原題 | EDEN |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 2時間11分 |
監督 | 監督・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ 共同脚本:スヴェン・ハンセン=ラブ |
出演 | フェリックス・ド・ジヴリ、ポーリーヌ・エチエンヌ、ヴァンサン・マケーニュ |
公開日、上映劇場 | 2015年9月5日(土)~新宿シネマカリテ、大阪ステーションシティシネマ、10月10日(土)~京都シネマ、元町映画館 ほか全国順次ロードショー |
~音楽を愛し、追いかけた若者の輝きと挫折を繊細に描く~
「繊細で熱く幻惑的。幸福と憂鬱の間にあるぼくらの大好きな曲」とM.K.の「The Mkappella」をラジオで紹介するポール。ガラージ(※注)に魅かれ、DJとしてパリの音楽シーンを駆け抜けたポールの20年余りを描く。
90年代のフランス。エレクトロ・ミュージックが誕生し、大学生のポールは、親友と二人でCheersというDJコンビを組み、ガラージを中心にミックスをして人気を集める。クラブイベントに出演したり、パーティを開催、ラジオにも活躍の場を広げ、アメリカ遠征と華々しく活躍する前半「パラダイス・ガラージ」と、最先端の音楽から少しずつ遠ざかり、ドラッグや酒に溺れ、借金が積み重なり、DJの仕事に行き詰まりを感じていく後半「ロスト・イン・ミュージック」の2部で構成。
グラミー賞を受賞したエレクトロ・デュオ、ダフト・パンク(Daft Punk)の曲をはじめ劇中で流れる音楽がいい。パリやNYのクラブでのパーティのシーンが再現され、DJの奏でる音楽に乗って、踊り、歌う会場の熱気が伝わり、当時、どんな音楽が若者たちの心をとらえていたのかがわかる。DJというのが単に音楽をかけるだけではなく、自分で見つけて、流した曲で、観客を音楽の世界に誘い、会場を一体にしていく意味では、演奏者と同じで、音楽への熱い情熱を抱いていることを知る。
監督は、『グッバイ・ファーストラブ』のミア・ハンセン=ラブ。仲間とはしゃぎ、恋を謳歌する中で、ぶつかったり、寄り添ったり、支え合う友情や恋、孤独を、まっすぐ、繊細に描き、独特なタッチで観る者を魅了する。別れた恋人同士が再会し、魅かれあうシーンの切ないこと。ポールが元恋人のルイーズと、海辺やパリの公園を散歩するロングショットが美しい。DJとして長いキャリアを持つ、監督の兄スヴェン・ハンセン=ラブが共同脚本を務め、音楽に打ち込む若者たちの姿がリアルに描きだされる。
ポールは、DJの仕事を諦めることになるが、心の中には音楽への愛が生きていて、ラスト、そのつながりがゆっくりと回復されていくことを予感させる。ポールが読む「THE RHYTHM」というロバート・クリーリーの詩がすばらしい。リズムが心をとらえる限り、音楽はあなたの心に生き続けるのだ。
(※注)ガラージ
「パラダイス・ガラージ」(1977-1987年にNYマンハッタン、キング・ストリートの巨大な地下スペースに存在したディスコ)でラリー・レヴァンがかけていたような音楽の総称。本作の中で、ポールは知人に「ディスコっぽいハウス」と紹介している。
(伊藤 久美子)
★本作のモデルとなったスヴェン・ハンセン=ラブのインタビューはコチラ
★公式サイト ⇒ http://www.eden-movie.jp/
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