「中国」と一致するもの

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ヒューゴー賞受賞SF小説「三体」原作者による同名短編小説を基に豪華キャストで映画化した『流転の地球 -太陽系脱出計画-』が、3月22日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開となります。

ウー・ジン、アンディ・ラウら中国豪華キャストが集結!


流転の地球0-sub1.jpg本国でシリーズ累計2千万部を超える超ベストセラーとなり、SF界のノーベル文学賞と呼ばれるヒューゴー賞をアジア人として初受賞した、今春Netflixドラマシリーズが配信されるSF小説「三体」。その原作者リウ・ツーシンによる同名短編小説を基に、中国映画界が誇る才能を結集して映像化。
 

圧倒的なスケール感、精緻な映像美と、練り込まれたストーリー

ハリウッドをも唸らせた、メガヒット中国SF超大作が日本上陸!


流転の地球0-sub2.jpg精緻な映像美で描かれる練り込まれたストーリーに、ドラマティックに描かれるさまざまな人間模様。さらに圧倒的なスケール感で繰り広げられるパニック描写など、3.2億元(約65億円)の製作費を費やし、ハリウッド大作も圧倒する究極のSFエンタテインメント超大作が誕生した。中国本土で初登場第一位に輝き、興収40億2900万元(約815億円)を突破し、歴代興行収入ベストテン入りを果たすメガヒットを記録! さらに、北米でも大ヒットとなり、世界興収は約6億米ドル。第96回アカデミー賞国際長編映画賞中国代表作品選出され、すでにシリーズ3作目の製作も決定するなど、社会現象となっている。
 


【グオ・ファン監督インタビュー】


――監督が続編ではなくエピソード0を描くことにした理由とは?

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前作『流転の地球』は中国初のブロックチェーンSF映画として2019年春節シーズンに公開された。続編を製作することになったグオ監督は、続編のプロットとして物語の続きを描くのではなく、「前日譚」を描くことを選択した。その理由に『流転の地球』では物語の世界観や背景、登場人物たちがどんな経験をしてきたのかを描写するエピソードが不十分であったこと、そして多くの観客がウー・ジン演じる主人公の宇宙飛行士リウ・ペイチアンの復活を望んでいたことを挙げている。


――ウー・ジンは前作の製作に全財産を投じた監督のため、ノーギャラで出演するだけでなく、自ら出資するなど、全力で映画を支援。

グオ監督は、そんなウー・ジンに対し、「『流転の地球 -太陽系脱出計画-』の製作は、前作でのウー・ジンの献身に対する製作陣の感謝の表れだ。ウー・ジンは撮影時、数えきれないほどの無私の支援を提供してくれた。だから私も彼を続編に登場させるべきだと思った。しかし『流転の地球』での結末から考え、リウ・ペイチャンを復活させることは明らかにナンセンスで、そうはしたくなかった。そこで物語の続きではなく、エピソード0を描くことにした」と語っている。


流転の地球0-sub3.jpg――『流転の地球 -太陽系脱出計画-』は、人類が過去の不和を乗り越えて地球連合政府を結成し、地球を太陽系から移動させる「移山計画」を実行していく過程を描いている。

宇宙での新天地を探して家族と共に別の恒星に向かって旅立つ『流浪の地球』のプロットとは異なり、本作では登場人物たちの内面への探求を主題としている。


現在『流転の地球』はNetflixにて放送されているが、前作を観ずとも前日譚『流転の地球 -太陽系脱出計画-』を観ても全く問題ないどころか、本作を観てから前作『流転の地球』を観たほうがより楽しめそうだ。
 


<STORY> 
そう遠くない未来に起こりえる太陽系消滅に備え、地球連合政府による1万基に及ぶロケットエンジンを使って、地球を太陽系から離脱させる巨大プロジェクト「移山計画」が始動!人類存亡の危機を目前に、各国の思惑や、内紛、争いが相次ぐ中、自らの危険を顧みず立ち向かった人々がいた。亡き妻への想いを胸に、宇宙へと旅立つ飛行士・リウ(ウー・ジン)。禁断のデジタル技術によって、事故死した娘を蘇らせようとする量子科学研究者・トゥー(アンディ・ラウ)。そして、大きな決断を迫られる連合政府の中国代表・ジョウ(リー・シュエチェン)。多くの犠牲を払いながら、地球と人類の存亡、そして希望を懸けた最終作戦が始まった!


監督:グオ・ファン(「流転の地球」) 製作総指揮・原作:リウ・ツーシン
出演:ウー・ジン、アンディ・ラウ、リー・シュエチェン、シャー・イー、ニン・リー、ワン・ジー、シュ・ヤンマンツー
2023年/中国/中国語・英語/173分/カラー/シネスコ/5.1ch/DCP/
原題:流浪地球2/英題:THE WANDERING EARTH Ⅱ/字幕翻訳:神部明世/字幕監修:大森望
配給:ツイン  
公式サイト:https://rutennochikyu.jp/
COPY RIGHT©2023 G!FILM STUDIO [BEIJING] CO., LTD AND CHINA FILM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

2024年3月22日(金)より、TOHOシネマズ日比谷、大阪ステーションシティシネマほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

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 第19回大阪アジアン映画祭は、3月1日から10日間の上映を終えて閉幕し、最終日の10日に授賞式が行われた。見事グランプリに輝いたのは、モンゴル映画の『シティ・オブ・ウインド』。台湾映画『サリー』(リエン・ジエンホン監督)が来るべき才能賞とABC賞の2冠を獲得、尼崎を舞台にした日本映画『あまろっく』(中村和宏監督)が観客賞を獲得した。全ての授賞結果と授賞理由をご紹介したい。
 
★グランプリ(最優秀作品賞)
『シティ・オブ・ウインド』(City of Wind)|フランス・モンゴル・ドイツ・ポルトガル・オランダ・カタール|監督: ラグワドォラム・プレブオチル(Lkhagvadulam Purev-Ochir)
 
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<授賞理由>
青春映画というジャンルの枠組みでグランプリを受賞した本作は、私たちが見たことのない世界を照らし出し、スピリチュアリティや世代間の対立といった問題を、巧みさと自信に満ちた手腕で描き出す。この映画は、主人公の成長を繊細に描きつつ、啓示的な演技を中心に据えている。
 
★来るべき才能賞
リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)|台湾|『サリー』(Salli/莎莉)監督
<授賞理由>
リエン・ジエンホン監督は、予想だにしなかった展開とひねりを加えつつも、過去の偉大なキャラクター主導型コメディを彷彿とさせる素晴らしい創作力を発揮した。思い出の場所や人物を散りばめた卓越した脚本で、心からの感動と大爆笑コメディを両立させるテクニックを披露したリエン監督の次回作を大いに期待する。
 
★ABC テレビ賞
『サリー』(Salli/莎莉)| 台湾・フランス | 監督: リエン・ジエンホン(LIEN Chien Hung/練建宏)
<授賞理由>
とてもほっこりした気持ちにさせる映画です。パリへと渡る主人公の葛藤もうまく描けていますし、家族や友人との触れ合いも暖かく、読後感が大変良いです。なにより、ニワトリが可愛い!
 
★薬師真珠賞
チー・ユン (CHI Yun/池韵)|オーストラリア・中国|『未来の魂』(Unborn Soul/渡)主演俳優
<授賞理由>
チー・ユン(池韵)という俳優が存在したからこそ『未来の魂』は生み出された。そして彼女の繊細で深みのある演技が、観客の魂を最初から最後まで揺さぶりつづけた。
 
★JAPAN CUTS Award
『カオルの葬式』(Performing KAORU’s Funeral)| 日本・スペイン・シンガポール | 監督: 湯浅典子(YUASA Noriko)
<授賞理由>
『カオルの葬式』はある家族の葬儀の場で起きる赤裸々な感情のぶつかりを見事に捉えたホームドラマである。タガの外れた演技の完璧な掛け合いが、パーカッションのリズムが心地よいサウンドトラックと勢いのいい編集と相まって、家族の機能不全を面白くも切なく描いたダークコメディに仕上がっている。
 
★JAPAN CUTS Award スペシャル・メンション
『ブルーイマジン』(Blue Imagine) | 日本・フィリピン・シンガポール | 監督: 松林麗
(MATSUBAYASHI Urara)
<授賞理由>
松林麗の力強くて誠実な初監督作である『ブルーイマジン』は私たちが生きる現在の証であり、そのメッセージにおいて緊急性を、そのアプローチにおいて癒しを感じさせる。現代文化に蔓延るセクハラや虐待に大胆に立ち向かう一方で、団結のレジリエンス(回復力)を指し示している。
 
★芳泉短編賞
『シャングリラに逗留』(Sojourn to Shangri-la/是日訪古) | 中国 | 監督: リン・イーハン (LIN Yihan/林詣涵)
<授賞理由>
強烈なイメージの魅力で観客の心を掴んで離さない物語は、一連のマジカルな展開に続く導火線に火をつけ、特に驚くほどパワフルな後半で映画的衝撃をもたらす。『シャングリラに逗留』は見る者すべてに驚きを与え、それは監督の映画づくりの成功と言える。
 
★芳泉短編賞スペシャル・メンション
『オン・ア・ボート』(On a Boat)| 日本 |監督: ヘソ (Heso)
<授賞理由>
結婚と人間関係をテーマに真摯に向き合った本作で、ヘソ監督は力強い演出力と緻密に計算されたテクニックで完成度の高い作品に仕上げ、確固たる才能を印象付けた。
 
『スウィート・ライム』(Sweet Lime)| 香港・イギリス |監督: ファティマ・アブドゥルカリム (Fatema
ABDOOLCARIM)
<授賞理由>
子供であること、大人であること、そして女性であることについての重要な物語を、映画制作の高い能力をもって表現した。アブドゥリカリム監督自身のコミュニティに対する貴重な洞察であり、家父長制文化に抑圧される女性たちへのリアリズムに基づいた観察でもある。
 
★観客賞
『あまろっく』(Amalock)|日本|監督:中村和宏(NAKAMURA Kazuhiro)
 
登壇者(敬称略。右から)
デイヴ・ボイル(コンペティション部門審査委員)Dave BOYLE
村田敦子(コンペティション部門審査委員)MURATA Atsuko
アンガ・ドウィマス・サソンコ(コンペティション部門審査委員)
湯浅典子(『カオルの葬式』監督)
ヘソ(『オン・ア・ボート』監督)
リエン・ジエンホン(『サリー』監督)
ステファニー・アリアン(『ブルーイマジン』出演)
チー・ユン(『未来の魂』主演俳優)
ファティマ・アブドゥルカリム(『スウィート・ライム』監督)
中村和宏(『あまろっく 』監督)
板井昭浩(朝日放送テレビ株式会社コンテンツプロデュース局制作部)
薬師悠一郎(株式会社薬師真珠)
靜敬太郎(公益財団法人芳泉文化財団理事長)
上倉庸敬(大阪映像文化振興事業実行委員会委員長)
 
第19回大阪アジアン映画祭公式サイト https://oaff.jp 
 

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◆日時:2月2日(金) 18:30〜19:00

場所:T・ジョイ梅田(大阪府大阪市北区梅田1丁目12−6 E-MA ビル 7F)

登壇者:文音、松村沙友理、光岡麦監督  MC:遠藤淳
 


 

台本なしの全編アドリブのミステリー映画!?

“呪いの血”が招く殺人事件の予測不能な推理劇

 

「マーダーミステリー」という参加者が推理小説の登場人物となり話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの新ジャンルが中国で始まり、日本でもリアル、ネットを問わず多くのイベントが開催され、「リアル脱出ゲーム」や「人狼ゲーム」に続く次世代の体験型ゲームと言われている。朝日放送テレビにて 2021 年 3 月、ストーリーテラーに劇団ひとりを迎え「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」としてドラマ化され、その劇場版が2月16日より全国にて公開される。


madamisu-pos.jpg今までにない俳優による緊張感のある即興劇(アドリブ)と先の読めない展開が話題となり、今回豪華俳優陣による誰も知らない結末が待つミステリー映画が完成。探偵・斑目瑞男を演じる劇団ひとりや斑目の助手役の剛力彩芽をはじめ、全員が容疑者となる木村了、犬飼貴丈、文音、北原里英、松村沙友理に、八嶋智人、高橋克典などのベテラン勢も出演。


この度、富豪の後妻となりお邸の女主人を演じた文音と、そのメイド役の松村沙友理、そしてマーダーミステリー映像化の第一人者である光岡麦監督が先行上映会にて舞台挨拶に登壇し、映画の見所や撮影秘話について語ってくれた。松村沙友理と光岡麦監督は大阪出身ということもあり、関西弁でざっくばらんにトーク。パワフルで本音でトークする大阪の人が好きだという文音も、ほぼアドリブで展開していく現場に戸惑いながらもミステリー劇の面白さについて語ってくれた。
 


〈詳細は以下の通り〉

――いよいよ2月16日から公開されますが、今のお気持ちは?

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文音:ミステリー映画ではありますが、コメディー要素も多分にありますので、我慢せずに声に出して笑って楽しんで頂きたいと思います。

松村:撮影中はどんな作品になるのか全く想像つかなかったのですが、映画として斬新で凄く面白いなと感激しました。皆さんにも楽しんで頂ければと思います。

――新しい感覚の映画ということですが、監督は?

松村:(いきなり)天才監督!…言うときましたよ(笑)

光岡監督:すべてアドリブの映画ってあんまりないですし、皆さんも演じたことないと思いますので、新しい感覚の映画だと思います。


――そのお笑いに厳しい大阪ですが、皆さんにとっての大阪の印象は?

松村:私は大阪出身ですが、来る度に街が綺麗になっていってる感じがして、パリみたい!?

――パリ?どの辺が?

松村:大阪駅の辺りとか、ロンドンみたいだと思いません?ええ?褒め過ぎ?大阪のこと好き過ぎてそう見えてんのかな…(笑)

文音:ニューヨークに2年間演劇留学していたんですが、その時日本人の方とも仲良くなっていって、大阪の方は精神力と根性が凄いので、東京出身の友達がどんどん日本に帰っていく中、大阪の友達はずっとニューヨークにいたんですよ。大阪の人はパワフルなイメージが強いです。大阪の人は気持ちを包み隠さず言ってくるし、嘘がなく気持ちいいので大阪の友達が多いです。そういう人好きです!

――でも、最後は「知らんけど」が付きますけどね(笑)

文音:はい、そんなイメージです。

――パリ・ニューヨークと来て、監督は?

光岡監督:僕はずっと大阪なんで、今も大阪に住んでます。この映画館も学生の頃からよく来てました、ADの頃にも…。


madamisu-bu-di-240-1.jpg――光岡監督は本業はTV制作に携わっておられるんですよね?今回映画監督になられた感想は?

光岡監督:映画監督なんて僕らTVの人間にとっては憧れですからね、雲の上のような存在なんで、いまフワフワしてます。まだ映画監督なんて言い切れるもんじゃないんで…(笑)


――新感覚の全編アドリブ演技ということですが、現場の雰囲気は?

文音:まず一人一台の車が付き、アドバイザーが各自一人付いてるんです。まるで監視役みたいで、俳優同士が会話をしないようにと隔離状態でしたので、緊張感が凄かったよね。

光岡監督:人物設定書はあらかじめお渡ししていたのですが、「あの時こうだったよね」などと皆さんで話し合わないで下さいね、と横の会話もないようにバラバラで居てもらいました。嫌な空気だったと思います。

文音:普通、最初にご挨拶するのですが、それもなくいきなり「ヨウイ、スタート!」と撮影に入りましたので、それはもう緊張感のある現場でした。


――クランクアップまでずっと我慢されてたんですか?

松村:ず~っと人を疑ってました(笑)スタッフさんさえ疑ってました。アドリブで進められるので、その内スタッフが「実は僕が…」なんて言い出しかねない雰囲気でしたね。終いには自分のマネージャーも疑ってしまいました(笑)

――そういうキャストの表情は監督にはどう映っていたのですか?

光岡監督:皆さん人間不信になっておられたようでした。私に何か聞きたそうだな~という時でも、無視してました。どんどん嫌われていってるようでしたね。


madamisu-bu-matsumura-240-2.jpg――スタートからゴールまで先の読めない展開ですが、最も苦労した点は?

文音:全部が苦労でした!やはり終盤になって犯人が判明しつつある頃に頭の中がぐちゃぐちゃっになっていったので、その頃が精神的なピークを迎えてましたね。

松村:いろんなヒントやアイテムが提示されるのですが、それらを覚えるのに必死でした。それから次から次へといろんな事が起きるので、状況を覚えるのも大変でした。

――監督は要所要所でエッセンスを落としていくという作業だったのですか?

光岡監督:台本はないけど、事件のあらましはあったので、証拠的アイテムをその都度提示していき、後は俳優さんたちにお任せでした。その証拠をどう扱って、どう盛り上がって、誰が怪しまれていくのか、僕らも全然想定できなくて、多分皆さん探り探りしながら始まったと思いますが…。

文音:最初の私の声なんて、めちゃめちゃ小さくて!自信なくて…(笑)

光岡監督:難しやろな~やりにくいやろな~と思いながら撮っていったんですが、エンディングまでお任せなんで、どうなるんやろ?ほぼムチャぶりで、「皆さんでオチつけて下さい」と投げてましたが、次第にチームワークが築かれていったようでしたよ。

文音:最後は芝居を創り上げた一体感は凄く出ていたと思います。

光岡監督:皆さんのお陰です!それに尽きます。


――完成版を観た感想は?

文音:キャラクターのバックグラウンドが完成されて初めて分かったことが沢山あるので、2回観て理解することもありました。現場には10カメ(10台のカメラ)あったんですよ。そんな現場なんてないですから、編集も大変だったのでは?

松村:凄いです。天才!(笑)

光岡監督:(確信犯のように)言わせてますね(笑)

松村:演じてる時は、「これほんまに作品になるんかな?」と思っていたら、ちゃんと面白い作品に仕上げて下さって、やっぱ凄い!って思いました。


madamisu-bu-500-3.jpg――文音さんと松村さんは、使われなかったシーンとかありましたか?

文音:それすら忘れてる~(笑)完成作を観て、少しずつ思い出したくらいですからね。

松村:カットされてるというより、思ったより喋ってない自分の顔が使われていて、それが興味深かったです。皆さんの細かい表情も使われていてびっくりしましたね。


――劇団ひとりさんとの共演は大変だったのでは?

光岡監督:ネタバレになるのであまり言えませんが、松村さんが劇団ひとりさんに追い詰められてましたね…。

松村:あまり覚えてないのですが、リベートのように言い合ったのは面白かったような…負けたくない!という気持ちで…、

文音:さすが関西人!(笑)

松村:負けたくない!勝ちたい!と根性でバトルしてました(笑)

文音:劇団ひとりさんがめちゃくちゃ暴れるので、笑うのを堪えるのに必死でした。役を超えて自分自身が出てしまうところもあるので、それも見所の一つではないかと思います。

光岡監督:笑ってる部分もカットできなかったので、そのまま写ってます(笑)


madamisu-500-1.jpg――文音さんと松村さんのお互いの印象は?

文音:撮影中はあまり喋れなかったので…でも今日一日ずっと一緒にいて、メチャ可愛らしくて、朝からの取材で段々と疲れていくのがわかって、ありのままが可愛い女優さんだなぁと。ファーストカットから緊張してたのか、目がうるうるしていて、「なんて純粋な娘(こ)なんだろう」と思いました。

松村:文音さんは現場にいらっしゃった時からオーラというか存在感が凄くて、お屋敷の女主人としての立ち居振る舞いが素晴らし過ぎて!それにあのドレス似合う人、他にいませんよ!

文音:あれは監督と決めたんです。いくつかパターンがあったのですが、一番派手なドレスを選んだんです。

光岡監督:はい、満場一致で(笑)

松村:私はメイド役だったので文音さんの後に立つことが多かったのですが、めっちゃ文音さんの背中を見てました。「きれ~いっ!」(笑)


madamisu-bu-500-1.jpg――最後のご挨拶。

文音:この映画は台本がなく、私たちもそんな映画はやったことがないのですが、役柄なのか俳優の素なのかその狭間に新しい何かを見つけてお楽しみ頂ければ嬉しいです。

松村:撮影中はどんな映画になるのか分かりませんでした。皆さんもどこまでがアドリブなのかと不思議に思われるかも知れませんが、殆どアドリブですので驚いて頂けたら嬉しいです。1回だけでなく、2回3回観て頂ければより楽しめると思います。よろしくお願いいたします。

光岡監督:役者さんたちの力の凄さを感じたくてこの作品を企画したのですが、台本がないからこそ、役者さんたちの素のスピードやチカラや迫力を感じながら観て楽しんで頂けたらと思います。本日はどうもありがとうございました。
 


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殺された少女の怨念か、「三つ首祭り」の夜に起きた連続殺人事件。

【ストーリー】
舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という不気味な鬼祭が行われた夜、村の長を務める一乗寺家当主が何者かに殺される。

その夜一条寺家に集まった7人に加え、祭りの最中村をうろついていた不審人物(劇団ひとり)が乱入し、犯人捜しが始まる。豪雨のため警察は来ない中、さらに殺人が……。次第にそれぞれの秘密が暴露され、殺害の動機を持つ容疑者は増えるばかり…誰が何のために殺したのか?

 

・監督:光岡麦 ・シナリオ構成:渡邊仁 ・企画:安井一成
・出演:劇団ひとり、剛力彩芽、木村了、犬飼貴丈、文音、北原里英 松村沙友理 堀田眞三/八嶋智人 高橋克典
・2024年製作/103分/G/日本
・宣伝・配給:アイエスフィールド ・配給協力:ショウゲート
・© 2024 劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

【公式 HP】 https://madarame-misuo.com/

【公式 X】 https://twitter.com/MadarameMisuo (アカウント: @MadarameMisuo)
 

2024年2月16日(金)~T・ジョイ梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド 他全国ロードショー


(河田 真喜子)

 
 

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日時:1月26日(金) 16時40分の回上映後(18時31分頃から)

場所:新宿武蔵野館 スクリーン1(新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)

登壇者:アンソニー・ウォン(黄秋生/62)

聞き手:江戸木純



hakujituseishun-pos.jpg香港の名優アンソニー・ウォンが主演し、香港に住む難民の少年と心を通わす姿を描く、感動のヒューマンドラマ『白日青春-生きてこそ-』が公開中です。


本作では、『インファナル・アフェア』(2002)『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(2008)『淪落の人』(2018)等に出演する香港を代表する名優アンソニー・ウォンがワケあって息子と距離のある孤独なタクシー運転手チャン・バクヤッ(陳白日)を演じ、台湾の第59回金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞している。


このベテランの大スターを相手に堂々とした芝居をしたのが、本作が初めての映画出演となるパキスタン出身で香港在住の少年サハル・ザマン。難民申請をしたパキスタン人の両親の下、香港で生まれた少年ハッサン(香港名:莫青春(モク・チンチョン))役を演じ、第41回香港電影金像奨最優秀新人俳優賞を10歳で獲得している。

この度、公開を記念して主演を務めたアンソニー・ウォン(黄秋生)登壇の初日舞台挨拶を実施いたしました。
 



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「金馬奨で僕が受賞した時は、サハル(子役)を連れて壇上に上がったのに、彼が金像奨を受賞した時には、壇上に連れて行ってくれなかったんだ(笑)」

香港の名優アンソニー・ウォン、5年ぶりに来日、初日舞台挨拶行われる!

 

アンソニー・ウォンが登壇する貴重な舞台あいさつということもあり、この日の上映は満員。映画上映後、映画の余韻に浸っていた観客の前に立ったアンソニーは日本語で「コンバンワ!」とご機嫌にあいさつ。そして「まずこの場を借りて、皆さまにお礼を言いたいと思います。今日はわざわざ『白日青春-生きてこそ-』を観に来てくださいまして本当にありがとうございます」と観客に謝辞を述べた。


hakujituseishun-bu-240-2.jpg孤独なタクシー運転手と難民の少年の交流を描き出した本作になぜ出演することとなったのか。その質問を受けたアンソニーは「実はこの映画は、(アンソニーの前作で、高い評価を受けた)『淪落の人』と同じ制作会社がつくった作品なんです。彼らとは以前に一緒に仕事をしていて、とても信頼できる人たちだと思っていたので。彼らから『こういう新人の監督がいて、こういう脚本があるんですが』とオファーがあって。それで脚本の話をするようになったんです。ちょうどその頃はコロナの時期で、暇だったということもあり、自分としてもこれ以上、映画に出ないということになると、もう演技ができなくなるんじゃないかという心配もあって。それで話に応じたということです」とその経緯を説明。その後、監督と脚本について話し合いを持ったとのことだが、「監督は本当に礼儀正しい人で。一緒に仕事をするにも申し分のない人だった」と振り返った。


アンソニーが演じるバクヤッは、いろいろな悩みを抱えた複雑なキャラクター。そんな役を演じるにあたり、「この映画で注意しなければいけなかったことは、考えすぎないということ。例えばブルース・リーだと、相手を一発で倒しますよね。でも倒す前にあれこれと余計なカンフーを見せたりする、ということはしないと思うんです。だから自分も同じようにして撮影に挑んだ」という。


hakujituseishun-bu-240-1.jpgまた、本作の撮影現場について「とても和やかな感じでした」と振り返ったアンソニーは、「実際の共演相手は3人。その中に(主人公が交流を深める難民の少年役の)サハル(Sahal)がいたわけですが、実は広東語で“天ぷら(Za ha)”という意味だったんです。だから彼のことを“天ぷら”という愛称で呼んでいました。彼とはゲームをやったりとひたすら遊びましたし、時には子どもが歌っちゃいけない歌を教えたりもしたんです」とちゃめっ気たっぷりに告白し、会場を沸かせた。


そして司会者からのいくつかの質問を受けた後は、アンソニーのたっての希望により、会場の観客からの質問を受け付けることに。最初に観客に向けて「これから皆さんに質問をしてもらうわけですが、条件があります。質問をした方は、家に帰ってから10人の友だちにチケットを買ってもらって、お客さんを劇場まで呼び込んでください。それができない人は質問しちゃダメですよ」と冗談めかして会場を沸かせたアンソニー。


hakuseishun-500-1.jpg本作は第59回台湾金馬奨で、アンソニーが最優秀主演男優賞を獲得。さらに第41回香港電影金像奨では、サハル・ザマンが最優秀新人賞に輝いている。そのことを踏まえてひとりの観客からは「台湾金馬奨の授賞式で二人(アンソニーとサハル)が一緒に立っている様子が印象的でした。その時のお気持ちをお聞かせください」という質問が。


それに対してアンソニーは「実は台湾金馬奨では、天ぷらくん(サハル)も新人賞にノミネートされていたんですけど、彼は受賞を逃してしまって。泣いていたんです。その後、自分の番になって受賞することができたわけです。その時は何も考えていなかったけど、直感として、小さい子どもが盛大な授賞式に参加するのは、人生で1度か2度あるかどうかだろうと。せっかくだから彼も壇上に連れて、その気分を味わってもらおうと思ったわけです。続く香港電影金像奨では彼が新人賞をとることになったんですけど、彼が受賞した時は僕をステージに連れてあがらなかったんですよね」とジョークを交えながら、当時の様子を振り返ると、会場は大笑い。香港映画界のスターながら、気さくな人柄で観客を魅了し続けたアンソニーだった。
 


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【STORY】

香港は難民の国際中継地であり、毎年、数千人の難民がこの街で政府の承認を待っている。この長いプロセスには10年以上かかることもある。ハッサンはパキスタンから香港にやって来た両親の下に生まれ、香港で育ったが、自分の将来がここには絶対にないことを知っていた。彼の唯一の夢は家族とともにカナダに移住すること。だが、突然の交通事故で父親が命を落としてしまい、彼の夢も打ち砕かれた。

チャン・バクヤッ(陳白日)は1970年代に中国から香港に密入境し、現在はタクシー運転手として働いている。香港で警察官になった息子のチャン・ホン(陳康)とは、あまりうまくいっていない。父親を失ったハッサンは、難民で構成されたギャングに加わるしかなかったが、警察によるギャング対策に巻き込まれ、追われる身となってしまう。バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、二人の間には絆が芽生え始める。しかしハッサンは、バクヤッが父親の死亡した事故を引き起こした運転手であることを知る。ハッサンとバクヤッの関係、そして逃避行はどうなるのか…。


監督・脚本:ラウ・コックルイ 撮影監督:リョン・ミンカイ
プロデューサー: ヴィーノッド・セクハー(Vinod Sekhar) ソイ・チェン(鄭保瑞) ウィニー・ツァン(曾麗芬) ピーター・ヤム (任硯聰)
出演:アンソニー・ウォン サハル・ザマン エンディ・チョウ インダージート・シン キランジート・ギル 
2022年/香港・シンガポール/広東語・ウルドゥ語/カラー/DCP/シネマスコープ/ステレオ/111分
原題:白日青春/英題:The Sunny Side of the Street
日本語字幕:橋本裕充/字幕協力:大阪アジアン映画祭/PG12
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
PETRA Films Pte Ltd © 2022

公式サイト: https://hs-ikite-movie.musashino-k.jp

X:@hs_ikite_movie

2024年1月26日(金)~新宿シネマカリテ、なんばパークスシネマ、MOVIXあまがさき、3月15日(金)~京都シネマ、順次~神戸元町映画館 他全国順次公開


(オフィシャル・レポートより) 

 

 

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今年は日中平和友好条約締結45周年という記念すべき年です。この素晴らしい一年を祝賀し、日中映画交流をより一層盛り上げるべく、日中映画祭実行委員会は昨年につづき、10月26日(木)から11月1日(水)まで第2回「大阪・中国映画週間」をTOHOシネマズ梅田にて開催いたします。


china2023-relie.jpg上映ラインナップは、今年の東京国際映画祭でジャパンプレミア上映される中国の巨匠チャン・イーモウ監督作『満江紅(マンジャンホン)』、10年前に訪れた長江沿いで暮らす人々の生活を追った、元NHKドキュメンタリーディレクターの竹内亮が手掛けた『再会長江』、中国のトップ俳優ホアン・ボー(黄渤)とワン・イーボー(王一博)が初共演&ダブル主演で贈るサクセスストーリー『熱烈』、映画を見ながら唐詩(中国・唐時代の詩)を暗唱する「勉強を兼ねた映画鑑賞」で話題を呼んだ中国アニメ『長安三万里』や、中国で興収20億元を突破した『封神~嵐のキングダム~』など、バラエティに富んだ計16作品です。


中国映画週間初日10月26日(木)には、開幕式を行います。中華人民共和国駐大阪総領事、中国国家電影局副局長のご挨拶をはじめ、舞踊「長安三万里」、昆劇の披露、そして、オープニング上映作品の『封神~嵐のキングダム~』から監督の烏爾善(ウー・アルシャン)、主演の費翔(クリス・フィリップ)、プロデューサーの羅珊珊(ルオ・サンサン)をはじめ、中国映画週間期間中上映作品の俳優、監督、プロデューサーら総勢12名(予定)が登壇いたします。


■2023大阪・中国映画週間[公式サイト]
 http://cjiff.net/2023osaka.html

上映作品情報 ※東京版ご参照ください
 http://cjiff.net/movies.html


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少年は超えた!人生の大きな壁を――

圧倒的美のビジュアルと躍動感で

中国の今を活写する傑作アニメ!

 

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映画『雄獅少年/ライオン少年』は、昨年日本で限定上映されるや否や、中国アニメへの意識を変えるほどの驚愕の作品力が絶賛され、今年改めて日本語吹替版で全国公開されることになった。中国では2021年に公開されて大ヒットし、作品の映画満足度ランキング第一位となる。ビジュアルや技術面では世界のトップを行く中国アニメだが、人間性を重視した奥深い物語性に欠けるのかいまひとつ大きな感動までには至らなかった。だが、本作は違う! 格差社会の底辺で取り残されそうな少年が獅子舞と出会い、境遇脱却のため熱い“獅子舞バトル”に挑む姿を活写! その大迫力の獅子舞バトルは勿論、少年の成長を繊細に捉えたビジュアルや「今を変えよう!」とする強い意志を笑いと涙で綴り、観る者の心を衝き動かす傑作アニメとして誕生したのである。


lionboy-bu0511-main-550.jpg5月26日(金)からの全国公開に先駆けて、大阪で一般試写会が開催された。上映前に神戸の南京町を活動の場とする、神戸で最も古い獅子舞団体《神戸華僑總会 舞獅隊》が特別ゲストとして登場! 映画の大ヒットと共に、試写会会場である4月に梅田ブルク7から名称を変更した 《 T・ジョイ梅田 》の千客万来を祈願し、本場の獅子舞を披露してくれた。


lionboy-bu0511-sub2-240.jpg獅子舞はインドを起源として、中国、日本へも伝わったとされている。霊獣や神として崇められていたライオンをモチーフに、「邪気を払い、幸福をもたらす」象徴として古くから神事として舞われてきた。中国では「舞獅」と呼ばれ、太鼓やシンバル、ドラを打ち鳴らし、二人の舞い手が大きな獅子頭を持つ着ぐるみの中で、時にアクロバティックな動きで獅子の躍動感を表現し、大きな目の動きで無邪気さと優しさを表現。その豊かな表情に魅了されては幸福感に浸れる、まさに芸術的「舞踏」のひとつだと思う。


本作の主人公チュンは、広東省の村で祖父と暮らすひ弱な少年。両親はチュンの進学費用を稼ぐため遠い都会へ出稼ぎに行ったきりで長いこと帰って来ていない。まさしく、苦労して子供を大学へ行かせても就職できない今の中国社会を反映しているようだ。そんなチュンが春節で出会った同じ名を持つ獅子舞の雄姿に圧倒され、今よりも強い自分になろうと獅子舞を志すが、……仲間集めや師匠との交渉に獅子舞バトルへの挑戦など、コメディタッチの単なるアクロバティックなサクセスストーリーではない。度重なる不幸に見舞われながらも、自らの力で乗り超えようとするチュンの成長する姿がまぶしい程に清々しいのである。


これは是非劇場でお楽しみ頂きたい逸品です!
 



【神戸華僑總会 舞獅隊】

1979年に結成された神戸で最も古い歴史をもつ中国獅子舞チーム。神戸在住の華僑青年が中心となって組織されていて、日本の文化交流に貢献したとして、兵庫県より「ともしび賞」を受賞。5代目隊長の盧健良(ろけんりょう)を中心に、年齢や性別が異なる多様なメンバーが、太鼓やシンバル、ドラを打ち鳴らし、ダイナミックな舞を披露する。華僑として、かつては祝いごとに欠かせなかった伝統文化を継承している。

・Facebook:https://www.facebook.com/bushitai1979/?locale=ja_JP

・Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=NBfTvUqPsP4
 


『雄獅少年/ライオン少年』

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原題:雄獅少年 I Am What I Am 2021年 中国 1時間44分
監督:ソン・ハイポン
声:花江夏樹、桜田ひより

公式サイト: https://gaga.ne.jp/lionshonen/
配給:ギャガ、泰閣映畫、面白映画、Open Culture Entertainment
©BEIJING SPLENDID CULTURE & ENTERTAINMENT CO.,LTD (C)Tiger Pictures Entertainment. All rights reserved.

2023年5月26日(金)~T・ジョイ梅田、 なんばパークスシネマ、シネマート心斎橋 、T・ジョイ京都、MOVIX京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド ほか全国ロードショー
 


(河田 真喜子)

 

 

 
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 台湾新世代と言えるロアン・フォンイー監督の長編デビュー作『アメリカから来た少女』が、2023年1月6日(金)よりアップリンク京都、1月7日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開される。
 『百日告別』『夕霧花園』のトム・リンが制作総指揮を務めた本作は、ロアン・フォンイー監督の自伝的要素を盛り込み、中学生のファンイーが、母と妹の3人で暮らしていたアメリカから、母の乳がん治療のため台湾に戻るところから物語が始まる。2003年、SARS(重症急性呼吸器症候群)が中華圏を襲った時代を背景に、進学校に転入したものの中国語があまり分からず、クラスメイトからもアメリカ人のようと揶揄され居場所のないファンイーの苛立ちや、死を感じながら生きる母への反発など、父、妹と家族4人暮らしの微妙な空気感が伝わってくる。自身も無念さを抱えながら、思春期のファンイーとつい衝突してしまう母、リリーを『百日告別』のカリーナ・ラムが演じる他、父役には半野喜弘監督作『パラダイス・ネクスト』のカイザー・チュアンなど実力派が顔を揃えた。自身のアイデンティティーや母への想いをうまく伝えられず気持ちが揺れるファンイーを演じたケイトリン・ファンの自然な演技も大きな魅力だ。
 本作のロアン・フォンイー監督に、リモートでお話を伺った。
 

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■思春期のアメリカ体験、自分の判断でやっていく気持ちが芽生える

――――自伝的作品とのことですが、監督自身、思春期の前半までを過ごした母娘三人のアメリカ生活はどんな印象を持っていたのですか?
ロアン監督:本作を撮る前の短編映画『おねえちゃん JieJie』は、まさしく母とわたしと妹と3人でのアメリカ暮らしで最も印象深かった90年代の話を描きました。当時鮮烈な印象を受けたのは華人社会の存在でした。中国語を話す色々な国や場所から集まってきた人たちが形成する社会で、母ですらそれらは初めての体験でしたから。わたしの中で「母すら頼りにならないんだ」という気持ちが芽生え、自分で判断し、この世界でやっていかなくてはいけないと、生まれて初めて強く思いました。
 
――――監督の体験を聞いていると、主人公、ファンイーが母になぜあれだけ反発するのか、理解できますね。
ロアン監督:アメリカに行ったファンイーは、初めてアイデンティティーが確立できたような気がするわけですが、せっかくできたアイデンティティーが台湾に戻ることにより、一度壊して、もう一度立て直さなくてはいけない。だからこそ、母との衝突が生じてくるのです。
 
――――親や学校の先生たちがファンイーに様々なことを命令し、彼女にとっては自尊心が叩き潰されるような気持ちになったのでしょうね。台湾に戻ったファンイーの葛藤を描くとき、特に重きをおいたことは?
ロアン監督:表面的には、ファンイーが台湾に戻ってきて向かわされているのは、台湾とアメリカの様々なギャップなのですが、わたしが特にしっかり描かなくてはいけないと思ったのは、思春期の時期に自分の母がガンに侵され、死ぬかもしれないという恐怖感でした。
 
 

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■人生において、いかに女性として生きることの負担が大きいか

――――一方、母自身は自分の病状を隠すというより、むしろ死の可能性を口にしながら、ファンイーにしっかりしてもらいたい一心で厳しく接していきますね。
ロアン監督:わたしの母の世代は台湾で、大学卒業後、仕事をしてキャリアを積んでいくという第1期の新女性と呼ばれ、社会的な立場を確立していました。でも、なぜそうなるのか考える間もなく、結婚、出産と自然にその道を歩んでしまうわけです。母の人物像を描くとき、特に気をつけたのは、40歳前後の人はまだ健康な人が多いわけで、その中でガンに侵されてしまう人の苦悩をしっかりと描かなくてはいけないということ。そして、最後の方に「生まれ変わったら男の子になりたい」と吐露するシーンがありますが、人生においていかに女性として生きることの負担が大きいかを込めました。ガンを患わなくても、女性はそういう重さを感じていると思いますし、そこをしっかりと描いていきました。
 
 

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■役のバックグラウンドを掘り下げ、自身の結婚生活も脚本に反映したカリーナ・ラム

――――母が夢を追いきれなかった根底に、病だけではなく家父長制への憤りが見えました。母のリリーを演じたカリーナ・ラムさんと、どんな話し合いをしたり、役へのアプローチを行ったのですか?
ロアン監督:本作で最初にキャスティングしたのが、カリーナ・ラムさんでした。カリーナさんとは1年ぐらい前から本作の企画についてお話をしており、だんだんと役に入っていけるように、お話を重ねました。カリーナさんから質問があったのは、リリーのバックグラウンドでした。どんな学校に行き、何を学んで、結婚生活はどうだったのかという人物設定を詳しく聞かれました。わたしの両親は30歳ぐらいに結婚したので当時としては晩婚で、知り合って半年で結婚したのですが、そういうこともお話しながら、役作りをしてもらいました。
カリーナさんなら内面をしっかりと演じてくださると思いましたし、カリーナさんご自身の結婚生活、例えばパートナーとの関係なども伺い、脚本を作っていきました。カリーナさんはわたしが書いた脚本の夫婦関係についても、すごく共感できると言ってくれましたね。
 

■強いセリフも自然で説得力があるケイトリン・ファン

――――久しぶりの家族揃っての生活も、様々な問題が噴出し、家の中がギスギスしてしまうという描写は、非常に共感できました。主演のファンイーを演じたケイトリン・ファンさんのキャスティングや、役を掴んでもらうためにしてもらったことを教えてください。
ロアン監督:ケイトリン・ファンさんについては、バイリンガルという条件に合ったことと、映画の中で出てくる悲しいセリフや、母をなじるようなセリフも、彼女が言うとごく自然で嫌味が全然ない。すごく説得力のあるセリフが言えることが一番の魅力だと思いました。リハーサルを重ねる中で、お互いに理解し合っていたので、わたしの指示をすぐ理解してやってくれました。ケイトリンさんに学んでもらったのは、馬が本当に好きであることを表現するために、馬に乗るシーンはありませんが、親しんでもらうため馬術を習ってもらいました。
 もう一つ、役になりきるために配慮したことは、家の中をリアルに作り、そこで彼女が生活をしていることを理解してもらえるように工夫しました。
 

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■「今撮ればいいじゃないか」背中を押してくれた師匠、トム・リン監督

――――トム・リン監督は短編時代から指南を受け、本作でも製作総指揮を務めておられますが、一番大きな学びは何ですか?
ロアン監督:トム・リン監督から学ぶことはたくさんあり、短編と長編は相当違うので、非常に厳しいことが要求されました。プロの監督は長編をどういう風に撮るのか、どういう風に調整していかなければいけないのかを教わりました。特に「95分にできれば収めてほしい」と尺の要求は厳しかったですね。またわたしが長編を撮ろうとしたとき、多くの人が「若すぎる」と言いましたが、トム・リン監督はご自身が30歳ぐらいで長編第1作を撮っておられるので、決して若すぎるとは言わず、「今、撮ればいいじゃないか」とおっしゃってくださいました。数年経ったら、今わたしが撮りたいものは撮れなかったでしょうから、今撮りたいものを撮ることがすごく大事だと実感しました。
 
――――母と娘はとても普遍的なテーマです。自分の体験をもとに描いた初長編映画を作った今、振り返って、改めてお母さんについて思うことは?
ロアン監督:映画を撮ってみて、母への想いに大きな変化がありました。台湾で上映した時にもよく聞かれたことですが、わたしは今まで自分の好きなことを貫いてやってきた人間ですが、母や家族が自分の人生でどれだけ大事であったかを、この映画を撮ったことでよくわかりました。母も、この映画から娘と自分の関係を考えてくれたと思いますし、わたしも母をより理解できるようになりました。この映画がふたりの間の理解を進めてくれた気がします。
 (江口由美)
 

<作品情報>
『アメリカから来た少女』” AMERICAN GIRL”(2021年 台湾 101分) 
監督:ロアン・フォンイー 
出演:カリーナ・ラム、ケイトリン・ファン、カイザー・チュアン、オードリー・リン 
劇場:2023年1月6日(金)よりアップリンク京都、1月7日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開
配給:A PEOPLE CINEMA
 (C) Splash Pictures Inc., Media Asia Film Production Ltd., JVR Music International Ltd., G.H.Y. Culture & Media (Singapore).
 
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