映画祭シネルフレ独自取材による映画祭レポートをお届けします。

2018年9月アーカイブ

 
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『ゴールデン SHIKA 賞』、『ゴールデン KOJIKA 賞』、『観客賞』発表! 『ユース審査員部門クリスタル SHIKA 賞』長編・短編各最優秀作品賞も!

 
9 月 20 日(木)、あいにくの雨の中、ワールドプレミア上映の映画『二階堂家物語』のキャスト、その他大勢の豪華ゲストを招いてのレッドカーペット&オ-プニングセレモニーで開幕し、5日間に渡ってならまちセンター他で開催された『第5回なら国際映画祭』が本日閉幕し、クロージングセレモニーでは各賞の発表が行われた。
 
インターナショナルコンペティション部門の最高賞となる『ゴールデン SHIKA 賞』は、アグスティン・トスカーノ監督(アルゼンチン)の『ザ スナッチ シィーフ』が見事受賞。ペンフェイ監督(中国)の『ザ テイスト オブ ライス フラワー』が観客賞に輝いた。また、学生部門 Nara-waveの最高賞、『ゴールデン KOJIKA 賞』は、工藤梨穂 監督(京都造形芸術大学)の『オーファンズ・ブルース』が同部門観客賞とのW受賞となった。
 
他の受賞結果は以下の通り。
 

■インターナショナルコンペティション
最高賞 ゴールデンSHIKA賞
『ザ スナッチ シィーフ』(THE SNATCH THIEF)
アグスティン・トスカーノ 監督
 
観客賞 
『ザ テイスト オブ ライス フラワー』(THE TASTE OF RICE FLOWER)
ペンフェイ 監督
 
■学生部門 Nara-wave
最高賞 ゴールデンKOJIKA賞
『オーファンズ・ブルース』(ORPHANS BLUES)
工藤 梨穂 監督(京都造形芸術大学)
 
審査員特別賞
『DE MADRUGADA』(デ マドゥルガーダ)
イネス・デ・リマトレス 監督(Escola Superior de Teatro e Cinema)
 
観客賞 
『オーファンズ・ブルース』(ORPHANS BLUES)
工藤 梨穂 監督(京都造形芸術大学)
 
■NIFFユース審査員プログラム
長編部門:ベルリナーレ・スポットライト-ジェネレーション  クリスタルSHIKA賞
『マイ スキニー シスター』
サンナ・レンケン 監督
 
短編部門:SSFF & ASIA セレクション  
クリスタルSHIKA賞
『ヘリウム』
アンダース・ヴェルター 監督
 
■功労賞
クリストファー・ドイル
(撮影監督としての映画への貢献に対して) 
 
■特別功労賞
故・樹木希林
(俳優活動による映画への貢献に対して) 
 

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開催期間中は、急遽開催が決定した樹木希林さん追悼写真展『愛・樹木希林』をはじめとして多くのイベントや上映(69 作品)が行われた。
 
 
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特に24日朝に急遽決定した樹木希林さん初主演作の『あん』の緊急特別追悼上映では、永瀬正敏さんと河瀨直美監督の舞台挨拶も行われ、満席の観客と共に在りし日の樹木さんを偲んだ。 
 
 
<奈良国立博物館前広場で連日開催された ならアートナイト「銀幕の庭」by ならアートナイトチーム>
 
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<オープニングナイトを彩った灯籠>
 
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なら国際映画祭2018
 

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今年で第5回となる「なら国際映画祭」が、9月20日に開幕し、奈良県文化会館でオープニングセレモニーが行われた。オープニングセレモニーに先立ち行われたレッドカーペットでは、朝から秋雨が時折強く降りしきる悪天候だったが、レッドカーペットが始まるとともに奇跡的に雨が上がり、『二階堂家物語』のアイダ・パナハンデ監督、出演者の加藤雅也、石橋静河、町田啓太、田中要次、 白川和子や、審査員のクリティアン・ムンジウ、永瀬正敏、功労賞受賞のクリストファー・ドイル、映画祭サポーターの片寄涼太、映画祭エグゼクティブ・ディレクターの河瀨直美らが、レッドカーペット会員の皆さんと共に映画祭のオープニングを華々しく飾った。
この日映画祭のスペシャルアンバサダーに就任し、東京から急遽駆けつけた斎藤工もレッドカーペットに登場。見事なファンサービスぶりで、雨の中待っていたファンを喜ばせた。
 
 

 
全ゲストを観客席迎えてのオープニングセレモニーでは、河瀬エグゼクティブ・ディレクターが、
「世界はここにあり、命は永遠です。この広い宇宙感を讃える称名とともに、俳優樹木希林さんの功労を讃え、ここに特別功労賞を授与いたします。永瀬正敏さんの隣にある樹木希林さんのお席に向かって、盛大な拍手をお願いします」
とアナウンスすると、永瀬が樹木希林の長年の労をねぎらうかのように何度も椅子を撫で、会場からすすり泣きの声も。『あん』の劇中写真や名シーンと共に、「希林さん、ありがとう」とテロップが流れた後、河瀬エグゼクティブ・ディレクターより、力強く映画祭の開会宣言が行われた。
 
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引き続き、スペシャルアンバサダーの斎藤工が登壇。
「(樹木さんが亡くなり)涙雨かと思っていたら、レッドカーペットでは雨が止み、とても映画的で樹木さんの存在を感じます」
と皆の気持ちを代弁。「アジア映画の素晴らしさ、日本のかっこよさを切り取ってくれた伝説のスーパー撮影監督、映画監督」と功労賞受賞者のクリストファー・ドイルを紹介し、観客席にいたドイルが登壇。
「30年間撮影していますが、まだあと30年ぐらいは撮れそうです。今年は日本の映画を3本取りました。また戻ってきます。次の映画祭では若い日本人の女性監督に功労賞をあげてほしい。ガンバッテ!」
と、“功労賞”をもらうにはまだ早いと言わんばかりのパワフルさをアピールし、若い映画人にエールを送った。
 
 
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オープニング作品『二階堂家物語』(2019年1月25日公開)の上映前には、監督、キャストによる舞台挨拶を行われ、ワールドプレミアを前にしての心境を語った。
 
アイダ・パナハンデ監督「河瀬直美さんに感謝を捧げたい。河瀬さんのサポートなしでは作れなかった。楽しいし、可能性を感じました。キャスト、スタッフ、撮影クルーにも感謝したい。(言葉などの)厚い壁があるので苦労したが、これはみんなの映画です」
 
アーサラン・アミリ(脚本)「天理市や奈良の皆さんに感謝したい。映画は世界共通言語、いろいろな国と国との架け橋となる、これからもそういう映画を作りたい」
 
白川「この年齢になると、(新しく)出会う方がそんなにいらっしゃいませんが、このキャストの皆さんは私の財産です」
 
田中「2年前は短編映画の監督として、尾花座の投げ銭上映に参加させていただいき、クロージングをこの会場の隅で見ていました。こんなに盛大な映画祭っていいな。レッドカーペットを歩いてみたい、この舞台に立ってみたいと思っていましたが、グランプリの監督の作品に参加でき、地道に役者をやってきてよかったです」
 
町田「群馬の田舎育ちだったので、天理で田舎の匂いを感じながら撮影できたのがすごく嬉しいし、心に残っています。絶対にいい匂いを感じていただけると思います」
 
石橋「アミリ監督が日本の天理という場所で、個人的な家族の話を作っていただき、参加できてよかったです。監督の強い意志があったから、この作品ができたと思います。そのかっこいい姿に応えようと頑張りました」
 
加藤「バリバリの奈良生まれ、奈良育ちで、めっちゃ地元。映画祭を10年もやっているのに、1回も声もかからなければ、(映画祭のことを)知らなかった。2年前 河瀬さんに会いに行って、僕が奈良の人間であることも伝えたら、「知っている」と。河瀬さんのオーディションに呼んでもらって、イランの監督が僕を使ってくれました。僕は今年でデビュー30周年。映画祭もこの先何十年も続けられるように、協力したい」
 
2時間に及ぶ『二階堂家物語』の上映後にはスタンディングオベーションが送られ、再び全キャストがおよび、会場の全ゲストが登壇し、ワールドプレミア上映を締めくくった。21日(金)10時からは『二階堂家物語』のメイキング・ドキュメンタリー、『ペルシャからの風』上映と、キャストおよび河瀬エグゼクティブ・ディレクターによるトークを開催予定だ。
 

なら国際映画祭2018は、9月24日(月)まで、奈良県文化会館、ならまちセンター、奈良国立博物館、ホテルサンルート奈良、 春日大社、東大寺 金鐘ホール他で開催。