『ローマの教室で~我らの佳き日々~』
原題 | Il rosso e il blu (Giuseppe Piccioni |
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制作年・国 | 2012年 イタリア |
上映時間 | 1時間41分 |
監督 | ジュゼッペ・ピッチョーニ |
出演 | マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、ロベルト・ヘルリッカ |
公開日、上映劇場 | 2014年8月23日(土)~岩波ホール、8月30日(土)~シネ・リーブル梅田、9月~シネ・リーブル神戸、ほか 京都シネマなど全国順次公開 |
~教育現場に射す一条の光を求めて~
若き教師ジョヴァンニは、臨時教員としてローマの高校に赴任する。そこには、「教育は学校の中だけでいい。」というクールなジュリアーナ校長と、「未熟なままでも卒業させる。困るのは本人だ。」と教育への情熱を失い、学校そのものに幻滅を感じているベテランのフィオリート先生がいた。この3人の教師が出会う生徒たちの変化によって、失いかけていた教育への希望を見出していく。出席日数が足りない女子生徒や、親に見捨てられ転校を余儀なくされる男子生徒、かつて聴き逃した授業を大人になってから聴きにくる生徒、授業中ふざけてばかりいる生徒など、どこの国にでもいるような問題を抱えた生徒たち。そして混乱した教育現場で悪戦苦闘する教師たちの様子が、3人の教師を照合しながら味わい深く描出されている。
この3人の教師を演じた俳優たちがまた凄い!『もうひとつの世界』『イタリア的、恋愛マニュアル』『素晴らしき存在』などで定評のあるベテラン女優:マルゲリータ・ブイがクールなジュリアーナ校長を、『西のエデン』『あしたのパスタはアルデンテ』『昼下がり、ローマの恋』などでキラキラ輝く瞳で魅了するリッカルド・スカマルチョが新人教師を、イタリア演劇界の至宝と呼ばれるロベルト・エルリッカが知的人生を否定しながらも希望を見出していくベテラン教師を演じて、それぞれ存在感を示して爽やかな印象で締めくくっている。教育現場の問題だけをクローズアップして描くのではなく、教師の立場から、人と人とのつながりを優しく見つめたジュゼッペ・ピッチョーニ監督ならではの職人技が光る作品だ。
(河田 真喜子)
【河田充規のコメント】
一口でペンと言っても色や形は様々で,使う人も違っている。原題が“赤と青”の『赤鉛筆,青鉛筆』では,生徒の一人サフィラの「私のペンを返して」という台詞が印象に残る。学校という限られた時間と場所でも,生徒と教師が互いの人生に影響を与え合うには十分だ。補助教員はアンジェラを信用できなかった自分を苛み,校長はブルニョーリに母性を喚起され,老教師はエレナに精気を吹き込まれる。3組とも変わったのは教師の方だ。
★『赤鉛筆、青鉛筆』ジュゼッペ・ピッチョーニ監督トークは⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://www.roma-kyoshitsu.com/
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