イザベル・ユペール団長を前に浅野忠信、是枝監督、深田監督も感動しきり!フランス映画祭2016、華々しく開催!
今年で第24回を迎えるフランス映画祭2016が24日17時から有楽町朝日ホールで開幕し、オープニングセレモニーでは満席の観客を前に、イザベル・ユペール団長他豪華ゲストに、日本人ゲストも加わり、映画祭に向けての熱いメッセージが多数寄せられた。
最初に登壇したユニフランスのイザベル・ジョルダーノ代表は「今年も多種多様な映画を楽しんでいただけると思う。今回は12の新しい作品とジャック・リベットの作品をご紹介します。世界有数のキャリアを持つイザベル・ユペール団長の特別映像をまずはお楽しみください」と挨拶。特別映像で懐かしい出演作の数々を目に焼き付けてから、大きな拍手の中登壇したのは、会場もお待ちかねのフランス映画祭2016団長のイザベル・ユペール(『愛と死の谷』『アスファルト』出演)。
深紅のジャケットに、タイトな黒のパンツ姿で登場したイザベル・ユペール団長は、「こんばんは。私とても幸せです」と日本語で挨拶した後、「次はもっと(日本語が)上手になってきます。日本で撮影すれば日本語を学ぶことになるので、ぜひ日本で撮影したいです。フランス人は日本の映画が大好きですから。24回目のフランス映画祭オープニングに来場でき、とても幸せに感じています。日本でこれだけフランス映画が好まれているのは、感受性が高く注意を向けて愛して下さる皆さんのおかげです。私は日本文化がとても好きで、日本を身近に感じています。私は溝口、黒澤、大島、小津の映画を観て育ちました。また、三島由紀夫原作の作品にも出演しています。ジョセフ・ロゼのマスという映画で、京都や富士山の近くで撮影することができた。また、河瀬、是枝監督、深田監督の作品もよく観ています。会場がこんなに埋まっていることは私にとっても、みなさんに撮ってもとてもうれしいことです。良い映画祭となりますように」と日本への関心と愛情あふれるコメントに、客席からも大きな拍手が。引き続き登壇したスペシャルゲスト、是枝裕和監督から熱い抱擁のあと花束を受け取ると、笑顔で客席からの歓声に応えた。
是枝監督は「フランス映画祭2016開催、おめでとうございます。この場にこういう形でユペールさんに花束を渡す役を仰せつかり、とても光栄に思っています。一昨年、モロッコのマラケッシュ映画祭で大々的に日本映画の特集があり、僕が団長だったときに、壇上で僕らを迎えてくれたのがユペールさんでした。今回はその反対で、ユペールさんが日本に来て下さったので、僕が駆け付けなければ誰が駆け付ける!という気持ちで来させていただきました。フランス映画史そのもののような女優さんですが、今回上映される『愛と死の谷』はシリアスな元夫婦の話、『アスファルト』はファンタジーとコメディー色があり、どちらも彼女の存在がなければならない映画です。ぜひ皆さんもご覧ください。
黒沢清監督がフランスで撮った映画も公開され、映画人の日本とフランスの共同製作は増えていくべきだと考えています。僕もそういう懸け橋、お互いの映画が交流し、刺激し合い、新しい映画がどんどん生まれることを願っています。お互いの国にとって大事な時間になると思いますので、ゲストも楽しめるような素敵な時間をみんなで作っていければ」と、上映作品にも触れながら感動的な挨拶を行い、ユペール団長も感動の面持ちだった。
引き続き、来日ゲストが紹介され、フランソワ・ファヴラ監督(『ミモザの島に消えた母』)、ローラン・ラフィット(『ミモザの島に消えた母』主演)、ウニー・ルコント監督(『めぐりあう日』)、ロッド・パラド(『太陽のめざめ』主演)、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督(『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』)、ルシール・アザリロヴィック監督(『エヴォリューション』)ら、総勢12名の来日ゲストが揃い、檀上は一気に華やかさに包まれた。さらに、カンヌ映画祭ある視点部門審査員賞受賞の『淵に立つ』深田晃司監督と浅野忠信(主演)がスペシャルゲストとして登壇。
「『淵に立つ』は日本とフランスの合作ですし、フランス映画をずっと観てきましたので、このような場に呼んでいただいたことを非常にうれしく思います。イザベル・ユペールさんは一映画ファンとして高校の時から見続けており、同じ壇上に立てるのは夢のようです。日本人はフランス映画が大好き、フランス人も日本の映画を愛してくれているが、両方がもっと近づけるはず。一つ一つの活動を通じて、よりフランスと日本の結びつきが強くなることを期待しています」(深田)
「イザベル・ユペールさんの大ファンで10年前もお会いしたのですが、今日もうれしくて。何しろイザベルさんに会えますから。是非深田監督に、ぼくとイザベルさんを起用した映画を作ってもらいたい」(浅野)と、憧れのイザベル・ユペール団長を前に個性溢れるスピーチを披露した。
オープニング上映となる『太陽のめざめ』上映前には、同作のエマニュエル・ベルコ監督よりメッセージが読み上げられた。
「私はクロード・ミレール監督の『ニコラ』で日本を訪れましたが、非常に温かい歓待を受けたことを覚えています。日本の観客の皆さんにお会いできる機会を逃したのがとても残念ですが、作品を観て、主人公マロニーを愛してくださることを期待しています。マロニーを演じるロッド・パラドは(本作を日本に紹介する)最高の大使です。皆さまのことを強く思っています」
また、フランス本国では新世代のアラン・ドロンとの呼び声も高く、本作の大ヒットでセザール賞有望男優賞、リュミエール賞有望男優賞を受賞したロッド・パラドは「東京にきてこの映画を紹介することができ、とてもラッキーです。よい夕べになってくれたらと思います。東京に来ることが出来、本当にうれしいです」と挨拶した。
写真:河田真喜子 文:江口由美
フランス映画祭2016は、6月24日(金)~27日(月)有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇(東京会場)にて開催!