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『低俗喜劇』主演女優ダダ・チャンさんインタビュー

『低俗喜劇』主演女優ダダ・チャンさんインタビュー

Love in the buff-s2.jpg『低俗喜劇』“Vulgaria”
(2012年 香港 1時間32 分)
監督:パン・ホーチョン
出演:チャップマン・トー、ロナルド・チェン、ダダ・チャン、フィオナ・シット、サイモン・ロイ
(c)2012 Sun Entertainment Culture Ltd. All Rights Reserved

第8回大阪アジアン映画祭特別招待作品として日本初上映された香港の気鋭パン・ホーチョン監督の大ヒット作『低俗喜劇』。昨年香港における国産映画の中で興行収入2位、その下ネタぶりは日本でも大ヒットした『テッド』なんて足元にも及ばない!でも決していやな気分にならず、そのバカバカしさに男女問わず大笑いできてしまう、近年稀にみる香港映画らしい魅力的な作品だ。

 

同映画祭の特集企画《Special Focus on Hong Kong》の一本としてもラインナップされ、14日(木)の《Hong Kong Night》では、セレモニーゲストとして本作のカギを握る新進女優役“パチパチ飴”をキュートに演じた香港の女優・モデル、ダダ・チャンさんが脚本家のジョディ・イ・ローサムさんと共に来場し、満員の観客もその美しさにうっとり。映画祭ならではの豪華ゲストに会場は盛り上がった。

東京ガールズコレクション香港代表として2度来日、セレモニーでも「はじめまして、私はダダです」と日本語で挨拶するなど、小さい時から日本が大好きというダダさんに、『低俗喜劇』撮影秘話やパン・ホーチョン監督の演出法から名前の由来までお話を伺った。

<ストーリー>
低俗喜劇-1.jpgヒット作が 1 本もなく、妻への慰謝料も払えない窮地に追い込まれた映画プロデューサー、トー(チャップマン・トー)。父親の成功を信じる娘の期待に応えるべく、知り合いの紹介で怪しげな金持ち資産家の出資をなんとかとりつける。しかし、その条件は彼が若き日に熱烈ファンだったポルノ映画のリメイクを主演女優を変えずに作ること。往年のセクシー女優は既に60歳で脱ぐことを断固拒否し、映画制作は暗礁に乗り上げると思われたが、トーは首から下だけ若いセクシー女優に差し替える珍案を思いつく。白羽の矢が立ったのは新進女優の“パチパチ飴”(ダダ・チャン)。このまま出資者を丸め込み、映画を完成させることができるのか!?

 


Love in the buff-s4.jpg━━━ダダさんの今までの活動をお聞かせください。
もうすぐ24歳になりますが、モデルの仕事を4年ぐらいやり、所属事務所を変えて2年前に写真集を出しました。それ以降は女優業に転向しています。『低俗喜劇』は3本目の出演作品で、1本目は舞台劇の映画化、2本目はランカイフォンというオシャレなバーがある地域で展開されるラブストーリーでした。

━━━香港でも大人気のパン・ホーチョン監督に、このような大胆な役をオファーされた時の気持ちは?
あまりこのような役をやる準備はできていなかったし、最初に話をいただいたときはただ「パチパチ飴をやるんだよ」としか言ってくれず、詳しく聞いても全然教えてくれませんでした(笑)。でも、もともと『ドリーム・ホーム』や『恋の紫煙』などパン・ホーチョン監督の映画が好きだったのでオファーを受けました。

━━━初めてパン・ホーチョン監督作品に出演されて、今までとは違うパン・ホーチョン監督らしさを感じるエピソードがあれば教えてください。
低俗喜劇-3.jpgものすごく真面目な監督で、もの凄く怖いのでビックリしました。私はお箸を上手に持てないので、子どもにおかずを取るシーンで、すぐに「そのお箸の持ち方はダメだ」と何度も指摘されました。主演のチャップマン・トゥさんに教えてもらいながら、なんとかギリギリOKをもらいましたが、まだ練習中です。
また、セリフに関しても非常に厳しくて、一字一句漏らさずきちんと言えなければならないことが、大きなプレッシャーでしたが、いい経験になりました。チャップマン・トゥさんと共演したのも勉強になりましたね。

━━━本作では困った顔がとてもキュートなチャップマン・トゥさんでしたが、共演して学んだことや面白いエピソードは?
 低俗喜劇-2.jpgチャップマン・トゥさんとパン・ホーチョン監督の二人がいると本当に大変で、パチパチ飴よりパチパチしてます(一同爆笑)。ずっとしゃべっていて、人にイタズラしたり、ものすごく仲の良い二人です。私も二人に随分イタズラされました。仕事面では、監督は言っていることの中に意味があるので、監督が言っていることを汲み取る練習をしなければならず、自分の勉強になりました。チャップマン・トゥさんからも、俳優のあるべき態度や芝居だけではないことを学ぶことができました。

Love in the buff-s5.jpg━━━ダダさんの名前の由来は?
日本の文化が好きなので、小学校の頃から日本語っぽい「SUDA(スダ)」というイングリッシュネームを付けていたのですが、だんだんみんなに「ダダ」と呼ばれるようになったんです。日本のものがすごく好きだったので、2回東京コレクションで来日し、モデルの仕事ができたのもすごく楽しかったのですが、今回は映画の仕事で大阪に来られたのがとてもうれしいです。 

━━━日本の歌手や女優、アイドルなどで憧れていた人がいらっしゃったのでしょうか? 
香港の女の子は基本的に日本の文化やファッションが大好きなので、小さい頃からファッションの雑誌をよく見ていました。あと桜が見たいです。今回は残念ながらまだ咲いていないので、また個人的に桜を見に訪れたいと思っています。

 

━━━ダダさんは今後、女優としてどんな役を演じてみたいですか?
自分が死んでしまうような悲劇、感動ストーリーをやってみたいです。女優は現実と違う役ができるのが面白いので、不細工なメイクをされるのもやってみたいし、自分とは違うものに関しても幅広くチャレンジしていきたいです。


Love in the buff-s7.jpgセレモニーでは白いドレス、この日は淡いブルーのドレスに身を包んだダダ・チャンさん。さっそく日本で買ったネイルを手に「パチパチ飴みたいでしょ!」と登場し、そのかわいらしさに一同拍手(全員女性でしたが、笑)。脚本家のジョディ・イ・ロッサムさんと一緒だったので、リラックスして取材に臨んでいただけ、コロコロ表情を変えながら身振り手振りを交えて“パチパチ飴”を演じることになった経緯や、手厳しいパン・ホーチョン監督の演出ぶりを明かしてくれた。どんなタイミングで写真を撮っても、絶対に瞳が開いているのはプロの証。映画の仕事で日本に来ることができたことを心底喜んでいらっしゃるのが伝わってきて、こちらまでうれしい気分になった。新聞社のフォト取材も受けたダダさん、翌日には大阪のスポーツ紙に大きく写真が掲載され、大阪から日本でもブレイク必須のダダさん来日の模様が発信され、ご本人も驚いていたとか。香港映画界のキュートな新星、今後の活躍が本当に楽しみだ。

(江口由美) 


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