「中国」と一致するもの

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 台湾でフォーリーアーティストとして数多くの作品に携わった伝説の音響技師フー・ディンイーの取材を中心に、映画における音の仕事を探求したドキュメンタリー映画『擬音 A FOLEY ARTIST』が、12月10日(土)より第七藝術劇場、12月16日(金)より京都シネマ、今冬元町映画館にて公開される。
監督は、ドキュメンタリー映画『無岸之河』でデビューを果たし、本作で台湾映画史や台湾語映画についても調べ尽くしたというワン・ワンロー。フー・ディンイーの魔法のように鮮やかな映画の音作りの現場を見せる一方で、吹き替えや映画音楽など、映画にまつわる様々な音の現場でプロフェッショナルに働いている人たちにも取材を重ね、複層的かつ、コラージュのような、発見がたくさんあるドキュメンタリーになっている。映画の中で散りばめられている台湾、香港映画のフッテージの数々にも注目したい。
 
 
 本作のワン・ワンロー監督に、リモートでお話を伺った。
 

 

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■ポスプロ時に出会った、フー・ディンイーさんの仕事ぶりに惹きつけられて

――――映画でよく登場する中央電影公司ですが、ここは台湾映画にとってどのような場所であるか教えてください。
ワン監督:通称中影と呼んでいますが、台湾における非常に歴史の長い映画会社でスタジオもあり、たくさんの映画が作られていました。中影はもともと国民党政府が管理している国有企業で70年代には抗日映画など、たくさんのプロパガンダ映画が製作されました。80年代に入り、台湾映画全体の製作本数が減少していく中、89年に台湾全土で敷かれていた戒厳令が解かれ、国営企業が民営化したり解体されました。中影も、確か2008年だったと思いますが、民営化のため人員削減が行われ、多くの従業員が解雇されたのです。
 
――――ワン監督はここで本作の主人公とも言える国宝級音響効果技師(フォーリーアーティスト)のフー・ディンイーさんと出会われたそうですね。
ワン監督:そうです。私は中影でフー・ディンイーさんと出会いました。フーさんは2008年当時、解雇通告があったものの、最終的には会社に残り、フォーリーアーティストの仕事を続けていたのです。中影のスタジオで、わたしのデビュー作のドキュメンタリー映画『無岸之河』のポストプロダクションの作業をしていたときに、たまたまフーさんのスタジオをお邪魔し、こんなに細かい音を出すことができるなんて!と、その仕事ぶりに本当に惹きつけられました。当時は音についてはあまりにも勉強不足で、改善点がたくさんあったので、次の作品を早く撮りたいと思い、ちょうどテーマを探していたときに、フーさんに出会ったわけです。フーさんに焦点を当てて映画を撮ると面白いのではないかというアイデアが、この作品の出発点になりました。
 
 
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■フーさんの話を時系列に、映画の中の音がどのように作られているのかを肉付け

――――フーさんは既にテレビでもドキュメンタリー番組が放映されていますから、彼に密着するだけではなく他の肉付けが必要だったと思います。コラージュのように、あらゆる映画の「音」にまつわる要素が組み合わされていますが、どのように作品として組み立てていったのですか?
ワン監督:「コラージュのような映画」という表現はとても面白いですね。実は、この映画が台湾で公開されたとき、一部の評論家から批判を受けたのです。映画の中の情報量が多すぎて、雑然としていると。でも私はある意味野心的に、フーさん以外の映画人の歴史や、音のことをたくさん語りたかったので、多くの映画産業に携わった人に出会う旅をし、素材がたくさん溜まりました。フォーリーアーティストが作る効果音、声優たちの吹き替えする音や映画音楽と非常に内容が多岐に渡る中、どうやってこれらを編集し、語っていくのかは私にとっても大きな試練でした。おっしゃる通り、骨格が出来上がってからどのように肉付けしていくのか。そこに血液を送り込むことも必要ですが、フーさんは寡黙な人ですし、彼の人生を見ていても決して波乱万丈ではなく、コツコツ毎日同じリズムで生活をされている。いわゆる物語の起承転結にも当てはまりにくく、困難にぶつかってしまったのです。
 最終的には、フーさんにインタビューをし、彼が語ることを時系列に並べて展開していこうと決めました。フーさんがアシスタントの仕事をしていた時代は、現場で声優たちの吹き替えを手伝っていたと発言したなら、そこへ実際に吹き替えをしていた関係者の取材をして取り入れる。次に映画の音楽についてフーさんが話をすると、映画音楽関係者に話を聞きに行くという具合です。私は映画の中の音がどのように作られているのか、どういう役割を果たしているのかを描きたかったので、フーさんの話に合わせて都度インタビューしながら、アーカイヴ映像を織り込む形を取りました。
 
 
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■若い人にも台湾映画、台湾語映画を探求してほしい

――――本作ではかつて大衆に愛された台湾語映画についても触れられています。本作の中でもとても意義がある点だと感じました。
ワン監督:私自身の台湾映画に対する認識はフーさんのドキュメンタリー映画を作ることによって始まったと言えます。私は元々文学を専攻しており、あくまでも観客として映画を好きで観ていました。初めて映画製作に携わったのは、ドキュメンタリー映画のラインプロデューサーでしたが、そこで現場の動きを理解できたものの、台湾映画の歴史は知らなかったのです。本作を作るにあたっては、たくさんの書物を読みあさり、宿題もやりましたし、インタビューも行いました。そうすると、少しずつ台湾映画がどのように始まり、今日にいたっているのかという脈をある程度理解することができたのです。
 台湾映画の発展は、歴史的にも政治と大きな関連性を持っていました。50年間の日本統治時代、日本文化の影響は大きく、台湾で初めてできた映画館は日本人が建てたものだったと思います。また、映画製作に関しても、日本の技術から大きな影響を受けていたでしょう。国民党の時代になると、中国から上海や北京の映画会社で働いていた人がたくさん台湾にやってきました。戒厳令下でのプロパガンダ映画を経て、80年代、侯孝賢監督が活躍する時代になり、やっと台湾らしい映画が作られるようになりました。
台湾語の映画については、台湾語で演じる野外公演をそのまま撮影する台湾語映画も多数ありますし、今後どのように展開していくのか。その議論が今さかんに行われています。台湾映画の歴史を探求することはいいことで、私自身はこの作品を作ることにより、台湾映画界の歴史をある程度知ることができましたし、すごく良い機会になりました。今映画を勉強している人が自国の映画の歴史を知ることはとても大事です。彼らが参考にしているのは、作品数や有名な監督が多く、資金力があるので参照しやすい欧米の映画がメインですから。
 
 
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■少しでも音を立てると睨まれた、緊迫の撮影現場

――――フーさんがフォーリー(音作り)の作業をしているところは、まさに職人技で映画の中でも大きな見どころです。その撮影や編集について伺えますか?
ワン監督:フーさんは40年間、毎日同じ時間にスタジオへ出勤し、フォーリーアーティストの仕事をするというのが基本的な一日の流れなので、オープニングは彼が出勤する風景、エンディングは彼がスタジオの電気を消し、家に帰るという流れにしました。その間にフォーリーアーティストの仕事や、映画産業の様々な部門の仕事、中国、香港の発展してきた映画産業についても紹介しています。ここが決まれば、撮影に出かけて素材収集にあたるわけですが、実際にフーさんが現場で音を作るということは、映画の現場にいるところを撮影しなくてはならない。実際にいくつもの現場で仕事をされていましたが、我々がアプローチした撮影現場の中で、1本だけ現場の撮影を許可してくれました。フーさんとその作品の映画監督の関係性があったからこそです。とはいえ、フーさんも現場にいたのは5日間だけで、終日その仕事をカメラで追いました。日頃はニコニコしていますが、本番はとてもシリアスで、少しでも音を立てると睨まれてしまうのです。だから私たち撮影隊は直立不動のままカメラを回していました。どこでカメラを止めるかなども、こちらが指示を出すこともできない。ですから、フーさんの動きが変わった時に、アングルを変えたりしていました。
 
――――想像するだけでも、緊張感に満ちた現場だったんですね。
ワン監督:撮られた映像や集められた素材についてですが、例えばフーさんが20の音を作ったとすれば、私はその音を分類しなければなりませんでした。本棚の本を倒す音だとか、足音だとか、細かく分類した。さらに、場面と場面をどうつなぐのかを考えます。例えばフーさんがフォーリーの足音を作っていると、だんだん画面が前に動いていき、兵隊の歩みにつながっていく。そういう表現も効果的だと思います。音楽の部分に関していえば、映画の中で最も感性豊かで、なかなか言葉では語れません。ここにはフーさんが本を倒す音を入れ、映画音楽ができるまでのイメージとイメージの対話のようなものを生み出せるのではないかと考えました。このように、素材を映像と音とどのように組み合わせるかという、いわば実験のようなことをしていましたね。
 

★ワン・ワンロー監督_オフィシャル写真.jpgのサムネイル画像

――――最後に、フーさんのような専門職はなかなか継ぐ人がいないと若い男性スタッフが語る中、若い女性が弟子入りし、フーさんも一生懸命教えている姿に、少し未来を感じたのですが。
ワン監督:この撮影を終えた時、実はフーさんに弟子入りしていた女性が中影を辞めてしまったのです。撮影時は二人でゴミ捨て場に道具を探しにいくシーンが撮れたのですが、今は完全に映画業界を離れてしまい、本当に残念で仕方がありません。フォーリーアーティストの仕事をフーさんは40年も続けてきましたが、このまま継承者がいないのはとてももったいない。実際にフーさんと弟子のシーンは、時には父と娘のように見えました。なにせ、彼女は一生懸命熱意を訴え、学ぶ姿勢がありましたから。その姿は、映画にしっかりと刻まれているのです。
(江口由美)
 

 
<作品情報>
『擬音 A FOLEY ARTIST』” A FOLEY ARTIST”(2017年 台湾 100分) 
監督:ワン・ワンロー
出演:フー・ディンイー、台湾映画製作者たち
劇場:12月10日(土)より第七藝術劇場、12月16日(金)より京都シネマ、今冬元町映画館他全国順次公開
配給: 太秦
(C) Wan-Jo Wang
 
 

 

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今年は中日国交正常化 50 周年という節目の年であり、中日両国の友好交流の歴史を振り返るチャンスであると同時に、中日関係が未来に向けて発展するための新たなスタートラインでもあります。2000 年以上に及ぶ文化の交流と 50 年にわたる中日関係の発展という「大きな軌跡」の中で、映画を通じて行われた活発な両国間交流は、まさに「小さな奇跡」ともいえます。


「民を以って官を促す」、中日交流の歴史において数々の美談を残し、両国映画交流史上多くの名作の舞台として輝いた代表地・大阪で 11 月 11 日(金)から 11 月 17 日(木)の期間、「2022 大阪・中国映画週間」が初開催されることが決定いたしました。最新の中国映画の上映を通じて、中日両国の文化交流をより一層盛り上げたいと考えています(合計8作品・計 11 回上映)。
 



■ 上映期間 : 2022 年 11 月 11 日(金)〜11 月 17 日(木) 8 作品(計 11 回)

■ 上映会場:TOHOシネマズ梅田アネックス SCREEN9、10

■ チケット販売:金額 1,500 円(税込)

■ 販売サイト:TOHO シネマズ梅田

(URL:https://www.tohotheater.jp/theater/037/info/event/cjiff2022umeda.html)

■ 公式サイト: http://cjiff.net/2022osaka.html

■  ©NPO 法人日中映画祭実行委員会


【上映作品タイトル】 


 


(オフィシャル・リリースより)

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古川雄輝、難易度高い“ねこ”との撮影秘話を明かす『劇場版 ねこ物件』舞台挨拶
(2022.8.7大阪ステーションシティシネマ)
登壇者:古川雄輝、長井短、綾部真弥監督
 
  ある一軒家で、唯一の肉親だった祖父亡き後、クロ、チャーという2匹の猫と暮らす青年、二星優斗(古川雄輝)がシェアハウスを営み、同居人たちや不動産屋の広瀬有美(長井短)らと家族のような絆を築いていくヒューマンドラマ「ねこ物件」。その集大成となる『劇場版 ねこ物件』が、8月5日より全国公開中だ。
ドラマ版と同じく、監督・脚本を務めるのは『おいしい給食』の綾部真弥。今までの住居人が夢を叶えて出ていってしまったところから始まる物語は、優斗と有美の今までに語られなかった過去や秘密にも踏み込み、主人公とねこたちの新たな物語を紡いでいく。
 
 
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  本作の公開記念舞台挨拶が大阪ステーションシティシネマで行われ、古川雄輝、長井短、綾部真弥監督が登壇した。コロナ前までは毎年大阪のファンミーティングが仕事納めだったという古川、梅田芸術劇場の公演打ち上げで盛り上がりすぎたエピソードを披露した長井、正道会館の門下生で大学生まで大阪へ空手の試合に来ていたという綾部監督、それぞれが久しぶりの大阪訪問となった今回の舞台挨拶。初だしのエピソードとして古川が挙げたのは、チャーがポテトチップスを食べそうになるシーン。「ねこはもともとポテトチップスに興味がないので、すぐにベット下に逃げてしまう。2代目クロ以外はご家庭で飼っている普通のねこなので、このカットを撮るだけでも、すごく時間がかかりました」
一方、運転免許を持っていない長井は、司会を務めた岩渕規プロデューサーが、有美のボディダブルとして、営業車で優斗とドライブするシーンを演じていたことを明かし、「自分がこんなふうに写っているのかと思った」と激白。綾部監督がスキンヘッドの岩渕プロデューサーに対し、フロントガラスに近づかないように指示してカツラなしで撮影していたというエピソードを明かした。
 
 
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 この作品は、映画を通してねこのチャー、クロ、タマが中心だという綾部監督。「クロがダブルキャストで、クロが振り返り、次のカットは入れ替わっているというところもあるので探してもらえると面白いですよ」とディープな見所を語ると、古川も「ねこは起きている間は動き回るし、3匹並べると喧嘩をしてしまうので、3匹並んでかつ、役者が入ってくるカットが、一番難易度が高いので、そこを注目してもらえれば」と演者ならではの見所を力説。一方、毎朝シェアハウスの住人とねこたちの全員で食べる美味しそうな朝食に憧れていたという長井は、映画版でその憧れが叶ったそうだが、「美味しそうに見せるために直前まで温めて湯気を立てていて、美味しそうだなと思って見ていたけれど、いざ食べると熱っ!と思いました」と熱く語るものの、古川は「多分、猫舌」とクールな返答。
 
 そんな多忙な3人の癒しは、口を揃えてお酒!良いパフォーマンスができたときはいいウィスキー、そうでもなかった日は安いウイスキーでとメリハリをつけているという古川や綾部監督に対し、長井が今はまっているのは、中国のお酒、バイチュー。お酒の爆笑エピソードを交えながら、ファンのプレゼントのおかげで、バーよりもウイスキーがたくさんあるという古川の自宅ウイスキー事情も飛び出した。
 
 
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 最後に、「猫を擬人化し、ねこの気持ちを代弁する映画にしたくなくて、ともに生活することを大事に描いてきました。一生懸命ねこと寄り添いながら撮影し、今もねこたちとイベントで再開すると嬉しいんです。いろいろなメッセージを込めたつもりなので、この作品もねこと同じように、ある時にふと思い出してもらえたり、皆さんの中で大事に心の中においてもらえればと思います」(綾部監督)
「猫とあまり関わることがなかったので、やっと絡めてうれしかったし、ここからもっとなかよくなれたらいいな。猫のことをもっと知っていきたい。謙虚に向き合っていきたいです」(長井)
「ねこを2匹飼っているので、自分にとっては家族であり、なくてはならない存在です。ねこ好きとしてはお世話をさせていただいているという感じなんです」(古川)
と、映画に対する愛、ねこに対する愛を語り、映画の雰囲気そのままのねこ愛溢れるトークとなった。ちょっと疲れたときにぜひ出会ってほしい、この夏の癒し全開ムーヴィーだ。
(江口由美)
 

<作品情報>
『劇場版 ねこ物件』(2022年 日本 94分)
監督・脚本:綾部真弥
出演:古川雄輝、長井短、細田佳央太、上村海成、本田剛文、松大航也、金子隼也、山谷花純、竜雷太
(C)2022 「ねこ物件」製作委員会/
 

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大迫力のライド感!全身を貫く衝撃!五感が炸裂するスピード!
究極体感ドリフトエンターテイメント!

リピーター続出!!多くの絶賛の声を受けYahoo!映画レビュー4.6!!!
野村周平 常に“死”を感じながらのリアルな芝居


日本が生んだ、剛・速・美を競うドリフトレース。大地を揺さぶるエンジン音、猛烈な白煙、車輪をスライドさせながらコーナーを抜ける超絶ドライビングテクニックと全世界の度肝を抜いたアクロバティック&ダイナミックな競技──その魅力のすべてに迫る最高峰のドリフトエンターテイメント、映画『ALIVEHOON アライブフーン』が全国公開中。


本作は、eスポーツ日本一のレーサーが、リアルドリフトの頂点を目指すというオリジナルストーリー。主演に野村周平、共演に吉川愛、陣内孝則、青柳翔、福山翔大といった豪華俳優陣が出演し、映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』でもテクニカル・アドバイザーを務めた、ドリフトキング・土屋圭市が監修。監督・下山天が企画構想に3年を費やし、世界トップレーサーたちの実走出演でCGゼロの大迫力のリアルドリフトを描ききる!


この度、リピータが続出し、口コミが口コミを読んで、鑑賞した方々のYahoo!映画のレビューで評価が爆上が、4.6を獲得している本作の舞台挨拶を実施し、野村周平、吉川愛、下山天監督も登壇。こだわり抜いたサウンドシステムでリアル体感音響の極音上映が体感できる上映回にて、世界配給も決まり、多くの絶賛の声を受け、公開した喜びに加え、撮影裏話などを時間が許す限り披露。日本で生み出されたドリフトを、日本車、そして、この日本で撮影した映画『ALIVEHOON アライブフーン』は、今夏を盛り上げる作品として公開中です!


日時:6月18日(土)  18:00-18:35 舞台挨拶

会場:立川シネマシティ シネマ・ツー(立川市曙町2-42-26)

登壇者: 野村周平、吉川愛、下山監督



Alivehoon-bu-550.jpg映画『ALIVEHOON アライブフーン』の【極音】リアル体感音響(=極音上映)が実施されている東京・立川市の立川シネマシティにて6月18日(土)、舞台挨拶が開催され、野村周平、吉川愛、下山天監督が登壇。本作への熱い思いを語り合った。


この極音上映のために、同劇場の「a studio」と「c studio」という異なる2つのスクリーンの音響のセッティングを行なった下山監督は、舞台挨拶が行われた「a studio」について「迫力重視でサーキットにいるかアトラクションに乗っているかのような感じを味わってもらえるセッティングをしてます。ここでは映画を『観る』じゃなく、『浴びる』という言い方をするんですけど、前列の方達はもろに浴びていただけたのではないでしょうか。」と説明。一方で「c studio」に関しては「リアリティ重視でa studioではかき消されている細部の音まで全部出して、ドライバーの気持ちで一緒に走っている感じでセッティングしています」とそれぞれの違いを強調する。


Alivehoon-sub-500-2.jpg.jpeg吉川は、前日に別の映画館で友人と本作を鑑賞し、さらにこの日、シネマシティの“極音上映”を体験したそうだが「本当にサーキットにいるような感覚でした。昨日、(別の)映画館で聴いた音よりも細かい音が聴こえる感じで、サーキットに行って応援しているような感覚でした!」と興奮した面持ちで語る。


野村はスクリーンの真下に設置された特大のスピーカーに目をやり「フジロックばりのスピーカー!そりゃ(音が)良いでしょうねぇ…」と感嘆! 自身も車好きとして知られ、やはり車の発する“音”に対しても強い思いがあるようで「車って生き物なんです!オイルという血液があり、ガソリンという食料を食べさせて生きてるんですよ、“あいつら”は。生きているからこそ届くものがあるんです!」と熱のこもったコメントに、客席から大きな拍手がわき起こる。


下山監督は、撮影時の録音からして、かなり音に対して注力しており「1回の走りでマイク50本くらい。車の中と外、エンジンルーム下、ドアミラーの左右…カットごとに位置を変えていて、編集も(映像より)音のほうが(手間が)掛かっています」と明かす。


Alivehoon-bu-240.jpg改めて映画公開後の周囲の反響について尋ねると、野村は「基本、僕の周りで聞くのは、吉川ちゃんが良いねって声で、僕に対しての評価はあまりないですね。『だってしゃべんねーじゃん」って(笑)」と明かし、吉川は周囲の女性からの反響が大きかったようで「普段、あんまり車に乗らなかったり、車に詳しくない友だちでも観に行ってくれて『海外の映画でカーアクションをやってるのを見ている感じだった』と言ってくれて、嬉しかったです」と明かした。


eスポーツの日本チャンピオンからリアルの世界のドリフトレーサーに転身する主人公を演じた野村は役作りについて「“車が主役”と言ってますけど、eスポーツも主役です。車に関しての役作りは(もともと車好きなので)完璧でやることがなかったんですけど(笑)、(eスポーツの)グランツーリスモを家でじっくりやる役作りがありました」とふり返る。


レース中はヘルメットを被るため“目線”だけでの演技も求められたが、野村は「僕ら、プロなんで、そこはできて当たり前。それくらいできないとここでど真ん中には立てない」とプライドをのぞかせつつ「eスポーツには“死”はないけど、実車のほうは死なない保証はない。常に“死”を感じながら、リアルに助手席に乗らせてもらっていたので、(実車とeスポーツの)移り変わりは勝手にできていたのかなと思います。実際に(プロのドライバーの)隣に座ると『本当に死ぬかも!』と思うんで…」とふり返った。


吉川は野村演じる紘一をドリフトチームにスカウトするメカニックの夏実を演じたが、役作りについて「女の子らしさが出ないようにしました。『小さい頃から男だらけの部屋にずっといた…』という話を聞いていたので、女の子らしさを一切出しちゃいけないぞと…」と明かす。また「私は免許がないので、免許を持っているふうに見せること(笑)。普段からドリフトし慣れているように見せる感じ、メカニックなので器用に(メカニックワークを)やっている感じを出すようにしていました」と語った。


そんな、吉川の運転について、野村は「僕が吉川ちゃんが好きなシーンが、紘一を隣に乗せて工場(こうば)まで行くシーンで、(前を走る車がクレーンで)牽引してるんですけど、吉川ちゃんが両手でしっかりハンドルを握っててカワイイ! そこは“女の子らしさ”が出てた(笑)」と指摘。吉川は「事前にハンドルの持ち方を調べたら(時計の針の位置で)『10時10分』ってあったんです」と苦笑交じりに明かしていた。


一方、吉川に野村の演技で印象的だった部分を尋ねると「歩き方が普段の野村さんとは違う印象でした」と指摘。野村は「最初の頃は自信がなさそうに肩を落として歩いてて、レーススーツを着た時はバシッと胸を張ってます。そういう細かい役作りもちゃんとしてるんです!紘一の成長ストーリーなので、そこに気づいてくれて嬉しいです」と喜んでいた。


Alivehoon-sub-500-1.jpgまた、それ以外のいまだから言える撮影エピソードとして、野村は「陣内(孝則)さんは車やバイクが好きそうなイメージだったんですけどドリフトの練習をしたとき、『俺、これは1回でいいわ。無理だわ、これは!』って言ってて、案外、乗り物苦手なんだなって(笑)。後輩ですけど、大先輩のそんなカワイイ部分をぜひお伝えしたい。キュートな部分があるんです」とニヤリ。


一方、吉川は「本当にサーキットが寒かった…」とポツリ。「最後のドリフトをするシーンで、毎回、寒くて手をぎゅっと握っていたので、昨日、映画館で観ながらそのシーンで無意識に手を握っていました…(苦笑)」と過酷な撮影の一端をうかがわせた。


先日の公開記念舞台挨拶の際に、本作が日本を飛び出して海外で公開されることが決定したことが伝えられたが、世界配給について下山監督は「現在、夏休みにアジア10か国で公開されることになっていて、全部で200館を超えています。まだまだ増える予定ですし、中国、北米、ヨーロッパに向けて着々と話を進めています」と報告し、激情は拍手に包まれる。


先日の舞台挨拶で世界進出に向けて改名をも視野に入れていると話していた野村は、この日もノリノリで「野村“スマイル”周平とか? あと、考えたんですけど“キャンディー野村”って良くないですか? かわいいじゃないですか?」と語り、劇場内で野村の名前の書かれたボードを掲げるファンに向かっても「これからは“キャンディー野村”にしないと見向きもしないです!」と宣言し笑いを誘っていた。


Alivehoon-pos.jpg最後にこれから本作を観る人々に向けて下山監督は「いままでの映画の概念を捨てて見ていただけると、新しい扉が開けると思う」と語り、吉川も「女性は、車のことをよく知らないから見に行きづらいと思うかもしれないけど、1回、観てほしいです。私も車に詳しいわけじゃないけど、見ていて楽しかったし、実際に乗っている気分、ドリフトしている気分を楽しめたので、ぜひ劇場に足を運んでチャレンジして見てください」と呼びかける。


そして野村は「今日、ドリフト車とかスポーツカーで来ている人もいると思うけど、帰りは存分に飛ばしてください!法定速度内でね(笑)。それくらい、走りたくなる映画になったと思います。車に興味がないという人も、『ドリフトってこういうものなんだ!』と知って、『中古車を見てみようか』とかなってもらえたら嬉しいです。いま、車離れしちゃっている世の中で、こういう映画を作って、みなさんに車に乗っていただきたいと思うし、興味を持っていただけたら幸いです」と語り、温かい拍手の中、舞台挨拶は幕を閉じた。
 

『ALIVEHOON アライブフーン』は全国公開中。


<ストーリー>
解散の危機に瀕するドリフトチームがスカウトしたのは、内向的な性格から人付き合いが苦手だが、ゲームにだけは驚異的な才能を放つゲーマー・大羽紘一。実車でもその力を発揮する紘一だったが、彼の前に生死をかけてレースに挑む者たちが立ちはだかる。今、紘一の覚醒したテクニック・情熱・勇気、そしてチームワークは、バーチャルとリアルの壁をブチ破り、新たな極致へ……。
 

■出演: 野村周平 吉川 愛 青柳 翔  福山翔大 /  本田博太郎 
   モロ師岡 土屋アンナ きづき /  土屋圭市(友情出演) / 陣内孝則 
■監督・編集: 下山天  
■主題歌:「Hunter or Prey」(NOISEMAKER) 
■製作:「アライブフーン」製作委員会 製作協力:電通


(オフィシャル・レポートより)

 

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“映画”を愛するすべての人へ 巨匠チャン・イーモウが贈るラブレター

「神がかっていた」・・突然の砂嵐にも動じないチャン・イーモウ監督の撮影映像 解禁

さらに井上順さん、全国のミニシアターから感動の声続々!監督から映画館にエールも。


これまで3度米アカデミー国際長編映画賞にノミネートされ、多くの映画祭で華々しい受賞歴を誇る中国の巨匠チャン・イーモウ監督の最新作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』が、いよいよ5月20日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開いたします

 

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フィルムの中にたった1秒だけ映し出されているという娘の姿を追い求める父親(チャン・イー)と、幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女(リウ・ハオツン)。文化大革命時代の中国、広大な砂漠を大胆に映し出す圧倒的な映像美を背景に、娘への父の想いを描いた本作は、長年チャン・イーモウ監督が映画化を熱望していた企画であり、作品全体にあたたかく流れるのは、チャン・イーモウ監督の確かな”映画への愛”

 

今回、映画本編の前に流れるニュース映画に1秒だけ映っているという娘の姿をみるために強制労働所から脱走したチャン・イー演じる男が、広大な砂漠を黙々と歩いていく、本作のファーストカットの撮影に臨むも突然砂嵐が発生。混乱する中、監督の判断で撮影を決行していく様子をとらえた貴重なメイキング映像が解禁なりました!
 


※メイキング映像はyoutube現在限定公開中です。



砂嵐が吹き荒れる中、撮影機材をあわててブルーシートで保護し、チャン監督も俳優に待機するよう伝えるが、一向に天候は回復しない。考慮の結果、砂嵐を利用して撮影をすることに!「撮ろう カメラ2台準備」と指示するチャン監督の声で現場が一気に撮影準備に動き、視界も悪い砂嵐の中、チャン・イーが砂漠を足早に歩く様を撮影していく。砂嵐のあとには雹まで降ってくる悪天候だったが、俳優、スタッフ一丸となり撮影を進めた結果、風がすごく強いため早歩きなのが、「迫られてる感じが生き生きとしてて、すごくいい」と映像を確認し頷く監督。そして時の運だ。映画の始まりに合う。神がかってた」とチャン・イーと話すチャン監督の表情からも自信が感じられ、本編シーンがより楽しみになるメイキング映像となっている。


さらに、「映画を愛するすべての人に捧げる」というチャン・イーモウ監督の思いを受け、本作を鑑賞した井上順さん(エンタテイナー)、そして全国のミニシアターから感動の声が続々と到着コロナ禍の2020年73歳のときにはじめたTwitterも話題の井上順さんは「映画によって、多くを学んで来た。そして、この映画の優しさに触れ、またひとつ、心のひだが増えた。ありがとう!!」と絶賛。


また、昭和28年創業、親子三代で劇場を運営し続ける三重県の進富座・水野昌光さんは「映写機の油の匂い、スプロケットの音、ランプハウスから漏れる光・・・フィルムを生き物のごとく扱っていたあの頃を思い出し、胸が熱くなった」とコメント。大正11年創業で芝居小屋から始まった歴史ある長野県の東座・合木こずえさんは「冒頭のフィルム缶を見ただけで涙がこみ上げた。「映画が観たくてたまらない」人々の渇望と歓びが全編に溢れている。」 そのほか、シアターキノ(北海道)、立川シネマシティ(東京)、センチュリーシネマ(愛知)、京都シネマ(京都)、八丁座・サロンシネマ(広島)、桜坂劇場(沖縄)と、劇中のファン電影のごとく、映画館の灯をまもり続ける方々からの感動の声が寄せられている。



チャン・イーモウ監督から、コロナ禍で大変な状況にある日本の映画館へ特別エールが届いた!
 

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コロナ禍において「人々は安心して映画館で映画を観ることができず、世界的に映画の興行収入は減少しています。その上、オンラインや動画配信サイトなどの新しいプラットフォームがもたらした映像産業が台頭し、伝統的な映画館は大きな打撃を受けています」としたうえで、「でも私は常にこう思っています。映画は映画館で観るからこそ面白いのです。皆で一か所に集まって映画を観るスタイルは最も心惹かれるものです。それは、100年以上もの間、人類と共に存在してきた生理学的な「磁場」です。映画館が今後も消えないこと、そしてこれからも続いていくことを願っています」と熱く断言。そして「映画館は、現在、これまでで最も困難な時期を迎えています。みなさんがこの困難を乗り越えられることを願っています。映画が死を迎えることはありません。映画館も消えません。たとえ違うスタイルに取って代わられたとしても、永遠に我々の傍にいつづけます。夢はどんな時にも必要なものですから」と映画館へ愛溢れるエールを送っている。
 



全国のミニシアターからのコメント(敬称略・順不同)

ほんの束の間の夢を見る。セルロイドの一コマは手に触れ光にかざすと微笑んで見える。懐かしい肌触りの物語を奏ではじめる。
◆シアターキノ 支配人 中島ひろみ

フィルムが唯一の映画を見る手段であった頃のものすごいパワーがこの物語に込められている。切れても汚れても映すことができるフィルムの強さと大きいスクリーンで一堂に会して見る映画の強さが重なりあなたのこころを揺さぶることでしょう。
◆立川シネマシティ 番組編成部 椿原 敦一郎

冒頭のフィルム缶を見ただけで涙がこみ上げた。「映画が観たくてたまらない」人々の渇望と歓びが全編に溢れている。
◆東座 代表取締役 合木こずえ

一瞬の映画を求めてひた走る主人公の熱量に圧倒される。激動の時代、雄大な風景の中で繰り広げられるドラマは慈愛深く中国映画ならではの快作として心に響く。
◆センチュリーシネマ 副支配人 脇田直佳

映写機の油の匂い、スプロケットの音、ランプハウスから漏れる光・・・フィルムを生き物のごとく扱っていたあの頃を思い出し、胸が熱くなった。
◆進富座 水野昌光

映画のために村の人たちが一丸となる姿や映画がはじまるワクワク感…。ちいさいころ、親に連れられていく映画館が一大イベントだったことを思い出して、胸が温かくなりました。
◆京都シネマ・スタッフ

『DUNE砂の惑星』か!と思わず叫ぶ。雄大な風景からはじまる一本のフィルム缶をめぐる物語は、意外にハラハラ・ドキドキ観客をさせてくれるエンターテインメント。そして、クスッと笑ってホロっと泣かせる。これぞ映画!一秒間24コマのフィルムは、一生の想い出。一本の映画がみんなの心を一つにするんだなあ。映画館で働く人間として、愛さずにはいられない映画です。
◆八丁座・サロンシネマ 支配人 蔵本健太郎

初めて一人で繋いだフィルムを上映した日、息を詰めてじっと映写室の小窓からスクリーンを見ていた。そんな気持ちを思い出しました。
◆桜坂劇場 映写技師


【STORY】

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1969年―文化大革命真っただ中の、激動の中国。造反派に歯向かい、西北部にある強制労働所送りになった男(チャン・イー)は、妻に愛想を尽かされ離婚。最愛の娘とも親子の縁を切られてしまう。数年後、22号という映画本編の前に流れるニュースフィルムに、娘の姿が1秒だけ映っているとの手紙を受け取り男は、一目娘の姿を見たいと強制労働所から脱走。逃亡者となりながらも、22号のフィルムを血眼になって探し続け、映画が上映される予定の小さな村の映画館を目指す。だがフィルムを村まで運ぶ男の隙をついて、素早くのフィルムの1缶を盗み出す子供を目撃。ボロボロの格好をした小汚い少年だと思ったその子供は、孤児の少女・リウ(リウ・ハオツン)だった。果たして、逃亡者の男は愛しい娘の姿を見られるのか?

監督・脚本:チャン・イ―モウ 『妻への家路』
出演:チャン・イー 『オペレーション:レッド・シー』 リウ・ハオツン ファン・ウェイ 『愛しの故郷』
2020年/中国/中国語/103分/シネスコ/原題:一秒钟/字幕翻訳:神部明世/配給:ツイン
© Huanxi Media Group Limited     
公式サイト onesecond-movie.com

2022年5月20日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー


(オフィシャル・レポートより)

 

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“映画”を愛するすべての人へ 巨匠チャン・イーモウが贈るラブレター

”魂の飢餓感を満たしてくれるのは映画のフィルムなのかもしれません“

辛酸なめ子のイラストコメント&フィルムを巡り出会う3人…本編映像解禁!
 

これまで3度米アカデミー国際長編映画賞にノミネートされ、多くの映画祭で華々しい受賞歴を誇る中国の巨匠チャン・イーモウ監督の最新作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』が、いよいよ5月20日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開いたします


この度、日本公開に先駆けて本作を鑑賞した、辛酸なめ子さん(マンガ家・コラムニスト)より本作の印象的な場面を描いたイラストコメントが到着!さらに、主人公の逃亡者の男(チャン・イー)、孤児の少女(リウ・ハオツン)、そして映画館のファン電影(ファン・ウェイ)の3人が初めて出会うシーンの本編映像が解禁となりました!


onesecond-pos.jpg文化大革命時代の中国を舞台に繰り広げられるノスタルジックで普遍的な物語と、広大な砂漠を大胆に映し出す圧倒的な映像美。フィルムの中にたった1秒だけ映し出されているという娘の姿を追い求める父親と、幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女。決して交わるはずのなかった2人が、激動の時代の中で運命的に出会い、そして彼らの人生は思いがけない方向へと進んでいくー。  主人公の逃亡者を演じるのは『最愛の子』『山河ノスタルジア』『オペレーション:レッド・シー』などで人気を博すチャン・イー。逃亡者と出会い奇妙な絆で結ばれていく孤児の少女・リウの娘を演じるのは、本作が記念すべきデビュー作となる若手俳優リウ・ハオツン。さらに小さな村の映画館を仕切り、人々から尊敬の念を集める人格者・ファン電影に、実力派俳優ファン・ウェイ。時代の波に翻弄されながらも、映画をこよなく愛する魅力的なキャラクターを味わい深く演じてみせた。

 

今回、本作をいち早く鑑賞した辛酸なめ子さんが注目しイラストに描いたシーンは、劇中、ある理由からフィルム缶を巡り出会うことになったチャン・イー演じる逃亡者の男とリウ・ハオツン演じる孤児の少女が、村の食堂で麺をすする場面。そして、不手際から泥だらけになってしまったフィルムをファン電影の指揮のもと、丁寧に手洗いで洗浄をする場面。麺は「とにかくおいしそう」とし、さらに「泥だらけになったフィルムを洗う場面では箸で丁寧に伸ばす様子が麺のよう」という辛酸なめ子さんは「魂の飢餓感を満たしてくれるのは映画のフィルムなのかもしれません」とイラストで解説

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さらに「娯楽が増えすぎてしまった今、映画を観られる貴重な機会に熱狂する人々が羨ましくなります。泥だらけのフィルムと一緒に、情報まみれの心が洗われました。」というコメントも寄せた。

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そしてあわせて本編解禁となったのは、辛酸なめ子さんも注目した食堂でのシーン。フィルムに1秒映っているという娘の姿をなんとしても見たい逃亡者の男が、そのフィルム缶を盗んだ孤児の少女を町の食堂(麺屋)まで追いかけてくる。空腹だった男は、少女が注文した麺を奪い取り貪るように食べ、そのすきに逃げようとした少女を力づくで座らせる。無言で悔しそうな目をむける少女。男はお構いなしに同じ食堂にいた映画館のファン電影に「来てくれ、ここにフィルムが」と呼びかけ、フィルム缶を差し出す。「『英雄子女』の6巻?」とすぐに気づいたファンは、手慣れた様子でフィルムを取りだし「確かにそうだ」と確認。「どこで?」と男に疑惑の目をむける。すると男は逃げようとするが、ファンが「待て」と捕まえ一喝!「座るんだ」と二人に向き合う。フィルム缶からハンカチを用いてフィルム取り出し確かめるしぐさや、その佇まいから、映画館を仕切るファン電影の映写技師としての誇りと責任感が感じられ、フィルムを巡り出会った3人の関係が今後どうなっていくのか、セリフが少ないが引き込まれるワンシーン


★今回解禁の本編シーン映像⇒ https://youtu.be/C5TfaA8SJO4


ちなみに、食堂で出てくる麺は、「ビャンビャン麵」といい、監督の故郷でもある中国の陝西省で一般的な幅広い手打ち麺。日本にも専門店があり、その美味しさにハマる人続出中とか。本作を観てから食べると、さらにその味わいが深まりそうだ。

長年映画化を熱望していた企画であり、チャン・イーモウ監督の”映画への愛”が溢れる、フィルムを巡るノスタルジックな人間ドラマをぜひ劇場のスクリーンでお見逃しなく。


【STORY】
onesecond-500-3.jpg1969年―文化大革命真っただ中の、激動の中国。造反派に歯向かい、西北部にある強制労働所送りになった男(チャン・イー)は、妻に愛想を尽かされ離婚。最愛の娘とも親子の縁を切られてしまう。数年後、22号という映画本編の前に流れるニュースフィルムに、娘の姿が1秒だけ映っているとの手紙を受け取り男は、一目娘の姿を見たいと強制労働所から脱走。逃亡者となりながらも、22号のフィルムを血眼になって探し続け、映画が上映される予定の小さな村の映画館を目指す。だがフィルムを村まで運ぶ男の隙をついて、素早くのフィルムの1缶を盗み出す子供を目撃。ボロボロの格好をした小汚い少年だと思ったその子供は、孤児の少女・リウ(リウ・ハオツン)だった。果たして、逃亡者の男は愛しい娘の姿を見られるのか?


監督・脚本:チャン・イ―モウ 『妻への家路』
出演:チャン・イー 『オペレーション:レッド・シー』 リウ・ハオツン ファン・ウェイ 『愛しの故郷』
2020年/中国/中国語/103分/シネスコ
原題:一秒钟/字幕翻訳:神部明世
配給:ツイン
© Huanxi Media Group Limited     
公式サイト:onesecond-movie.com

2022年5月20日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、京都シネマ ほか全国ロードショー


(オフィシャル・リリースより)

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“映画”を愛するすべての人へ 巨匠チャン・イーモウが贈るラブレター


「私自身が感じている映画への追憶や想い そして情熱を表現した作品」


これまで3度米アカデミー国際長編映画賞にノミネートされ、多くの映画祭で華々しい受賞歴を誇る中国の巨匠チャン・イーモウ監督の最新作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』が、5月20日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開いたします

2021年トロント国際映画祭に正式出品され、大きな話題となった本作は、監督が長年映画化を熱望していた企画であり、その全体にあたたかく流れるのは、チャン・イーモウ監督の確かな”映画への愛”。


onesecond-550.jpg文化大革命時代の中国を舞台に繰り広げられるノスタルジックで普遍的な物語と、広大な砂漠を大胆に映し出す圧倒的な映像美。フィルムの中にたった1秒だけ映し出されているという娘の姿を追い求める父親と、幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとする孤独な少女。決して交わるはずのなかった2人が、激動の時代の中で運命的に出会い、そして彼らの人生は思いがけない方向へと進んでいくー。


主人公の逃亡者を演じるのは『最愛の子』『山河ノスタルジア』『オペレーション:レッド・シー』などで人気を博すチャン・イー。逃亡者と出会い奇妙な絆で結ばれていく孤児の少女・リウの娘を演じるのは、本作が記念すべきデビュー作となる若手俳優リウ・ハオツン。さらに小さな村の映画館を仕切り、人々から尊敬の念を集める人格者・ファン電影に、実力派俳優ファン・ウェイ。時代の波に翻弄されながらも、映画をこよなく愛する魅力的なキャラクターを味わい深く演じてみせた。


■『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』 
 チャン・イーモウ監督メッセージ映像⇒ https://youtu.be/U89O-KkU3Ak



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(左の写真:左からチャン・イー、リウ・ハオツン、チャン・イーモウ監督)


そして今回特別に撮影され、解禁となったチャン・イーモウ監督のメッセージ映像は、日本の観客にむけて「日本の皆さん こんにちは。チャン・イーモウです。『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』の監督です。今作が日本で上映されることを非常に嬉しく思います」という挨拶からスタート。


映画には40~50年前の私の青春時代の記憶が描かれています。あの過酷な時代の中で、映画を観ることは正月のような一大イベントでした。物語は、あの時代を生きた人々の映画への強烈な渇望、映画がもたらした、人々の夢や未来への希望を表現しています。私自身が感じている映画への追憶や想い、そして情熱を表現した作品でもあります」と身振り手振りを加えながら、力強く語るチャン・イーモウ監督。


そして、「ご覧になった多くの方が、あの時代の映画と人々の関わり方や、歴史の記憶の中における我々の世代の青春や映画への夢に対して、共感していただけると思います」と続け、最後に「この映画がみなさんの心の中の何かに触れ、考えるきっかけになればと願っています。ありがとうございます」と語りかける。監督の言葉一言一言から、本作にかける熱い想いと映画愛が伝わってくるメッセージ映像は映画ファン必見!映画を愛する全ての人へ捧げる、巨匠からのラブレターをぜひ劇場のスクリーンで。
 


【STORY】
onesecond-500-2.jpg1969年―文化大革命真っただ中の、激動の中国。造反派に歯向かい、西北部にある強制労働所送りになった男(チャン・イー)は、妻に愛想を尽かされ離婚。最愛の娘とも親子の縁を切られてしまう。数年後、22号という映画本編の前に流れるニュースフィルムに、娘の姿が1秒だけ映っているとの手紙を受け取り男は、一目娘の姿を見たいと強制労働所から脱走。逃亡者となりながらも、22号のフィルムを血眼になって探し続け、映画が上映される予定の小さな村の映画館を目指す。だがフィルムを村まで運ぶ男の隙をついて、素早くのフィルムの1缶を盗み出す子供を目撃。ボロボロの格好をした小汚い少年だと思ったその子供は、孤児の少女・リウ(リウ・ハオツン)だった。果たして、逃亡者の男は愛しい娘の姿を見られるのか?


監督・脚本:チャン・イ―モウ 『妻への家路』
出演:チャン・イー 『オペレーション:レッド・シー』 リウ・ハオツン ファン・ウェイ 『愛しの故郷』
2020年/中国/中国語/103分/シネスコ
原題:一秒钟/字幕翻訳:神部明世
配給:ツイン
© Huanxi Media Group Limited     
公式サイト onesecond-movie.com

2022年5月20日(金)~TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー


(オフィシャル・リリースより)

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(2020年3月11日(水)大阪にて)

 

身につまされながらも清流のような優しさに癒される至福の映画

 

島根県西部の石見地方を中国山地から日本海へ流れる「ダムが一つもない一級河川・高津川」を舞台にした映画『高津川』が、2年間の公開延期を経て2月11日(金・祝)よりようやく公開される。中国地方では2019年11月から翌年の3月までロングランヒットを飛ばした作品の満を持しての全国公開となる。


takatsugawa-550.jpg高津川の清流沿いの豊かな自然の恩恵を受けながら、地元の産業や伝統芸能を大切に守り、そして継承しようとする人々の想いを、柔らかなタッチの映像とストレートに心に響く言葉で綴られている。今どきこれほど激しく共感できる映画も珍しい。「親心、子知らず」と言われるが、まさに我がことのように身につまされ、改めて故郷への想いがつのり心苦しいほど胸を打つ感動作なのである。


takatsugawa-inta-240-1.jpg本作を手掛けたのは、『渾身 KON-SHIN』(13)、『RAILWAYS-49歳で電車の運転手になった男の物語-』(10)や『白い船』(02)など、自身の出身地・島根県を舞台にした作品が多い錦織良成監督。本作では、「古事記」や「日本書紀」などの神話の郷でもある出雲の国の今を、自然の美しさや歌舞伎の源流ともいわれる伝統文化「神楽 KAGURA 舞」などを盛り込みながら、希薄になりがちな人と人との繋がりを今一度取り戻すことに成功している。


この錦織監督インタビューは、2020年3月に、翌月からの公開を前に大阪市内にある島根ビル内で行われた。「コロナ禍は今ここにある危機、『高津川』は20年後の危機。高齢化が進む地方を舞台にした映画ですが、カテゴリーに拘らず、若い人にも観てほしい。そして皆さんに考えて頂きたい。」と本作にかける熱い想いを語った。


takatsugawa-500-1.jpg「親の心、子知らず」、改めて親の心情に触れて、愛されていた自分の至福に気付いて、情けないほど心がかき乱されてしまいましたが――?

地方で生まれ育った若者は、そのまま地元に残る者は少なく、都会へ出て行く者の方が多い。次第に高齢化が進み、先祖伝来の山野や田畑の維持も難しくなりつつある。子供の希望を大事にするあまり、子供に家を継がせたくても言い出せない親。子供の幸せを一番に願う年老いた親の背中がいつの間にか小さくなっていく。進学のため苦労して仕送りし、生活の足しにと愛情いっぱい詰まった物資を送る。でも、卒業したらいつの間にか帰ってこなくなり疎遠になってしまい…「親はつまらん」とこぼしながらも、常に子供のことを心配する親。

そんな親の想いを感じて、たまには田舎に帰ろうかなとか、親に電話してみようかなとか、田舎の家を修理しようかななどと、少しでも思って頂ければ、それだけで嬉しいです。


今回島根の独自性を盛り込みながら家族愛を描いておられますが、地方を舞台にした映画を撮る事について――?

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よく「島根の映画を撮っている人」とか言われます(笑)。島根は「古事記」や「日本書紀」などの伝説の郷として知られていますが、映画は表現のためのコンテンツなので、誰かのためとか宣伝目的で作るものではなく、あるテーマを表現している作品でなければならないと思っています。島根で開催している映画塾でも、「本当に島根のための映画を撮りたいのなら、先入観を壊すような、人の心を動かすような映画を撮るべき」と教えています。YouTubeの時代だからこそ、フィルム撮影でしか出せないものを、じっくり時間をかけて、奇をてらわずふりきって撮りました。若い人も含めて映画の良さを再認識して頂くためにも、是非映画館で観てほしいです。


ストレートなセリフに心を鷲掴みされました。特に甲本雅裕さんと高橋長英さんのシーンに一番泣かされましたが――?

俳優さんたちにも「大丈夫かな?クサくならない?」と確認しながら脚本を書いてました(笑)。甲本さんには7本の作品に出てもらっていて、10年前に「いつか主役で撮りたいね」と言っていたので、今回は甲本さんあてがきにしました。寡黙な父親役ですが、台本変えなくてもキャラクターを理解して演じられるのも甲本さんの才能。高橋さんも3本目ですが、さすがにベテランの妙です。奈良岡朋子さんには、『RAILWAYS - 49歳で電車の運転手になった男の物語 -』(2010年)に出てもらった時、「今後も全部の作品に出るわ」と仰って頂いて、今回実年齢(91歳)より20歳も若い郷土料理が上手なおばあちゃん役を自然体で演じて下さいました。

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演出について?

今さら言うことではないのですが、俳優さんは皆さん素晴らしいので、俳優さんたちの力を引き出すのが僕の仕事だと思っています。才能以上のものを出してもらうための現場作りをするのが監督の役目です。今回は地味なタイトルで勝負しておりますが、WEBなどでいくら便利な世の中になっても、最後はアナログというか、直接心に響くものが伝わると信じて演出しています。
 



■原作・脚本・監督:錦織良成  音楽:瀬川英史
■出演:甲本雅裕、戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子
■2020年 日本 1時間53分
■配給: ギグリーボックス  
■© 2019「高津川」製作委員会 ALL Rights Reserved.
■公式サイト:https://takatsugawa-movie.jp/

2022年2月11日(金)~梅田ブルク7、2月25日(金)~京都シネマ ほか全国順次公開


(河田 真喜子)

 

 
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