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劇場初公開の『スーパーシチズン 超級大国民』に注目!台湾巨匠傑作選2018、7/14よりシネ・ヌーヴォで開催

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台湾ニューシネマの系譜を辿り、デジタルリマスター版で名画の再上映が堪能できる台湾巨匠傑作選2018が、シネ・ヌーヴォで7月14日(土)~817日(金)の約1ヶ月に渡り開催される。今回の目玉となっているのは、オムニバス作品『坊やの人形』の第3話、「りんごの味」で監督デビューを飾った台湾ニューシネマの代表格、ワン・レン監督の劇場初公開作『スーパーシチズン 超級大国民』だ。

 

ワン・レン監督の代表作とも言える本作は、1987年に戒厳令が解除されるまで行われていた白色テロ(国民党政府による反政府勢力に対する政治的弾圧)を題材にし、台湾の負の歴史に切り込んでいる。長年投獄されていた大学教員コーが、ようやく自宅に戻るところから始まる物語は、1950年代、政治的な読書会に参加したことを理由に逮捕、投獄されるまでの家族との幸せな生活と、獄中で拷問に耐えきれず友人タンの名前を明かしてしまったことによる自責の念が交差する。経済発展を遂げる90年代の台湾で、出獄後、時代から取り残されたようなコーが成し遂げようとしたタンの墓を探す旅。そこには、台湾でも文化大革命時の中国のように、国から理不尽な罪を着せられ、人生が奪われた人がいかに多かったか、またその痛みが、当事者以外の人には戦争の記憶のように風化していることにも気付かされる。第8回東京国際映画祭コンペディション部門で上映されて以来となる劇場初公開。台湾の歴史により深く触れることができる傑作だ。

 

 

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そしてデジタルリマスター版で初上映となるのが、グイ・ルンメイとチェン・ボーリンの瑞々しいデビュー作として台湾映画界の永遠の名作青春映画と人気の高い『藍色夏恋』。イー・ツーイェン監督は、新作『コードネームは孫中山』(OAFF2015)でグランプリを受賞した。同作の劇場公開が叶わない中、『藍色夏恋』の再上映は台湾映画ファンにも非常に嬉しいニュースだろう。

 

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さらに、ホウ・シャオシェン監督の青春映画『ナイルの娘』も、デジタルリマスター版で初上映される。現在、大ヒット上映中の『軍中楽園』のニウ・チェンザー監督が主演していることでも話題のシャオシェン監督の青春映画『風櫃の少年』や、初期代表作『童年往事 時の流れ』もラインナップされている。

 

 

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最新作『郊遊 ピクニック』で商業映画からの引退を発表したツァイ・ミンリャン監督作品からは、『青春神話』『愛情萬歳』『河』をラインナップ。

 

 

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世界の巨匠として、ハリウッドでの活躍も目覚ましいアン・リー監督からは、『推手』、第43回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『ウェディング・バンケット』、そして『恋人たちの食卓』の父親三部作を一気に上映。他にも、昨年劇場公開されたエドワード・ヤン監督の『台北ストーリー』、台湾ニューシネマの足跡と後世に与えた影響を解き明かすドキュメンタリー『台湾新電影時代』が上映される。

最後に、大阪限定として、ウェイ・ダーション監督の代表作『セデック・バレ<第一部・太陽旗>』『セデック・バレ<第二部・虹の橋>』の二部作も連続上映される。是枝監督をはじめ、国内外の多くの映画人に影響を与えた台湾ニューシネマに、この夏、ぜひ浸って欲しい。

 


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