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2021年12月アーカイブ

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『ジブリの立体建造物展 図録〈復刻版〉』

発行:トゥーヴァージンズ 定価:2,970円(税込み)

 

武部好伸(エッセイスト)の特別寄稿

 

ジブリ・アニメ作品に登場する建造物は、『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』のように空想的なものをイメージします。『千と千尋の神隠し』の油屋にしても、日本と中国の世界観を融合させたような、摩訶不思議な建物です。また逆に、『風立ちぬ』や『紅の豚』などでは極めて現実的に描かれています。


共通して言えることは、どちらもリアリティーがあるということです。精緻なんですね。だからこそ、面白い! どこか懐かしくて、どこかで見たことがある、そんな感じを抱かせてくれます。


そんな建物に特化した『ジブリの立体建造物展』が2014年~18年、東京、長野、愛知、熊本、大阪で順次、開催され、好評を博しました。そのときに作成された図録が、このほど復刻版として出版されました~

 

『ジブリの立体建造物展 図録〈復刻版〉』


今年の夏、ぼくがすごく気に入り、トークイベントまでやらせてもらった写真集『昭和の映画絵看板 看板絵師たちのアートワーク』でご縁のできた出版社トゥーヴァージンズから、その図録を謹呈していただきました。

ズシリと質量感のある図録です。ページを繰ると、知っているカラフルなシーンと特徴めいた建造物が次から次へと出てきて、ウキウキしました。

『風の谷のナウシカ』から『思い出のマーニー』までの作品群です。背景画、美術ボード、セル画、デッサン、場面スチール……。それらに、この建物を選んだ理由、モデルになった建物や風景、描き方のポイントや狙いなどを解説した文章が添えてあります。

一連の作品を手がけた宮崎駿さんと、図録の監修を務めた著名な建築史家・建築家、藤森照信さん(東京大学名誉教授)との、『映画と建築をつなぐ記憶と無意識の世界』と題された対談は実に興味深いです。まぁ、当たり前ですが、こだわり抜いて描かれているのがよくわかりました。


ジブリ・アニメの本質を突いていたのが、宮崎さんのこの言葉。

「僕は建物に対する興味というよりは、建物の中に入っている人間のほうに興味があるほうだと思います。だから、建物の建てられ方というより、建物の住まわれ方に興味があるんです」


うーん、なるほど。

ジブリ・アニメの魅力的な人物が有機的に動くのは、ひょっとしたら建造物の力が大きいのではないかと思いました。カバー表紙を開くと、あの油屋の全景が迫ってくるのもオツですね。

おススメの「永久保存版」~!
 


 

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待望の映画化!『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』が、
12月30日(木)に全国公開!

関西エリアでは「大阪弁護士会」、「551蓬莱」と超強力コラボ!!

”シンクロ率99.9%!?”なコラボビジュアルを制作!!!


大阪弁護士会とのコラボでは、再現度99.9%!?のシンクロビジュアル&コラボCMを制作!

完成したビジュアルでは、深山・佐田・穂乃果の3人が並ぶ映画のビジュアルを、大阪弁護士会所属の3人の弁護士が、ポージングから表情まで、完全再現!さらに、コラボCMはTVerほかにて放映が決定!

「事実が知りたいんです」という深山のセリフと合わせて、「事実にとことん向き合う、熱い弁護士揃ってます!」と、事実に向き合い、実際に数々の依頼を解決してきた大阪弁護士会ならではのコラボCMが完成いたしました!!


全国的な知名度を誇る、大阪土産の定番「551蓬莱」とのコラボでは、深山の1Sビジュアルに合わせて、551名物の“豚まん”を大フィーチャーしたポスターを制作!

「今度の法廷は映画館だ」という映画コピーに掛けて、「大阪の名物は豚まんだ」と、”この冬、日本中を笑顔にする痛快エンターテインメント作品”である本作と、”日本中を笑顔にしてきた551の豚まん”のシンクロを前面に押し出したデザインとなっております。

また、551蓬莱の商品をご購入の方には、抽選で映画観賞券やオリジナルグッズが当たるプレゼントキャンペーンも実施!


関西ならではの“シンクロ率99.9%”なコラボタイアップで、この冬、最高に痛快なリーガル・エンターテインメントを盛り上げます!
 


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《大阪弁護士会 タイアップ概要》

①コラボポスター掲出

掲出場所:JR大阪駅構内、桜橋地下道にて10枚 掲出予定

掲出期間:2021年12月27日(月)~2022年1月9日(日)

※大阪弁護士会館内及び相談センターなど関連施設などでも

12月下旬~映画公開中掲出予定

②タイアップCM放映

関西エリア限定で、MBS動画イズム・TVer・GYAO!にて放映予定。

放映期間:2021年12月25日(土)~2021年12月31日(金)

大阪弁護士会HP:https://www.osakaben.or.jp/
 


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《551蓬莱 タイアップ概要》

①コラボポスターの店内掲出

掲出場所:関西圏の計52店舗にて掲出。

掲出期間:2021年12月19日(日)~2021年12月30日(木)

②プレゼントキャンペーン

551蓬莱の商品をご購入の方に先着順QR応募カードを配布。

応募者の中から抽選でプレゼントが当たるキャンペーンを実施いたします。

■プレゼント内容

A賞:映画観賞券 5組10名様

B賞:映画オリジナルグッズ 10名様

■応募期間

映画観賞券 :2021年12月19日(日)~2021年12月26日(日)

オリジナルグッズ:2021年12月19日(日)~2021年12月30日(木)

■実施店舗

関西圏の計57店舗にて実施。

※各店舗の営業状況はご来店前にHPをご確認ください。 https://www.551horai.co.jp/

 


<作品情報>

『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』

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常に事実だけを追求し、99.9%逆転不可能と言われる事件で無罪を勝ち取ってきた深山(松本潤)。斑目法律事務所の刑事事件専門ルームは、新所長となった佐田(香川照之)のもと、新米弁護士・穂乃果(杉咲花)も加わり、日々事件に挑み続けていた。

ある日、彼らのもとに舞い込んできたのは、15年前に起きた天華村毒物ワイン事件に関する依頼。その事件には、謎の弁護士・南雲(西島秀俊)とその娘エリ(蒔田彩珠)が関わっていた。一見善良そうな南雲だが、果たして彼は敵なのか、味方なのか?深山たちは、村で出会った青年・守(道枝駿佑)の協力も得ながら、15年前の事件を徹底的に調べることに。やがてある可能性に行き当たり、奇跡の大逆転かと思われたが、それは巧妙に仕掛けられた罠だった― 。

事実だけを追求してきたはずの深山が、まさかの冤罪を生んでしまうことに!?斑目法律事務所に訪れた最大のピンチ!果たして深山たちは、0.1%の事実にたどり着くことができるのか―?


・出演:松本潤、香川照之 杉咲花、片桐仁、マギー、馬場園梓、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの 
 西島秀俊/道枝駿佑(なにわ男子)、蒔田彩珠/榮倉奈々、木村文乃、青木崇高/高橋克実、石橋蓮司/奥田瑛二、笑福亭鶴瓶、岸部一徳
・監督:木村ひさし 脚本:三浦駿斗
・トリック監修:蒔田光治 音楽:井筒昭雄 企画:瀬戸口克陽
・エグゼクティブプロデューサー:平野隆 プロデューサー:東仲恵吾 辻本珠子

・配給:松竹
・©2021『99.9-THE MOVIE』製作委員会
・公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/999movie/

2021年12月30日(木)~ 全国公開!


(オフィシャル・リリースより)

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小説『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』

《 読者の書評 》

(筆者、東龍造(本名:武部好伸)さんのご友人、荒川英二さんからの寄稿です。)

 

ケルト文化、映画、洋酒、大阪など多彩なテーマで精力的な執筆活動を続ける畏友・武部好伸氏が初めての小説「フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一」(幻戯書房・刊行、1800円<税別>)に挑んだ(武部好伸ではなく「東龍造」というペンネームで。すでに書店には並んでいる)


武部氏は5年前、日本映画発展の歴史の中で、大阪と映画の関りを幅広く紹介する「大阪『映画』事始め」(彩流社・刊)を著した。なかには日本映画史を塗り替えるような新事実も含まれ、貴重な調査報道とも言える労作だった。


大阪・難波のシネコン「TOHOシネマズなんば」の1階ロビーには、「1897年<明治30年>2月15日、この地にあった南地演舞場で日本で初めて映画興行が行われた」ことを記念する金属製のプレートが、壁に埋め込まれている。1953年<昭和28年>につくられたプレートには、その興行に尽力した会社・稲畑商店の名も記されている。


しかし実は、その約2カ月前の、1896年<明治29年>12月、荒木和一(1872~1957)という男が、大阪・難波の鉄工所内で「日本で初めて」スクリーン上に映画を映し出していた新事実が、武部氏の綿密で粘り強い調査の結果、浮かび上がったのだ。この経緯は「大阪『映画』事始め」の第一章で綴られた。この小説は、作者曰く「その第一章を膨らませ、物語に紡いだ」ものである。

 

荒木和一(1872~1957)。大阪・天王寺の文具店の長男に生まれたが、事情があって16歳で、ミナミで舶来品の雑貨販売業を営む荒木家の養子となる。若干24歳で単身渡米し、エジソンが開発したヴァイタスコープという「映写機」を、ニューヨークで持ち前の英語力を活かして本人に直談判して購入。日本で初めてスクリーン上で動く画像を映し出した男である。

武部氏はこの小説「フェイドアウト」で、荒木を主人公として、その行動力と情熱に満ち溢れた人生を、様々な取材によって、濃密に肉付けしながら描いた。


物語は、荒木がエジソンと出会う場面(序章)から始まる。そして、一転、荒木の生い立ちを時系列でたどる。読者は読み進むうちに再び、エジソンとの直談判に場に引き戻される。そして、念願叶ってのヴァイタスコープの輸入、東京や名古屋にまで興行に走り回る日々、ライバルとも言える稲畑勝太郎(稲畑商店店主)のシネマトグラフ興行との攻防を同時並行で描きつつ、飽きることなく読ませる。


本業(舶来品輸入販売など)そっちのけで、あまりに働き過ぎて健康を害した荒木。魑魅魍魎がうごめく興行界に嫌気もさして決別した後、本業に戻りつつ、語学の才能を見込まれて、政府や経済界の「通訳」などとしても活躍するが、より詳しい話は本をお読み頂きたい。


興行界からの決別シーンの後は、一転、59年後の1956年<昭和31年>に場面が転換する。84歳になった荒木は、堺の自宅書斎で、新聞記者からインタビューを受け、映写機初輸入など自らの映画との関りをあれこれと振り返った。


事実に基づいた創作ではあるが、作者は(あとがきで)どこまでが事実で、どの部分が(イマジネーションをふくらませた)創作なのかを詳しく明かしている。元・新聞記者らしい「誠意」が感じられてよい。荒木和一の「影」の部分も含めて、ほぼ全人間像を描ききった「評伝」としても立派に成立していると言っていい。


練達のジャーナリストであるから、文章が巧みなのは至極当然とも言えるが、物語の展開が見事である。場面(シーン)の転換は、まるで一つの映画を観ているような錯覚にも陥る。文章も奇をてらった、純文学的な小難しい表現は皆無で、実に読みやすい。300ページ近い長編なのだが、あっと言う間に読み切った。


武部氏は、初の小説ですでに、ジャーナリスティックな技量だけではない、シナリオライターとしての才能までも開花させた。ただただ凄いというしかないが、これは長年、彼が(映画ライターとして)膨大な映画を観続けてきた蓄積=努力の賜物でもあろう(欲を言えば、巻末に荒木と稲畑の写真、それに年表/年譜があれば、より物語への理解がすすんだであろう)。

 

【追記】読み終えて思ったのは、大阪や京都が主な舞台となるこの小説、これは(NHK大阪局制作の)朝の連続ドラマにぴったりの脚本にもなるということ。この私の文章をお読みのNHK関係の方々、ぜひ社内でご提案を。
 


【荒川英二氏プロフィール】

 1954年生まれ、元朝日新聞記者。在職中から全国のバーを巡りながら、2004年以来、バー文化について自身のブログで発信し、クラシック・カクテルの研究もライフワークとしてきた。14年5月、大阪・北新地にオーセンティック・バーBar UKをオープン。お酒(モルトウイスキーやオールドボトルなど)、洋楽(ジャズやロック)、ピアノ演奏が大好きなマスターとして知られている。切り絵作家の故・成田一徹氏没後に出版されたバー切り絵作品集『NARITA ITTETSU to the BAR』では編者をつとめた。

★Bar UK:大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F  06-6342-0035)

★Bar UK Official HP & Blog(https://plaza.rakuten.co.jp/pianobarez/)


 

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