映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

《おおさかシネマフェスティバル2026》


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寒さが残る 3 月 8 日(日)、大阪北区のエルセラーンホールにて『おおさかシネマフェスティバル 2026』が開催された。

今年は名物 MC である浜村淳氏が、直前の入院となった事から、蕭秀華氏が 1 人でMCを務める事となり、「皆さま 温かく見守ってください」という言葉と共に、温かい拍手で幕が開けた。

開会式の挨拶は映画評論家の春岡勇二氏。前回の 2024 年に『怪物』で新人賞を受賞し登壇された黒川想矢氏が『国宝』で吉沢亮氏演じる立花喜久雄の幼少期を演じられた事から「おおさかシネマフェスティバルで選ばれた人が、活躍していかれる姿を見られるのは嬉しい」と話した。「映画はその時代に大きく影響している」と、現在の世界情勢と絡めながら「皆さんで、映画・時代・世界を目撃しましょう」と締めくった。


おおさかシネマフェスティバル 2025 監督賞、主演男優賞、ワイルドバンチ賞 受賞記念『侍タイムスリッパ―』上映本作上映後に、昨年授賞式が叶わなかった事から、安田淳一氏に 2025 年度の監督賞、主演男優賞、ワイルドバンチ賞の賞状とトロフィーが授与された。

簫「資材を擲ってお作りになられたと聞きましたが」

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安田「貯金を使い、車を売って、補助金を申請し、全部支払いが終わった時には 6,250 円くらいしか残っていなかったけれど、何とか作ることができた」

簫「大ヒットして、預金通帳は今どれくらいに?」

安田「今年の納税額が恐ろしい事になって、何のために頑張ったのかわからないくらい自棄になっておりますけど、この税金が本当に困っている人や現場で頑張っている人に使われて欲しい」

現在は、本作のスピンオフとなるドラマ『心配無用ノ介』が 7 月中旬より BS TBS での放送を控え、さらに二条城のプロジェクションマッピングでエンターテイメント演劇(城劇)に携わっている事を発表。

安田「心配無用ノ介の制作委員会で BS TBS から「監督、10作作ったら、上手くいったら 100 万円の損ですみます」と言われ、初めから損ですよ!」と近況のお財布状況も触れながら、会場を賑わせた。

そして、今後は山田洋二監督の『男はつらいよ』のリブートをやりたいと意欲を示した。
 


<表彰式>

■新人監督賞: 山本環(『この夏の星を見る』)(ビデオメッセージ)

初めての商業映画で松井プロデューサーをはじめ、いろんな方の力を借りて、挑戦させていただいた作品です。来年、再来年も精力的に映画を作っていくので、本当に素敵な映画を届けられるよう頑張ってまいりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。と締めくくった。

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そして会場では、山本監督の代わりにプロデューサーの松井俊之氏が登壇し、賞状とトロフィーを受け取った。

簫「新人監督をデビューさせるのが厳しい時代で、山本監督のどこに魅力を感じましたか?」

松井「彼(山本)は、大阪芸術大学を出た後にプロになる為に、ものすごくアウトプットの努力をしていた。ネットをはじめ様々な場所で多くの映像を上げており、めぐり合う事ができた。映画業界の為に、若い監督に出てきていただきたい」と若者にエールを送った。


■音楽賞: 原摩利彦(『国宝』)(ビデオメッセージ)

幼少期を大阪で過ごし、梅田の映画館でたくさん映画を観て育ちましたので、おおさかで賞をいただけて嬉しい。とコメントが寄せられた。


cinefes2026-笠松則通-240-2.JPG■撮影賞: 笠松則通『てっぺんの向こうにあなたがいる』)

(7 歳の女の子からの花束贈呈に)素晴らしいお嬢さんから花束をいただいたのは初めて。それが一番感動しました。この作品では 3 つの初めての経験があり、初めて富士山に登った事、映画の中で約 50 年の時代を描く事、そして吉永小百合さんをファインダーを通して見つめる時間が一番嬉しかった事です。

 

■脚本賞 :内田英二『ナイトフラワー』 (メッセージ寄稿)

「おおさかシネマフェスティバル 2026」での脚本賞受賞、大変嬉しく思います。オリジナル作品が年々少なくなっている中で、大変励みになります。今回の受賞を機に、いっそう良いストーリーを書けるよう精進したいと思います。ありがとうございました。

 

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■外国映画作品賞:『ワン・バトル・アフター・アナザー』ワーナー・ブラザーズ 宣伝プロデューサー 園千明

受賞の感謝を伝えると共に、ワーナー・ブラザーズは日本における劇場配給業務を 2025 年 12 月に終了しましたが、これからもワーナー・ブラザーズが送る物語が日本中の皆さまに愛され、お楽しみいただける事を心より願っております。コメントを残した。

 

■日本映画 作品賞: 李相日『国宝』) (ビデオメッセージ)

阪本順治監督は僕の映画界でのお兄さんなので、監督賞をお祝いできずに心苦しいです。ずっと何年先まで言われるか、怖いです。

 

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■監督賞 :阪本順治『てっぺんの向こうにあなたがいる』

「李相日来いよ!」直前の李監督のビデオメッセージに対するツッコミから始まったコメント。「(おおさかシネマフェスティバル 2026 ベストテンは)6 位なんですけど、吉永さん、若葉君、45 年前に美術として入った時のカメラマンだった笠松さんと一緒に賞をいただいて、本当に嬉しい限りです」

「頭に血が上った事はあるんですけど、山は登った事がなくて」と続き、が笑いに包みこまれる会場となった。

簫「吉永さんとは 13 年ぶりですよね」

阪本「あの方、鋼の心臓なんですけどダジャレ大好きなんですよ。衣装合わせで登山靴の色が合わないと思って「ちょっとすみません、その靴替えます」って言ったら、吉永さんが「靴だけに覆(クツがえ)しましたね」って。スタッフに対する気遣いも含めて、本当に素晴らしかったです」

最後に「(表彰式後の記念上映に対して)登山の映画でもあるんですけど、登山隊との絆や家族の愛でもあるので、そういうところでも魅力を感じていただければと思います」と締めくくった。

 

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■新人女優賞: 中川未悠 (『ブルーボーイ事件』)

本作の舞台挨拶で、台湾から直接会場に駆け付けての登壇となった。

「(役の)さちと中川未悠自身の、今まで悩んできた事も重なる部分がすごく沢山あったので、さちを演じる事はもちろん、自分自身の気持ちを強く見てくださる方に届けられればいいなと思う」

簫「今後も女優のお仕事をしていかれるんですか?」

中川「そうですね。次の作品も決まり、『となりのトランス少女ちゃん』という原作が漫画の実写化が決まって、1 月に撮影を全て終えたばかりで、10 月に公開を予定しており、これからも続けていきたいと思います」

 

cinefes2026-黒崎煌大-240-2.JPG■新人男優賞: 黒崎煌代 (『見はらし世代』)

私は三田出身なんですけども、三田の田舎者が東京のシティボーイの役を演じて大丈夫かなと思ったんですけど、今回が最初の長編映画となる団塚唯我監督が同世代で良い掛け合いができた結果なのかなと。カンヌ国際映画祭で監督と一緒にロストバゲージしたり…大変困りました。パンツだけ買って。

監督の理念的な映画で、監督ご自身が東京のザ・シティボーイなので、監督とコミュニケーションして、一緒に渋谷に行ったり、MIYASHITA PARK を観察したり…すごいナンパが盛んですね。ハチ公前で行われていた文化が、都市開発によって移動していった映画でもある。と語った。

 

■助演女優賞 :伊東蒼 (『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』)

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この『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は、ちょっと落ち込んでしまったり、どうしても前に進めない時に、優しく包み込んでくれるような言葉がたくさんある作品だと思うので、すでに観てくださった方にとってもこれから観てくださる方にとっても、温かい作品になればいいなと思っています。これからも映画作りに関わることができる喜びを大切に頑張っていきたいと思います。

簫「凄い長いセリフがありましたよね。自分の好きな人が自分の事を好きじゃないってところ、ずっと泣いてしまいました」

伊東「さっちゃんと同じような気持ちで、撮影の何日か前から「振られに行くんだな」と思うとすごく憂鬱な気持ちになって、セリフに「街灯の蛾、見とったやろ」って言うセリフがあるんですけど、本当に(蛾を)見ているんですよ。セリフ(言葉)からは伝わりきらなかった切なさとかもあって切なくなりながらの撮影でした」

春岡「あそこは本当に凄いです!去年の映画を全部見渡しても、一番印象に残っているシーンといっても過言ではない。恋する女性のカテゴリーがあるとすれば、ここ何年の歴史に残る、映画ファンみんな度肝を抜かされた。古田新太さんや佐藤二朗さんなど癖の強い方の娘役で、凄い女優さんだなと思っていました」

簫「やりがいがありますよね、そういう方と一緒にお仕事をなさるのは」

伊東「勉強させていただくことがたくさんあって、毎回「自分もこういう風になりたいな」って気持ちが更新されています」

 

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■助演男優賞:若葉竜也 (『てっぺんの向こうにあなたがいる』)

最近、学生時代に見ていた人たちとお仕事ができる事が多くなって、映画の脚本でも「これ出来過ぎているじゃないですか?」ってくらい出来過ぎた話で…笠松さん、阪本順治監督、吉永さんと、こんな場所に立てるなんて思ってもいませんでした。

そしたら、初めて見た時衝撃的な俳優さんだった伊東蒼さんと一緒に受賞できた事も本当に嬉しく思っています。

簫「今回、吉永さんの息子役で、反抗的過ぎましたよね?」

若葉「実際の方がそうだったので、監督からは「もっと反抗的に」と言われました」

春岡「吉永小百合さんと佐藤浩市さんがご両親の役ですけど、お2人と共演するのはどうでしたか?」

若葉「映画界のレジェンドの方々なので、もちろんすごく緊張しましたけど、お2人がまだ映画に緊張しているお姿を見て、映画の現場で緊張しているのが「正しい」と言われている気がして救われました。」

3 月 27 日公開の『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』で峯田和伸氏とのW主演も期待される。
 

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■主演女優賞: 吉永小百合 (『てっぺんの向こうにあなたがいる』) (音声メッセージ)

吉永小百合です。おおさかシネマフェスティバル 2026 での受賞、とびっきり嬉しいです。選んでいただき、感謝の思いでいっぱいです。

それなのに出席できずに本当に申し訳ございません。今日は五島列島の北のてっぺん新上五島町というところで、『てっぺんの向こうにあなたがいる』の上映会があるんです。1,000 人近い島の方たちが見てくれることになっています。映画館のないこの島で、私が自分の映画を上映するのが 4 回目なんですけれども、大阪での今日の受賞のことを島の皆さまにこれから伝えます。ありがとうございました。

 

■主演男優賞:長塚京三 (『敵』)

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今日、ここで大阪の映画好きの皆さんと対面できて、とても嬉しいです。「あぁ、こういう方たちに見てもらう為に映画をやっているんだな」と実感があります。ご来場ありがとございました。

簫「非常に珍しい内容と言いますか、難しい内容だったと思うんですけど、監督と色々とお話しになったんですか」

長塚「一番喫緊となる老いや老いに伴う衰えに対して「自分の立ち位置が映画にしなくてどうするんだ」という気持ちで、二つ返事で引き受け、監督や僕の自宅、仕事場とかで読み合わせを重ねてから、撮影に入りました」

春岡「老いがテーマで、奥さんを無くされた後に一人で丁寧に生きていたけれども、そこに敵がやってくるというメールから、精神のバランスと生活のリズムを崩していく渡辺儀助の役はどうでしたか」

長塚「まさに僕の日常と同じような日常を送っている。あまりにも似すぎている自分の役を演じのはしんどい…。渡辺儀助を演じている長塚京三を演じるという風な…それって演技しないっていう…?でもその客観性が欲しいとだいぶ悩みました」
 



<特別出演 (吉永小百合氏 リモート出演)>

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表彰式終了後に、吉永氏とオンラインによる生中継にて出演いただいた。

吉永「ダジャレは監督の方がもっともっと沢山言っていますので、皆さん誤解なさらないように」

阪本「吉永さん、五島(列島)ですよね?五島だけにご当地(ゴトウち)試写?」

吉永「はい、ご当地の 1,000 人の方に来てくださいます」

阪本監督の渾身のダジャレは伝わらず、会場の大きな笑いとなった。

簫「いかがでしたか?若葉さんの息子さん役は?」

吉永「反抗ばっかりしていたんですけど、もう少し仲良しのシーンも撮りたかったと思います。とっても素敵な方です」

簫「笠松さんもいらっしゃいますが…」

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吉永「笠松さんは、とても寡黙な方で、最初の衣装合わせの時にご挨拶しようと思ったんですけどいつも下を向いてらして、「もしかしたら私のこと嫌いなんじゃないかな」とちょっと悩んだ事があるんですけど、本当はとても優しく素敵な方でした」

簫「監督、素敵な女優さんですよね」

阪本「その言葉で済むのかっていうくらい…。映画界がもっと元気だった頃に相当過酷な撮影もたくさんあって、物凄いスピードで映画を撮っていた時代の方ですから、こちらが無様な所を見せられないし、背中を見てついていくような、まさに“国宝”です」

吉永「勉強して皆さんに迷惑かけないように次回はやりますので、よろしくお願いします。」

簫「吉永さんに勉強して…って言われたら、若葉さんどうですか」

若葉「何十倍勉強したらいいですか、僕は?」

吉永「いやいや、もう完璧なんです。若葉ちゃんは」

謙虚な反応とお茶目な呼び方に、会場がどっと笑いに包まれた。

簫「田部井淳子さんを演じられる上で、一番気を付けられたところはどちらでしょうか?」

吉永「一度だけお目にかかった事があるんですけれども、本当に潔い方で、覚悟して前にどんどん行くっていう雰囲気が少しでも出せたら、と思ってやりました。監督には色々とサポートしていただいて、感謝しています」

阪本「ありがとうございます。ダジャレだけがコミュニケーションだったので…」

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吉永「これからもダジャレをもっともっと勉強して、演技と共に頑張ります」

簫「若葉さんはダジャレは無かったんですか」

若葉「え!?どういう質問ですか!?」「スペインの映画祭に監督と一緒に行った時は、毎日ダジャレを聞いて困ってました、僕は。」

阪本「若葉君はダメです。ダジャレは。」

簫氏の無茶ぶりに戸惑う若葉氏。終始笑いの絶えない、和やかな時間となった。

最後に「少しでもご挨拶できたらと思って、こんな形を皆さんがスタンバイしてくださったので、有難いと思っていますけれども、観客の皆さまにくれぐれもお詫びをしてよろしくお伝えください。そして選んでくださった審査員の方たちにも感謝しております。ありがとうございます。」吉永氏の感謝の言葉で締めくくられた。
 


cinefes2026-550-2.JPG◆場所:ホテルエルセラーン 5F エルセラーンホール
   (〒530-0003 大阪市北区堂島 1-5-25)

◆日時:2026 年 3 月 8 日(日) 10:00~ (表彰式は 13:30~)

◆登壇者(敬称略)
・主演男優賞―長塚京三(『敵』)
・助演男優賞―若葉竜也(『てっぺんの向こうにあなたがいる』)
・助演女優賞―伊東蒼(『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』)
・新人男優賞―黒崎煌代(『見はらし世代』)
・新人女優賞―中川未悠(『ブルーボーイ事件』)
・監督賞―阪本順治(『てっぺんの向こうにあなたがいる』)
・撮影賞―笠松則通(『てっぺんの向こうにあなたがいる』)
・新人監督賞―松井俊之 ※山元環監督の代わりとして登壇(『この夏の星を見る』)
・外国映画 作品賞―ワーナー ブラザース ジャパン合同会社 宣伝プロデューサー 園千明(『ワン・バトル・アフター・アナザー』)

◆ビデオメッセージ(敬称略)
・日本映画 作品賞―監督 李相日(『国宝』)
・音楽賞―原摩利彦(『国宝』)
・新人監督賞―山元環(『この夏の星を見る』)

◆コメント(敬称略)
・脚本賞―内田英二(『ナイトフラワー』)
・主演女優賞―吉永小百合(『てっぺんの向こうにあなたがいる』)

◆リモート(敬称略)
・主演女優賞―吉永小百合(『てっぺんの向こうにあなたがいる』)


(オフィシャル・レポートより)