映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

東京サクラグランプリは 『もうひとりの息子』 (フランス)

tiffresult1.JPG 「今こそ、映画の力。」をスローガンに10月20日より8日間に渡って開催された第25回東京国際映画祭が、28日(日)に閉幕し、コンペティション部門の各賞および、アジア映画賞、トヨタ・アース・グランプリ、観客賞が発表された。

tiffresult2.JPG 最高賞となる東京サクラグランプリは、昨年に引き続きフランス映画の『もうひとりの息子』が監督賞とダブル受賞。ロレーヌ・レヴィ監督は、 「本当なのかと信じられない気持ちです。監督賞と東京サクラグランプリの両方をいただけるなんて、本当に素晴らしい一日となりました。クルーの全員、そしてフランス人の脚本家の二人にもこの場を借りて感謝します。そしてイスラエルとパレスチナの子供たちにこの映画を捧げます。」と喜びを語った。

tiffresult3.JPG 東京サクラグランプリに次ぐ審査員特別賞は、韓国映画の『未熟な犯罪者』が男優賞とこちらもダブル受賞を果たした。

 同日午前中に発表された観客賞では、追突事故で高次脳機能障害を負ったディジュリドゥ奏者GOMAのリハビリ、復活までを全編GOMAの音楽で構成した松江哲明監督最新作『フラッシュバックメモリーズ 3D』が受賞。

 

tiffresult4.JPG 松江監督は、映画祭数日前にようやく完成したというエピソードを明かしながら、「学生の頃から観客として通っていた東京国際映画祭は『ライブテープ』以降の僕の映画を育ててくれた、僕にとって大切な映画祭です。観客賞は、コンペティションで審査をしていただくのとはまた違う重みがある賞で本当に嬉しいです。音の力を見せてくれたGOMAさん、奥様と娘さん、 奥様と娘さん、作品のきっかけを作ってくれた高根プロデューサーとこうして一緒に舞台に立ち、作品がこれから育っていくのだという覚悟をしました。本当にありがとうございます。」と喜びを滲ませた。

 最後に、審査委員長を務めたロジャー・コーマン監督が「どれも素晴らしい作品でした。そのひとつひとつが、私たちを楽しませ、私たちに情報を与え、様々なことを学ばせてくれました。映画の素晴らしさとその力を示す作品群でした。それぞれは、世界の異なる国、異なる文化背景でつくられたものであるものの、人間性という共通のテーマが描かれていました。たとえ国は異なっても、私たちは平等な関係にあります。そして素晴らしい人間であることを願うのです。」と挨拶。今をみつめ、未来を切り開く映画の力を体感した8日間は、クロージング上映『人生の特等席』をもって幕を閉じた。


各賞受賞結果は以下の通り。

<コンペティション部門>

・東京サクラグランプリ 『もうひとりの息子』 ((監督: ロレーヌ・レヴィ)

・審査員特別賞 『未熟な犯罪者』 (監督: カン・イグァン)

・最優秀監督賞 ロレーヌ・レヴィ (『もうひとりの息子』)

・最優秀女優賞 ネスリハン・アタギュル (『天と地の間のどこか』)

・最優秀男優賞 ソ・ヨンジュ (『未熟な犯罪者』)

・最優秀芸術貢献賞 パンカジ・クマール/『テセウスの船』 撮影監督 (監督:アーナンド・ガーンディー)

・観客賞 『フラッシュバックメモリーズ 3D』 (監督: 松江哲明)

 

<TOYOTA Earth Grand Prix>

・TOYOTA Earth Grand Prix 『聖者からの食事』 (監督: ヴァレリー・ベルトー、フィリップ・ウィチュス)

・審査員特別賞 『ゴミ地球の代償』 (監督: キャンディダ・ブラディ)

 

<アジアの風>

・最優秀アジア映画賞 『沈黙の夜』 (監督: レイス・チェリッキ)

・アジア映画賞スペシャル・メンション 『ブワカウ』 (監督: ジュン・ロブレス・ラナ)/『兵士、その後』 (監督: アソカ・ハンダガマ)/『老人ホームを飛びだして』 (監督: チャン・ヤン)

 

<日本映画・ある視点>

 作品賞 『GFP BUNNY─タリウム少女のプログラム─』 (監督: 土屋豊)

※第25回東京国際映画祭プレスリリースより


第25回東京国際映画祭公式サイトはコチラ