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『駈込み女と駆出し男』

 
       

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作品データ
制作年・国 2015年 日本
上映時間 2時間23分
原作 井上ひさし『東慶寺花だより』新潮文庫刊
監督 原田眞人 
出演 大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林、山崎努、堤真一、武田真治、キムラ緑子、内山理名、陽月華他
公開日、上映劇場 2015年5月16日(土)~丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、OSシネマズ神戸ハーバーランド、MOVIXあまがさき、TOHOシネマズ西宮OS、MOVIX京都他全国ロードショー
 

~江戸時代は離婚も命がけ!?駈込み寺で再出発に懸ける女たち~

 
今より2倍もの離婚があったという江戸時代に、離婚を望む女たちが駈込む、政府公認の縁切寺があった。やんごとなき事情で、縁切寺に駈込まなければならなかった訳ありの女たちと、彼女たちを救おうと奔走する戯作者見習いの男が繰り広げる時代劇、『駈込み女と駆出し男』。井上ひさし原作の『東慶寺花だより』を『わが母の記』の原田眞人監督が映画化。日本の四季を織り交ぜた、ユーモアや艶っぽさのあるお江戸人情物語だ。
 

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DVや夫の身上に対する不信、力ずくの政略結婚など様々な事情を持つ女たちが駈込む姿は、圧倒的な男性社会でなんとかして自分の生きる道を掴み取ろうとする、並々ならぬ決意が滲んでいる。物語の中心となる駈込み女のじょごは、我慢強く、男たちの中で鉄練という過酷な労働に励むワーキングウーマンだ。一方、お吟は艶やかな囲われ者で、生活に不自由せず、娯楽にも精通している粋な女性。じょご役の戸田恵梨香とお吟役の満島ひかりが、江戸時代のタイプの違う女性の生き様を歯切れよく演じ、苦難の中で希望を見出そうとする女性の強さを印象付ける。
 
 

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駈込み女たちの強い味方となる戯作者見習いの信次郎演じる大泉洋のセリフ回しも、見事だ。御用宿・柏谷の主人源兵衛(樹木希林)や、お勝(キムラ緑子)をはじめ、東慶寺に押し入る男たちを相手に丁々発止のやり取りを繰り広げる。時には滑稽に、時には相手を煙に巻き、そして時には相手を撃退するぐらい威力のある口上は、本作の大きな見どころとなっている。柏谷での食事シーンや、高級座敷のシーンなど、江戸時代の庶民の暮らしぶりや娯楽が緻密に再現されているのを観るのも楽しい。
 
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中でも圧倒されたのは、完全男子禁制の尼寺、東慶寺での駈込み女たちの暮らしぶり。自身初の時代劇となった原田監督は、俳優として出演した『ラスト サムライ』の舞台、姫路・円教寺で念願のロケを敢行した。その厳粛な佇まいの中で起こる女たちの悲喜こもごもの日常は、目の前で現実に起こっているものを観ているような錯覚にさえ囚われるほど、リアルに映る。私も感動のあまり、円教寺までふもとから登り、ロケ地となった場所を実際に訪れたが、何とも言えない静寂と、歴史の重みが感じられ、身の引き締まる思いがした。
 
いつの時代も、虐げられた者はそれにも負けず必死で生きている。暖簾の奥から、東慶寺での2年間を無欲で耐え抜いたじょごの未来を見守るような視線が、ことの他眩しかった。江戸時代の苦境を生き抜く女たちの物語は、現代を生きる虐げられた者への大いなる応援歌でもあるのだ。(江口由美)
 
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<ストーリー>
江戸時代後期、幕府公認の縁切寺、東慶寺には離縁を求める女たちが駈込んでくる。顔に火ぶくれのある鉄練職人のじょご(戸田恵梨香)は、放蕩三昧の夫に暴力や罵りに耐えかね、ある夜、駈込みを決行する。途中で出会ったのは足を怪我したお吟(満島ひかり)。堀切屋(堤真一)の囲われ者だったお吟もある事情から内緒で駈込みを決行していた。御用宿・柏谷では、主人源兵衛(樹木希林)のもと、戯作者見習いの信次郎(大泉洋)は、居候をしながら、駈込み女たちの聞き取り調査を行っていた。じょごの傷の手当てを願い出た信次郎は、元気になっていくじょごに複雑な思いを抱きながら入山するのを見守るのだったが・・・。
 
公式サイト⇒http://kakekomi-movie.jp/
(C) 2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会