「パリ」と一致するもの

batuichi-550.jpg『バツイチは恋のはじまり』

batuichi-b-550.jpg『バツイチは恋のはじまり』主演のダニー・ブーン トークレポート《フランス映画祭2014》

(2014年6月30日 東京有楽町・朝日ホールにて)

《フランス映画祭2014・観客賞受賞作》
(Fly Me to the Moon 2012年 フランス 1時間44分)
監督:パスカル・ショメイユ
出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル、ジョナタン・コアン

2014年9月20日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、11月~京都シネマ 他全国順次公開

★公式サイト⇒ http://www.batsu-koi.com/

(C)2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN


 ★ダニー・ブーン、コメディアン本領発揮!
こんなダイアン・クルーガー見たことない!クール・ビューティも破顔の爆笑コメディ!!

 
batuichi-1.jpg家系的に1度目の結婚は必ず失敗するというジンクスを抱えたイザベル(ダイアン・クルーガー)は、10年も同棲中の恋人との結婚を成功させるため、誰でもいいから偽装結婚してバツイチになろうとする。そこで選んだ相手がツアーガイドのジャン=イヴ(ダニー・ブーン)だったが、中々離婚できずに悪戦苦闘するという物語。お話に無理があるだろうと思って見たら、とんでもない!パリからデンマークへ、さらにケニアやモスクワへとワールドワイドのロケも魅力的だが、何と言ってもお人好しジャン=イヴを演じたダニー・ブーンの美女イザベルに翻弄されまくる“困ったチャン”ぶりが可笑しい!


batuichi-7.jpg特に、ケニアでのライオンに遭遇するシーンや歯医者さんでのシーンや脱毛のシーンなどは傑作!行く先々で繰り広げられる二人の珍道中を見ているうちに、いつしか「自分にとっての本当の幸せとは何か」を考えさせられる。イザベルのどんな嫌がらせにも寛大に応えるジャン=イヴの一途さがいい。「気持ち良く心の底から笑えるのが一番!」というダニー・ブーンの品のいいコメディセンスが心に響く、傑作コメディだ。
 


2014年6月30日、東京有楽町にある朝日ホールにて開催された《フランス映画祭2014》のクロージングを飾った本作は、上映後に主役のダニー・ブーンが登壇して、増々会場は大盛り上がり! 観客の質問にもジョークで切り返すあたりは、さすがだ!


batuichi-b-3.jpg――― オープニングセレモニーに登壇されなかったので、来日できないのかと心配しましたが?
フランスから日本へ車で来たものですから、ちょっと時間が掛かってしまいました(笑)

――― コメディの王様と言われているダニー・ブーンさんですが、本作への出演理由は?
やっぱダイアン・クルーガーでしょう!? 他にどんな理由があると言うんです?(笑)
とにかくシナリオが面白くて!ラブコメも好きですが、パスカル・ショメイユ監督の作品へのアプローチの仕方や映画の撮り方が好きでしたので、出演したいと思いました。それに、今回シネマスコープによる撮影だったり、フランスだけでなくケニアやモスクワへ行ったりととても大変でしたが、素晴らしく美しい映像や、エレガントなユーモアで綴られているころが良かったです。

――― お好きなシーンは?
面白かったのは歯科院でのシーンですね(笑)。顔にいっぱいメイクされましたが。ワンマンショーでは体を使って笑わせることが多いので、それを映画に取り入れることができました。それと、髪の毛を失くしてしまうシーンです(笑)。

――― ジャン=イヴみたいに、女性にどんな身勝手なことをされても平気ですか?
もし私の妻が脱毛剤を使ったら、やはり怒るかな?20年前だったら、彼みたいに優しかったけどね(笑)。

batuichi-6.jpg――― 理想とする笑いのとり方とは?
心からくる笑いが一番好きです。言葉による笑いと体によるものとを結び付けるのが重要だと思います。リアリティのある状況を演じないと心から笑えません。そのためには、心のこもった人間味を出していかなければなりません。そのシチュエーションをリアルに生きることが笑いに繋がると信じています。下品なことを言って笑いをとるのは好きではありません。子供が笑ってくれるかどうかが私の基準です。

――― ライオンが登場するシーンは?
最初ライオンと一緒に出演して下さいと言われましたが、ライオンが「イヤだ!」と言ったので別々に撮影しました(笑)。いくら調教師が優秀でも、もしもの事が起きると、テイクの度に交代の俳優を用意しなければなりませんからね(笑)。
ケニアのセレンゲティ国立公園での撮影でした。宿泊していたロッジの近くにヒョウの家族が住んでいるので注意するよう言われていたので、ダイアンにもその事を伝えたのですが、彼女は「また冗談ばっかり言って!」と本気にしなかったんです。ところが、夜ダイアンがシャワーを使おうとしたら、そこにヒョウが待っていたんです。「ヒョウに会ったら叫ばず、背中を向けるな」と教えられていたので、彼女はそのまま後ずさりして無事でした。ヒョウの方も、裸のダイアンに興味なかったようです(笑)。ボクもヒョウの前を通ったのですが、大きなネコだと思って気付きませんでした(笑)。
その後も、サファリカーが火事になったり、灌木の中で道に迷ったりと、いろんなことが起こって、大変なロケでした。

――― マサイ族の人たちについて?
セリフのあるマサイ族の酋長役の人は、フランス語ができる弁護士で、演劇学校へ行って勉強した人なんですが、彼が一番NGを出していました。言葉の通じない他のマサイ族の方が上手に演じていました(笑)。

batuichi-b-4.jpg――― 監督もされていますが、製作意欲は?また、役者として出演する時のポイントは?
監督として大切なことはアイデアを出すことです。そのためにはシナリオに時間をかけること。1年~2年ぐらいは物語やアイデアをずっと考えて温め続けています。
役者と監督との違いは、シナリオの読み手として面白いかどうかを判断できることです。自分の出番が何ページあるかと数えたりはしません、他の俳優さんのようにね(笑)。出番は少ないのにポスターでは一番前にしてくれとか、そんなことを言う俳優さんを後で教えますね(笑)。
物語が感動を与えられるか、笑えるか、監督がそれまでどんな作品を作ってきたかなどを考え、監督とシナリオの読み合いをして決めます。今まではいい監督と作品に恵まれてラッキーでした。これからも続くかどうか分かりませんが(笑)。

――― 監督経験のある役者は、物分かりが良く使いやすいとジャン=ポール・サロメ監督が仰ってましたが、ご自身は如何ですか?
監督をしてみて分かったことは、待機時間が長い理由です。待たされるからいい椅子を選んでおいた方がいいよと言われました。監督の経験があるので、自分の身を監督に任せようという気持ちになれます。さらに、編集の重要性を分かっているので、シーンとシーンの繋がりを重要視するようにもなるのです。

――― アドリブはどの程度入れるのですか?
割と沢山入れます。ジャン・ピエール=ジュネ監督の『ミックマック』の場合は、アドリブを制限されていました。クローズアップのシーンで、涙を流して下さいと言われたので流したら、監督が「反対側の頬で」と言われました(笑)。


終始冗談ばかり言って会場を沸かせていたダニー・ブーン。ダイアン・クルーガーが「ヒョウに気を付けろ」と言われても本気にしなかった理由がよくわかる。きっと撮影中もこの調子だったのだろう。毒舌で他者をけなしたり、下品なことを言ったりして笑いをとるのではなく、チャップリンのような悲哀を秘めた人物像で喜劇を演じられる役者のように感じた。心の底からこみあげる笑いで人々を魅了し、《フランス映画祭2014・観客賞》に輝いたのもうなずける作品だ。

(河田 真喜子)

ive-550.jpg『イヴ・サンローラン』

ive-tai-550.jpg『イヴ・サンローラン』主演のピエール・ニネ待望の初来日レポート

(2014年 フランス 1時間46分)
監督:ジャリル・レスペール 
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー 

2014年9月6日(土)~角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都 他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★ジャリル・レスペール監督トークレポートはこちら
★公式サイト⇒ 
http://ysl-movie.jp/
(C)WY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia


 21世紀フランスを代表するイケメン、ピエール・ニネ待望の初来日! 

世紀の天才デザイナー、イヴ・サンローランを完璧に演じ、美貌と実力を兼ね備えたスターの誕生にヨーロッパが騒然!

 

ive-pos.jpg揺るぎなき地位を築いた一流ブランドの創始者にして、世界で最も有名な伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。彼の輝かしいキャリアと人生の、その光と影を描いた感動作『イヴ・サンローラン』は、今年1月本国フランスで公開するや、アカデミー賞を賑わせた『ゼロ・グラビティ』や『あなたを抱きしめるまで』を抜いて、初登場NO.1の大ヒットを記録しました。その主役となったのが、完璧な演技でイヴ・サンローランになりきったピエール・ニネです。

また、本作はイヴ・サンローラン財団所有のアーカイブ衣装の貸し出しの許可も得て制作された、ブランド初公認の本格伝記映画としても話題となっております。

サンローラン役に抜擢されたのは、国立劇団コメディ・フランセーズ在籍のピエール・ニネ。卓越した演技力で酷似した容姿と繊細なキャラクターを見事に再現し、フランスの全国民を圧倒させました。目を見張る演技力にプラスして美しい容姿をもつ彼の人気は沸騰し、いまや大スターに!日本の女性誌もこぞって取り上げるなど、いま最も注目を浴びている若手俳優です。

この度、日本初来日になるピエール・ニネを囲み、サロン会見を開催致しました。超満員のマスコミの熱気に感動したピエール・ニネは「監督に、こんなにたくさん取材に来てくれたよ!と写真を送りたいので、皆さんの写真を撮ってもいいですか?」と25歳らしい無邪気な面もみせ、場を和ませる一面も。多くの質問が飛び交い。会見は予定の1時間をオーバーし、大盛況の中終了致しました。



【イヴ・サンローラン』 ピエール・ニネ サロン会見 概要】

 実施日:2014年8月8日(金) 14:20~
会場:ザ・ペニンシュラ東京(東京都千代田区有楽町1-8-1)
登壇者:ピエール・ニネ


 【サロン会見 内容】

ive-tai-1.jpg■ピエール・ニネからの挨拶
「皆さん今日はお集まりいただいてありがとうございます。この映画に皆さんが興味を持ってくださってとても嬉しいです。世界中をプロモーションで回りましたが、僕にとっても日本は大切で、美しいものについての美学がある国だと思いますが、生前のイヴ・サンローランが愛した国でもありました。今日はよろしくお願いします」

 

■初来日の日本の印象は?
「日本の人たちは互いを重んじて、リスペクトする国、礼儀正しい国だと聞いていたのですが実際に来てみると、本当にそうで、皆さんのふるまいにエレガンスがあって感動しました。サンローランにとってもエレガンスはテーマでしたが、日本にもそれを感じます。僕はしばらく東京に滞在してあと、日本の伝統も見てみたいと思っていますので、京都に行きます」

 

ive-tai-3.png■イヴ・サンローラン役を演じたきっかけは?
「僕にとって思いもよらないオファーだったんです。僕はコメディ・フランセーズに所属しているのですが、パリで舞台の稽古中にジャリル・レスペール監督から電話が来て、ビールを飲まないかと誘われてかけて行ったら、『世紀のラブストーリー、世紀のクリエイションについての映画を撮る、イヴ・サンローランの映画を撮るんだ』と言うので、僕はもちろんすぐに出演をお受けして、『ところで僕は誰を演じるの?』 と聞いたら『イヴ・サンローランだ!』と。こんなに伝説的で鮮烈で魅惑的な役のオファーがあることはないので、自分はとても幸運だと思いました。そして準備することがたくさんあったので、すぐに準備に入ることになりました」

 
 

■映画の世界的ヒットについてはどう思いますか?
「フランス国内で興行的に成功したことで、様々な国が興味をもって下さり、プロモーションでベルリン、ニューヨーク、ブラジルなど様々な国に行きました。世界的にグローバルに受け容れられたのですが、皆さんが興味をもってくださるのは、イヴ・サンローランというブランド帝国の背後にいたのは誰なのか、それはどういう人物だったのか、ということに対する興味なのではないかと思います。映画はイヴ・サンローランという偉大な人物の裏側も描いていますが、サンローランという人は、時代を先読みする鋭い感受性を持っていたがゆえに心が痛み、極端な行動に走る一面もあったのです」

 

ive-tai-4.png■今回の役作りについて教えてください。
「撮影前に5ケ月の期間があったのですが、ipodに彼の本当の声を入れて、1日3、4時間くらい聞いて勉強したほか3人のコーチにもついて勉強しました。1人目のコーチはデッサンで、2人目はフィジカルコーチで、経年によって変わる体のシルエットについてコーチを受けました。3人目はデザインとファッションのコーチで、ファッション業界の様々な専門用語などや布の遣い方触り方、クチュールのアトリエでの仕事の仕方を学びました。実際に練習して撮影現場ですぐに使えるまでもっていきました。役を作りにあたり、僕は最初自分とサンローランの共通点を探そうとしました。聖人のような人物を演じるわけですが、彼だって人間なのだから、と自分との公約的な部分を探したのですが、結果的には全く違う人物なのだと思い至りました。唯一の共通点を言えば、スケールは全く違いますが若くしてクリエイションの道に入った、若くして自分の道が定まったというところだけは共通しているかもしれませんね。ですから役作りはとても必要でした。」

 

■まだ25歳のあなたにとって生まれていない時代のことを演じるのは大変だったのではないですか?
「僕の世代が直接知らないことを学ぶこは大変面白かったです。イヴ・サンローランの歴史はフランスの歴史に通じるんです。彼は時代を先取り先読みしていた人でしたから、ミリタリーを洋服として着る人がいなかった時代に、ミリタリー・ルックを打ち出したりしましたし、70年代のヒッピー文化の時代については僕自身歴史を再体験するようで面白い経験でした。」

 

ive-tai-5.jpg■この映画はイヴ・サンローラン財団の初公認映画ですが、彼の衣装を目にした時の印象は?
「彼は時代を先読みするビジョンと頭脳の明晰さを行使して、人々は何を好きになるかということを先取りして読むことができる能力がありました。とても印象的だったは、撮影現場モンドリアンのドレスが運び込まれてきた時でした。係員の方が、美術品を扱うように手袋をして触っていたのです。もちろん着用したモデルさんは座っても駄目、食べ物や飲み物も駄目という制限の中で撮影しました。最後に手袋なしでこのドレスを触ったのは、イヴ本人だったのかもしれないと考えたら、とても感銘を受けました。」

(角川映画リリースより)

 

ive-t-550.jpg『イヴ・サンローラン』ジャリル・レスペール監督トークレポート 
《フランス映画祭2014》

日時:2014年6月27日(土)16:50~17:30/場所:有楽町朝日ホール
登壇者:「イヴ・サンローラン」ジャリル・レスペール監督、「エルジャポン」塚本香編集長、東京国際映画祭プログラミングディレクター矢田部吉彦氏

(2014年 フランス 1時間46分)
監督:ジャリル・レスペール 
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ 、シャルロット・ル・ボン、ローラ・スメット、ニコライ・キンスキー 

2014年9月6日(土)~角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都 他全国ロードショー

★作品紹介⇒ こちら
★ピエール・ニネ来日レポート⇒ こちら
★公式サイト⇒ 
http://ysl-movie.jp/
(C)WY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia


 ★フランスモード界の寵児イヴ・サンローラン、財団初公認の本格伝記映画 

~繊細過ぎた天才デザイナーの華麗なる人生の光と影~

 

ive-1.jpg日本でも大人気ブランドの創始者、イヴ・サンローラン。若くしてモード界のトップに立ち、時代が大きく変わろうとした50年代後半から70年代にかけて、時代を先取りしたデザインで社会変革をファッション界から推進した先駆者でもある。それまでの女性のスタイルを根本から変えたパンツスタイルを生み出し、女性の社会進出と地位向上に貢献した。本作は、その天才的ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗なる人生の光と影を、公私共にパートナーだったピエール・ベルジェの視点から描いたラブストーリーである。
 

ive-2.jpg今回の映画製作には、ピエール・ベルジェ氏が全面協力し、イヴ・サンローラン財団所有の貴重なデザイン画や衣装が使用された、財団初公認作品ということにも注目が集まっている。また、イヴ・サンローランを演じたピエール・ニネは、持ち前のエレガントさと熱意が認められて起用され、ミステリアスな天才の人生を繊細に体現している。さらに、今回天才へのアプローチ役となったピエール・ベルジェを演じたギョーム・ガリエンヌ。二人とも国立劇団コメディ・フランセーズ在籍する俳優だが、ギョームの役者として人生の先輩としての貫録ある演技が、作品のクオリティを高める要因となっている。

 


 《フランス映画祭2014》で来日したジャリル・レスペール監督が登壇し、会場の観客からの質問に答え、制作秘話や撮影の裏話などを披露。この上映会では、前売チケットが真っ先に完売する売れ行きを見せ、当日は有楽町朝日ホールが満席となった。

(敬称略)

――― 塚本さんにとって、イヴ・サンローランとはどのような存在?
塚本:20世紀を代表するデザイナーの一人であると同時に、洋服のデザインだけでなく、女性や社会の意識を変えた重要な人です。それまで男性の服だったスモーキング・スーツを女性が身に着けることは、女性解放という時代の空気を生み出した重要な事件だったと思います。

 

ive-t-1.jpg―――「イヴ・サンローランに、ソックリ!!」ですが、俳優ピエール・ニネは「つけ鼻」?
レスペール監督:映画の冒頭は彼自身の鼻のままですが、晩年病気とアルコールの影響で老化した姿の最後のシーンは特殊メイク(つけ鼻)を使用。ニネの素顔はイヴ・サンローランに似ている訳ではなく、むしろ天性のエレガンスと立ち振る舞いが似ていたのです。この役を演じるには、若くて、準備が大変なので仕事熱心、舞台経験があり演技の基礎がしっかりしている俳優が条件でした。
ピエール・ニネとの出会いで「彼しかいない!」と思いました。5カ月の準備期間には、数々の記録映像を参考に、振る舞いや声、話し方のボイストレーニングを受けたり、デッサンのコーチについてマスターし、サンローランの現デザイナー、エディ・スリマンのスタジオに行き実際のクチュリエの仕事を体験したり、ショーのバックステージを見学したりしました。

 

ive-3.jpg――― イヴ・サンローラン財団から貸し出された、大量の本物の衣装と圧巻のファッションショーはどうやって実現!?
レスペール監督:私は最初からオリジナルのデザインやデッサンを使いたいと思っていましたので、ピエール・ベルジェ氏に会って協力して頂くことが最優先でした。そこで、1年位の準備期間中、アドバイザーとして、さらに、財団が保管する美術品のような衣装を使わせてもらえるという、全面的な協力を得ることに成功したのです。
ピエール・ベルジェ氏は、「バレエ・リュス」のショーの撮影で、当時を思い出したのかモニターの前で号泣していました。その時、現場に遊びに来た僕の3歳の娘が、ベルジェの膝の上に乗って彼を慰めていたのが、何とも感動的でした。
でも、モデルのウォーキングを注意したり、色々とダメ出ししたりしてきたので、次のカットでは、バックステージで彼が当時やっていたようにショーを取り仕切ってもらったんです。

 

――― 主演ピエール・ニネが、あまりに似すぎて、サンローランの飼っていた犬が懐いたというのは本当!?
レスペール監督:それは本当です。映画の撮影前に写真撮影をしにイヴ・サンローランのアトリエを訪れた際、サンローランが飼っていた犬がたまたまアトリエにいて、ピエール・ニネに大興奮で飛びついてきたんです。ただ私は犬の言葉がわかりませんので、サンローランだと間違えて懐いていたのか、犬の本当の気持ちはわかりませんが(笑)。

 

ive-t-2.jpg――― ギョウム・ガリエンヌ起用については?
レスペール監督:50~60年代のピエール・ベルジェ氏はそんなに有名な人ではなかったので、肉体的に似せる必要はありませんでした。ただ、とても教養のある文化人でしたので知性面を体現できて、さらに、カッとしたり暴力的になったりと感情的な面もあったので、そうしたものを秘めた演技ができることが重要でした。また、ピエール・ニネがとても若いので、役者としても成熟したピュアなもの持った人を選考しました。
ギョーム・ガリエンヌは、感動的な存在感を示せるとても優秀な役者です。今フランスでは彼が監督主演した『不機嫌なママにメルシィ!』という映画が大ヒットしていますが、それは彼が持つマルチな才能の証明だと思います。

 

――― ヴィクトワールとの関係性については事実ですか?
レスペール監督:それは史実です。どんなカップルにも波乱はあります。特に、ヴィクトワールの存在が大きく成り過ぎて、三角関係が危うくなってきたのです。彼女はブランド立ち上げにも全面的に協力した功労者の一人でしたが、会社はあくまでもイヴ・サンローランとピエール・ベルジェの二人のものであって、3人目のヴィクトワールは余計な存在となってきたのです。それであのように強引な方法で彼女を追放してしまったのです。

 

ive-t-3.jpg――― 塚本さんはイヴ・サンローランの史実についてはご存知でしたか?
塚本:彼の人生については大体知っていました。ルル・ド・ラ・ファレーズやベティ・カトルーとの関係も知っていました。ですが、ジャック・ド・バシェールがカール・ラガーフェルドの恋人だったなんて、全く知らなかったので驚きました。カール・ラガーフェルドはこの映画を見てどう思ったのか?それを知りたいです。
レスペール監督:カール・ラガーフェルドの所で働いている人を通じて聞いた話だと、この映画の公開時にカール・ラガーフェルドは戦々恐々としていたが、映画を見に行った人から「君のことを侮辱して描いているシーンは一つもないよ」と聞いて、とても安心したようです。

 

――― ドキュメンタリー映画『イヴ・サンローラン』が公開されているので、今回ドラマを製作する際に気を遣った事とは?
レスペール監督:それは障害にはなりませんでした。監督というものは、なぜだか分からないが撮りたくなる。それはどこへ行くか分からない夜行列車に乗るようなものだ(フランソワ・トリュフォーの言葉)。イヴ・サンローランとピエール・ベルジュのラブストーリーは、私の心の琴線に触れたので描きたかったのです。今まで撮ってきた3本の映画全てがそうですが、愛の中でパートナーと一緒にいることの必要性、一人ではできないことでも二人なら生きていけるということを常に描いてきました。理想のカップルが様々な困難を乗り越えて、人生を共に過ごすことは可能なんだということを示しています。それこそが、人生に意味を与えていることを描きました。


 ive-4.jpg<STORY>
1957年、パリ。クリスチャン・ディオールの死後、21歳の若さでディオール社の主任デザイナーに就任したイヴ・サンローランは、一躍世界の注目を集める。その若き天才は、初めてのコレクションを大成功させ、センセーショナルなデビューを飾る。その後、芸術家の支援をしていた26歳のピエール・ベルジェにディナーの席で出会い、二人は恋に落ちる。デザイナーとしての才能と、エレガントで美しい容姿のイヴにベルジェが一目惚れ。兵役に行ったイヴが精神的に病んで苦境に陥ったところをベルジェが助け、デザイナーとして独立させたり、イヴ・サンローラン社を設立したり、公私共にパートナーとなる。そして、運命を共にするふたりは、世界のファッション界を変えるほどの影響力を発揮していくことになる。
しかしその一方で、繊細すぎる天才肌のイヴは、次々と新作を発表しなければならないクリエーターとしてのプレッシャーに耐えられなくなり、薬物やアルコール、セックスに依存するようになっていく……。

 (河田 真喜子)

ikiteikeru-550.jpg『わたしは生きていける』

martinique-550.jpg『マルティニークからの祈り』

jan-550.jpg『俳優探偵ジャン』Je fais le mort

監督:ジャン=ポール・サロメ
出演:フランソワ・ダミアン、ジェラルディン・ナカシュ、リュシアン・ジャン=バティスト
2013/フランス、ベルギー/105分/ビスタ/5.1ch

© Diaphana Films
 


 

ほのぼの感覚が新鮮な、コメディタッチのミステリー~
 

jan-3.jpg ジャン・ルノー(フランソワ・ダミアン)は、かつてセザール賞の新人賞を受賞したものの、よくジャン・レノと間違えられる売れない俳優。演技にこだわるあまり監督と衝突しては役を下ろされ、今は生活費もままならない。妻には去られ、こどもたちにもあきれた目で見られるありさまだ。そんなとき、職業安定所で紹介されたのは、殺人事件の現場検証で「死体」を演じるという仕事だった。

 ロケ地は、冬はスキー客でにぎわうアルプズのムジェーブ。女性の予審判事ノエミ(ジェラルディン・ナカシュ)の指示に従い、徹底的に役を演じようとするジャン。しかし、現場検証をしていくうちにいくつかの矛盾に気づき……2013年11月のローマ国際映画祭でのワールド・プレミア上映後、12月に本国フランスで劇場公開された。

jan-4.jpg「真犯人は誰か?」。サスペンスとコメディの絶妙なバランスは、フランソワ・ダミアンとジェラルディン・ナカシュの掛け合いがあってこそ。フランソワ・ダミアンのスマートなコメディセンスはもちろん、実際に女性の予審判事に会って役作りを行ったジュラルディン・ナカシュの演技にも注目を。


 
 


 

『ルーヴルの怪人』、『ルパン』などを手がけたジャン=ポール・サロメ監督の、初の挑戦となるコメディ。上映中、舞台裏で観客の笑い声を聞きながら、ほっと胸をなでおろしたそうだ。
サロメ監督は上映終了後に登壇、東京国際映画祭プログラミングディレクター・矢田部吉彦さんの司会で、Q&Aが行われた。

jan-1.jpg「俳優が殺人事件の現場検証に立ち会うというアイデアはどこから?」という矢田部さんの質問に、「新聞記事から」と答えるサロメ監督。実際に現場検証に立ち会った俳優のインタビューが、フランスの新聞『リベラシオン』に掲載されていたそうだ。「実際の犯罪現場で、本当の殺人犯と対峙する被害者の役というのは、つらい体験だったようです。同時に、映画にするには面白い設定だと感じました」

死体を演じる俳優という「キツい」状況の主人公を演じるのは、ベルギー出身の俳優、フランソワ・ダミアンさん。パリのバーで初めて会ったとき、彼に脚本の感想を尋ねると「妻が大変気に入っていたよ」との返事だったとか。そしてダミアンさんからこう質問されたという。「シャブリの白ワインは好きですか?」「好き」と答えたサロメ監督に「それなら気が合うはずだ」とダミアンさん。二つ返事で出演快諾の返事をもらったそうだ。
場内に笑いが溢れると、挙手にためらいがちだった観客席から次々と質問が。


jan-d1.jpg――— ダミアンさんの演技はアドリブ(即興)ですか? 
「僕はこの脚本を書くのに1年半かかった。だから君に台詞を勝手に変えてほしくはないなと答えました。この手の映画には入念に準備された脚本がどうしても必要ですから」。

ダミアンさんの役作りには、彼なりの方法があった。サロメ監督はそれを初日で把握することができたという。
「彼は、アドリブ感覚が必要な役者でした」。最初は脚本とまったく違った台詞で演じるダミアンさんだが、何度も演技をするうちに、最後には脚本に書いてある台詞に戻るのだそうだ。

「そしてこう言うんです。どう、ぼくがアドリブで考えた台詞?とね」
会場は、まるでダミアンさんがその場にいるかのような陽気な雰囲気に包まれた。


――— 俳優のための職業安定所が映画に登場しますが、本当に存在するのですか?
「はい、本当です。役者だけでなく、サーカスやオーケストラなど、舞台に関わるすべての人たちのための職業安定所があります。ただ、最近はアーティストたちが優遇されているこの制度を見直す動きもあって、それに対するデモも行われています」


――― 映画では、7号室の向かいに13号室があったような気がするのですが…?
「そのとおりです!7号室の向かいが13号室というのは、現実にはあり得ないですよね?美術担当とも議論になりました。でもこれは映画です。コメディですから」
不吉な「13」という数と縁起のよい「7」を対称的に配置したところが、サロメ監督らしくオシャレ。「7は幸福の数字です。7人の小人、7人のサムライ……だから13の向かいにしたかったのです」


jan-2.jpg――— 映画では、扱いづらい俳優が登場していましたが、サロメ監督の実体験が反映されているのでしょうか?
「そのとおりです! 感じの悪い役者に会うこともあって、そのときは思わず殴ってやりたくなりますね(笑)。殴る代わりにこの映画をつくりました。とはいえ、役者というのは、扉を開けるだけの役であってもものすごい緊張を強いられますから、どんな役なのか、なぜ扉を開けるのか、どうやって開けるのかといった細かいことを知りたくなってしまうものなのでしょうね」

サロメ監督は、女優のソフィー・マルソーと仕事をしたときの経験をこう振り返る。
「ソフィー・マルソーと初めて一緒に仕事をしたのが『ルーヴルの怪人』で、そのときは撮影に苦労しました。しかし、その次の『レディー・エージェント』では、ぐっと楽になった。それは、彼女が映画監督の経験をしているからだと思います」
『俳優探偵ジャン』では、監督経験のある俳優が多かったからか、撮影は順調に進んだそうだ。「これからは監督経験のある役者たちとしか、仕事をしたくありません(笑)」

『俳優探偵ジャン』の撮影にあたり、サロメ監督は予審判事に会い、現場検証についての聞き取りを行ったという。そこで知ったのは、予審判事の仕事は映画監督の仕事とよく似ているということ。「雨の夜、森で犯罪があれば、実際に夜の森に行き、消防車に頼んで雨を降らせなければならない。映画のようでしょう?」。


――― 映画に出てくるCMは創作ですか?(筆者注:主人公が演じる坐薬のCM)
「10年程前に、実際にフランスで放送されていたCMです。インターネットでみつけました」。サロメ監督は許諾を得た後、映画用に、ダミアンさん版をリメイクした。
「僕って想像力に乏しいですね!映画の設定も新聞記事から得たアイデアですし、CMも過去に使われたもののコピー……」茶目っ気たっぷりに「よそで言わないでくださいね」と結ぶサロメ監督。ウィットに富んだ語りに、フランスパンのような香ばしさを感じた。

(田中 明花)

 

 

french2014-pos.jpg『フランス映画祭2014』を見終えて(7/1現在の感想)*随時追加予定


  今年のフランス映画祭は、新作11本、フランソワ・トリュフォー監督作『暗くなるまでこの恋を』の旧作1本、計12本が上映された。記者会見でゲスト監督たちが述べたように、性描写や暴力描写が間接的な表現に止まっていることが大きな特徴といえる。それまで必ずといってもいいくらい性描写があったのが影を潜めている。それより、フランス特有のウィットに富んだ脚本で、夫婦や親子や恋人など、身近な人間関係を優しく描いた作品が多く、とても楽しく過ごせた映画祭だった。そんな中特筆すべきは、ドキュメンタリー映画『バベルの学校』。多民族国家フランスならではの社会状況を凝縮したような学校で、多くの事情を抱えて生きる外国からきた生徒を、気長に優しく受け入れ、彼らの言葉に耳を傾ける先生の寛大さに感動する。
自由・平等・友愛の国フランスならではのヒューマンドラマの数々を、是非関西でもお楽しみ下さい。
(河田 真喜子)

★シネ・リーブル梅田(7/2(水)~7/6(日))⇒ こちら

★京都シネマ(7/5(土)~11(金))&同志社大学寒梅館(7/3(木))⇒ こちら


【新作だけの感想】(勝手にオススメ順!)


 ★《観客賞受賞作》
『バツイチは恋のはじまり』Fly Me to the Moon
*(2014年9月20日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて公開) 

 いや~涙が出る程笑った!ダニー・ブーンがコメディアン本領発揮!クール・ビューティも破顔、こんなダイアン・クルーガー見たことない!

batuichi-1.jpg 家系的に必ず1度目の結婚に失敗するというジンクスを抱えたイザベルが、10年も同棲している恋人との結婚を成功させるため、誰でもいいから虚偽結婚してバツイチになろうと選んだ相手がツアーガイドのジャン=イヴだった。ところが、中々離婚できずに悪戦苦闘するという物語。お話に無理があるだろうと思ってと見たら、とんでもない!パリからデンマークへ、さらにケニアやモスクワとワールドワイドのロケも成功。

 特に、ケニアでのライオンのシーンや歯科診療室でのシーン、脱毛のシーンは傑作!行く先々で繰り広げられる二人の珍道中を見ているうちに、いつしか自分にとっての本当の幸せとは何かを考えさせられる。イザベルのどんな嫌がらせにも寛大に応えるジャン=イヴの一途さがいい。何と言っても、「気持ち良く心の底から笑えるのが一番」というダニー・ブーンの品のいいコメディセンスが最大限に活かされた傑作コメディ!


 
間奏曲はパリで』La Ritournelle

*(フランスでも6月に公開されたばかりの新作。こんなに面白い作品なので、来年くらい公開されるのでは?)


 またもやクール・ビューティの登場。とても還暦を迎えているとは思えないイザベル・ユペール。現在公開中の『ヴィオレッタ』でも、スリムでゴージャスなヴィンテージファッションを着こなし猛母を怪演。今回は彼女にしては珍しく、ノルマンディーで夫と酪農を営んでいる田舎のおばさん役を演じている。主人公のブリジットは、パリから遊びに来た若者に「綺麗だ」と言われ、ついその気になり、夫に嘘をついてアヴァンチュールを求めてひとりパリへ行く。そこでイザベル主演作『ボヴァリー夫人』(‘91)を思い出したが、本作ではヒロインは破滅へとは向かわない。

kannsoukyoku-1.jpg ちょっと皮肉屋の夫グザヴィエを演じたジャン=ピエール・ダルッサンがまたいい!『キリマンジャロに降る雪』や『ル・アーブルの靴みがき』などでもそうだったが、飄々としながらも滋味深い包容力を感じさせる。妻を追ってパリへ行き、妻が男と一緒だと知って、パリの学校でトランポリンを学ぶ息子を訪ねる。酪農を継がず軽業師のようなことをする息子をバカにしていたグザヴィエだったが、初めて見る息子のパフォーマンスに心を射抜かれる。階段から落ちては起き上がるというトランポリンを使ったステージだったが、そのアーティスティックで美しいパフォーマンスに、グザヴィエ同様、見ているこちらもハッとするほどの感動を覚える。その時のグザヴィエの表情がいい!

 夫婦をはじめ息子やパリで出会う人物など、それぞれの関係性をウィットに富んだ会話で綴られていく物語に感服!そのよく練られた脚本を書いたマルク・フィトゥシ監督の才能に感謝したくなるほど、幸せな気分になれる作品だ。


 
グレートデイズ! -夢に挑んだ父と子

ジェロニモ ― 愛と灼熱のリズム 』Geronimo

友よ、さらばと言おう 』Mea Culpa 

イヴ・サンローラン 』Yves Saint Laurent

『俳優探偵ジャン』Je fais le mort

2つの秋、3つの冬 』2 automnes, 3 hivers  

バベルの学校 』La Cour de Babel

『素顔のルル』Lulu, femme nue

スザンヌ 』Suzanne
 

 


 

Fly Me to the Moon(英題) 』『邦題「バツイチは恋のはじまり」』Un plan parfait

監督:パスカル・ショメイユ
出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル
2012/フランス/104分/シネマスコープ/5.1ch
配給:ファントム・フィルム
*2014年9月20日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて公開
©2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN

間奏曲はパリで』La Ritournelle

監督:マルク・フィトゥシ
出演:イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン、ピオ・マルマイ
2013/フランス/99分/ビスタ/5.1ch
© DR

バベルの学校 』La Cour de Babel

監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:ブリジット・セルヴォー二
2013/フランス/89分/ビスタ/5.1ch
配給:ユナイテッド・ピープル
*2014年末から2015年年始公開
© Pyramide Films
ある教師の人生最後のクラスに集まったのは国籍がバラバラの学生たち...
出会い、そして別れ。国境を超えた仲間愛が凝縮した感動のドキュメンタリー。

 

グレートデイズ! -夢に挑んだ父と子

監督:ニルス・タヴェルニエ
出演:ジャック・ガンブラン、アレクサンドラ・ラミー、ファビアン・エロー
2014/フランス/90分/ビスタ/5.1ch
配給:ギャガ
提供:ギャガ、カルチュア・パブリッシャーズ
※2014年8月29日(金)より、TOHOシネマズ 日本橋、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー
© 2014 NORD-OUEST FILMS - PATHÉ PRODUCTION - RHÔNE-ALPES CINÉMA

『最強のふたり』の感動再び!失業中の父と、車いすの息子。
凸凹親子が挑むのは、最も過酷なトライアスロン最高峰"アイアンマンレース"!

 

イヴ・サンローラン 』Yves Saint Laurent

監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ、シャルロット・ルボン、ローラ・スメット
2014/フランス/106分/シネマスコープ/5.1ch
配給:KADOKAWA
*2014年9月6日(土)より、角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズ他 全国ロードショー
© WY productions - SND - Cinéfrance 1888 - Herodiade - Umedia
<受賞歴>
2014年ベルリン国際映画祭 パノラマ部門オープニング作品

今年、創刊25周年を迎えるインターナショナルな女性誌「ELLE JAPON」は、"モード界の帝王"の「光と影」に迫るファッショナブルな話題作をお届けします。
時代を変えた、伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。
華麗なるキャリアを築いた人生の喝采と孤独を描いた感動作

 

ジェロニモ ― 愛と灼熱のリズム 』Geronimo

監督:トニー・ガトリフ
出演:セリーヌ・サレット、ラシッド・ユセフ、ダヴィッド・ミュルジア
2014/フランス/104分/シネマスコープ/5.1ch
© Film du Losange
<受賞歴>
2014年 カンヌ国際映画祭 特別招待作品

トニー・ガトリフ流『ロミオとジュリエット』『ウエスト•サイド•ストーリー』!
エネルギーあふれる恋愛劇をフランス公開にさきがけて上映!

 

友よ、さらばと言おう 』Mea Culpa

監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ヴァンサン・ランドン、ジル・ルルーシュ
2014/フランス/90分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給:ブロードメディア・スタジオ
*2014年8月1日(金)より、新宿武蔵野館他 全国順次ロードショー
© Thomas Brémond © copyright Gaumont - LGM Cinéma

『すべて彼女のために』『この愛のために撃て』のフレッド・カヴァイエ最新作。
二人の刑事が過去と向き合いながら、家族を守るために激走する。

 

 『俳優探偵ジャン』Je fais le mort

監督:ジャン=ポール・サロメ
出演:フランソワ・ダミアン、ジェラルディン・ナカシュ、リュシアン・ジャン=バティスト
2013/フランス、ベルギー/105分/ビスタ/5.1ch
© Diaphana Films

フランソワ・ダミアン(『タンゴ・リブレ』)とジェラルディン・ナカシュ(『プレイヤー』)の絶妙なかけあいでおくる、ジャン=ポール・サロメ監督初のコメディ!

  

2つの秋、3つの冬 』2 automnes, 3 hivers

監督: セバスチャン・ベベデール
出演: ヴァンサン・マケーニュ、モード・ウィラー、バスティアン・ブイヨン、オドレイ・バスティアン
2013/フランス/90分/スタンダード/5.1ch

<受賞歴>
2013年 トリノ国際映画祭 審査員特別賞
2013年 Cinessonne(エソンヌ県ヨーロッパ映画祭) 観客賞

フレンチ・ニュー・ウェーヴの傑作!
注目度NO.1の若手俳優V・マケーニュ(『女っ気なし』)が期待通りの好演!

『素顔のルル』Lulu, femme nue

監督:ソルヴェイグ・アンスパック
出演:カリン・ヴィアール、ブリ・ラネール、クロード・ジャンサック
2013/フランス/87分/シネマスコープ/5.1ch
<受賞歴>
2013年サルラ映画祭(フランス) 女優賞
 © Isabelle Razavet - Arturo Mio

スザンヌ 』Suzanne

監督:カテル・キレヴェレ
出演:サラ・フォレスティエ、フランソワ・ダミアン、アデル・エネル
2013/フランス/94分/ビスタ/5.1ch
『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュ監督が『身をかわして』で見出した若き才能、サラ・フォレスティエの演技が見るものを魅了する

 

 

0627-k-550.jpg『フランス映画祭2014』記者会見

2014年6月27日(金)東京有楽町・朝日ホールにて、オープニングセレモニー先立ち記者会見が行われ、今年の映画祭の見所やフランス映画の傾向について語られた。

【出席者】

  • ユニフランス会長:ジャン=ポール・サロメ(『俳優探偵ジャン』の監督)
  • ユニフランス代表:イザベル・ジョルダーノ
  • トニー・ガトリフ団長(『ジェロニモ-愛と灼熱のリズム』監督)
  • セバスチャン・ベベデール(『2つの秋、3つの冬』監督)
  • マルク・フィトゥシ(『間奏曲はパリで』監督) (大阪・京都でもトークショーの予定)

 0627-k-2.jpg【ユニフランス会長:ジャン=ポール・サロメ氏】
「今年もフランス映画祭を開催することができることを誇らしく思うと同時に、多才なゲストと共に来日できることを本当に嬉しく思います。日本は世界の中でもフランス映画の良さを理解し好んで見て下さる国です。年間50作品ほど公開されています。」と日本が映画市場としても大きな国だと述べた。それも、邦画の興行成績が良く、映画館の維持が出来ているからだとも、日本の映画産業の貢献を讃えた。「自国の文化が高いからこそ、外国の門戸が開かれるのです」。サロメ氏の監督作品『俳優探偵ジャン』も本映画祭で上映される。

0627-k-1.jpg【ユニフランス代表:イザベル・ジョルダーノ氏】
15年間ジャーナリストとして活躍して来られたイザベル・ジョルダーノさんによると、フランス映画は近年順調に推移しており、興行収入は年平均3億ユーロで、フランス以外の観客動員数は年間500万人以上あるという。特に、2012年は『最強のふたり』や『アーティスト』が大ヒットして、素晴らしい成績を収めることができた。この5年でカンヌ映画祭のパルムドール3つとアカデミー賞2つを獲得し、順調に高い評価を得てきた。フランス映画の知名度調査をしたところ、アラン・ドロンやカトリーヌ・ドヌーヴなどのベテラン勢だけでなく、新しい世代の人気も上昇してきている。ちなみに、イザベルさんは北野武監督にインタビューできたことが一番嬉しかったと語った。

続いて、「皆様に素晴らしいプレゼントを用意しました」とゲスト監督の紹介をしてくれた。今年の団長でもあるトニー・ガトリフ監督については「自由に才能を開花させている」と、マルク・フィトゥシ監督については「フランス人の多くの人がそうであるように、イザベル・ユペールに恋して映画を作っている」と、そしてセバスチャン・べべデール監督については「新しい世代の代表で、よく扱われるテーマである恋心や微妙な心情の関係性など、若者の感性は日本の皆様にも共感して頂けるのではないかと思います」。

【トニー・ガトリフ団長】
「フランスを代表して来日できて嬉しいです。私はフランス映画を見て育ち、こうして監督になりました。今また若い才能が育ってきているのを見て、これからもフランス映画に大変期待を持っております」。トニー・ガトリフ団長の監督作『ジェロニモ-愛と灼熱のリズム』を上映。

【セバスチャン・ベベデール監督】
「フランス映画祭の代表団の一員として来日できて、本当に嬉しいです。小津安二郎監督や是枝裕和監督が好きです。フランス映画も日本映画も私にとっては重要な映画人です」。セバスチャン・ベベデール監督作『2つの秋、3つの冬』を上映。

【マルク・フィトゥシ監督】
「私も来日できて本当に嬉しいです。今年この映画祭に選ばれた作品は、幅広いジャンルを網羅し、質の高い、海外で紹介する価値のあるものばかりです。コメディを日本の皆様がどのように受け止めて下さるのか、リアクションを見るのが楽しみです」。マルク・フィトゥシ監督作『間奏曲はパリで』を上映。


 ――― 今年はなぜ女優や男優のゲストが少ないのですか?
サロメ氏:昨年は豪華キャストでしたが、毎年は揃えるのは難しいです。男優も女優もスケジュールの関係で来日できないことが多いのですが、来年はまた頑張ってオファーしてみます。今年も一所懸命オファーかけたのですが…その代わり、女性監督をはじめ、いろんな世代の多才な監督に来てもらいましたので、新しいクリエイターたちにフォーカスして見て頂きたいです。

――― 開催時期ははやり6月ですか?
ジョルダーノ氏:秋の東京国際映画祭でもフランス映画を紹介して頂けることになりましたので、時期的にもカンヌ国際映画祭とトロント国際映画祭の中間ということで、6月開催の予定です。

――― 暴力シーンの表現について?
0627-k-4.jpgガトリフ監督:フランス映画は暴力的なものばかりではありません。人道主義的なものや多様な民族を扱った作品もあります。フランスは多様な民族がある分、言語や文化を大切にしています。戦争や暴力よりもっと語るべきことがあるのです。暴力シーンがカッコ良く美しく見えてしまい、人の心を惹きつけてしまうのは危険なことだと思います。私は暴力を無視することはないが、音楽や踊りで表現するようにしています。暴力と距離を置いて表現したい。
 

0627-k-3.jpgベベデール監督:暴力は、多くの監督が関心のある題材ですが、私の作品では直接ではなく潜在的に描いています。例えば、経済的に闘っている人々とか…30代の若者がこの経済戦争の中、レジスタンスのように闘いながら生きている様子を描いています。本物の戦争ほど大変ではありませんが、何とか抵抗している若者を描いているのです。


 

0627-k-5.jpgフィトゥシ監督:暴力はスペクタクル的に美化して見せるものではないと思います。『素顔のルル』では家庭内暴力を描いていますが、直接描かなくても成功しています。私の監督作『間奏曲はパリで』では、わざと争うシーンを見せずに、紛争を解決する優しさを挑発的に描いています。

ガトリフ監督:暴力という意味では、インターネットの方が悪影響を与えています。映画は全く違うテクチャーで表現しているので、むしろ人間性を高めるためのもの。映画は、もっと優しい人間性と寛容さがあることを表現すべきです。

(河田 真喜子)

 

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