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カルト的人気の原作に惚れ込んで。スペイン新鋭監督が5年がかりで作ったぶっ飛び映画『列車旅行のすすめ』@第32回東京国際映画祭

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カルト的人気の原作に惚れ込んで。スペイン新鋭監督が5年がかりで作ったぶっ飛び映画『列車旅行のすすめ』@第32回東京国際映画祭

 

 現在TOHOシネマズ六本木他で開催中の第32回東京国際映画祭で、コンペティション部門作品のスペイン・フランス合作映画『列車旅行のすすめ』の記者会見が行われ、アリツ・モレノ監督(写真左)と原作者のアントニオ・オレフドさん(写真右)が登壇した。

 編集者のエルガ(ピラール・カストロ)が電車で出会った人格障害専門の精神科医から、今までで一番重症の患者の話を聞くところから始まる物語は、エルガの不幸すぎる結婚や、精神科医の正体など虚実がないまぜになりながら、時にはコミカルさを誘い、時にはゾッとさせるような展開が待ち受ける。

 

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 テレビ局でキャリアを積み、短編で国際的な評価を得ていたアリツ・モレノ監督の初長編作となる『列車旅行のすすめ』は、モレノ監督自身がカルト的な人気を博している原作の大ファンだったことから、映画化を狙っていたという。制作に5年かかったのも「あまりにもストーリーがぶっ飛んでいるから」と前置きしながら、「スペインで映画を作ること自体非常に難しいのです。人間の暗い部分をテーマにしていますし、国営のテレビ局に支援を申し込んでも相手にしてくれず、モチベーションを保つのが大事でした。長編一作目ですが素晴らしいキャストが決まったことから、ようやく映画化が本格的に進行していきました」とその実情を明かした。さらに、「完成した映画を皆さんは観ていただいたので、どういう映画か理解していただけたと思いますが、台本だけでは説明するのが難しく、共同制作で資金を集めようとしても3分では説明できないのです。視覚に訴えるようなビジュアルブックが出来上がって、ようやく資金も集まるようになってきました」と、ビジュアルで説得したエピソードを披露。ストーリーや脚本の良さに確信を持っていたので、制作に長い時間がかかっても100%信じて作ることができたと力説した。制作中はモレノ監督と連絡を取り合っていたという原作者のアントニオ・オレフドさんは、「セットの写真を送ってくれていましたので、早く映画を見たいと思っていました。自分が書く時に気にしないようなそれぞれの状況におけるキャラクターの動きを感じることができました」と映画の感想を語った。

 

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「日本人はぶっ飛んでいるので、こういう映画を理解してくれるのではないか」と言うモレノ監督は、年に1、2度は来日する日本通で、パートナーも日本人だという。本作のエンディングも日本語の曲が採用されているが、「作詞担当はカナダでこの映画のために40パターン用意してくれていたのですが、サンセバスチャンで映像と合わせるとき、それらではないと直感し、日本の楽器やアルバムから彼が改めてセレクトしてくれました」。脳内が刺激される、ジャンル分け不可能なハイブリッド映画。ブラックユーモアも潜んでいるので、ぜひ楽しんでほしい。

『列車旅行のすすめ』は11/4 (月)10:05〜、11/5 (火)16:40- 上映


第32回東京国際映画祭は11月5日(火)までTOHOシネマズ六本木ヒルズ、EXシアター六本木他で開催中。

第32回東京国際映画祭公式サイトはコチラ

(江口由美)