映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

第17回神戸100年映画祭、11/2より開催

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~合言葉は『神戸で映画を!』、一味違う新企画も登場!~

 阪神淡路大震災に見舞われた1995年からはじまった神戸100年映画祭が、今年で17回を迎える。新長田ピフレホールをメイン会場に幅広い年齢層の市民ボランティアによって運営される心のこもった映画祭。神戸にゆかりのある映画を中心に、多彩なゲストを迎えたトークショーや、「淀川長治メモリアル」と題した懐かしの名画上映など、最新作を競って上映する他の映画祭にはないユニークなプログラミングに注目している映画ファンも多いことだろう。

 11月2日(金)に開催されるトークショーに登場するのは、2005年に引き続き2回目のゲストとなる女優香川京子さん。黒澤、小津、溝口といった往年の名監督のほとんどと仕事をした経験を持つ香川さんに、映画黄金期の思い出をたっぷり語っていただく他、香川さん出演作品の『東南角部屋二階の女』、そして黒澤監督作品の『まあだだよ』の上映も見逃せない。

 そして、今年は親子で楽しめる特撮ヒーローが登場!現代の特撮ヒーロー『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に加え、往年の特撮ファンにはたまらない『モスラ』が11月3日(土)に上映される。「日本の特撮と円谷プロ」と題した特撮トークショーも開催予定だ。

 翌週の11月9日(金)~11日(日)は、神戸アートビレッジセンターで恒例となった「淀川長治メモリアル」を開催。この2月に亡くなった昭和を代表する名女優淡島千景さんの追悼上映として、生誕100年の今井正監督作品『にごりえ』を上映。名作『第三の男』では淀川さんの解説映像が楽しめる他、『地下室のメロディー』、『死刑台のエレベーター』、『赤い靴』が上映される。同時開催されるのが、「未来の神戸映画プロジェクト」と題した神戸芸術工芸大学×京都の映画制作上映団体「月世界旅行社」によるコラボ上映企画。オリジナル作品の上映に加え、本映画祭のために「異色のヒーロー」をテーマとして双方で制作した短編がオムニバス作品として登場するなど、同映画祭の新しい一面が垣間見れる。

 最後に、NPO神戸100年映画祭通信第60号より、今年の映画祭の見どころやその想いが込められたコラムを紹介させていただきたい。


 あれっ、今年はちょっと違うのかな? そう思ってもらえたら、実行委員会で話し合いを重ねた甲斐があったというものです。

 映画祭は17回目。会員数も減少を続け、新しいファンを発掘できていません。苦しい状況が続く中、新顔の実行委員も加わった会議により、少しだけ違った趣向を導入することにしました。

 例年の作品選定では往年の名作や近年の秀作ばかりを選んできましたが、今年は「特撮映画」2本も上映します。「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」は神戸でたっぷりロケした作品。また、ザ・ピーナッツの伊藤エミさんが亡くなった今年6月にも話題になった「モスラ」は、今年のメーンゲスト香川京子さんの主演作です。放射能に汚染された南の島から来た怪獣という設定は、いまの社会に通じるテーマでもあります。

 香川さんは2005年にもゲストで来ていただきました。今回は黒澤作品など出演作3本を上映します。日本映画の黄金期を知る女優ならではのお話をうかがうのが楽しみです。もしかしたらトークショー以外でも舞台上に顔を見せていただけるかもしれませんので、ぜひ3作とも見ていただければと思います。

 もうひとつ、新しい企画が「未来の神戸映画プロジェクト」です。若い映像作家を応援していく取り組みは、地域で映画祭を続けていくことと決して無縁ではないでしょう。新鮮な感性が生み出す映像が楽しみです。

 そして「淀川長治メモリアル」では、色あせぬ名作の数々がスクリーンによみがえります。古きも新しきも、どちらも追い求めたい。私たちがこだわりたいのは「いい映画を見たい」という欲求だけです。(代表理事・石田雅志)


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