原題 | Une nouvelle amie |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 1時間47分 |
監督 | 脚本・監督:フランソワ・オゾン |
出演 | ロマン・デュリス、アナイス・ドゥムースティエ、ラファエル・ペルソナ |
公開日、上映劇場 | 2015年8月8日(土)、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、8月15日(土)~シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次ロードショー |
~“秘密の女ともだち”に魅せられて、真実の愛に目覚める喜び~
作品ごとに異彩を放つフランソワ・オゾン監督。 今や彼の新作が待ち遠しく感じられる、フランス映画界きっての人気監督である。そんなオゾン監督が仕掛ける今回のラブストーリーは、性を超越した自由な魂に魅せられた女性が、真実の愛に導かれていく様子を、時にコミカルに、ファッショナブルな世界観で楽しませてくれる。
あの髭の濃いロマン・デュリスが嬉々としてハマっている女装や、アラン・ドロンの再来と騒がれたラファエル・ペルソナの形のいいお尻、そして、オゾン作品の新たなミューズとなったアナイス・ドゥムースティエのボーイッシュなキュートさに魅了されること必至。自分に正直になって、一緒に居ていちばん居心地のいいと思える人と結ばれるのが本当の幸せというもの。「外見より、お金より、人間性重視」という大人のメルヘンに浸れる喜びを、きっと満喫できるにちがいない。
【STORY】
クレールは、転校生ローラの輝くような美しさに出会った7歳の時からずっと心を奪われてきた。美しく聡明なローラと一緒に過ごせる幸せは、子供時代から思春期を経ても変わらず、大人になってそれぞれ素敵な男性と結婚してからも、永遠に続くように思われた。ところが、ローラが女の子を出産した直後、重病を患い亡くなってしまう。精神の拠り所だった最愛の友を亡くしたクレール(アナイス・ドゥムースティエ)は、悲嘆にくれるローラの夫・ダヴィッド(ロマン・デュリス)と赤ん坊のリュシーを死ぬまで守ると誓う。
しばらくして、クレールがダヴィッドとリュシーの様子を見に行くと、ローラの恰好をしたダヴィッドがリュシーにミルクを飲ませていた。驚くクレールに、「ぐずるリュシーのためにローラの服を着てみた」と言い訳するが、実は以前から女装趣向があり、ローラもそれを認めていたという。ゲイという訳ではなく、女装している自分が好き。そんなダヴィッドを最初は理解できずにいたクレールだったが、次第に亡くなったローラと一緒にいた時の心地良さを感じるようになる。ハンサムで優しい夫のジル(ラファエル・ペルソナ)にはダヴィッドのことを「ヴィルジニア」という女友だちだと嘘をつき、その後も頻繁に逢うようになる。
クレールは、秘密の女友だちヴィルジニアとのショッピングや食事を楽しみ、小旅行にまで出掛けてしまう。まるでローラとの至福の時が甦るように。女らしいヴィルジニアに刺激され、クレールの中にも女性らしい美しさが芽生えてくる。だが、ヴィルジニアが男だという現実に引き戻された時、クレールはダヴィッドを拒絶してしまう。お互い同じ想いだと信じていたダヴィッドはショックのあまり交通事故に遭い瀕死の状態になる。そこでクレールは亡きローラに誓ったことを思い出し、……。
フランソワ・オゾン監督は、完璧な女装ではなく、敢えて男性の部分を残した「ヴィルジニア」を仕立てたという。オーデションではもっと女装の似合う美しい男優は他にもいたが、それをロマン・デュリスに演じさせたのには理由があった。ヴィルジニアのセクシーさにも、ダヴィッドの男らしさにも、そして亡くなったローラにも抱いていた恋慕の想いをミックスしたクレールの感情こそ、本作の大きなポイントとなってくるからだ。その複雑な感情の変化を表情だけで表現したクレール役のアナイス・ドゥムースティエが素晴らしい。彼女にも注目して見て頂きたい。
(河田 真喜子)
*アナイス・ドゥムースティエさんのトークショーレポートはこちら
*公式サイト⇒ http://girlfriend-cinema.com/
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