
笑いと涙のトークショー!『タイピスト!』のヒロイン:デボラ・フランソアとレジス・ロワンサル監督が来日の歓びを語る
(2013年6月24日(月)有楽町朝日ホールにて)
(2012年 フランス 1時間51分)
監督:レジス・ロワンサル
製作:アラン・アタル『オーケストラ!』
撮影監督:ギョーム・シフマン『アーティスト』
出演:ロマン・デュリス『スパニッシュ・アパートメント』、デボラ・フランソワ『ある子供』、ベレニス・ベジョ『アーティスト』、ミュウ=ミュウ『オーケストラ!』
2013年8月17日(土)~ ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 他全国ロードショー
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★レジス・ロワンサル監督インタビュー⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://typist.gaga.ne.jp
© 2012 – copyright : Les Productions du Trésor – France 3 Cinéma – France 2 Cinéma – Mars Films - Wild Bunch - Panache Productions – La Cie Cinématographique – RTBF (Télévision belge)© Photos - Jaïr Sfez.
『アーティスト』、『オーケストラ!』のスタッフ結集!
天然系キュートなヒロイン×ポップな50年代フレンチ・カルチャー×興奮と感動のスポ根!
50年代フランスを舞台に、本当にあったタイプ早打ち世界大会に全てをかけるヒロインを描く、カラフルなサクセス・エンターテインメント!
【STORY】
1950年代のフランス。カトリック教徒の多いフランスでは、女性たちに良妻賢母として家にいることを理想としていたが、時代は自由民権運動に女性の社会進出と革新の過渡期を迎えていた。そんな女性たちの憧れの職業№1は「秘書」。その中でもタイプライター早打ちのオリンピックのような一大競技大会が開催され大人気を博していたとか。
親が決めた結婚をして田舎で一生を終えるのではなく、自分の特技(タイプの早打ち)を活かして都会で暮らしたい、と田舎から出て来たローズ(デボラ・フランソワ)は、保険会社を経営するルイ(ロマン・デュリス)の秘書に応募する。晴れて採用されるが、タイプの早打ち以外はまるでダメなローズは、一週間でクビを言い渡される。「ただし──」と、意外な提案をもちかけるルイ。
ローズの唯一の才能〈タイプの早打ち〉を見抜いたルイは、彼女と組んで世界大会で優勝するという野望を抱く。1本指打法から10本指への矯正、難解な文学書のタイプ、ピアノレッスン、ジョギング、心理戦の訓練etc……。ルイの特訓のお蔭でめきめきと才能を開花させていくローズ。ところが―――。
上映終了後、興奮冷めやらぬ中、映画の中のローズと同じようなヘアスタイルとメイク、それに黒のプリンセスラインのワンピースで登場したデボラ・フランソワと、シックな黒のスーツでキメたレジス・ロワンサル監督が登場すると、会場は拍手喝采!「可愛い!」という歓声があがった。
――― タイプライターの早打ちコンテストが実際にあったと聞きましたが、映画化のキッカケは?
レジス・ロワンサル監督(以下監督):僕も知らなかったのですが、ある日タイプ早打ちコンテストのドキュメンタリーTVを見て、これは凄い!クレイジーだ!と驚き、これは映画にでkるな!と思ったのです。3~4年かけてリサーチして、実際の早打ちチャンピオンにも会ったんです。そしてロッキーみたいなスポ根映画にできないかと考えました。
デボラ・フランソワ(以下デボラ):私は女ロッキーってこと?
監督:メンタリティではかなりのロッキーだよ。(会場笑)
――― デボラさんは最初に脚本を読んでどう思った?
デボラ:何としてもこの役を演じたいと思ったわ。他のライバル女優を殺してでもね!? (会場笑)
監督:みんな怖がってたよ!
――― どのシーンが一番好きですか?(質問者は)ベッドで小悪魔的なポーズをとるシーンが好きでしたが。
デボラ:私もあのシーンが大好きです。あれはアドリブなんです。50年代の女性なのに、ベッドに寝転がって足をあげるなんて! でも、私がそうすると現場は大笑いだったんです。あとは、平手打ちのシーンが好き。ロマン・デュリスに仕返しをした感じです(笑)。
監督:ローズの誕生日にルイがちょっと変わったプレゼントをするシーンが好きです。あとはパリで二人がさよならをするシーンですね。困惑するデボラが素晴らしかった。まぶたを少し動かすだけでジュテーム(愛している)という気持ちを込められるデボラの表情がいいですね。
デボラ:(日本語で)「どうもありがとうございます、監督さん。」(会場笑)
――― タイプライターはどのようにトレーニングされたのですか?
デボラ:スタントは一切使ってないんです。6ヶ月間トレーニングをしました。週3回コーチがつき、宿題もあり1日2~3時間の自己練習も毎日行いました。監督の要求も高く、わざとチャンピオンだった人を傍に置いて私にプレッシャーをかけていました(笑)。
――― タイプライターでターンするシーンを再現して頂けませんか?
デボラ:タイプライターと同じようにパソコンを打ってたら、もう3台も壊しちゃったわ!
監督:テニスのプレイヤーみたいに強く打ってたね(笑い)。
★(実際にデボラさんがタイプを打つジェスチャーをしてくれた!)(会場拍手)
――― 色々なタイプライターが出てきますが、当時のものを集めるのは大変だったのでは?美術の面での苦労は?
監督:確かに大変でした。世界各国からタイプライターを200台くらい集めたんです!あの頃のタイプライターを、しかも2台同じものを揃えるのは至難の業でした。そして見つけても、どれもとても古いので、新しく見える様に手直しが必要だったんです。1950年代という世界観は、観客が見た瞬間50年代にダイブするように細部までこだわり抜きました。
デボラ:だって、50年代って、監督のティーンエイジャーでしょう!? (会場笑)
監督:僕、そんなに古くないよう!(会場笑)
――― デボラは、ローズのタイプライターのような特技はありますか?
デボラ:フランスでは、“何かに秀でた人は役者になっていない”何でもそこそこだから役者をやっていられるんです(笑)。
――― 映画の中の色彩が印象的でした。特に最後のラブシーンとか?
監督:バスルームからローズが出てくるシーンはヒッチコックの『めまい』をオマージュしています。オリジナルのシーンを作るのはとても難しいです。
デボラ:最後のラブシーンを二人で撮っている時、ロマンは目を手で覆っていたわ。
監督:映画でラブシーンを撮るのは難しいんだよ。
デボラ:ロマンだと大丈夫でしょう!?
――― 最後にメッセージを。
監督:デボラは3回目の来日ですが、私は初めての来日です。以前、私が撮った短編映画を気に入ってメールを下さった日本人がおられました。今度は、長編映画監督デビュー作となる『タイピスト!』で、日本の皆様に楽しんで頂けると嬉しいです。
デボラ:日本に戻って来られて本当に嬉しいです。3年前に神戸で『メモリーズ・コーナー』という映画のロケをしました。その直後に東日本大震災が起こりました。日本に来るチャンスはあったのですが、震災の影響でなかなか来日できなかったのです。(涙ぐみながら)またこうして、皆様にお会いできて本当に嬉しいです。
満面の笑みを湛え、片言の日本語を交えながら、観客からのタイプ打ち再演要望にも応えたり、監督の話にツッコミを入れたりと、あんなにはしゃいでいたデボラが、最後は感極まって涙ぐみながら日本への思いを語ってくれた。
彼女がまだ22歳の時にジャーナリスト役で出演した『メモリーズ・コーナー』(2010)は、阪神・淡路大震災後の孤独死を扱った作品で、冬の神戸で撮影された。共演は西島秀俊と阿部寛。その後、東日本大震災が起こり、原発事故問題などで来日が叶わなかったのだ。震災後の日本の心象風景にも溶け込み、被災者の深い悲しみにも寄り添える稀有な存在感を示していたデボラ。
若手の中でも深い想いを秘めた眼差しが特徴の演技派女優として、シリアスな役が多かった。今年26歳になったデボラが主役を務める『タイピスト!』では、コケティッシュなキャラの中にも、屈折した人生を送る男性への深い愛情を示す辺りは、デボラならではの演技力の賜物といえる。自分のためだけではなく、愛する人のために一所懸命に闘う女の健気さに、きっと手に汗握りながら応援してしまうことでしょう。それは、あなた自身への応援歌にもなっていくはずです。
(河田 真喜子)
『わたしはロランス』出演女優、ナタリー・バイ トーク<フランス映画祭2013>
30歳の誕生日を迎えた国語教師のロランス(メルヴィル・プポー)は、美しい恋人フレッド(スザンヌ・クレマン)に打ち明ける。「僕は女になりたい。この体は偽りなんだ」。驚き、怒り、ロランスを激しく非難するフレッドだったが、ロランスの最大の理解者となる決心をする。メイクをし、スカートをまとい、女性としての生活を始めた後も、ロランスはフレッドを愛し、フレッドもロランスの恋人として生活するが、周囲の嫌悪感と好奇に満ちた視線が二人をむしばみ、フレッドはうつ状態に陥ってしまう。
数年後。他の男性と結婚し、一児の母となったフレッドのもとにある日、1冊の詩集が送られる。そこには、変わることのないフレッドへの思いが、ロランスの言葉によって紡がれていた。フレッドは、封印してきた思いを解き、1通の手紙をロランスに送るが…… フレッドを演じるスザンヌ・クレマンは、2012年カンヌ国際映画祭のある視点部門において、最優秀女優賞に輝いた。
―――主人公の母親の役作りはどのように?
――― 若手のドラン監督とのお仕事はいかがでしたか?
――― 私にも主人公と同じようなトランスセクシャルの友人がいます。日本ではこのような問題(セクシャルマイノリティ、LGBT)に対してまだ閉鎖的ですが、フランスではどうなのでしょうか? ナタリーさん自身のお考えも聞かせてください。
――― 主演のお二人との印象的なエピソードを教えてください。
登壇者:(写真前列左から)エルンスト・ウンハウワー(『In the House』)、リュディヴィーヌ・サニエ(『恋のときめき乱気流』)、デボラ・フランソワ(『タイピスト!』)、エレーヌ・ヴァンサン(『母の身終い』)、ジャン=ポール・サロメ(ユニフランス・フィルムズ会長)、ナタリー・バイ(『わたしはロランス』)、カトリーヌ・コルシニ監督(『黒いスーツを着た男』)、ギョーム・ブラック監督(『遭難者/女っ気なし』)、バレリア・サルミエント監督(『ウェリントン将軍~ナポレオンを倒した男~(仮)』)、ジャック・ドワイヨン監督(『アナタの子供』)、

その多様性をなぜ保てるのかというと、フランスでは文化的映画の保護政策が執られているからです。今まで様々な監督が守ろうとしてきたものを、今ではヨーロッパ全体の監督も努力して文化的映画を守ろうとしているのです。そして、それは監督に限らず、アメリカのプロデューサーも支持していることなのです。映画が終わって、少し考えて頂けるような作品を提供していきたいと思っております。
去年は海外でも成功を収めた『最強のふたり』『アーティスト』『愛アムール』などがありました。『最強のふたり』は日本でも沢山の方に観て頂けたようです。こうして皆様が劇場に観に来て下さる事が、我々にとっては何よりのプレゼントとなるのです。だからこそ映画を撮り続けられるのです。皆様に心から感謝申し上げます。
毎年フランス映画祭の顔となる団長だが、今年はフランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダールなどの巨匠たちに愛された女優 ナタリー・バイに決定!グザヴィエ・ドラン監督作品『わたしはロランス』のティーチインに参加する予定だ。オープニング作品にはフランソワ・オゾン監督の最新作『In the House (英題)』が登場。『アメリ』から10年、オドレイ・トトゥがひとりの女性のダークサイドを熱演する『テレーズ・デスケルウ』や、世界の巨匠ラウル・ルイス監督最後のプロジェクト『ウェリントン将軍~ナポレオンを倒した男~ (仮)』他見応えのあるラインナップだ。来日ゲストもフランソワ・オゾン監督やリュディヴィーヌ・サニエなどフランスを代表する映画人が勢揃いする。ぜひ6月の東京でフランス気分を味わってほしい。


