ドキュメンタリー映画作家・想田和弘監督が呼び掛ける「戦争とファシズム」映画祭が11月30日から12月2日まで3日間、大阪・十三の第七芸術劇場で行われる。戦争とファシズムの記憶を現代に呼び戻そうという試みで、様々な催しが企画されているが、メーンは短編含む16本の映画上映。上映作品には小林正樹監督、仲代達矢主演の歴史的大作「人間の絛件」6作(全9時間半)一挙上映をはじめ、過去の戦争映画の秀作を特集上映するほか、各作品の上映後には想田監督らがトークショーを行う。30日の「人間の絛件」第1、2部上映後には主演俳優・仲代達矢氏のトークショーが予定されている。上映作品は次の通り。
【30日】
①10:00「カーネーションの卵」(91年イタリア)シルヴァー・アゴスティ監督
◆トーク=野村雅夫(DJ、翻訳家)・想田監督
②同13:00「これは映画ではない」(11年イラン)ジャファール・パナヒ監督
◆トーク=鈴木均(アジア経済研究所)・想田監督
③15:30「THE WAVE」(08年、独)デニス・ガンゼル監督
◆トーク=沖田浩士(独文学者)・想田監督
④18:35「人間の條件第1部野望篇」「人間の條件第2部激怒篇」(59年日本)小林正樹監督
◆トーク=仲代達矢・想田和弘監督
【12月1日】
①「大いなる幻影」(37年フランス)ジャン・ルノワール監督
◆トーク=未定・想田監督
②13:25「戦場の女たち」(89年日本)関口典子(祐加)監督
◆トーク=関口祐加監督・想田監督
③16:00「ハーツ・アンド・マインズ」(74年アメリカ)ピーター・デイヴィス監督
◆トーク=石井彰(放送作家)・想田監督
④19:25「ゆきゆきて、神軍」(87年日本)原一男監督
◆トーク=原一男監督
【2日】
①12:10「人間の條件第3部望郷篇」「人間の條件第4部野望篇」(59年日本)小林正樹監督
②15:30「人間の條件第5部望郷篇」「人間の條件第6部曠野の彷徨篇」(61年日本)小林正樹監督
③特別先行上映「戦争と一人の女」(12年日本)井上淳一監督。
◆トーク=寺脇研プロデューサー
先ごろ、大阪で発表会見を行った想田和弘監督は「最近、強い指導者を求める声が高まっていて、それが否定されない。対外強硬論や憲法改正といった声がまかり通っている。戦後67年、その間、ずっと平和だったことは素晴らしいことだが、私も含めて戦争体験がないことが、戦争やファシズムを幻想にしてしまっている。映画は、擬似体験が出来る。古今東西の名作から、理論や頭でなく、戦争を体感できるものを選んだ。中でも、小林正樹監督の「人間の條件」全6部作はもう2度と出来ないといえる作品。一挙上映はめったに出来ないもので、主演の仲代達矢さんが「一挙上映なら行きます」と言ってくれた。この機会にぜひ」と語った。
(安永 五郎)
◆料金は当日一般・専門学校・大学生1500円。中高シニア1000円。
◆問い合わせ ?06-6302-2073(第七藝術劇場)