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2015年5月アーカイブ

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『教室の子供たち』(55)で、授業中の子供達の生き生きした姿をフィルムに収め、ドキュメンタリー映画に新風を巻き起こし、世界をも驚嘆させた羽仁進監督。同作の公開から60年を記念し、ドキュメンタリーの方法を駆使した劇映画や、実験的試みを取り入れた唯一無二の作品群を回顧上映する『“映画の天才”羽仁進映画祭』が6月13日(土)から7月3日(金)までシネ・ヌーヴォ(九条)にて開催される。
 
 
上映作は全20本。ドキュメンタリー作品は、監督第一作となったドキュメンタリー短編『生活と水』(52年)、ドキュメンタリーの概念を覆し羽仁進の名を広く知らしめた傑作『教室の子供たち』(55年)、羽仁の記念すべき劇場デビュー作となった『絵を描く子どもたち』(56年)、今やドキュメンタリーの教科書となった代表作『法隆寺』(58年)。
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劇映画では、劇映画第一作『不良少年』(60年)、『充たされた生活』(62年)、ベルリン映画祭特別賞の『彼女と彼』(63年)、モスクワ国際映画祭審査員特別賞の『手をつなぐ子ら』(64年)、渥美清主演の『ブワナ・トシの歌』(65年)、左幸子主演の『アンデスの花嫁』(66年)、寺山修司脚本の『初恋・地獄篇』(68年)、当時人気絶頂だったピンキーとキラーズ主演のエンターテインメント作品『恋の大冒険』(70年)、羽仁映画が到達したひとつの頂点『午前中の時間割り』(72年)、羽仁監督のライフワークとなったアフリカが舞台の『アフリカ物語』(80年)、反核・反戦映画『予言』(82年)、『歴史=核狂乱の時代』(83年)までがラインナップされている。
 
また、現在86歳の羽仁進監督を迎えてのトークショー開催(6月13日)や、原一男監督を招いてのトークショー(6月20日)を開催。映画祭に先立つ6月6日には大阪歴史博物館で評論家の上野昂志さんによる「羽仁進の世界」と題した特別講演会を開催し、より多面的に羽仁監督の作品世界を紹介する。海外での再評価の気運も高まっている羽仁監督作品を一挙に鑑賞できるチャンス。ぜひ、足を運んでほしい。
 
<トークショー>
6/13(土)12:40  トークゲスト=羽仁進監督 ※『教室の子供たち』+『絵を描く子どもたち』の上映後
6/20(土)12:15  トークゲスト=原一男監督 ※『不良少年』の上映後
<「羽仁進の世界」特別講演会>
6/6(土)14:30〜 講師:上野昂志さん(批評家・映画評論家)
会場:大阪歴史博物館・4階第1研修室(地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目」9号出口前)
料金:無料

<羽仁進監督略歴>
1928年東京生まれ。父は歴史家の羽仁五郎、母は婦人運動家の羽仁説子、祖母羽仁もと子の創設した自由学園を卒業。共同通信記者を経て49年、岩波映画製作所創立に参加。52年、『生活と水』で監督デビュー。55年『教室の子供たち』で、授業中の子供達の姿を生き生きとフィルムに収めて大好評となる。翌年の『絵を描く子どもたち』は、記録映画としては珍しく劇場公開。その後も『双生児学級』(56年)、『法隆寺』(58年)など1作1作が記録映画界に新風を吹き込み、高い評価を得る。
 
60年、長編劇映画第1作の『不良少年』がキネマ旬報ベストテン第1位に選出。それは、黒澤明『用心棒』、木下惠介『永遠の人』など幾多の名作を抑えての選出で、素人を起用してドキュメンタリーの方法を用いた生々しい映像の迫力が圧倒的な評価を得たのもので、ヌーヴェル・ヴァーグの時代、新人の台頭を鮮やかに印象づけるものとなった。63年の『彼女と彼』は発足直後のATGで配給され、時代の最前線を疾走する第一人者として名声を不動のものとした。その後も『ブワナ・トシの歌』『初恋・地獄編』などドキュメンタリーの手法を多用した劇映画を製作。一方、長くアフリカ、オーストラリアなどに海外ロケを続け、野生動物を撮りつづけた。『アフリカ物語』を発表する他、テレビ等で活躍するなど、活動の幅も広げ、94年には、40年を越える映画監督としての功績を評価され日本映画ペンクラブ賞を受賞。2014年、ウィーン国際映画祭、NYリンカーンセンター等で特集上映が相次ぐなど、今、最も再評価の気運高まる日本の監督である。

 
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