大阪アジアン映画祭10周年を記念して新設された「オーサカ Asia スター★アワード」の授賞式と、第1回受賞者のチャン・シャオチュアン(張孝全)さんのトークイベントが3月7日21時20分から、大阪市北区のシネ・リーブル梅田にて開催された。
授賞式では、クリスタルの表彰楯と花束が贈呈されたチャン・シャオチュアンさん。「初めて大阪に来て、それがこの映画祭での受賞だったことがとても嬉しい。俳優にとってこのような賞は栄誉であり励みになります」と受賞の喜びを語り、フォトセッションでは汗をぬぐいながら笑顔で応える姿に満席の観客もヒートアップ。
引き続き行われたトークイベントでは、前日に道頓堀で行われた「アジアン スター フェスティバル2015」について、「初めての映画祭で、船にも乗れて、とてもスペシャルな感じだった」と感想を披露。また、本映画祭の上映作品『コードネームは孫中山』のイー・ツーイェン監督とは「17歳の頃、地下鉄に乗ろうとしたら後をつけてきたのがイー監督とヤン・ヤーチェ監督だった。当時イー監督は『藍色夏恋』にふさわしい若者を探していたそうで、結局出演しなかったが、それ以降連絡は取っていた。今回、現場に遊びに来てちょい役だけどやってみないかと声をかけられ、出演することになった」と出演の経緯を語りながら、「監督は本当に恩師で、この人がいなければ芸能界に入るきっかけがなかった」と真摯に語った。
『GF*BF』の出演については「ヤン監督が読ませてくれた脚本が素晴らしく、いい作品になると感じた。ただ僕が思い描いていたのは実生活に近いところがあるリディアン・ヴォーンの役だったが」と意外な裏話を明かした。一方、『失魂』の出演については「チョン・モンハン監督がとても好きで、機会があれば一緒に映画を作りたいと思っていた。『GF*BF』出演後に監督から電話があり、ストーリーを話してくれた。役者として今までと違うタイプを演じてみたかった。共演のジミー・ウォンさんは最初(大御所すぎて)距離感があったが、プライベートでは少年のような方だった」と、念願が叶ったことが伺えた。
役作りについては「人間は色々な性格を持っている。その中でどれぐらい演じる人物に近づけるのか。自分との距離が遠い時は、(自分と)演じる人物との距離を埋めるアプローチをする」としながら、「俳優はとても幸せな立ち位置にいる。監督、スタッフ、キャメラマンが演じる準備をしてくれる」と非常に謙虚な姿勢を見せた。
海外映画への出演については「言葉が通じないと苦労もあるが、感覚で雰囲気が分かり合えるのが不思議で面白い」とし、『真夜中の五分前』の行定勲監督とは特に言葉以外で通じ合えたと話した。最後に今後の活動について「先のことは余り考えない。未来は今の自分が作るから、今やるべきことをやっていると自然に未来は見えてくる」と気負わず、まさに自然体の素顔をみせたチャン・シャオチュアンさん。ファンから「眼鏡をとってください!」とのリクエストにも応え、最後まで大盛況のイベントとなった。
(江口由美)
第10回大阪アジアン映画祭 公式HP http://www.oaff.jp/2015/ja/index.html