「中国」と一致するもの

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軍事境界線の“地下要塞<バンカー>”を舞台にした

空前絶後の超リアル・サバイバル・アクション!


『神と共に』のハ・ジョンウと『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュンが初共演を果たしたミリタリー・サバイバル・アクション『PMC:ザ・バンカー』ブルーレイ&DVDがいよいよ2020年7月3日(金)より発売開始します。



軍事境界線、地下30メートルの秘密“地下要塞<バンカー>”

取り残された傭兵たちの運命は、たった1人の男に託された―


PMC_3.jpg激動の近代史を背景にした実録社会派ドラマを始め、多彩なジャンルの大ヒット作を次々と放っている韓国映画界が、朝鮮半島情勢という今そ
こにある危機を題材に、驚くべきミリタリー・サバイバル・アクション大作を完成させた!

韓国と北朝鮮の軍事境界線=DMZの地下30メートルに広がる巨大バンカー。閉ざされた地下要塞で繰り広げられる極秘ミッションが、度重なる想定外の誤算に見舞われて混乱、ついに世界レベルの“戦争”へと発展する。取り残された傭兵(PMC)たちの運命は、たった1人の男に託された―。

 

傑作『テロ,ライブ』のキム・ビョンウ監督×主演ハ・ジョンウの新たなタッグ作でもある本作は、地下バンカーでの熾烈なバトルを、P.O.V.やドローンの視点を取り入れた驚異的なカメラワークで描き、映画が創造しうる“極限映像”のレベルを新次元に引き上げた。
 

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『神と共に』の製作チームとのコラボレーションによって実現したそのヴィジュアルは観る者に強烈な没入感をもたらし、傭兵戦のスリルと臨場感を余すところなく堪能させてくれる。想像を絶する迫力でクライマックスに炸裂するスカイ・アクションにも、誰もがド肝を抜かれるに違いない。また、カンヌ国際映画祭パルムドール&アカデミー賞®作品賞に輝く『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュンが、ハ・ジョンウ演じるエイハブと共闘する北朝鮮の医師ユンに扮し、白熱の演技合戦を披露しているのも見逃せない。


今回発売となる商品には、監督&スタッフ、キャストが作品への熱意を語るメイキング映像のほか、ハ・ジョンウ&イ・ソンギュンから日本のファンへ向けたスペシャル・メッセージ映像を収録。日本語吹替キャストは内田夕夜、堀川 仁、今泉葉子、山本兼平ら豪華声優が競演!

さらに!!
ツインオンラインショップで購入いただいた方には非売品プレスシート(数量限定)のプレゼントあり!

<TWIN Online Shop> https://twinshop.ponycanyon.co.jp/items/1742



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『PMC:ザ・バンカー』

Blu-ray&DVD 商品情報

発売日:2020年7月3日(金)

価格:◆ [Blu-ray] 4,700円+税
   ◆ [DVD] 4,700円+税

発売・販売:ツイン

 

【映像特典】
●メイキング
●ハ・ジョンウ&イ・ソンギュンから日本のファンへのメッセージ
●キャラクター映像
●オリジナル特報/オリジナル予告編/日本版予告編

 


【STORY】
PMC_4.jpg「北朝鮮の要人を捕らえ、安全な場所へ護送せよ」。CIAからの依頼を受け、12名の部下を率いてDMZの地下バンカーに潜り込んだ凄腕の傭兵エイハブにとって、その任務はたった10分で成し遂げられるはずだった。しかし北朝鮮をめぐるアメリカと中国それぞれの思惑に翻弄され、信頼していた仲間にも裏切られたエイハブの部隊は、バンカー内で行き場を失ってしまう。暗殺者の汚名まで着せられたエイハブが死地を脱する唯一の道は、迫りくる敵の包囲網を突破し、北朝鮮最高指導者“キング”を地上へと連れ出すこと。やがて北朝鮮のエリート医師ユンの協力を得たエイハブは、瀕死の重傷を負ったキングの蘇生に成功するが、すでに八方塞がりの彼らの行く手にはさらなる残酷な運命が待っていた……。

◆出演:ハ・ジョンウ『神と共に』シリーズ イ・ソンギュン『パラサイト 半地下の家族』
監督/脚本:キム・ビョンウ『テロ,ライブ』
ⓒ 2018 CJ ENM CORPORATION, PERFECT STORM FILM ALL RIGHTS RESERVED    
公式サイト:http://pmcthebunker.com/


 

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 3月15日に閉幕した第15回大阪アジアン映画祭で、クロージング作品『蒲田前奏曲』の世界初上映前にグランプリ以下各賞の受賞結果が発表され、グランプリ(最優秀作品賞)は、ナワポン・タムロンラタナリット監督の『ハッピー・オールド・イヤー』(タイ)に決定した。
 
 大阪アジアン映画祭ではドキュメンタリーの『あの店長』(OAFF2016)、ABCテレビ賞受賞作『フリーランス』(OAFF2016)、死生観をテーマにした『ダイ・トゥモロー』(OAFF2018)と、年を追うごとにファンを増やし、昨今はチケット完売が相次ぐ人気を誇るナワポン・タムロンラタナリット監督。今年グランプリに輝いた『ハッピー・オールド・イヤー』は、ヨーロッパでミニマリズムに目覚めた主人公が、デザイン事務所にリフォームするため、タイの実家の楽器修理店兼自宅を断捨離するところから始まる物語。現代的な身近なテーマで、映画もミニマムなのに奥深く、そしてモノとの関わりを通して自分の友達や元カレ、そして家族との関係を見つめ直していく。深い洞察力に満ち、ナワポン・タムロンラタナリット監督を新しい次元に押し上げた、まさに彼の代表作になるであろう作品だ。2018年に日本でもスマッシュヒットした『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の主演女優、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンが、本作では周りに自分勝手さを気づかされるヒロインを好演。今まで、アジア映画ファンの中では評判が高かったものの、劇場公開に至らなかったナワポン・タムロンラタナリット監督だけに、当映画祭のグランプリ受賞を機に、『ハッピー・オールド・イヤー』が日本での初劇場公開作になることを、切に祈りたい。
 
 
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 また注目の観客賞には、ABCテレビ賞受賞作『七月と安生』(0AFF2017)に続き、デレク・ツァン監督とジョウ・ドンユーがタッグを組み、さらに相手役に中国人気アイドルのジャクソン・ユーを迎えた『少年の君』(中国・香港)が見事に受賞。既に中国でも大ヒットし、映画祭では2回の上映が、いずれも満席の大人気作。こちらも日本での初劇場公開に期待がかかるところだ。
 
その他の受賞結果は以下のとおり。
 
★来るべき才能賞
パク・ソンジュ(PARK Sun-joo) 韓国/『家に帰る道』(Way Back Home)監督
<授賞理由>
この映画の時間と、ヒロインの過去が癒されていく時間が水の流れのように重なり、ゆっくりと浄化されていく過程が美しかった。監督として今後の作品にも期待したい。
 
★最優秀男優賞
間瀬英正(MASE Hidemasa) 日本/『コントラ』(Kontora)主演男優
<授賞理由>
映画全体の狂気を体現し、緊張感を絶やさず、強烈なインパクトを与えてくれた。
 
★ABCテレビ賞
『愛について書く』(Write about Love) フィリピン/監督:クリッサント・アキーノ(Crisanto AQUINO)
<授賞理由>
シリアスなテーマも織り込まれつつ、観れば明るく元気になれる、素晴らしいラブコメディである。
 
★薬師真珠賞
レオン・ダイ(Leon DAI/戴立忍) 台湾/『君の心に刻んだ名前』(Your Name Engraved Herein/刻在你心底的名字)助演男優
<授賞理由>
主人公青年の中年時代を、繊細さと緻密にコントロールされた情念で説得力たっぷりに演じきり、『君の心に刻んだ名前』に核心的な深みと陰影を与えた。彼の演技人生の新しい一頁がここに記されたことは、間違いない。
 
★JAPAN CUTS Award
『ある殺人、落葉のころに』 日本・香港・韓国/監督:三澤拓哉(MISAWA Takuya)
<授賞理由>
腐敗した小さな町、男特有の毒性、若者の不安をひるむことなく描き切った『ある殺人、落葉のころに』は極めてよく作り込まれた物語として、インディ・フォーラム部門の中でも際立っていた。三澤拓哉監督のストーリー構築に対する鋭い目と映画言語の卓越した手腕が存分に発揮されている。潔く大胆でありながらも完成度の高い本作は、三澤監督の今後の作品はもとより、日本インディペンデント映画のダイナミックかつ重要な表現の将来性について、大いに期待を抱かせるものである。『ある殺人、落葉のころに』にJAPAN CUTS Awardを授与できることを光栄に思う。
 
★芳泉短編賞
『Hammock』 日本/監督:岸建太朗(KISHI Kentaro)
<授賞理由>
ほぼ全編が1軒の家の中で展開する『Hammock』は大きな悲劇と、喪失や記憶、夢、希望といった思いを、ほとんど言葉を発しない1人の少女の視線から、素晴らしいバランスで描く稀有な短編作品である。さまざまな感情が重層的に描かれ、いずれ長編映画になるべき作品であろう。
 
第15回大阪アジアン映画祭はコチラ

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原住民、アミ族の祖母への思いを映画に込めて。
台湾アニメーション『幸福路のチー』ソン・シンイン監督インタビュー
 
 東京アニメアワードフェスティバルでグランプリを受賞、他にも世界の映画祭で受賞を果たし、台湾アニメーション映画初の快挙を続ける台北郊外の幸福路(こうふくろ)を舞台にした『幸福路のチー』が、11月29日(金)より京都シネマ、今冬よりテアトル梅田、出町座、シネ・リーブル神戸他全国順次公開される。
 
 監督は、京都で映画理論を、アメリカで映画制作を学び、アニメーション制作の実績が乏しい台湾で新たにアニメーションスタジオを設立して本作を作り上げたソン・シンイン。ジャーナリスト時代に培った観察力を生かし、台湾の昔の風情や、その裏にある政治背景を織り交ぜながら、70年代生まれの台湾女性が抱える葛藤や、人生の転機、家族との関係を時代ごとに細やかに描写。合間に挿入されるファンタジックなシーンは、想像力溢れる主人公チーの内面を鮮やかに映し出す。チーの成長やその中で浮かび上がる様々な問題に自分の体験を重ねる人も多いのではないだろうか。
 
11月に自著「いつもひとりだった、京都での日々」(早川書房刊)が日本で発刊されたのに合わせて来日したソン・シンイン監督に、お話を伺った。
 

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■移民社会ではないのに、一つの家族の中で親世代は北京語、子ども世代は母語と二つの言語が混じっている。

――――本作を見ると、今まで日本で紹介されてきた台湾映画で知ることができた断片的な台湾の歴史が、私の中で一本の線につながりました。まず、小学校時代に学校で母語を禁止され、北京語でしゃべり、学ぶことを強制されるシーンがありましたが、実際にシンイン監督はどのように感じていたのですか?
シンイン監督:私が小学生の頃は、きれいな北京語を喋れば、いい人間、つまり能力のある人間になれると思っていたので、そのことに何の疑問も抱いていませんでした。私の両親は北京語が喋れないのに、私には北京語を喋れと言うので、おかしいとは思っていたんです。でも、今の若い台湾人は、とても上手に母語で喋っていて、かえって私たち世代の方が母語を喋れないという皮肉な現象が起きています。例えば私の友達の子どもは、学校で母語教育が必須ですが、親世代は母語教育を受けていない。移民社会ではないのに、一つの家族の中に、違う言語が入っているのかと、すごく複雑な気持ちになります。今まで信じたものが覆されてしまい、何を信じていいのか。私が13歳の時、蒋経国総統が死去し、高校入学(90年)の時、ようやく小中学校における郷土教育が開始されましたから、母語が話せないというのは台湾人の中でも、私たち世代特有の体験ですね。
 
 
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■フェミニズムに触れ、祖母の行動やルーツを否定していたのは間違った教育だったと気付く。

――――ヤン・ヤーチェ監督の『GF*BF』では、戒厳令解除や、その後の学生運動の高まりも描かれていました。その時代の思い出を教えてください。
シンイン監督:87年に戒厳令が解除された時は、少しずつ国が変わっていく様子を肌で感じました。例えば、20歳の時にフェミニズムの本を読み、とても影響を受けたのです。その時初めて、アミ族の祖母がビンロウを噛んだり、タバコを吸うことはダメだと思い込んでいたり、自分のルーツを否定していたことを振り返り、間違った教育をされていたことに気づいたのです。でも既に祖母は亡くなっていて、その気持ちを伝えることはできませんでした。
 
――――台湾原住民の一つ、アミ族の祖母の死が、アメリカで暮らしていたチーが台湾に戻るきっかけになっています。さらにチーが困った時は、ふっと現れる守護神のような役割も果たしていますね。
シンイン監督:私自身は、祖母と仲良くありませんでした。実際、私の世代はみな親が仕事で忙しかったので、おばあちゃんっ子の友達が多かった。だから、友達の様子を観察しながら、「あんなおばあちゃんがいいな」とずっと羨ましく思っていたのです。映画で登場するのは、そんな孫と密接な関係にあった祖母像を描いています。私の祖母はとても気が強くて、芯も強い。あまり教育を受けたことはないけれど、シンプルな言葉がすっと出てくる。例えば、「そんなに勉強が嫌いなら、勉強しなければいい」と。母にすれば女の子はいい教育をしないとダメという気持ちがあり、医者や弁護士のような立派な職業に就いてほしいと思っていたので、祖母の言葉にすごく怒っていました(笑)今は、祖母に対してお詫びをしたいと思っています。
 
 
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■原住民運動が盛んになった90年代前半、アミ族の血が流れていることを誇りに思うようになった。

――――否定していたアミ族の血が流れていることを、今は肯定的に捉えているということですか?
シンイン監督:はい、今は誇りに思っています。90年代前半は、台湾で原住民運動が盛んだった時期です。当時、原住民は山胞(野蛮という意味)という差別用語で呼ばれていたので、正しい呼び方をすることを訴えました。大学の同級生でアミ族の男子がいたのですが、彼は自分の中国語名を捨てて、アミ族名に変えたのです。その時、彼のことをカッコいいと思いました。私も祖母のアミ族の血が流れていることを知った台湾大学の友達には、「羨ましい!」と言われたこともあったんです。
 
 

■先行して本を執筆し、投資者を募って、アニメーションスタジオを自ら立ち上げる。

――――台湾のアニメーション界はまだ成熟していない中、本作を制作するのは大きな冒険だったのではないですか?
シンイン監督:まだ台湾で制作されたオリジナルアニメーションで成功したものはありませんでしたから、ハードルが高かったのは事実です。知り合いの有名監督がアニメーションに挑戦していますが、1億台湾ドルかけて、まだ何もできていません。そんな状態ですから、制作中私も「作品は完成しないだろう」とよく言われていました。だから完成した時は本当に周りに驚かれたのです。中国の検閲を心配する投資家もいましたが、エンジェルファンドを使ったり、先に本を執筆して、投資してくれそうな人に送り、私のアイデアや夢に投資してくれる人を募りました。集まったお金で自分のアニメーションスタジオを立ち上げ、最終的に、宣伝も含めて5000万台湾ドル(1.8億円)で本作を作ったのです。
 
 
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■審査員だったグイ・ルンメイが元になった短編を高評価。チーのキャラクターデザインは、ルンメイをイメージして。

――――グイ・ルンメイがチーの声を演じていますが、その経緯は?
シンイン監督:本作の元になった短編アニメーション『幸福路上』が台北電影獎でグランプリを受賞した時、グイ・ルンメイさんも審査員の一人でした。審査委員長だったピーター・チャン監督から「『幸福路上』を一番気に入っていたのは、グイ・ルンメイだ」と聞いていたので、長編化を考えた時、まずルンメイさんが頭に浮かびました。ダメ元で、マネージャーに脚本を送り、主人公の声優になってほしいと伝えたところ、ルンメイさんはすぐに脚本を読んで、「短編より何倍も感動しました」とすぐに快諾してくれたのです。おかげで、投資家のプレゼン時にルンメイさんのキャスティングを伝えることができ、非常に助かりました。キャラクターデザインも、ルンメイさんをイメージしています。今、ユニクロの台湾イメージキャラクターなので、そのカタログを見ながら、アニメーターたちと議論してデザインしました(笑)他のキャラクターは、全て特にモデルはいないんです。一般的な台湾人という視点でデザインしていきました。
 
――――今や台湾を代表する映画監督の一人、ウェイ・ダーションさんも、チーの叔父、ウェン役で声優を務めています。雰囲気が似ているので、ダーションさんをモデルにキャラクターデザインしたのかと思いました。
シンイン監督:キャラクターデザインは全てできていたのですが、ウェン役だけどうしても声優が決まらなかったんです。そこでプロデューサーの一人が、「あなたの友達、ウェイ・ダーションがいいんじゃない?」と勧めてくれました。ダーションさんは『海角七号 君想う、国境の南』で大ブレイクするずっと前、私がジャーナリスト時代に彼を取材したことがあったのです。本当にまだ誰も取材しない時代だったので、当時新聞社の上司になぜ取材したのかと驚かれました(笑)そういう縁があったので、依頼すると脚本を読む前から即快諾してくれましたが、内心は本当に完成するのかという懸念もあったようですね。
 
――――脚本を書くのは大変でしたか?
シンイン監督:マルジャン・サトラピ監督の『ペルセポリス』のように、ある女性の半生、つまり自分の中から湧き上がるものを書いているので、楽しかったです。中には自分の政治的主張を作品に込める人もいますが、私はそれをしたくなかったのです。
 
 

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■チーの生涯の友人、チャン・ベティは、同姓同名の友人をエピソードもそのまま描く。

――――登場人物の中で、チーの小学校時代からの友達で金髪に青い目の混血児、チャン・ベティは、大人になってからもチーを勇気付ける存在ですね。
シンイン監督:チャン・ベティは実在の人物です。私のクラスメイトで、映画同様に出会ったその日におもらしをしてしまったり、泣き虫な女の子でしたが、私が小学4年生の時、突然学校に来なくなり、私の生活からいなくなってしまったのです。映画では、ベティは大人になってたくましいシングルマザーになっています。というのも、彼女のような女性をとてもすごいと思うからで、この映画を見て、連絡をくれたらという思いも込めて描きました。
 

――――シンイン監督もアメリカで暮らしている時期がありましたが、チーのように離れてみて故郷、台湾への望郷の念が湧いてきたのでしょうか?

シンイン監督:もちろん、そうです。だから、台湾に戻って、この作品を作りました。これからも台湾をベースに映画を撮っていきたいです。アメリカ時代はシカゴに住んでいたのですが、クラスメイトは優しかったけれど、貧しい白人はアジア人のことが嫌いなので、一度バーで「中国に帰れ、ビッチ!」と見知らぬ白人男性からビール瓶を投げつけられたこともありました。アメリカン・ドリームは幻想でしたね。

 
――――この作品はすでに世界中で上映されていますが、観客からの声で心に残ったものはありますか?
シンイン監督:あるフランス人の若い女性はすごく泣いていて、自分の祖母もトルコ出身なので、台湾のことは知らないけれどチーの気持ちが分かると言ってくれました。みなさん、自分の人生を重ねて見てくださるみたいです。男性の方も、「チーは自分を見ているようだ」と言ってくださいます。皆の心の中に、家族への憎しみもあれば、愛もあるのではないでしょうか。
(江口由美)
 

<作品情報>
『幸福路のチー』(2017年 台湾 111分) 
監督:ソン・シンイン 
声の出演:グイ・ルンメイ、チェン・ボージョン、リャオ・ホェイジェン、ウェイ・ダーション、ウー・イーハン他
2019年11月29日(金)より京都シネマ、2020年1月24日(金)よりテアトル梅田、シネ・リーブル神戸他全国順次公開
公式サイト→http://onhappinessroad.net/
 

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オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』特製

極限マグカップ プレゼント!

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◆ 提供:アスミック・エース

◆プレゼント数:3名様

◆ 締め切り:2019年11月17日(月)

◆公式サイト:  http://over-everest.asmik-ace.co.jp/


 

2019年11月15日(金)~TOHOシネマズ梅田 他全国ロードショー!!

 


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日中合作の圧倒的スケールで贈るスペクタクル・エンタテインメント誕生!!

“ヒマラヤの鬼”が挑む、難攻不落のミッション!

世界最高峰デスゾーンで失われた重要機密文書を奪還せよ!! !


標高8,848M/氷点下83℃という過酷な条件下の世界最高峰・エベレストを舞台に、史上空前のスケールと映像美で贈るスペクタクル・エンタテインメントが誕生した。

主演を務めるのは日本映画界を代表する名優・役所広司。“ヒマラヤの鬼”と呼ばれ、救助隊「チーム・ウィングス」を率い る隊長・ジアンを演じる。極限地帯でのドラマを彩る確かな演技力はもちろん、雪山で繰り広げられる、これまでのイメージを覆すような激しいアクションシーンも必見!

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そんな役所と初タッグを組んだのは、『フェイス/オフ』『M:Ⅰ-2』『レッドクリ フ』シリーズなど世界的大ヒット作を多く手掛ける名プロデューサーのテレンス・チャン。本作での役所広司について「役所広司さんの大ファンで、彼のことを世界で一番優秀な俳優だと思っていたので、いつか一緒に仕事がしたいと思っていました。ファンタスティックだった!」と話すなど、日中映画界の最高峰2人の化学反応に期待が高まる!
 



【STORY】 
OverEverest-pos.jpgヒマラヤ周辺国家の平和に関わる、重要機密文書を載せた輸送機がエベレスト頂上付近・通称デスゾーンに墜落。謎の男たち に文書奪還を依頼されたジアン隊長率いる「チーム・ウィングス」は、懸念を抱きながらもその任務を引き受ける。残された時間 はわずか48時間。世界の平和のため、命懸けで挑む登頂のその先に、待ち受けるものとは―! 


◆ 出演:役所広司 チャン・ジンチュー リン・ボーホン     ビクター・ウェブスター ノア・ダンビー グラハム・シールズ ババック・ハーキー プブツニン
◆声の出演:役所広司、沢城みゆき、宮野真守 ほか
◆監督・脚本:ユー・フェイ
◆プロデューサー:テレンス・チャン
◆撮影監督:ライ・イウファイ
◆美術監督:パク・イルヒョン チー・セバク
◆日本語吹替版主題歌:GLAY「氷の翼」(LSG)
◆提供:バップ  
◆配給:アスミック・エース ©Mirage Ltd. 
◆2019/中国・日本/110分/原題:Wings Over Everest(中国題:冰峰暴)/PG-12 
◆公式サイト:  http://over-everest.asmik-ace.co.jp/

 

2019年11月15日(金)~TOHOシネマズ梅田 他全国ロードショー!!


(オフィシャル・リリースより)

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『SHADOW/影武者』“2本で1膳”オリジナル影武者箸プレゼント!

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◆提供:ショウゲート

◆プレゼント数:3名様

◆締め切り:2019年9月15日(日)

◆公式サイト: http://shadow-movie.jp/


2019年9月6日(金)~大阪ステーションシティシネマほかにて全国ロードショー!


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武侠アクションの新時代を切り開く、傑作エンターテインメント!!!


『HERO』(02)、『LOVERS』(04)のチャン・イーモウ監督と主要スタッフが再タッグを組み「三国志」の〈荊州争奪戦〉をダイナミックにアレンジ。武侠アクションの新時代を切り開く、傑作エンターテインメントが誕生。監督が「自分が本当に撮りたい物語と巡り合った」と語る本作は、「第75回ベネチア国際映画祭」にて絶賛され、海外のレビューサイト「Rotten Tomatoes」では支持率95%(19年5月31日時点)をたたき出し、“Fresh”と高評価を獲得。そして、「第55回金馬奨」4部門受賞、アジア版アカデミー賞「第13回ASIAN FILM AWARDS」では最多の4部門受賞、米エンタメ誌の「バラエティ」が発表した<2018最も期待される映画20本>に選出され、国内外から高評価を得ている。


主演は、『戦場のレクイエム』(07)での演技で高い評価を受けて以来、『人魚姫』(16)、『ドラゴン・フォー秘密の特殊捜査官』シリーズなどに出演する中国を代表する唯一無二の俳優・ダン・チャオ。観るものを魅了するダン・チャオが今回演じるのは、頭脳明晰で武芸の達人でもある沛(ペイ)国の重臣・都督(トトク)とその影武者の1人2役。筋骨隆々な影武者から20kg減量し病んだ都督役に挑み、鬼気迫る演技で圧倒する。


都督の大輪の華のように優美な妻には、歴史ドラマ「宮廷の諍い女」(11)で国際エミー賞女優部門ノミネート、歴史ドラマ「月に咲く花の如く」(17)で主演を務め、「第31回飛天奨」で優秀女優賞に輝き、ダン・チャオと私生活でも夫婦であるスン・リー。監督は、興行収入40億円を超え社会現象にもなった『HERO』(02)を手掛け、続く『LOVERS』(04)では、興行収入22億円を超え、武侠アクションの一時代を築いた中国の巨匠・チャン・イーモウと豪華な顔ぶれが揃った。


 <STORY>
SHADOW-pos.jpg時は戦国時代、沛(ペイ)国が領土を、敵の炎国に奪われて20年。若くしてトップを継いだ王は、敵と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねているのが、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督(トトク)だ。都督は敵の将軍にして最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に、手合わせを申し込む。彼の勝手な行動に怒り狂う王だが、実は目の前の都督は影武者で、本物の都督は自分の影に、自由と引き換えに敵地での大軍との戦いを命じていた。そして王も、ある作戦を秘めていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも──?

監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ、リー・ウェイ
出演:ダン・チャオ、スン・リー、チェン・カイ
2018年/中国/カラー/中国語/116分/PG12
原題:SHADOW
©2018 Perfect Village Entertainment HK Limited Le Vision Pictures(Beijing)Co.,LTD Shanghai Tencent Pictures Culture Media Company Limited ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト: http://shadow-movie.jp/

2019年9月6日(金)~大阪ステーションシティシネマほかにて全国ロードショー!


(オフィシャル・リリースより)

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見る人が自由に解釈し、「自分の映画だ」と思ってもらえる映画づくりを目指したい。
『僕はイエス様が嫌い』奥山大史監督インタビュー
 
 第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を受賞した他、海外の映画祭で高い評価を得ている奥山大史監督の初長編作『僕はイエス様が嫌い』が、7月5日(金)~大阪ステーションシティシネマ、7月12日(金)〜シネ・リーブル神戸、8月17日(土)〜京都シネマほか全国順次公開される。
 
 東京から雪深いミッション系の小学校に転校した小学生のユラは、慣れない祖母の家から登校すると、初めての礼拝でちいさなイエス様と出会う。友達ができないときも、やっとカズマという友達ができたときも、ユラだけに見えるイエス様はひょっこり現れるが…。
 
 自身の体験を反映させ、奥山監督は21歳の青山学院大学在学中に本作を撮影。自身で脚本・編集・撮影も手掛けている。初監督作品でありながら、非常に客観的な視点で、少年ユラに起こる出来事やユラの心の動きを、セリフではなく、シンプルなショットの積み重ねで静かに、でも確実に観客に見せていく。誰でも子どもの頃に考えたことがある神様について、そして大事な人との別れについて、その記憶を思い起こさせてくれるような優しくも切ない作品。抑制された中でキラリと光る何かをたくさん感じることができる秀作だ。ユラを演じる佐藤結良の自然な演技にも注目したい。
 現在は大手広告会社に勤めながら映像系の仕事を手掛けている奥山大史監督に、映画に込めた狙いや、初監督作でチャレンジした点についてお話を伺った。
 

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■初めて宗教に触れる時の違和感を表現する「主の祈り」エピソード

―――キリスト教の小学校に転校してきたユラにとって、最初の衝撃的な体験はチャペルでのお祈りの時間です。そこで暗唱する主の祈りのエピソードが非常に大きな意味を持ちますね。
奥山: 主の祈りは、最初に宗教に触れた記憶として強く印象に残っています。僕自身、小さい頃にキリスト教の幼稚園へ転園したのですが、賛美歌は、聖書があれば譜面や歌詞が載っているので歌えるのですが、主の祈りはみんなが暗唱しているのに、自分だけその存在すら知らないことがすごく不思議に思えたのです。初めて宗教に触れる時の違和感を表すのに、一番いいと思い、映画に取り入れています。また、まだ主の祈りを覚えていない時は、皆が目をつむって暗唱している間、つい目を開けてソワソワしながら周りを見てしまうのですが、そういう時に小さいイエス様を見つけると面白いのではないか。そこからアイデアが浮かんだのです。
 
 
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■幅広い年代に楽しんでもらうために生まれた小さなイエス様、しゃべらないキャラクターの原点は、カートゥーンネットワークのアニメたち。

―――主人公ユラだけに見える小さいイエス様が色々な仕草をするのが意外性も相まってとても斬新かつユーモラスでしたが、企画当初からのアイデアですか?
奥山: 僕の小さい頃に亡くなってしまった親友に捧げる映画を作りたいという思いから始まった企画なので、小さなイエス様は想定していませんでした。ただ、企画を練り始めると、やはり重くなりすぎてしまい、一体誰が楽しめるのかと立ち止まって考えたのです。子どもから大人まで幅広い方に楽しんでいただける映画にするにはどうすればいいのかと悩んだ過程で、小さいイエス様というアイデアが生まれました。
 
―――イエス様がしゃべらないのも、サイレント映画っぽくていいですね。
奥山: 昔からケーブルテレビのカートゥーンネットワークで放送されていたアニメをよく観ていたのですが、ピンクパンサーやスヌーピー、トム&ジェリーなど、しゃべらないキャラクターが大事なポジションを務めている作品が好きでした。言葉で説明せずに、キャラクターの動きで色々なものを子どもの視点で映していく感じがとても好きなので、今回もユラの視点に合わせてカメラを回し、イエス様も全然しゃべらないようにしています。
 
 
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■電話の音一つでも映画の印象を変えることができる。

―――登場人物もセリフを最小限に抑え、絵で見せる演出が魅力的でしたが、その意図は?
奥山: 言葉では伝わりづらいものを、絵の流れで見せる方が伝わることもある。だから、なるべく状況を説明するのは、セリフではなく、絵や音でつけるようにしました。例えば電話の音一つでも、いくらでも映画の印象を変えることができるのです。最初にカズマからユラにかかってきた電話の音と、嫌な出来事でかかってきた電話の音とでは若干音を変えているんです。今回はそういう音一つ一つの調整をとても大事にしています。
 
僕は『家族ゲーム』が好きなのですが、あの映画もヘリコプターの音だとか、音がすごく良いのです。一回も音楽が流れなくて、「音楽ではなく、音で全てを説明する」という覚悟が見えて、そこもすごく素敵ですよね。それぐらいこの作品も言葉では説明しないように心がけました。
 
―――雪の世界が舞台であることも相まって、静かに、丹念に積み上げられた物語をそっと覗いているような、心がほっと暖かい気持ちになる仕上がりでした。
奥山: どうしても入社前に映画を撮りたいと思うと冬の時期しか時間を取れず、それなら折角だから雪を映したいということで雪の中での撮影に挑みました。撮影中は曇ったり吹雪いたりすることなく、天気に恵まれて本当にラッキーでした。また、最初の方に軽井沢の別荘でユラとカズマが遊ぶシーンを撮ったのが良かったですね。
 
―――映画の冒頭に登場する、障子に穴を開けるのが好きなユラのおじいちゃんも、実際には亡くなっていますが強烈な印象を残します。
奥山: この映画のファーストカットだったのですが、おじいさん役の二瓶鮫一さんと、どんな気持ちで(障子の穴から)覗くかとか、色々な話ができました。この映画を満足いくような形で完成させることができたはじまりだった気がしますね。どんな優秀な監督の現場でも、ファーストカットの直前は皆ピリッと緊張するのですが、そんな中で二瓶さんのような経験のある役者さんがすっと座って、粛々と芝居をしてくれることは、僕らのような自主映画の体制の中で、とてもいい効果を産んでくれたと思っています。
 
―――映画を作るにあたって、心がけた点は?
奥山: 主演者に15歳から25歳の年代は入れないことを、少し意識していました。その年代でお芝居を目指している人はギャラが低くても出演してくれますし、コミュニケーションも取りやすい。上手い役者さんもたくさんいるのですが、そんな方ばかりが出演することで、自主映画っぽさが増してしまうこともあります。身近な学生映画をたくさん見てきたから分かるのですが、あえてそこをしっかり外すと学生映画っぽさをなくせると思ったのです。もちろん子役を起用すると親御さんの交通費もかかりますし、撮影時間の制限もあるのですが、それに勝る映画的なものが撮れると思い、今回は挑んでいます。
 
 
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■子どもに寄りかかりすぎない、年相応のことをしてもらえる演出に。

―――なるほど、すごく納得する部分があります。幅広い年齢層にアプローチすることにもつながりますね。主演、ユラ役の佐藤結良さんについて教えてください。
奥山: 既に演技経験もある子役ですが、ワンテイクの後、「次はこうしてほしいんだけど」と指示を出しても、「うん」とニコッとしてもう一度始まるのを待っている感じでした。でもいざもう一度やると、完璧にこなしてくれる。かと思えば子どもらしいサッカーシーンもすっとやってくれますし、こちらの意図を汲んで芝居をしてくれるんです。撮影時は11歳だったのですが、もう少し大きくなると男の子は大きくなるし、声変わりもしてしまう。だから『誰も知らない』とか『リリイ・シュシュのすべて』など、一瞬の少年のその時代にしかない儚さを捉えたような映画は好きですね。
 
―――演技経験がありながらも、自然な演技で「演じている」ことを意識させないのが、物語のトーンに合って良かったです。
奥山: 子どものお芝居が良くない意味で気になってしまう映画もありますが、それは作っている側が子どもに頼りすぎてしまっている気がするのです。この映画でも頼っている部分はもちろんありますが、子どもに寄りかかりすぎないように、年相応のことをしてもらえるように調整していきました。最初は泣くシーンもあったのですが、撮影していくうちに泣かないことにすることもありました。背中だけでお芝居をすることができる子だったので、なるべく抑えた芝居で一貫させた方がいい。それで感情がふと触れてしまうことが最後に出てくればいいなと思って、演出しました。
 
 
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■食卓シーンの構図で浮かび上がる「おじいちゃんの不在」

―――他にも、ユラのご両親とおばあちゃんを囲んでの食卓シーンが度々登場し、友達ができたのか気になって仕方がない大人たちと、その中で少し居心地が悪そうなユラの姿が、子ども時代の食卓を思い出させてくれました。
奥山: 食卓のシーンの構図では、おじいちゃんの不在感を出せたらと思っていました。4人なので二人ずつ向かい合わせて座ればいいのに、なぜかユラが真ん中のお誕生日席で、おばあちゃんの隣の席が空いている違和感を出せないかなと。僕もおじいちゃんが先に亡くなったので、おばあちゃんの家に行くとおじいちゃんの座る椅子は誰も座らなかったんです。もういなくなってしまった人の椅子をなんとなく残しておく感じは、僕以外の誰か共感できる人がいるのではないかと思って、あえて説明することなく、取り入れています。
 
―――『僕はイエス様が嫌い』というタイトルもセンセーショナルですが、英題は『JESUS』とシンプルですね。
奥山: 僕は今、コピーライターでもありますが、『僕はイエス様が嫌い』というタイトル自身がコピーみたいですよね。タイトルのことで印象的だったのは、マカオの映画祭で中国人の方が非常に熱心に質問してくださり、それに答えた後、ふと気になってタイトルのことを聞いたことがあったんです。というのも、普通は英題を訳すのですが、中国はなぜか日本語タイトルをそのまま中国語訳にしていたので。その時の答えが「『僕はイエス様を信じない』なら嫌だけれど、嫌いになるぐらいイエス様を好きだったということが映画を見て伝わったので、『僕はイエス様が嫌い』でいいと思うし、自分もそう思うことがある」と言ってくださったんです。海外の映画祭で色々なお客さんの反応をいただいていますが、質問は出ても拒絶されることはなかったというのは、イエス様がユラの想像であり、都合の良い神様の象徴でしかないと受け取ってくださっているからだと思っています。
 
 
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■今いるところから死後の世界を覗き見るような行動を、映画全編で表してみる。

―――亡くなった親友に捧げる映画を作り上げた今、改めて思うことはありますか?
奥山: どこかで、友達が死んでしまったことが自分の中で整理できていなかったということに、気づきました。今も整理できたかどうかは分かりませんが、死んでしまったらどこに行くの?とか、なぜ死んでしまうのだろう?とか、なぜいつか死んでしまうことを皆知っているのに普段は忘れて生きることができるんだろう?と。誰もが考えることだと思いますが、僕の場合、早い時期に親友が死んでしまったことで、変に考え込んでしまった時期があり、どこかでそれを引きずっていたことを自覚できた気がします。
 
―――遅かれ早かれ誰もが体験することですが、奥山監督にとって映画を作るということが、自分の体験を捉えなおすきっかけになったのですね。
奥山: もう一つ、映画を撮る過程で思ったのは、死のことを考えるのが怖いから宗教があるのかなとか、自分では操作できないことを受け入れる文化ができたのかもしれないということ。何かを信じるというのはどういうことなのかも考えましたし、宗教とは何なのだろうと。ただ、子どもに「宗教とは?」を語らせる訳にはいかないので、今いるところから死後の世界を覗き見るようなことを、行動としてこの映画全編で表せないかと思い、車の中から外を見たり、踊り場から外を眺めたり、障子に穴を開けたりを繰り返し入れています。誰もが一度は経験したことがあることだと思いますので、映画を見て、何かを感じていただけたらうれしいですね。
 
 
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■見る人が自由に解釈し、「自分の映画だ」と思ってもらえる映画づくりを目指して。

―――ユラが親友のカズマを家に呼んで人生ゲームで遊んだり、ちょっと懐かしい昔あるあるのシーンも楽しかったですが、どんな層にみていただきたいですか?
奥山: 僕はできれば子どもに観ていただきたい、さらに言えば親子で観て、色々話してもらえればうれしいなと思いますし、ゆくゆく映画公開やDVD発売が落ち着いたら、学校の授業でも使ってもらえたらうれしいなと思いますね。
 
障子の先に何が見えたかとか、なぜサッカーの途中でユラが帰ってしまったのかとか、余白を少しずつ残していくことで観る人が自由に解釈し、自分の中で映画を完成させてもらえたら、きっと見た人が「自分の映画だ」と思ってもらえるのではないか。僕自身、映画を観てそう思いましたし、これから、そう思ってもらえる映画作りを目指していきたいです。
(江口由美)
 

 

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<作品情報>
『僕はイエス様が嫌い』(2019年 日本 76分)
監督・撮影・脚本・編集:奥山大史
出演:佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子
2019年7月5日(金)~大阪ステーションシティシネマ、7月12日(金)〜シネ・リーブル神戸、8月17日(土)〜京都シネマほか全国順次公開
公式サイト: https://jesus-movie.com/
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