今年で第25回の節目を迎えるフランス映画祭のオープニングセレモニーが6月22日(木)19時30分よりTOHOシネマズ日劇にて開催された。満席の観客を前に、カトリーヌ・ドヌーヴ団長他豪華ゲストに加え、スペシャルゲストとしてフランス映画祭2017親善大使を務める北野武監督も登壇。短い時間ながらフランス映画祭に向けての熱いメッセージが寄せられた。
最初に登壇したユニフランスのジャン=ポール・サロメ会長は「25年間多くの方に来ていただきありがとうございます。今年も多くの方に来ていただけますように。良い映画祭をお過ごしください」と挨拶。同イザベル・ジョルダーノ代表もスポンサーへの感謝の言葉を述べ、カトリーヌ・ドヌーヴの出演作をダイジェスト編集した7分間のトリビュートフィルムが上映された。ブラボーというかけ声の中、新作の『The Midwife(英題)/ルージュの手紙(邦題)』主演女優でもある、フランス映画祭2017団長のカトリーヌ・ドヌーヴが登壇し、ひと際大きな拍手が送られた。サロメ会長から贈呈された花束を手に、「25回目の団長を務めることができ、大変うれしいです。今回11作品が選ばれていますが、そのうち4作品は女性監督のもので、大変重い意味を持っています。新しいことであり、私はこのチョイスに賛同いたします。多くの映画を観ていただきたいです。今日はお越しいただき、ありがとうございます」と挨拶したドヌ―ヴ団長は、笑顔で客席からの歓声に応えた。
引き続き、来日ゲストが紹介され、ポール・ヴァーホーヴェン監督(『ELLEエル』)、イザベル・ユペール(『ELLEエル』主演女優)、カテル・キレヴェレ監督(『あさがくるまえに』)、ダニエル・トンプソン監督(『セザンヌと過ごした時間』)、アンヌ・フォンティーヌ監督(『夜明けの祈り』)、ルー・ドゥ・ラージュ(『夜明けの祈り』主演)、エドゥアール・ベール監督(『パリは今夜も開催中』)、トライ・アン・ユン監督(『エタニティ 永遠の花たちへ』)、マルタン・プロヴォ監督(『The Midwife(英題)/ルージュの手紙(邦題)』)ら総勢9名の来日ゲストが揃い、檀上は一気に華やかさに包まれた。
ここで、フランス映画祭2017親善大使の北野武監督が登壇。イザベル・ジョルダーノ代表に「独特のユーモアやポエジーのセンスにインスピレーションを得ている」と紹介された北野監督は、ドヌ―ヴ団長と昨年の団長で今年もゲストとして来場したイザベル・ユペールの大女優に囲まれながら、「どうも遅れましてすいません。安倍晋三です」と得意のシュールな政治ネタを繰り広げ、客席を笑いの渦に巻きこんだ。改めて「25回目ということですが、僕にとってフランス映画はジャン・ギャバンから始まり、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの『ガラスの墓標』をはじめ、イザベル・ユペールさんやカトリーヌ・ドヌーヴさんの影響を本当に受けています。最近の(日本の)映画事情として親子で楽しめる映画はいいけれど、映画は恋人や友人とそれを観ながら語り合い、お互いの教養を深める役目もあります。フランス映画は一番語りやすく、そして難しい映画です。こうやって大女優と大監督が揃い、25回目を迎えたことは本当におめでたいし、そこに呼んでいただけたのは光栄です」と自身のフランス映画への愛を交えてのスピーチが行われた。
写真左よりイザベル・ユペール、ポール・ヴァーホーヴェン監督(『ELLEエル』)、ジャン=ポール・サロメ会長、アンヌ・フォンティーヌ監督、ルー・ドゥ・ラージュ(『夜明けの祈り』)
フォトセッションに引き続き行われたオープニング上映作品『The Midwife(英題)/ルージュの手紙(邦題)』の舞台挨拶では、「この映画の中では自由な女性と、自分の家に閉じこもってしまう女性を描いています。私がドヌ―ヴを発見したようにだんだんお互いを見い出す作品です。ドヌ―ヴと一緒にこの場に来ることができ、嬉しく思います。良い映画を!」(マルタン・プロヴォ監督)
「みなさんを感動させ、また笑わせてくれる映画です。人生とは何か、死とは何かをいつもとは違う切り口で伝えている映画です。どうぞお楽しみください」(カトリーヌ・ドヌーヴ)
とメッセージを寄せ、観客から改めて大きな拍手が寄せられた。
(江口由美)
フランス映画祭2017は、6月22日(木)~25日(日)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)にて開催。