映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

2020年11月アーカイブ

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 10月31日に開幕し、従来通りのスタイルで劇場上映を行う他、映画人たちのオンライン交流ラウンジや参加作品監督によるQ&Aを行うオンライントークサロンを並行して開催した第33回東京国際映画祭。最終日の11月9日にクロージングセレモニーが開催され、本年度唯一の価値ある賞となる観客賞に大九明子監督『私をくいとめて』が見事輝いた。
 
 舞台に登壇した大九明子監督は「3年前に『勝手にふるえてろ』で観客賞を頂戴したときと世界は全く違っているし、この映画祭も全く違う形となりました。いろいろな映画祭がリモートや配信で行う中でTIFFが実際にお客様をお入れし、同じ劇場で同じ時間で一緒にスクリーンに向かって映画を観るという体験を実現させたのは本当に素晴らしいこと。まだまだ出歩くことが安心できない不安な中で、チケットを取って劇場まで足を運んで映画をご覧いただき点数を入れてくださった、お一人お一人の貴重な一票が私どもにこの賞をくださったと、いつも以上に感慨ひとしおです。早くひとりひとりのお客さんと直接握手をしたり、お話をしたりできれば良いなとお祈りしております」と挨拶。
 
 主演ののんは「このような素敵な賞をいただきありがとうございます。今年は唯一の賞ということで、観客の皆さんに応援いただいた作品ということに嬉しく思っております。何年振りかの主演映画で大九監督に呼んでもらいこの映画に参加させていただき、本当に心から喜びでいっぱいです。映画というのは観客の方々に見ていただいて初めて完成するものだと思います。今回この賞を大切に受け止めたいと思っています」と喜びを表現した。また、この日残念ながら登壇できなかったキャストからのメッセージが寄せられ、
「劇場に足を運んで投票してくださった皆様、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。この作品の細部に散りばめられた監督やスタッフの皆さんの強いこだわり、そして情熱が多くの人に届いたんだなと思うと嬉しい気持ちでいっぱいです。スクリーンから大九組のあのワクワクする空気感を皆さんにもっと味わって頂ける日を楽しみにしています」(林遣都スピーチ代読)
「見てくださった皆様のお力添えに感謝します。この映画も、自分にとっても、映画界全体も、良き未来を作り上げていくために、大きな一歩になったと思っています。何より楽しんでいただけたことが、心から嬉しいです。また、大九監督とのんさんに、本当におめでとうって言いたいです」(橋本愛スピーチ代読)
とキャストたちの感謝と熱い気持ちが伝えられた。
 

 
 セレモニー後に行われた記者会見では、大九監督がコロナ禍で中断を余儀なくされながら完成にこぎつけた本作の撮影を振り返り、「この作品は3月中旬クランクイン、4月中旬クランクアップの予定でしたが、4月の頭に緊急事態宣言が発令され、撮影中断を余儀なくされました。約2カ月ほど中断し、その間に脚本を書き直し、緊急事態宣言が明けたあとの撮影現場では毎日体温を測る、フェイスシードをつけるなど、自発的に皆で知恵を出し合い健康を守りながら撮影を敢行しました。映画館も閉まり、不要不急という言葉が飛び交いましたが、映画は不要でも不急でもないと信じ、思いたいので、今後も各製作者が細心の注意を図りながら作り続けていくべきだと信じています」。
 
 
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 さらに久しぶりの主演作で見事な演技をみせたのんは、自身にとっての女優業について「私は本当に女優のお仕事が大好きで、ここに一生いたいと思っています。10代の時に一度、もし女優をしていなかったら何をしていたんだろうと考えたことがありましたが何も思い浮かばず、これは自分の生きる術だと思って気持ちが固まった。主演映画というのは本当に特別。出番もセリフもたくさんあり、ずっと大好きな演技をしていられるということが至福です。また映画は、たくさんの人が一点を見つめて同じ目標に向かっていくという感覚が本当にたまらないです。もちろんくたびれることもあるけど、良いものが撮れた時の感覚は他では味わえないです」とそのやりがいを力説。
 
 
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 最後に、.今年の東京国際映画祭の出品作品の女性監督の割合が16.7%とまだまだ少ない現状に対し、大九監督は
「商業映画の世界に入って13年くらいになるが、当初はもっと女性のスタッフは少なかった。私が監督である時点で『この組は女性が多いな』という声が飛び交い、そのたび『地球のバランスでいったらまだまだです』と言い続けてきました。映画を作ることが唯一の欲望なので、お声かけいただけらば手をあげて走り続けてきましたが、その多くの理由は『女性の監督だからお願いしたい』というもの。女であるということが個性の一つだと言われるなんて有利だとも思っていた時期がありましたが、それも数年で終わり、だんだん腹が立ってきました。男の監督にもそれを言いますか、と。きっとこの世に生きる女性なら、そんな思いをしたことが一度でもあると思います。様々な不公平を味わってきて、振り返ると私を導いてくれた大事な人はすべて女性でした。小学校の時に作文をほめてくれたのも、四つの時から通っていた書道教室で戦争体験を楽しく話してくれて笑って生きる大切さを教えてくれた書道の先生も、商業映画の一本目を取らせてくれたプロデューサーも皆女性です。だから私はこれからも女性の後輩にはうんと優しく、たまには厳しくして、彼女たちの個性や才能を照らしていける存在に、そんな大人になりたいなと思っています」と自身のキャリアを振り返りながら、女性であることを特別視されずその才能を発揮できる環境づくりが必要であることを語った。『私をくいとめて』は、12月18日(金)より全国ロードショーされる。
 
 

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©2020『私をくいとめて』製作委員会
 
<第 33 回東京国際映画祭 開催概要> 
■開催期間: 2020 年 10 月 31 日(土)~11 月 9 日(月) 
■会場:六本木ヒルズ、EX シアター六本木、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほか 
■公式サイト:www.tiff-jp.net
©2020TIFF
 
 

オフィシャル写真(©2020 TIFF) (2).JPG

第33回東京国際映画祭・特別招待作品

初監督となる寺門ジモンの演出をEXILE NAOTO、土屋太鳳が大絶賛!!

『このトングが、もしも侍が持つ日本刀だったら』とアドバイス

 

寺門ジモン初監督作品『フード・ラック!食運』が11月20日(金)より全国公開となります。

世界中でいまだ続く新型コロナウイルスの影響により、全国の飲食業界、映画業界でも厳しい状況が続く中、映画から食を応援するとともに、食を通して人々が支え合い、食を囲む幸せの日々が続くように願いを込めた本作。新人編集者・静香(土屋太鳳)と共に「本当に美味しいものを本当の言葉で紹介するサイト」の立ち上げを任されることになった良人(EXILE NAOTO)。その矢先、疎遠になっていた母・安江(りょう)が倒れたとの知らせが入る―。幼い頃の母との思い出とともに幻の人気焼肉店「根岸苑」を通して繋がり、食を通して出逢う人々それぞれの想いをのせ、焼いて、食べて、ちょっと泣いて、また食べる、極上の焼肉ハートフル映画。


本作が第33 回東京国際映画祭の特別招待作品部門に出品が決定し、ワールドプレミアとして世界最速上映いたしました。また上映後にはEXILE NAOTO、土屋太鳳、寺門ジモン監督の舞台挨拶を実施いたしました。


■日時:11月4日(水)16:40~17:00 ※上映後舞台挨拶

■場所:EXシアター六本木(港区西麻布1丁目2−9)

■登壇:EXILE NAOTO、土屋太鳳、寺門ジモン監督(敬省略)


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寺門ジモン監督がマイクとトングを間違えるボケをして舞台に登場し、会場が笑いに包まれて舞台挨拶がスタート。寺門監督は「飲食業が大変なことになっているので、この映画で元気になってもらいたい。みなさん、お肉をお楽しみください。」と挨拶があり、続いて主演のEXILE NAOTOより「今回はジモンさんの愛してやまないもの、“食”そして“家族愛”をテーマにした映画になっていますが、普段からおいしいものを食べに連れて行ってもらったり、公私共にジモンさんにはお世話になっています。役作りでも食べ物のことを勉強したんですが、もともと食べることが好きなので、とても幸せな撮影でした。みなさんに少しでも心に温かいものが残ったらいいなというのと、ぜひこの後は焼肉屋に行ってください!」と焼肉映画ならではのアピールをした。土屋太鳳は「難しい状況のなか、貴重な映画祭に参加させていただき感謝しています。本日も通訳の方がいらっしゃるとのことで、この愛する作品を、国境を越えてお届けできて嬉しいです。愛情と感謝を噛み締めて、この映画を皆さまと楽しめたらなとおもいます」と会場に集まった観客に向けて感謝を述べた。


FL-main.jpg焼肉が主役級に活躍する本作にちなみ、NAOTOは「今回、お肉もしっかりと演技をしてもらわないと困るということで、自分達への演技指導はあまりなかったのですが、お肉の焼き方に関してはかなりしっかりと監督から指導していただきました。こだわって撮っているので、お肉もいい演技をしているとおもいます」と寺門監督のお肉への並々ならぬこだわりぶりを明かした。初共演となったNAOTOとの撮影エピソードを尋ねられた土屋は「NAOTOさんは良人とは性格とかは違うんですが、狩人のような眼をしいるところが同じで、目標に向かってちゃんと研究して前に進んでいくところが、良人が覚醒した後の演技にパワーを与えていて素晴らしいなとおもいました」とNAOTO本人と役柄との共通点を挙げて、その演技について誉めた。


映画の中では焼肉を食べるシーンが多い為、撮影中に食べた肉の量を聞かれるとNAOTOは「2時間くらいの撮影で、薄い肉だったら10枚くらいは食べたはず…」というと、土屋は「私はもっと食べてるかも。13、14枚くらいは食べてました」と答え、するとすかさず寺門監督が「ちょっといいですか?撮影以外にも二人、いっぱい食べてますよ!いくらいい肉だからって食べ過ぎですよ!」と被せてコメントし、会場の笑いを誘った。


肉への愛だけでなく、不器用な母と子の物語でもある本作をオリジナルで考えた寺門監督は「もともとお店にはそれぞれのお店ごとに素敵なエピソードを持っているもので、今回の映画に出てくるお店もほとんどが実在しているお店で、その中で起きた素敵なエピソードもあって、今回はそれを忘れないでおきたいということで、オマージュを込めています。親と子というものにはずっと繋がっていく愛情というものがあって、それは食事にも繋がっているなとずっと思っていて。食べるということは生きる事。お母さんの愛情とかが、僕のうざいウンチクと一緒に映画を通じ、皆さんの心に入っていったらいいなとおもってストーリーを作りました」と映画に込めた想いを明かした。


FL-sub1.jpg初監督を務めた寺門監督について、土屋は「この情熱でお肉が焼けてしまうんじゃないかってくらい、すごく熱い情熱を持たれていて、その分撮りたいものがはっきりされているのでテイク数がどんどん増えていったんですが、でもそれは“こだわり”というより“使命感”なんじゃないかなと思いました。食って幸せじゃないと楽しめないことの一つだとおもうんです。食材も、調理する人も、味わう人も、大切な命をいただくので、それをちゃんと描いているなとおもいました」と絶賛し、「すごくいいこと言う!太鳳ちゃんに映画のコメント書いてもらえば良かったよ!」と寺門監督も土屋のコメントに嬉しそうな様子だった。NAOTOは「良人というのは食になった瞬間にスイッチの入る役なので、どうやってそれを演じればいいかなと考えていたときにジモンさんに相談して言われた『このトングが、もしも侍が持つ日本刀だったら。侍が刀を構えるときにスッと力を抜くようにこのトングを構えてみたらどう?』とアドバイスをもらい、その言葉が自分の中でとてもしっくりときて演じることができた」と撮影エピソードを語った。


最後に寺門監督より、これから映画を観る観客に向けてこの映画をより楽しむためのポイントとして「実在のお店で本当にお店で出てくるメニューで撮影させていただいているので、ぜひ“フーディー”と呼ばれる美食家の人たちにも観てもらい、あっ!これはあの店のあれだ!という風に楽しんでもらいたいです。そして普段からおいしいものを食べに行かない人にも、この映画を観るときっと『焼肉おいしそうだな~』と思ってもらえるとおもうので、映画を観る前にお店を予約して、映画を観終わってからお店に食べに行ってほしいです。お肉を食べるアイドリングとして最高の映画だとおもいます」と食と映画への愛が溢れるアピールをして、舞台挨拶は大盛況のうちに幕を閉じた。

 

映画『フード・ラック!食運』は11月20日(金)より全国ロードショー。


【あらすじ】 下町に店を構える人気焼肉店「根岸苑」をひとり切り盛りする母・安江。ひとり息子・良人の毎日の楽しみは、母の手料理を食べることだった。

ある事件がきっかけで店は閉店し、成長した良人は家を飛び出し、うだつがあがらないライターとして自堕落な生活を送っていた。ある日、グルメ情報サイトの立ち上げを任されることになった良人のもとに、疎遠になっていた母が倒れたとの報せが入り…。


原作・監督:寺門ジモン 原作協力:高橋れい子 脚本:本山久美子 音楽:Amar
出演:EXILE NAOTO 土屋太鳳 石黒賢 松尾諭 寺脇康文 白竜 東ちづる 矢柴俊博 筧美和子 大泉洋(特別出演)大和田伸也 竜雷太 りょう 
主題歌:ケツメイシ「ヨクワラエ」(avex trax)
製作・配給:松竹株式会社 / 制作プロダクション:株式会社ギークサイト
コピーライト:(C)2020松竹      

2020年11月20日(金)~全国ロードショー!


(オフィシャル・レポートより)

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 新型コロナウィルスの影響で世界中の国際映画祭がリアルでの開催を見送ったり、席数制限を行い、規模を縮小しての開催を余儀なくされる中、日本最大級の国際映画祭、第33回東京国際映画祭(TIFF)が席数制限のないリアル開催で、10月31日に開幕した。例年なら六本木ヒルズアリーナでのレッドカーペットイベントで華々しく開幕を飾るところだが、今年はそれに代わるイベントとして東京国際フォーラムホールCのロビーにてレッドカーペットを模した「レッドカーペットアライバル」を実施。総勢56名の豪華ゲストが映画祭を彩った。
 
 続いて行われたオープニングセレモニーでは、リアルでの開催を決断したTIFFに向けて、俳優のロバート・デ・ニーロ氏から日本語で「オメデトウゴザイマス!」と茶目っ気たっぷりなメッセージが届いた他、
「このような厳しい時期に、皆さんが大きなスクリーンで映画を観ることをたたえ、そして楽しむ道を見出してくれたことは、私にとって、そして世界中の映画製作者にとってインスピレーションの源となります」(クリストファー・ノーラン監督)
「世界中の人々に観てもらいたいという期待を抱きながら映画を製作する映画人を励ますと同時に、観客の皆様も勇気づけられることでしょう」(カンヌ国際映画祭総代表、ティエリー・フレモー氏)
と海外の映画人からも応援のメッセージが到着。
 
 今年のフェスティバル・アンバサダーを務める役所広司も登壇し、「今回の映画祭の開催はこれまでとは異なる形ですので、実行委員の皆様はとても苦労されたかと思います。いよいよ今日から始まります映画祭、観客の皆様と頑張っていきたいと思います」と“映画祭の顔”らしく堂々と挨拶。今年は例年とは違い、部門を統合、コンペティション部門や、日本映画スプラッシュ部門、アジアの未来部門は「東京プレミア2020」に統合。各部門別に審査員、賞の授与が行われていたが、「東京プレミア2020」での観客が選ぶ観客賞により選出されることに。それに関連して、映画を観る時に大事にしている視点を問われた役所は「観客が映画を評価するのは一番正しいこと。でも世界中の映画人が人生をかけて作った作品を評価するのには責任を感じてしまいますね。素直に心を動かされた作品に投票することが大事だと思います。観客の皆さんが重要な役割を担うというのは映画祭の熱気につながると思うので、とてもいいこと。映画産業を盛り上げる賞になるのではないか」と期待を寄せた。
 
 
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 日本映画界のいまを写し出す「Japan Now 部門特集」からは深田晃司監督が森崎ウィン、筒井真理子と共に登場。深田監督は「2010 年に『歓待』という作品で賞をいただいてからちょうど10年なので、もっとがんばれと叱咤激励を受けたと思っています。今回上映される作品は2005年に自分が初めて人のお金で製作した『ざくろ屋敷 バルザック「人間喜劇」より』や、『東京人間喜劇』という自主映画もある。僕の映画を全く観たことない人に入門編として見てもらえたら嬉しいです」とコメント。“共感度 0.1%”と言われている『本気のしるし《劇場版》』の出演について森崎は「僕がはじめて脚本を読んだ時には 0.1%も共感をもてなかったくらい現実味のないストーリーでした。しかし撮影前に深田監督と何度も話し合いを重ねてく うちに、いつの間にか深田ワールドに引き込まれていることに気が付きました。どんどん深田マジックにかけられて知らないうちに主人公の辻という役になっていたんです」と監督の不思議な引力を思い知ったエピソードを披露。 『よこがお』『淵に立つ』の2作品に出演した筒井真理子は、『よこがお』で2019年度芸術推奨文部科学大臣賞という 栄えある賞を受賞したことについて、「『淵に立つ』も『よこがお』も 深田監督から脚本をいただいた段階で「すばらしい映画になるな」と鳥肌が立ったことを思い出しましたし、そんな賞がいただけるように導いてくれた監督に感謝しています。このコロナ禍で授賞式が中止になってしまい、立派な賞状を宅急便のお兄さんからいただいたのは少し残念でした」と笑った。
 
 
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 第33回東京国際映画祭のオープニング作品に選出された『アンダードッグ』からは、武正晴監督、俳優の北村匠海と瀧内公美、森山未來(舞台公演中のためリモート参加)、脚本家の足立紳、佐藤現プロデューサーが登壇。ボクシング未経験だった森山と北村は役作りのために1年以上かけてトレーニングを敢行。北村は、「格闘技をやったことは人生で一度もなかったのですが、格闘技を見ることが好きで、リングにあがれる機会を逃すまいと出演を決めました」と語り、森山は「ボクサー役を演じるまでは、憎くもない相手を殴ったり、殴られなくてはいけないボクシングがよく分からなかったが、練習の最中にトレーナーに殴られたときに自分の中でアドレナリンが出る感覚があり、ボクシングというものに取りつかれてしまう人の気持ちが理解できました」と撮影を振り返った。全員が「いつも撮影現場の中心にいた」と口を揃えた武監督は、「ボクシングを演出するのは難しかったです。この手の映画はキャストが本当に重要で、森山さんや北村さんをキャスティングできたからこそ良い作品ができました。キャストはみんな全身全霊をかけて演じてくれましたね。今年の1,2月に撮影をし、世界が大変な時期になっている中、編集作業を進め、今年中に公開を迎えます。困難に打ち勝った作品のようでとても感慨深い」と作品への愛情を語った。さらに「非常に意義深い作品でこうやって映画祭に呼んでいただき、非常に光栄に思っています。こういう場所でいろんな映画人たちともっともっと映画の話をして、次の企画を考えていきたい。映画祭とはそういう場所であってほしいと思うので、ぜひ映画祭の中でいろいろな交流を進めていただきたい。本当にこういう場を与えていただけると、『やっぱり(映画製作を)やめられないな』と思いますので」と映画祭に対しても熱いメッセージを残しイベントを締めくくった。
 
 第33回東京国際映画祭は、11月9日(月)まで六本木ヒルズ、EXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷日比谷ステップ広場ほかで開催中
公式サイト:www.tiffcom.jp
 
©2020TIFF