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『旅と日々』18年ぶりの快挙!第78回ロカルノ国際映画祭 金豹賞・ヤング審査員賞W受賞!@スイス・ロカルノ

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(Copyright: Locarno Film Festival / Ti-Press)


『旅と日々』18年ぶりの快挙!

第78回ロカルノ国際映画祭 金豹賞・ヤング審査員賞W受賞!

三宅唱監督、シム・ウンギョン、河合優実、髙田万作より喜びの声!

 

11月7日(金)より全国公開となる三宅唱監督最新作『旅と日々』が正式招待されていたスイス・ロカルノで開催中の第78回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門にて、8/16(土)14:30(現地時間/日本時間8/16(土)21:30)より行われた授賞式で見事最高賞である金豹賞グランプリを受賞いたしましたのでご報告いたします。本賞の受賞は、日本映画では2007年の小林政広監督作品『愛の予感』以来、18年ぶり。これまで日本人監督として本賞を受賞したのは衣笠貞之助監督、市川崑監督、実相寺昭雄監督、小林政広監督の4名。今回の受賞により、78回の歴史の中で 5人目の快挙 となりました。

また、ヤング審査員賞も受賞し、金豹賞と合わせてW受賞となりました。
 

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三宅唱監督は本受賞について「とても驚いています。いい言葉がみつかりません。一緒に働いたすべての俳優、すべてのスタッフの本当に美しい仕事が、このロカルノの地で評価されたことを心から光栄に思います。」と語り、シム・ウンギョンさんは「スタッフの皆さんと一緒に旅したゴールがロカルノでとても、とても嬉しいです。審査員の方々、最高です!」と興奮を抑えきれない様子。河合優実さんは「初めて完成を観た瞬間、ずっと心を奪われ続けたこの作品が冠をいただき、心から嬉しい」と感激を隠さず、髙田万作さんは「三宅監督をはじめチームの情熱と挑戦が、さらに大きく羽ばたくことを願ってやみません」と喜びを噛みしめました。


本作の公式上映を終えた8月15日以降、海外メディアでも「人間の悲しみと物語の本質をそっと見つめる静謐な傑作。ささやかでありながら、その親しみやすさは観る者の心を捉えて離さない」(Publico)、「三宅唱監督は、感情や人物描写、撮影監督・月永雄太が見事に映し出す彼らを取り巻く風景の美しさといった多層にわたる要素を織り込みながら、短編小説のような繊細な世界を紡ぎ出す」と称賛の声が続いています。


また、本作について審査員長の映画監督リティ・パンは授賞式で本作について「ひとつひとつの場面が深い感情を呼び起こし、胸を打つ体験を提供してくれる」と語りました。
 


◆三宅唱監督コメント全文

ロカルノ国際映画祭、審査員の皆様、選考委員の皆様、すべてのスタッフ、そしてすべての観客の皆様に心から感謝申し上げます。そしてなにより、この映画に多大なインスピレーションを与えてくださったマンガ家のつげ義春さん、ならびにふたつのマンガの映画化を許諾してくださったつげ正助さんに心から感謝申し上げます。

とても驚いています。いい言葉がみつかりません。一緒に働いたすべての俳優、すべてのスタッフの本当に美しい仕事が、このロカルノの地で評価されたことを心から光栄に思います。ぼくらは最高のチームです。
 

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この映画をつくるまえ、最悪なことがたくさん起きているこの世界で、一体映画になにができるか、深く悩んでいました。ただ、この映画を撮りはじめて、私は映画そのものに対する愛や信頼、そしてこの世界への愛をふたたび感じることができました。完成した映画を通して、多くの方とそれを共有できるなら、とても幸せです。

 

◆シム・ウンギョンさん(本作主人公役)コメント全文

旅と日々で、李を演じることができて光栄に思います。 監督に頼りながらスタッフの皆さんと一緒に旅したゴールがロカルノでとても、とても嬉しいです。審査員の方々、最高です!


 

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◆河合優実さん(渚役)コメント全文

びっくりして声が出ました。三宅唱監督、本当におめでとうございます!
皆で映画を作った道のりのすべて、初めて完成を観た瞬間、ずっと心を奪われ続けたこの作品が冠をいただき、心から嬉しいです。関わってくれた全ての方と喜びを分かち合いたいです。



◆髙田万作(夏男役)コメント全文 ※映画祭には不参加

作品の魅力が国や言葉を超えて届いたことを誇りに感じます。三宅監督をはじめチームの情熱と挑戦が、さらに大きく羽ばたくことを願ってやみません。こうして素晴らしい作品に関われたことを光栄に思います。

 

 

<第78回ロルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員長リティ・パン氏による本作授賞式での評>

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最高賞を獲得した作品について。この作品は非常に繊細で、観る者を心に響く物語へと引き込みます。映像の美しさが人生の儚さと強さを映し出しています。物語は巧みに演じられており、ひとつひとつの場面が深い感情を呼び起こし、胸を打つ体験を提供してくれます。


<ヤング審査員特別賞 選出の評>

我々がこの作品を選んだのは、それが「二つの季節」を描写すると同時に、「二つの相反する世界」を語っているからです。そこでは環境そのものが物語の能動的かつ不可欠な要素となっています。

前半では、脚本家は理想化された人生観に結びつく、夏の雨に濡れる海を描き出します。後半では、冬の山が舞台となり、社会の片隅で閉ざされた生き方をする山小屋の主人との関わりをはじめ、より現実的で時に困難な人間関係に直面していきます。

丁寧に構築された映像と、夏と冬の鮮烈な対比は、場所というものがどのように登場人物を形づくり、彼らの選択に影響を与えるのか、そして人生の脆さやリアルな側面をいかに浮かび上がらせるのかを物語っていました。

ロカルノ映画祭:Copyright: Locarno Film Festival / Ti-Press


★『旅と日々』作品情報

行き詰まった脚本家が旅先での出会いをきっかけにほんの少し歩みを進める――

世界の映画祭が注目する三宅唱監督が贈る、今秋最注目の珠玉のロードムービー


tabihibi-550.jpg強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない夏男が、影のある女・渚に出会う。何を語るでもなく、なんとなく散策するふたり。翌日、また浜辺で会う。台風が近づき大雨が降りしきる中、ふたりは海で泳ぐのだった…。


つげ義春の漫画を原作に映画の脚本を書いた李。「私には才能がないな、と思いました」と話す。冬、李はひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。やる気の感じられない宿主、べん造。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった…。


監督を務めるのは、『ケイコ 目を澄ませて』(22)、『夜明けのすべて』(24)など、作品を発表するごとに国内の賞を席巻し、これまでベルリン国際映画祭に3作が出品されるなど、現代日本映画界を牽引する存在として世界中で注目を集める三宅唱監督。原作であるつげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を見事な手腕で現代的にアップデートする。


本作は第78回ロカルノ国際映画祭のインターナショナル・コンペティション部門に選出!青山真治(『東京公園』『共喰い』)や濱口竜介(『ハッピーアワー』)など世界に誇る日本人監督の作品が並ぶ。映画祭選考委員会は本作の選出理由を「日本映画の最高峰」と熱く評する。


韓国出身ながら日本映画界に不可欠な俳優であるシム・ウンギョンを主演に、べん造役に映画、テレビ、舞台と縦横無尽に活躍する俳優・堤真一、渚役を2024年に数々の映画賞を獲得した河合優実、夏男役を『流浪の月』に出演し注目度の上がっている髙田万作が演じる。そして、つげ作品に欠かせない俳優、佐野史郎がひとり二役で花を添える。
 


『旅と日々』

出演:シム・ウンギョン 
河合優実 髙田万作
斉藤陽一郎 松浦慎一郎 足立智充 梅舟惟永/佐野史郎
堤真一
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」
音楽:Hi’Spec
製作:映画『旅と日々』製作委員会 製作幹事:ビターズ・エンド カルチュア・エンタテインメント 企画・プロデュース:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ザフール 
配給・宣伝:ビターズ・エンド 
©2025『旅と日々』製作委員会 
公式サイト:www.bitters.co.jp/tabitohibi

2025年11月7日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)