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『ピース オブ ケイク』

 
       

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作品データ
制作年・国 2015年 日本 
上映時間 2時間2分
原作 ジョージ朝倉『ピース オブ ケイク』祥伝社 フィールコミックス
監督 田口トモロヲ
出演 多部未華子、綾野剛、松坂桃李、木村文乃、光宗薫、菅田将暉、柄本佑、峯田和伸
公開日、上映劇場 2015年9月5日(土)~梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、109シネマズHAT神戸ほかにてロードショー
 
 

~「恋愛なんて大嫌い!」でも止められないのが愛なんだ~

 
「その時、風が吹いた」。
ヒロインの志乃が、隣人の京志郎に初めて会ったときに感じたことは、それまで共感できないのではと思っていた志乃と私の心の距離をぐっと縮めてくれた。人生の中で、出会った瞬間「風が吹いた」と思えるような相手が、きっと誰にでもいるはず。その感覚が、私の中にもリアルに甦ったのだ。『色即ぜねれいしょん』から6年ぶりとなる田口トモロヲ監督最新作は、20代女子のリアルな恋愛模様を描いたジョージ朝倉原作の『ピース オブ ケイク』。恋愛も仕事も流されるまま生きてきた志乃を演じるのは、映画やテレビドラマで大活躍の多部未華子。志乃が恋に落ちる京志郎を演じるのは、主演作が目白押しの綾野剛だ。出会いから、ラブラブな日々、そして思わぬ別れと、恋愛のフルコースの先に待っているのは、二人が再び共に歩む日々か、それとも別々の道なのか。漫画原作ながら、リアルすぎる恋愛描写に思わずハマってしまう。トモロヲマジック全開のラブストーリーだ。 
 
志乃(多部未華子)は、軽い浮気がもとで彼氏(柄本佑)にフラれてしまい、バイトを辞めて心機一転引っ越すことに。転居先で隣人の京志郎(綾野剛)に出会った瞬間、風を感じた志乃は、京志郎が新しいバイト先の店長と知り、心が揺れる。だが、京志郎には同棲中の恋人あかり(光宗薫)がいるのだった。
 
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今まで元気、コミカルといった雰囲気の役柄が多かった多部未華子だが、こんなに色っぽかったのかと思うぐらい、可愛くて、すぐエッチできそうな男にとって都合のいい女子を熱演。彼氏は切れないものの、その場の衝動で適当な付き合いしかできなかった志乃が、「恋愛なんて大嫌い!」と叫びたくなるぐらい、面倒くさくて、心身共にクタクタになってしまうような恋愛に身を投じていくのだ。そんな志乃をいつもニッカリとした笑顔で受け止め、あかりと二人の女性の間で揺れる京志郎を、綾野剛が愛嬌たっぷりに演じている。ちょっと優柔不断で憎めないところは、女性だけでなく男性の共感も得ること間違いなし!田口トモロヲ監督曰く、「淡白な表現ではなく攻めた」という感情的なラブシーンも注目だ。
 
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また、監督は東京のリアルな風景を収めることにも注力したという。サブカルチャーの町、下北沢を舞台に、志乃が衣装部として関わることになる「劇団めばち娘」の上演シーンでは、関西の「劇団鹿殺し」が登場し、座長役の峯田和伸らを交え、本物の舞台を作り上げている。劇団員で同級生の親友、オカマの天ちゃんを松坂桃李が演じているのも、意外性があり、キャスティングの妙といったところか。加藤ミリヤ feat.峯田和伸の主題歌『ピース オブ ケイク―愛を叫ぼう―』が、真実を求める恋人たちの物語の最後を力強く締めくくり、ガツンと胸に響いた。
(江口由美)
 
公式サイト⇒ http://pieceofcake-movie.jp/
(C) 2015 ジョージ朝倉/祥伝社/「ピース オブ ケイク」製作委員会
 

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主演、多部未華子をべた褒め!『ピース オブ ケイク』公開記念 田口トモロヲ監督トークショーレポートはコチラ
 

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