
第20回大阪アジアン映画祭のフィナーレを飾るクロージング上映作品「桐島です」の世界初上映と舞台挨拶が、3月23日(日)のクロージングセレモニーに続いてABCホールで行われ、高橋伴明監督、プロデューサーと出演の高橋惠子さん、脚本の梶原阿貴さん、製作総指揮の長尾和宏さんが登壇した。
世界初上映の心境について、高橋伴明監督は「もっとひっそりと、しめやかに公開されると思っていた。みなさんの前で大々的に発表できるとは、びっくりしていると同時に驚いています」と感無量の様子。50年近くに渡る桐島 聡の人生を一人で演じきった毎熊克哉については、「『ケンとカズ』の頃から注目していたし、何かあれば一緒にやりたいと思っていました。この作品で、日本映画界にとって大事な俳優になることは間違いない」と賛辞を送った。

脚本の梶原阿貴さんは、高橋伴明監督と初タッグを組んだ『夜明けまでバス停で』で高い評価を得、今回は再タッグ作となるが、実話を基にした作品だけに「関係者の方への配慮を最大限にしつつ、どうやってエンターテイメントにするかが難しかった」と振り返った。また、高橋監督から急に呼び出され「5日で書け」と言われた後に、高橋惠子さんから「できるわよね?」と念押しされたエピソードも披露。以前から(桐島に関する)スクラップをたくさん作っていたことも明かされた。
今回はプロデューサー兼出演の高橋惠子さんは「まだ脚本になる前に、(伴明氏に)タイトルが『きりしまです』だと聞いた時、結婚して長いけれど、初めて『どんな役でもいいから出させて欲しい』と言いました。これはいいものになると直感したし、出なければいけないと思ったんです。梶原さんが、5日間で脚本を書き上げたのは素晴らしい」と製作秘話を語った。
製作総指揮の長尾和宏さんは「『痛くない死に方』以来6年間、命や生きる、死ぬということをを優しい目で見つめていただけた監督です。いろんなことがあった50年間を振り返りながら観ていただきたい」と観客に呼びかけた。

約49年の逃亡生活を経て2024年1月29日に本名を告げて死去した謎の男、桐島 聡。桐島 聡の軌跡と〈青春の正義〉を描く「桐島です」は7月4日から東京・新宿武蔵野館、7月5日から大阪・第七藝術劇場他全国順次公開。
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(江口由美)