映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

『第5回京都ヒストリカ国際映画祭』へ行ってきました。

『第5回京都ヒストリカ国際映画祭』へ行ってきました。

(2013年11月30日(日)~12月8日(日) 京都文化博物館、MOVIX京都、T・ジョイ京都にて開催)

historika13-pos.jpg時代劇大好きな私にとって、世界の時代劇だけを集めた映画祭なんてこんな嬉しい映画祭はない。今年も大阪から京都へ足を運んで楽しんでおります。新作のラインナップも珍しい作品が多く、どれも面白い! 旧作にいたっては、幻のフィルムを発掘・復元して、この映画祭で初上映するという、大変貴重な上映会が開催されています。でも、あまり認知されていないのか、世界的にも稀有な映画祭にもかかわらず満席には至っていないのは、実に勿体ない! 映画ファンにとっては驚きの発見と感動を楽しめる『京都ヒストリカ国際映画祭』を、是非一度体験して頂きたいと思います。

 

【鑑賞日記】


 

12月1日(日)

①『ハックルベリー・フィンの冒険』 (日本初上映)(2012年 ドイツ 100分)

hakku-1.jpgトム・ソーヤーとの冒険で財宝を手にしたハックルベリー・フィンが、大きな代償を支払ったものとは? それは自由。黒人奴隷のジムに向かって、「お前はいいな、自由で」などと言いながら、大きな家、清潔なベッドに上等な服など全く意にも介さず、時々脱走しては、トムと走り回って遊ぶ日々。ところが、行方不明だったハックの飲んだくれで乱暴者の父親がハックの財産を嗅ぎ付けハックを脅迫。その恐怖でハックは家出をし、同時に、サーカス団に売り渡されそうになったジムも逃走して、二人で自由の新天地オハイオを目指して逃避行することになる。

お馴染みマーク・トウェイン原作の物語は、19世紀のミシシッピ川に沿ったアメリカ中部の自然や街や社会状況を題材に、欲深い大人たちに翻弄されながら少年と黒人奴隷との友情と信頼を描いている。ハックとジムのキャラクターののびやかさと共に、美しい映像にわくわくしながら惹きこまれた100分でした。12/5(木)13:00~にも上映があります。

 

②『風と共に去りぬ!?』 (2012年 韓国 121分)

kazeto-1.jpg朝鮮王朝の後期、氷が金よりも価値があった時代のお話。『猟奇的な彼女』や『ハロー!? ゴースト』など人情味あるコメディがお得意のチャ・テヒョンが智略を巡らせ、数々のTVドラマや映画『第7鉱区』などで女性ファンも多いイケメン、オ・ジホが武闘を担い、陰謀渦巻く朝鮮王朝の悪重臣たちと氷をめぐる争奪戦は、山をも動かす勢いのある映像と迫力で楽しませてくれた。主役の二人以外に、爆薬や穴掘り、輸送や七変化盗みなど、いろんな分野のプロ9人が加わり、総勢11人のチャーミングな集団は、『オーシャンズ11』ばりに悪人から氷と宝を見事に強奪してしまう。なんともユニークな痛快活劇だこと! 12/8(日)11:00~にも上映があります。

 

③『ピー・マーク』 (2013年 タイ 113分)

na-ku-1.jpgタイ版「四谷怪談」とも言えるタイでは最も有名な怪談話。難産で死んだナーク夫人の悲劇という実話を基に何度も舞台化・映画化がされてきたという。2001年公開の『ナーン・ナーク』で初めてその話を知ったが、美男美女の夫婦に鮮烈な映像がより一層恐怖を盛り上げ、最後は切なさで泣けて泣けて仕方なかった。そのナーク夫人の悲劇をコテコテのコメディに仕立て上げたのが『ピー・マーク』。4人の戦友とマークのボケぶりが半端じゃない! 抱腹絶倒のまま決着つけるのかと思いきや、最後はこれまた泣けて泣けて仕方なかった。今回の涙は、マーク役のマリオ・ラウラーの純真さ満開の童顔で哀切極まりない熱演につられてしまったせいだと思う。あ~恐るべし、タイ映画!? 12/7(土)17:00~上映とバンジョン・ピサンタナクーン監督(『心霊写真』『アンニョン!君の名は』)によるティーチインがあります。

 

いや~充実した3本立てでした♪

 

(河田 真喜子)