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『空色の故郷』キム・ソヨン監督、トークイベント<韓国女性監督映画特集2013>

『空色の故郷』キム・ソヨン監督、トークイベント開催 in 韓国女性監督映画特集2013@シネ・ヌーヴォX

sorairo3.JPG 8月17日(土)からシネ・ヌーヴォXで上映が始まった韓国女性監督映画特集2013。
上映作の中の一本、『空色の故郷』は、第二次世界大戦前から中央アジアで行われてきたコリアン強制移住の事実を解き明かすと共に、9歳で強制移住を余儀なくされたシン・スンナム画伯の人生とその作品をシン画伯自らが語る貴重なドキュメンタリーだ。長らく公開することが許されなかった全長44 メートルの傑作『レクイエム』はぜひスクリーンで観ていただきたい。

 シン画伯の命日にあたる8月18日(日)、『空色の故郷』キム・ソヨン監督が来場し、上映後のトークイベントに登壇した。本上映を企画したキノキネマ岸野令子さんと共に満席の場内の熱気の中、観客の皆さんからの熱心な質問に答え、綿密に資料を調べ撮影に臨んだことを伺わせる場面も随所に見られた。

 本作は釜山国際映画祭、ソウル国際ドキュメンタリー映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭等多数の映画祭で受賞歴があるものの、韓国国内では2003年に4日間だけ公開されたままになっていた幻の作品だった。今回新しく字幕をつけた本作は、大阪から上映をはじめて、ゆくゆくは韓国でもう一度上映されるようにつなげていきたいという希望も込められているという。ここで、観客からの質問に答えたトークイベントの模様をご紹介したい。


―――スターリンがなぜウズベキスタンに強制移住させたのでしょうか?
 sorairo1.JPGキム・ソヨン監督(以下監督):コリアンがロシアの沿海州に移住し始めたのは1864年です。それは強制ではありませんでした。1937年第二次世界大戦前でロシアも戦争の準備をしており、満州に日本軍がいたのでソ連はそれを脅威に感じていました。強制移住の建前は、戦争開始時に国境地帯で外国人を置くのはスパイ活動などを考えると危険だということです。彼らは白人ですからコリアンであろうと顔を見るだけでは日本人と区別がつきません。そして本音は中央アジアを開拓したかったということです。中央アジアは元々遊牧民族の土地で、一つの地域に定住する民族ではありません。そこに農業を中心とする民族を送り込んで開拓したいという考えがあり、元々農耕民族だったコリアンが強制移住犠牲者の第一号になりました。

―――ソ連崩壊後独立したウズベキスタンで、コリアン2世が、ウズベク語ができないために解雇されたという話がありましたが、本当にしゃべれなかったのでしょうか?
監督:解雇の口実は建前で、本音は民族差別です。ソ連が崩壊し、15の共和国が独立したのですが、中央アジア各国の主な民族はイスラム教徒で文化が全然違います。彼らが主導権を握ったためコリアンだけでなくマイノリティー(ロシア人も含まれる)に対して差別をしてきました。

―――シン画伯はニコライと呼ばれていましたが、国籍はウズベキスタンなのでしょうか。
監督:国籍はウズベキスタンです。強制移住された朝鮮人はウズベキスタン共和国の国民として扱われています。当時は二重国籍が認められておらず、社会主義国家だったので国籍に関してはとても厳しかったのです。

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―――この映画はたくさんの国際的な賞を受賞していますが、北朝鮮では上映されていないのですが、反戦の映画なのでぜひそちらでも上映してもらいたいです。
岸野:実は韓国でも一般公開はたった4日しかされていない映画なのです。映画祭で上映されて非常に評判になったのですが、10数年前の韓国の映画館はメジャー作品を上映する場であり、インディペンデント作品を上映する場はありませんでした。今では日本よりミニシアターは少ないものの、国が援助してインディペンデント作品を上映できる場所は徐々に増えてきています。そのような事情で、4日だけの劇場公開で終わってしまった訳です。

わたくしの願いとしては、ここ大阪から始まって日本全国上映後に、逆輸入でもう一度韓国で上映する運動をやってもらえたらと思っています。ですから、まだとても北朝鮮まではいきません。この映画はコリアンだけの話ではなく、難民など普遍的なテーマに繋がるものですし、どの民族の国に持っていっても観てもらえる映画です。だからこそ、日本でも上映したいと思い、今回の企画をいたしました。

監督:韓国で1度テレビ放映はされました。2003年8月15日に全国放送されました。資本主義社会なので、観客動員してお金が入らないと劇場は上映してくれません。

―――日本でも満州やシベリア抑留のことを知らない若い人が多いのですが、韓国で中央アジアへの強制移住が行われていたことをみなさんはご存知だったのですか?
監督:私がこの作品を企画した頃は分からなかったのですが、やはり自分が興味を持って探すから分かるのであって、一般的大衆はメディアが大々的に取り上げなければ、分からないと思います。
 実は1994年か95年に強制移住問題を扱った『カレイスキー』【注】というドラマが放送されたのですが、失敗してしまいました。というのも、同時期に光州民主化運動を初めてテレビドラマ化した『砂時計』が大ヒットしたからです。私も当時は『砂時計』を観ていました(笑)。撮影でウズベキスタンに行ってから『カレイスキー』をまとめて観ることができました。現地で観たので、その感動は大きかったです。
 【注】在露コリアンが自分たちのことを「高麗人」と言う意味で「カレイスキー」と呼んでいる。それがタイトルになった。


韓国女性監督映画特集2013@シネ・ヌーヴォXは9/6(金)まで開催中! 

上映予定、イベント詳細はコチラ

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