映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

2013年10月アーカイブ

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~世界でただひとつ「歴史」をテーマにした映画の祭典~

京都ヒストリカ国際映画祭の概要が29日、大阪・北区の東映関西支社で発表された。5回目の今年は、11月30日から12月8日まで9日間、京都文化博物館を拠点にTジョイ京都、MOVIX京都の両シネコンで開かれる。

オープニングは東映の正月作品『利休にたずねよ』、クロージングは松竹『武士の献立』でいずれも京都撮影所で作られた時代劇。5回目で最初と最後を日本映画が飾るのは初めて。“映画の都”にふさわしい映画祭になりそうだ。

historika13-4.jpg  世界各国からの名作のほか、今年は修復された歴史的名作を上映する「ヒストリカ・クラシックス」も決まり、ファンの期待を集めている。クラシックス上映予定作品は、日本から小津安二郎監督の初カラー作品『彼岸花』(58年)、ドイツからエルンスト・ルビッチ監督『ファラオの恋』(22年=05年修復版、11年修復版)、ヒッチコック監督は『リング』(27年)、『恐喝(ゆすり)』(29年)はサイレントとトーキーの2種類。もう1本、事実上のデビュー作と言える『快楽の園』(25年)もある。来年、映画デビュー100年を迎える世界の喜劇王チャップリンはじめ、彼の先輩世代の作品を収めた『ヨーロッパの初期喜劇映画からチャップリンへ』(09~14年)も貴重な日本初上映。

 またアジア映画ファンが喜ぶラインナップも盛りだくさん。『ソード・アイデンティティ』(OAFF上映名は『刀のアイデンティティ』)のシュ・ハオフォン ュ監督最新作『ジャッジ・アーチャー』日本初上映や、OAFF2011ABC賞を受賞した『アンニョン!君の名は』パンジョン・ピサンタナクーン監督の最新大ヒット作『ピー・マーク』も上映。いずれも監督によるティーチインが予定されている。ショーン・ユー、イーサン・ルァン、ホァン・シャオミンと中華圏のスターが集結したアンドリュー・ラウ監督『フライング・ギロチン』の日本初上映も見逃せない。

historika13-3.jpg 期間中、上映作品と連動したトークショー、ティーチインもある。ゲスト予定者はオープニング上映『利休にたずねよ』の田中光敏監督、原作の山本兼一。クロージング作品『武士の献立』の朝原雄三監督、主演の上戸彩、高良健吾のほか是枝裕和監督、原田眞人監督、滝田洋二郎監督、井筒和幸監督、海外から『ジャッジ・アーチャー』のシュ・ハオフォン監督、『ピー・マーク』のバンジョン・ピサンタナクーン監督(タイ)、さらに映画史家デイヴィッド・ロビンソンも登場する。また、作家でタレントの飯干景子さんが映画祭キャラクターとして参加する。

※入場料は1回券が前売り券1000円(当日1200円)。3回券前が売り券2700円(3回券3300円)。オープニングとクロージングは前売り当日ともに2000円(クロージングは舞台挨拶あり、当日券は残席ある場合のみ)。

  映画祭スタッフが世界各国約140本の候補から厳選した今年の歴史映画、クラシックスの上映日程は以下の通り。


【11月30日】
中国『ソード・アイデンティティー』、伊仏スペイン『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』、日本アニメ『伏  鉄砲娘の捕物帳』(京都文化博物館)。
オープニング~トークショー、東映『利休にたずねよ』、中国・香港『フライング・ギロチン』、中国『ジャッジ・アーチャー』 (T・ジョイ京都)。

【12月1日】
独『ハックルベリー・フィンの冒険』、韓国『風と共に去りぬ!?』、タイ『ピー・マーク』(京都文化博物館)

【12月2日】
クラシックス=英独『快楽の園』(MOVIX京都)

【12月3日】
米『スウィート・エンジェル』、クラシックス=『ヨーロッパの初期喜劇映画からチャップリンへ』(京都文化博物館)
クラシックス=英『リング』(MOVIX京都)

【12月4日】
ノルウェー『エスケープ  暗黒の狩人と逃亡者』、クラシックス=英『恐喝(ゆすり)』トーキー版(京都文化博物館)
ヒストリカ、英『恐喝(ゆすり)』(MOVIX京都)

【12月5日】
独『ハックルベリー・フィンの冒険』、クラシックス=『ヨーロッパの初期喜劇映画からチャップリンへ』。クラシックス=松竹『彼岸花』(MOVIX京都)

【12月6日】
米『スウィート・エンジェル』、クラシックス=独『ファラオの恋』(05年修復版)(京都文化博物館)
独クラシックス=『ファラオの恋』(11年修復)(MOVIX京都)

【12月7日】
ノルウェー『エスケープ  暗黒の狩人と逃亡者』、中国・香港『フライング・ギロチン』、タイ『ピー・マーク』(京都文化博物館)

【12月8日】
韓国『風と共に去りぬ!?』、伊仏スペイン『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』(京都文化博物館)
クロージング、松竹『武士の献立』(MOVIX京都)


第5回京都ヒストリカ国際映画祭公式サイトはコチラ


(安永 五郎)


 

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We_Are_the_Best!_main.jpg10月25日(金)に閉幕した第26回東京国際映画祭。最終日にコンペティション部門、アジアの未来部門、日本映画スプラッシュ部門の審査結果および観客賞が発表された。今年の東京サクラグランプリに輝いたのは、審査委員長のチェン・カイコー氏が、「最高賞には、卓越した完成度を求めました。情熱と魅力にあふれ、本物の人間の絆を、生き生きとしたエネルギッシュな演技で描いたこの作品に、審査委員は満場一致で決めました」とコメントしたスウェーデン映画『ウィ・アー・ザ・ベスト!』が受賞。また、観客賞にはキム・ギドク氏が脚本を担当した韓国映画『レッドファミリー』が受賞した。以下本年度の受賞結果と受賞コメントを紹介したい。


<受賞結果および受賞コメント>
コンペティション
東京サクラグランプリ東京都知事賞『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(監督:ルーカス・ムーディソン)

受賞コメント:「思いもよらない受賞なので驚いています。東京国際映画祭に参加できるだけでも光栄ですので、本当に感無量です。私の妻であるココが、この原作を書きました」

・審査員特別賞『ルールを曲げろ』(監督:ベーナム・ベーザディ)
受賞コメント:「この賞を、イランの若者、アーティストやレッドラインを超える勇気ある人々に捧げます」

・最優秀監督賞ベネディクト・エルリングソン(『馬々と人間たち』)
受賞コメント:(トロフィーを頭の上に掲げ「重要な賞です。これは私だけでなく、クルー、スタッフ、ミュージシャン、出演者、そして馬たちのものです。馬たちに言いたいのは、ヒヒーン!」

・最優秀女優賞ユージン・ドミンゴ(『ある理髪師の物語』)
受賞コメント:「緊張しています。思いも寄らない受賞で、賞金もいただけるなんて!この賞をとても重要な方と共有したいと思います。皆さん、信じられないかもしれませんが、実は私は喜劇役者なんです。電気も電話もないみじめな気持ちになるような現場の撮影に私を呼んでくださった、本作品の監督であるジュン・ロブレス・ラナさんに感謝します」

・最優秀男優賞ワン・ジンチュン(『オルドス警察日記』)
受賞コメント:「監督が頑張ってくださったおかげで、この賞を手にしています。私は、家族を愛し、友人を愛し、映画を愛しています。翼をいただいた気分です。世界を照らす翼です」

・最優秀芸術貢献賞『エンプティ・アワーズ』(監督:アーロン・フェルナンデス)
受賞コメント:(ビデオメッセージで)「コンニチハ!先ほど素晴らしいニュースをいただきました。本当に嬉しいです。今回の受賞には、特別な意味があります。製作チームが初めて受賞した賞だからです。東京で私の代わりにお酒を飲んで祝ってください!」

・観客賞『レッド・ファミリー』(監督:イ・ジュヒョン)
受賞コメント:「キム・ギドク氏の素晴らしい脚本とここにいる素晴らしい俳優に感謝します。作品からのメッセージが観客に伝わっていると感じていましたが、この賞がそれを証明してくれました」

アジアの未来
作品賞『今日から明日へ』(監督:ヤン・フイロン)

受賞コメント:「ありがとうございます」

・スペシャル・メンション『祖谷物語-おくのひと-』(監督:蔦哲一朗)

日本映画スプラッシュ
作品賞『FORMA』(監督:坂本あゆみ)

受賞コメント:「このような賞をいただき胸がいっぱいで言葉が出ません。6年前に製作を始めたのですが、体調を崩したりと、6年もかかって作りました」

(TIFF2013プレスリリースより抜粋)

 

barber5.JPG写真左よりジュン・ロブレス・ラナ監督、ユージン・ドミンゴさん、ペルシ・インタランプロデューサー

『ある理髪師の物語』(2013年 フィリピン 2時間)
監督・脚本:ジュン・ロブレス・ラナ 
出演:ユージン・ドミンゴ、エディ・ガルシア、アイザ・カルサド、グラディス・レイエス

 

~戒厳令下の70年代フィリピン、不条理に立ち向かう女たちの魂の物語~

Barber's Tales_main.jpg昨年のTIFFで「アジアの風部門」スペシャル・メンション賞を受賞した『ブワカウ』のジュン・ロブレス・ラナ監督と、TIFF2011『浄化槽の貴婦人』のユージン・ドミンゴが、70年代のフィリピンを舞台に田舎で暮らす未亡人女性の自立と目覚めを描く『ある理髪師の物語』。マルコス政権下で反乱軍の摘発が頻繁に行われ、戒厳令が敷かれる中、理髪師の夫に先立たれた妻が村の女友達と共に、様々な偏見や社会矛盾に立ち向かう様をゆったりとした時間の流れの中、しなやかに、時には強く表現する感動作だ。

AA7W0323.JPG特筆すべきは、今までコメディー作品や舞台でキャリアを重ねてきたユージン・ドミンゴが初めてシリアスな長編ドラマの主人公メリルーを演じたことだ。夫の言うことを聞くしかなかった控えめな主婦から、男社会の理髪師の世界に足を踏み入れ、次第にその腕前を認められていく自立の様子を芯の強い表情で魅せる。抑制し続けた感情を爆発させ、怒りを解き放ち、政府に反旗を翻すメリルーの決意の表情は、物語が終わった後も心に残り、最優秀女優賞にふさわしい見事な演技だった。

今年コンペティション部門に選出された同作は、ワールドプレミア上映され、観客から大喝采を浴びた。上映後のQ&Aも本作の狙いについて熱く語るジュン・ロブレス・ラナ監督や、茶目っ気たっぷりにキャスティングの経緯を語るユージン・ドミンゴさんの軽快トークで大いに盛り上がった。一部記者会見の模様を交え、翌日に行われた独占インタビューと合わせて、ご紹介したい。


(ワールドプレミア上映後のQ&A)


━━━最初のご挨拶
ジュン・ロブレス・ラナ監督(以下監督):みなさん、こんばんは。本日は私の作品を観に来てくださって、本当にありがとうございます。昨年も東京国際映画祭に参加させていただき、また今年も戻ってくることができたのは信じられない思いです。コンペで上映していただくことができて、大変光栄に思います。
ユージン・ドミンゴ(以下ドミンゴ):みなさん、こんばんは。お越しいただきましてありがとうございます。本日この作品を観に来てくださったフィリピンの方、本当にありがとうございます。この作品はフィリピンの皆さんのために作った作品です。そして、初めてみなさんと共に初めてこの作品を観ることができて、大変うれしく思っています。本当に胸がいっぱいです。日本は天気が穏やかで、過ごしやすく大好きです。
ペルシ・インタランプロデューサー:みなさん、こんばんは。本日は私達の作品を観に来てくださってありがとうございます。プレミアという形でみなさんもはじめてこの作品を観ていただくことになったわけですが、先ほど皆さんのリアクションを拝見させていただいて、大変ワクワクしました。ありがとうございました。

barber3.JPG━━━なぜ、今70年代を描こうとしたのか、この作品の背景を教えてください。
監督:こちらの作品はトリロジーとなっており、昨年上映させていただいた『ブワカウ』と一連となる作品になっています。これらの作品は「孤立」を表現しています。それぞれが「死」ばかり考えているような作品になっていました。『ある理髪師の物語』では70年代、一般的に期待されていた女性像が描かれていたと思うのですが、現在私が手がけている3作目は14歳の孤児が主人公で、自分の父親が実は神父だと分かり、唯一残された家族を辿りるため自分も宗教の道に入っていく様子が描かれています。それぞれの作品ではアイデンティティーや自由、セクシュアリティーを扱っています。本作の時代背景(70年代)はフィリピンの歴史でも激動の時代で、40年経った今でも当時の問題は今でも残っていることをごらんいただきたいと考え、この作品を作りました。

barber6.JPG━━━メリルー役にキャスティングされた経緯は?
ドミンゴ:私がキャスティングされるまでの話は多分45分ぐらいかかると思いますが、みなさんお付き合いいただけますか?私は主にコメディー映画に出演していたのですが、あるときプロデューサーから作品の話があり、監督が『ブワカウ』のジュン・ロブレス・ラナ監督と教えてくれました。ただその時はもっとギャラを払ってくれるメジャースタジオでの5つぐらいの作品に関わっていたので、全く脚本を読む余裕がありませんでした。それから1~2年経った時、主役女優をまだオーディションしていると聞き、連絡を入れると「脚本を読んでみないか」とメールで送ってくれたんです。しかし何度送ってもらってもメールが開かず、5回ぐらい送ってもらい、やっとメールが開き、ようやく読み始めることができました。

読んでみると、皆さんが映画をご覧になっていたときのリアクションと同様に、マリルーが市長を刺したとき、私も叫びましたし、市長の妻が飛び降りたときも、思わず叫んでしまいました。読み終わったときには拍手をして、監督に電話をかけたんです。「国にとっても、女性にとっても、普遍的なメッセージを含んだ素晴らしい作品です」と伝えました。その後に、メールで「私のことを採用したかったのでは?」と送ると、「受けてくれるんですか?」と言われ、やっとこの役を私が演じることになりました。なかなか意志の疎通ができていなかったのですが、やっと作品として出来上がり、みなさんにこのような形でご覧いただくのは夢が実現したように思います。私のようなコメディーをメインにした女優がこのようなドラマの長編作品で主演し、素晴らしい役を得て、本当に楽しかったです。

━━━この映画は75年の設定ですが、脚本を書くに当たり参考にしたことや、このような物語を描いた理由は?
監督:この時代は私にとって非常に関心が高く、私の家族もとても身近に感じている時代です。というのも、私の母方の兄弟が、解放軍に関わっていたこともあり、この問題はニュースで見るものではなく、家族が実際に体験したことでした。戒厳令も私たちが人事のように見ていたのではなく、実際に体験したことです。その政変の結果どういうことが起こったかが、とても重要でした。

ただそれら私の政治的な背景はあくまでもバックグラウンドでしかなく、私はこの作品の中で、ある一人の女性が70年代に女性としての期待値に縛られ、彼女がいろいろと苦しみながら最終的に自分の意見を言えるようになることを伝えたかったのです。この作品は女性がどうやって社会の中で自分の場所を見いだしていくのかという問題に触れていますし、映画の中でそれ以外の家族の問題や、反乱軍の問題は当時だけの問題ではなく、今でも私たちは同じような問題に直面しています。そういうことをお伝えしたかったわけです。

━━━脚本以外に、この作品に出演したかった動機はありますか?
ドミンゴ:女優として本当にその脚本と恋に落ちなければいけないと思いますし、監督やそのビジョンを信頼し、理解しなければいけないと思います。今回この作品は目標も明確で、女優であるということ以上に女性であり、フィリピン人であるということで託されている「全ての女性は愛されるべきで、尊敬されるべきだ」というメッセージに本当に共感しました。 

━━━ラストに「マリルー・ディアス=アバヤに捧げる」とありましたが、マリルー・ディアス=アバヤさんについて教えてください。 
監督:マリルー・ディアス=アバヤさんはフィリピン映画界の大巨匠で、昨年惜しくも亡くなってしまったのですが、私が23,4歳の頃はじめて書いた脚本を彼女が取り上げてくれ、自らプロデューサー兼監督作として世に送り出してくれました。ベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映され、私の映画人生の第一歩を作って下さった方なのです。心からの敬意を表して本作のヒロインの名前をマリルー・ディアス=アバヤさんにちなんでつけさせていただきました。

 


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翌日に行われた単独インタビューでは、主にユージン・ドミンゴさんに本作の脚本で一番感銘を受けた点や、マリルーの役作り、感動的なラストシーンの秘話などについてお話を伺った。 

━━━なぜ70年代の田舎を舞台にしたのですか? 
ジュン・ロブレス・ラナ監督(以下監督):この作品は3部作の一つで昨年TIFFで上映した『ブワカウ』を含め、全ての作品は田舎を舞台にしています。私は田舎の町に感銘を受けており、人生がシンプルで、複雑さがないところにすごく興味があるので物語の背景に使っています。そういう背景の上で、町の中での人々の対立をもっと深堀してみたかったのです。70年代を舞台にしたのは現状を反映していると考えているからです。政治的腐敗や家族の避妊の問題は、今でも同じ問題に直面していると思い、取り上げています。

━━━最初は主人に尽くすことしかできなかった主人公マリルーが、困難を乗り越え、自立し、声を上げるまでの姿を見事に演じていましたが、どのようにしてマリルーという女性像を作り上げていったのですか?
ユージン・ドミンゴ(以下ドミンゴ):いただいた素材を100%信用していたので、私自身はそんなに準備をせず、与えられた環境の中で合わせていきました。あまり準備をしてしまうのは、女優にとってはマイナス面もあります。自分は女性であり、女性としての経験もあり、人間としての強さもあります。それを脚本に合わせていく作業をしていきました。あとは監督からの指示をもとにキャラクターを作り上げていった訳です。後は自分の持っている感情や、いろいろなワークショップやディスカッションといった活動を通じてよりキャラクターを膨らませていきました。 

━━━女性たちそれぞれが対面する問題を丁寧に描き、協力してして声を上げるまでの群像劇のようにも見えましたが、脚本を書く際に心掛けたことは? 
監督:ある小さな町の理髪店を営んでいる女性が、苦しんで、最終的に自分の声を見つけるストーリーですが、その中で自分の周りにいる女性たちが、それぞれの強さを見つけるために協力しあうことも描いています。私にとって一番重要なのは、「メッセージからではなく、物語からスタートする」ということです。物語がしっかりしていれば、それ以外のことは後からついてきます。その中のキャラクターも深く描くことができますし、観客にも説得力のあるストーリーを作ることができるでしょう。私自身は「監督ができるストーリーテラー」だと思っています。ストーリーをとある枠組みの中で提示できる監督だと思っているので、まずしっかりとした物語を作るところからこのプロジェクトを開始しました。

barber4.JPG━━━ドミンゴさんが監督からこの役を依頼され、シナリオを読んだとき一番心動かされた部分は?
ドミンゴ:何年もの間、テレビや他の作品でコメディーを演じていますが、ある日「もっと他の役もしてみたい」と思うようになっていました。自分が女性としても女優としても成熟してきているので、例えばフィリピンを代表するような国民的ヒロインの自伝的なものをやりたいと思っていたのです。スペインからのフィリピン解放運動で反乱軍に手を差し伸べ、国民的ヒロインとなったメルチョラ・アキノは、まさにマリルー的人物です。彼女については既に描かれている映画があり、その時は残念ながら私にはオファーをいただかなかったので、何かそういう機会を求めていました。この脚本を読んだとき、「まさに現在のヒロインだ」と感じ、この役をぜひやりたいと思ったのです。

━━━ラストシーンで「我が名はルース」と生まれ変わったような表情を見せながら宣言するメリルーの姿が目に焼き付きました。どんな気持ちでこのシーンを演じたのですか?
ドミンゴ:本当のことを言っていいですか?ラストシーンに革命派のリーダー役で出ていただいているフィリピンの大女優ノラ・ノーラさんは、私にとって子供のころからの憧れの大スターで私の中の永遠のアイコンなんです。彼女と一緒の撮影現場で映画に出ることができるだけで胸がいっぱいの表情になってしまいました。

━━━ぜひやりたい役を演じることができた『ある理髪師の物語は、ユージンさんのキャリアにとってどんな位置づけになるのでしょうか?
ドミンゴ:撮影中にいくつかのシーンをラフで見たとき監督に言ったのは、「これが私の最後の作品になってもいい!」。たった数シーンを見ただけで、本当にそう思えたのです。

(江口由美)

 


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「朔子は割と自分に近いものがある」二階堂ふみ、鶴田真由、杉野希妃、深田晃司監督が『ほとりの朔子』ワールドプレミアで登壇! @TIFF2013

『ほとりの朔子』(2013年 日本=アメリカ 2時間5分)
監督・脚本:深田晃司
出演:二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治、杉野希妃、大竹直、小篠恵奈

©sakuko film partners

 

~歩いて、しゃべって、キュンとして。大人の世界を覗き見るひと夏の避暑地青春物語~


sakukosakuhin.jpg東京下町の印刷所を舞台に、日本の家族やコミュニティー特有の問題を散りばめた“グローバル喜劇” 『歓待』(10)で、東京国際映画祭「ある視点」部門作品賞をはじめ世界の映画祭で高い評価を得た深田晃司監督。今回は園子音監督、三池崇監督作品他で活躍著しい二階堂ふみを迎え、山や川など自然溢れるシチュエーションで自身初となる青春映画を作り上げ、2014年新春劇場公開される。記者会見で「私はロメールに狂っていると言っていい」と公言するぐらいエリック・ロメール監督に心酔している深田監督らしいセリフの妙に加え、70年代を思わせるレトロでオシャレなファッションや、朔子が着こなしている避暑地の少女風ワンピースの数々も日本版ロメールといった趣を感じさせる。避暑地で出会う福島から避難してきた青年との淡い恋や、朔子の周りの大人たちの様々な“事情”が次第に露わになり、ほんの少し大人になって東京に帰っていく朔子。朔子演じる二階堂ふみ(撮影当時17歳)が、川で水をすくったり、海辺を歩くさりげないシーンからなんともいえない瑞々しい感覚が溢れ出て、癒され効果も満点だ。

10月20日に行われたワールドプレミア上映では、大スクリーンでの上映後に、深田晃司監督、二階堂ふみ、鶴田真由、杉野希妃プロデューサーを迎えてのQ&Aが行われ、観客と共にワールドプレミア上映を鑑賞したゲストたちがその感想や、撮影秘話を語った。また、Q&A後の記者会見では、深田晃司監督、二階堂ふみ、杉野希妃プロデューサーが登壇。深田監督より台詞をつくるときに意識していることや、映画づくりの姿勢についてその想いを明かしてくれた。


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<10月20日ワールドプレミア上映後Q&A>
登壇者:深田晃司監督、二階堂ふみ、鶴田真由、杉野希妃プロデューサー

sakuko5.JPG―――今日がワールドプレミアですが、スクリーンでご覧になった感想は?
二階堂:今日初めて出来上がった作品を大スクリーンで見て、「映画を観ているな」という気持ちになってよかったです。映画が好きな理由の一つでもありますから。
鶴田:深田監督は人間に愛があるなと思います。伝え方の温度がすごくて、とてもいい映画だなと思いました。

―――『歓待』の次に、この映画を作ろうと思ったいきさつや経緯は?
深田:僕の中では『歓待』とそんなに大きな違いはありません。ドラマチックに何かを語るというよりは、「いつ人が出会い、いつ人が別れ、いつ誰が一人でいるか」という人間のコミュニケーションの中で何か描きたいということは自分の中で一貫しています。今回はその延長線上で、『ほとりの朔子』を作りました。

sakuko4.JPG―――二階堂ふみさんは主演ですが、作品ではあまり前に出てきません。キャラクター的には芯がしっかりしている印象を受けましたが、演じたご本人は朔子をどう考えて演じたのですか?
二階堂:私は毎回作品に参加させていただくとき、あまり自分のキャラクターについて考えをがっちり決めず、現場でその空気を感じたり、ほかの役者さんとコミュニケーションしながら自分のキャラクターを作っていくことが多いです。今回は特に「大人の中に混じっている、大人になりかけの子ども」という立ち位置だったので、あまり(キャラクターづくりを)しっかりしていなくていいかなと思い、周りに身をゆだねながら、川に流れていくように現場を楽しんでいました。割と今回の朔子は自分にすごく近いものがあります。今日作品を観て、リラックスしてできたお芝居だったなと思いました。ありがとうございます。
深田:演技の指示としては特になかったと思います。脚本の関係性の中に、そういうものは込められていると思っていますから。演出という点では、二階堂さんや鶴田さんをはじめ、できるだけ役者さんがリラックスして演じる環境を作るのが監督の最初の仕事だと考えています。後は、役者さん自身が放つ面白さが作品に出ているのだと思います。

sakuko6.JPG―――深田監督や杉野さんの、海外への独特な眼差しというのは、『歓待』やその他の作品から得られた経験や体験をもとにして形成されたものですか?
深田:この作品では、国際的に活躍している海希江(鶴田真由)が出てくるわけですが、「人も国も同じ」というセリフがあるように、「自分のことは自分が一番分かっている」というのは嘘だということが語られています。大きな話で表現すれば、21世紀の現代の話だと思っています。例えば日本という国を日本人が一番よく知っているのかといえば、そうではありません。常に他者と接することで、自分の価値を再発見することの繰り返しが「生きる」ことだと思います。「自分を知るには他人の視点がないと分からない」という気持ちを込めて、この脚本を書きました。「共同体と排除」をテーマに『歓待』の脚本を書いた当時よりもヘイトスピーチなど他者を排除する傾向が強くなっています。この経験が『ほとりの朔子』の脚本に反映されたと思います。大げさに「世界平和」を唱えるのではなく、国際関係のことも人間関係として考えていきたいという気持ちが反映されています。
杉野:鶴田真由さんに演じていただいた海希江は地域研究者の役です。私はマレーシアの監督と組んで仕事をしていた時期があり、そのとき地域研究者の方々と知り合い、ここ数年は一緒にシンポジウムをさせていただく機会が多かったので、よりアジアについて知ることができました。日本以外で知る機会があると、世界が非常に広がり、自分自身や日本という国についても気付かされることが多々あります。ドメスティックだけではなく、外部の視点のある作品にしたいという気持ちは常にありますし、これからもそういう作品を作っていきたいと思っております。

sakuko3.JPG―――お誕生日パーティー(飲み会)のシーンはアドリブが効いているように思いますが、撮影ではどんな感じでしたか?
深田:辰子(杉野希妃)のお誕生日のシーンは、この映画で一番即興に近いところです。即興で緩く会話を投げ込むところを一カ所作りたいと思い、私から俳優のみなさんに「こちらの議題について議論してほしい。そのとき気持ちはいったん役から離れて、自分自身の言葉で考えてしゃべってほしい。ただ、自分自身と役柄の境界の薄皮一枚ぐらいのところを狙ってほしい」とお願いし、話してもらいました。即興のおもしろさというのは、「クオリティーが保証できない」ことで、必ずしも面白い会話になるか分からないし、映画として面白い会話になるかも分かりません。でも、そこも含めて登場人物の個性になるのが面白いと思い、今回は挿入しました。
鶴田:大人の嫌らしさが満載のシーンになったのではないかと思います。改めて見ても、「鎧をかぶっているのに、鎧をかぶっていないようにふるまっているのが全面にバレている」風な大人の嫌らしさが出ています。鼻で笑っている感じが出ていますね。
二階堂:「大人は大変だな」とずっと考えていましたね。話を聞いている分には楽しくて、今日スクリーンで完成版を観て、思った以上にニヤニヤしていました。

―――孝史(大賀)と朔子がカフェで夜中を過ごすシーンの赤い風船が印象的でしたが、どんな意図があるのですか?
深田:一番最初の脚本では、山奥のカフェに行った二人が、何か突然不思議なものに遭遇するといった形で、大道芸人が登場するか、誰かミュージシャンの音楽を聴くということを考えていました。最終的には大道芸人の知念大地さんにお願いし、現在のシーンになっています。何か不思議なことに遭遇し、考える余白を作りたいという意図ですね。できれば朔子や孝史の目を通して、お客さん自身が不意に何かに遭遇する体験を共有できる時間になればと思います。

(最後のご挨拶)
杉野:本当に魅力的な役者の方に出ていただきました。二階堂ふみさんは17歳最後となる作品でとても素敵な姿を残してくださいましたし、鶴田さんはとてもナチュラルに演じていただき、本当に感謝しています。この作品を気に入ってくださったら、是非宣伝していただきたいですし、気に入らなければ、胸にそっとしまっていてください。よろしくお願いいたします。

 


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<記者会見>
登壇者:深田晃司監督、二階堂ふみ、杉野希妃プロデューサー

(最初のご挨拶)

深田:(コンペティション部門に)選んでいただいた後もギリギリまでブラッシュアップしましたので、キャストのみなさんにも今日初めて見ていただくことになりましたし、私自身もずっと自分の小さいスクリーンで観ただけだったので、今回最高の形でワールドプレミアを飾ることができ、大きなスクリーンで観ることができて、満足しています。
二階堂:大きい映画館が好きで、映画が好きになったので、自分が出ている作品をああいう大きなスクリーンで観ることができて、とても光栄だなと思いました。ものすごくリラックスして取りかかれた作品でしたので、それが作品にもにじみ出ていて、他の人も観てほっとしていただけるのではないかと思います。

―――今回は3年前の『歓待』に続くTIFFで、しかもコンペティション部門での選出ですが、いかがですか?
杉野:3年前の「ある視点部門」もすばらしい部門で、賞がいただけてとてもうれしかったのですが、横目でコンペティション部門の作品を見ながら「いつかコンペティション部門に入選したらいいな」と思っていましたので、今回(コンペティション部門で)戻ってくることができ、とてもうれしかったです。大きいスクリーンでこの作品を見るのは私も初めてでしたが、『歓待』の延長線上にあるような、よりパワーアップした作品になり、とてもうれしかったです。

―――今回オマージュを捧げているエリック・ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』では白い服、白い水着が登場しますが、本作は最初は淡い色からカラフルな服になっていくのはどういった意図ですか?
深田:私はこれまでの作品も全てエリック・ロメールを意識しており、今回特別にロメール監督にオマージュを捧げているつもりはありません。『海辺のポーリーヌ』は、ビジュアルではあまり色彩変化はありませんが、本質的に色彩豊かな作品だと思うので、そういう点に少しでも近づければと、衣装担当とも相談し、色彩豊かな衣装にするという方向性になりました。

―――会話に厚みがありましたが、どのように台詞を紡いでいったのですか?
深田:この映画は台詞が多く、通常の映画の2~3倍の英語字幕をつけなければならなかったので、とても大変でした。台詞を作るときに意識していることは3つ挙げられます。1つ目は、関係性の中から作り上げる言葉を大事にすること。2つ目は、名台詞を書かない。3つ目は本音を語らせない。これらを念頭に置いて、私は脚本を書いています。本音を語らせないのはとても重要で、人はそんなに簡単に本音は話さないと思うのです。家族や友達と話をしていても、皆その場の関係性の中で、目的を持って話をするのが人間なので、簡単には本音を話しません。脚本の方向性に合わせて恣意的な台詞を書いてしまいがちですが、そこには陥らないように意識をしています。

sakuko7.JPG―――監督から台詞に関して、何か指導はありましたか?
二階堂:特に何も言われていません。現場では、自由にやらせていただいている印象でした。今監督のお話を聞いていて、本音を話させないとか、大人のうわべが映画の中で垣間見えていたので、それは台詞や会話のテンポではなく、むしろそれを取り繕うために行っている行動だと思っていました。だから、台詞が多くて大変という印象は持っていなかったですね。
杉野:具体的な指示はなく、本当に自由にやらせていただきました。語尾も自由に自分の言葉にして発せられるような感覚で演じさせていただきました。

―――『こんにちは赤ちゃん』の曲が流れた時は、選曲が絶妙すぎて爆笑しました。映画の中で津波や福島からの避難者、脱原発集会などが組み込まれ、東日本大震災を意識して見ることになると思いますが、脚本を書く際に何か参考にしたエピソードがあれば、教えてください。
深田:『こんにちは赤ちゃん』は10年前からやりたいと思っていたネタなので、笑っていただけてうれしいです。
震災、原発、津波などが盛り込まれていた点については、なるべく自然に世界観の一部として組み入れたいと思っていました。今、私たちが日本のどこかの土地で撮影しようとする以上、絶対に原発の問題とは地続きです。それをあたかもその問題と断絶されているかのように撮る方が不自然です。今回は福島の避難者が登場人物として出てきますが、もし出てこなくても地震の問題と地続きだと思っています。
刺激になったエピソードとしては、脚本をかく半年ぐらい前に、インドネシアのアチェという場所で震災関係のシンポジウムの撮影をしていたのですが、そこは2004年のスマトラ島沖地震で15人の方が亡くなった場所でした。私たちは日本に住んでいて津波の被害は世界の終末が来たかのような大きなインパクトをもって受け止めていたのですが、実は同時に世界のいろいろなところでも起こっていて、世界はどこかで悲劇をもってつながっている部分があると感じたのです。津波の部分をどこかで相対化しながら描くことも必要だと感じて盛り込みました。

―――映画を作るとき、お客さんの質を想定していますか?
深田:とても大事な質問です。私自身は映画を作るときにお客さんの質を想定して作ることはありません。もし質というものがあるとすれば、それは映画自身が作っていくものだと思っています。もし質問者の方が、今映画を観るお客さんの質が落ちていると想定されているのなら、それはお客さんの映画に対する関心が薄れてきているのだと思います。そういう状況があるとすれば、私たち映画人に責任があると思うので、お客さんの好みに合わせて映画を作っていくというより、私たちが「自分が正しい」と思う映画を作って、お客さんをそこに引きつけていくことが大事だと思います。
(江口由美)


 

 

love is1.JPG~マチュー・アマルリックの魅力全開!大自然を舞台に愛が交錯するフィルム・ノワール~

 

『ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム』(2013年 フランス=スイス 1時間50分)
監督:アルノー・ラリユー、ジャン=マリー・ラリユー
出演:マチュー・アマルリック、カリン・ヴィアール、マイウェン、サラ・フォレスティエ、ドゥニ・ポダリデス他

C0012_main_LL.jpg 第26回東京国際映画祭コンペティション部門作品に選出されたマチュー・アマルリック主演の新作『ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム』。男女が山中で奇妙な再会を果たす『運命のつくりかた』(02)をはじめ、マチュー・アマルリックと数々の作品を生み出してきたラリユー兄弟が、再びスイスとフランス国境近い雪山を舞台に編み上げたフィルム・ノワールだ。マチュー・アマルリック扮する文学部教授マルクを中心に、常にマルクを注視している同居の妹マリアンヌ(カリン・ヴィアール)、失踪した教え子の若き母親アンナ(マイウェン)、個人授業をせがむ女学生アニー(サラ・フォレスティエ)ら女性たちの思惑や、愛が絡まる様子を大自然と共に描写。若い学生とその場だけの情事を重ねていた男の闇の部分や真の愛を知るまでを、マチュー・アマルリックが大人のユーモアを盛り込みながら熱演している。サスペンスである一方、雪山や大学キャンパスの白い風景が印象的な切なく美しいラブストーリーにも映る。


 マチュー・アマルリック氏の緊急来日が映画祭開会直前に決定したにも関わらず、40代半ば男のフェロモンで次々と女性を虜にしていく主人公像そのままに、フランス俳優の中でも人気・実力共にトップクラスのマチュー・アマルリックを一目見ようと、満席の観客が熱い拍手や「ブラボー!」という歓声でその登場を温かく迎えた。私たちの声を代弁してくれているかのような、矢田部東京国際映画祭コンペティション部門プログラミング・ディレクターの歓迎の言葉ではじまったQ&Aの模様を、一部記者会見の内容も交えながらご紹介したい。


(最初のご挨拶)
マチュー・アマルリック氏(以下アマルリック):こうして東京に戻ってくる機会を与えていただき、ありがとうございました。私にとってはまさしく狂気の沙汰でした。10日前、私の監督作を作り始めたばかりですから、日本にくるなんて思いもかけませんでした。

 

love is2.JPG―――ラリユー兄弟作品は個性的ですが、他の監督とラリユー兄弟の一番の違いは?
アマルリック:兄弟で作るというのは非常に大きな力で、二人ともピレネー山脈の熊のような山の男たちなのです。兄のジャン=マリーは割とよく話しますし、社交的で俳優たちの世話をします。一方、弟のアルノーの方は静かであまり語らず、黙々とフレームワークをし、遠くからすべてを見ています。映画というのは様々なディテールが重要で、それが積み重なるものです。特に兄弟がいることで、一人は非常に具体的な仕事をし、もう一人は遠くでフレームワークをしながら映画が持つべき魂の鼓動を忘れずにいることができるので、素晴らしい組み合わせだと思います。

 

―――ラリユー監督作品出演にあたり、他の監督とは違う心構えで臨んでいるのですか?
アマルリック:二人がいることによって、無意識のものを表現する勇気を与えてくれ、慎みを忘れてすべてをさらけ出すことができるのです。女性でも男性でも裸になっていくしかないという風に、自分を表現していけます。また風景と人間が一体化して、ヘドニズム(快楽の世界)を怖がらずに作り上げることができるようになります。それはジャン・ルノアールの系譜にいることができる監督だからでしょう。

 

love is3.JPG―――ラリユー兄弟の『運命のつくりかた』でも途中から山が舞台となり、本作も山が舞台になっていますが、マチュー・アマルリックさんからみてラリユー兄弟の山に対する特別な想いは感じられましたか?
 アマルリック:ラリユー兄弟は、ピレネーという山の近く(ルルド)で育ちました。祖父がアマチュアで山の中で動物を撮って、二人は映画作りを覚えたようです。二人はいつも「顔と景色」といつも言っています。今回はフィリップ・ジアンの小説を映画化しましたが、作品中で小説にはない場面もあります。主人公マルクが行う文学部の授業で「母親のことを書くとき、ある景色に例えなさい」というくだりがあります。心理描写ではなく、ある場所や景色を語るようにというセリフは、彼らが付け加えた部分です。これは日本の文化にも近いのではないでしょうか。

  

 

―――本作は裸になるシーンも多かったですが、オファーが来たとき抵抗感はなかったですか?  
アマルリック:3、4回ラリユー兄弟の作品に出演していますが、裸というのは彼らの性質の一部のようなもので、自然に演じています。本作については女性の方が裸になる率が多かったのではないでしょうか。他のラリユー兄弟作品に比べても多いと思います。

 

love is4.JPG―――脚本を読んだとき、主人公マルクをどういう人物と理解して演じたのですか?
アマルリック:マルクは自分で自分が分からないのです。記憶に穴が空いていたり、覚えていないところがあります。また、深い溝である愛情になるべく近づかないようにして、なるべく若い女性と肉体的な関係しか持たないようにしていたのです。でも何かが彼を変え、この溝に落ちていく話だと考えています。

 

―――女性にモテモテの役でしたが、ユーモアがあるのもその一因に見えました。演技の中に自然なユーモアを取り入れるため、何か習慣的にやっていることはありますか?
アマルリック:ラリユー兄弟は世界や人生の見方が非常にヘドニズム的ですね。深刻なことやスキャンダラスなことも、彼らにかかると自然な感じに表現されます。そこから彼ら独特のユーモアが生まれてきます。例えば本作でも主人公と妹の関係は何か深刻なものがあるのですが、ラリユー兄弟にかかるとそれがとても優しく表現されていきます。そういった監督からにじみ出るユーモアがあるのです。

 

  

love is6.JPG―――ブラックなフィルム・ノワール作品で大変楽しく拝見しました。自身が監督される次回作『La chambre bleue』について教えてください。  
アマルリック:ラリユー兄弟の本作は、他の彼らの作品に比べてもフィルム・ノワールなものになっています。特に、カラヴァッジョの音楽がフィルム・ノワール効果をより高めていますし、カリン・ヴィアールら女優陣がとても面白がって演じており、ユーモアもプラスされていたと思います。もう一つは、シナリオがよく書かれていたことです。特に作品の中で言葉が非常に重要でした。自然発生的にセリフを言うことは絶対になく、シナリオのセリフをしっかり覚えて、よどまずに言うことが我々俳優にも求められました。次回作は、ジョルジュ・シムノンの小説の映画化で、7月に2週間撮影を終え、11月にも2週間撮影予定です。情熱や肉体的に二人が惹かれあったり、死人も出るような映画です。

 

―――監督と俳優の境界線を設けているのですか?
アマルリック:友人の監督たちが私に映画に出るよう声をかけて、連れていくから出演しているのですが、私が朝起きて何を考えるかというと、自分の監督作品についてです。俳優として友達の監督の映画に出演し、監督のしていることを見ることも勉強になります。私にとっては演技をしているというより、彼らが働いている様子を見ているという感じです。それはアルノー・デプレシャンやラリユー兄弟でもそうですね。そうやって、彼らの作品に出演していると、どんどん自分の脚本を書く時間がなくなってしまいます。短い時間で自分の作品を作らざるを得なくなりますが、それもそんなに悪くないなと思います。あまりにも深刻に考えすぎたり、特別なものを作るというのではなく、「時間がこれぐらいしかないから」と思って作るぐらいがちょうどいいのかもしれません。

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(最後のご挨拶)
アマルリック:ラリユー兄弟から、「みなさんにご挨拶を伝えてほしい」とのことです。私とラリュー兄弟は10年前『運命のつくり方』で一緒に来日し、そのときには1ヶ月ぐらい日本に滞在したので今回来れなかったのはとても残念だと語っていました。この作品の中には色々考えさせるところがあるのではないかと思います。大島渚や黒沢清の作品を思わせるブラックな要素があるフィルム・ノワールです。そして心をぐっと捉えるようなところがあると思います。是非日本で劇場公開されればうれしいです。

(江口由美)

 

 

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(写真:第2回記者会見ゲスト 左より『ほとりの朔子』深田晃司監督、主演二階堂ふみ、フェスティバル・ミューズ栗山千明、『捨てがたき人々』榊英雄監督)

 

今やアジア最大級の国際映画祭へと成長した東京国際映画祭(TIFF)。昨年25回を迎え、今年は次の25年に向けて、部門構成を刷新し、さらに若く新しい才能を世界に送り出す機能を備えた映画祭として、新しい一歩を踏み出す。フェスティバル・ミューズに女優栗山千明さんを迎え、コンペティション部門の審査委員長にチェン・カイコー監督、国際審査委員に寺島しのぶさんが就任と、映画祭開催前から話題を集めている。

 

■コンペティション部門

The Double_main.jpgTIFFの看板ともいえるコンペティション部門では、「東京 サクラ グランプリ」受賞作品である一昨年の『最強のふたり』、昨年の『もうひとりの息子』が劇場公開で観客から大きな支持を得ているように、注目作のワールドプレミア、アジアプレミア上映を目撃できる貴重な機会だ。今年も魅力的なラインナップが出揃った。日本からは『歓待』でTIFF2010「日本映画・ある視点」部門作品賞に輝いた深田晃司監督と杉野希妃プロデューサーコンビが、二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治等を迎えて贈る社会派青春夏物語『ほとりの朔子』、ジョージ秋山の原作を主演に大森南朋を迎えて榊英雄監督が撮りあげた人間の本質と欲望を描く『捨てがたき人々』の2本が選出されている。

We_Are_the_Best!_main.jpgイギリスからは、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグ主演、文豪ドストエフスキーの原作を近未来的設定に置き換えた、シュールで哲学的な新感覚スリラー『ザ・ダブル/分身』が登場。スウェーデンからは青春映画に定評のあるルーカス・ムーディソン監督が、80年代初頭を舞台に、思春期の衝動に駆られてパンクバンドを始める女子中学生の弾けるような日々を活写した『ウィ・アー・ザ・ベスト!』。

Barber's Tales_main.jpgそして、フィリピンから選出されたのは、フィリピン版『マンマ・ミーア』の『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』(OAFF2013上映)で下町の母をパワフルに演じたユージン・ドミンゴ主演のワールドプレミア作品『ある理髪師の物語』。昨年「アジアの風」部門で上映された『ブワカウ』のジュン・ロブレス・ラナ監督がユージン・ドミンゴと組んで時代の荒波と闘う女性たちの姿を描く注目作だ。

 

■ワールドシネマ部門

Tom at the Farm_main.jpg昨年までの「ワールドシネマ」部門をリニューアルした「ワールドフォーカス」部門では、世界各国の映画祭受賞作や話題作、あるいは有名監督の日本で紹介されていない新作にフォーカスを当て、従来の欧米作品だけではなくアジアの有力作品もこの部門にてラインナップされている。
現在劇場公開中の『わたしはロランス』で高い評価を得ているグザヴィエ・ドラン監督が、自身主演で初のスリラーにチャレンジ。本年のヴェネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞したカナダ、フランス合作の最新作『トム・アット・ザ・ファーム』がいち早く上映される。

Unbeatable_main.jpgまた、香港からは、『密告・者』のダンデ・ラム監督が放つ総合格闘技アクション・ドラマ『激戦』が登場。ニック・チョン、エディ・ポンの若手人気俳優による熱い男たちの闘いを堪能したい。

 

 

 


Soul_main.jpg更に、【台湾電影ルネッサンス2013 】と題して近年活況が著しい台湾映画より、久々の新作で復活を果たしたベテラン監督から注目すべきニューウェーブまで、台湾映画の今が垣間見える作品を特集上映する。今年の台北映画祭でグランプリを獲得した、『四枚目の似顔絵』チョン・モンハン監督の最新作『失魂』をはじめ、『27℃ ― 世界一のパン』、『高雄ダンサー』、『Together』がラインナップ。さらに台湾ニューウェーブの記念碑的オムニバス『坊やの人形』(ホウ・シャオセン監督、ワン・レン監督、ツォン・チュアンシアン監督)のデジタルリストア版も上映される。

 

■アジアの未来部門

Today_and_Tomorrow_main.jpg昨年まで数々の秀作を特集上映と共に紹介してきた「アジアの風部門」を発展させ、今年から新部門「アジアの未来」部門が誕生。長編映画2本目までのアジア新鋭監督の作品を一挙紹介するコンペティション部門となった。ワールド・プレミアとなるヤン・フィロン監督(中国)の『今日から明日へ』をはじめ、アジア映画の新潮流をいち早く発見できる機会となるだろう。

 

■特別招待部門

The_Dust_of_Time_main.jpg「日本映画・ある視点」部門がリニューアルした「日本映画・スプラッシュ」部門では海外進出を狙う日本のインディペンデント作品を、監督のキャリアを問わずに紹介。そしておなじみの「特別招待作品」では、オープニングにトム・ハンクス最新作『キャプテン・フィリップス』、クロージングに三谷幸喜の最新作『清州会議』と話題性十分の作品が勢揃いし、映画祭を大いに盛り上げる。中でも、テオ・アンゲロプロス監督の遺作となった『エレニの帰郷』をいち早くスクリーンで観ることができるのは、映画祭ならではの楽しみだろう。東京が映画色に染まる9日間。日頃劇場でなかなか触れる機会のない、国際色豊かな世界の最新映画をぜひ楽しんで!

第26回東京国際映画祭公式サイト http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/

 

OEFF2013メインビジュアル.jpg

日本未公開のヨーロッパ最新映画やゲストとの交流を楽しめる大阪の秋の映像祭典、大阪ヨーロッパ映画祭が、いよいよこの秋20周年を迎える。記念すべき第20回の名誉委員長に、『若者のすべて』、『山猫』などの名作に出演し、今も精力的に活動を続けているイタリアの大女優クラウディア・カルディナーレを迎え、クラウディア・カルディナーレ出演作品のうち、日本初上映となる『家族の灯り』と関西初上映の『ふたりのアトリエ~ある彫刻家とモデル』の2本を上映する。

 

また、メイン会場も昨年までのホテル エルセラーン大阪「エルセラーンホール」「バンケットルーム」に加え、阪急うめだ本店「阪急うめだホール」「祝祭広場」、ジ・アンタンテ「バンケットホール」(六甲アイランド)とスケールアップ。期間中は「大阪ヨーロッパ映画祭 in Hankyu」と題し、懐かしの名画上映やクラウディア・カルディナ―レ写真展、ヨーロピアンマルシェなど多彩な催しも開催予定だ。

 

キューバに咲く花スチール.jpg日本初上映となるのは『キューバに咲く花』(写真右)、『Keep Smiling』、『家族の灯り』、『ロジィ』、『The Broken Circle Breakdown』、『ふたつの人生』の6作品。関西初上映作品として、オドレイ・トゥトゥ主演のラブストーリー『ナタリー』や西尾孔志監督の大阪を舞台にした人情喜劇『ソウル・フラワー・トレイン』他注目作が目白押しだ。

 また、今年は過去に映画祭で上映され好評を得た作品が多数リバイバル上映される。昨年大人気の名作で紡がれたラブストーリー『ファイナルカット』をはじめ、3年前に上映され満席の人気ぶりをみせた美しいアニメーション『ブレンダンとケルズの秘密』など、映画祭ファンには懐かしく、見逃した方にはうれしい企画となっている。

 

CMフェス2013メインイメージOsaka専用.jpg大阪ヨーロッパ映画祭の関連イベントとして毎年大人気の『世界のCMフェスティバル2013 in OSAKA』は、久しぶりに大阪国際交流センターに会場を移し、10月26日(土)に開催される。今年は例年のオールナイト上映に加え、14:00~19:30のデイショーも登場。お子様連れでも楽しめるユーモアあふれるCMの数々や抽選会など楽しい趣向が盛りだくさん。映画祭と合わせて楽しんでみて!


【開催期間】
メインイベント)2013年11月15日(金)~11月25日(月)
関連イベント )2013年10月19日(土)~11月25日(月)
10月19日(土)20日(日)「RIC FILM FESTA」
10月26日(土)「世界のCMフェスティバル2013 in Osaka」
11月13日(水)「映画祭開催記念オープニングセレモニー」
11月13日(水)~19日(火)「大阪ヨーロッパ映画祭 in Hankyu」
11月15日(金)~25日(月)「ヨーロッパ最新映画初上映&アンコール上映」
11月18日(月)・21日(木)・22日(金)「映画塾」
11月23日(土)「アニバーサリーパーティー」
11月23日(土)~25日(月)「映画祭の蚤の市」
11月24日(日)「日欧シネマフォーラム」

大阪ヨーロッパ映画祭公式サイト http://www.oeff.jp/ja/

2013_fryer.jpg~町の映画館をもっと面白くするアイデア“シネマハック100”にも注目!~

 2000年より、宝塚のミニシアター「宝塚シネ・ピピア」(阪急宝塚線「売布神社」駅下車すぐ)をメイン会場として毎年秋に市民の手によって運営され、今年で14回を迎える宝塚映画祭。映画観客層の高齢化が進む中、宝塚映画祭では近年10代の若手スタッフが企画段階から加わり、毎年映画祭で新しい試みを行っているが、今年はさらにパワーアップ。「町の映画館をもっと面白くするアイデア“シネマハック100”」と題して、映画祭開催期間中だけでなく、10月のプレイベントから「みんなが撮った町の写真を映画館で観る会」(10/19)、この町を面白くする10人のプレゼンテーションパーティー(10/26)など市民が参加できるプレ企画を多数開催される。

 


上映テーマ1「ジモトの“リアル”と“ファンタジー”」

昨年の「シネマ&ローカリティー」に引き続き、“地域”と“映画”をつなげる視点を探るテーマを別の視点で考察。現実としての地域と、そこを舞台にした非現実の物語について、選りすぐりの7作品を上映する。

02_Playback.jpg大林宣彦監督の『この空の花 長岡花火物語』(11日本)をはじめ、メジャーデビュー作にして第65回ロカルノ映画祭コンペティション部門選出を果たした村上淳の魅力が堪能できる作品『Playback』(12日本)、イランのアンダーグラウンド音楽シーンとそこで生きる若者たちの葛藤をゲリラ撮影でまざまざと映し出すバフマン・ゴバディ監督『ペルシャ猫を誰も知らない』(09イラン)、真利子哲也監督が宮崎将、ももいろクローバーを迎えて撮りあげた対比が美しい詩のような中編『NINIFUNI』(11日本)、覆面グラフィックアーティスト、バンクシーが自身を皮肉とユーモアを織り交ぜ描く異色ドキュメンタリー『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』(10アメリカ・イギリス)、

03_Tokyo shutter girl.jpgカメラ女子高生が街や写真の魅力を発見していく、関西プレミア上映作『東京シャッターガール』、映画『ランボー』が少年の世界を変えていく感動作『リトル・ランボーズ』(07イギリス・フランス)。上映後にはシネピピア前のテーブルを囲んでゲストと感想を語り合う「シネトーク・ラウンドテーブル」や、劇場内での「シネトーク・セッション」も予定されているので、映画と合わせて楽しんでほしい。

 

 


上映テーマ2「FAKE&REAL 美術監督、近藤司の仕事」

宝塚の武庫川沿いにかつて176作品もの劇場映画を作り出した映画撮影所、宝塚映画製作所があり、そこで制作された作品(「宝塚映画」)を宝塚映画祭では様々な視点から取り上げてきた。

04_negiman.jpg今年は西宮・白水峡を石灰で多い冬山にして黒澤明監督を絶句させたという伝説を持つ元宝塚映像専務の美術監督、近藤司さんの仕事を堪能できる3本をセレクト。『姿三四郎』(65)をはじめ、森繁久弥と音羽信子主演のちびた新地を舞台にした男女の愛欲劇『野良猫』(58)、宝塚に昭和初期の法善寺横丁を再現して撮影した『世にも面白い男の一生 桂春団治』(56)を上映する。

 

 


 05_negiman.jpgこれらの他にも特別企画として、「地元ムービー大集合」と題して、日本全国からご当地映画が大集合!鳥取県米子市からは映画とポップカルチャーの祭典「米子映画事変」PRのために制作された『ネギマン』をはじめ、ミュージカルあり、コメディーあり、アクションありの激レア地元映画が上映される。また、映画祭ボランティアとして関わった学生スタッフが中心となって作成した宝塚映画『海の若大将』のリメイク作品『水喧嘩は嘘で治る』や、関西学院大学の映画研究会、全関映(全関学自主映画製作上映委員会)およびその周辺で製作された最新作一挙上映する『リメイク宝塚映画!学生作品上映会』も予定されている。


歌劇だけではない、宝塚の映画を通した楽しみに、ぜひ触れてほしい。

宝塚映画祭公式サイト http://takarazukaeiga.com/

 

 

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 ~『わが母の記』原田眞人監督が来場!故高野悦子さんを偲ぶ上映会&追悼トークも開催~

 

 阪神・淡路大震災の翌年、1996年秋より神戸で開催されている『神戸100年映画祭』。第18回となる今年はピフレホール(JR・市営地下鉄「新長田」駅下車すぐ)を会場に、第1回神戸100年映画祭実行委員長を務めた岩波ホール総支配人の故高野悦子さんを偲び、オープニングに『父と暮せば』(04)を追悼上映する。顧問としても多くのゲスト招聘に尽力された高野さんの思い出を、第1回以降、映画祭の総合プロデューサーを務めた伊良子序さんに語っていただく追悼トークも予定されている。

 

 また、原田眞人監督がメーンゲストとして来場し、「名作を引き継ぎ、次の世代へ」と題してトークショーを開催する他、第35回モントリオール世界映画祭 審査員特別グランプリを受賞した井上靖の自伝的小説の映画化『わが母の記』(11)や、日航機墜落を報道する新聞記者の姿を描いた社会派ドラマ『クライマーズ・ハイ』(08)を上映する。11月1日(金)の原田監督出演作『ラスト・サムライ』(03)上映前には、神戸フィルムオフィス代表の田中まこさんによる姫路ロケなどでの「撮影秘話」トークも行われる予定だ。

 

 神戸アートビレッジセンターでは昨年スタートした「未来の神戸映画プロジェクト」第2弾をはじめ、恒例の「淀川長治メモリアル」は「音楽」をキーワードにしたクラシック映画が勢揃い。今回が劇場初公開となるビリー・ホリデイ唯一の出演映画『ニューオーリンズ』(47)はジャズ・ファンならずとも必見作だ。

 

『神戸100年映画祭』で神戸にゆかりのある映画を再発見してみて!

神戸100年映画祭公式サイト http://kff100.com/