大阪アジアン映画祭のオープニング作品『道 ~ 白磁の人 ~ 』で高橋伴明監督(右)と主演の吉沢悠。
(C)2012「道~白磁の人~」フィルムパートナーズ
『道~白磁の人~』
(2012年 日本・韓国 1時間58分)
監督:高橋伴明
出演:吉沢悠、ペ・スビン、塩谷瞬、黒川智花、近野成美、
チョン・ダス、チョン・スジ、市川亀治郎、堀部圭亮、
田中要次、大杉蓮、手塚理美
2012年6月9日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://hakujinohito.com/
●第7回大阪アジアン映画祭スタート
大阪アジアン映画祭が9日夜、大阪・梅田ブルク7で日韓合作映画「道~白磁の人~」の上映からスタート、高橋伴明監督と主演の吉沢悠が初日舞台あいさつを行った。
「~白磁の人」は激動の大正初期、朝鮮半島に林業技師として渡り、朝鮮の伝統工芸・白磁に惚れ込んでその芸術的価値を多くの人に知らせた浅川巧の生涯を描いた“現代へのメッセージ”。
上映前に会見した高橋監督は「アジアがもっと強くならなきゃならないと思ってた時にオファーがあった。日本と韓国が手を結んでいくことが大事。8割以上 韓国人スタッフで、撮影から仕上げまでほぼ全部韓国でやった。新たなことが出来た」と韓国で映画を完成させたことに満足げ。
韓国人俳優・ペ・スビンと熱い友情を育む主役を務めた吉沢も「“道”で韓国のスタッフ、キャストと仕事するという有意義な経験が出来た。浅川さんの活動に共感出来るし、アジアにこれだけ素晴らしい 人がいたんだとアピール出来たと思う」。
裁判映画「BOX袴田事件」、京都造形芸大の学生とのコラボ映画「MADE IN JAPAN こらっ」など一作ごとに意欲的な映画作りが話題を集める高橋監督にとって、アジアン映画祭オープニングは「自信を持って投げ込んだストレート作品」と自信 を見せた。
―― 韓国での撮影は困難が多かった?
高橋監督: 「いきなりセットが豪雨で流され、別のオープンセットを使わなければならくなる試練がに見舞われ たが、日韓のスタッフがいろんな工夫をすることでひとつになれた。韓国は絵コンテで撮影を進めていくけど、僕は(絵コンテを)書かないのでそれを説明する のに時間がかかったかな。現場は1日で慣れた。天候は不順で雨にたたられたけど、雨の時はこうしよう、といつも考えていた」。
――伝説的な実在の人物・浅川巧の映画化だが
高橋監督:かつて芸術系の雑誌(芸術新潮)で読んでどんな人かは知っていた。(浅川さんの作品は)候補に上がった時に見せてもらって、自然の中に置きやすい、自然との共存が感じられるナチュラルな人だと思った。
吉沢:浅川さんは知らなかった。小説読んで、素晴らしい活動をした人だと知り、日記も読んでお茶目なところもあると知ったり、僕自身が浅川さんに近づいていこうと思った。ロケで感じるところもありました。監督からは“吉沢とペ・スビンが友情を育んでくれたら”と言われていた。
――役作りは?
吉沢:浅川さんは好奇心があった人。朝鮮半島の文化をあの時代に受け入れた。映画は韓国で公開されることも決まっているので、こういう日本人がいたことを日本でも韓国でももっと知ってほしい。
――韓国人スタッフやキャストについては?
高橋監督:プライドの高さ、謝らないことなど、日本人が見習うべきことも多い。ごめんなさいと言わないこともあるが、自分の意見をきちっというのは大事なこと。細かいことまで監督にジャッジを求めてくる。
――大阪アジアン映画祭のオープニング作品だが
吉沢:大阪の友人に会って、大阪の人が行きやすいイベントに、韓国も中国も入っていて、ラインアップに『道』が入っている。そのオープニングなんて光栄です。
高橋監督:そういう意識は持ってなかったが、アジアン映画祭で初めて見ていただける意義は感じています。コンペ部門で反応を知りたいぐらいです。
●舞台あいさつで
高橋監督:結婚して30年、監督やめようと思ったこともあるが、(恵子夫人から)“私は映画監督と結婚した”と言われて続けてきた。今回はストレート投げました。どのように感じてもらえるか、楽しみです。
吉沢悠:言葉の壁は最初はあった。CDで韓国語を勉強していったが、スタッフ間では映画人の心と心のつながりがありました。ペ・スビンとは英語で話した。 彼は釣りが趣味で、夜に内緒で釣りに行ったりもしました。
※第7回大阪アジアン映画祭は10日から18日まで、大阪・梅田ガーデンシネ マ、ABCホール、シネ・ヌーヴォ、HEP HALLなどで行われ、台湾、韓国、中国、香港、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、日本などアジ ア各国の映画が上映される。問い合わせは06-6373-1225アジアン映画祭運営事務局へ。 (安永 五郎)