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『銀幕デビューから八十年 女優 原節子のすべて』@シネ・ヌーヴォ【4╱25~】

 

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今年で銀幕デビュー80周年を迎える日本映画最大のスター・原節子の過去最大級の特集上映『銀幕デビューから八十年 女優 原節子のすべて』が、4月25日(土)〜6月12日(金)の7週間、シネ・ヌーヴォ(九条)にて開催される。
 
小津安二郎、成瀬巳喜男はもとより今井正、黒澤明、木下恵介など日本映画の巨匠の作品に数多く出演し、日本映画の黄金時代を体現した屈指の大女優にして、1963年の謎の引退から一切消息を絶ったまさに「伝説の女優」である原節子。出演作で最古の15才の時の特別映像上映の他、一躍スターへと登り詰めた1937年の日独合作映画『新しき土』、戦後民主主義を高らかに謳いあげた『青い山脈』(1949年)、そして出演作の白眉ともいえる『東京物語』(1953年)など小津安二郎監督作品6本、『めし』(1951年)、『山の音』(1954年)などの成瀬巳喜男監督作品などの名作のほか、マドンナに扮した「大番」シリーズ、最後の映画出演作となった『忠臣蔵』(1962年)まで、DVD化されていない珍しい出演作などがラインナップ。7つのカテゴリーに分けて生涯出演作112本のうち、42本を一挙上映する非常に貴重な機会だ。是非この機会に「伝説の女優」の名作の数々を堪能してほしい。
 

◎「鮮烈なデビュー、戦前の出演作品」

15才の出演作『河内山宗俊』(36年/監督:山中貞雄)、大ヒットし原節子が一躍スターダムにのし上がった日独合作映画『新しき土』(37年/監督:アーノルド・ファンク、伊丹万作)、「レ・ミゼラブル」を翻案した大作の『巨人伝』(38年/監督:伊丹万作)、戦意高揚映画『ハワイ・マレー沖海戦』(42年/監督:山本嘉次郎)など原節子のデビューから大スターになる15歳から22歳までの、凛々しくも清楚な美しさに満ちた5作品。
 

◎「才能が高らかに花開く戦後の鮮やかな作品群」

 戦後の新旧世代の交代を描きキネマ旬報ベストテン1位に輝いた『安城家の舞踏会』(47年/監督:吉村公三郎)、同じく吉村公三郎監督で原節子の抱っこ姿が可愛い『誘惑』(48年)、木下惠介監督のあまりに有名な傑作風刺コメディ『お嬢さん乾杯』(49年)、戦後民主主義の象徴となった名作『青い山脈』(49年/監督:今井正)など、敗戦後のうちひしがれた日本人を励まし勇気づけ、あるべき日本女性の理想像を描いた7作品。
 

◎「小津安二郎監督出演作品」

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 初めて小津作品に出演したキネマ旬報ベストテン1位に輝いた記念すべき「紀子3部作」の第1作『晩春』(49年)、こちらもキネマ旬報ベストテン1位に輝く「紀子3部作」第2作『麦秋』(51年)、「紀子3部作」の末尾を飾るとともに、世界映画史上ベストワンにも選ばれた小津・原コンビの最高傑作『東京物語』(53年)、宝塚で撮り最後の小津・原コンビ作となった『小早川家の秋』(61年/この2年後に小津は死去、原も翌年で銀幕から消えて行った)など頂点を極めた『東京物語』など、小津出演作全6本上映。
 

◎「成瀬巳喜男監督出演作品」

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 戦後まもない大阪でロケを敢行した傑作『めし』(51年)、川端康成原作の成瀬の傑作のひとつ『山の音』(54年)、原節子のクローズアップは比類ない美しさ『驟雨』(56年)、高峰秀子と共演し大ヒットした『娘・妻・母』(60年)など、“女性映画の巨匠”成瀬が描く理想の女性像。全4作を上映。
 

◎「多彩な映画に出演した日本映画の黄金期」

 黒澤明の傑作のひとつで原の演技の見事さが光る『白痴』(51年)、戦後日本人の変化を描いた佐分利信が監督した傑作社会派ドラマ『愛情の決算』(56年)、なんと原節子が女子刑務所の保安課長!?『女囚と共に』(56年/監督:久松静児)、義兄・熊谷久虎監督による感動作『智恵子抄』(57年)、原節子が泥まみれになりながら戦後唯一出演した戦争映画『最後の脱走』(57年/監督:谷口千吉)、原が出演を熱望した鬼才・川島雄三監督作品『女であること』(58年)、原が天照大神を演じた大スペクタクル珍品『日本誕生』(59年/監督:稲垣浩)、DVD化もされていない密やかな佳作『女ごころ』(59年/監督:丸山誠治)など、日本映画の黄金期を迎え、トップスターとして様々な作品。全12作品を上映。
 

◎「原節子はマドンナだった!」

 株の世界に飛び込んだ“ギューちゃん”こと赤羽丑之助の波瀾万丈の熱血風雲録。ギューちゃん、憧れのマドンナに原節子。監督は東宝喜劇の名手・監督:千葉泰樹。『大番』(57年)、『続大番  風雲篇』(同)、『続々大番  怒涛篇』(同)、『大番  完結篇』(58年)、以上、原が永遠のマドンナに扮し、大ヒットした「大番」シリーズ4作一挙上映。
 

◎「銀幕最後の出演作品」

 庶民派映画の名匠・久松静児が手がけた文芸映画『路傍の石』(60年)、原最後の「主演」作でメロドラマの秀作『慕情の人』(61年/監督:丸山誠治)、NHK朝の連ドラ第1作にもなった獅子文六の自伝小説の映画化『娘と私』(62年/監督:堀川弘通)、駕篭に乗り細い山道を遠ざかる姿が最後となった原節子最後の出演作『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』(62年/監督:稲垣浩)など、60年代に入り40歳になった原節子の銀幕引退に至る最後のきらめき4作品。
 

<トークショー、特別上映も開催>

ノンフィクション作家で、現在「原節子評伝」を準備中の井妙子さん、大阪大学名誉教授の上倉庸敬さんが原節子の魅力を語るトークショーも開催。また、現存する原節子最古の映像『魂を投げろ』(35年/監督:田口哲)を特別上映。旧制中学の野球予選を描き、不遇なエース早崎の妹を演じる当時15歳の原の爽やかな美しさは必見!
 
4/26(日)12:50  トーク=石井妙子さん(ノンフィクション作家・現在「原節子評伝」準備中)
5/2(土)14:15  トーク=上倉庸敬さん(大阪大学名誉教授)
 
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