レポートインタビュー、記者会見、舞台挨拶、キャンペーンのレポートをお届けします。

2012年4月アーカイブ

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唯一無二の存在感で熱狂的なファンを持つ沖縄出身のシンガーソングライターCoccoと『鉄男』シリーズの鬼才塚本晋也監督が作り上げた衝撃作『KOTOKO』。完成したばかりで出品した第68回ベネチア国際映画祭では、スタンディングオベーションで熱狂的に受け入れられ、オリゾンティ部門グランプリを受賞した作品だ。音楽から企画、原案、美術まで担当し、初主演を果たしたCoccoと本作を作り上げる過程や、その中でのこだわり、本作で描きたかったことなど、キャンペーンで来阪した塚本晋也監督にお話を伺った。


━━━Coccoさんと一緒にやることになったきっかけは。

CoccoさんのPVを撮ってた監督やドキュメンタリーを撮っていた監督が集まってCoccoさんの短編を撮るという企画『inspired movies~Cocco歌のお散歩』(10)に参加させていただき、その作品を気に入っていただいたのが直接のきっかけです。前からCoccoさんと映画をやりたいと言っていたので、「今だったらできるよ。」と声をかけてくれました。それ以前にも『ヴィタール』(04)に出てくるヒロイン像にCoccoさんを重ね合わせていて、その世界観を見てもらおうと台本をお送りしたら、Coccoさんから自宅でギターを弾いた歌が送られてきて、それがきっかけでエンディングに使わせてもらったりもしています。

━━━Coccoさんに初めてお会いになったときの印象は。

ちょうど活動休止をされた後、ゴミゼロ大作戦というイベントに参加されたときに挨拶に行ったのが初対面で、すごく緊張しました。Coccoさんがデビューしたての頃から歌と存在感、歌っている詩の世界にインパクトを受けて、ずっと興味がありましたから。実は『BULLET BALLET』(98)を描くときにもCoccoさんのイメージを投影していたんです。肝心のCoccoさんのほうは、「やっと会えたね。」みたいな明るい感じでしたね。

━━━お二人でどういう形で作品を組み立てていったのか。

Coccoさんにインタビューを繰り返しました。最初に「私は二つ見えるんです。」という話を聞いて、それ以降はメールで事実の描写や詩のようなものをいただきました。本当と空想が入り混じった混然としたものをたくさん浴びながら、徐々に物語にしていきました。

━━━母子の物語にしたのはなぜか。

『inspired movies~Cocco歌のお散歩』を撮ったときに、自分が母を7年介護した直後だった関係で、Coccoさんと母の話をしたことがありました。僕は母とべったりでしたが、Coccoさんはお子さんとの間に距離を感じたので、その距離は何なのかを探る旅にしました。最後には両方とも違う形で深い愛情があることに変わりはないことに気づくまでの旅でもあったのです。実際にCoccoさんからいただいたエピソードを母子中心の話にして、Coccoに意見をいただきながら書き直し、今の形になりました。駄目なところはちゃんと言っていただいたので、出来上がったときにはCoccoさんの中で琴子が一本化した揺るぎないものになったと思います。

━━━Coccoさんに言われて一番印象に残った意見は。

暴力的な描写の場面で、こちらはCoccoさんのファンのことを考えて、緩和した表現にしようとしたときに「緩和してはいけない。」と言ってくれました。緩い暴力の表現は暴力を肯定することになります。これは暴力をファンタジーで描くのではなく、完全に暴力を否定する映画だから「徹底的にやった方がいい。」と言われたことが一番大きかったです。今までの『鉄男』は、人間の中にある暴力性をきれいごとで隠すのではなく、想像の世界はエンターテイメントとして表現したのですが、そういう類の暴力ではないんです。本当にイヤな見たくないものをやるということです。

━━━クランクイン直前に震災が起こったことで、作品自体に影響はあったか?

子どもが登場するシーンがあるので、かなり難しいこともありました。自分の周りのお母さんもすごくエキセントリックになる人がいるので、琴子のイメージとすごく重なったんです。脚本は全く書き換えていないのですが、自然に重なり、こういうお母さんたちの気持ちにガッチリ入り込んで作ってきた映画だと思います。

━━━即興的な演出のようにも見えたが。

即興的に見えたのは沖縄でのシーンがあるからだと思いますが、基本的にはコンテがちゃんとあって脚本通りのセリフを言っています。Coccoさんにインタビューで聞いたことを起こしたセリフだから実感を持って言えるというのが基本にありますね。田中としゃべっていて自傷するシーンやベランダで父のことを話すシーンは、即興的なアドリブというよりは、自分で話すことを決めてきたアドリブです。沖縄は子どもと仲良くなるまでという課題があって、それをCoccoさんが自由演技でやっています。カット割りも実はオーソドックスです。Coccoさんも「人生を注いだ。」と言ってくださっている通り、ドキュメンタリーではなく人生のありようを投影したフィクションです。

━━━Coccoさんの演出で心がけたことは。

本番で本当の感情を出すような演技をされる方で、リハーサルではそういう演技はされないので、なるべく本番になるまでに細かい段取りを積んで、本番に集中してもらうようにしました。そのときやっている感情はホンモノなので、リハーサルで何度もやってもらうのは逆に申し訳ないのです。

━━━塚本監督演じる田中はどういう考えから生まれたキャラクターなのか。

元々は、インタビューでCoccoさんが巨大な喪失感を抱えているように感じたので、映画の中盤で巨大な喪失感をもたらす、救世主じゃない意味合いで作った役なんです。でも田中を自分が演じる段階で、最後の喪失感は全く関係なく自分がCoccoさんをリサーチするように、キャメラ、田中が三者一体となって現場でもリサーチしていくような役柄になっていきました。実際、田中を自分が演じると思っていなかったのですが、Coccoさんも現場の人数を増やしたくなかったし、僕も集中したかったのでほかの俳優さんを呼ばないようにしたのです。Coccoさんにこの役をやれと後押しされた形でやっただけで、『鉄男』のときみたいに、「絶対に俺がやるんだ!」といった気持ちや役者としての野心や野望全くなしに、ただ琴子に寄り添いました。Coccoさんが後押ししてくれた大事な役なんだろうということしかなかったです。

━━━本作での暴力描写はどんな意味を持つのか。

今度の映画を作る発動力となったのは、「戦争が怖いという映画を作りたい。」という想いでした。暴力とは主人公に襲いかかる戦争のようなものです。戦争では自分の子どもが奪われてしまうことが一番怖いので、子どもを守ることに神経質になってしまう。琴子はその気持ちを投影している役です。戦争は絶対暴力なので、それがきたら絶対に復活できなくなります。だから、「それはダメだ。」ということを恐ろしいまでに描きました。田中さえも離れてしまうぐらい、絶対に近づけないのです。

━━━母と子の関係は本作で描かれるようなあらゆる恐怖を越えるのか。

映画で主観が移るというのはとても大事なことで、最初はずっと琴子が主観で躍起になっているのですが、だんだん子どもが主観になります。子どもが琴子を守る立場になるから大丈夫ですよ、とCOCCOさんにエールを送りたいという感じでしょうか。

━━━監督がこれから描きたいと思っている題材は。

今は来るべき戦争に対する恐怖が大きいです。子どもだけでなく、大事な人を守るのが難しい時代に、それでも大事な人を守らなければいけない。本を読んで調べているのは第二次世界大戦で、いつかはこれを題材に映画を作りたいと思っています。後は真逆ですが手作りアニメも作ってみたいかな。


『鉄男』シリーズの印象からか、強面のイメージを抱いていたが、いたって自然体でかつCoccoに対する敬意の念が随所に感じられた塚本監督。今までの暴力描写とは違ったエンターテイメントではない戦争のような暴力で、絶対にあってはならないものを敢えて描き切った背景にはCoccoの強い意志が反映されている。運命的な二人が作り上げた魂の映画は、恐怖に満ちた現代に生きる私たちに衝撃と共感をもたらしてくれるだろう。(江口由美)

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テイラー・キッチュ、浅野忠信、リアーナ、ピーター・バーグ監督ほか登壇!
空母のフライトデッキで初の記者会見
■日時:4月2日(月)
■場所:米軍横須賀基地 原子力航空母艦ジョージワシントン
■登壇者:テイラー・キッチュ、浅野忠信、リアーナ、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、ピーター・バーグ監督
 


『バトルシップ』

(2012年 アメリカ 2時間10分)
監督:ピーター・バーグ『ハンコック』 
製作:ブライアン・ゴールドナー、ベネット・シュニアー、サラ・オーブリー、ピーター・バーグ
VFX:ILM
出演:テイラー・キッチュ『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』/浅野忠信『47RONIN』『マイティ・ソー』/リーアム・ニーソン『アンノウン』『シンドラーのリスト』/リアーナ(映画初出演) 
配給:東宝東和  
4月13日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
公式サイト⇒
http://www.battleship-movie.jp/

【作品概要】
battleship-1.jpg台はハワイ。アメリカをはじめとする世界各国の護衛艦が集結して大規模な軍事演習が行われるなか、沖合に正体不明の巨大な物体が出現する。それは、地球からの友好的な呼びかけに応じて飛来したエイリアンの母船だった。
しかし、呼びかけを行った科学者たちの意図とは裏腹に、エイリアンは次々と未知の武器を繰り出し、激しい攻撃を仕掛かけてくる。その戦いの最前線に立たされたは、演習に参加していた米海軍の新人将校アレックス・ホッパーと、彼がライバル心を燃やす自衛艦の指揮官ナガタだった。

弱点も戦略も読めないエイリアンに対し、知力と体力の限りを尽くして立ち向かう海の精鋭たち。果たしてエイリアンの攻撃の目的は何なのか?アレックスとナガタはそれを阻止することができるのか?そして、彼らは地球を壊滅の危機から救うことができるだろうか!?


太平洋上に出現したエイリアンの侵略部隊と世界連合艦隊の壮絶な戦いを未曾有のスケールで描く本作は、『E.T.』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ジュラシック・パーク』といった映画史に残るヒット作を世に送り出してきたユニバーサル映画が100周年を記念して放つアニバーサリー超大作です。
この度、来日した本作主演のテイラー・キッチュ、世界の歌姫リアーナ、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、ピーター・バーグ監督、そして浅野忠信が一堂に会し、日本初となる空母ジョージワシントンでの記者会見を行いました。

原母ジョージワシントンのフライトデッキには、 日本が100名(スチール70名+ムービー30名)、海外が50名の あわせて150名ものプレスが集まりました。
米軍セーラーが敬礼で迎えるレッドカーペットは、 映画のワンシーンさながらに厳粛な雰囲気を醸し出すも、 主演のアメリカ海軍新人将校アレックス・ホッパー役のテイラー・キッチュ、 アレックスの部下・レイクス役のリアーナ、海上自衛隊の艦長・ナガタ役の浅野忠信、アレックスの恋人で理学療法士サマンサ役のブルックリン・デッカー、 アレックスの兄で司令官ストーン・ホッパー役のアレクサンダー・スカルスガルド、 そしてピーター・バーグ監督が次々に現れると一変、 会場は華やかなムードに包まれました。
会見では登壇者6名が本作にかける情熱や見どころ、 そして撮影の裏話などを語りました。
記者からの質疑応答では、時間内に収まりきらないほど 多くの質問が寄せられ、注目の高さがうかがえました。

【会見内容】
MC:一言ずつご挨拶お願いします。
ピーターバーグ監督:今日はこの場にお越しいただき、ありがとうございます。このときは僕だけでなく、みんなにとってエキサイティングな時間です。この映画の企画は、父が海軍マニアだったのもあって、少年のころから考えていたものです。この場にいる水兵のみなさんにも感謝を。空母ジョージワシントンの上で会見ができることを誇りに思っています。
リアーナ:こういったチャンスを与えてくれてありがとう!海兵のみなさんと同じレベルまで演じられたかわかりませんが、がんばりました。この艦を母艦としている兵士のみなさん、ホームに招いてくれてありがとう!
浅野忠信:2年前の今頃、海上自衛隊の艦に乗せてもらい説明を受けました。その後ハワイで撮影し、今この艦に乗れて幸せです。映画がヒットすることを願っています。
アレクサンダー・スカルスガルド:この映画に出られたことは栄誉であり、ありがたいことです。今日この日を楽しみにしていました。1年半ぐらい前に撮影が始まりましたが、多くの人のサポートがなければできなかったので、本当に感謝しています。
テイラー・キッチュ:パールハーバーで6か月間撮影し、兵士のみなさんとその家族を見て、いろいろな犠牲を払ってがんばっている姿に影響を受けました。今みなさんの前に立つことができて本当にうれしいです。

<質疑応答>
Q:(監督へ)日本初という空母での会見、ご感想をお願いします。
監督:『バトルシップ』は幸運にめぐまれました。海軍の空母や駆逐艦など使わせていただき撮影ができました。そして乗組員たちの力量に驚嘆しました。戦艦が持っている力は大きく、それを多くの人のために良いことのために使うことができることを、今この場で感じることができます。


Q:(監督へ)お父さんが海軍オタクだったそうですが撮影時、特にこだわったことはなんですか?具体的なシーンや事柄をおしえてください。
監督:『バトルシップ』のいちばん大切なことは、夏の娯楽作品だということです。ファミリーに観てほしいので、楽しい映画にしたいと思いました。海軍マニアな父の息子ですし、従軍している友人もたくさんいるので、この映画を観た水兵たちに「そうそう、こうなんだよ」と言ってもらえるような映画にしたくて、映画批評家ではなく水兵たちをまず念頭に置いて映画を作り上げました。

Q:(リアーナへ)初の女優としての経験はいかがでしたか。
リアーナ:最高の体験でした。もちろん緊張したし初めての撮影から台本になかったシーンで、ナーバスになる暇もありませんでした。本当にすばらしい共演者に恵まれました。また機会があったら、挑戦したいです!

Q:(テイラー、浅野さんへ)リアーナとの共演の感想をお願いします。
テイラー:どんな役者であっても、初だろうが60本目の映画だろうが、いちばん大切なのは、撮影時に心をオープンにして演じること。彼女は監督のプロセスに乗っ取って反応し演じていたので尊敬しました。
浅野:歌手として活躍されているので、最初から存在感がありましたね。すでに役柄として説得力があって、海兵そのものでした。

Q:(浅野さんへ)自衛隊の艦も見学されたとのことすが、日本とアメリカの艦の違いなどありましたか。
浅野:怒られてしまうかもしれませんが、日本はやはり真面目だからか、とてもきれいで、アメリカのほうはところどころラフなところが…コーラのキャップが挟まっていたり(笑)。汚いというわけではないんですよ!
監督:一言、付け加えさせてください。アメリカのほうはとてもクリーンなんです。日本のほうはさらにクリーンというだけですよ(笑)。
(東宝東和リリースより)
 



battleship-wp1.jpg『バトルシップ』ワールドプレミア上映 レッドカーペット・舞台挨拶
■日時:4月3日(火)
■会場:国立代々木競技場 第一体育館

■登壇ゲスト:テイラー・キッチュ、浅野忠信、リアーナ、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、グレゴリー・D・ガドソン、ピーター・バーグ監督、ドナ・ラングレー(脚本家)、ほか
エグゼクティブ・プロデューサー:ブレイデン・アフターグッド
プロデューサー:スコット・ステューバー、サラ・オーブレイ、ベネット・シュナイアー
ユニバーサルピクチャーズ会長:アダム・フォゲルソン
ユニバーサルピクチャーズ共同会長:ドナ・ラングレー


4月13日(金)より公開となりますユニバーサル映画100周年記念作品『バトルシップ』(東宝東和配給)のワールドプレミアを4月3日(火)、国立代々木競技場 第一体育館にて監督のピーターバーグをはじめテイラー・キッチュ、浅野忠信、リアーナ、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルド、グレゴリー・ガドソン元大佐ら豪華キャスト陣も勢揃いした、レッドカーペット、舞台挨拶を行いました。

【イベント概要】
ユニバーサル映画100周年記念超大作『バトルシップ』のワールドプレミア上映前にレッドカーペット、舞台挨拶を行いました。レッドカーペットをゲストが歩く様子が場内のモニタに映し出されると、会場からは大きな声援がわきおこり、早くも大盛り上がり。
舞台挨拶では、ユニバーサル映画100周年を記念した特別映像も披露され、ワールドプレミアに華を添えました。

【舞台挨拶】
ユニバーサル映画100周年記念スピーチ
ユニバーサルピクチャーズ会長:アダム・フォゲルソン
本日『バトルシップ』のワールドプレミアをここ東京で行うことができて大変嬉しく思います。立ち上がりから3年以上、日米の才能が集結し、素晴らしいキャストに恵まれたわが社の特別な年の特別な作品がこの場でお披露目できて、嬉しいです。

ユニバーサルピクチャーズ共同会長:ドナ・ラングレー
世界中どこにいても映画で繋がることができます。2012年はユニバーサル映画が設立され100年目の特別な年です。特別な年の特別な作品『バトルシップ』をご覧になる前に、ユニバーサル映画の歴史をまとめた映像をご覧ください。

【特別映像上映】
※ユニバーサル映画100周年の輝かしい歴史をまとめた特別映像を上映いたしました。

MC:輝かしいユニバーサル映画の歴史が詰まっていた、素晴らしい映像でしたね。ユニバーサル映画100周年記念超大作『バトルシップ』のワールドプレミア上映が日本で行われることとなりました。まず監督から一言いただきたいと思います。
ピーター・バーグ監督:こんなにたくさんの人にお集まりいただきましてありがとうございます。私たちは今日ここに来られてうれしいです。あらゆる人に楽しんでもらえる映画をつくったつもりですので、とにかく楽しんでご覧ください。
日本とアメリカは、協力し合い助け合っています。アメリカは本当に日本を愛しています。日本も同じだと信じています。ですから、日本とアメリカが手を取り合いエイリアンに立ち向かうという日米の絆を描いた作品を手がけられて本当に嬉しいです。

MC:それではキャストの皆様にご登壇いただき、一言ずつご挨拶をいただきましょう。
テイラー・キッチュ:皆さんこんばんは。温かく歓迎していただきありがとうございます。日本でワールドプレミアが行えて嬉しいです。楽しんでください。
浅野忠信:日本が世界で一番最初に一般の客様に観てもらえることになって、しかもこんな盛大な場所でワールドプレミアが行えるなんて夢のようです。
僕自身もこういう場所でみるのははじめてなので皆さん皆さん一緒に楽しみましょう!
リアーナ:ハロー!トーキョー!! 本当にこの場にいられてエキサイティングだわ! 初めての映画出演が、こんな超大作なんて誇りに思うわ!
私は男勝りの役なんだけど、アクションに是非注目して楽しんでね!!
ブルックリン・デッカー:日本に来るのは初めてで、このような大作のワールドプレミアで来られること、そしてこのような場に立てることは貴重な体験で嬉しく思っています。みなさん楽しんでください。
アレクサンダー・スカルスガルド:皆さんこんばんは。こんな大きなステージに立たせてもらい一曲歌いたいところですが、テイラーに止められました(笑)。
悪天候の中こんなにたくさんの人に来ていただきありがとうございます。是非楽しんでください。
グレゴリー・D・ガドソン:こんばんは、私は初めて出演する映画でこのような
場に立てて非常に光栄です。皆さん是非楽しんでください。

MC:浅野さんこれから映画をご覧になる皆さんに一言メッセージをお願いします。
浅野:本当に今日は楽しいです。小さいころから面白い映画を観るのが楽しみで、
そして今面白い映画に出させていただき、この場に立てることが最高です。
今日は存分に楽しんで、気に入ってもらえたら友人や家族と何度でも観てください。

(東宝東和リリースより)

(C)2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
 


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 (左から、樹木希林、役所広司、原田眞人監督)
 

wagahaha-4.jpgゲスト:役所広司、樹木希林、原田眞人監督
(2012年3月17日(土) セントレジスホテル大阪にて)

 (2012年 日本 1時間58分)
監督・脚本:原田眞人
原作:井上靖「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」 (講談社文芸文庫所蔵)
出演:役所広司、樹木希林、宮﨑あおい、三國連太郎、南 果歩、キムラ緑子
2012年4月28日(土)~全国ロードショー
・作品紹介⇒こちら
・公式サイト⇒http://www.wagahaha.jp/


 文豪井上靖の母親への複雑な思いを綴った『わが母の記』が映画化された。昨年のモントリオール世界映画祭では審査員特別グランプリを受賞。長年「母親に捨てられた」という思いを抱いて生きてきた作家が、認知症で記憶を失いつつある母親の面倒をみるうちに母親の真意を知ることになる。
  年老いた親と共の暮らすことが少なった現代、特に認知症になった親の看護は苦難が多い。さらに、昨年の未曽有の大震災や大洪水などで多くの方が家族を失い、家族の絆の大切さが叫ばれるようになった今だからこそ、本作のテーマでもある家族の深い愛と絆の尊さが心に沁みる。
  4月28日の公開を前に主演の役所広司と樹木希林、原田眞人監督の合同記者会見が行われた。 会見は終始樹木希林モードで、爆笑会見となった。 


wagahaha-s3.jpgQ:(樹木希林さんへ)今回の役は今までのようなコミカルなおばあさん役とは違うようだが?
樹木:特に今までとは違う役だとは思わず、今回はこんな役なんだなと思って演じただけです。ただ、土台が原田監督で、全体の雰囲気が役所広司さんなら、私がどのようにやってもそこにうまく馴染むんじゃないかなと思いました。


 Q:(役所広司さんへ)そんな樹木希林さんと共演して緊張したことは?
樹木:ありません!(笑)
役所:樹木希林さんとのシーンが多かったので、ひとつの芝居を一緒に作りあげていくのがとても豊かな時間のように感じました。  

wagahaha-s5.jpgQ:(原田眞人監督へ)昭和の風景が色濃く出た素晴らしい撮影だったが、昭和の雰囲気を出すために特にこだわった点は?
原田:光と影かな。ロケハンもいつどこから光がさすかとか調べてました。ただ撮影期間1か月では天候に左右されることは必然で、予定を立てるのも賭けのようでした。それがプラスになったこともあります。例えば軽井沢の別荘のシーンでは、夏のシーンなのに雪が解けないのでどうしようかと…2日間というタイトなスケジュールの中で季節を渡って撮るというのが所詮不可能なこと。逆に神の恵みと思って3か月後のエピソードにして撮ったこともあります。そういう意味では恵まれてましたかね。
樹木:恵まれてるんじゃなくて、監督はそんな悪条件でもねじ伏せて、自分の中に取り込んでいく凄さを持っている。いいい意味で職人の潔さを感じました。傍にいて気持ち良かったです。脚本も全部自分で書けるので、それがいい結果につながったと思います。
原田:ありがとうございます!


Q:(役所さんと樹木さんへ)撮影中のエピソードや印象的なことは?
役所:印象的なこと……(考えていると)
樹木:(代わりに)特にないです!実際の井上邸で撮影ができましたから、役所さんが演じるナイーブな井上靖とか、書斎に座っている感じだとか、その背後に見える庭だとか、役所さんの存在もとても自然に感じられました。豊かな時間が過ごせました。特にエピソードというのはなかったです。でも、他に若い女優がいっぱいいましたから、そちらとはエピソードがあったかも?(笑)
役所:僕は若い女優さんらといる時間はあまりなかったです。殆ど希林さんといましたからね。やはり、本物の井上邸や軽井沢の別荘で撮影できたのは、作品にとっても私にとっても大きな力となったことは確かです。

wagahaha-s7.jpg Q:震災の影響はありましたか?
原田:撮影は3月10日に終わったので、特に影響はありませんでした。ただ、使っていたテープが仙台工場でしか作られてないものでしたから、撮影が延びていたら影響を受けていたことでしょう。今こそ戦後日本の3世帯の物語で家族の絆を感じとってもらえるのでは、と復興のエネルギーを映画に込めて編集作業をしました。
役所:ご家族を亡くされたり、一人ぼっちになってしまった方々にこの映画を見てもらうことで、元気を取り戻して頂けたらいいなと思います。
樹木:モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリという賞を頂いていた時には、日本は原発などで大変なことになっていました。そんな日本からやってきた映画ということで、大震前の日本に思いを馳せた上での賞だったのではないかと思っております。


 Q:(樹木希林さんへ)家族の愛と絆がテーマとなっているが、自ら家族との絆を絶つ人が多い中、どのように生きていけばいいと思うか?
樹木:そんな難しいことはわかりません。偉そうなことを言う前に、自分の頭の上のハエを払えよ!と言われそうです。ただ、今まで当たり前に思っていた死ぬ時のことが、いつどんな死に方をするのか分からなくなってきています。いつの時代でも、今ある幸せを当たり前と思ってはいないか?と。
余談ですが、今回役所さんを拝見していて、随分謙虚な方だと感じました。謙虚に考えれば、ものの考え方、家族との関係なども、また違うふうに思えてくるのではないかと、そんな気がします。


 wagahaha-s9.jpgQ:原田監督の演出について?
役所:原田監督作品には5作品出させて頂きました。ドキュメンタリータッチを基本に、台本の余白の部分では俳優たちに自由に演技をさせていい部分を切り取っていくという、登場人物の描写センスがいい。時代と共にテーマも変化していきますが、今回は小津安二郎からベルイマン、原田とつながっていくのが楽しみでした。緩急をつけた演出も光ってました。特に、今回は監督の故郷である静岡の沼津が舞台となってますので、今までの作品とは違うしっとりとした日本映画を完成させたように思います。
樹木:私の見方は少し違いますが、男の監督が陥りやすいところは、女優を選択する時に見誤るということです。(笑)今回はそう大きく見誤ってはいませんが、時々「えっ?そういうのが好きなの?」と思うことがあります…
原田:黒澤明監督も女優を見る目がなかったと言われています!(爆笑)。小津監督の失敗作と言われているものも、全部女優さんを見誤っているとか!?
樹木:そういう轍を踏まないようにというのが私の希望です。


 Q:本作は母への憎しみが描けて初めて深みが出ているように思われるが・・・?

原田:『しろばんば』が面白いと思ったのは、井上靖は5~6歳の自分にとっておぬいばあちゃんは愛人であって、母親を敵対視していたというところです、この三角関係が凄いな!と。『わが母の記』では『しろばんば』のそんなところを意図して脚本を書いています。本作ではおぬいばあちゃんは登場しませんが、50回忌の法要では井上家の許可を頂いて本物の写真を使わせてもらいました。最後には、主人公とおぬいばあちゃんと母親の想いを私なりに通したつもりです。
役所:母親に対してスネてるんだなあと。それをバネに作家として大成していったように思います。母親の方もそんな子供の気持ちは百も承知で見守っている。誰しも母親の想いを聴かずに別れてしまうことが多い中、この主人公は、記憶が薄れていく母親から息子への真意を聴くことができて本当に良かったなと思いました。50歳過ぎても母親の肌が懐かしく感じられたのではないかと。
樹木:おぬいばあちゃんに可愛がられたので、「生みの親より育ての親」という気持ちもあったのでしょうねえ。
原田:私の構想では、いつか『しろばんば』を撮る時には、おぬいばあちゃんを樹木希林さんにやってもらいたいと思っています!
樹木:もうすっかり認知症になっていて、セリフも覚えられないと思います!(笑)
(河田 真喜子)