『友よ、さらばと言おう 』
原題 | Mea Culpa |
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制作年・国 | 2014年 フランス |
上映時間 | 1時間30分 |
監督 | 監督・脚本:フレッド・カヴァイエ |
出演 | ヴァンサン・ランドン、ジル・ルルーシュ、ナディーン・ラバキー |
公開日、上映劇場 | 2014年8月1日(金)~新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ 他 全国ロードショー |
~「愛する者を救うためにすべてを投げ打つ男」シリーズ第3弾・刑事篇~
息もつかせぬサスペンス・アクションと極限の愛で観客の心を釘付けにする、ニュー・フレンチ・ノワールの旗手、フレッド・カヴァイエ監督。長編映画デビュー作『すべて彼女のために』(‘08)で、平凡な教師が突然殺人犯として逮捕された妻のために法を犯してでも救おうとするその必死さが感動を呼び、ハリウッドでもラッセル・クロウ主演でリメイクされた。続く2作目の『この愛のために撃て』(‘10)では、身重の妻を人質に取られた看護師が警察からも犯罪組織からも追われる悪夢のような状況を激写。
そんなフレッド・カヴァイエ監督の最新作が『友よ、さらばと言おう』だ。今回は『すべては君のために』の主役(ヴァンサン・ランドン)と、『この愛のために撃て』の主役(ジル・ルルーシュ)をダブル主演させるという最強タッグを組んできた。元刑事の父親が、殺人事件を目撃してしまった息子を犯罪組織から守るため、友人の刑事と共に命懸けで激走する。過去の罪を背負い続けた二人の男の友情と、家族を失って初めて気付く思いの強さに哀愁をにじませ、人間を深く見つめたヒューマンドラマとなっている。
「愛する者を救うため~」という極限の愛を基盤に、ハイテンションで疾走する追跡劇の進化は、今回フランスの新幹線TGV車中での銃撃戦でクライマックスを迎える。いや~見ているだけ冷や汗をかいてしまう程だ。過去2作を凌駕するような緊迫感に圧倒されることだろう。
ごく普通の生活を送っている男が、愛する者を守るため決死の行動に出る。それは国籍や民族や宗教など関係なく普遍的テーマ。その超法規的ボーダーラインを超える時の男の表情が、何とも哀愁を感じさせて惹き付けられる。かつての日本の任侠映画に共通するものもあるが、フレッド・カヴァイエ監督は、義理人情ではなく、あくまで普通の人間が極限状態に追い詰められた時の変化をドラマチックに捉えているところが、現代を反映した新しい映画の真価だと思う。
(河田 真喜子)
★フレッド・カヴァイエ監督トークレポート《フランス映画祭2014》⇒ こちら
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