメディ要素に使い易かったからです。また、オーストラリアでも日本と同じように遺灰を壺に入れて家に置いていらっしゃる方が多いんですね。土葬だとお墓になって墓地に置かれるけれども、火葬だとなぜ皆さん家に持って帰るんだろうってことがとても不思議だったんです」と“死”にまつわるものへの興味が前々からあったことを明かした。
「すべてが手作りでCGは一切使用していないということ」
「良質なアートというものは人間の手によって作られるものなんです」
最後に本作の見どころをたずねられたエリオット監督。すると即座にこう答えた。「全部が手作りでリアルだということです。CGは一切使用していません。火事は黄色のセロファンを使っていますし、タバコの煙はコットン(綿)です。人形たちの“涙”については、(『これは言ってもいいのかな(笑)?』とスタッフを見遣りながら)性交時などに使われるローションを使っています」と明かすと、会場からも驚きの歓声が上がった。監督は続けて「CGで作られるアニメーションも多いけれど、おそらくこの先、CGI(※Computer Generated Imageryの略で、コンピューターグラフィックスで生成した画像やアニメーション)によってアニメーションが作られていくということが、残念ながら増えていくのではないかと憂えています。そこで皆さんにも思い出していただきたいのが、『良質なアート』というものはやはり人間の手によって作られるものだということで、AIというものは、『人間の経験』というものを取って変わることができない、絶対にできないんだということ。AIが今後どういうふうに活用されるかということは、しっかりと見ていきつつ、やはり日本を含め、世界中のアーティストを祝福するような、そういう映画の見方であったり、作品の見方をしていきたいと思います。ありがとうございました!」と力強く締め括ると、会場からは盛大な拍手が沸き起こった。
【アダム・エリオット監督 プロフィール】

メルボルンを拠点にインディペンデントで活動するオーストラリア人のアニメーター、ビジュアル・アーティスト。家族や親族を題材にした短編『アンクル』(1996)、『カズン』(1998)、『ブラザー』(1999)で国内外のアニメーション賞を数多く受賞し、ジェフリー・ラッシュがナレーションを担当した『ハーヴィー・クランペット』(2004)でアカデミー賞(R)短編アニメーション賞ほか32に及ぶ映画賞を受賞し、一躍世界的な注目を集める。初長編作品『メアリー&マックス』(2009)はサンダンス映画祭でプレミア上映され、アヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞。劇場上映後も配信で人気を博し、現在ブロードウェイ・ミュージカルとヨーロッパで6つの舞台化が進行している。これまでのキャリアで1000以上の映画祭に招待され100以上の賞を受賞。パリ、日本、カナダ、メキシコ、スペイン、シンガポールで彼の“クレヨグラフィー(クレイアニメーションのバイオグラフィー)”の展覧会や回顧展が多数開催されている。
<作品概要>
製作期間8年!セット数200、小道具7000個、カット数13万5000…
ストップモーション・アニメへの途方もない愛と情熱が生んだ、温かな人生賛歌!
ギレルモ・デル・トロ監督も絶賛!
「大好きな映画。人生を肯定する美しさとユーモアにあふれている」
時にブラックユーモアも織り交ぜながら、誰もが共感できる人生の喜びと悲しみ、ほろ苦さにそっと寄り添う温かな視点は、批評家・観客双方から賞賛を集めている。ロンドン映画祭では実写映画も含むすべての作品のなかで最優秀作品賞に輝き、全米批評サイトRotten Tomatoesでは95%フレッシュの圧倒的な高評価を獲得している(1/21時点)。
昨年10月に開催された第37回東京国際映画祭で『メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)』として出品された本作は、エリオット監督の15年ぶりの待望の最新作ともあり大きな話題を集め、チケットは即完売。満席の大盛況となり、SNS上で「アヌシー最高賞も納得の傑作」「すべてが愛しい」「クレイアニメのチャーミングさに泣き笑う」と感動と愛に満ちた絶賛の口コミが多数投稿され、いち早く本作を鑑賞した日本の映画ファンたちに大好評で迎えられた。
<STORY>
1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親の3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかし突然、父が睡眠時無呼吸症候群で亡くなり、グレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことに。離れ離れになった2人は手紙で励まし合い「いつか必ずまた会おう」と約束するが、グレースは寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となった孤独な日々を送るようになる。そんなある時、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、2人はいつしかかけがえのない友だちになっていく…。
監督・脚本:アダム・エリオット『メアリー&マックス』『ハーヴィー・クランペット』
出演(声):サラ・スヌーク『スティーブ・ジョブス』『プリデスティネーション』、ジャッキー・ウィーバー『世界にひとつのプレイブック』、コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、ドミニク・ピノン『アメリ』、エリック・バナ『ハルク』、ニック・ケイヴ
2024年/オーストラリア/英語/94分/カラー/5.1ch/G
原題:Memoir of a Snail/日本語字幕:額賀深雪
配給:トランスフォーマー
©2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/katatsumuri/
(オフィシャル・レポートより)


激しく、美しく、破滅的 心揺さぶるラブ・サスペンス

ネイサン・スチュワート=ジャレットとジョージ・マッケイW主演で贈る、心揺さぶるラブ・サスペンス『FEMME フェム』が、3月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開となります。
ナイトクラブのステージで観客を魅了するドラァグクイーン、ジュールズ。ある夜、ステージを終えた彼は、タトゥーだらけの男プレストンと出会う。だが、その出会いは突然、憎悪に満ちた暴力へと変わり、ジュールズの心と体には深い傷が刻まれる。舞台を降り孤独な日々を送りながら、彼は痛みと向き合い続けていた。数ヶ月後、偶然立ち寄ったゲイサウナでジュールズはプレストンと再会。ドラァグ姿ではない彼を、プレストンは気づかぬまま誘う。かつて憎悪に駆られジュールズを襲った男が、実は自身のセクシュアリティを隠していたことを知ったジュールズ。彼はその矛盾を暴き、復讐を果たすため、密会の様子を記録しようと計画する。ところが、密会を重ねるたび、プレストンの暴力的な仮面の奥にある脆さと葛藤が浮かび上がる。プレストンの本質に触れるたび、ジュールズの心にもまた説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。
ベルリン国際映画祭で初披露され、英国インディペンデント映画賞で11部門ノミネートされるなど、賞レースを賑わせた。主演には『キャンディマン』のネイサン・スチュワート=ジャレット、最新作『けものがいる』が日本公開を控えるジョージ・マッケイ。差別的な動機による暴力で心身に深い傷を負ったドラァグパフォーマーが、自らを襲撃した男と危うい駆け引きの渦に引き込まれていく。支配と服従が交錯する先に待つのは、復讐か、それとも赦しか──。
本作のメガホンをとったサム・H・フリーマンとン・チュンピンからコメントが到着しました。
『FEMME フェム』の発端となったのは、ネオノワール・スリラーというジャンルに根付く「ハイパー・マスキュリニティ(過剰な男らしさ)」の概念を覆したいという思いから始まった。私たちはこのジャンルを愛しているが、そこにクィアな視点が欠落していることを以前から感じていた。そこで、リベンジ・スリラーの中心にクィアの主人公を据えることで、新たな価値観を提示できると考えた。
しかし、制作が進むにつれ、本作は単なる復讐劇にとどまらず、セクシュアリティ、マスキュリニティ(男らしさ)、家父長制、アイデンティティといったテーマを深く掘り下げる物語へと発展していった。私たち自身の経験や恐怖、怒りを見つめ直すことで、よりリアルで観客に共鳴する物語が形作られたのだ。
最終的に、この映画は「ドラァグ」そのものについての物語だと確信した。ジュールズが纏うフェミニンな「ドラァグ」はもちろん、本作に登場するすべてのキャラクターが何らかの「ドラァグ」を纏い、それを通じて自らの力や社会的地位を築いていることに気づいたからだ。本作は、その仮面が剥がれたときに生じる変化を描いている。
また、映画の道徳的な枠組みに縛られることなく、善人が正しい道を歩み、悪人が報いを受ける──そんな単純な構造ではない、現実に生きるキャラクターたちの葛藤と生存の物語を描きたかった。この映画を作ることは、私たち自身にとってもエキサイティングで、カタルシスをもたらす経験となった。観客の皆さんにも、ぜひこの旅に加わってもらいたい。
観る者の心をかき乱すラブ・サスペンスの傑作『FEMME フェム』は、3/28(金)より新宿シネマカリテ、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開。
STORY: 誘惑こそ復讐
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ヘイトクライムの標的にされたドラァグクイーンのジュールズは、自分を襲ったグループの一人プレストンとゲイサウナで顔を合わせる。性的指向をひた隠しにしているプレストンに復讐するチャンスを得たジュールズは、巧みに彼に接近していくが、徐々に説明のつかない感情が芽生え始める。待ち受けるのは復讐か、それとも──。
監督・脚本:サム・H・フリーマン、ン・チュンピン
製作:ヘイリー・ウィリアムズ&ディミトリス・ビルビリス
撮影:ジェームズ・ローズ 編集:セリーナ・マッカーサー
出演:ネイサン・スチュワート=ジャレット、ジョージ・マッケイ、アーロン・ヘファーナン、ジョン・マクリー、アシャ・リード
2023年/イギリス/英語/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
原題:FEMME/字幕翻訳:平井かおり/映倫R18+
配給:クロックワークス
© British Broadcasting Corporation and Agile Femme Limited 2022
公式サイト:https://klockworx.com/movies/femme/
(オフィシャル・レポートより)






『KCIA南山の部長たち』『ソウルの春』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』に続き、韓国現代史の闇を市民の人々の視点で描く『1980 僕たちの光州事件』が、4月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開いたします。果たして、これまで同じ光州事件を舞台に映画で描かれていた作品と本作との違いとは何なのか?ぜひ本ニュースのご掲載をお願いいたします。
『KCIA 南山の部長たち』では長年独裁者の座に君臨したパク・チョンヒ大統領の暗殺事件を、『ソウルの春』ではその直後に起きたチョン・ドゥファンによる軍事クーデターを、それぞれ史実を基にしたフィクションとして傑作映画に仕立て上げ大ヒットに導いた韓国映画界。そんな中、忘れてはならないのが『ソウルの春』で権力の座を簒奪した軍事政権が引き起こした歴史的悲劇「光州事件」だ。先の2作品と同じく大ヒットを記録した『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』で描かれたのは、民主化を叫ぶ善良な市民たちを虐殺する軍人たちの姿を、世界に伝えなければという使命感に目覚めてゆくタクシードライバーとドイツ人記者のエモーショナルな姿だった。本作はその事件のど真ん中に生活をしていた「ごく普通の家族」の姿に焦点を当て、権力が市民の小さな幸福をいかにして踏みにじったのか、そして悲劇の中にあっても大切な人を守りたいと願う思いがいかに尊いものであるかを、時にユーモアを交えながらも切々と描いてゆく。涙なくしては語れない韓国現代史劇の新たな傑作映画がここに誕生した。
『ソウルの春』がもたらした一つの残酷な結末であり 『1987、ある闘いの真実』に続く物語であると同時に、『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』とは似て非なる1980年5月の物語
本作で描かれた<5.18光州民主化運動>は、<12.12軍事クーデター>を扱った『ソウルの春』の結果であり、<6月民主抗争>を扱った『1987、ある闘いの真実』の始まりに関する話として、韓国現代史において最も重要な瞬間だったと言える。カン・スンヨン監督は「背景となる79年、80年は、韓国の現代史において18年間の抑圧的な独裁政治を断ち切り民主化へ進むのか、あるいは退行するのか、揺れ動く激動の時期でした」と言い、「1980年5月18日から5月27日までの10日間、無慈悲な公権力と国軍の銃口に抗議し抵抗した市民たちの志は、5.18民主化運動として昇華され、更に1987年6月10日の抗争へと続く民主化の熱望の種となったんです」と語る。だからこそ本作は<5.18光州民主化運動>を一つの事件として切り離して描くことをせず、歴史の流れにおける重要な精神を描こうと務めている。
しかし本作は『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』と同じ時期の同じ土地を描いてはいるものの、その性質を大きく異にする物語だ。この2作品の異なる点は、『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』が外部の人間の目線でその日の光州を描いたのに対し、本作は光州の南道庁裏通りで5月17日に中国料理店を開業したチョルス一家と近所に暮らす人々の目線、つまりはその土地で生活し自分たちのささやかな幸せを守りたいと願う「私たちの物語」だという点である。愛すべき隣人たちがそれぞれの立場に分かれ、普段の私たちを支えている根本的な常識が崩れていく。彼らが感じた混乱と不安を観客は肌で感じることになるだろう。
カン・スンヨン監督は1980年のあの時をそのまま再現するために心血を注ぎ、3ヶ月間のデザイン設計と2ヶ月間の施工、合計約5ヶ月の準備期間を経て作り上げられた。平凡な暮らしとささやかな幸せだけを願った家族を襲った悲劇を市民の人々の視点でリアルに描き、涙なくしては語れない韓国現代史劇の新たな傑作映画がここに誕生した。
STORY:1980年5月17日。チョルスの祖父は念願だった中国料理の店をオープンさせる。父親はどういうわけか家にいないけれど、チョルスの大好きな幼馴染のヨンヒや優しい町の人たちに祝福されて、チョルスと家族は幸せに包まれていた。しかし輝かしい未来だけを夢見る彼らを、後に「光州事件」と呼ばれる歴史的悲劇が待ち受けていた。
監督・脚本:カン・スンヨン
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ
2024年/韓国/韓国語/99分/シネマスコープ/5.1ch
字幕翻訳:本田恵子/字幕監修:秋月望
/原題:1980/映倫G
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx.com/movies/1980/
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(オフィシャル・リリースより)